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特開2024-30779文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030779
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/196 20220101AFI20240229BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06V30/196 A
G09B19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133906
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 義弘
【テーマコード(参考)】
5B064
【Fターム(参考)】
5B064AB03
5B064AB19
5B064DA14
5B064DC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CBTで実施した筆記試験で、ユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して複数のユーザ端末をサーバ装置にデータ通信可能に接続したネットワークシステムにおいて、サーバ装置1は、文字入力装置としての制御ユニット11に、文字認識部11aと出力部11bを備える。文字認識部11aは、手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状と照合し、この入力文字を認識する。出力部11bは、入力文字について、文字認識部によって認識された文字を出力する。辞書には、登録文字として、常用文字および外字が登録されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状と照合し、この入力文字を認識する文字認識部と、
前記入力文字について、前記文字認識部によって認識された文字を出力する出力部と、を備え、
前記辞書には、前記登録文字として、常用文字、および外字が登録されている、
文字入力装置。
【請求項2】
前記文字認識部は、前記入力文字と第1形状の類似度、または第2形状の類似度が最も高い前記常用文字、または前記外字であると認識する、
請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記文字認識部は、
前記常用文字の中で、前記入力文字との第1形状の類似度が最も高い前記常用文字、および前記外字の中で、前記入力文字との第2形状の類似度が最も高い前記外字を候補として抽出し、
抽出した候補の中で、選択された候補を前記入力文字であると認識する、
請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記文字認識部は、
前記登録文字の中から、前記入力文字との第1形状の類似度が高い、上位n個を候補として抽出し、
抽出した候補の中で、選択された候補を前記入力文字であると認識する、
請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項5】
前記文字認識部が抽出した候補の並びを調整して、表示器の画面に表示させる調整部を備えた、請求項3または請求項4に記載の文字入力装置。
【請求項6】
前記文字認識部によって認識された前記入力文字を解答として採点する採点部を備えた、請求項3または請求項4に記載の文字入力装置。
【請求項7】
手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状とを照合し、この入力文字を認識する文字認識ステップと、
前記入力文字について、前記文字認識ステップで認識した文字を出力する出力ステップと、をコンピュータが実行し、
前記辞書には、前記登録文字として、常用文字、および外字が登録されている、
文字入力方法。
【請求項8】
手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状とを照合し、この入力文字を認識する文字認識ステップと、
前記入力文字について、前記文字認識ステップで認識した文字を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させ、
前記辞書には、前記登録文字として、常用文字、および外字が登録されている、
文字入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの学力、能力等をコンピュータで判断したり、評価したりする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ(受験者)の知識、能力等を判断したり、評価したりするための試験をコンピュータで行うCBT(Computer Based Testing)が広まっている。CBTでは、問題を端末(コンピュータ)のディスプレイに表示する。ユーザは、端末に設けられたマウスやキーボード等の入力デバイスを操作して、ディスプレイに表示された問題に解答する。
【0003】
また、特許文献1には、手書き入力が行えるタブレット端末を用いて、CBTで筆記式試験を行うためのシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011- 81024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CBTで手書き文字による筆記式試験を行う場合、ユーザが手書きで文字を入力するための手書き入力装置を備える。
