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特開2024-30765経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030765
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133870
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雅史
(72)【発明者】
【氏名】岩村 圭将
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB06
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043DA17
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB17
2B043EB22
2B043EC02
2B043EC15
2B043EC16
2B043EC18
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE06
(57)【要約】
【課題】複数の直進経路を含む目標経路の方位を変更した場合であっても作業車両を適切に自動走行させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラムを提供すること。
【解決手段】生成処理部713は、圃場F内のA点及びB点を通る基準線L1に基づいて、等間隔W1に配置される複数の直進経路を含む目標経路Rを生成する。変更処理部714は、目標経路Rの方位を変更する場合に、複数の直進経路のそれぞれの間隔W1を維持する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成することと、
前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持することと、
を実行する経路生成方法。
【請求項2】
前記目標経路の方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を維持した状態で前記複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項3】
作業車両が前記目標経路に従って自動走行しているとき又は作業車両が自動走行中に停止しているときに前記目標経路の方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を維持した状態で前記複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する、
請求項2に記載の経路生成方法。
【請求項4】
前記変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路を一体として作業車両の現在位置を中心に前記変更操作に応じた角度だけ回転させる、
請求項2に記載の経路生成方法。
【請求項5】
前記目標経路の方位が変更された場合に、前記第1基準点及び前記第2基準点を変更後の前記目標経路上に設定する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項6】
前記第1基準点を、変更後の前記目標経路のうち変更前の前記第1基準点の位置から最も近い第1直進経路における、前記第1基準点を通り前記第1直進経路に垂直な直線との交点に設定し、
前記第2基準点を、前記交点に設定された前記第1基準点から、変更前の前記目標経路における前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離だけ離れた位置、又は、変更後の前記目標経路のうち変更前の前記第2基準点の位置から最も近い第1直進経路における、前記第2基準点を通り前記第1直進経路に垂直な直線との交点に設定する、
請求項5に記載の経路生成方法。
【請求項7】
前記目標経路の方位が変更された場合に、変更前の前記目標経路と変更後の前記目標経路とを操作端末において識別可能に表示させる、
請求項1~6のいずれかに記載の経路生成方法。
【請求項8】
作業車両の前記目標経路に対する横方向の位置を補正する操作を受け付けた場合に、方位が変更された前記目標経路に対して横方向の位置を補正する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項9】
作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成する生成処理部と、
前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持する変更処理部と、
を備える経路生成システム。
【請求項10】
作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成することと、
前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための経路生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する技術が知られている。例えば、圃場内の第1の位置(基準始点)と第2の位置(基準終点)とを取得し、基準始点及び基準終点を結ぶ線分を基準線として登録し、当該基準線に対して、作業幅に応じた複数の平行な直進経路(目標経路)を設定し、作業車両を当該直進経路に沿って自動走行させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-54318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業車両が自動走行中に、圃場の状態、走行状況などに応じて走行方向を目標経路から変更したい場合がある。この場合において、例えば、前記目標経路が前記基準線に平行な複数の直進経路で構成されている場合には、作業車両が現在走行中の直進経路の方位を変更すると、これに伴って全ての直進経路の方位が変更されるため、複数の直進経路のそれぞれの間隔が変化してしまう(後述の図9参照)。複数の直進経路のそれぞれの間隔が変化すると、作業車両の作業幅と一致しなくなるため、作業車両を適切に自動走行させることが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、複数の直進経路を含む目標経路の方位を変更した場合であっても作業車両を適切に自動走行させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る経路生成方法は、作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成することと、前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持することと、を実行する経路生成方法である。
