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特開2024-30790文字変換装置、文字変換方法、および文字変換プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030790
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】文字変換装置、文字変換方法、および文字変換プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/129 20200101AFI20240229BHJP
【FI】
G06F40/129
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133922
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 博彬
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109ME21
(57)【要約】
【課題】絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】記憶部には、1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字が登録されている。取得部が、複数の入力ワードを取得する。候補取得部が、取得部が取得した複数の入力ワードで記憶部に登録されている特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する。出力部が、候補取得部が候補として取得した特殊文字を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字を登録した記憶部と、
複数の入力ワードを取得する取得部と、
前記取得部が取得した複数の前記入力ワードで前記記憶部に登録されている前記特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する候補取得部と、
前記候補取得部が候補として取得した特殊文字を出力する出力部と、を備えた文字変換装置。
【請求項2】
前記取得部は、入力文字列を区切ることで分割した個々の文字列を前記入力ワードとして取得する、請求項1に記載の文字変換装置。
【請求項3】
前記記憶部は、登録されている前記特殊文字毎に、その特殊文字の属性が対応づけられ、
前記取得部は、複数の入力ワードとともに、前記特殊文字の属性を取得し、
前記候補取得部は、前記取得部が取得した複数の前記入力ワード、および前記特殊文字の属性で前記記憶部に登録されている前記特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する、請求項1、または2に記載の文字変換装置。
【請求項4】
前記候補取得部は、対応づけられている複数のワードに、前記取得部が取得した全ての入力ワードを含んでいる前記特殊文字を候補として取得する、請求項1、または2に記載の文字変換装置。
【請求項5】
前記候補取得部が候補として取得した前記特殊文字が表示器に表示されるときの並びを決定する決定部を備えた請求項1、または2に記載の文字変換装置。
【請求項6】
前記決定部は、対応づけられているワードに含まれる、前記取得部が取得した前記入力ワードの個数が多い前記特殊文字ほど、前記表示器に表示されるときの並びを上位に決定する、請求項5に記載の文字変換装置。
【請求項7】
前記決定部は、対応づけられているワードに含まれる、前記取得部が取得した前記入力ワードの個数が同じである前記特殊文字については、対応づけられているワードの個数が少ない前記特殊文字ほど、前記表示器に表示されるときの並びを上位に決定する、請求項6に記載の文字変換装置。
【請求項8】
前記特殊文字は、絵文字である請求項1、または2に記載の文字変換装置。
【請求項9】
複数の入力ワードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した複数の前記入力ワードで、記憶部に登録されている1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する候補取得ステップと、
前記候補取得ステップで候補として取得した特殊文字を出力する出力ステップと、
をコンピュータが実行する文字変換方法。
【請求項10】
複数の入力ワードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した複数の前記入力ワードで、記憶部に登録されている1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する候補取得ステップと、
前記候補取得ステップで候補として取得した特殊文字を出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させる文字変換プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絵文字、顔文字等の特殊文字を入力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置において実行されるアプリケーションプログラム(以下、単にアプリと言う。)には、文字入力が行われるものがある。ここで言う、情報処理装置は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型端末に限らず、デスクトップパソコン等の据え置き型コンピュータ等を含んでいる。ユーザが文字入力を行うアプリには、SNS(Social Networking Service)でコメント等を投稿するSNSアプリ、電子メールを送受信するメールアプリ、Web検索を行う検索アプリ等がある。
