(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030755
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】エアコン用洗浄原液、洗浄液及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 7/26 20060101AFI20240229BHJP
C11D 7/10 20060101ALI20240229BHJP
C11D 7/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C11D7/26
C11D7/10
C11D7/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133855
(22)【出願日】2022-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】322003190
【氏名又は名称】HITOWAライフパートナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌俊
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA15
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003FA04
(57)【要約】
【課題】エアコンの部品であるアルミ素材を腐食することなく、且つ優れた洗浄効果を有し、安全、安心、無害なエアコン用洗浄原液、洗浄液及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】 界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含む。キレート剤を含有している。水酸化ナトリウムを含有しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含むエアコン用洗浄原液。
【請求項2】
キレート剤を含有している
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項3】
水酸化ナトリウムを含有しない
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項4】
pH13~14のアルカリ性である
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項5】
前記水は、水道水、もしくは蒸留水である
請求項1に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項6】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含むエアコン用洗浄液。
【請求項7】
前記エアコン用洗浄原液は、
キレート剤を含有している
請求項6に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項8】
水酸化ナトリウムを含有しない
請求項6に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項9】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄液に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有洗浄液を生成する第1の工程と、
前記第1の工程で生成したて微細気泡含有洗浄液をエアコンの洗浄対象部位に吹き付ける第2の工程と、
水に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有水を前記洗浄対象部位に吹き付ける第3の工程と
を有し、
前記エアコン用洗浄液は、
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含む、
洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン洗浄に適したエアコン用洗浄原液、洗浄液及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアコン洗浄の作業では、界面活性剤や化学物質を配合した洗浄液、苛性ソーダ配合の強アルカリ性の洗浄液が用いられることがある。
このような洗浄液には、例えば界面活性剤や化学物質、苛性ソーダ等の劇物が含有されており、被洗浄物、作業者及びこの洗浄したエアコンが設置されている環境に悪影響が生じることがある。
【0003】
すなわち、界面活性剤は、皮膚から吸収され、肝臓で分解されずに体内に蓄積される。アトピー症状が出たり、アレルギーの原因になるなど、人体に悪影響を及ぼすこともある。
また、天然由来の界面活性剤は、石けんなどに使われている界面活性剤である。微生物の働きによって、最終的には水と炭酸ガスに分解されて自然に帰ることができる。しかし、合成洗剤などに使われている石油系の界面活性剤は、分解されるまでに非常に長い時間がかかり、なかには完全に分解されずに生態系に悪影響を及ぼす成分も含まれていることがある。
【0004】
近年、このような劇物を含有しない洗浄液を用いてなくても、ウルトラファンバブル高圧洗浄機を用いることで高い洗浄効果を発揮する方法が知られている。
このような洗浄方法に用いる洗浄液は、NaOH及びKOHを主成分としており、界面活性剤も含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような洗浄液を、ウルトラファインバブル高圧洗浄に使うと、ウルトラファインバブルの影響で界面活性剤の発泡が強くなるため、通常の高圧洗浄機使用時と比べて極端に泡立ちが激しく、このクリーム状の泡の影響で洗浄が困難である。
【0007】
このことにより以下3つの問題点が発生する。
泡立ちが激しいため、洗浄後のすすぎに使う水の量が約20%増加し、また目視で洗浄効果が確認しにくいため作業における効率が低下する。
流れにくいクリーム状の泡の影響でアルミフィンに接触する時間が増えることで、NaOH及びKOHがアルミフィンを腐食するリスクがある。