【0007】
本発明に係る経路生成システムは、生成処理部と変更処理部とを備える。前記生成処理部は、作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成する。前記変更処理部は、前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持する。
【0008】
本発明に係る経路生成プログラムは、作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成することと、前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための経路生成プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の直進経路を含む目標経路の方位を変更した場合であっても作業車両を適切に自動走行させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る操作装置の一例を示す外観図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図5B図5Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図6B図6Bは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図6C図6Cは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る目標経路の変更が必要となる具体例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る目標経路の一例を示す図である。
図9図9は、従来の目標経路の方位の変更方法の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る目標経路の方位の変更方法の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る目標経路の方位の変更方法の他の例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される走行画面の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る作業車両によって実行される自動走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、本発明の実施形態に係る目標経路の位置の補正方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る自動走行システム1は、作業車両10と、衛星20と、基地局(不図示)とを含んでいる。本実施形態では、作業車両10がトラクタである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、圃場F(図4参照)内をオペレータ(ユーザー)の操作に応じて、目標経路Rに従って走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行う。具体的には、作業車両10は、自動操舵に応じて目標経路Rを直進走行し、オペレータによる手動操舵(運転操作)に応じて旋回走行する。作業車両10は、直進経路の自動走行と旋回経路の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行して作業を行う。目標経路Rは、オペレータの操作に基づいて予め生成され、経路データとして記憶されてもよい。
【0013】
作業車両10は、例えば図4に示す圃場Fにおいて、直進走行と旋回走行とを繰り返しながら作業が終了するまで走行する。複数の直進経路のそれぞれは互いに略平行である。図4に示す目標経路Rは一例であって、目標経路Rは、作業車両10のサイズ、作業機14のサイズ(作業幅)、作業内容、圃場Fの形状などに応じて適宜決定される。
【0014】
なお、自動走行システム1は、オペレータが操作する操作端末(タブレット端末、スマートフォンなど)を含んでもよい。前記操作端末は、携帯電話回線網、パケット回線網、無線LANなどの通信網を介して作業車両10と通信可能である。例えばオペレータは、前記操作端末において、各種情報(作業車両情報、圃場情報、作業情報など)などを登録する操作を行う。また、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、前記操作端末に表示される走行軌跡により、作業車両10の走行状況、作業状況などを把握することが可能である。
【0015】
[作業車両10]
図1及び図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16、操作装置17などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16、操作装置17などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。また、車両制御装置11及び操作装置17は、無線通信可能であってもよい。
【0016】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して外部機器(操作端末など)との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0017】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に後述の自動走行処理(図13参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作装置17において生成される目標経路Rのデータが記憶されてもよい。
