(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030758
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】配線シート
(51)【国際特許分類】
G01N 27/06 20060101AFI20240229BHJP
G01M 3/16 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
G01N27/06 A
G01M3/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133858
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
(72)【発明者】
【氏名】塚田 孝高
(72)【発明者】
【氏名】三浦 大史
【テーマコード(参考)】
2G060
2G067
【Fターム(参考)】
2G060AA08
2G060AE13
2G060AF07
2G060AG06
2G060AG10
2G060AG15
2G060FA01
2G060HC15
2G060JA06
2G060KA05
2G067CC02
2G067CC03
2G067DD23
2G067EE13
(57)【要約】
【課題】ベース基材の一方の面に導電性配線が形成されてなる配線シートにおいて、導電性配線を物理的な外力から保護しながらも、水分や油分を精度よく検出するとともに、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続する。
【解決手段】ベース基材10と、ベース基材10の一方の面に形成された導電性配線20a,20bとを有する配線シート1であって、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面のうち、導電性配線20a,20bが形成されていない領域に積層された粘着層30を有し、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と、前記ベース基材の一方の面に形成された導電性配線とを有する配線シートであって、
前記ベース基材の前記一方の面のうち、前記導電性配線が形成されていない領域に積層された粘着層を有し、
前記粘着層の厚みが、前記導電性配線の厚みよりも厚い、配線シート。
【請求項2】
請求項1に記載の配線シートにおいて、
前記ベース基材の一方の面に積層され、前記粘着層によって前記ベース基材に接着された保護層を有し、
前記保護層は、前記導電性配線と接着されていない、配線シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース基材上に導電性配線が形成されてなる配線シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベース基材上に導電性配線を形成し、水分や油分が付着した場合に、導電性配線を短絡させたり断線させたり、あるいは抵抗値を変化させたりすることで、水分や油分の漏れを検出する技術が考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
このような技術においては、導電性配線が物理的な外力によって断線してしまうと、その後の水分や油分の検出を行うことができなくなってしまう。特に、油分が付着した場合に導電性配線を断線させることで油分の漏れを検出するものにおいては、油分が付着した場合に導電性配線を断線させるため、導電性配線が元々断線しやすい構成を有している場合が多く、物理的な外力によって断線してしまう可能性が高い。
【0004】
特許文献1に開示されたものにおいては、導電ラインが形成されたベース層の全面に、微細な孔を有する保護層が貼り付けられている。このように導電性配線が形成されたベース基材の全面に保護層を貼り付けることで、導電性配線が物理的な外力によって断線してしまう可能性を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたもののように、導電性配線が形成されたベース基材の全面に保護層が貼り付けられているものにおいては、ベース基材の全面に保護層が貼り付けられていることで、水分や油分が導電性配線に付着しにくく、水分や油分の漏れを精度よく検出できるとは言い難い。
【0007】
また、上述したような配線シートは、導電性配線がコネクタを介して制御器等に電気的に接続されることで、導電性配線が短絡あるいは断線したりその抵抗値が変化したりしていることが検出されることになる。しかしながら、上述したように導電性配線が形成されたベース基材の全面に保護層が貼り付けられていると、導電性配線をコネクタに電気的に接続することが困難となってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ベース基材の一方の面に導電性配線が形成されてなる配線シートにおいて、導電性配線を物理的な外力から保護しながらも、水分や油分を精度よく検出することができるとともに、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続することができる配線シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材と、前記ベース基材の一方の面に形成された導電性配線とを有する配線シートであって、
前記ベース基材の前記一方の面のうち、前記導電性配線が形成されていない領域に積層された粘着層を有し、