大量の泡が跳ね返ることで周辺に飛び散り、NaOH及びKOHの影響で汚染するだけでなく、エアコン付近のアルミサッシなどの素材を腐食するなどのリスクが高い。
【0008】
上述した問題を解決するため下記洗浄液を新たに開発。これを用いたエアコン洗浄方法を確立した。
本発明は、このようなエアコン洗浄作業に用いられるエアコン用洗浄液の現状に鑑みなされたもので、エアコンの部品であるアルミ素材を腐食することなく、且つ高い洗浄効果を有し、安全、安心、無害なエアコン用洗浄原液、洗浄液及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含むエアコン用洗浄原液である。
【0010】
好適には、本発明のエアコン用洗浄原液は、キレート剤を含有している。
【0011】
好適には、本発明のエアコン用洗浄原液は、水酸化ナトリウムを含有しない。
【0012】
好適には、本発明のエアコン用洗浄原液は、pH13~14のアルカリ性である。
【0013】
好適には、本発明のエアコン用洗浄原液の前記水は、水道水、もしくは蒸留水である。
【0014】
本発明のエアコン用洗浄液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水とを含み、前記エアコン用洗浄原液は、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含む。
【0015】
好適には、前記エアコン用洗浄原液は、キレート剤を含有している。
【0016】
好適には、前記エアコン用洗浄原液は、水酸化ナトリウムを含有しない。
【0017】
本発明の洗浄方法は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄液に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有洗浄液を生成する第1の工程と、前記第1の工程で生成したて微細気泡含有洗浄液をエアコンの洗浄対象部位に吹き付ける第2の工程と、水に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有水を前記洗浄対象部位に吹き付ける第3の工程とを有し、前記エアコン用洗浄液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水とを含み、前記エアコン用洗浄原液は、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エアコンの部品であるアルミ素材を腐食することなく、且つ優れた洗浄効果を有し、安全、安心、無害なエアコン用洗浄原液、洗浄液及び洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、被洗浄物であるアルミ片に対して実施例1,2,3のエアコン洗浄原液等をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の外観を記載している。
【
図2】
図2は、被洗浄物である親水被膜に対して実施例1,2,3のエアコン洗浄原液等をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の外観を記載している。
【
図3】
図3は、被洗浄物であるアルミ箔に対して実施例1,2,3のエアコン洗浄原液等をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の外観を記載している。
【
図4】
図4は、被洗浄物に対して実施例1,2,3の原液をそれぞれ用いて洗浄した場合の効果を説明するための図表である。
【
図5】
図5は、ウルトラファインバブルを含有する洗浄液を生成するエアコン用洗浄液製造装置を説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すエアコン用洗浄液製造装置を用いたエアコンの洗浄工程について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るエアコン用洗剤及びエアコン洗浄方法を説明する。
一般的なエアコン洗浄液(NaOH及びKOHを主成分とし界面活性剤を含有したもの)を改良し、界面活性剤不使用のエアコン洗浄液である。
【0021】
本実施例のエアコン用洗浄原液は、
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と、を含む。
また、本実施例のエアコン用洗浄原液は、キレート剤を含有している。
本実施例のエアコン用洗浄原液は、水酸化ナトリウムを含有しておらず、pH13~14のアルカリ性である。
また、本実施例のエアコン用洗浄原液の上記水は、水道水、もしくは蒸留水である。
【0022】
本実施例のエアコン用洗浄液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、
水と、を含む。
【0023】
本実施形態のエアコン用洗浄液には下記特徴がある。
ウルトラファインバブルでも泡立たない様に界面活性剤(非イオン、陰イオン各界面活性剤)を不使用とする。通常の洗浄機では洗浄力低下につながるが、ウルトラファインバブルを使用した場合は洗浄力に影響はなく、逆に20%~30%すすぎに使う水の量が少なくなり、目視での洗浄効果の確認も容易となり作業効率が向上する。
【0024】
また、NaOHを非使用でありKOHの含有を1%未(例えば0.9%)とすることにより、エアコン本体のアルミフィン部分の腐食を抑え腐食によるトラブルを低減できる。
【0025】
さらに、アミノエタノール、ケイ酸塩を安定性上限まで含有を増やし(従来品の1.5倍)洗浄果を高めることにより、NaOH及びKOHを主成分とする従来の洗浄液と同様の洗浄効果を維持。
【0026】
本発明に至った経緯は以下である。
NaOHとKOHには、強い洗浄力がある一方、アルミを腐食するリスクがあり、そのリスクを低減しつつも洗浄力を担保する必要があった。
【0027】
また、界面活性剤の働きの一部である汚れを素材から浮かし剥がす働きを無くすことは、洗浄力が低減するリスクがあったが、ウルトラファインバブルの分離作用でこれを補うこととした。
【0028】
