(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030787
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】衛生用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240229BHJP
B65D 25/52 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D83/08 G
B65D25/52 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133916
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 達也
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
【Fターム(参考)】
3E014LB02
3E014MC06
3E062AA10
3E062AB13
3E062AC02
3E062BB02
3E062BB10
3E062LA02
3E062LA14
3E062LA25
(57)【要約】
【課題】ロール状の衛生用薄葉紙を好適に取り出して使用することができる衛生用薄葉紙収納容器を実現する。
【解決手段】この衛生用薄葉紙収納容器100であれば、その取出部3(取出孔33)から引き出した衛生用薄葉紙Pを上蓋22と蓋体本体21とで挟み込むようにして、上蓋22の突起部22aと蓋体本体21の切断部21gとで衛生用薄葉紙Pを挟んで切断することができる。つまり、衛生用薄葉紙収納容器100からロール状の衛生用薄葉紙Pを任意の長さ引き出した後に上蓋22を閉じ、衛生用薄葉紙Pを上蓋22と蓋体本体21とで挟むようにして、衛生用薄葉紙Pを任意の長さで切断することができるので、ユーザーは所望する長さの衛生用薄葉紙Pを衛生用薄葉紙収納容器100から好適に取り出して使用することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有し、ロール状の衛生用薄葉紙を前記開口部から内部に収納する容器本体と、
前記開口部を覆うように前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体の内部に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための取出部を有する蓋体本体と、
前記取出部を被覆した状態と前記取出部を露出した状態とに切り替え可能に前記蓋体本体に設けられている上蓋と、
を備えた衛生用薄葉紙収納容器であって、
前記蓋体本体における前記取出部の周囲には、環状の溝部が設けられており、
前記溝部の内側には前記衛生用薄葉紙を切断するための切断部が設けられており、
前記上蓋の下面側には、前記上蓋が前記取出部を被覆した状態で前記溝部に嵌合するとともに、前記切断部と接触する環状の突起部が設けられていることを特徴とする衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記切断部は、前記溝部の全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記切断部は、その先端が前記溝部から突出しない配置に設けられており、
前記切断部の先端には前記突起部と接触する刃が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記突起部が前記溝部に嵌合した際、前記突起部と前記切断部の少なくとも一部が摺接するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシートやウェットティッシュ等の衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、あるいは人体などを拭くための衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器が使用されている。
例えば、上端収容口を有する容器本体の内部にロール状の衛生用薄葉紙を収容し、その容器本体の上端収容口を覆うように取り付けられる蓋部材に衛生用薄葉紙を引き出すための取出孔が設けられている衛生用薄葉紙収納容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この衛生用薄葉紙収納容器は、蓋部材の取出孔から引き出される衛生用薄葉紙に摩擦抵抗を掛け、ロール状の衛生用薄葉紙に設けられているミシン目にて切り離す構成を有しており、衛生用薄葉紙収納容器から衛生用薄葉紙を1枚ずつ取り出し易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の衛生用薄葉紙収納容器の場合、ロール状の衛生用薄葉紙をミシン目にて切断することなく、複数枚の衛生用薄葉紙を連続して取り出すことが難しく、一度に多くの衛生用薄葉紙を使いたいときでも、ユーザーは1枚ずつ衛生用薄葉紙を取り出さなければならないことがあり煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、ロール状の衛生用薄葉紙を好適に取り出して使用することができる衛生用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