【0018】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。図2に示すように、走行装置13は、エンジン131、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0019】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11、測位装置16、及び操作装置17等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0020】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0021】
作業機14は、例えば耕耘機、播種機、草刈機、プラウ、又は施肥機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。図2には、作業機14が耕耘機である場合を示している。作業機14は、作業車両10において、不図示の昇降機構により昇降可能に支持されてもよい。車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機14を昇降させることが可能である。
【0022】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13は、オペレータ又は車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、油圧式パワーステアリング機構(不図示)などによって前輪132の角度を変更し、作業車両10の進行方向を変更する。
【0023】
また、走行装置13は、ハンドル137の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置13では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン131の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。
【0024】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限定されない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、当該測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0025】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるための測位制御プログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記測位制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記測位制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0026】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して基地局サーバーなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
測位用アンテナ164は、衛星20から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0028】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星20から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星20のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星20との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GPS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0029】
操作装置17は、作業車両10に搭乗するオペレータが操作する機器であり、各種情報を表示したり、オペレータの操作を受け付けたりする。具体的には、操作装置17は、各種設定画面を表示させてオペレータから各種の設定操作を受け付けたり、走行中の作業車両10に関する情報を表示させたりする。操作装置17の具体的構成は後述する。
【0030】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。また、車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行する。
【0031】
具体的には、車両制御装置11は、作業車両10の走行を制御する。例えば、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが手動走行(手動走行モード)の場合に、オペレータの操作(手動操舵)に基づいて作業車両10を手動走行させる。例えば、車両制御装置11は、オペレータによるハンドル操作、変速操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作などの運転操作に対応する操作情報を取得し、当該操作情報に基づいて走行装置13に走行動作を実行させる。
【0032】
また、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが自動走行(自動走行モード)の場合に、測位制御部161により測位される作業車両10の現在位置を示す位置情報(測位情報)に基づいて作業車両10を自動走行させる。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たし、オペレータから走行開始指示を取得すると、前記測位情報に基づいて作業車両10の自動走行を開始させる。また、車両制御装置11は、予め生成された目標経路R(直進経路)に従って作業車両10を自動走行させる。
【0033】
また、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路の終端に到達すると走行モードを手動走行に切り替える。車両制御装置11は、作業車両10が終端に到達したと判定した場合に走行モードを手動走行に切り替えてもよいし、オペレータの操作に応じて走行モードを手動走行に切り替えてもよい。走行モードが手動走行に切り替えられると、例えばオペレータは、手動操舵により作業車両10を旋回走行(手動走行)させる。なお、各作業経路の終端の位置は、圃場Fの端部から所定距離だけ内側に入った位置、オペレータが予め指定した位置、直前の作業済経路においてオペレータが自動走行から手動走行に切り替えた位置に並ぶ位置(手動に切り替えた位置を通り作業済経路に垂直な線と作業経路とが交わる位置、又は、手動に切り替えた位置を通り圃場Fの端辺に平行な線と作業経路とが交わる位置)、基準線L1のB点を通り基準線L1に垂直な線と作業経路とが交わる位置などである。
