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特開2024-30785画像処理装置、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030785
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240229BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240229BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240229BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240229BHJP
   H04W 4/021 20180101ALI20240229BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
B41J29/00 E
B41J29/38 401
B41J29/38 203
H04N1/00 Z
G06F3/12 367
G06F3/12 392
G06F3/12 322
H04W4/021
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133912
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西田 康太
(72)【発明者】
【氏名】倉本 博幸
(72)【発明者】
【氏名】今村 優衣
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5K067
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CG15
2C061HJ07
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA14
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF12
5K067AA21
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE25
5K067EE35
(57)【要約】
【課題】ユーザーにとって利便性が損なわれることを抑制する。
【解決手段】距離情報取得部222は、端末装置100から到来する電波に基づいて、端末装置100と画像処理装置200との間の距離を示す距離情報を取得する。方向情報取得部224は、端末装置100から到来する電波に基づいて、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得する。制御部240は、距離情報及び方向情報に基づいて、画像処理を行うための処理を行う。制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置であって、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得する方向情報取得部と、
前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う制御部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離が予め定められた閾値以下であり、且つ、少なくとも前記端末装置の方向の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向が予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め定められた所定時間の間、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下である状態が継続した場合に、画像処理を行うための処理を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理に関するジョブには、前記端末装置のユーザーの識別情報が対応付けられており、
前記制御部は、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、当該端末装置に関するユーザーの識別情報に対応するジョブを実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理に関するジョブには、認証処理の有無が指定されており、
前記端末装置に対応するジョブが認証処理のあるジョブである場合、前記制御部は、
前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、認証処理を行うための画面を表示させ、
認証処理が成功した場合に、前記ジョブを実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、複数の端末装置と通信可能に接続され、
前記距離情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記距離情報を取得し、
前記方向情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記方向情報を取得し、
前記制御部は、
複数の端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置それぞれとの距離及び当該複数の端末装置それぞれの方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるとき、画像処理に関するジョブの実行を待機し、
実行を待機された前記ジョブに関する前記端末装置のみの位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内となった場合、又は、当該端末装置との距離及び当該端末装置の方向の少なくとも一方の変化率のみが予め定められた閾値以下となった場合に、前記ジョブを実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置は、複数の端末装置と通信可能に接続され、
前記距離情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記距離情報を取得し、
前記方向情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記方向情報を取得し、
前記制御部は、
複数の端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置それぞれとの距離及び当該複数の端末装置それぞれの方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるとき、前記画像処理装置に最も近い前記端末装置に関するジョブを実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理に関するジョブには、認証処理の有無が指定されており、
前記画像処理装置は、複数の端末装置と通信可能に接続され、
前記距離情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記距離情報を取得し、
前記方向情報取得部は、複数の端末装置それぞれに関する前記方向情報を取得し、
前記制御部は、
複数の端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置それぞれとの距離及び当該複数の端末装置それぞれの方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下である場合であって、
実行すべきジョブが認証処理のないジョブであるときは、前記画像処理装置に最も近い前記端末装置に関するジョブを実行し、
実行すべきジョブが認証処理のあるジョブであるときは、前記ジョブの実行を待機し、前記ジョブに関する前記端末装置のみの位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内となったとき、又は、当該端末装置との距離及び当該端末装置の方向の少なくとも一方の変化率のみが予め定められた閾値以下となったときに、前記ジョブを実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得し、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得し、
前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う、
制御方法。
【請求項11】
少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置によって実行される制御方法を実現するプログラムであって、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得するステップと、
前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得するステップと、
前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行うステップと、
をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、他の装置から信号を受信する印刷装置を開示する。特許文献1にかかる印刷装置は、他の装置から受信した信号の到来方向と受信強度とを取得し、取得された到来方向および受信強度に基づいて、印刷に関する所定の処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる技術では、単に印刷装置の前を通過したユーザーが存在する場合であっても、印刷装置が誤って印刷を実行してしまうおそれがある。すなわち、特許文献1にかかる技術では、ユーザーが印刷の実行を望んでいないタイミングで印刷装置の前を通過した場合であっても、印刷が実行されてしまうおそれがある。したがって、特許文献1にかかる技術では、ユーザーにとって利便性が損なわれるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示にかかる画像処理装置は、少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置であって、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部と、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得する方向情報取得部と、前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う制御部と、を有する。
【0006】
また、本開示にかかる制御方法は、少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置によって実行される制御方法であって、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得し、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得し、前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う。
【0007】