前記粘着層の厚みが、前記導電性配線の厚みよりも厚い、配線シートである。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、水分や油分の漏れを検出する被検査体に対して、ベース基材に積層された粘着層を用いて接着すると、導電性配線がベース基材で覆われた状態となり、導電性配線が表出せずに物理的な外力から保護される。これにより、ベース基材上に保護層を積層することなく導電性配線を保護することができ、導電性配線を物理的な外力から保護しながらも、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続することができるようになる。また、粘着層がベース基材の導電性配線が形成されていない領域に積層されており、その厚みが導電性配線の厚みよりも厚いことで、粘着層によって被着体に接着された状態においては、導電性配線と被着体との間に隙間が生じており、被検査体にて漏れによって発生した水分や油分がこの隙間に入り込んで導電性配線に付着することになり、被検査体にて漏れによって発生した水分や油分を精度よく検出することができる。
【0011】
また、ベース基材の一方の面に積層され、粘着層によってベース基材に接着された保護層を有し、保護層が導電性配線と接着されていなければ、導電性配線が保護層によって保護されながらも、保護層が導電性配線と接着されていないことにより、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続することができる。また、粘着層の厚みが導電性配線の厚みよりも厚く、保護層が導電性配線と接着されていないことにより、導電性配線と保護層との間に隙間が生じており、それにより、発生した水分や油分がこの隙間に入り込んで導電性配線に付着することになり、発生した水分や油分を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水分や油分の漏れを検出する被検査体に対して、ベース基材に積層された粘着層を用いて接着した場合、導電性配線がベース基材で覆われた状態となり、それにより、ベース基材上に保護層を積層することなく導電性配線を物理的な外力から保護することができ、導電性配線を物理的な外力から保護しながらも、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続することができる。また、粘着層がベース基材の導電性配線が形成されていない領域に積層されており、その厚みが導電性配線の厚みよりも厚いことで、粘着層によって被着体に接着された状態において、被検査体にて漏れによって発生した水分や油分が、導電性配線と被着体との間に生じた隙間に入り込んで導電性配線に付着することになり、被検査体にて漏れによって発生した水分や油分を精度よく検出することができる。
【0013】
また、ベース基材の一方の面に積層され、粘着層によってベース基材に接着された保護層を有し、保護層が導電性配線と接着されていないものにおいては、導電性配線が保護層によって保護されながらも、保護層が導電性配線と接着されていないことにより、導電性配線をコネクタ等に電気的に容易に接続することができる。また、粘着層の厚みが導電性配線の厚みよりも厚く、保護層が導電性配線と接着されていないことにより、導電性配線と保護層との間に隙間が生じており、それにより、発生した水分や油分がこの隙間に入り込んで導電性配線に付着することになり、発生した水分や油分を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の配線シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【
図2】
図1に示した配線シートの使用方法の一例を説明するための図である。
【
図3】
図1に示した配線シートを配管に取り付けた際の作用を説明するための図である。
【
図4】本発明の配線シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はベース基材上の構成を示す図である。
【
図5】
図4に示した配線シートの使用方法の一例を説明するための図である。
【
図6】特許文献1に開示された漏油感知センサーの構成を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はベース層上の構成を示す図である。
【
図7】
図4に示した配線シートを配管に取り付けた際の作用を説明するための図であり、(a)は
図6に示した漏油感知センサーを配管に取り付けた状態にて油分の漏れが発生した場合における作用を説明するための図、(b)は
図4に示した配線シートを配管に取り付けた状態にて油分の漏れが発生した場合における作用を説明するための図である。
【
図8】本発明の配線シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【
図9】本発明の配線シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
〈配線シートの構成〉
図1は、本発明の配線シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【0017】
本形態は
図1に示すように、ベース基材10の一方の面に2本の導電性配線20a,20bが形成されるとともに、粘着層30が積層された配線シート1である。
【0018】
ベース基材10は、フィルム等の絶縁性材料から構成され、長尺状のシート形状を有している。
【0019】
導電性配線20a,20bは、導電性インクを用いてベース基材10の一方の面に形成されている。導電性配線20a,20bは、ベース基材10の長尺方向の一方の端部から他方の端部まで互いに一定の間隔を保持しながら並行して延びている。
【0020】
粘着層30は、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面において導電性配線20a,20b間に導電性配線20a,20bに沿って一定の幅を有して粘着剤が塗工されることで積層されている。これにより、粘着層30は、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面のうち導電性配線20a,20bが形成されていない領域に積層されていることになる。
【0021】
導電性配線20a,20b及び粘着層30は、それぞれ一定の厚みを有しており、