【0034】
以上のようにして、車両制御装置11は、オペレータによる操作装置17における操作に応じて走行モードを切り替えて、作業車両10を、自動操舵により直進経路(目標経路R)を自動走行させ、手動操舵により旋回経路を手動走行させる。
【0035】
[操作装置17]
図1に示すように、操作装置17は、操作制御部71、記憶部72、操作表示部73などを備える。操作装置17は、作業車両10に着脱可能な機器であってもよい。また、操作装置17は、オペレータが携帯可能な携帯端末(タブレット端末、スマートフォンなど)であってもよい。また、操作装置17は、車両制御装置11に有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0036】
操作表示部73は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、操作を受け付ける操作ボタン又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザーインターフェースである。操作表示部73は、操作制御部71の指示に応じて各種の設定画面、作業画面などを表示する。また、操作表示部73は、前記設定画面、前記作業画面において、オペレータの操作を受け付ける。
【0037】
また、前記操作部は、作業車両10に自動走行を開始させる際にオペレータが走行開始指示を行う自動走行ボタンと、作業車両10と目標経路Rとの位置偏差を補正する補正操作(シフト操作)を行うシフトボタンと、設定画面D1及び走行画面D2において選択操作を行う複数の選択ボタンとを含んでいる(いずれも不図示)。これらの操作ボタンは、物理的なボタンであってもよいし、タッチパネルに表示される電子画像ボタンであってもよい。
【0038】
操作装置17は、例えば図2及び図3に示すように、キャビン18内のハンドル137付近に設置される。
【0039】
記憶部72は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部72には、操作装置17に後述の自動走行処理(図13参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部72に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して操作装置17にダウンロードされて記憶部72に記憶されてもよい。また、前記自動走行プログラムは、作業車両10の記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部72には、操作装置17において生成される目標経路Rのデータが記憶されてもよい。なお、前記自動走行プログラムには、目標経路を生成する経路生成プログラムが含まれてもよい。
【0040】
操作制御部71は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、操作制御部71は、前記ROM又は記憶部72に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作装置17を制御する。
【0041】
具体的には、図1に示すように、操作制御部71は、表示処理部711、受付処理部712、生成処理部713、及び変更処理部714などの各種の処理部を含む。なお、操作装置17は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0042】
表示処理部711は、各種情報を操作表示部73に表示させる。例えば、表示処理部711は、各種の設定を行う設定画面(例えば図5A及び図5Bの設定画面D1)、作業車両10の走行状況、作業状況等の走行情報を含む走行画面(例えば図12の走行画面D2)などを操作表示部73に表示させる。
【0043】
受付処理部712は、オペレータによる各種操作を受け付ける。例えば、受付処理部712は、前記設定画面において、目標経路Rを生成するための操作、すなわち経路生成作業に関する各種操作をオペレータから受け付ける。
【0044】
生成処理部713は、オペレータの設定操作に応じて設定される基準線L1を含む目標経路Rを生成する。具体的には、生成処理部713は、圃場F内のA点(第1基準点)及びB点(第2基準点)を通る基準線L1に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路Rを生成する。生成処理部713は、本発明の生成処理部の一例である。
【0045】
以下、目標経路Rの生成手順の一例を説明する。例えば、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける設定画面D1(図5A参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業車両10を任意の位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの外周端部に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、生成処理部713は作業車両10の現在位置を第1基準点(A点)として登録する。生成処理部713がA点を登録すると、表示処理部711は、第2基準点(B点)の登録操作を受け付ける設定画面D1(図5B参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、作業車両10に走行及び作業させたい方向(目標方向)に、作業車両10を手動走行させる(図6A参照)。具体的には、オペレータは、作業車両10が作業領域で作業する際の作業方向(例えば耕耘方向)に平行な方向に作業車両10を直進走行させる。そして、オペレータは、任意の位置(例えば圃場Fの外周端部)においてB点登録ボタンKb(図5B参照)を押下する。オペレータがB点登録ボタンKbを押下すると、生成処理部713は作業車両10の現在位置を第2基準点(B点)として登録する。
【0046】
