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  • 特開-ルーム建設用パネル 図1
  • 特開-ルーム建設用パネル 図2
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  • 特開-ルーム建設用パネル 図4
  • 特開-ルーム建設用パネル 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030748
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ルーム建設用パネル
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240229BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240229BHJP
   E04C 2/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04B1/94 L
E04B2/74 551F
E04C2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133839
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】511174144
【氏名又は名称】株式会社鈴木室内装飾
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(72)【発明者】
【氏名】今村 辰一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA06
2E001GA12
2E001HA32
2E001HB01
2E001JA25
2E162BA01
2E162BB07
2E162CA31
2E162CB02
(57)【要約】
【課題】パネルの厚さを60mm以下に抑えながら、パネル部及び連結部ともに耐火試験をクリアすることができ、かつ従来の施工性を損なうことがないルーム建設用パネルを提供する。
【解決手段】
本発明にかかるルーム建設用パネル100は、バサルト繊維からなるボード10と、ボードの両面に設けられ、ボードの両側側面においてボード中心方向に屈曲した後、側方方向に延出して形成されてなるパネル鋼板20と、ボードの両側側面においてパネル鋼板の内面側に配置され、パネル鋼板よりも厚く形成された耐火用補強金具30と、ボードの一方側側面にパネル鋼板よりも長く延設するように設けられている連結バサルトボード40と、他方側側面に設けられた連結バサルトボードが挿入される挿入溝15と、を備えた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バサルト繊維からなるボードと、
前記ボードの両面に設けられ、前記ボードの両側側面においてボード中心方向に屈曲した後、側方方向に延出して形成されてなるパネル鋼板と、
前記ボードの両側側面近傍に前記パネル鋼板の裏面側に配置され、前記パネル鋼板に沿うように、前記ボードの中心方向に屈曲した後側方方向に延出されるように形成され、前記パネル鋼板よりも厚く形成された耐火用補強金具と、
前記ボードの一方側側面に前記パネル鋼板よりも長く延設するように設けられている連結バサルトボードと、
他方側側面に設けられた前記連結バサルトボードが挿入される挿入溝と、を備えたルーム建設用パネルであって、
前記ルーム建設用パネル同士を連結する際に、前記一方側側面のパネル鋼板及び耐火用補強金具は、前記他方側側面のパネル鋼板及び耐火用補強金具の内側又は外側に配置された状態で結合され、
前記連結バサルトボードは、前記他方側側面の挿入溝に挿入されている状態で連結されることを特徴とするルーム建設用パネル。
【請求項2】
前記ボードは、中心にバサルト繊維からなるロックウールと前記ロックウールの両面に形成されるバサルトボードとからなることを特徴とする請求項1に記載のルーム建設用パネル。
【請求項3】
前記ロックウールは、厚さが44mm~47mm、2枚のバサルトボードは、それぞれ3mm~5mm及び10mm~12mmであって、合計厚さが60mm以下であることを特徴とする請求項2に記載のルーム建設用パネル
【請求項4】
前記連結バサルトボードは、9mm以上の厚さであることを特徴とする請求項1に記載のルーム建設用パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として工場内に事務所、休憩室、ライン管理室、検査室又は倉庫等を建設するためのルーム建設用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内に事務所、休憩室、ライン管理室、検査室又は倉庫等のルームを設置するに際しては、施工容易性、軽量化、コスト低減等を考慮して、図4に示すように、防火用ボード210の両側にパネル鋼板220が配置されてなるルーム建設用パネル200が使用されている。そして、ルーム建設用パネル200同士の連結には、補強金具230を介してパネル鋼板220同士を螺合部材で固定している。
【0003】
こうしたルーム建設用パネルは、コストダウン及び軽量化等の要請から厚さを薄くすることが求められている。しかしながら、ルーム建設用パネルには、同時に高い耐火性能も求められている。具体的には、炉内温度がISO834の標準加熱温度曲線に沿うように加熱した場合に、1時間耐火試験において、1時間後の高温側の温度が945℃の状態で裏面側の温度が180℃+気温以下となる耐火性能が求められている。
【0004】