【0006】
ユーザが手書き入力した文字(以下、手書き文字)の認識を行う際、類似度が最も高い文字列に置き換えられることがある。具体的には、手書き文字の特徴量が抽出され、この特徴量から推定される類似する変換文字列が辞書データベースから取得される。すなわち、ユーザが辞書データベースに存在しない手書き文字を入力した場合であっても、正答となる変換文字列が取得されてしまう。よって、ユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行えない虞がある。
【0007】
この発明の目的は、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本発明における外字について定義する。外字とは、辞書等の文字入力ソフトに登録されていない文字列であり、ユーザが独自に登録した文字列、誤字を含む文字列、創作された文字列を含む。この外字は、CBTで筆記試験を提供する側のユーザによって、事前に登録されている。
【0009】
この発明の文字入力装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0010】
文字入力装置は、文字認識部と出力部を備える。文字認識部は、手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状と照合し、この入力文字を認識する。出力部は、入力文字について、文字認識部によって認識された文字を出力する。辞書には、登録文字として、常用文字、および外字が登録されている。
【0011】
この構成では、CBT(Computer Based Testing)の受験者であるユーザが手書き入力装置を操作して入力した手書き文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状とを照合する。このことによって、手書き文字を認識できる。このように認識された文字列を出力することで、ユーザが手書きした文字列を他の文字列に置き換えることなく正答か誤答であるかを判定できる。
【0012】
例えば、ユーザが文字列「専門」を入力する例を説明する。この際、ユーザは、「専(アポストロフィを付与された辞書に存在しない文字)」(以下、外字「専」という)と文字列「門」を入力する。文字入力装置は、外字「専」+文字列「門」(以下、第1文字列)の第1形状と、辞書に登録された外字「専」+文字列「門」(以下、第2文字列)の第2形状とを比較する。文字入力装置は、第1文字列の第1形状と、第2文字列の第2形状とが同一であると判断し、第2文字列を解答として出力する。
【0013】
これにより、ユーザは、手書き文字を誤って覚えていると、外字として登録された第2文字列が解答として出力される。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0014】
また、例えば、文字認識部は、入力文字と第1形状の類似度、または第2形状の類似度が最も高い常用文字、または外字であると認識するとよい。これにより、第1形状と第2形状の類似度に応じて常用文字であるか、外字であるかを適正に判断することができる。
【0015】
また、例えば、文字認識部は、常用文字の中で、入力文字との第1形状の類似度が最も高い常用文字、および外字の中で、入力文字との第2形状の類似度が最も高い外字を候補として抽出する。文字入力装置は、抽出した候補の中で、選択された候補を入力文字であると認識する。これにより、第1文字列の第1形状と第2文字列の第2形状を比較し、類似度が最も高い外字を変換候補として抽出できる。すなわち、文字認識部が誤認識した場合でも、採点ミスを抑制することができる。
【0016】
また、例えば、文字認識部は、登録文字の中から、入力文字との第1形状の類似度が高い、上位n個を候補として抽出し、抽出した候補の中で、選択された候補を入力文字であると認識する。これにより、利用者が意図する入力文字を適正に判断することができる。さらに、採点する側のユーザは、利用者が入力した文字列を適正に採点することができる。
【0017】
また、例えば、文字認識部が抽出した候補の並びを調整して、表示器の画面に表示させる調整部を備える。これにより、出力された変換候補における、問題毎に正答の位置を変化させることができ、ユーザの知識、能力等の判断や評価がより適正に行える。
【0018】
また、例えば、文字認識部によって認識された入力文字を解答として採点する採点部を備えている。これにより、CBTにより問題を提供するユーザは容易に採点を実行できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、CBT(Computer Based Testing)で筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、筆記試験でCBT(Computer Based Testing)を実施するネットワークシステムを示す概略図である。
図2図2は、サーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、ユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、ユーザ端末に文字列が表示されるイメージ図である。