図1(b)に示すように、粘着層30の厚みt1が、導電性配線20a,20bの厚みt2よりも厚くなっている。
【0022】
〈配線シートの使用方法〉
以下に、上記のように構成された配線シート1の使用方法について説明する。
【0023】
図2は、
図1に示した配線シート1の使用方法の一例を説明するための図である。
【0024】
図1に示した配線シート1は、例えば、配管に取り付けられ、配管からの油分の漏れを検出するために使用される。
【0025】
その場合、
図2に示すように、導電性配線20a,20bの一方の端部に電気的に接続されるように接続コネクタ4を接続するとともに、導電性配線20a,20bの他方の端部に接続部材7を接続する。この際、ベース基材10上に保護層が積層されていないことで、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4に容易に接続することができる。接続部材7は、1本の配線の両端に2つの接続端子を有しており、この2つの接続端子に導電性配線20a,20bの端部がそれぞれ接続されることで、導電性配線20a,20bが電気的に接続された状態となる。接続コネクタ4は、切断された長尺状のベース基材10の長尺方向の一方の端部が突き当られた場合に導電性配線20a,20bと電気的に接続される端子(不図示)を有しており、接続コネクタ4にベース基材10の長尺方向の一方の端部を突き当てることで、導電性配線20a,20bの一方の端部を接続コネクタ4に電気的に接続することができる。接続コネクタ4には、ケーブル6a,6bを介してRFIDタグ8が接続されている。接続コネクタ4の導電性配線20a,20bと電気的に接続される端子は、ケーブル6a,6bと電気的に接続されているため、導電性配線20a,20bの一方の端部を接続コネクタ4に電気的に接続することで、導電性配線20a,20bが接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介してRFIDタグ8と電気的に接続されることになる。
【0026】
このように導電性配線20a,20bが接続部材7を介して互いに電気的に接続されることで1本の導電性配線となるとともに、導電性配線20a,20bが接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介してRFIDタグ8と電気的に接続された配線シート1を配管に取り付け、2本の導電性配線20a,20bの導通状態を検査する。具体的には、RFIDタグ8と非接触通信が可能な検査装置5からRFIDタグ8に電力を供給することで、RFIDタグ8からケーブル6a,6b及び接続コネクタ4を介して導電性配線20a,20bに電流を供給して抵抗値を検出する。配管にて油分の漏れが発生していない場合は、2本の導電性配線20a,20bが接続部材7を介して導通している。そのため、検査装置5からRFIDタグ8を介して導電性配線20a,20bに電流が供給された場合、導電性配線20a,20bに電流が流れ、それにより、検査装置5にて導電性配線20a,20bと接続部材7とケーブル6a,6bとを合わせた抵抗値がRFIDタグ8を介して検出されることになる。
【0027】
一方、配管にて油分の漏れが発生している場合は、導電性配線20a,20bが油分で断線し、それにより、検査装置5からRFIDタグ8を介して導電性配線20a,20bに電流が供給されても導電性配線20a,20bには電流が流れず、検査装置5にてRFIDタグ8を介して検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0028】
検査装置5においては、このようにしてRFIDタグ8を介して検出した抵抗値に基づいて配管に油分の漏れが発生しているかどうかを判断することになる。なお、油分の漏れが発生した場合に導電性配線が断線する構成ではなく、検出される抵抗値が変化する構成を用いて油分の漏れが発生しているかどうかを判断してもよい。その場合においても、
図2に示したように、導電性配線20a,20bにRFIDタグ8を接続し、RFIDタグ8と非接触通信が可能な検査装置5からRFIDタグ8を介して導電性配線20a,20bに電流を供給することで抵抗値を検出し、検出した抵抗値に基づいて、配管に油分の漏れが発生しているかどうかを判断することになる。
【0029】
なお、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介してRFIDタグ8に接続し、検査装置5にてRFIDタグ8を介して抵抗値を検出するのではなく、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介して検査装置5に直接接続し、検査装置5にて抵抗値を検出する構成としてもよい。
【0030】
〈油分発生時の作用〉
以下に、上述した配線シート1における油分発生時の作用について説明する。
【0031】
図3は、
図1に示した配線シート1を配管に取り付けた際の作用を説明するための図である。
【0032】
図1に示した配線シート1は、
図2に示したように導電性配線20a,20bに接続部材7が接続されるとともに、接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介して検査装置5に接続され、油分の漏れの検査を行う被検査体となる配管に取り付けられる。具体的には、
図3に示すように、油分の漏れの検査を行う配管9aの表面のうち下面に、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成されるとともに粘着層30が積層された面を対向させ、粘着層30によって配管9aに接着する。これにより、導電性配線20a,20bがベース基材10で覆われた状態となり、導電性配線20a,20bが表出せずに物理的な外力から保護される。
【0033】
このように
図1に示した配線シート1が配管9aに取り付けられた状態にて配管9aにて油9bの漏れが発生すると、漏れた油9bは