生成処理部713は、A点及びB点の位置情報を取得すると、A点及びB点を通る直線を基準線L1として設定する(図6A参照)。なお、生成処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、生成処理部713は、作成した基準線L1を設定画面D1に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、生成処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。生成処理部713は、B点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。
【0047】
生成処理部713は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する。例えば、生成処理部713は、予め設定される作業幅(作業機14の横幅)及びラップ幅(隣接する作業済領域と重なる幅)に基づいて複数の平行な直線を、基準線L1を中心として左右に等間隔に生成する(図6B参照)。生成処理部713は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0048】
上記方法によれば、圃場Fの両端部の2点(A点及びB点)を通る基準線L1により目標経路Rを生成することができるため、作業車両10による作業精度を向上させることができる。なお、生成処理部713は、A点を登録してから作業車両10が所定距離(例えば5m)だけ走行した場合にB点を登録可能としてもよい。これにより、より精度の高い基準線L1を設定することができる。
【0049】
目標経路Rが生成された後、オペレータは、圃場F内において作業車両10に自動走行を開始させる指示(走行開始指示)を行う。例えば作業車両10が、目標経路Rから所定距離以内かつ目標経路Rに対して所定方位以内に位置するなど(図6C参照)、自動走行開始条件を満たし自動走行可能な状態になった場合に、オペレータは操作表示部73の自動走行ボタン(不図示)を押下して走行開始指示を行うことが可能になる。
【0050】
オペレータが走行開始指示を行うと、車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けて、作業車両10を目標経路R(図6C参照)に沿うように作業車両10の自動操舵を開始する。これにより、車両制御装置11は、作業車両10を目標経路Rの直進経路に沿って自動操舵により自動走行させる。
【0051】
ここで、作業車両10が自動走行中に、圃場Fの状態、走行状況などに応じて走行方向(方位)を目標経路Rから変更したい場合がある。この場合において、上述のように目標経路Rが基準線L1に平行な複数の直進経路で構成されている場合(図6B参照)には、作業車両10が現在走行中の直進経路の方位を変更すると、これに伴って全ての直進経路の方位が変更されるため、複数の直進経路のそれぞれの間隔が変化してしまう。
【0052】
例えば図7に示すように、目標経路Rの方位に対して圃場Fが傾斜している場合には、圃場Fの形状に沿って作業を行うために作業車両10の走行方位を矢印方向(左方向)に変更する必要がある。図8には、方位を変更する前の目標経路Rと作業車両10の現在位置Peとを示している。図9には、従来の目標経路Rの方位の変更方法の一例であって、方位を変更した後の目標経路R´を示している。図9に示すように、目標経路Rのうち現在位置Peに対応する直進経路の方位を角度d1だけ変更すると、複数の直進経路のそれぞれが、現在位置Peに対応する位置を中心として角度d1だけ回転することになる。このように、複数の直進経路のそれぞれが個別に角度d1だけ回転すると、複数の直進経路のそれぞれの間隔がW2となり、作業幅W1と一致しなくなる(W2<W1)。このため、作業車両10を適切に自動走行及び作業させることが困難になる。
【0053】
これに対して、本実施形態に係る操作装置17は、以下に示すように、複数の直進経路を含む目標経路Rの方位を変更した場合であっても作業車両10を適切に自動走行させることが可能な構成を備えている。
【0054】
具体的には、変更処理部714は、目標経路Rの方位を変更する場合に、複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の目標経路Rにおける間隔と同一の長さに維持する。すなわち、変更処理部714は、A点及びB点に基づいて生成された目標経路Rにおける直進経路の幅W1が変化しないように目標経路Rの方位を変更する。変更処理部714は、本発明の変更処理部の一例である。
【0055】
例えば、受付処理部712が、作業車両10が目標経路Rに従って自動走行しているとき又は作業車両10が自動走行中に停止しているときにオペレータから目標経路Rの方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、変更処理部714は、複数の直進経路のそれぞれの間隔W1を維持した状態で複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する。例えば図10に示すように、受付処理部712がオペレータから目標経路Rの方位を角度d1だけ変更する変更操作を受け付けた場合に、変更処理部714は、複数の直進経路を一体として、作業車両10の現在位置Peを中心に角度d1だけ回転させる。これにより、方位が変更される前の目標経路Rにおける複数の直進経路の間隔(図10参照)と、方位が変更された後の目標経路R´における複数の直進経路の間隔とが変化することなく同一の幅W1に維持される。なお、目標経路Rの回転中心は、作業車両10の現在位置Peに限定されず、オペレータが指定した位置であってもよい。この場合、作業車両10は、オペレータが指定した位置に到達したときに走行方位を変更する。
【0056】
なお、自動走行モード(自動走行中又は停止中)において測位精度が低下すると、作業車両10が目標経路Rからずれる場合がある。この場合、変更処理部714は、目標経路Rのうち作業車両10の現在位置から最も近い直進経路上の対応する位置(現在位置から最も近い直進経路に対する垂直な直線との交点)を中心に角度d1だけ回転させてもよい。
【0057】