以上のことから、ウルトラファンバブル高圧洗浄機を用いたエアコン洗浄において、本実施例のエアコン用洗浄原液を用いことで、泡立ちを抑さえ、アルミフィンや周辺に対する素材腐食のリスクを抑え尚且つ洗浄力を高めた洗浄が可能となった。
【0029】
図1~
図4は、本発明の実施例のエアコン用洗浄液の効能を説明するための図表である。
図1は、本発明の下限値の実施例1と、ベストモードの実施例2と、上限値の実施例3とについて、エアコン用洗浄原液、5倍希釈したエアコン用洗浄液、10倍希釈したエアコン用洗浄液、20倍希釈したエアコン用洗浄液を用いて効能の確認した結果を示している。
【0030】
実施例1のエアコン用洗浄原液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、各成分の含有量は以下である。
水酸化カリウム:0.3重量%
2-アミノエタノール:3重量%
ケイ酸塩:7重量%
グルコン酸ナトリウム:1重量%
【0031】
実施例2のエアコン用洗浄原液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、各成分の含有量は以下である。実施例2がベストモードである。
水酸化カリウム:0.9重量%
2-アミノエタノール:10重量%
ケイ酸塩:10重量%
グルコン酸ナトリウム:10重量%
【0032】
実施例3のエアコン用洗浄原液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、各成分の含有量は以下である。
水酸化カリウム:0.9重量%
2-アミノエタノール:19.9重量%
ケイ酸塩:15重量%
グルコン酸ナトリウム:15重量%
【0033】
図1~
図3では、被洗浄物に対して実施例1,2,3のエアコン用洗剤原液をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の外観を記載している。
また、
図1~
図3では、被洗浄物に対して実施例1,2,3の原液を5倍希釈したエアコン用洗浄液をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
ここで、溶解度「〇」は略溶解しない、溶解度「×」は著しく溶解した、溶解度「△」は一部溶解したことを示している。
【0034】
また、
図1~
図3では、被洗浄物に対して実施例1,2,3の原液を5倍希釈したエアコン用洗浄液をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
【0035】
また、
図1~
図3では、被洗浄物に対して実施例1,2,3の原液を10倍希釈したエアコン用洗浄液をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
また、
図1~
図3では、被洗浄物に対して実施例1,2,3の原液を20倍希釈したエアコン用洗浄液をそれぞれ1時間、2時間、3時間、付着させた場合の被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
【0036】
図1は、被洗浄物としてアルミ片を用いた場合における、液被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
図2は、被洗浄物として親水被膜を用いた場合における、被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
図3は被洗浄物としてアルミ箔を用いた場合における、被洗浄物の溶解度と外観を記載している。
【0037】
図1に示すように、被洗浄物としてアルミ片を用いた場合の溶解度については、実施例1では、全ての項目において良好であった。
実施例2,3については、エアコン用洗浄原液を用いた場合は被洗浄物が一部溶解し、白色化したが、それ以外の項目においては良好であった。
【0038】
図2に示すように、被洗浄物として親水被膜を用いた場合の溶解度については、実施例1では、全ての項目において良好であった。
実施例2については、エアコン用洗浄原液を用いた場合は3時間経過で被洗浄物が一部溶解し、白色化したが、それ以外の項目においては良好であった。
実施例3については、エアコン用洗浄原液を用いた場合は2時間及び3時間経過で被洗浄物が一部溶解し、白色化したが、それ以外の項目においては良好であった。
【0039】
図3に示すように、被洗浄物としてアルミ箔を用いた場合の溶解度については、実施例1では、全ての項目において良好であった。
実施例2については、エアコン用洗浄原液を用いた場合は被洗浄物が略全て溶解し、それ以外の項目においては良好であった。
実施例3については、エアコン用洗浄原液を用いた場合は2時間及び3時間経過で被洗浄物が一部溶解したが、それ以外の項目においては良好であった。
希釈は10~20倍が最も効果が高かった。
【0040】
図4は、被洗浄物に対して実施例1,2,3のエアコン用洗浄原液をそれぞれ用いて洗浄した場合の効果を説明するための図表である。
図4に示す項目のうち、「素材への影響」は、実施例1~3の全てにおいて、アルミ片、親水被膜片、アルミ箔片共に、10倍希釈液、20倍希釈液の1時間、2時間、3時間浸漬共に、外観に変化は見られなかった。従って、エアコン洗浄作業において、エアコンの各素材の部品への悪影響はない。
【0041】
図4に示す項目のうち、「洗浄力」は、実施例2,3の原液は、アルミ片1時間、2時間、3時間浸水共に、一部白化、親水被膜片は3時間浸水で僅かに溶解する。
また、実施例2の原液は、1時間浸漬でアルミ箔片を全て溶解、実施例3の原液は1時間、2時間、3時間浸漬でアルミ箔片を一部溶解させた。このような原液での溶解度は、実施例2が高い(洗浄力が高い)。
【0042】
図4に示す項目に関して、実施例1は、洗浄力(溶解度)は低いが、他の項目でエアコンの部品への悪影響がない。
実施例2は、最も洗浄力が高く、他の全ての項目でエアコンの部品への悪影響がない。
実施例3は、結晶化、安定性で評価は多少低くなる。また、安全性、洗浄力、コストの面で実施例2よりは多少評価が低くなる。
【0043】
実施例3は、結晶化が起こり、安全性が実施例2よりは低くなる。また、ケイ酸塩の配合量(上限)により、逆にアルカリ溶解度抑制が働き、洗浄力は実施例2に比べて低下する。洗浄力及び製品の安全性、素材への影響は実施例2が最適である。
【0044】