【0003】
情報処理装置における文字入力処理について、日本語を例にして簡単に説明する。ユーザが、入力したい文字列(所望の文字列)の読み(発音表記)を入力文字列として入力する。情報処理装置は、公知のかな漢字変換処理によって得られた、入力文字列(すなわち、読み)に対応する変換候補(候補文字列)をユーザに提示する。ユーザは、提示された変換候補を確認し、所望の文字列(入力する文字列)があれば、その所望の文字列を選択する操作を行う。情報処理装置は、ユーザが選択した変換候補を、ユーザによって入力された文字列(確定文字列)として確定する。
【0004】
また、入力文字列に対する変換候補が多い場合、ユーザが、提示された変換候補の中から所望の変換候補を探し(確認し)、選択する操作が煩雑になる。このような場合におけるユーザ操作を簡単にする技術がある(特許文献1参照)。特許文献1は、画数、表示時の画素数、文字数、文字の習得レベル等の属性がユーザによって指定された場合、提示する変換候補を指定された属性に絞る構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-144272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザが入力したい文字には、絵文字、顔文字等の特殊文字がある。特殊文字は、近年急激に増加しており、属性によって絞り込みを行うだけでは、ユーザに提示する変換候補(特殊文字)を十分に絞り込むのが困難であった。すなわち、特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を向上させる技術が望まれている。
【0007】
この発明の目的は、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の文字変換装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0009】
記憶部には、1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字が登録されている。ここで言う特殊文字は、例えば絵文字、および顔文字である。絵文字とは、文字のように用いられる絵であり、状況や感情等を象徴的に示す絵である。また、顔文字とは、文字、記号を用いた文字列で状況や感情等を示す顔等を表現したものである。これらの特殊文字は、その特殊文字が示す状況や感情等を示す複数のワード(語彙)を対応づけて記憶部に登録している。
【0010】
取得部が、複数の入力ワードを取得する。例えば、取得部は、ユーザの入力操作によって入力された一連の文字列を語彙で分割する。例えば、取得部は、入力された文字列が「はーとすき」であった場合、「はーと」、「すき」の2つの語彙に分割し、これら2つの語彙を入力ワードとして取得する。また、この構成では、入力ワードを特定の記号(例えば、「/」)で区切ってユーザに入力させる構成であってもよい。例えば、取得部は、ユーザによって入力された文字列が「はーと/すき」であった場合、この特定記号で区切られた語彙毎に、その語彙(この例では、「はーと」、「すき」)を入力ワードとして取得する。
【0011】
候補取得部が、取得部が取得した複数の入力ワードで記憶部に登録されている特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する。例えば、候補取得部は、対応づけられている複数のワードに、取得部が取得した全ての入力ワードを含んでいる特殊文字を候補として取得する。また、例えば、候補取得部は、対応づけられている複数のワードに、取得部が取得した所定数の入力ワードを含んでいる特殊文字を候補として取得する。この所定数は、予め定めた個数であってもよいし、取得部が取得した入力ワードの個数に応じて定められる個数であってもよい。
【0012】
出力部は、候補取得部が候補として取得した特殊文字を出力する。
【0013】
この構成によれば、ユーザは、絵文字、顔文字等の特殊文字を入力するとき、所望の特殊文字(入力したい特殊文字)が示す状況や感情等を示すワードを、入力ワードとして複数入力することで、出力される(提示される)特殊文字を絞り込むことができる。すなわち、ユーザは、複数の入力ワードを入力する入力操作を行うことによって、所望の特殊文字(入力した特殊文字)の絞り込みが行える。これにより、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を向上させることができる。
【0014】
記憶部が、特殊文字毎に、その特殊文字に属性を対応づけて記憶する構成であってもよい。ここで言う属性は、例えば、ポジティブ(楽観)、ネガティブ(悲観)、ニュートラル(楽観、悲観のどちらでもない中立)等の状態である。この場合、取得部は、入力ワードとともに、特殊文字の属性を取得し、候補取得部は、取得部が取得した複数の入力ワード、および特殊文字の属性で記憶部に登録されている特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する。
【0015】
このように構成すれば、ユーザは、所望の特殊文字(入力した特殊文字)の絞り込みが、入力ワードだけでなく、属性によっても行える。これにより、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を一層向上させることができる。