また、本開示にかかるプログラムは、少なくとも1つの端末装置と通信可能に接続される画像処理装置によって実行される制御方法を実現するプログラムであって、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記端末装置と前記画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得するステップと、前記端末装置から到来する電波に基づいて、前記画像処理装置に対する前記端末装置の方向を示す方向情報を取得するステップと、前記距離情報及び前記方向情報に基づいて、前記端末装置の位置が前記画像処理装置に対する予め定められた所定範囲内であり、且つ、前記端末装置との距離及び前記端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行うステップと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる画像処理システムを示す図である。
図2】実施の形態1にかかる画像処理システムを示す図である。
図3】実施の形態1にかかる端末装置の構成を示す図である。
図4】実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示す図である。
図5】実施の形態1にかかるジョブ記憶部に記憶されるジョブ蓄積情報を例示する図である。
図6】実施の形態1にかかる識別情報記憶部に記憶される識別情報テーブルを例示する図である。
図7】実施の形態1にかかる画像処理装置で実行される処理を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1にかかる画像処理装置で実行される処理を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1にかかる画像処理装置と端末装置との位置関係を説明するための図である。
図10】実施の形態1にかかる画像処理装置に対する所定範囲を説明するための図である。
図11】実施の形態2にかかる制御部によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。
図12】実施の形態3にかかる制御部によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。
図13】実施の形態4にかかる制御部によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。
図14】変形例において複数の停留端末が存在する場合に、操作パネルに表示される画面を例示する図である。
図15】変形例において複数の停留端末が存在する場合に、操作パネルに表示される画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
図1及び図2は、実施の形態1にかかる画像処理システム1を示す図である。画像処理システム1は、端末装置100と、画像処理装置200とを有する。画像処理システム1は、図2に示すように、PC50(PC:Personal Computer)を有してもよい。PC50は、例えば、デスクトップ型のコンピューター装置であってもよい。
【0011】
端末装置100は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末装置である。また、端末装置100は、携帯可能なノートPC等のコンピューター装置であってもよい。端末装置100は、少なくとも、表示部112を有する。端末装置100のその他の構成要素については、後述する。
【0012】
画像処理装置200は、ユーザーから指定された画像処理を行う。画像処理装置200は、例えばプリンターである。また、画像処理装置200は、例えば、複合機(MFP:Multifunction Peripheral)、コピー機、又はスキャナー等であってもよい。なお、印刷機能を有する複合機も、プリンターの一例である。なお、実施の形態1では、画像処理装置200が例えば複合機等のプリンターである場合について説明する。プリンターである画像処理装置200は、画像処理として、用紙等の印刷媒体に画像を形成する、画像形成処理つまり印刷処理を行う。しかしながら、画像処理装置200は、画像形成処理以外の画像処理を行ってもよい。例えば、画像処理装置200は、コピー又はスキャン等の画像処理を行ってもよい。
【0013】
図1に示すように、プリンターである画像処理装置200は、少なくとも、操作パネル220と、給紙トレイ214と、排紙トレイ216とを有する。操作パネル220は、例えば、表示デバイスと入力デバイスとが一体となったタッチパネルである。給紙トレイ214は、印刷媒体である用紙を、例えば用紙のサイズごとに格納する。排紙トレイ216には、画像が形成された用紙が排出される。画像処理装置200のその他の構成要素については、後述する。
【0014】
端末装置100及び画像処理装置200は、第1の無線通信方式による無線通信、及び第2の無線通信方式による無線通信で、互いに通信を行う。第1の無線通信方式は、第2の無線通信方式と比較して、通信速度が速く、通信可能な距離が長い規格である。第1の無線通信方式は、狭義には無線LAN(Local Area Network)であり、さらに具体的にはWi-Fi(登録商標)である。以下、第1の無線通信方式がWi-Fiである例について説明するが、第1の無線通信方式を他の通信方式としてもよい。
【0015】
第2の無線通信方式は、第1の無線通信方式と比較して、通信速度が遅く、通信可能な距離が短い規格である。したがって、第2の無線通信方式は、近距離無線通信を実現する規格である。また、第2の無線通信方式は、ビーコン信号の送信が可能な規格である。第2の無線通信方式は、狭義にはBluetooth(登録商標)であり、さらに具体的にはBLE(Bluetooth Low Energy)である。以下、第2の無線通信方式がBLEである例について説明するが、第2の無線通信方式を他の通信方式としてもよい。なお、BLEのビーコン信号とは、アドバタイズパケットに対応する。また、第1の無線通信方式がビーコン信号を送信可能であってもよい。第1の無線通信方式がWi-Fiであれば、画像処理装置200は、自身のSSID(Service Set Identifier)を周囲の機器に知らせるビーコン信号を送信してもよい。
【0016】
図2は、複数の端末装置100を有する画像処理システム1を例示する図である。なお、画像処理システム1は、複数のPC50を有してもよい。また、画像処理システム1は、複数の画像処理装置200を有してもよい。また、画像処理システム1は、1つの端末装置100を有してもよい。つまり、画像処理システム1は、少なくとも1つの端末装置100を有する。
【0017】
画像処理装置200は、PC50と、有線又は無線を介して通信可能に接続されている。また、画像処理装置200は、少なくとも1つの端末装置100と、無線を介して通信可能に接続されている。上記の無線は、例えば、第1の無線通信方式によるものであってもよい。
【0018】
画像処理装置200が端末装置100と無線を介して通信可能に接続される場合、画像処理装置200は、無線LANアクセスポイント等のアクセスポイントを介して、端末装置100と接続されてもよい。このとき、画像処理装置200がインフラストラクチャーモードで動作し、アクセスポイントに接続している場合に、端末装置100がアクセスポイントに無線接続することによって、端末装置100と画像処理装置200との無線通信が実行される。このような接続を、インフラ接続と称する。
【0019】
あるいは、画像処理装置200は、アクセスポイントを介さずに、直接、端末装置100と接続されてもよい。このとき、画像処理装置200が内部アクセスポイントを起動し、端末装置100が当該内部アクセスポイントに対して接続することで、端末装置100と画像処理装置200との通信が直接的に実行される。このような接続を、ダイレクト接続と称する。なお、端末装置100と画像処理装置200とのダイレクト接続は、WFD(Wi-Fi Direct)の規格に準拠する通信により行われてもよいし、Wi-Fiのアドホックモードを用いて行われてもよい。
【0020】
ダイレクト接続を行う画像処理装置200は、SSIDを含むWi-Fiビーコンを送信(ブロードキャスト)する。なお、Wi-Fiビーコンは、Wi-Fi規格に準拠するビーコン信号である。端末装置100がWi-Fiビーコンを受信すると、Wi-Fiビーコンに含まれるSSIDが表示される。また、このとき、画像処理装置200の操作パネル220には、SSID、及び、接続のためのパスワードが表示される。端末装置100のユーザーが、操作パネル220に表示されたSSID及びパスワードを自身の端末装置100に設定することで、端末装置100は、画像処理装置200とダイレクト接続される。
【0021】
PC50及び端末装置100は、印刷ジョブ等のジョブに関する情報を含むジョブ信号Sjを、画像処理装置200に送信する。ジョブ信号Sjは、ジョブを実行するためのジョブ実行指示を含む。印刷ジョブに関するジョブ信号Sjは、印刷を行うための印刷指示を含む。また、印刷ジョブに関するジョブ信号Sjは、印刷データと、ジョブ信号Sjを送信したデバイス(PC50又は端末装置100)のユーザーの識別情報を含む。なお、「印刷データ」とは、用紙に印刷される画像を示すデータである。また、ジョブ信号Sjに含まれる識別情報は、ジョブ信号Sjを送信したデバイス(PC50又は端末装置100)の識別情報であってもよい。また、ジョブ信号Sjは、そのジョブを実行する際に認証処理があるか否かを示す情報を含んでもよい。
【0022】
画像処理装置200は、ジョブ信号Sjを受信し、受信されたジョブ信号Sjに関するジョブを実行することで、画像処理を行う。ジョブ信号Sjが印刷ジョブである場合、画像処理装置200は、印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を、用紙等の印刷媒体に形成するようにして、印刷を行う。印刷データに対応する画像が形成された印刷媒体は、排紙トレイ216に排出される。
【0023】
また、端末装置100は、第2の無線通信方式に対応するBLEビーコンBbを送信(ブロードキャスト)する。なお、BLEビーコンBbは、BLE規格に準拠するビーコン信号である。画像処理装置200がBLEビーコンBbを受信することによって、画像処理装置200は、画像処理装置200から端末装置100までの距離を示す距離情報を取得することができる。また、画像処理装置200は、BLEビーコンBbを受信することによって、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得することができる。詳しくは後述する。なお、上記の方向情報は、例えば、画像処理装置200及び端末装置100がBluetooth5.1以降の規格に対応している場合に、取得され得る。
【0024】
図3は、実施の形態1にかかる端末装置100の構成を示す図である。なお、PC50も、図3に示した構成を有してもよい。端末装置100は、主要なハードウェア構成として、処理部102、記憶部104、第1無線通信部106、第2無線通信部108、表示部112及び操作部114を有する。処理部102、記憶部104、第1無線通信部106、第2無線通信部108、表示部112及び操作部114は、データバスなどを介して相互に接続されていてもよい。
【0025】
処理部102は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。処理部102は、複数のプロセッサーを有してもよい。処理部102は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。処理部102は、記憶部104、第1無線通信部106、第2無線通信部108、表示部112及び操作部114の制御を行う。
【0026】