エアコン用洗浄原液の水酸化カリウムの含有量を0.3重量%未満にすると洗浄力が著しく低下することが確認された。
また、水酸化カリウムの含有量が0.9重量%を超えると、安全性の面で取り扱いが難しくなる。
【0045】
エアコン用洗浄原液の2-アミノエタノールの含有量を3重量%未満にすると洗浄力が著しく低下することが確認された。
また、2-アミノエタノールの含有量が19.9重量%を超えると、劇物化し安全性の面で取り扱いが難しくなる。
【0046】
エアコン用洗浄原液のケイ酸塩の含有量を7重量%未満にすると、アルミ溶解抑制力が低下し、アルミ素材が溶融してしまうことが確認された。
また、ケイ酸塩の含有量が15重量%を超えると、5℃で結晶化してしまい洗浄剤としては不適切であることが確認された。
【0047】
エアコン用洗浄原液のグルコン酸ナトリウムの含有量を1重量%未満にすると洗浄力が著しく低下することが確認された。
【0048】
また、グルコン酸ナトリウムの含有量が15重量%を超えると、5℃で結晶化してしまい洗浄剤としては不適切であることが確認された。
【0049】
また、エアコン用洗浄原液にキレート剤を含有させることで、そうでない場合に比べて洗浄力が高まること確認された。
【0050】
図5は、ウルトラファインバブルを含有する洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄するエアコン用洗浄原液製造装置1を説明するための図である。
【0051】
図5に示すように、エアコン用洗浄原液製造装置1は、例えば、空気供給部11と、洗浄液供給部13と、水供給部15と、気泡発生部17とを有する。
【0052】
空気供給部11は、洗浄工程において、空気を気泡発生部17に供給する。なお、空気供給部11を設けずに、気泡発生部17が直接空気を吸引してもよい。
【0053】
洗浄液供給部13は、気泡発生部15に上述した本実施形態の洗浄液を供給する。
洗浄液供給部13は、例えば、洗浄液を収納するタンクを備えている。
【0054】
水供給部15は、すすぎ工程において、水を気泡発生部17に供給する。
水供給部15は、水を貯えるタンクを備えてる。
【0055】
気泡発生部17は、洗浄工程において、洗浄液供給部13から供給された洗浄液に空気供給部11から供給された空気を微細気泡として含有させ、微細気泡含有(ウルトラファインバブル)洗浄液を生成し、これを清掃器具21に供給する。
また、気泡発生部17は、すすぎ工程において、水供給部15から供給された水に空気供給部11から供給された空気を微細気泡として含有させ、微細気泡含有水を生成し、これを清掃器具21に供給する。
【0056】
以下、
図5に示すエアコン用洗浄原液製造装置1を用いたエアコンの洗浄工程について説明する。
図6は、
図5に示すエアコン用洗浄原液製造装置1を用いたエアコンの洗浄工程について説明するためのフローチャートである。
以下、
図6に示す各ステップについて説明する。
ステップST1:
上述した本実施形態のエアコン用洗浄原液を生成する。
具体的には、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウム、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノール、含有量7~15重量%のケイ酸塩、含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムとなるように、これらの成分と水を混合してエアコン用洗浄原液を生成する。
【0057】
そして、10倍希釈する場合は、上記生成したエアコン用洗浄原液を水で10倍に希釈してエアコン用洗浄液を生成する。
【0058】
ステップST2:
図5に示す洗浄液供給部13にステップST1で生成したエアコン用洗浄液を充填する。
また、水供給部15に水を充填する。
【0059】
ステップST3:
図5に示す気泡発生部17は、洗浄液供給部13から供給された洗浄液に空気供給部11から供給された空気を微細気泡として含有させ、微細気泡含有(ウルトラファインバブル)洗浄液を生成し、これを噴射部21に供給する。
【0060】
ステップST4:
噴射部21から、エアコンの被洗浄箇所にウルトラファインバブルを吹き付けて洗浄する。
【0061】
ステップST5:
ステップST4によるウルトラファインバブルの吹き付けで、汚れが落ちると、気泡発生部17が、水供給部15から供給された水に空気供給部11から供給された空気を微細気泡として含有させ、微細気泡含有水を生成し、これを噴射部21に供給する。
そして、噴射部21から、エアコンの被洗浄箇所に微細気泡含有水を吹き付けてすすぎ工程を行う。
【0062】
以上説明したように、本実施例のエアコン用洗浄原液及びエアコン用洗浄液によれば、界面活性剤を入れないことで、人体への悪影響を回避できる。また、環境面でも優れています。
【0063】
また、本実施例のエアコン用洗浄原液及びエアコン用洗浄液によればエアコンの部品であるアルミ素材を腐食することなく、且つ高い洗浄効果を有し、安全、安心、無害とうい効果が得らえる。
すなわち、ウルトラファインバブル洗浄において、泡立ちを抑制し、洗浄後のすすぎに使う水の量を削減できる。また、泡立ちが少ないため、また目視で洗浄効果が確認しにくいため作業における効率を向上できる。
【0064】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0065】
上述した洗浄方法に限定されない。
本発明のエアコン用洗浄原液及び洗浄液は、上述した洗浄方法以外のエアコン洗浄に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、アルミ素材の部品を組み込んだエアコンを洗浄する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…エアコン用洗浄原液製造方法
11…空気供給部
13…洗浄液供給部
15…水供給部
17…気泡発生部
21…噴射部
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、
水酸化ナトリウムを含有しない
エアコン用洗浄原液。
【請求項2】
キレート剤を含有している
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項3】