図3に示すように、配管9aの表面を伝って下方に落ちていく。
【0034】
すると、配線シート1が配管9aの表面のうち下面に接着されていることで、漏れた油9bは配線シート1に付着する。その際、配線シート1は、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面が配管9aに対向して粘着層30によって接着されており、さらに、粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されており、上述したように、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚くなっている。そのため、
図3に示すように、配線シート1が粘着層30によって配管9aに接着された状態においては、導電性配線20a,20bと配管9aの表面との間に隙間が生じている。それにより、配管9aから漏れた油9bが配線シート1の端部から導電性配線20a,20bと配管9aとの間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着することになる。
【0035】
そして、導電性配線20a,20bが付着した油9bによって断線し、検査装置5において、配管9aに油分の漏れが発生したことが検出されることになる。
【0036】
このように本形態においては、油分の漏れの検査を行う配管9aに対して、ベース基材10に積層された粘着層30を用いて接着した場合、導電性配線20a,20bがベース基材10で覆われた状態となることで、導電性配線20a,20bが表出せずに導電性配線20a,20bを物理的な外力から保護することができ、それにより、ベース基材10上に保護層を積層することなく導電性配線20a,20bを保護することができる。また、配線シート1が粘着層30によって配管9aに接着されて使用された場合、粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されており、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚くなっていることで、配管9aから漏れた油9bが配線シート1の端部から導電性配線20a,20bと配管9aとの間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着させることができ、配管9aからの油分の漏れを精度よく検出することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
〈配線シートの構成〉
図4は、本発明の配線シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はベース基材10上の構成を示す図である。
【0038】
本形態は
図4に示すように、
図1に示したものに対して、ベース基材10上に保護フィルム40が積層されている点が異なる配線シート101である。
【0039】
保護フィルム40は、本願発明にて保護層となるものである。保護フィルム40は、絶縁性材料から構成され、ベース基材10と同一形状を有している。保護フィルム40は、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成されるとともに粘着層30が積層された面に積層され、粘着層30によってベース基材10に接着されている。また、
図1に示したものと同様に、粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されており、
図4(b)に示すように、粘着層30の厚みt1が導電性配線20a,20bの厚みt2よりも厚くなっている。そのため、保護フィルム40は、導電性配線20a,20bと接着されておらず、保護フィルム40と導電性配線20a,20bとの間に隙間が生じている。
【0040】
〈配線シートの使用方法〉
以下に、上記のように構成された配線シート101の使用方法について説明する。
【0041】
図5は、
図4に示した配線シート101の使用方法の一例を説明するための図である。
【0042】
図4に示した配線シート101は、例えば、配管に取り付けられ、配管からの油分の漏れを検出するために使用される。
【0043】
その場合、
図5に示すように、導電性配線20a,20bの一方の端部に電気的に接続されるように接続コネクタ4を接続するとともに、導電性配線20a,20bの他方の端部に接続部材7を接続する。ここで、ベース基材10上には保護フィルム40が接着されているが、粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されていることで保護フィルム40が導電性配線20a,20bと接着されておらず、また、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚くなっている。そのため、
図5に示すように、導電性配線20a,20bと保護フィルム40との間に生じた隙間に指等を入れて保護フィルム40を捲り上げ、接続コネクタ4と接続する部分のみ保護フィルム40を剥離することができ、それにより、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4に容易に接続することができる。接続部材7についても、接続コネクタ4と同様に、接続コネクタ4と接続する部分のみ保護フィルム40を剥離して導電性配線20a,20bと接続することが考えられる。
【0044】
このようにして導電性配線20a,20bが接続コネクタ4及び接続部材7と電気的に接続された状態において、
図1に示したもの同様にして、検査装置5において、導電性配線20a,20bにケーブル6a,6b及び接続コネクタ4を介して導電性配線20a,20bに電気的に接続されたRFIDタグ8を介して電流を供給することで抵抗値を検出し、それにより、配線シート101が取り付けられた配管等において、油分が漏れているかどうかが判断されることになる。