記憶部104は、例えばメモリー又はハードディスク等の記憶デバイスである。記憶部104は、例えばROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部104は、処理部102によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部104は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。記憶部104は、データベースを含み得る。
【0027】
第1無線通信部106は、第1の無線通信方式に準拠した無線通信を実行する無線通信デバイスである。第1無線通信部106は、例えば、Wi-Fi規格に準拠した無線通信を実行する。第1無線通信部106は、Wi-Fi規格等の第1の無線通信方式に準拠した電波を送受信する。第2無線通信部108は、第2の無線通信方式に準拠した無線通信を実行する無線通信デバイスである。第2無線通信部108は、例えば、BLE規格に準拠した無線通信を実行する。第2無線通信部108は、BLE規格等の第2の無線通信方式に準拠した電波を送受信する。
【0028】
表示部112及び操作部114は、ユーザーインターフェースである。表示部112は、各種情報をユーザーに対して表示するディスプレイ等で構成される。操作部114は、ユーザーからの入力操作を受け付けるボタン等で構成される。なお、表示部112及び操作部114は、タッチパネル等によって一体に構成されてもよい。
【0029】
また、端末装置100は、ソフトウェア構成として、基本ソフトウェアであるOS120(Operating System;オペレーティングシステム)と、印刷アプリケーション130とを有する。印刷アプリケーション130は、OS120の機能を用いて動作する、応用ソフトウェアである。
【0030】
なお、上述した印刷アプリケーション130は、例えば、処理部102の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、印刷アプリケーション130は、記憶部104に格納されたプログラムを、処理部102が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、印刷アプリケーション130を実現するようにしてもよい。
【0031】
また、印刷アプリケーション130は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、印刷アプリケーション130は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザーがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の印刷アプリケーション130から構成されるプログラムを実現してもよい。
【0032】
印刷アプリケーション130は、端末装置100と画像処理装置200とを通信可能に接続するための処理を行ってもよい。この場合、印刷アプリケーション130は、第1無線通信部106を制御して、端末装置100と画像処理装置200とを通信可能に接続するための処理を行ってもよい。また、印刷アプリケーション130は、BLEビーコンを送信するための処理を行ってもよい。このとき、印刷アプリケーション130は、第2無線通信部108を制御してBLEビーコンを送信するように、処理を行ってもよい。
【0033】
印刷アプリケーション130は、接続された画像処理装置200(プリンター)に印刷を実行させるための制御を行う。印刷アプリケーション130は、ユーザーの操作により印刷指示を受け付けた場合に、接続された画像処理装置200に、印刷データを含む印刷ジョブに関するジョブ信号を送信するように、処理を行う。このとき、印刷アプリケーション130は、第1無線通信部106を制御してジョブ信号を送信するように、処理を行ってもよい。
【0034】
図4は、実施の形態1にかかる画像処理装置200の構成を示す図である。図4は、画像処理装置200がプリンターである場合について示している。画像処理装置200は、処理部202、記憶部204、第1無線通信部206、第2無線通信部208、印刷部210及びユーザーインターフェース212(UI:User Interface)を有する。処理部202、記憶部204、第1無線通信部206、第2無線通信部208、印刷部210及びユーザーインターフェース212は、データバスなどを介して相互に接続されていてもよい。
【0035】
処理部202は、例えばCPU等のプロセッサーである。処理部202は、複数のプロセッサーを有してもよい。処理部202は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。処理部202は、記憶部204、第1無線通信部206、第2無線通信部208、印刷部210及びユーザーインターフェース212の制御を行う。
【0036】
記憶部204は、例えばメモリー又はハードディスク等の記憶デバイスである。記憶部204は、例えばROM又はRAM等である。記憶部204は、処理部202によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部204は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。記憶部204は、データベースを含み得る。
【0037】
第1無線通信部206は、第1の無線通信方式に準拠した無線通信を実行する無線通信デバイスである。第1無線通信部206は、例えば、Wi-Fi規格に準拠した無線通信を実行する。第1無線通信部206は、Wi-Fi規格等の第1の無線通信方式に準拠した電波を送受信する。第2無線通信部208は、第2の無線通信方式に準拠した無線通信を実行する無線通信デバイスである。第2無線通信部208は、例えば、BLE規格に準拠した無線通信を実行する。第2無線通信部208は、BLE規格等の第2の無線通信方式に準拠した電波を送受信する。
【0038】
また、上述したダイレクト接続を行う画像処理装置200の第1無線通信部206は、所与の接続設定に従って内部アクセスポイントを起動してもよい。この場合、第1無線通信部206は、端末装置100からの接続要求を受け付ける。なお、接続設定とは、例えば、SSID及びパスフレーズの設定、あるいは通信周波数帯の設定である。通信周波数帯の設定とは、チャンネル設定に対応する。
【0039】
印刷部210は、用紙つまり印刷媒体に画像を形成するための印刷機能を有する。印刷部210は、印刷エンジンを含む。印刷エンジンとは、印刷媒体への画像の印刷を実行する機械的構成である。印刷エンジンは、例えば、電子写真方式でトナーにより印刷を行う機構を有してもよい。あるいは、印刷エンジンは、例えば、インクジェット方式により印刷を行う機構を有してもよい。また、印刷エンジンは、印刷媒体を搬送する搬送機構を有してもよい。
【0040】
ユーザーインターフェース212は、ボタン、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力装置と、ディスプレイ又はスピーカー等の出力装置とを有する。ユーザーインターフェース212は、入力装置と出力装置とが一体に構成されたものであってもよい。ユーザーインターフェース212は、ユーザーによるデータの入力の操作を受け付け、ユーザーに対して情報を出力する。ユーザーインターフェース212は、上述した操作パネル220を含む。
【0041】
また、画像処理装置200は、構成要素として、距離情報取得部222、方向情報取得部224、端末位置判定部226、ジョブ受信部230、ジョブ記憶部232、識別情報記憶部234、及び、制御部240を有する。制御部240は、モード制御部242、認証制御部244、及び、印刷制御部246を有する。
【0042】
なお、上述した各構成要素は、例えば、処理部202の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、記憶部204に格納されたプログラムを、処理部202が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。
【0043】
また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、各構成要素は、例えばFPGA又はマイコン等の、ユーザーがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。
【0044】
距離情報取得部222は、端末装置100から到来する電波に基づいて、端末装置100と画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得する。距離情報取得部222は、端末装置100との近距離無線通信により、上記の距離情報を取得する。詳しくは後述する。
【0045】
方向情報取得部224は、端末装置100から到来する電波に基づいて、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得する。方向情報取得部224は、端末装置100との近距離無線通信により、上記の方向情報を取得する。詳しくは後述する。
【0046】
端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報及び方向情報を用いて、その端末装置100の位置が画像処理装置200に対する予め定められた所定範囲内であるか否かを判定する。このとき、端末位置判定部226は、端末装置100と画像処理装置200との間の距離が予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。また、このとき、端末位置判定部226は、画像処理装置200に対する端末装置100の方向が予め定められた所定範囲内であるか否かを判定してもよい。詳しくは後述する。
【0047】
また、端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報及び方向情報を用いて、その端末装置100の位置の変化率(変化)が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。つまり、端末位置判定部226は、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。このとき、端末位置判定部226は、少なくとも端末装置100の方向の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。また、端末位置判定部226は、端末装置100との距離の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。
【0048】
また、端末位置判定部226は、予め定められた所定時間の間、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下である状態が継続しているか否かを判定してもよい。詳しくは後述する。
【0049】
ジョブ受信部230は、端末装置100又はPC50から、印刷ジョブ等のジョブに関するジョブ信号を受信する。ジョブ受信部230は、端末装置100から、第1無線通信部206によって、ジョブ信号を受信してもよい。
【0050】
ジョブ記憶部232は、受信されたジョブ信号に関するジョブの情報であるジョブ情報を記憶(蓄積)する。このとき、ジョブ記憶部232は、ジョブの識別情報と、そのジョブの実行を指示したユーザーの識別情報とを対応付けて、ジョブを記憶する。つまり、画像処理に関するジョブには、ユーザーの識別情報が対応付けられている。ジョブ記憶部232は、記憶されるジョブ情報を、ジョブ蓄積情報として記憶する。
【0051】
図5は、実施の形態1にかかるジョブ記憶部232に記憶されるジョブ蓄積情報TbJを例示する図である。図5に例示するように、ジョブ蓄積情報TbJにおいて、ジョブ識別情報と、ユーザー識別情報と、認証処理の有無とが、対応付けられている。ここで、「ジョブ識別情報」は、対応するジョブの識別情報である。「ユーザー識別情報」は、対応するジョブの実行を指示したユーザーの識別情報である。