図5図5は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例1におけるユーザ端末に文字列が表示されるイメージ図である。
図8図8は、変形例1におけるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、変形例1におけるユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
図10図10は、変形例2におけるサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図11図11は、変形例2におけるユーザ端末に文字列が表示されるイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
<1.適用例>
図1は、CBT(Computer Based Testing)で筆記試験を実施するネットワークシステムを示す概略図である。この例のネットワークシステムは、図1に示すように、ネットワーク5を介して複数のユーザ端末2をサーバ装置1にデータ通信可能に接続した構成である。
【0023】
各ユーザ端末2は、CBTの受験者であるユーザが操作するパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTで実施する筆記試験にかかる問題の配信、およびユーザ端末2から送信されてきた解答を採点する。
【0024】
この例では、この発明にかかる文字入力装置は、サーバ装置1に適用されている。
【0025】
サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTで実施する手書きによる筆記試験にかかる問題を配信する。ユーザ端末2には、手書き入力を行うための入力デバイスを備えている。この入力デバイスは、トラックパッド等を指でなぞるもの、ユーザ端末2の表示器に表示された入力パッドにマウスを使って入力するもののどちらであってもよい。
【0026】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた問題を表示器の画面に表示する。ユーザは、入力デバイス(例えば、トラックパッド)を操作して、この問題にかかる解答を入力する。ここでは、ユーザは、解答を漢字で入力する。
【0027】
例えば、サーバ装置1は、
「(せんもん)学校に通う」の(せんもん)を漢字に直しなさい。
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0028】
受験者であるユーザは、ユーザ端末2の入力デバイスを用いて、「せんもん」に該当する手書き文字を入力する。ユーザ端末2は、入力された手書き文字をサーバ装置1に出力する。
【0029】
ユーザは、外字「専」(アポストロフィを付与された辞書に存在しない文字)と文字「門」を入力する。ユーザ端末2は、入力された外字「専」+文字「門」(以下、第1文字列)をサーバ装置1に送信する。
【0030】
サーバ装置1は、第1文字列(受信した外字「専」+文字列「門」)を取得する。サーバ装置1は、第1文字列の第1形状と、サーバ装置1が備える辞書から取得した第2文字列の第2形状とを比較する。サーバ装置1は、第1形状に類似する第2形状を有する第2文字列を取得する。サーバ装置1は、当該第2文字列を解答として認識する。
【0031】
サーバ装置1は、ユーザ端末2毎に(すなわちユーザ毎に)、問題に対するユーザの解答が正答であるか、誤答であるかの採点を行う。
【0032】
このように、このネットワークシステムでは、ユーザが入力した第1文字列に形状が類似した第2文字列を解答とし、この解答を採点することができる。言い換えれば、第1文字列が別の文字に置き換えられることなく、ユーザが入力した文字列を解答として採点することができる。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0033】
<2.構成例>
図2は、この例のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、制御ユニット11と、類似文字データベース12(類似文字DB12)と、辞書データベース13(辞書DB13)と、通信部14とを備えている。
【0034】
制御ユニット11は、サーバ装置1本体各部を制御する。また、制御ユニット11は、文字認識部11a、出力部11b、および採点部11cを有している。制御ユニット11が有する文字認識部11a、出力部11b、および採点部11cについては後述する。
【0035】
類似文字DB12は、形状が類似する文字をグループ化して記憶させたデータベースである。類似文字DB12は、上述した外字を含む。
【0036】
類似文字DB12は、例えば、公知のOCR(Optical Character Reader)での文字認識において、ある認識文字に対して、候補として抽出される文字群(形状の特徴量が類似している文字群)をグループ化して記憶させたデータベースである。辞書DB13は、読み(かな表記)、品詞、変換文字列(漢字表記)等を対応づけて登録したデータベースである。通信部14は、ネットワーク5を介して接続されるユーザ端末2との間でデータ通信を行う。
【0037】