【0016】
また、候補取得部が候補として取得した特殊文字が表示器に表示されるときの並びを決定する決定部を備えてもよい。この決定部は、例えば、対応づけられているワードに含まれる、取得部が取得した入力ワードの個数が多い特殊文字ほど、表示器に表示されるときの並びを上位に決定すればよい。また、この場合、決定部は、対応づけられているワードに含まれる、取得部が取得した入力ワードの個数が同じである特殊文字については、例えば、対応づけられているワードの個数が少ない特殊文字ほど、表示器に表示されるときの並びを上位に決定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(A)は、この例の文字変換装置を適用した携帯端末を示す概略図であり、図1(B)は、ユーザによって入力された入力文字列が「はーと」であった場合に出力される候補の例であり、図1(C)は、ユーザによって入力された入力文字列が「すき」であった場合に出力される候補の例である。
図2】特殊文字である絵文字の絵文字登録データを示す図である。
図3】この例の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図4】この例の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。
図5】変形例1の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。
図6】変形例2の携帯端末が記憶する絵文字登録データを示す図である。
図7】変形例2の文字変換装置を適用した携帯端末を示す概略図である。
図8】変形例2の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。
図9】変形例3の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図10】変形例3の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。
図11図11(A)は、「heart love」と入力された場合の絵文字の変換候補を示す図であり、図11(B)は、「heart」と入力された場合の絵文字の変換候補を示す図であり、図11(C)は、「love」と入力された場合の絵文字の変換候補を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0020】
<1.適用例>
図1(A)は、この例の文字変換装置を適用した携帯端末を示す概略図である。図1では、携帯端末1として、一般的なスマートフォンを例示しているが、携帯端末1は、スマートフォンに限らずタブレット端末等の他の種類であってもよい。また、この例の文字変換装置は、携帯端末1に限らず、例えばパーソナルコンピュータ(PC)(ノートパソコン、デスクトップパソコン等)の情報処理装置にも適用できる。
【0021】
この例の携帯端末1では、公知のかな漢字変換を利用した文字の入力、および絵文字、顔文字等の特殊文字の入力が行える。ここで言う絵文字とは、文字のように用いられる絵であり、状況や感情等を象徴的に示す絵である。また、顔文字とは、文字、記号を用いた文字列で状況や感情等を示す顔等を表現したものである。
【0022】
この例では、特殊文字として、絵文字を入力する場合を例にして説明する。かな漢字変換を利用した文字の入力については、公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0023】
この例の携帯端末1は、図1(A)に示すように、表示器の画面を分割し、キー表示領域2、入力文字列表示領域3、候補表示領域4、および確定文字列表示領域5を形成している。
【0024】
キー表示領域2には、ソフトウェアキーボードにかかるキー画像が表示される。
【0025】
入力文字列表示領域3には、ユーザの入力操作により入力された文字列(入力文字列)が表示される。図1(A)に示す例では、入力文字列表示領域3に表示されている「はーとすき」が入力文字列である。
【0026】
候補表示領域4には、入力文字列表示領域3に表示されている入力文字列に応じた変換候補(この発明で言う、候補に相当する。)が表示される。図1(A)に示す例では、入力文字列表示領域3に表示されている入力文字列(「はーとすき」)に応じた絵文字の変換候補が候補表示領域4に表示されている場合を例示している。
【0027】
確定文字列表示領域5には、確定された文字列、およびその時点で選択されている変換候補(未確定の文字列)が表示される。図1(A)に示す例では、確定文字列表示領域5に表示されている文字は、この時点で選択されている未確定の絵文字(図1(A)において、破線で囲んでいる絵文字)である。図1に示す例では、確定文字列表示領域5には、確定文字列が表示されていない。
【0028】
携帯端末1は、絵文字毎に、その絵文字に対応付けられているワードを対応づけた絵文字登録データを記憶している。図2は、絵文字登録データを示す図である。絵文字には、対応付けられているワードが1つのものもあれば、2つ以上のものもある。
【0029】
なお、携帯端末1は、特に図示していないが、顔文字毎に、その顔文字に対応付けられているワードを対応づけた顔文字登録データも記憶している。顔文字は、例えば、
[( ^ω^)おっは]、[(゛ω゛)今起きたぁ・・・]、[(^^)/オハヨー]
等である。顔文字登録データは、図2に示す絵文字を顔文字に置き換えたものである。