【0052】
「認証処理の有無」は、そのジョブを実行する際に認証処理を行うか否かを示す情報である。つまり、画像処理に関するジョブには、認証処理の有無が指定されている。ここで、認証処理は、画像処理装置200を利用しようとしているユーザーが、ジョブの実行を指示したユーザーと一致しているかを確認するための処理である。認証処理は、ジョブの実行を指示したユーザーについて予め記憶された認証情報と、入力されたユーザーの認証情報とが一致するか否かを判定することによって、実行される。例えば、認証処理は、パスワードを認証情報として用いて、パスワードの入力により行われてもよい。また、認証処理は、IDカードに記憶された識別情報を認証情報として用いて、ユーザーのIDカードを読み取り装置にタッチすることで行われてもよい。また、認証処理は、指紋情報又は顔情報等の生体情報を認証情報として用いて、指紋認証又は顔認証等の生体認証によって行われてもよい。あるいは、認証処理は、これらの組み合わせによって行われてもよい。
【0053】
なお、ジョブ蓄積情報TbJは、ユーザー識別情報の代わりに、対応するジョブを示すジョブ信号を送信した端末(端末装置100又はPC50)の識別情報を、ジョブ識別情報と対応付けてもよい。また、ジョブが実行された場合、ジョブ記憶部232は、実行済みのジョブの情報を消去してもよいし、実行済みのジョブの情報に「実行済み」を示すフラグを付加してもよい。
【0054】
図5の例では、ジョブ識別情報「ジョブA」のジョブの実行を指示したのは、識別情報「ユーザーA」のユーザーである。また、ジョブ識別情報「ジョブA」のジョブを実行する際に、認証処理がある。また、ジョブ識別情報「ジョブB」のジョブの実行を指示したのは、識別情報「ユーザーB」のユーザーである。また、ジョブ識別情報「ジョブB」のジョブを実行する際に、認証処理はない。
【0055】
識別情報記憶部234は、ユーザーの識別情報と、そのユーザーが所有するデバイス(端末装置100及びPC50)の識別情報とを、対応付けて記憶する。識別情報記憶部234は、記憶される識別情報を、識別情報テーブルとして記憶する。
【0056】
図6は、実施の形態1にかかる識別情報記憶部234に記憶される識別情報テーブルTbIを例示する図である。図6に例示するように、識別情報テーブルTbIにおいて、ユーザー識別情報と、デバイス識別情報とが、対応付けられている。ここで、「デバイス識別情報」は、対応するユーザーの所有するデバイスの識別情報である。図6の例では、ユーザー識別情報「ユーザーA」のユーザーは、デバイス識別情報「端末#1」の端末装置100と、デバイス識別情報「PC#1」のPC50とを所有している。また、ユーザー識別情報「ユーザーB」のユーザーは、デバイス識別情報「端末#2」の端末装置100と、デバイス識別情報「PC#2」のPC50とを所有している。
【0057】
制御部240は、画像処理を行うための処理を行う。「画像処理」は、例えば、印刷処理及びスキャン処理を含む。また、「画像処理を行うための処理」は、例えば、画像処理を実行するように処理を行うことの他に、画像処理を実行できるようにするための処理も含む。「画像処理を行うための処理」は、例えば、省電力モードの解除、及び、認証処理を含む。
【0058】
制御部240は、端末装置100の位置が所定の条件を満たした場合に、画像処理を行うための処理を行う。具体的には、制御部240は、距離情報及び方向情報に基づいて、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100の位置の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う。つまり、制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う。詳しくは後述する。
【0059】
また、制御部240は、少なくとも端末装置100と画像処理装置200との間の距離が閾値以下であり、且つ、少なくとも端末装置100の方向の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行ってもよい。また、制御部240は、少なくとも画像処理装置200に対する端末装置100の方向が所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行ってもよい。また、制御部240は、所定時間の間、端末装置100の位置の変化率が閾値以下である状態が継続した場合に、画像処理を行うための処理を行ってもよい。つまり、制御部240は、所定時間の間、端末装置100との距離及び端末装置の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下である状態が継続した場合に、画像処理を行うための処理を行ってもよい。詳しくは後述する。
【0060】
また、制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、端末装置100の位置の変化率が閾値以下であるときに、その端末装置100に関するユーザーの識別情報に対応するジョブを実行してもよい。詳しくは後述する。また、端末装置100に対応するジョブが認証処理のあるジョブである場合、制御部240は、以下のように処理を行ってもよい。すなわち、制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、認証処理を行うための画面を表示させてもよい。そして、制御部240は、認証処理が成功した場合に、ジョブを実行してもよい。詳しくは後述する。
【0061】
モード制御部242は、画像処理装置200の操作が一定時間行われなかった場合に、省電力モードに移行するように処理を行う。また、モード制御部242は、所定の場合に、画像処理装置200の省電力モードの解除を行う。例えば、操作パネル220にユーザーがタッチした場合に、モード制御部242は、画像処理装置200の省電力モードの解除を行ってもよい。詳しくは後述する。認証制御部244は、認証処理があるジョブが実行される際に、認証処理を実行するように処理を行う。詳しくは後述する。印刷制御部246は、印刷処理を実行するように処理を行う。つまり、印刷制御部246は、印刷ジョブを実行するように処理を行う。詳しくは後述する。
【0062】
図7及び図8は、実施の形態1にかかる画像処理装置200で実行される処理を示すフローチャートである。図7及び図8に示されるフローチャートは、画像処理装置200で実行される制御方法に対応する。なお、ジョブ受信部230が後述するS102~S114の間に端末装置100又はPC50からジョブ信号を受信した場合、受信されたジョブ信号に関するジョブの情報は、ジョブ記憶部232に格納され、蓄積される。
【0063】
画像処理装置200は、端末装置100からビーコンを受信する(ステップS102)。具体的には、第2無線通信部208は、端末装置100から送信されたBLEビーコンBbの電波を受信する。ここで、端末装置100から送信されるBLEビーコンBbには、その端末装置100の識別情報が含まれる。したがって、画像処理装置200は、S102の処理で、端末装置100の識別情報を受信する。なお、端末装置100は、所定の時間間隔でビーコンを送信し得る。したがって、以降の処理は、画像処理装置200が端末装置100からビーコンを受信するごとに、実行され得る。
【0064】
距離情報取得部222は、端末装置100の距離情報を取得する(ステップS104)。上述したように、距離情報取得部222は、端末装置100から到来する電波に基づいて、端末装置100と画像処理装置との間の距離を示す距離情報を取得する。具体的には、距離情報取得部222は、BLE又はBluetooth等の近距離無線通信により、端末装置100の距離情報を取得する。
【0065】
さらに具体的には、距離情報取得部222は、受信されたBLEビーコンBbの電波強度を示す電波強度情報を取得する。なお、電波強度情報は、受信電波強度又は受信信号強度に対応し得る。距離情報取得部222は、電波強度情報を用いて、画像処理装置200と端末装置100との間の距離を推定する。
【0066】
すなわち、BLEビーコンBbの電波強度が強いほど、そのBLEビーコンBbを送信した端末装置100と画像処理装置200との間の距離は近い。逆に、BLEビーコンBbの電波強度が弱いほど、そのBLEビーコンBbを送信した端末装置100と画像処理装置200との間の距離は遠い。例えば、BLE規格のひとつであるiBeacon(登録商標)の場合、ビーコン信号を発信する範囲を、「Immediate」(近接)、「Near」(近い)、「Far」(遠い)の3種類から設定できる。ここで、例えば、「Immediate」が数cm程度、「Near」が数m程度、「Far」が10m程度の距離に対応する。このようにして、距離情報取得部222は、画像処理装置200と端末装置100との間の距離を示す距離情報を取得する。
【0067】
あるいは、距離情報取得部222は、BLEビーコンBbの電波強度に基づいて、そのBLEビーコンBbを送信した端末装置100と画像処理装置200との間の距離を演算してもよい。一般的に、電波強度は距離の2乗に反比例して弱くなることが知られている。よって、基準となる距離での電波強度がわかっていれば、実際に受信したBLEビーコンBbの電波強度に基づいて、画像処理装置200と端末装置100との間の距離を演算できる。この場合、BLEビーコンBbが、基準電波強度情報を含むようにする。そして、距離情報取得部222は、基準電波強度情報と、電波強度情報とに基づいて、画像処理装置200と端末装置100との間の距離を演算する。これにより、距離情報取得部222は、画像処理装置200と端末装置100との間の距離を示す距離情報を取得する。
【0068】
方向情報取得部224は、端末装置100の方向情報を取得する(ステップS106)。上述したように、方向情報取得部224は、端末装置100から到来する電波に基づいて、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得する。具体的には、方向情報取得部224は、BLE又はBluetooth等の近距離無線通信により、端末装置100の方向情報を取得する。
【0069】
さらに具体的には、方向情報取得部224は、Bluetooth5.1以降の規格で定められている方向検知機能を用いて、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得する。方向情報取得部224は、端末装置100から送信されたBLEビーコンBbについて、画像処理装置200における電波の受信角度つまり到来角(AoA:Angle of Arrival)を、方向検知機能におけるAoA方式で算出する。すなわち、画像処理装置200は、第2無線通信部208に関する複数のアンテナを有している。画像処理装置200は、複数のアンテナで電波つまりBLEビーコンBbを受信する。画像処理装置200の方向情報取得部224は、複数のアンテナ間の距離と、複数のアンテナで受信された電波の位相差とに基づいて、複数のアンテナが並ぶ方向に対する角度である到来角AoAを算出する。この到来角AoAが、画像処理装置200に対する端末装置100の方向に対応する。
【0070】