pH13~14のアルカリ性である
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項4】
前記水は、水道水、もしくは蒸留水である
請求項1に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項5】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、
水酸化ナトリウムを含有しない
エアコン用洗浄液。
【請求項6】
前記エアコン用洗浄原液は、
キレート剤を含有している
請求項5に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項7】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄液に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有洗浄液を生成する第1の工程と、
前記第1の工程で生成した微細気泡含有洗浄液をエアコンの洗浄対象部位に吹き付ける第2の工程と、
水に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有水を前記洗浄対象部位に吹き付ける第3の工程と
を有し、
前記エアコン用洗浄液は、
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、水酸化ナトリウムを含有しない、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、水酸化ナトリウムを含有しない、
洗浄方法。
【請求項8】
前記エアコン用洗浄液は、
キレート剤を含有している
請求項7に記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記エアコン用洗浄液は、
pH13~14のアルカリ性である
請求項7に記載の洗浄方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含み、水酸化ナトリウムを含有しないエアコン用洗浄原液である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明のエアコン用洗浄液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水とを含み、前記エアコン用洗浄原液は、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含み、水酸化ナトリウムを含有しない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の洗浄方法は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄液に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有洗浄液を生成する第1の工程と、前記第1の工程で生成した微細気泡含有洗浄液をエアコンの洗浄対象部位に吹き付ける第2の工程と、水に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有水を前記洗浄対象部位に吹き付ける第3の工程とを有し、前記エアコン用洗浄液は、界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水とを含み、水酸化ナトリウムを含有しない、前記エアコン用洗浄原液は、含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、含有量7~15重量%のケイ酸塩と、含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、水とを含み、水酸化ナトリウムを含有しない。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液であって、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、
水酸化ナトリウムを含有しない
エアコン用洗浄原液。
【請求項2】
キレート剤を含有している
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項3】
pH13~14のアルカリ性である
請求項1に記載のエアコン用洗浄原液。
【請求項4】
前記水は、水道水、もしくは蒸留水である
請求項1に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項5】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、
水酸化ナトリウムを含有しない
エアコン用洗浄液。
【請求項6】
前記エアコン用洗浄原液は、
キレート剤を含有している
請求項5に記載のエアコン用洗浄液。
【請求項7】
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄液に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有洗浄液を生成する第1の工程と、
前記第1の工程で生成した微細気泡含有洗浄液をエアコンの洗浄対象部位に吹き付ける第2の工程と、
水に気体を微細気泡として含有させて微細気泡含有水を前記洗浄対象部位に吹き付ける第3の工程と
を有し、
前記エアコン用洗浄液は、
界面活性剤を含まないエアコン用洗浄原液と、
エアコン用洗浄原液を5~20倍に希釈する水と
を含み、水酸化ナトリウムを含有しない、
前記エアコン用洗浄原液は、
含有量0.3~0.9重量%の水酸化カリウムと、
含有量3~19.9重量%の2-アミノエタノールと、
含有量7~15重量%のケイ酸塩と、
含有量1~15重量%のグルコン酸ナトリウムと、
水と
を含み、水酸化ナトリウムを含有しない、
洗浄方法。
【請求項8】
前記エアコン用洗浄液は、
キレート剤を含有している
請求項7に記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記エアコン用洗浄原液は、
pH13~14のアルカリ性である
請求項7に記載の洗浄方法。