【0030】
この例の携帯端末1は、ユーザによって入力された入力文字列を、語彙単位で区切ることによって、入力ワードを取得する。例えば、この例の携帯端末1は、入力文字列が、「はーとすき」であった場合、「はーと」と「すき」の2つの語彙に区切り、ここで区切った各語彙(「はーと」、「すき」)を入力ワードとして取得する。
【0031】
携帯端末1は、絵文字登録データを検索し、対応づけられているワードの中に、今回取得した全ての入力ワードが含まれている絵文字を変換候補として抽出する。携帯端末1は、抽出した絵文字の変換候補を候補表示領域4に表示する。
【0032】
また、携帯端末1は、候補表示領域4に表示されている候補であって、その時点で選択されている候補を確定文字列表示領域5に表示する。携帯端末1は、ユーザによって確定キーが操作されると、その時点において選択されていた候補を、確定文字に確定する。
【0033】
このように、この例の携帯端末1では、複数の入力ワードが、一連の文字列の入力により行える。言い換えれば、ユーザは、一連の文字列を入力する入力操作を行うことによって、複数の入力ワードを入力できる。また、携帯端末1は、ユーザによって入力された複数の入力ワードを用いて、当該ユーザに対して提示(出力)する絵文字の候補を絞り込む。すなわち、ユーザは、一連の文字列で、所望の絵文字(入力したい絵文字)に対応付けられている2つ以上のワードを入力する、という簡単な操作で、この所望の絵文字の絞り込みを携帯端末1に行わせることができる。したがって、この例の携帯端末1は、絵文字の入力にかかるユーザの操作性を向上できる。
【0034】
<2.構成例>
図3は、この例の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。この例の携帯端末1は、制御ユニット11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14とを備えている。また、この例の携帯端末1は、特に図示していないが、一般的なスマートフォンに備えられている、ネットワーク(例えば、公衆回線網や、インタネット)を介して接続された相手局との間で、音声通信、ビデオ通信、データ通信等を行う通信部、被写体を撮像するカメラ等の撮像部、GPSで現在位置を測位する測位部等の公知の構成を備えていてもよいし、これらの構成の一部、または全部を備えていなくてもよい。
【0035】
制御ユニット11は、携帯端末1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、入力文字列取得部11a、入力ワード取得部11b、候補取得部11c、および候補出力部11dを有している。制御ユニット11が有する、入力文字列取得部11a、入力ワード取得部11b、候補取得部11c、および候補出力部11dについては後述する。
【0036】
記憶部12は、図2に示した絵文字登録データや、上記した顔文字登録データを記憶する。記憶部12は、公知のかな漢字変換で用いる辞書を記憶する。記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってもよいし、SSD(Solid State Drive)であってもよいし、他の記憶媒体であってもよい。
【0037】
操作部13は、表示器の画面に貼付されたタッチパネルや、操作ボタンを有している。
【0038】
表示部14は、表示器を有し、この表示器における画面表示を制御する。
【0039】
次に、制御ユニット11が有する入力文字列取得部11a、入力ワード取得部11b、候補取得部11c、および候補出力部11dについて説明する。
【0040】
入力文字列取得部11aは、ユーザの入力操作によって入力された入力文字列を取得する。この例の携帯端末1では、ユーザは、表示器の画面に表示されたソフトウェアキーボードのキー操作によって文字列を入力する。
【0041】
入力ワード取得部11bは、入力文字列取得部11aが取得した入力文字列を語彙単位で区切ることによって、入力ワードを取得する。例えば、この例の携帯端末1の入力ワード取得部11bは、入力文字列取得部11aが取得した入力文字列が、「はーとすき」であった場合、この入力文字列を「はーと」と「すき」の2つの語彙に区切り、ここで区切った各語彙(「はーと」、「すき」)を入力ワードとして取得する。
【0042】
候補取得部11cは、変換候補として絵文字を取得する場合、記憶部12に記憶している絵文字登録データを、入力ワード取得部11bが取得した入力ワードで検索し、該当する絵文字を抽出する。該当する絵文字とは、この例では、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている絵文字である。
【0043】
また、候補取得部11cは、変換候補として顔文字を取得する場合、記憶部12に記憶している顔文字登録データを、入力ワード取得部11bが取得した入力ワードで検索し、該当する顔文字を抽出する。該当する顔文字とは、この例では、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている顔文字である。
【0044】
なお、候補取得部11cは、例えば、ユーザが絵文字キーを操作した場合に、変換候補として絵文字を取得すると判定し、ユーザが顔文字キーを操作した場合に、変換候補として顔文字を取得すると判定する。絵文字キー、および顔文字キーについては、例えば、表示器の画面に表示すればよい。また、候補取得部11cは、絵文字キー、または顔文字キーが操作されなかった場合、公知のかな漢字変換で変換候補を取得する。