他の実施形態として、オペレータが作業車両10を手動走行しているとき又は作業車両10が手動走行中に停止しているときに受付処理部712がオペレータから目標経路Rの方位を角度d1だけ変更する変更操作を受け付けた場合に、変更処理部714は、複数の直進経路を一体として角度d1だけ回転させてもよい。例えば、変更処理部714は、作業車両10が目標経路R上に乗っている場合に、作業車両10の現在位置を中心に角度d1だけ回転させてもよい。また例えば、変更処理部714は、作業車両10が目標経路R上に乗っていない場合に、目標経路Rのうち作業車両10の現在位置から最も近い直進経路上の対応する位置(現在位置から最も近い直進経路に対する垂直な直線との交点)を中心に角度d1だけ回転させてもよい。以上のように、変更処理部714は、走行モードが自動走行モード及び手動走行モードのいずれにおいても、目標経路Rの方位を変更する変更操作を受け付けた場合に複数の直進経路を一体として回転させてもよい。
【0058】
他の実施形態として、受付処理部712が、作業車両10が手動走行しているときにオペレータから目標経路Rの方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、変更処理部714が、複数の直進経路のそれぞれの間隔W1を維持した状態で複数の直進経路のそれぞれの方位を変更してもよい。すなわち、変更処理部714は、作業車両10が自動走行中及び手動走行中のそれぞれにおいて目標経路Rの方位を変更してもよい。
【0059】
ここで、オペレータは操作装置17において目標経路Rの方位を任意の角度に変更することが可能である。図12には、操作装置17の走行画面D2の一例を示している。走行画面D2には、作業車両10の現在の走行状況に関する各種情報が表示される。また、表示処理部711は、走行画面D2において、目標経路Rの方位(経路方位角)を変更する操作を受け付ける方位変更ボタンK1を表示させる。オペレータは、作業車両10の走行方向を変更させたい場合に、走行画面D2の方位変更ボタンK1を操作して目標経路Rの方位を変更させる。例えば、作業車両10の走行方位を左方向に変更させる場合にはオペレータは方位変更ボタンK1の「-」ボタンを押下し、作業車両10の走行方位を右方向に変更させる場合にはオペレータは方位変更ボタンK1の「+」ボタンを押下する。表示処理部711は、方位変更ボタンK1の操作に応じて、走行画面D2の経路方位角の値を増減させる。
【0060】
受付処理部712は、方位変更ボタンK1の操作(前記変更操作に相当)を受け付け、変更処理部714は、前記操作に応じて目標経路Rの方位を変更する。変更処理部714が目標経路Rの方位を変更すると、表示処理部711は、走行画面D2において、方位を変更した後の目標経路R´を表示させる(図12参照)。
【0061】
また、変更処理部714は、目標経路Rの方位を変更した場合に、A点及びB点を変更後の目標経路R´上に設定する。例えば図10に示すように、目標経路R´に含まれる複数の直進経路のうち、元の目標経路RにおいてA点及びB点が登録されていた直進経路に対応する位置にA点及びB点を再設定する。すなわち、変更処理部714は、A点及びB点を、角度d1だけ回転させた位置に再設定する。これにより、オペレータは、走行画面D2において、方位が変更された後の目標経路R´においても、A点及びB点の位置を把握することができる。なお、表示処理部711は、走行画面D2において、目標経路R´に設定したA点を「A´」と表記し、目標経路R´に設定したB点を「B´」と表記してもよい(図10参照)。これにより、オペレータは、A点及びB点が再設定(移動)されたことを把握することができる。
【0062】
ここで、作業車両10がA点及びB点(基準線L1)から離れた位置にあるときに目標経路Rの方位が変更されると、A点及びB点が走行画面D2の表示領域から外れて表示されなくなることが考えられる。そこで、変更処理部714は、図10に示す構成に代えて、図11に示すように、目標経路Rの方位を変更した場合に、A点及びB点の位置を角度d1に依らず所定の位置に再設定する。
【0063】
具体的には、図11に示すように、変更処理部714は、A点(「A´」)を、方位を変更した後の目標経路R´のうち変更前のA点の位置から最も近い直進経路(第1直進経路)における、A点を通り当該直進経路に垂直な直線との交点に設定する。また、変更処理部714は、B点(「B´」)を、前記交点に設定されたA点(「A´」)から、変更前の目標経路RにおけるA点とB点との間の距離Lだけ離れた位置に設定する。これにより、オペレータは、走行画面D2において、再設定されたA点(「A´」)及びB点(「B´」)に位置を把握することができる(図12参照)。
【0064】
なお、変更処理部714は、B点(「B´」)を、方位を変更した後の目標経路R´のうち変更前のB点の位置から最も近い直進経路における、B点を通り当該直進経路に垂直な直線との交点に設定し、A点(「A´」)を、前記交点に設定されたB点(「B´」)から、変更前の目標経路RにおけるA点とB点との間の距離Lだけ離れた位置に設定してもよい。すなわち、変更処理部714は、A点及びB点のうち、対応する直進経路に近い方を前記垂直な直線との交点に設定し、対応する直進経路から遠い方を距離Lに応じた位置に設定する構成としてもよい。
【0065】
また、変更処理部714は、A点(「A´」)を、方位を変更した後の目標経路R´のうち変更前のA点の位置から最も近い直進経路(第1直進経路)における、A点を通り当該直進経路に垂直な直線との交点に設定し、B点(「B´」)を、方位を変更した後の目標経路R´のうち変更前のB点の位置から最も近い前記直進経路(第1直進経路)における、B点を通り当該直進経路に垂直な直線との交点に設定してもよい。すなわち、変更処理部714は、A点及びB点の両方を、近接する直進経における、A点及びB点のそれぞれを通る垂直な直線との各交点に設定する構成としてもよい。
【0066】
また、表示処理部711は、目標経路Rの方位が変更された場合に、変更前の目標経路Rと変更後の目標経路R´とを走行画面D2において識別可能に表示させてもよい。例えば、表示処理部711は、図10又は図11に示す目標経路R及び目標経路R´を、走行画面D2(図12参照)に表示させてもよい。これにより、オペレータは、目標経路Rの方位の変更前後の様子を容易に把握することができる。
【0067】
なお、車両制御装置11は、各直進経路の終端において自動操舵を終了させてもよい。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が自動操舵により直進経路を直進走行して、当該直進経路に隣接する作業済(直前)の直進経路の終端に対応する位置に近づくとオペレータに案内情報K2(図12参照)を報知して、オペレータの操作に応じて自動操舵を終了させる。
【0068】
[自動走行処理]