上面に開口部を有し、ロール状の衛生用薄葉紙を前記開口部から内部に収納する容器本体と、
前記開口部を覆うように前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体の内部に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための取出部を有する蓋体本体と、
前記取出部を被覆した状態と前記取出部を露出した状態とに切り替え可能に前記蓋体本体に設けられている上蓋と、
を備えた衛生用薄葉紙収納容器であって、
前記蓋体本体における前記取出部の周囲には、環状の溝部が設けられており、
前記溝部の内側には前記衛生用薄葉紙を切断するための切断部が設けられており、
前記上蓋の下面側には、前記上蓋が前記取出部を被覆した状態で前記溝部に嵌合するとともに、前記切断部と接触する環状の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記切断部は、前記溝部の全周に亘って設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記切断部は、その先端が前記溝部から突出しない配置に設けられており、
前記切断部の先端には前記突起部と接触する刃が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記突起部が前記溝部に嵌合した際、前記突起部と前記切断部の少なくとも一部が摺接するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール状の衛生用薄葉紙を好適に取り出して使用することができる衛生用薄葉紙収納容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
【
図3】衛生用薄葉紙収納容器の取出部に衛生用薄葉紙を挿通させた状態を示す断面図である。
【
図4】衛生用薄葉紙収納容器の切断部を拡大して示す斜視図であり、鋸歯状の刃を有するもの(a)と、片刃状の刃を有するもの(b)である。
【
図5】衛生用薄葉紙収納容器の取出部を示す斜視図である。
【
図6】衛生用薄葉紙収納容器から衛生用薄葉紙を取り出す手順の説明図である。
【
図7】衛生用薄葉紙収納容器の変形例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る衛生用薄葉紙収納容器の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、
図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、衛生用薄葉紙収納容器100において、蓋体2が取り付けられている側を上、その反対側を下、衛生用薄葉紙収納容器100の平面視における手前側を前、その反対側を後、容器の前面を正面視した状態における右手側を右、容器の前面を正面視した状態における左手側を左とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0013】
<実施形態の構成>
(全体構成)
衛生用薄葉紙収納容器100は、例えば、
図1~
図3に示すように、水や薬液などの液体が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙Pを内部に収納する容器本体1と、容器本体1に着脱自在に取り付けられる蓋体2と、蓋体2に着脱自在に取り付けられる取出部3等を備えて構成されている。
蓋体2が、容器本体1に対して着脱可能になっているため、容器本体1から蓋体2を取り外した状態で、容器本体1の内部に衛生用薄葉紙Pを収納したり、内部から衛生用薄葉紙Pを抜き取ったりすることができる。
【0014】
(衛生用薄葉紙)
衛生用薄葉紙Pは、例えば、ロール状に巻かれたウェットシートやウェットティッシュ等の不織布製のロールペーパーである。
この衛生用薄葉紙Pは、例えば、
図3に示すように、上下方向に沿った軸心にロール状に巻かれた状態で容器本体1に収納されている。換言すれば、容器本体1は、衛生用薄葉紙Pの軸心を容器本体1の底面を成す底部1bと略直交させる向きで、その衛星用薄葉紙Pを収納するようになっている。
この容器本体1に収納された衛生用薄葉紙Pは、ロールの中心側から引き出されて取出部3を通じて取り出されるようになっている。
なお、この衛生用薄葉紙Pには、衛生用薄葉紙Pを所定長で切り離すためのミシン目は設けられていない。
【0015】
(容器本体)
容器本体1は、有底円筒形状に形成された容器であり、下面には底部1b、上面には開口部1aが設けられている。この開口部1aから容器本体1の内部に衛生用薄葉紙Pを収納するようになっている。
また、容器本体1の開口部1a近傍の外周面には、
図2に示すように、周方向に沿って雄ネジ部11が設けられている。
容器本体1は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されている。
容器本体1は、平面視において直径50mm~200mmの円形となり、Z軸方向(高さ)45mm~200mm、各面の厚み0.5mm~10mmの円筒形状に形成されている。
【0016】
(蓋体)
蓋体2は、
図1~