【0045】
候補出力部11dは、候補取得部11cが取得した変換候補を出力する。候補出力部11dが出力した変換候補は、候補表示領域4に表示される。
【0046】
携帯端末1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字変換プログラムを実行したときに、入力文字列取得部11a、入力ワード取得部11b、候補取得部11c、および候補出力部11dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる文字変換プログラムを展開する領域や、この文字変換プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字変換方法を実行するコンピュータである。
【0047】
<3.動作例>
図4は、この例の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。携帯端末1は、ユーザによる文字列の入力操作を待つ(s1)。ユーザは、表示器の画面に表示されたソフトウェアキーボードのキーを押下することにより、文字列(入力文字列)を入力する。
【0048】
入力文字列取得部11aが、ユーザによって入力された入力文字列を取得する(s2)。入力ワード取得部11bが、s2で取得した入力文字列を語彙に分割する(s2、s3)。例えば、入力ワード取得部11bは、入力文字列取得部11aがs2で取得した入力文字列が「はーとすき」であった場合、「はーと」、「すき」の2つの語彙に分割し、分割した2つの語彙「はーと」、「すき」を入力ワードとして取得する。
【0049】
携帯端末1は、公知のかな漢字変換処理を実行し(s4)、s3で分割した語彙毎に、その語彙の変換候補を抽出する(s5)。
【0050】
また、携帯端末1は、絵文字キーが操作されると(s6)、候補取得部11cが記憶部12に記憶している絵文字登録データを、入力文字列を分割して取得し入力ワードで検索し(s7)、該当する絵文字を抽出する(s8)。該当する絵文字とは、この例では、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている絵文字である。
【0051】
また、携帯端末1は、絵文字キーではなく、顔文字キーが操作されると(s9)、候補取得部11cが記憶部12に記憶している顔文字登録データを、入力文字列を分割して取得し入力ワードで検索し(s10)、該当する顔文字を抽出する(s11)。該当する顔文字とは、この例では、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている顔文字である。
【0052】
候補出力部11dは、s5、s8、s11のいずれかで抽出された変換候補を出力する(s12)。候補出力部11dは、s8で絵文字の変換候補を抽出しておらず、且つs11で顔文字の変換候補を抽出していない場合、s5で抽出した変換候補を出力する。また、候補出力部11dは、ユーザが直前に押下したキーが絵文字キーである場合、s8で抽出した絵文字を変換候補として出力する。また、候補出力部11dは、ユーザが直前に押下したキーが顔文字キーである場合、s11で抽出した顔文字を変換候補として出力する。候補出力部11dがs12で出力した変換候補は、候補表示領域4に表示される。
【0053】
携帯端末1は、ユーザが確定操作を行うまで(s13)、上記したs6~s12にかかる処理を繰り返す。したがって、ユーザは、絵文字を入力しようと思い、絵文字キーを押下した後に、顔文字キーを押下することによって、顔文字の入力に変更することもできれば、反対に、顔文字を入力しようと思い、顔文字キーを押下した後に、絵文字キーを押下することで、絵文字の入力に変更することもできる。
【0054】
携帯端末1は、ユーザが確定操作を行うと、確定処理を行い(s14)、s1に戻る。ここで言う確定操作とは、ユーザがs12で出力された変換候補に対して、所望の変換候補(入力する絵文字、顔文字、または文字列)を選択し、選択した変換候補を確定する操作(確定キーを押下する操作)である。確定処理では、今回確定された確定文字(絵文字、顔文字を含む)を、確定文字列表示領域5に確定文字として表示する処理である。
【0055】
このように、この例の携帯端末1では、ユーザは、一連の文字列で複数の入力ワードを入力することで、提示される絵文字や顔文字等の特殊文字の変換候補を絞り込むことができる。したがって、ユーザは、提示された変換候補に対して、所望の変換候補(特殊文字)を探しやすくなる。すなわち、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性が向上される。
【0056】
<4.変形例>
・変形例1
上記の例は、ユーザが、絵文字を入力したいときに、絵文字キーを押下し、顔文字を入力したいときに、顔文字キーを押下するものであった。この変形例1では、ユーザが、絵文字を入力したい場合、入力文字列に「えもじ」を含ませ、顔文字を入力したい場合、入力文字列に「かおもじ」を含ませる。例えば、ユーザは、「はーと」、および「すき」が対応づけられている絵文字を入力したい場合、一連の入力文字列として「はーとすきえもじ」を入力する。また、ユーザは、「はーと」、および「すき」が対応づけられている顔文字を入力したい場合、一連の入力文字列として「はーとすきかおもじ」を入力する。
【0057】
なお、「えもじ」や「かおもじ」は、ユーザによって入力される一連の入力文字列の末尾ではなく、先頭であってもよいし、2つの入力ワード間であってもよい。具体的には、ユーザによって入力される一連の入力文字列が、例えば、「えもじはーとすき」であってもよいし、「はーとえもじすき」であってもよい。