あるいは、方向情報取得部224は、画像処理装置200から送信されるBLEビーコンを用いて、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得してもよい。具体的には、端末装置100は、画像処理装置200から送信されたBLEビーコンについて、画像処理装置200における電波の送信角度つまり放射角(AoD:Angle of Departure)を、方向検知機能におけるAoD方式で検出する。すなわち、画像処理装置200は、複数のアンテナを有している。画像処理装置200は、複数のアンテナから電波つまりBLEビーコンを放射する。端末装置100は、複数のアンテナ間の距離と、複数のアンテナから送信された電波の位相差とに基づいて、複数のアンテナが並ぶ方向に対する角度である放射角AoDを算出する。なお、画像処理装置200における複数のアンテナ間の距離を示す情報、及び、複数のアンテナから電波を送信するタイミングを示す情報は、事前に、端末装置100に知らされているとする。これらの情報は、BLEビーコンに含まれていてもよい。そして、端末装置100は、放射角AoDを示す電波(BLEビーコン等)を、画像処理装置200に送信する。この放射角AoDが、画像処理装置200に対する端末装置100の方向に対応する。これにより、方向情報取得部224は、画像処理装置200に対する端末装置100の方向を示す方向情報を取得してもよい。
【0071】
このようにして、方向情報取得部224は、画像処理装置200に対する端末装置100の方向に対応する角度αを取得する。ここで、角度αは、上述した複数のアンテナが並ぶ方向に対する、端末装置100の方向の角度(到来角AoA又は放射角AoD)に対応する。
【0072】
図9は、実施の形態1にかかる画像処理装置200と端末装置100との位置関係を説明するための図である。図9に示された画像処理装置200の図は、画像処理装置200を上から見た模式図である。ここで、画像処理装置200の側面のうち、ユーザーが画像処理装置200の操作パネル220を操作するのに適した側の面を、正面側の面200aとする。
【0073】
無線基板218には、BLEビーコン及びWi-Fiビーコン等の電波を送受信するためのアンテナが設けられている。したがって、S104の処理で得られる距離情報は、画像処理装置200の無線基板218で規定される基準位置P1と端末装置100との間の距離を示し得る。また、S106の処理で得られる方向情報は、画像処理装置200の無線基板218で規定される基準位置P1に対する、端末装置100の方向を示し得る。
【0074】
ここで、図9のように、無線基板218と端末装置100とを線Ln1で結ぶとする。なお、線Ln1は、無線基板218の基準位置P1と端末装置100の基準位置とを結ぶとする。また、説明のため、無線基板218の複数のアンテナが画像処理装置200の正面側の面200aに平行に並んで配置されているとする。このとき、面200aに対する線Ln1の角度αが、画像処理装置200の無線基板218に対する、端末装置100の方向、つまり方向情報に対応する。また、線Ln1の長さLが、画像処理装置200(無線基板218)と端末装置100との間の距離に対応する。なお、無線基板218の複数のアンテナは、面200aに平行に並んで配置される必要はない。
【0075】
図7の説明に戻る。端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報及び方向情報を用いて、その端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS110)。ここで、「所定範囲」は、画像処理装置200の正面の付近とみなされる領域に対応する。したがって、端末位置判定部226は、S110の処理において、端末装置100の位置(端末位置)が画像処理装置200の正面の付近にあるか否かを判定する。
【0076】
「所定範囲」は、ユーザーが画像処理装置200の操作パネル220を操作可能な位置を含む領域に対応する。ここで、「所定範囲」は、画像処理装置200の基準位置に対する方向で規定され得る。また、「所定範囲」は、画像処理装置200の基準位置からの距離で規定され得る。また、「所定範囲」は、画像処理装置200の基準位置に対する方向、及び、基準位置からの距離で規定され得る。なお、上述したように、基準位置は、第2無線通信部208に関する複数のアンテナを有する無線基板218の位置によって定められ得る。
【0077】
図10は、実施の形態1にかかる画像処理装置200に対する所定範囲を説明するための図である。図10には、画像処理装置200に対する所定範囲Ar1が、破線で囲まれた領域で示されている。所定範囲Ar1は、画像処理装置200の正面側の面200aの方に、規定されている。また、所定範囲Ar1は、無線基板218に対応する基準位置P1に対して規定されている。
【0078】
図10の例では、所定範囲Ar1は、基準位置P1からの距離が閾値Lth1以下の領域である。また、所定範囲Ar1は、基準位置P1に対する面200aからの方向が、角度θ1以上であり角度θ2以下である範囲の領域である。つまり、所定範囲Ar1は、基準位置P1を基準とした面200aに対する方向に対応する角度θrが、θ1≦θr≦θ2を満たすような領域である。なお、Lth、θ1及びθ2は、「所定範囲」が、画像処理装置200の正面の付近の領域とみなされるように、適宜、設定され得る。また、Lth、θ1及びθ2は、「所定範囲」が、ユーザーが操作パネル220を操作可能な領域を含むように、適宜、設定され得る。
【0079】
図10の例では、端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報で示される距離Lが閾値Lth以下であり、且つ、端末装置100の方向情報で示される角度αが角度θ1以上であり角度θ2以下であるか否かを判定する。端末位置判定部226は、この判定が真である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内であると判定する。一方、端末位置判定部226は、この判定が偽である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内でないと判定する。
【0080】
図10の矢印A1で例示するように、端末装置100を所持しているユーザー90が所定範囲Ar1に入っていない場合、端末位置判定部226は、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内でないと判定する。一方、図10の矢印A2で例示するように、端末装置100を所持しているユーザー90が、矢印Bで示すように、所定範囲Ar1に移動した場合、端末位置判定部226は、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内であると判定する。
【0081】
なお、図10に例示した所定範囲Ar1は、基準位置P1に対する方向、及び、基準位置P1からの距離で規定されているが、このような構成に限られない。所定範囲Ar1は、基準位置P1からの距離のみによって規定されてもよい。この場合、端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報で示される距離Lが閾値Lth以下であるか否かを判定する。端末位置判定部226は、この判定が真である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内であると判定する。一方、端末位置判定部226は、この判定が偽である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内でないと判定する。
【0082】
あるいは、所定範囲Ar1は、基準位置P1に対する方向のみによって規定されてもよい。この場合、端末位置判定部226は、端末装置100の方向情報で示される角度αが角度θ1以上であり角度θ2以下であるか否かを判定する。端末位置判定部226は、この判定が真である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内であると判定する。一方、端末位置判定部226は、この判定が偽である場合に、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内でないと判定する。
【0083】
図7の説明に戻る。端末装置100の位置が所定範囲内でない場合(S110のNO)、端末装置100は、画像処理装置200の正面の付近にない。したがって、処理はS102に戻る。一方、端末装置100の位置が所定範囲内である場合(S110のYES)、端末位置判定部226は、端末装置100のユーザーが、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で立ち止まるか否かを判定する(S112,S114)。言い換えると、端末位置判定部226は、端末装置100が、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で停留するか否かを判定する(S112,S114)。なお、以後、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で端末装置100が停留した状態を、「停留状態」と称する。つまり、「端末装置100が停留状態である」とは、その端末装置100のユーザーが所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で立ち止まる(留まる)ことに対応する。また、停留状態の端末装置100を、「停留端末」と称することがある。また、停留状態の端末装置100のユーザーを、「停留ユーザー」又は「立ち止まりユーザー」などと称することがある。
【0084】
端末位置判定部226は、端末装置100の位置の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する(ステップS112)。つまり、端末位置判定部226は、所定範囲内で端末装置100の移動が停止している又は停止しようとしているか否かを判定する。さらに言い換えると、端末位置判定部226は、端末装置100を所持しているユーザーが所定範囲内で留まっている又は留まろうとしているか否かを判定する。つまり、端末位置判定部226は、端末装置100及び端末装置100を所持しているユーザーが、画像処理装置200の正面の付近で留まっている又は留まろうとしているか否かを判定する。
【0085】
具体的には、端末位置判定部226は、端末装置100の距離情報及び方向情報を用いて、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。ここで、距離の変化率は、単位時間当たりの距離Lの変化量である。また、方向の変化率は、単位時間当たりの方向(角度α)の変化量である。また、変化率の閾値は、変化率が閾値以下である場合に、端末装置100及びユーザーの移動が停止している又は停止しようとしているとみなされるように、適宜、設定され得る。つまり、変化率の閾値は、変化率が閾値以下である場合に、ユーザーが立ち止まっている又は立ち止まろうとしているとみなされるように、適宜、設定され得る。
【0086】
なお、S112の処理で、端末位置判定部226は、少なくとも端末装置100の方向の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。このとき、端末位置判定部226は、S110の処理で、少なくとも端末装置100と画像処理装置200との間の距離が閾値以下であるか否かを判定した場合に、少なくとも端末装置100の方向の変化率が閾値以下であるか否かを判定してもよい。
【0087】
また、S112の処理で、端末位置判定部226は、端末装置100との距離の変化率が予め定められた閾値以下であるか否かを判定してもよい。このとき、端末位置判定部226は、S110の処理で、少なくとも画像処理装置200に対する端末装置100の方向が所定範囲内であるか否かを判定した場合に、端末装置100との距離の変化率が閾値以下であるか否かを判定してもよい。すなわち、端末位置判定部226は、S110の処理で少なくとも画像処理装置200に対する端末装置100の方向が所定範囲内であるか否かを判定した場合に、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるか否かを判定してもよい。