図3に示すように、蓋体本体21と上蓋22とから構成されている。
上蓋22は、蓋体本体21に取り付けられている取出部3を被覆した状態と、その取出部3を露出した状態とに切り替え可能に蓋体本体21に設けられている。
この蓋体本体21と上蓋22は一体成型されている。
【0017】
(蓋体本体)
蓋体本体21は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されており、下面が開放された円筒形状をなし、天面部21aと、側面部21bと、天面部21aの平面視内周側に下方に向けて凹状に形成された凹部21cと、取出部3が取り付けられる孔部21dと、孔部21dを囲むように円筒形状に立設された壁部21eと、取出部3の周囲であって壁部21eを囲むように設けられている環状の溝部21fと、溝部21f内に設けられている切断部21g(
図2、
図3参照)と、を備えている。
蓋体本体21は、平面視において直径50mm~200mmの円形となり、Z軸方向(高さ)15mm~50mm、各面の厚み0.5mm~10mmの円筒形状に形成されている。
【0018】
また、側面部21bの下端部の内周面には、容器本体1の雄ネジ部11と螺合する雌ネジ部211が設けられている。これによって、
図2に示すように容器本体1と蓋体2は、雄ネジ部11と雌ネジ部211を介した着脱自在な連結構造をとり、容器本体1から蓋体2を取り外すことが可能となっている。
【0019】
(蓋体の凹部)
凹部21cは、閉塞時の上蓋22と平面視における形状が略一致し、上蓋22を嵌めることができるように形成されている。また、凹部21cは、前端部が平面視において上蓋22よりも大きく、上蓋22が嵌め込まれた状態でも若干の隙間が残るように形成されている。これによって、当該隙間を利用して上蓋22に指を掛けることが可能となる。
【0020】
(孔部)
孔部21dは、蓋体本体21(天面部21a)の平面視略中央に平面視円形に形成された、衛生用薄葉紙収納容器100の内部に通じる孔であり、平面視において、取出部3より僅かに小さく形成され、後述のように孔部21dには取出部3が固定される。
【0021】
(壁部)
壁部21eは、孔部21dを囲み、円筒形状を呈して形成されている。壁部21eは、その外径が上蓋22の円筒形状の突起部22a(後述)の内径と同一か、ごく僅かに小さくなるように形成されている。
【0022】
(溝部)
溝部21fは、取出部3の周囲を囲うように設けられている環状溝であり、上蓋22の下面に設けられている環状の突起部22a(後述)が嵌合可能なサイズ(径)を有している。
ここでの溝部21fは、壁部21eの外周に沿って設けられている。
【0023】
(切断部)
切断部21gは、衛生用薄葉紙Pを切断するための部位であり、溝部21fの内側に設けられている。
この切断部21gは、溝部21fの全周に亘って設けられている。つまり、切断部21gは、環状であって略円筒形状に形成されている。ここでの切断部21gは、先端を上に向けて形成されている。
特に、切断部21gは、その先端が溝部21fから突出しない配置に設けられており、切断部21gの先端には、上蓋22の突起部22a(後述)と接触する刃が設けられている。
この切断部21gの先端が溝部21fから外側に出ない配置に設けられていることで、ユーザーが衛生用薄葉紙収納容器100から衛生用薄葉紙Pを取り出す際に、ユーザーの指などが切断部21gの刃に触れてしまうことがない。
【0024】
例えば、切断部21gとしては、
図4(a)に示すように、鋸歯状の刃(ジグザグ状の刃)を有するものや、
図4(b)に示すように、先端側ほど薄くなる片刃状の刃を有するものを採用することができる。なお、両刃状の刃を有するものでもよい。
そして、後述する上蓋22の閉塞時において、その上蓋22の突起部22a(後述)が溝部21fに嵌合した際、
図4(a)(b)に示すように、溝部21f内の切断部21gと突起部22aの少なくとも一部が摺接するようになっている。
ここでは、切断部21gの外周側の全域に亘って突起部22aが摺接する態様を図示しているが、切断部21gの内周側の全域に亘って突起部22aが摺接する態様であってもよい。
【0025】
切断部21gは、蓋体本体21と同じ材料で蓋体本体21と一体に形成されている。
この切断部21gが蓋体本体21と一体成型されていることで、効率よく(生産性よく)衛生用薄葉紙収納容器100を製造することができる。
なお、切断部21gは、蓋体本体21と一体に形成された樹脂材料製であることに限らない。
例えば、切断部21gは蓋体本体21とは別体の部材であって、金属製の切断部21gが溝部21f内に配設されたものでもよい。
切断部21gが蓋体本体21とは別体の部材であれば、蓋体本体21と一体成型し難い形状の切断部を採用することが可能になる。
【0026】
(上蓋)
上蓋22は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成され、基端部が蓋体本体21と連結されている。
この上蓋22が蓋体本体21と連結されている基端部が上蓋22の回動軸22bとして機能するようになっている。
そして、上蓋22は、蓋体本体21に取り付けられている取出部3を被覆する閉蓋と、その取出部3を露出する開蓋を切り替えるように回動するようになっている。