【0058】
図5は、この変形例1の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。図5では、図4に示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0059】
この変形例1の携帯端末1は、上記したs1~s3にかかる処理を実行すると、分割した語彙に「えもじ」が含まれているかどうかを判定する(s21)。携帯端末1は、「えもじ」が含まれていれば、s7、s8にかかる処理を実行する。
【0060】
また、携帯端末1は、s3で分割した語彙に「えもじ」が含まれていなければ、「かおもじ」が含まれているかどうかを判定する(s22)。携帯端末1は、「かおもじ」が含まれていれば、s10、s11にかかる処理を実行する。
【0061】
また、携帯端末1は、s3で分割した語彙に「えもじ」、および「かおもじ」が含まれていなければ、s4、s5にかかる処理を実行する。
【0062】
携帯端末1は、s12で抽出した変換候補を出力し、確定操作が行われるのを待つ(s23)。s23は、上記したs3と同様の処理である。携帯端末1は、確定操作が行われると、s14で確定処理を行い、s1に戻る。
【0063】
この変形例1の携帯端末1も上記の例と同様に、ユーザは、一連の文字列で複数の入力ワードを入力することで、提示される絵文字や顔文字等の特殊文字の変換候補を絞り込むことができる。したがって、ユーザは、提示された変換候補に対して、所望の変換候補(特殊文字)を探しやすくなる。すなわち、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性が向上される。
【0064】
・変形例2
この変形例2は、記憶部12に記憶されている絵文字登録データ、および顔文字登録データが上記の例と異なる。図6は、この変形例2の携帯端末が記憶する絵文字登録データを示す図である。この変形例2では、絵文字毎に、1つ以上のワード、および属性(ポジ、またはネガ)が対応づけられている。また、記憶部12に記憶されている顔文字登録データについても、特に図示しないが、顔文字毎に1つ以上のワード、および属性(ポジ、またはネガ)が対応づけられている。すなわち、この変形例2の携帯端末1Aは、特殊文字(絵文字、および顔文字)毎に、属性が対応づけられている点で、上記の例と相違している。
【0065】
また、この変形例2の携帯端末1Aは、図7に示すように、キー表示領域2に表示されているソフトウェアキーボードには、ポジキー、およびネガキーが含まれている。
【0066】
なお、この変形例2の携帯端末1Aは、上記の例と同様に、図3に示した構成である。
【0067】
図8は、この変形例2の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。図8では、図4に示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0068】
図8に示すように、この変形例2の携帯端末1Aは、上記したs8にかかる処理を、以下に示すs31にかかる処理に置き換えるとともに、s11にかかる処理を、以下に示すs32にかかる処理に置き換えた点で相違している。
【0069】
s31では、上記の例と同様に、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている絵文字を抽出する。また、候補取得部11cは、属性が指定されていれば、入力ワードで抽出した絵文字を、指定されている属性が対応づけられている絵文字に絞り込む。すなわち、この例では、候補取得部11cは、s31で、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている絵文字であって、指定されている属性が対応づけられている絵文字を、変換候補として抽出する。
【0070】
s32では、上記の例と同様に、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている顔文字を抽出する。また、候補取得部11cは、属性が指定されていれば、入力ワードで抽出した顔文字を、指定されている属性が対応づけられている顔文字に絞り込む。すなわち、この例では、候補取得部11cは、s32で、入力ワード取得部11bが取得した全ての入力ワードが対応づけられている顔文字であって、指定されている属性が対応づけられている顔文字を、変換候補として抽出する。
【0071】
なお、ユーザは、ポジキー、またはネガキーを押下することによって、属性を指定することができる。
【0072】
このように、この変形例2の携帯端末1Aでは、ユーザは、入力したい特殊文字(絵文字、または顔文字)の絞り込みが、その特殊文字に対応づけられているワードに加えて、属性の指定で行える。したがって、ユーザは、提示された変換候補に対して、所望の変換候補(特殊文字)を一層探しやすくなる。すなわち、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性が向上される。
【0073】
・変形例3
図9は、この変形例3の携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。図9では、図3に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。この変形例3の携帯端末1Bは、決定部11eが制御ユニット11Bに追加的に設けられている点で上記の例と相違する。決定部11eは、候補取得部11cが取得した特殊文字(絵文字、顔文字等)について、出力する順番を決定する。ここで言う順番は、候補表示領域4において表示される順番である。