類似文字DB12、および辞書DB13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってもよいし、SSD(Solid State Drive)であってもよいし、他の記憶媒体であってもよい。また、類似文字DB12、および辞書DB13は、単一の記憶媒体で記憶領域を分割して構成してもよいし、異なる記憶媒体で構成してもよい。
【0038】
この類似文字DB12には、辞書DB13に存在しない文字列(例えば、図4に示す、外字「専」+文字「門」)が登録されている。上述したとおり、外字は、統計的に誤りが多い文字列や、点の位置、線の数等のユーザが誤って記載すると推測される文字列を類似文字DB12に事前登録しておくとよい。
【0039】
次に、制御ユニット11が有する文字認識部11a、出力部11b、および採点部11cについて説明する。
【0040】
文字認識部11aは、ユーザ端末2から受信した手書き文字(第1文字列)の第1形状を取得する。辞書DB13に第1形状に類似する形状を有した文字列(第2文字列)が存在しない場合、文字認識部11aは、第2形状を類似文字DB12から取得する。
【0041】
出力部11bは、第2文字列を採点部11cに出力する。
【0042】
採点部11cは、類似文字DB12から取得した第2文字列の採点を行い、正答であるか誤答であるかを判断する。
【0043】
サーバ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力プログラムを実行したときに、文字認識部11a、出力部11b、および採点部11cとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる文字入力プログラムを展開する領域や、この文字入力プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力方法を実行するコンピュータである。
【0044】
図3は、この例のユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。ユーザ端末2は、制御部21と、表示器22と、操作部23と、通信部24とを備えている。ユーザ端末2は、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。図4は、この例のユーザ端末における表示器22に変換候補を表示するイメージ図である。表示器22には、手書き入力部221を備える。
【0045】
制御部21は、ユーザ端末2本体各部の動作を制御する。
【0046】
表示器22には、ユーザ端末2本体の状態に応じた画面が表示される。操作部23は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを有する。操作部23は、ユーザ端末2本体に対するユーザの入力操作を受け付ける。通信部24は、ネットワーク5を介して接続されるサーバ装置1との間でデータ通信を行う。
【0047】
ユーザ端末2の制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。また、制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0048】
図4に示すように、ユーザは手書き入力部221に外字「専」+文字「門」(第1文字列)を入力する。ユーザ端末2は、通信部24を介して第1文字列を送信する。サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を取得する。
【0049】
次に、文字認識部11aは、第1形状に類似する文字列が類似文字DB12、辞書DB13に存在するかどうかを判定する。より具体的には、まず文字認識部11aは、第1形状に類似する第2形状の文字列が辞書DB13に存在するかどうかを判断する。
【0050】
第1形状に類似する第2形状の文字列が辞書DB13に存在しない場合、文字認識部11aは、第1形状に類似する第2形状の文字列が類似文字DB12に存在するかどうかを判断する。類似文字DB12に第1形状に類似する第2形状の文字列(第2文字列)が存在する場合、文字認識部11aは、第2文字列を出力部11bに出力する。
【0051】
ここで、文字認識部11aが第2文字列を取得するためのより具体的な流れについて説明する。文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を画像として取得する。この際、文字認識部11aは、第1形状の特徴量を取得する。
【0052】
文字認識部11aは、ユーザ端末2の操作部23によって入力された第1文字列の第1形状を線、点、曲線等に分解して特徴量を抽出する。具体的には、第1文字列の輪郭を抽出し、この輪郭を結ぶ線分が垂直、右上がり、水平、左下がり等の量子化し、方向パターンを作成する。なお、特徴量の抽出は、方向変化による特徴量を抽出してもよい。
【0053】
次に、文字認識部11aは、第1形状の特徴量に類似する第2形状を有する第2文字列を検索する。まず、文字認識部11aは、辞書DB13に第2形状を有する第2文字列が存在するかどうかを検索する。この際、第1形状の特徴量と第2形状の特徴量を比較する。
【0054】
さらに、文字認識部11aは、第2形状を有する第2文字列が類似文字DB12に存在するかどうかを検索する。この際、辞書DB13を検索するときと同様に、第1形状の特徴量と第2形状の特徴量を比較する。
【0055】
このように類似文字DB12と、辞書DB13とから抽出した特徴量のうち、文字認識部11aは、第1形状の特徴量に最も近い値のものを類似度が最も高い第2文字列であると判定する。
【0056】