以下、図13を参照しつつ、車両制御装置11及び操作装置17の操作制御部71によって実行される前記自動走行処理の一例について説明する。なお、本発明は、車両制御装置11及び操作装置17が前記自動走行処理の一部又は全部を実行する自動走行方法の発明、又は、当該自動走行方法の一部又は全部を車両制御装置11及び操作装置17に実行させるための自動走行プログラムの発明として捉えてもよい。また、一又は複数のプロセッサーが前記自動走行処理を実行してもよい。また、前記自動走行処理には、操作装置17が実行する経路生成処理が含まれる。本発明の経路生成プログラムは、操作装置17が前記経路生成処理の一部又は全部を実行する経路生成方法の発明、又は、当該経路生成方法の一部又は全部を操作装置17に実行させるための経路生成プログラムの発明として捉えてもよい。
【0069】
ステップS1において、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になったか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になったと判定すると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になるまで待機する(S1:No)。具体的には、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たした場合に、自動走行可能な状態になったと判定する。
【0070】
ステップS2において、車両制御装置11は、作業車両10に目標経路Rに従って自動走行を開始させる。具体的には、作業車両10が自動走行開始条件を満たし、オペレータが走行開始指示を行うと、車両制御装置11は、設定された目標経路Rに応じた自動走行処理を開始する。例えば、車両制御装置11は、作業車両10を直進経路に従って自動操舵により自動走行させる。また、車両制御装置11は、旋回経路をオペレータの手動操舵に応じて作業車両10を旋回走行させる。車両制御装置11は、作業車両10を、直進経路の自動走行と旋回経路の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行させる。また車両制御装置11は、作業車両10が直進経路を自動走行する際に作業機14を駆動させて所定の作業(例えば耕耘作業)を実行させる。
【0071】
次にステップS3において、操作制御部71は、オペレータから目標経路Rの方位を変更する変更操作を受け付けたか否かを判定する。操作制御部71は、オペレータから前記変更操作を受け付けると(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。一方、操作制御部71は、オペレータから前記変更操作を受け付けない場合(S3:No)、処理をステップS7に移行させる。例えば、作業車両10が自動走行中にオペレータが走行画面D2(図12参照)において、方位変更ボタンK1を押下して経路方位角を角度d1(図11参照)だけ変更する操作を行うと、操作制御部71は、前記変更操作を受け付けて(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。
【0072】
ステップS4では、操作制御部71は、目標経路Rの方位を変更する。具体的には、操作制御部71は、目標経路Rに含まれる複数の直進経路のそれぞれの間隔を、方位を変更する前の目標経路Rにおける間隔と同一の長さ(W1)に維持した状態で、複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する。例えば図11に示すように、操作制御部71は、複数の直進経路を一体として、作業車両10の現在位置Peを中心に角度d1だけ回転させる。
【0073】
次にステップS5において、操作制御部71は、基準線L1を規定するA点及びB点を再設定する。例えば、図11に示すように、操作制御部71は、A点(「A´」)を、方位を変更した後の目標経路R´のうち変更前のA点の位置から最も近い直進経路における、A点を通り当該直進経路に垂直な直線との交点に設定する。また、操作制御部71は、B点(「B´」)を、前記交点に設定したA点(「A´」)から、変更前の目標経路RにおけるA点とB点との間の距離Lだけ離れた位置に設定する。
【0074】
次にステップS6において、操作制御部71は、目標経路を再生成する。具体的には、操作制御部71は、目標経路Rを角度d1だけ回転させた目標経路R´(図11参照)を再生成する。操作制御部71が目標経路Rを変更(目標経路R´を再生成)すると、車両制御装置11は、変更後の目標経路R´に従って作業車両10を自動走行させる。
【0075】
次にステップS7において、車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了したか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了したと判定すると(S7:Yes)、前記自動走行処理を終了させる。車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了していないと判定すると(S7:No)、作業車両10を目標経路(目標経路R又は目標経路R´)に従って自動走行を継続させて、処理をステップS3に移行させる。
【0076】
車両制御装置11及び操作制御部71は、作業車両10が作業を終了するまで、上述のステップS3~S6の処理を繰り返し実行する。
【0077】
以上のようにして、車両制御装置11及び操作制御部71は、前記自動走行処理を実行する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る作業車両10は、圃場F内のA点及びB点を通る基準線L1に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路Rを生成し、目標経路Rの方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の目標経路Rにおける間隔と同一の長さに維持する。すなわち、作業車両10は、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔W1を維持した状態で目標経路Rの方位(経路方位角)を変更する(図10及び図11参照)。
【0079】
上記構成によれば、作業車両10の目標経路Rの方位が変更された場合でも、複数の直進経路のそれぞれの間隔は変化せず作業幅に維持されるため、作業車両10を適切に自動走行させることが可能となる。このため、作業車両10は、複数の直進経路を作業幅に応じて正確に自動走行及び作業を行うことが可能となる。