しかしながら、従来のルーム建設用パネル200のパネル部分に関しては、素材の選択等によって、達成可能であるが、ルーム建設用パネル200同士を連結する連結部は、どうしてもタッピングビスの頭が出っ張らないようにする必要性から、厚さが薄くなるため、試験条件をクリアすることが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、パネルの厚さを60mm以下に抑えながら、パネル部及び連結部ともに耐火試験をクリアすることができ、かつ従来の施工性を損なうことがないルーム建設用パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかるルーム建設用パネルは、
バサルト繊維からなるボードと、
前記ボードの両面に設けられ、前記ボードの両側側面においてボード中心方向に屈曲した後、側方方向に延出して形成されてなるパネル鋼板と、
前記ボードの両側側面近傍に前記パネル鋼板の裏面側に配置され、前記パネル鋼板に沿うように、前記ボードの中心方向に屈曲した後側方方向に延出されるように形成され、前記パネル鋼板よりも厚く形成された耐火用補強金具と、
前記ボードの一方側側面に前記パネル鋼板よりも長く延設するように設けられている連結バサルトボードと、
他方側側面に設けられた前記連結バサルトボードが挿入される挿入溝と、を備えたルーム建設用パネルであって、
前記ルーム建設用パネル同士を連結する際に、前記一方側側面のパネル鋼板及び耐火用補強金具は、前記他方側側面のパネル鋼板及び耐火用補強金具の内側又は外側に配置された状態で結合され、
前記連結バサルトボードは、前記他方側側面の挿入溝に挿入されている状態で連結されることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるルーム建設用パネルによれば、耐火用補強金具が表側及び裏側の両方に2つずつ配置されており、それぞれが互いにパネル鋼板を間に挟んで密着して固定されているため、加熱によってパネル鋼板が湾曲しても隙間ができにくい構造となっている。そのため、熱が隙間から入り込むことを効果的に防止することができる。さらに、連結部の中心に連結バサルトボートが配置されているため、さらに効果的に熱が反対面に伝達されることを防止することができる。
【0009】
また、本発明にかかるルーム建設用パネルにおいて、
前記ボードは、中心にバサルト繊維からなるロックウールと前記ロックウールの両面に形成されるバサルトボードとからなることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
表面側には、比較的硬質のバサルトボードを配置し、中心側には、より断熱効果の高いロックウールを使用することで、全体としてより高い断熱効果を確保したものである。
【0011】
さらに、本発明にかかるルーム建設用パネルにおいて、
前記ロックウールは、厚さが44mm~47mm、2枚のバサルトボードは、それぞれ3mm~5mm及び10mm~12mmであって、合計厚さが60mm以下であることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
かかる構成をすることによって、60mm以下であっても、1時間耐火試験をクリアすることができるルーム建設用パネルを提供することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかるルーム建設用パネルにおいて、
前記連結バサルトボードは、9mm以上の厚さであることを特徴とするものであってもよい。
【0014】
連結バサルトボードの厚さを9mm以上にすることによって、1時間耐火試験をクリアすることができるルーム建設用パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明にかかるルーム建設用パネル100の実施形態を示す正面図及び平面図である。
図2図2は、図1のA部拡大図及びB部拡大図である。
図3図3は、実施形態にかかるルーム建設用パネル100の連結部を示す断面図である。
図4図4は、従来のルーム建設用パネル100の連結部を示す断面図である。
図5図5は、実施例にかかるルーム建設用パネル100の耐火試験の測定部位を示す図と、測定結果を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明にかかるルーム建設用パネル100の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0017】
本発明にかかるルーム建設用パネル100は、図1及び図2に示すように、主として、芯材としてのボード10と、ボード10の両面に配置されるパネル鋼板20と、耐火用補強金具30と、連結バサルトボード40と、を備えている。
【0018】
ボード10は、バサルト繊維を接着剤で固めて作製したものであり、断熱効果に優れたボードである。より好ましくは、図2に示すように、バサルト繊維からなるバサルトロックウール10aをバサルト繊維のバサルトボード10b、10cで挟み込んだものを使用するとよい。この際に、図2に示すように、バサルトボード10b、10cは、両側が同一の厚さではなく、加熱される側が反対側に対して薄いバサルトボード10bを使用するとよい。これは、実験により、より温度が低くなる被加熱側に厚いバサルトボード10cを使用することによって、パネル裏面側の温度が低くなることが実証され、この結果、裏面側の後述する耐火用補強金具30の温度上昇も抑えることができるからである。具体的には、加熱側のバサルトボード10bは、厚さが3mm~5mmのものを使用するとよい。被加熱側のバサルトボード10cは、厚さが10mm~12mのものを使用するとよい。さらに、この場合、バサルトロックウール10aは、44mm~47mmのものを使用するとよい。これらの中で合計厚さが60mm以下となる組み合わせで使用することが好ましい。バサルトロックウール10aは、一方側側面(A部拡大図側)又は他方側側面(B部拡大図側)において、後述する耐火用金具又はパネル鋼板の先端まで設けると良い(図2では、一方側側面に設けている。)。このように形成することで、ルーム建設用パネル100同士を連結した際に、図3に示すように、空気層を最小限に抑えることができ、断熱効果に優れた連結部とすることができる。好ましくは、隙間のないように形成するとよい。