出力部11bは、第2文字列を採点部11cに出力する。採点部11cは、第2文字列が正答であるか誤答であるかを判定する。すなわち、採点部11cは、第2文字列が誤答であると判定する。
【0057】
サーバ装置1の通信部14は、ユーザが手書き入力部221に入力した第1文字列(外字「専」+文字「門」)が誤答である旨をユーザ端末2の通信部24に送信する。
【0058】
通信部24は、制御部21に当該結果を出力する。制御部21は、第1文字列が誤答である旨を表示器22に表示させる。
【0059】
<3.動作例>
以下、CBTで筆記試験を行う場合における、サーバ装置1、およびユーザ端末2の動作について説明する。図5は、サーバ装置の動作を示すフローチャートであり、図6は、ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【0060】
サーバ装置1は、通信部14において、手書き入力による筆記試験の問題をユーザ端末2に配信する(S101)。サーバ装置1が配信した問題は、ネットワーク5を介してユーザ端末2の通信部24で受信される。例えば、サーバ装置1は、
「(せんもん)学校に通う」の(せんもん)を漢字に直しなさい。
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0061】
ユーザ端末2は、通信部24において、サーバ装置1から配信されてきた問題を受信する(S201:Yes)。ユーザ端末2は、受信した問題を表示器22に表示する(S202)。なお、問題を受信できない場合(S201:No)、ステップS201を再度実行する。
【0062】
ユーザは、操作部23に設けられているタッチパッド等の入力デバイスを操作して、表示器22に表示された問題の解答を、手書き文字で入力する(S203)。ユーザは、例えば、外字「専」+文字「門」(第1文字列)を入力する(図4を参照)。
【0063】
ユーザ端末2は、通信部24において、第1文字列をサーバ装置1に送信する(S204)。ユーザ端末2は、サーバ装置1から採点結果を受信するのを待つ(S205)。
【0064】
サーバ装置1は、ステップS101でユーザ端末2に問題を配信すると、ユーザ端末2から解答を受信するのを待つ(S102)。サーバ装置1は、通信部14において、ユーザ端末2がステップS204で送信した解答を受信する(S102:Yes)。
【0065】
サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を取得する(S103)。
【0066】
次に、サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状の特徴量を取得し、第1文字列に類似する文字列が辞書DB13に存在するかを検索する(S104)。
【0067】
サーバ装置1の文字認識部11aは、第1形状に類似する第2形状の第2文字列が存在しないと判定した場合(S105:No)、類似文字DB12の検索を実行する。
【0068】
サーバ装置1の文字認識部11aは、類似文字DB12から第2形状の第2文字列を検索し(S106)、第1形状に類似度が最も高い第2文字列を取得する。文字認識部11aは、第2文字列を出力部11bに出力する。
【0069】
出力部11bは、第2文字列を採点部11cに出力する。採点部は、第2文字列の採点を実行する(S107)。
【0070】
採点部11cは、通信部14を介して、ユーザ端末2の通信部24に採点結果を送信する(S108)。
【0071】
通信部24は、当該採点結果を受信する(S205)。通信部24は、当該採点結果を制御部21に出力する。制御部21は、表示器22に当該採点結果を表示させる。
【0072】
サーバ装置1は、ステップS108において採点を行い、正答か誤答であるかを判定する。サーバ装置1は、誤答であると判断した場合、誤っている箇所を明示的に表示するように、ユーザ端末2に出力してもよい。このことによって、ユーザは誤った箇所を容易に認識できる。
【0073】
したがって、このネットワークシステムでは、ユーザは、ユーザ端末2においてユーザが入力した手書き文字を他の文字(文字列)に置き換えることなく採点を行える。したがって、CBTで筆記試験を行う場合に、受験者であるユーザの知識、能力等の判断や評価が適正に行える。
【0074】
なお、上述の説明において、ステップS104の辞書DB13を検索した後、ステップS106の類似文字DB12を検索する流れを説明した。しかしながら、類似文字DB12を検索した後に、辞書DB13を検索する構成であってもよい。
【0075】
また、上述の説明において、第1形状と類似度が最も高い文字列を第2文字列であると説明した。しかしながら、あらかじめ閾値を設けておき、この閾値を類似度が下回る場合には、文字列を認識できない旨をユーザ端末2に送信する構成であってもよい。この際、閾値は文字列の種類(漢字、ひらがな、カタカナ、数字、英字)に応じて決定しておくとよい。
【0076】
なお、上記の説明では、サーバ装置1は、問題を1問ずつユーザ端末2に配信する場合を例にしたが、サーバ装置1は、複数の問題を一括してユーザ端末2に配信し、問題別に、解答をユーザ端末2から受信する処理を実行する構成にしてもよい。
【0077】
なお、上述の構成では、第1文字列の第1形状を画像として取得する例を示した。しかしながら、画像として取得することに限定されない。例えば、手書き入力を行う際のタッチペンや指の動作方向および動作速度から得られるストロークデータを取得してもよい。言い換えれば、文字認識部11aは、第1文字のベクトル量を抽出することによって、第1形状を取得してもよい。