【0080】
[他の実施形態]
本発明は上述の実施形態に限定されない。以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0081】
作業車両10は、目標経路Rに対する横方向の位置ずれ(位置偏差)が生じた場合に、位置ずれを補正する機能(経路オフセット機能)を備えてもよい。例えば、オペレータは、走行画面D2(図12参照)において、左側シフトボタンK3、右側シフトボタンK4を押下して目標経路Rを左右方向にシフトさせることにより、作業車両10の左右の位置を補正することができる。
【0082】
ここで、操作制御部71は、作業車両10の目標経路に対する横方向の位置を補正する操作を受け付けた場合に、方位が変更された目標経路R´に対して横方向の位置を補正する。例えば図14に示すように、操作制御部71は、オペレータの操作に応じて、目標経路Rの方位を変更した変更後の目標経路R´を、右方向にf1(cm)だけシフトする。これにより、作業幅が維持された状態で、目標経路の方位を変更しつつ目標経路を横方向にシフトさせることができる。これにより、作業車両10を適切に自動走行させることができる。
【0083】
上述の実施形態では、操作制御部71は、A点及びB点に基づいて目標経路Rを生成する構成を示したが、本発明の目標経路Rの生成方法はこれに限定されない。他の実施形態として、操作制御部71は、圃場F内の作業車両10の位置(例えば現在位置)に設定される基準点(A点)を通り、オペレータの設定操作に応じて設定される設定方位角(設定角度)の方向に延伸する基準線L1に基づいて目標経路Rを生成してもよいし、圃場F内の作業車両10の位置(例えば現在位置)に設定される基準点(A点)を通り、作業車両10の方位(車両方位)の方向に延伸する基準線L1に基づいて目標経路Rを生成してもよい。なお、操作制御部71は、これらの方法においても、基準線L1においてA点から所定距離離れた位置にB点を設定して、目標経路Rを生成してもよい。
【0084】
なお、本発明の作業車両10は、旋回時にも自動走行可能であってもよい。この場合、目標経路Rには、直進経路及び旋回経路が含まれる。また、作業車両10において、オペレータが旋回時の自動走行及び手動走行を切り替え可能であってもよい。また、作業車両10は、無人で目標経路Rを自動走行してもよい。この場合、オペレータは、操作端末を遠隔操作して走行開始指示などを行ってもよい。また、遠隔操作に利用される操作端末は、本実施形態に係る操作装置17であってもよいし、操作装置17の各処理部を備えてもよい。
【0085】
本発明の経路生成システムは、操作装置17単体で構成されてもよいし、操作装置17に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。また、前記経路生成システムは、操作装置17を備える作業車両10で構成されてもよい。
【0086】
[発明の付記]
以下、実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0087】
<付記1>
作業領域内の第1基準点及び第2基準点を通る基準線に基づいて、等間隔に配置される複数の直進経路を含む目標経路を生成することと、
前記目標経路の方位を変更する場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を、前記方位を変更する前の前記目標経路における間隔と同一の長さに維持することと、
を実行する経路生成方法。
【0088】
<付記2>
前記目標経路の方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を維持した状態で前記複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する、
付記1に記載の経路生成方法。
【0089】
<付記3>
作業車両が前記目標経路に従って自動走行しているとき又は作業車両が自動走行中に停止しているときに前記目標経路の方位を変更する変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路のそれぞれの間隔を維持した状態で前記複数の直進経路のそれぞれの方位を変更する、
付記1又は2に記載の経路生成方法。
【0090】
<付記4>
前記変更操作を受け付けた場合に、前記複数の直進経路を一体として作業車両の現在位置を中心に前記変更操作に応じた角度だけ回転させる、
付記2又は3に記載の経路生成方法。
【0091】
<付記5>
前記目標経路の方位が変更された場合に、前記第1基準点及び前記第2基準点を変更後の前記目標経路上に設定する、
付記1~4のいずれかに記載の経路生成方法。
【0092】
<付記6>
前記第1基準点を、変更後の前記目標経路のうち変更前の前記第1基準点の位置から最も近い第1直進経路における、前記第1基準点を通り前記第1直進経路に垂直な直線との交点に設定し、
前記第2基準点を、前記交点に設定された前記第1基準点から、変更前の前記目標経路における前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離だけ離れた位置、又は、変更後の前記目標経路のうち変更前の前記第2基準点の位置から最も近い第1直進経路における、前記第2基準点を通り前記第1直進経路に垂直な直線との交点に設定する、
付記5に記載の経路生成方法。
【0093】
<付記7>
前記目標経路の方位が変更された場合に、変更前の前記目標経路と変更後の前記目標経路とを操作端末において識別可能に表示させる、
付記1~6のいずれかに記載の経路生成方法。
【0094】
<付記8>
作業車両の前記目標経路に対する横方向の位置を補正する操作を受け付けた場合に、方位が変更された前記目標経路に対して横方向の位置を補正する、
付記1~7のいずれかに記載の経路生成方法。
【符号の説明】
【0095】
1 :自動走行システム
10 :作業車両
11 :車両制御装置
12 :記憶部
13 :走行装置
14 :作業機
15 :通信部
16 :測位装置
17 :操作装置
71 :操作制御部
711 :表示処理部
712 :受付処理部
713 :生成処理部
714 :変更処理部
D1 :設定画面
D2 :走行画面
F :圃場(作業領域)
K1 :方位変更ボタン
L1 :基準線
R :目標経路
R´ :目標経路
W1 :作業幅
d1 :角度(経路方位角)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14