【0045】
なお、本形態においても、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介してRFIDタグ8に接続し、検査装置5にてRFIDタグ8を介して抵抗値を検出するのではなく、導電性配線20a,20bを接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介して検査装置5に直接接続し、検査装置5にて抵抗値を検出する構成としてもよい。
【0046】
〈油分発生時の作用〉
以下に、上述した配線シート101における油分発生時の作用について、特許文献1に開示された漏油感知センサーと比較しながら説明する。
【0047】
図6は、特許文献1に開示された漏油感知センサーの構成を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はベース層510上の構成を示す図である。
【0048】
特許文献1に開示された漏油感知センサーは
図6に示すように、ベース層510の一方の面に2本の導電ライン520a,520bが互いに並行して形成されており、ベース層510の導電ライン520a,520bが形成された面の全面に保護層540が貼り付けられて構成されており、保護層540には、複数の微細な感知孔541が設けられている。
【0049】
上記のように構成された漏油感知センサーにおいては、油類の漏れが生じた場合、漏油が生じた箇所の感知孔541を介して油類が流れ込んで導電ライン520a,520bの抵抗値が上がり、それにより、油類の漏れが検出されることになる。
【0050】
図7は、
図4に示した配線シート101を配管に取り付けた際の作用を説明するための図であり、(a)は
図6に示した漏油感知センサーを配管に取り付けた状態にて油分の漏れが発生した場合における作用を説明するための図、(b)は
図4に示した配線シート101を配管に取り付けた状態にて油分の漏れが発生した場合における作用を説明するための図である。
【0051】
図6に示した漏油感知センサーは、
図7(a)に示すように、油分の漏れの検査を行う配管9aの表面のうち下面に、ベース層510が配管9aに対向するようにして粘着剤(不図示)等によって接着されることが考えられる。これにより、導電ライン520a,520bが保護層540で覆われた状態となり、導電ライン520a,520bが表出せずに物理的な外力から保護される。保護層540には、油分の漏れが発生した場合に発生した油分を導電ライン520a,520bに流れ込ませるための複数の微細な感知孔541が設けられている。
【0052】
しかしながら、配管9aの下面にベース層510が配管9aに対向するようにして漏油感知センサーを接着した場合、
図7(a)に示すように、配管9aにて油9bの漏れが発生すると、漏れた油9bは、配管9aの表面を伝って下方に落ちていき、漏油感知センサーの端部に付着するものの、漏油感知センサーの端部には、導電ライン520a,520bが表出しておらず、また、油9bが導電ライン520a,520bに流れ込んでいく隙間が生じていないため、漏油感知センサーの端部に付着した油9bは、導電ライン520a,520bに付着することなくそのまま下方に落ちていってしまう。
【0053】
一方、
図4に示した配線シート101は、
図5に示したように導電性配線20a,20bに接続部材7が接続されるとともに、接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介して検査装置5に接続され、
図7(b)に示すように、油分の漏れの検査を行う配管9aの表面のうち下面に、ベース基材10が配管9aに対向するようにして、ベース基材10の裏面に積層された粘着層(不図示)によって配管9aに接着される。これにより、導電性配線20a,20bが保護フィルム40で覆われた状態となり、導電性配線20a,20bが表出せずに物理的な外力から保護される。また、配線シート101をベース基材10の裏面に積層された粘着層(不図示)によって配管9aに接着するのではなく、配線シート101をテープ等によって配管9aに押さえつけるようにして取り付けてもよい。
【0054】
このように
図4に示した配線シート101が配管9aに取り付けられた状態にて配管9aにて油9bの漏れが発生すると、漏れた油9bは
図7(b)に示すように、配管9aの表面を伝って下方に落ちていく。
【0055】
すると、配線シート101が配管9aの表面のうち下面に接着されていることで、漏れた油9bは配線シート101に付着する。その際、配線シート101は、ベース基材10が配管9aに対向して取り付けられているが、ベース基材10と保護フィルム40とを接着する粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されており、上述したように、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚く、導電性配線20a,20bと保護フィルム40とが接着されていないことで導電性配線20a,20bと保護フィルム40の間に隙間が生じている。そのため、
図7(b)に示すように、配管9aから漏れた油9bが配線シート101の端部から導電性配線20a,20bと保護フィルム40との間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着することになる。
【0056】
そして、導電性配線20a,20bが付着した油9bによって断線し、検査装置5において、配管9aに油分の漏れが発生したことが検出されることになる。
【0057】