また、上蓋22は、閉塞時の平面視における形状が凹部21cと略一致し、閉塞時に凹部21cに嵌めることができるように形成されている。
この上蓋22には、閉塞時における下面から突出した環状の突起部22aが設けられている。
【0027】
(突起部)
突起部22aは、上蓋22の下面側に設けられており、上蓋22が取出部3を被覆した状態で溝部21fに嵌合するとともに、切断部21gと接触するようになっている。
この突起部22aは、上蓋22の閉塞時において下方に向けて延出する円筒形状に形成されている。また、円筒形状を呈している環状の突起部22aは、その内径が壁部21eの外径と同一か、ごく僅かに大きくなるように形成されている。
【0028】
そして、上蓋22の閉塞時において、環状の突起部22aが環状の溝部21fに嵌合した状態で、突起部22aと壁部21eとが密着するようになっている。
この突起部22aと壁部21eの密着によって、突起部22aと壁部21eとで囲まれた空間、ひいては当該空間と孔部21dを介して繋がる衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができる。
なお、本実施形態では、蓋体本体21の溝部21fと上蓋22の突起部22aとを嵌合させることによって、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つよう構成しているが、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができれば、上記と異なる構成とすることも可能である。
また、収納する衛生用薄葉紙が薬液等を染み込ませたものでなく、乾燥を防ぐ必要がない場合には、このような気密構造を有していなくてもよい。
【0029】
(取出部)
取出部3は、例えば、
図5に示すように、平面視において円形となる略円柱状に形成された弾性変形可能な部材であり、例えば、射出成型により形成することができる。
この取出部3は、容器本体1の内部に収納された衛生用薄葉紙Pを取り出すための部材である。
具体的には、取出部3は、平面視中央部に形成された内部底面を有する凹部31と、側面に形成された括れ部32と、凹部31の略中央に形成された取出孔33と、を備えている。
この取出部3は、平面視において、蓋体本体21の直径の10分の1以上、3分の1以下の孔部21dより僅かに大きい円形を有している。
【0030】
(取出部の凹部)
凹部31は、取出部3の上面において、周縁部を残して、上面視円形状に下方に向けて凹状となるように形成されている。この凹部31の深さ(Z軸方向の深さ)は、2mm~10mmとなるように形成されている。
また、凹部31は、その内部底面が平面となるように形成されている。
【0031】
(括れ部)
括れ部32は、取出部3の側面の上下方向略中央部を周方向に沿って周回するようにして、平面視において取出部3の直径の20分の1以上、10分の1以下の深さとなるように径方向に凹んだ溝状に形成される。また、この括れ部32のZ軸方向の寸法は、0.5mm~3.0mmとなるように形成されている。
上記のように取出部3は、平面視において孔部21dより僅かに大きく形成されているため、この括れ部32に孔部21dの縁を嵌め込むことによって、取出部3を蓋体本体21に固定することが可能となる。
【0032】
(取出孔)
取出孔33は、容器本体1の内部に収納された衛生用薄葉紙Pを取り出すための孔である。
取出孔33は、下面側から挿通された衛生用薄葉紙Pを、その先端側の端部が取出部3の上面(凹部31の内部底面)から突出した状態として保持する。
衛生用薄葉紙Pの先端が取出部3の上面から突出した状態であるとき、その突出量としては、10mm~30mm、好ましくは13mm~20mmである。この突出量であれば、一般的なユーザーの手指で摘みやすく、取出し作業を容易に行うことができる。
【0033】
取出孔33は、典型的には平面視にて略円形の小孔33aと、小孔33aを中心に放射状に形成された複数のスリット33bとを有している。なお、ここでいう「略円形」とは、真円を含むのは勿論のこと、楕円や歪んだ円形なども含むものとする。
本実施形態では、例えば、
図5に示すように、小孔33aの周囲に4本のスリット33bが設けられている。各スリット33bは小孔33aの周囲に90°間隔で設けられている。
小孔33aの直径は、1.0mm~5.0mm、好ましくは2.0mm~4.0mmに形成されている。小孔33aの直径が大きすぎると次のシートが保持されず落ち込んでしまい、小さすぎると取出しの際に力を多く必要とする。
【0034】
この取出孔33によって、取出孔33から引き出される衛生用薄葉紙Pに抵抗が掛けられるようになっており、その取出孔33には、次に引き出す衛生用薄葉紙Pの端部が突出した状態で保持されるようになっている。
このように、小孔33aと複数のスリット33bとからなる取出孔33であれば、取出孔33における衛生用薄葉紙Pの保持の確実性と、その取出孔33に保持されている衛生用薄葉紙Pを引き出す容易性を両立させることができる。
なお、
図5では、4本のスリット33bを形成した場合を図示して説明したが、取出孔33の形状としてはこれに限られず、上記の機能を果たすことが可能であれば任意の数のスリット33bを形成してもよい。つまり、真円や楕円の小孔33aと、任意の数のスリット33bを組み合わせた取出孔33であってよい。
【0035】
<実施形態の作用>