【0088】
端末装置100の位置の変化率が閾値以下でない場合(S112のNO)、端末装置100及びユーザーの移動は停止しておらず停止しようともしていないとみなされる。この場合、端末装置100は、停留状態でないとみなされる。したがって、この場合、端末装置100のユーザーは、単に、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近を通過しただけとみなされ得る。言い換えると、この場合、端末装置100のユーザーは、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で立ち止まらないとみなされ得る。したがって、この場合、ユーザーは、画像処理装置200を使用する意図がないとみなされ得る。したがって、この場合は、画像処理装置200は、後述するジョブ実行処理(S120)を行わないで、処理はS102に戻る。
【0089】
一方、端末装置100の位置の変化率が閾値以下である場合(S112のYES)、端末装置100及びユーザーの移動は停止している又は停止しようとしているとみなされる。このとき、端末装置100は停留状態である可能性がある。言い換えると、端末装置100は、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で停留する可能性がある。この場合、ユーザーは、画像処理装置200を使用するために、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で立ち止まる可能性がある。この場合、端末位置判定部226は、端末装置100の位置の変化率が閾値以下の状態が、予め定められた所定時間の間、継続したか否かを判定する(ステップS114)。つまり、端末位置判定部226は、所定時間の間、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下である状態が継続したか否かを判定する。
【0090】
なお、「所定時間」は、例えば、ユーザーが、画像処理装置200を使用するために、画像処理装置200の正面の付近(「所定範囲Ar1」に対応)で立ち止まる時間に対応する。言い換えると、ユーザーが所定時間以上の間、画像処理装置200の正面の付近で立ち止まれば、そのユーザーは、画像処理装置200を使用する意図があるとみなされ得る。さらに言い換えると、端末装置100の位置が所定範囲Ar1内であり、端末装置100の移動が所定時間以上の間継続して停滞(停止)すれば、その端末装置100のユーザーは、画像処理装置200を使用する意図があるとみなされ得る。したがって、「所定時間」は、端末装置100の位置の変化率が閾値以下の状態が所定時間の間継続した場合には、その端末装置100のユーザーが画像処理装置200を使用する意図があるとみなされ得るように、適宜、設定され得る。
【0091】
端末装置100の位置の変化率が閾値以下の状態が所定時間の間継続しなかった場合(S114のNO)、処理はS102に戻る。つまり、所定時間の間、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下である状態が継続しなかった場合、処理はS102に戻る。すなわち、このような場合では、端末装置100及びユーザーの移動が停滞した状態が所定時間の間継続しなかったとみなされる。この場合、端末装置100のユーザーは、単に、所定範囲つまり画像処理装置200の正面の付近を通過する途中で少し止まった又は移動速度を遅くしただけとみなされ得る。したがって、この場合、ユーザーは、画像処理装置200を使用する意図がないとみなされ得る。したがって、この場合は、後述するジョブ実行処理(S120)は実行されないで、処理はS102に戻る。
【0092】
一方、端末装置100の位置の変化率が閾値以下の状態が所定時間の間継続した場合(S114のYES)、制御部240は、ジョブ実行処理を行う(ステップS120)。つまり、所定時間の間、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下である状態が継続した場合、制御部240は、ジョブ実行処理を行う。すなわち、このような場合では、端末装置100及びユーザーの移動が停滞した状態が所定時間の間継続したとみなされる。この場合、端末装置100は停留状態であり得る。言い換えると、その端末装置100のユーザーは立ち止まりユーザー(停留ユーザー)であり得る。この場合、端末装置100のユーザーは、画像処理装置200を使用するために、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で立ち止まる可能性が高い。したがって、この場合、ユーザーは、画像処理装置200を使用する意図があるとみなされ得る。したがって、この場合、制御部240は、ジョブ実行処理を行う。
【0093】
図8は、実施の形態1にかかる制御部240によって実行されるジョブ実行処理(S120)を示す。制御部240のモード制御部242は、画像処理装置200が省電力モードであるか否かを判定する(ステップS122)。ここで、「省電力モード」とは、画像処理装置200の消費電力を抑制するためのモードである。省電力モードでは、例えば、操作パネル220の表示が消去されてもよい。なお、省電力モードは、操作パネル220のバックライトが消灯される形態で実現されてもよい。また、省電力モードでは、例えば、印刷部210に電力が供給されなくてもよい。また、省電力モードでは、画像処理装置200の制御部240及び印刷部210を待機状態にしてより低い電力供給状態としてもよい。
【0094】
画像処理装置200が省電力モードである場合(S122のYES)、モード制御部242は、画像処理装置200の省電力モードを解除して、通常モードに移行する(ステップS124)。通常モードでは、画像処理装置200の各デバイスに電力が供給され得る。一方、画像処理装置200が省電力モードでない場合(S122のNO)、モード制御部242は、S124の処理をスキップする。省電力モードを解除することにより、ユーザーが操作パネル220を操作するときに、即座に操作を行うことができる。また、省電力モードを解除することにより、画像処理装置200は、ユーザーのジョブを即座に実行することができる。
【0095】
制御部240は、立ち止まりユーザーのジョブがあるか否かを判定する(ステップS126)。具体的には、制御部240は、ジョブ記憶部232に記憶されたジョブ蓄積情報TbJ及び識別情報記憶部234に記憶された識別情報テーブルTbIを参照して、停留状態の端末装置100のユーザーに関するジョブがあるか否かを判定する。さらに具体的には、制御部240は、停留状態の端末装置100の識別情報に対応するユーザーの識別情報に関するジョブが蓄積されているか否かを判定する。
【0096】
立ち止まりユーザーのジョブがある場合(S126のYES)、制御部240は、そのジョブが認証処理のあるジョブであるか否かを判定する(ステップS130)。具体的には、制御部240は、ジョブ蓄積情報TbJを参照して、認証処理の有無を判定する。ジョブが認証処理のあるジョブでない場合(S130のNO)、印刷制御部246は、後述するS140の処理を実行する。
【0097】
一方、ジョブが認証処理のあるジョブである場合(S130のYES)、認証制御部244は、認証画面が表示されるように制御を行う(ステップS132)。具体的には、認証制御部244は、操作パネル220に認証画面を表示させるように、制御を行う。認証画面は、ユーザーが認証を行うための画面である。認証処理がパスワードの入力によって行われる場合、認証画面は、ユーザーにパスワードの入力を促すメッセージを表示してもよい。認証処理がIDカードの読み取りによって行われる場合、認証画面は、ユーザーにIDカードを読み取り装置にタッチすることを促すメッセージを表示してもよい。認証処理が指紋認証によって行われる場合、認証画面は、ユーザーに指を指紋読み取り装置に近づけるように促すメッセージを表示してもよい。
【0098】
認証制御部244は、認証が成功したか否かを判定する(ステップS134)。具体的には、認証制御部244は、ジョブの実行を指示したユーザーについて予め記憶された認証情報と、入力されたユーザーの認証情報とが一致するか否かを判定する。認証制御部244は、ジョブの実行を指示したユーザーについて予め記憶された認証情報と、入力されたユーザーの認証情報とが一致する場合に、認証が成功したと判定する。
【0099】
認証が成功した場合(ステップS134)、印刷制御部246は、ジョブを実行する(ステップS140)。つまり、印刷制御部246は、ジョブに関する印刷処理を実行する。具体的には、印刷制御部246は、実行すべきジョブに関する印刷データが印刷媒体に形成されるように、印刷部210を制御する。
【0100】
一方、S126の処理において、立ち止まりユーザーのジョブがない場合(S126のNO)、制御部240は、画像処理のための操作がなされたか否かを判定する(ステップS142)。具体的には、制御部240は、操作パネル220に対して、コピー又はスキャン等の画像処理の操作がなされたか否かを判定する。画像処理のための操作がなされた場合(S142のYES)、制御部240は、操作された内容に対応する画像処理を実行する(ステップS144)。一方、画像処理のための操作がなされなかった場合(S142のNO)、処理は終了する。
【0101】
上述したように、実施の形態1にかかる画像処理装置200は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100の位置の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行うように構成されている。つまり、制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行う。このような構成により、ユーザーが画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まる場合に、画像処理を行うための処理が実行され得る。したがって、ユーザーが画像処理装置200に近づいた場合に、速やかに画像処理を行うことができる。一方、ユーザーが単に画像処理装置200の近くを通り過ぎただけの場合に、誤って画像処理が実行されることが抑制される。したがって、ユーザーにとって利便性が向上する。
【0102】
また、実施の形態1にかかる制御部240は、少なくとも端末装置100と画像処理装置200との間の距離が閾値以下であり、且つ、少なくとも端末装置100の方向の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行ってもよい。また、制御部240は、少なくとも画像処理装置200に対する端末装置100の方向が所定範囲内であり、且つ、端末装置100との距離及び端末装置100の方向の少なくとも一方の変化率が閾値以下であるときに、画像処理を行うための処理を行ってもよい。このような構成により、制御部240は、少なくとも画像処理装置200に対する端末装置100の方向が所定の条件を満たしたときに、画像処理を行うための処理を行う。これにより、画像処理装置200に対する端末装置100の方向に応じて、ユーザーが画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まるか否かを、より精度よく判定することができる。したがって、ユーザーが画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まる場合に、画像処理を行うための処理がより確実に実行され得る。よって、ユーザーが画像処理装置200に近づいた場合に、より速やかに画像処理を行うことができる。一方、ユーザーが単に画像処理装置200の近くを通り過ぎただけの場合に、誤って画像処理が実行されることが、より確実に抑制される。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0103】