【0019】
パネル鋼板20は、表面の装飾用の鋼板である。厚さは、0.5mm以下のものが使用される。両面のパネル鋼板20は、両側側面101、102でボード中心(中央)に向かって内側に屈曲した後、L字型になるように側方方向に延出するように形成されている。一方側側面101は、屈曲の深さDが裏面側で10mmとなるように形成され、他方側側面102では、屈曲の深さEが8mmとなるように設定されている。すなわち、隣接するルーム建設用パネル100と連結した場合に、後述する耐火用補強金具30が重なりあうような位置に配置されている。なお、本実施形態では、図1において、一方側側面101は右側を示し、他方側側面102は左側を示しているが、逆であってもよい。
【0020】
耐火用補強金具30は、厚さが2mm以上となる金属で形成されており、熱によって湾曲するパネル鋼板20の裏面側(内側)に配置される。耐火用補強金具30は、両側側面101、102近傍において、パネル鋼板20の屈曲形状に沿うように内側に屈曲した後、L字型となるように、側方方向に延出するように形成されている。パネル鋼板20と耐火用補強金具30は、隣接するルーム建設用パネル100と連結した場合に、ビス等の螺合部材50で固定するための貫通孔60がそれぞれの重ね合わせた状態で一致する位置に設けられている。
【0021】
連結バサルトボード40は、一方側側面101に表裏中央の位置から側方方向に延設されたバサルトボードである。この連結バサルトボード40は、ルーム建設用パネル100同士が連結された際に、隣り合うルーム建設用パネル100の他方側側面102内のボード10内に挿入される部位であり、連結部において耐火性能を向上させるために配置される。このため、他方側側面102には、この連結バサルトボード40が挿入可能な挿入溝15が設けられている。この連結バサルトボード40は、好ましくは厚さが9mm以上であることが好ましい。
【0022】
なお、ボード10とパネル鋼板20との接着、耐火用補強金具30とバサルトボードとの接着には、無機材料からなる接着剤を使用しており、火災時に有機接着剤により有毒ガスが発生しないようにすることが好ましい。
【0023】
以上のように作製されたルーム建設用パネル100は以下のようにして連結されて、ルーム用の壁面として使用される。まず、一方側側面101に、隣り合うルーム建設用パネル100の他方側側面102をはめ込むと、図2に示すように、一方側側面101のパネル鋼板20及び耐火用補強金具30の屈曲の深さDが他方側側面102の屈曲の深さEより深いので、図3に示すように、一方側側面101のパネル鋼板20及び耐火用補強金具30が内側に配置され、他方側側面102のパネル鋼板20及び耐火用補強金具30が外側から挟み込むように、密着して配置される。このとき、連結バサルトボード40は、他方側側面102に形成された挿入溝15内に配置される。そして、パネル鋼板20及び耐火用補強金具30の貫通孔60を一致させた状態で螺合部材50を固定することで、連結される。
【0024】
こうして連結されたルーム建設用パネル100は、耐火用補強金具30が表側及び裏側の両方に2つずつ配置されており、それぞれが互いにパネル鋼板20を間に挟んで密着して固定されている。従来の構造では、図4に示すように、一方にしか補強金具230がなかったため、加熱によりパネル鋼板20が湾曲し、できた隙間から熱が侵入し、断熱効果が著しく劣化していた。しかし、本発明にかかるルーム建設用パネル100は熱に強く変形しづらい耐火用補強金具30で挟み込む形を取っているため、加熱によってパネル鋼板20が湾曲しても隙間ができにくい構造となっている。そのため、熱が隙間から入り込むことを効果的に防止することができる。また、耐火用補強金具30が表側及び裏側の両方に2つずつ配置されていることから、構造的強度の向上も図られている。さらに、連結部の中心にバサルトボートが配置されているため、さらに効果的に熱が反対面に伝達されることを防止することができる。また、組み立てる場合にも従来のものと比較して、ほとんど作業工程に変化なく、同様の容易さで組み立てることができる。
【0025】
(実施例)
実施例として、加熱側のバサルトボード10bは、厚さが3mm、被加熱側のバサルトボード10cは、厚さが12mm、バサルトロックウール10aは、44mmのものを使用し、パネル鋼板20は、厚さが0.5mm、耐火用補強金具30は、厚さが2mmの鉄製のものを使用した、連結バサルトボード40は、厚さが9mmのものを使用した。かかる構成で、高さ1400mm、幅695mmのサイズのルーム建設用パネル100を準備した。かかるルーム建設用パネル100に対し、気温20℃の環境化で炉内温度がISO834の標準加熱温度曲線に沿うように加熱した場合に、図5に示すように、それぞれパネル部分の四角で囲んだ数字が測定一である。1,2,5,6及び7、連結部3,4,5の部分の被加熱側の温度を、10分ごとに測定した。なお、図5における数値の単位は、mmである。測定の結果、180℃+気温20℃=200℃以下であることが確認された。しかも、連結部である3,4,5においては、それぞれ156.6℃、139.3℃、158.5℃と、パネル部よりも低い温度が測定された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
上述した実施の形態で示すように工場内に事務所、休憩室、ライン管理室、検査室や倉庫などを建設するためのルーム建設用パネルとして産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
10…ボード、10a…バサルトロックウール、10b…バサルトボード、10c…バサルトボード、15…挿入溝、20…パネル鋼板、230…補強金具、30…耐火用補強金具、40…連結バサルトボード、50…螺合部材、60…貫通孔、100…ルーム建設用パネル、101…一方側側面、102…他方側側面



図1
図2
図3
図4
図5