上述した衛生用薄葉紙収納容器100の蓋体本体21における取出部3の周囲には環状の溝部21fが設けられており、その溝部21f内には衛生用薄葉紙Pを切断するための切断部21gが設けられている。
また、蓋体本体21における上蓋22の下面側には、上蓋22が閉蓋されて取出部3を被覆した状態で溝部21fに嵌合するとともに、溝部21f内の切断部21gと接触する環状の突起部22aが設けられている。
【0036】
このような衛生用薄葉紙収納容器100の取出部3(取出孔33)から衛生用薄葉紙Pを引き出し、例えば
図6に示すように、その衛生用薄葉紙Pを蓋体本体21の凹部21cよりも外側に引き出した状態で上蓋22を閉蓋して、上蓋22の突起部22aを蓋体本体21の溝部21fに嵌合させるようにすれば、突起部22aと切断部21gとに挟まれる衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
特に、上蓋22の閉塞時に、その上蓋22の突起部22aが溝部21fに嵌合した際、溝部21f内の切断部21gと突起部22aとが摺接するようになっているので、突起部22aと切断部21gとで挟む衛生用薄葉紙Pを比較的鋭利に切断することができる。
【0037】
このように、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100であれば、その取出部3(取出孔33)から引き出した衛生用薄葉紙Pを上蓋22と蓋体本体21とで挟み込むようにして、突起部22aと切断部21gとで衛生用薄葉紙Pを挟んで切断することができる。
そして、ユーザーは、衛生用薄葉紙収納容器100から所望する長さの衛生用薄葉紙Pを引き出して、その衛生用薄葉紙Pを任意の箇所で切断することができる。
つまり、ユーザーは、衛生用薄葉紙収納容器100からロール状の衛生用薄葉紙Pを任意の長さ引き出した後に上蓋22を閉じ、衛生用薄葉紙Pを上蓋22と蓋体本体21とで挟むようにして、衛生用薄葉紙Pを任意の長さで切断することができる。
例えば、僅かな汚れをさっと拭き取るような場合は、比較的短く衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、衛生用薄葉紙Pを二つ折りにして、或いは折り畳まずに使用することができる。
また例えば、こびり付いた汚れをしっかりと拭き取るような場合は、比較的長く衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、衛生用薄葉紙Pを三つ折りや四つ折りなどにして使用することができる。
このようにして、ユーザーが所望する長さの衛生用薄葉紙Pを好適に取り出して使用することができる。
【0038】
なお、衛生用薄葉紙収納容器100から引き出した衛生用薄葉紙Pを上蓋22と蓋体本体21とで挟み込むようにして切断する際に、その衛生用薄葉紙Pを引っ張るようにすれば、上蓋22の突起部22aと蓋体本体21の切断部21gとで挟む衛生用薄葉紙Pを切り裂き易くなる。
このとき、上蓋22を蓋体本体21に対して押え込み、上蓋22の突起部22aと蓋体本体21の切断部21gとを強く接触させるようにすることで、衛生用薄葉紙Pをより一層切り裂き易くなる。
つまり、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100において、取出部3(取出孔33)から引き出した衛生用薄葉紙Pを、上蓋22を閉蓋する動作のみで切断してもよいが、上蓋22を閉蓋し、上蓋22と蓋体本体21とで衛生用薄葉紙Pを挟み込んだ後に、その衛生用薄葉紙Pを引っ張ったり、上蓋22を蓋体本体21に対して押え込んだりする動作を加えるようにして、衛生用薄葉紙Pを切り裂くように切断してもよい。
【0039】
ところで、上記従来技術(特許文献1;特開2021-11299号公報)のように、ロール状に巻かれた長尺な衛生用薄葉紙を所定長毎に切り離し易くするため、所定間隔毎にミシン目が設けられている衛生用薄葉紙が用いられることがある。
しかしながら、衛生用薄葉紙は、衛生用薄葉紙を構成する不織布に配合されている繊維の種類やその配合比、また不織布の厚みなどに応じてその強度(例えば引裂強度)が異なるので、衛生用薄葉紙を好適に切り離すためには、各種衛生用薄葉紙毎に設けるミシン目の強さを適正な値に調整する必要がある。
上記従来技術では、衛生用薄葉紙収納容器の取出孔において衛生用薄葉紙に掛けられる摩擦抵抗によって衛生用薄葉紙がミシン目で切り離されるように、そのミシン目の強さが調整されている。例えば、ミシン目の強さは、ミシン目を構成する連続した小穴の大きさや小穴の間隔によって調整することができる。具体的には、ミシン目を構成する連続した小穴を大きくする程、そのミシン目で切り離し易くなり、ミシン目を構成する連続した小穴の間隔を短くする程、そのミシン目で切り離し易くなる。
このようなミシン目の強さを適正な値にするように、様々な用途に応じて生産される各種衛生用薄葉紙毎に調整するのは煩雑であるが、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100のように、蓋体2に切断部21gなどを設けて衛生用薄葉紙Pを任意の箇所で切断することを可能にしたことで、衛生用薄葉紙Pにミシン目を設ける必要がなくなり、ミシン目の強度調整も不要になる。