また、実施の形態1にかかる制御部240は、所定時間の間、端末装置100の位置の変化率が閾値以下である状態が継続した場合に、画像処理を行うための処理を行ってもよい。このような構成により、ユーザーが画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まるか否かを、さらに精度よく判定することができる。すなわち、所定時間の間、端末装置100の位置の変化率が閾値以下である状態が継続した場合というのは、ユーザーが画像処理装置200を使用する意図があって画像処理装置200の付近で立ち止まる可能性が高い場合である。したがって、ユーザーが画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まる場合に、画像処理を行うための処理がより確実に実行され得る。よって、ユーザーが画像処理装置200に近づいた場合に、より速やかに画像処理を行うことができる。一方、ユーザーが単に画像処理装置200の近くを通り過ぎただけの場合に、誤って画像処理が実行されることが、より確実に抑制される。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0104】
また、実施の形態1にかかる制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、端末装置100の位置の変化率が閾値以下であるときに、その端末装置100に関するユーザーの識別情報に対応するジョブを実行してもよい。このような構成により、画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まるユーザーのジョブを、速やかに実行することが可能となる。したがって、画像処理装置200に近づいて自身のジョブの実行を所望するユーザーのジョブを、より確実に、実行することができる。一方、画像処理装置200に対する所定範囲内で立ち止まるユーザー以外のユーザーのジョブの実行を抑制することができる。したがって、他のユーザーが画像処理装置200の付近にいるときに自身のジョブが実行されることを抑制することができる。したがって、印刷データ等のジョブの内容のセキュリティー性を向上させることができる。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0105】
また、実施の形態1において、端末装置100に対応するジョブが認証処理のあるジョブである場合、制御部240は、認証処理を行ってもよい。すなわち、制御部240は、端末装置100の位置が画像処理装置200に対する所定範囲内であり、且つ、端末装置100の位置の変化率が閾値以下であるときに、認証処理を行うための画面を表示させてもよい。そして、制御部240は、認証処理が成功した場合に、ジョブを実行してもよい。このような構成により、実行すべきジョブのユーザーと画像処理装置200の付近にいるユーザーとが一致する場合にジョブが実行され得る。したがって、ジョブの内容のセキュリティー性を向上させることができる。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0106】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で複数の端末装置100が停留状態である場合の処理について述べる。つまり、実施の形態2では、複数の立ち止まりユーザーが存在し得る。なお、画像処理システム1、端末装置100及び画像処理装置200の構成については、実施の形態1のものと実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0107】
なお、実施の形態2にかかる画像処理装置200は、複数の端末装置100と通信可能に接続される。そして、図7に示したフローチャートにおいて、画像処理装置200は、複数の端末装置100のそれぞれについて、S102~S114の処理を行う。したがって、実施の形態2において、距離情報取得部222は、複数の端末装置100それぞれに関する距離情報を取得する。また、方向情報取得部224は、複数の端末装置100それぞれに関する方向情報を取得する。これらのことは、後述する実施の形態3及び実施の形態4の場合でも同様である。
【0108】
図11は、実施の形態2にかかる制御部240によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。制御部240は、複数の停留端末を検出する(ステップS222)。つまり、制御部240は、複数の端末装置100が所定範囲内で停留状態にあることを検出する。言い換えると、制御部240は、複数の立ち止まりユーザーが存在することを検出する。具体的には、制御部240は、S110~S114の判定が真となる端末装置100が複数存在することを検出する。言い換えると、制御部240は、複数の端末装置100が所定範囲内にあり、複数の端末装置100それぞれの位置の変化率が閾値以下であると判定する。また、制御部240は、複数の端末装置100が所定範囲内にあり、所定時間の間、それぞれの位置の変化率が閾値以下である状態が継続したと判定する。
【0109】
制御部240は、画像処理装置200に最も近い停留端末に関するジョブを実行する(ステップS224)。つまり、制御部240は、複数の端末装置100の位置が所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置それぞれの位置の変化率が予め定められた閾値以下であるとき、画像処理装置200に最も近い端末装置100に関するジョブを実行する。具体的には、制御部240は、複数の停留端末から到来したBLEビーコンの電波強度を比較する。そして、制御部240は、電波強度の最も強いBLEビーコンに関する停留端末を、画像処理装置200に最も近い停留端末であると判定する。制御部240は、その停留端末のユーザーに関するジョブを実行する。ジョブが印刷ジョブであれば、制御部240(印刷制御部246)は、そのジョブに関する印刷処理を行う。なお、このとき、制御部240は、S122~S134の処理を行ってもよい。
【0110】
制御部240は、どのユーザーのジョブを実行中であるかを示すメッセージを操作パネル220に表示させる(ステップS226)。例えば、複数の立ち止まりユーザーのうちでユーザーAが最も画像処理装置200に近い場合、制御部240は、「ユーザーAのジョブを実行中です」といったメッセージを、操作パネル220表示させてもよい。
【0111】
制御部240は、実行されたジョブに関する端末装置100が移動したか否かを判定する(ステップS228)。つまり、制御部240は、実行されたジョブに関する端末装置100が停留状態でなくなったか否かを判定する。制御部240は、実行されたジョブに関する端末装置100の距離情報及び方向情報に基づいて、その端末装置100が所定範囲外に移動したか否かを判定してもよい。この場合、制御部240は、その端末装置100が所定範囲外に移動したときに、その端末装置100が移動したと判定してもよい。また、制御部240は、実行されたジョブに関する端末装置100の距離情報及び方向情報に基づいて、その端末装置100の位置の変化率が閾値を超えたか否かを判定してもよい。この場合、制御部240は、その端末装置100の位置の変化率が閾値を超えたときに、その端末装置100が移動したと判定してもよい。
【0112】
実行されたジョブに関する端末装置100が移動したと判定されない場合(S228のNO)、S228の処理が繰り返される。一方、実行されたジョブに関する端末装置100が移動したと判定された場合(S228のYES)、実行されたジョブに関するユーザーは、ジョブが実行済みであるため、画像処理装置200の付近から立ち去った可能性が高い。したがって、制御部240は、次に画像処理装置200に近い停留端末に関するジョブを実行する。すなわち、制御部240は、他の停留端末が存在するか否かを判定する(ステップS230)。他の停留端末が存在する場合(S230のYES)、処理はS224に戻る。したがって、未だに存在する停留端末のうちで最も画像処理装置200に近い停留端末に関するジョブが実行される(S224)。一方、他の停留端末が存在しない場合(S230のNO)、処理は終了する。
【0113】
上述したように、実施の形態2にかかる制御部240は、複数の端末装置100が所定範囲内にあり、複数の端末装置100それぞれの位置の変化率が閾値以下であるときに、画像処理装置200に最も近い端末装置100に関するジョブを実行する。このような構成により、複数の立ち止まりユーザーが存在する場合に、画像処理装置200に最も近いユーザーのジョブが実行される。したがって、画像処理装置200に最も近いユーザー以外のジョブが実行されることを抑制することができる。すなわち、画像処理装置200に最も近いユーザー以外のジョブが実行されると、画像処理装置200に最も近いユーザーに、他人のジョブの内容が知られてしまうおそれがある。これに対し、上記のような構成により、複数の立ち止まりユーザーが存在する場合のジョブの内容のセキュリティー性を向上させることが可能となる。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0114】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で複数の端末装置100が停留状態である場合の処理について述べる。つまり、実施の形態2と同様に、実施の形態3では、複数の立ち止まりユーザーが存在し得る。なお、実施の形態3における、複数の端末装置100が停留状態である場合の処理が、実施の形態2の場合と異なる。なお、画像処理システム1、端末装置100及び画像処理装置200の構成については、実施の形態1のものと実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0115】
図12は、実施の形態3にかかる制御部240によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。S222の処理と同様にして、制御部240は、複数の停留端末を検出する(ステップS322)。このとき、制御部240は、ジョブの実行を待機する(ステップS324)。したがって、制御部240は、複数の停留端末つまり複数の立ち止まりユーザーが存在する状態では、ジョブが蓄積されていたとしても、ジョブを実行しない。つまり、制御部240は、複数の端末装置100の位置が所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置100それぞれの位置の変化率が予め定められた閾値以下であるとき、ジョブの実行を待機する。
【0116】
制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動したか否かを判定する(ステップS326)。つまり、制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が停留状態でなくなったか否かを判定する。言い換えると、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみの位置が所定範囲内となったか、又は、当該端末装置100のみの位置の変化率が閾値以下となったか否かを判定する。さらに言い換えると、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみが停留状態となったか否かを判定する。
【0117】