【0078】
<4.変形例1>
次に、変形例1に係る文字入力装置について、図を参照して説明する。構成例1においては、手書きした第1文字列を送信するのに対して、変形例1では第1文字列を認識した結果を変換候補として表示する点において異なる。その他の構成は、構成例1における文字入力装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0079】
図7は、変形例1におけるユーザ端末に文字列が表示されるイメージ図である。図8は、変形例1におけるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。図9は、変形例1におけるユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【0080】
具体的な処理の流れを説明する。図7に示すように、ユーザ端末2の表示器22は手書き入力部221と候補表示部222を備える。ユーザは手書き入力部221に外字「専」+文字「門」(第1文字列)を入力する。ユーザ端末2は、通信部24を介して第1文字列を送信する。サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を取得する。
【0081】
上述のとおり、文字認識部11aは、第1文字列に類似する第2文字列を取得する。ユーザ端末2は通信部24を介して、類似度が最も高い第2文字列を取得する。このことにより、制御部21は、第2文字列を候補表示部222に表示させる。
【0082】
ユーザは、候補表示部222に表示されている第2文字列を確認する。次に、ユーザは、当該第2文字列を選択し、当該解答をサーバ装置1に送信する。
【0083】
次に、図8図9を用いて、具体的な処理の流れを説明する。なお、図8におけるステップS103まで、および図9におけるステップS204までは、上述の構成例の構成と同様である。
【0084】
サーバ装置1は、通信部14において、手書き入力による筆記試験の問題をユーザ端末2に配信する(S101)。サーバ装置1が配信した問題は、ネットワーク5を介してユーザ端末2の通信部24で受信される。例えば、サーバ装置1は、
「(せんもん)学校に通う」の(せんもん)を漢字に直しなさい。
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0085】
ユーザ端末2は、通信部24において、サーバ装置1から配信されてきた問題を受信する(S201:Yes)。ユーザ端末2は、受信した問題を表示器22に表示する(S202)。なお、問題を受信できない場合(S201:No)、ステップS201を再度実行する。
【0086】
ユーザは、操作部23に設けられているタッチパッド等の入力デバイスを操作して、表示器22に表示された問題の解答を、手書き文字で入力する(S203)。ユーザは、例えば、外字「専」+文字「門」(第1文字列)を入力する(図7を参照)。
【0087】
ユーザ端末2は、通信部24において、第1文字列をサーバ装置1に送信する(S204)。ユーザ端末2は、サーバ装置1から変換候補を受信するのを待つ(S211)。
【0088】
サーバ装置1は、ステップS101でユーザ端末2に問題を配信すると、ユーザ端末2から第1文字列を受信するのを待つ(S102)。サーバ装置1は、通信部14において、ユーザ端末2がステップS204で送信した第1文字列を受信する(S102:Yes)。
【0089】
サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を取得する(S103)。
【0090】
次に、サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状に類似する文字列が辞書DB13に存在するかを検索する(S104)。
【0091】
サーバ装置1の文字認識部11aは、第1形状に類似する第2形状の第2文字列が存在しないと判定した場合(S105:No)、類似文字DB12の検索を実行する。文字認識部11aは、第2文字列が存在すると判断した場合は、第2文字列を出力部11bに出力する。次に、以下に示すステップS111を実行する。
【0092】
サーバ装置1の文字認識部11aは、類似文字DB12から第2形状の第2文字列を検索し(S106)、第2文字列を取得する。文字認識部11aは、第2文字列を出力部11bに出力する。
【0093】
出力部11bは、通信部14を介して、変換候補をユーザ端末2に送信する(S111)。
【0094】
ユーザ端末2の通信部24は、変換候補として第2文字列を受信する(S211:Yes)。通信部24は、変換候補を受信できなければ(S211:No)、変換候補を受信するまで待機する。
【0095】
制御部21は、受信した変換候補(第2文字列)を表示器22の候補表示部222(図7参照)に表示させる(S212)。
【0096】
制御部21は、候補表示部222に表示された変換候補が選択されたかどうかを判断する(S213)。制御部21は、ユーザが候補表示部222の変換候補を選択されたことを検知し(S213:Yes)、通信部24を介して、選択された候補を解答としてサーバ装置1に送信する(S214)。なお、制御部21は変換候補が選択されるまで待機する(S213:No)。
【0097】