このように本形態においては、油分の漏れの検査を行う配管9aに対して、ベース基材10が配管9aに対向するように取り付けた場合、導電性配線20a,20bが保護フィルム40で覆われた状態となることで、導電性配線20a,20bを物理的な外力から保護することができる。また、ベース基材10と保護フィルム40とを接着する粘着層30が導電性配線20a,20b間に積層されており、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚く、導電性配線20a,20bと保護フィルム40とが接着されていないことで導電性配線20a,20bと保護フィルム40の間に隙間が生じており、それにより、配管9aから漏れた油9bが配線シート1の端部から導電性配線20a,20bと保護フィルム40との間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着させることができ、配管9aからの油分の漏れを精度よく検出することができる。また、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面の全面に保護フィルム40が積層されていることで、配線シート101を上述したように配管9aに取り付ける前の状態においても、導電性配線20a,20bを物理的な外力から保護することができる。
【0058】
(他の実施の形態)
図8は、本発明の配線シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【0059】
本形態は
図8に示すように、
図1に示したものに対して、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面において、導電性配線20a,20bの外側にも導電性配線20a,20bに沿って粘着層30が積層されている点が異なる配線シート201である。なお、本形態の配線シート201においても、
図8(b)に示すように、粘着層30の厚みt1は、導電性配線20a,20bの厚みt2よりも厚くなっている。
【0060】
上記のように構成された配線シート201においても、
図1に示したものと同様にして粘着層30によって配管に接着され、配管における油分の漏れの検査を行うために用いられる。その場合、油分の漏れの検査を行う配管に対して、ベース基材10に積層された粘着層30を用いて接着することで、導電性配線20a,20bがベース基材10で覆われた状態となり、導電性配線20a,20bが表出せずに導電性配線20a,20bを物理的な外力から保護することができる。また、配線シート201が粘着層30によって配管に接着されて使用された場合、粘着層30が導電性配線20a,20bが形成されていない領域に積層されており、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚くなっていることで、配管から漏れた油分が配線シート201の端部から導電性配線20a,20bと配管との間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着させることができ、配管からの油分の漏れを精度よく検出することができる。
【0061】
図9は、本発明の配線シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図である。
【0062】
本形態は
図9に示すように、
図1に示したものに対して、ベース基材10の導電性配線20a,20bが形成された面において、導電性配線20a,20bの外側に導電性配線20a,20bに沿って粘着層30が積層されており、導電性配線20a,20b間には粘着層30が積層されていない点が異なる配線シート301である。なお、本形態の配線シート301においても、
図9(b)に示すように、粘着層30の厚みt1は、導電性配線20a,20bの厚みt2よりも厚くなっている。
【0063】
上記のように構成された配線シート301においても、
図1に示したものと同様にして粘着層30によって配管に接着され、配管における油分の漏れの検査を行うために用いられる。その場合、油分の漏れの検査を行う配管に対して、ベース基材10に積層された粘着層30を用いて接着することで、導電性配線20a,20bがベース基材10で覆われた状態となり、導電性配線20a,20bが表出せずに導電性配線20a,20bを物理的な外力から保護することができる。また、配線シート301が粘着層30によって配管に接着されて使用された場合、粘着層30が導電性配線20a,20bが形成されていない領域に積層されており、粘着層30の厚みが導電性配線20a,20bの厚みよりも厚くなっていることで、配管から漏れた油分が配線シート301の端部から導電性配線20a,20bと配管との間の隙間に入り込み、導電性配線20a,20bに付着させることができ、配管からの油分の漏れを精度よく検出することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態においては、油分の漏れを検出する場合の構成及び作用を説明したが、検査装置5において、接続コネクタ4及びケーブル6a,6bを介して導電性配線20a,20bに接続されたRFIDタグ8を介して導電性配線20a,20b間の導通状態を検査することで水分の漏れを検出する構成としてもよい。その場合、導電性配線20a,20bを互いに接続されていない状態としておき、水分が付着した場合に導電性配線20a,20b間が導通する作用を利用することになるため、接続部材7によって導電性配線20a,20bを互いに接続する必要はない。そのように水分の漏れを検出する場合は、導電性配線20a,20b間に粘着層30が積層された構成においては、粘着層30を島状に積層したり、ベース基材10や粘着層30や保護フィルム40に吸水性を有するものを用いたりすることで、発生した水分によって導電性配線20a,20b間を導通させることができる。ベース基材10や粘着層30や保護フィルム40に吸水性を有するものを用いた場合は、さらに、少量の水分の漏れでも検出することができるという効果も奏する。
【符号の説明】
【0065】
1,101,201,301 配線シート
4 接続コネクタ
5 検査装置
6a,6b ケーブル
7 接続部材
8 RFIDタグ
9a 配管
9b 油
10 ベース基材
20a,20b 導電性配線
30 粘着層
40 保護フィルム