制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100の距離情報及び方向情報に基づいて、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が所定範囲外に移動したか否かを判定してもよい。この場合、制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が所定範囲外に移動したときに、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動したと判定してもよい。また、制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100の距離情報及び方向情報に基づいて、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100の位置の変化率が閾値を超えたか否かを判定してもよい。この場合、制御部240は、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100の位置の変化率が閾値を超えたときに、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動したと判定してもよい。
【0118】
待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動したと判定されない場合(S326のNO)、処理はS324に戻り、制御部240は、引き続き、ジョブの実行を待機する。一方、待機中のジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動したと判定された場合(S326のYES)、制御部240は、残りの停留端末に関するジョブを実行する(ステップS328)。言い換えると、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみが停留状態となった場合に、その端末装置100に関するジョブを実行する。つまり、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみの位置が所定範囲内となった場合に、そのジョブを実行する。又は、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100との距離及び当該端末装置の方向の少なくとも一方の変化率のみが閾値以下となった場合に、そのジョブを実行する。
【0119】
上述したように、実施の形態3にかかる制御部240は、複数の端末装置100の位置が所定範囲内であり、且つ、当該複数の端末装置100それぞれの位置の変化率が閾値以下であるとき、ジョブの実行を待機する。そして、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみの位置が所定範囲内となったか、又は、当該端末装置100のみの位置の変化率が閾値以下となった場合に、そのジョブを実行する。このような構成により、複数の立ち止まりユーザーが存在する場合に、ジョブの実行が待機される。そして、待機されたジョブのユーザー以外のユーザーが移動して、待機されたジョブのユーザーのみが立ち止まりユーザーとなった場合に、そのジョブが実行される。これにより、ジョブに関するユーザー以外のユーザーにそのジョブの内容が知られてしまうことを、抑制することができる。したがって、複数の立ち止まりユーザーが存在する場合のジョブの内容のセキュリティー性を、実施の形態2の場合よりもさらに向上させることが可能となる。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0120】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、所定範囲内つまり画像処理装置200の正面の付近で複数の端末装置100が停留状態である場合の処理について述べる。つまり、実施の形態2及び実施の形態3と同様に、実施の形態4では、複数の立ち止まりユーザーが存在し得る。なお、実施の形態4における、複数の端末装置100が停留状態である場合の処理が、実施の形態2及び実施の形態3の場合と異なる。なお、画像処理システム1、端末装置100及び画像処理装置200の構成については、実施の形態1のものと実質的に同様であるので、説明を省略する。なお、実施の形態4では、実施の形態1で説明したように、ジョブには認証処理の有無が指定されている。
【0121】
図13は、実施の形態4にかかる制御部240によって実行されるジョブ実行処理を示すフローチャートである。S222の処理と同様にして、制御部240は、複数の停留端末を検出する(ステップS422)。このとき、制御部240は、S130の処理と同様にして、実行すべきジョブが認証処理のあるジョブであるか否かを判定する(ステップS424)。
【0122】
実行すべきジョブが認証処理のないジョブである場合(S424のNO)、制御部240は、上述した実施の形態2におけるS224~S230の処理と実質的に同様の処理を行う(ステップS430)。つまり、制御部240は、画像処理装置200に最も近い停留端末である端末装置100のジョブを実行する。
【0123】
一方、実行すべきジョブが認証処理のあるジョブである場合(S424のYES)、制御部240は、上述した実施の形態3におけるS324~S328の処理と実質的に同様の処理を行う(ステップS440)。つまり、制御部240は、そのジョブの実行を待機する。このとき、制御部240は、認証画面を操作パネル220に表示させることをしなくてもよい。そして、制御部240は、待機中の認証処理があるジョブに関する端末装置100以外の端末装置100が移動した場合に、そのジョブを実行する。言い換えると、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみが停留状態となった場合に、その端末装置100に関する認証処理があるジョブを実行する。つまり、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみの位置が所定範囲内となった場合に、そのジョブを実行する。又は、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100との距離及び当該端末装置の方向の少なくとも一方の変化率のみが閾値以下となった場合に、そのジョブを実行する。このとき、制御部240は、S132及びS134の処理を行う。
【0124】
上述したように、実施の形態4にかかる制御部240は、複数の端末装置100が所定範囲内にあり、複数の端末装置100それぞれの位置の変化率が閾値以下である場合に、実行すべきジョブの認証処理の有無に応じて、ジョブを実行する。すなわち、実行すべきジョブが認証処理のないジョブであるとき、制御部240は、画像処理装置200に最も近い端末装置100に関するジョブを実行する。一方、実行すべきジョブが認証処理のあるジョブであるとき、制御部240は、ジョブの実行を待機する。そして、制御部240は、実行を待機されたジョブに関する端末装置100のみの位置が所定範囲内となったか、又は、当該端末装置100のみの位置の変化率が閾値以下となった場合に、そのジョブを実行する。このような構成により、複数の立ち止まりユーザーがある場合に、実行すべきジョブの認証処理の有無つまり要求されるセキュリティーレベルに応じて、ジョブの実行を制御することができる。そして、認証処理のないジョブについては、要求されるセキュリティーレベルは、認証処理のあるジョブに比べてそれほど高くない。したがって、画像処理装置200に最も近いユーザーのジョブを実行することで、ある程度のセキュリティー性を確保しつつ、認証処理の工程を含むよりも早くジョブを実行することができる。一方、認証処理のあるジョブについては、要求されるセキュリティーレベルが高いので、そのジョブ以外の立ち止まりユーザーが移動した後でそのジョブを実行することで、高いセキュリティー性を確保することができる。したがって、ユーザーにとって利便性がさらに向上する。
【0125】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述したフローチャートにおける各処理の順序は、適宜、変更可能である。また、上述したフローチャートにおける各処理のうちの1つ以上は、省略され得る。例えば、図7のフローチャートにおいて、S104の処理とS106の処理の順序は逆であってもよいし、S104の処理とS106の処理とが並行して実行されてもよい。また、図7のフローチャートにおいて、S114の処理は、省略されてもよい。つまり、端末位置判定部226は、S112の処理のみで、停留端末及び立ち止まりユーザーの存在を判定してもよい。しかしながら、S114の処理を行うことによって、より確実に、停留端末及び立ち止まりユーザーの存在を判定することが可能となる。
【0126】
また、上述した実施の形態2~実施の形態4では、複数の立ち止まりユーザーが存在する場合、つまり、複数の停留端末が存在する場合に、ジョブの実行を制限するようにしているが、このような構成に限られない。制御部240は、複数の停留端末が存在する場合であっても、図8に示すように処理を実行してもよい。この場合、画像処理装置200に最も近い、つまり操作パネル220に最も近い位置にいるユーザーとは異なるユーザーのジョブが実行される可能性がある。
【0127】
図14及び図15は、変形例において複数の停留端末が存在する場合に、操作パネル220に表示される画面を例示する図である。図14は、ユーザーAのジョブを実行中に、ユーザーAが操作パネル220の前にいる場合に、操作パネル220に表示される画面Im1を例示する。図14の例では、操作パネル220には、「ユーザーAのジョブを実行中」と表示される。この場合は、操作パネル220を見ているユーザーAは、自身のジョブが実行されていることを把握できる。
【0128】
一方、図15は、ユーザーAのジョブを実行中に、ユーザーBが操作パネル220の前にいる場合に、操作パネル220に表示される画面Im2を例示する。図15の例では、操作パネル220には、「他のユーザーのジョブを実行中」と表示される。この場合は、操作パネル220を見ているユーザーBは、自身のジョブではないジョブが実行されていることを把握できる。一方、このような画面が表示されるだけでは、他のユーザーのジョブの内容が印刷媒体に印刷される可能性がある。これに対し、実施の形態2~実施の形態4の場合では、ジョブの内容のセキュリティー性を確保することができる。
【0129】
上述の例において、プログラムは、コンピューターに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピューターに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリー、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリー技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0130】
1…画像処理システム、100…端末装置、102…処理部、104…記憶部、106…第1無線通信部、108…第2無線通信部、112…表示部、114…操作部、130…印刷アプリケーション、200…画像処理装置、202…処理部、204…記憶部、206…第1無線通信部、208…第2無線通信部、210…印刷部、212…ユーザーインターフェース、214…給紙トレイ、216…排紙トレイ、218…無線基板、220…操作パネル、222…距離情報取得部、224…方向情報取得部、226…端末位置判定部、230…ジョブ受信部、232…ジョブ記憶部、234…識別情報記憶部、240…制御部、242…モード制御部、244…認証制御部、246…印刷制御部
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