つまり、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100であれば、衛生用薄葉紙Pにミシン目を設ける工程が不要であり、特にミシン目の強さを適正な値に調整するための試験や検討(検証)が不要になるので、生産性よく衛生用薄葉紙収納容器100を製造することができる。
【0040】
<実施形態の効果>
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器は、上面に開口部1aを有し、ロール状の衛生用薄葉紙Pをその開口部1aから内部に収納する容器本体1と、開口部1aを覆うように容器本体1に着脱自在に取り付けられ、容器本体1の内部に収納された衛生用薄葉紙Pを取り出すための取出部3を有する蓋体本体21と、取出部3を被覆した状態と取出部3を露出した状態とに切り替え可能に蓋体本体21に設けられている上蓋22と、を備えた衛生用薄葉紙収納容器100であって、蓋体本体21における取出部3の周囲には、環状の溝部21fが設けられており、その溝部21fの内側には衛生用薄葉紙Pを切断するための切断部21gが設けられており、上蓋22の下面側には、上蓋22が取出部3を被覆した状態で溝部21fに嵌合するとともに、切断部21gと接触する環状の突起部22aが設けられている。
【0041】
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100はこのような構成を有しており、取出部3(取出孔33)から所望する長さの衛生用薄葉紙Pを引き出した状態で上蓋22を閉蓋し、上蓋22の突起部22aを蓋体本体21の溝部21fに嵌合させるようにすれば、突起部22aと切断部21gとで挟む衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
こうして所望する長さの衛生用薄葉紙Pを衛生用薄葉紙収納容器100から好適に取り出して使用することができる。
【0042】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
溝部21fに設けられている切断部21gは、その先端(刃)を上に向けて配設されていることに限らず、例えば、
図7に示すように、切断部21gの先端(刃)が側方に向けられていてもよい。
このような切断部21gであっても、環状の溝部21fに嵌合した環状の突起部22aと接触するようになっており、切断部21gと突起部22aとで挟む衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
このような切断部21gを有する衛生用薄葉紙収納容器100であっても、上蓋22を閉蓋して、上蓋22の突起部22aを蓋体本体21の溝部21fに嵌合させるようにすれば、突起部22aと切断部21gとで挟む衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
なお、
図7においては、溝部21fの外周側の内壁に環状の切断部21gが設けられ、その先端(刃)を溝部21fの内周側の内壁に向けて配設されている態様を図示しているが、溝部21fの内周側の内壁に環状の切断部21gを設け、その先端(刃)を溝部21fの外周側の内壁に向けて配設するようにしてもよい。
【0043】
以上のように、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100であれば、ロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に取り出して使用することができる。
【0044】
なお、上記の実施形態においては、容器に収納する衛生用薄葉紙Pにはミシン目が設けられていないとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロール状に巻かれた衛生用薄葉紙Pにはその長さ方向に所定間隔毎にミシン目が設けられていてもよい。
その場合、そのミシン目に沿って切り離した衛生用薄葉紙Pを使用することと、ミシン目のない箇所で切断した衛生用薄葉紙Pを使用することが可能になる。
【0045】
また、上記の実施形態においては、切断部21gは溝部21fの全周(360°)に亘って設けられているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、溝部21fの半周程度の範囲に切断部21gが設けられていてもよい。
衛生用薄葉紙収納容器100の上蓋22が開蓋された状態で、衛生用薄葉紙Pを後方に引き出すようなことは行い難いので、環状の溝部21fの前方寄りの範囲であって、溝部21fの1/2(180°)~2/3(240°)の範囲に切断部21gが設けられていれば、その切断部21gと突起部22aとで前方に引き出した衛生用薄葉紙Pを挟んで切断することができる。
【0046】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
1a 開口部
1b 底部
11 雄ネジ部
2 蓋体
21 蓋体本体
21a 天面部
21b 側面部
21c 凹部
21d 孔部
21e 壁部
21f 溝部
21g 切断部
211 雌ネジ部
22 上蓋
22a 突起部
22b 回動軸
3 取出部
31 凹部
32 括れ部
33 取出孔
33a 小孔
33b スリット
100 衛生用薄葉紙収納容器
P 衛生用薄葉紙