【0074】
図10は、この変形例3の携帯端末における文字入力処理を示すフローチャートである。図10では、図4に示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。この変形例3の携帯端末1Bは、上記したs1~s5にかかる処理を行うと、s6で絵文字キーが押下されたかどうかを判定する。候補取得部11cは、s6で絵文字キーが押下されたと判定すると、s3で取得した入力ワードの個数qに予め定めた定数n(0<n<1)を乗じた値を閾値個数(q×n)に設定する。また、この変形例3の携帯端末1Bの候補取得部11cは、対応付けられているワードと、s3で取得した入力ワードとが一致している個数が、閾値個数を超えている絵文字を変換候補として抽出する(s41)。
【0075】
また、候補取得部11cは、s6で絵文字キーが押下されていないと判定すると、s9で顔文字キーが押下されたかどうかを判定する。候補取得部11cは、s9で顔文字キーが押下されたと判定すると、s3で取得した入力ワードの個数qに予め定めた定数m(0<m<1)を乗じた値を閾値個数(q×m)に設定する。mは、上記したnと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、この変形例3の携帯端末1Bの候補取得部11cは、対応付けられているワードと、s3で取得した入力ワードとが一致している個数が、閾値個数を超えている顔文字を変換候補として抽出する(s42)。
【0076】
決定部11eが、s5、s41、またはs42で取得した変換候補の出力順を決定する出力順決定処理を行う(s43)。決定部11eは、s5で取得した変換候補については、対応づけられている優先度が高い変換候補ほど、出力する順位を上位に決定する。優先度は、ユーザの使用履歴に基づいて算出されている。
【0077】
なお、ユーザの使用履歴に基づいて優先度を算出する手法については、様々な手法がすでに公知であるので、詳細については説明を省略する。また、優先度は、どのような手法で算出してもよい。
【0078】
また、決定部11eは、s41、またはs42で取得した変換候補(絵文字、または顔文字)については、対応付けられているワードと、s3で取得した入力ワードとが一致している個数が多い変換候補ほど、出力する順位を上位に決定する。また、決定部11eは、対応付けられているワードと、s3で取得した入力ワードとが一致している個数が同数である変換候補については、対応づけられているワードの個数が少ない変換候補ほど、出力する順位を上位に決定する。さらに、決定部11eは、対応づけられているワードの個数も同じである変換候補については、対応づけられている優先度が高い変換候補ほど、出力する順位を上位に決定する。優先度は、ユーザの使用履歴に基づいて算出されている。
【0079】
候補出力部11dは、s5、s41、またはs42で取得した変換候補を、s42で決定した出力順で出力する(s44)。
【0080】
このように、この変形例3の携帯端末1Bにおいても、上記の例と同様に、絵文字、顔文字等の特殊文字の入力にかかるユーザの操作性が向上される。
【0081】
また、上記の説明では、この発明にかかる文字変換装置を携帯端末1、1A、1Bに適用した場合を例にして説明したが、例えば、この携帯端末1、1A、1Bとインタネット等のネットワークを介して接続されるサーバ装置に適用してもよい。この場合、ユーザが携帯端末1、1A、1Bは、ユーザによる文字入力操作で入力された入力文字列をサーバ装置に送信し、サーバー装置から変換候補を受信する。このように構成すれば、携帯端末1、1A、1Bの構成を簡単にできる。
【0082】
また、上記の例では、日本語を例にして説明したが、日本語以外の言語であっても本願発明を適用できる。例えば、言語が英語である場合、「heart love」と入力することによって、図11(A)に示すように、絵文字の変換候補の絞り込みが行える。図11(B)は、「heart」と入力された場合の絵文字の変換候補を示す図であり、図11(C)は、「love」と入力された場合の絵文字の変換候補を示す図である。
【0083】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0084】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
1つ以上のワードが対応付けられた特殊文字を登録した記憶部(12)と、
複数の入力ワードを取得する取得部(11b)と、
前記取得部(11b)が取得した複数の前記入力ワードで前記記憶部(12)に登録されている前記特殊文字を検索し、該当する特殊文字を候補として取得する候補取得部(11c)と、
前記候補取得部(11c)が候補として取得した特殊文字を出力する出力部(11d)と、を備えた文字変換装置(1)。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1B…携帯端末
2…キー表示領域
3…入力文字列表示領域
4…候補表示領域
5…確定文字列表示領域
11、11B…制御ユニット
11a…入力文字列取得部
11b…入力ワード取得部
11c…候補取得部
11d…候補出力部
11e…決定部
12…記憶部
13…操作部
14…表示部
図1
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