サーバ装置1の通信部14は、解答を受信する(S112:Yes)。通信部14は当該解答を採点部11cに出力する。なお、通信部14は解答を受信するまで待機する(S112:No)。
【0098】
採点部11cは、採点を実行する(S113)。採点部11cは、通信部14を介して、採点結果をユーザ端末2に送信する(S114)。
【0099】
通信部24は、当該採点結果を受信する(S215)。通信部24は、当該採点結果を制御部21に出力する。制御部21は、表示器22に当該採点結果を表示させる。
【0100】
このような構成を備えていても、ユーザが意図する第1文字列を選択することができる。さらには、サーバ装置1側においても、ユーザが選択した第1文字列を適正に採点することが可能となる。
【0101】
<5.変形例2>
次に、変形例2に係る文字入力装置について、図を参照して説明する。変形例2においては、類似度が高い順に複数(上位n個、nは整数値で任意の値)の変換候補を取得する点において異なる。その他の構成は、変形例1における文字入力装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0102】
図10は、変形例2におけるサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。図11は、変形例2におけるユーザ端末に文字列が表示されるイメージ図である。
【0103】
図10に示すように、サーバ装置1は、調整部11dを備える。文字認識部11aは、第1文字列と類似すると認定された複数の第2文字列を取得する。この際、文字認識部11aは、第1文字列との類似度が高い順から複数(上位n個)の第2文字列を取得する。より具体的には、図8のフロー図(変形例1)のステップS111において、変換候補を類似度が高い順に複数(上位n個)送信するとよい。
【0104】
文字認識部11aは、複数の第2文字列を調整部11dに出力する。調整部11dは、複数の第2文字列を類似度が高い順に並び替え、通信部14を介して、ユーザ端末2に第2文字列を送信する。
【0105】
具体的な処理の流れを説明する。図11に示すように、ユーザ端末2の表示器22は手書き入力部221と候補表示部222を備える。ユーザは手書き入力部221に外字「専」+文字「門」(第1文字列)を入力する。ユーザ端末2は、通信部24を介して外字「専」+文字「門」(第1文字列)を送信する。サーバ装置1の文字認識部11aは、第1文字列の第1形状を取得する。
【0106】
上述のとおり、文字認識部11aは、第1文字列に類似する複数の第2文字列(例えば、文字列「専問」、「専門」等)を取得する。ユーザ端末2は通信部24を介して、複数の第2文字列を取得する。このことにより、制御部21は、複数の第2文字列を候補表示部222に表示させる。この際、複数の第2文字列は類似度が高い順に表示させるとよい。
【0107】
ユーザは、候補表示部222に表示されている複数の第2文字列の候補から解答を選択し、当該解答をサーバ装置1に送信する。
【0108】
このように構成することで、ユーザが意図する第1文字列を選択することができる。さらには、サーバ装置1側においても、ユーザが選択した第1文字列を適切に採点することが可能となる。
【0109】
上述の例では、調整部11dが複数の第2文字列を類似度が高い順に表示させる例を示した。しかしながら、調整部11dは、正答の表示順位が高いと判定した場合、正答の表示の優先度を低く表示する構成であってもよい。
【0110】
<6.変形例3>
上述の構成で示した、サーバ装置1の制御ユニット11が有する文字認識部11a、出力部11b、採点部11c、および調整部11dにかかる構成を、ユーザ端末2の制御部21に設けてもよい。このように構成すれば、ユーザ端末は、ユーザが予習、復習を行う学習端末としても利用できる。
【0111】
また、上記の例では、文字認識部11aは、類似文字DB12、および辞書DB13が存在している文字の中から形状が類似している文字を抽出する構成であるとしたが、例えば、文字の偏を置き換えたり、文字のつくりに対する点の追加や削除、または横棒、縦棒の追加や削除等を行ったりして生成した文字(存在しない文字であってもよい。)を形状が類似する文字として抽出する構成にしてもよい。
【0112】
また、この発明は、特定の種類の検定試験や、教科に限らず、CBTで筆記試験を実施できる。
【0113】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0114】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
手書き入力された入力文字の第1形状と、辞書に登録されている登録文字の第2形状と照合し、この入力文字を認識する文字認識部(11a)と、
前記入力文字について、前記文字認識部(11a)によって認識された文字を出力する出力部(11b)と、を備え、
前記辞書には、前記登録文字として、常用文字、および外字が登録されている、
文字入力装置(1)。
【符号の説明】
【0115】
1…サーバ装置
2…ユーザ端末
5…ネットワーク
11…制御ユニット
11a…文字認識部
11b…出力部
11c…採点部
11d…調整部
12…類似文字データベース(類似文字DB)
13…辞書データベース(辞書DB)
14…通信部
21…制御部
22…表示器
23…操作部
24…通信部
221…手書き入力部
222…候補表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11