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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030791
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240229BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20240229BHJP
   G09F 19/18 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G02B26/10 101
G09F13/00 S
G09F19/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133924
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上條 秀章
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 勇喜
【テーマコード(参考)】
2H045
5C096
【Fターム(参考)】
2H045AC00
2H045BA12
2H045DA02
5C096AA22
5C096AA26
5C096BA05
5C096CB10
5C096CC14
5C096CE02
5C096CE04
5C096DC30
5C096FA02
5C096FA08
5C096FA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置を小型化し、出射される光が照射する位置を調整するための制御を簡略化する。
【解決手段】一実施形態の表示装置1は、光を出射する光出力部3と、光出力部3から出射した光を反射して外部に出力させる光学部材41と、光学部材41が内部に収容される可動部材と、可動部材が収容される固定部材と、光学部材の反射面と直交する方向と交差する第1軸及び第2軸を回転軸として、可動部材が固定部材に対して回転可能に支持される支持機構と、可動部材を固定部材に対して回転させる駆動機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光出力部と、
前記光出力部から出射した光を反射して外部に出力させる光学部材と、
前記光学部材が内部に収容される可動部材と、
前記可動部材が収容される固定部材と、
前記光学部材の反射面と直交する方向と交差する第1軸及び第2軸を回転軸として、前記可動部材が前記固定部材に対して回転可能に支持される支持機構と、
前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を備える、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光出力部はレーザ光を出射するレーザ光出射体である、表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置において、
前記光学部材は平面ミラーである、表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の表示装置において、
前記光学部材はハーフミラーであり、
前記光出力部から出射した光のうち前記ハーフミラーを通過した通過光を受光して、前記通過光が前記ハーフミラーを通過する位置を検出する検出部を有する、表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の表示装置において、
前記光学部材によって反射され外部に出力された光によって照射される表示板を備える、表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置において、
前記表示板は蛍光剤を含む受光部を有する、表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光出力部は、光を出射する光源と、前記光源から出射された光に基づいて画像を形成して投影する画像形成部と、を有する投影装置である表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置において、
前記光出力部によって投影され前記光学部材によって反射された前記画像と、実像とを重畳して出力する重畳部と、を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子データを用いて描画オブジェクト等の光像を所定の位置に投射する光像投影装置が知られている。特許文献1には、ネットワークを介して受信した描画オブジェクトに対応する光像が、掲示板上の所定の位置に所定の光像として現れるように調整する光像投影手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-28351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光像の投影位置を調整する機構として、ポリゴンミラーやガルバノミラー等を用いているため、装置が大型化し、かつ、光像の投影位置を調整するための制御が複雑になる。
【0005】
本発明の目的は、装置を小型化し、出射される光が照射する位置を調整するための制御を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の表示装置は、光を出射する光出力部と、前記光出力部から出射した光を反射して外部に出力させる光学部材と、前記光学部材が内部に収容される可動部材と、前記可動部材が収容される固定部材と、前記光学部材の反射面と直交する方向と交差する第1軸及び第2軸を回転軸として、前記可動部材が前記固定部材に対して回転可能に支持される支持機構と、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置の小型化を実現し、表示装置によって表示される像の位置を調整する制御を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態の表示装置の要部構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、光学部駆動機構の斜視図である。
図3図3は、光学部駆動機構の平面図である。
図4図4は、光学部駆動機構の分解図である。
図5図5は、ホルダ枠及びケースの斜視図である。
図6図6は、変形例1の表示装置の要部構成を模式的に示すブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態の表示装置の要部構成を模式的に示すブロック図である。
図8図8は、第3の実施形態の表示装置の要部構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0010】
<表示装置の全体構成>
図1は、第1の実施形態に係る表示装置1の要部構成を模式的に示すブロック図である。表示装置1は、光出力部3と、光学部駆動機構4と、制御部5とを備える。表示装置1は、光出力部3から出射された光(レーザ光)を、光学部駆動機構4を介して、表示装置1の外部に配置された表示板6上に表示させる。
【0011】
表示板6は、主に広告板として使用されるものであり、基板601と、基板601の表面に形成された蛍光部602とを有する。基板601は、例えば木材、セメント、モルタル等のコンクリート材からなる硬質板状体である。蛍光部602は、表示装置1から出射された光(レーザ光)を受光する受光部である。蛍光部602は、希土類アルミネートからなる蛍光剤と種々の硬化剤とを、水或は硬化補助剤等とともに混錬して固形物としたものである。表示板6が表示装置1から出射された光(レーザ光)によって照射されると、蛍光部602のうちレーザ光による照射部分が発光する。これにより、表示板6上に種々の描写が表示される。
【0012】
<光出力部>
光出力部3は、例えばレーザダイオード(半導体レーザ)等のレーザ光出射体である。光出力部3は、制御部5の制御に応じて電力の供給を受けて、レーザ光を後述する光学部駆動機構4へ向けて出射する。光出力部3は、表示装置1の内部で、固定機構31に取り付けられている。
【0013】
<制御部>
制御部5は、CPUやメモリ等によって構成される。制御部5は、例えばフラッシュメモリ等の記憶媒体に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、表示装置1の各部を制御するプロセッサーである。
【0014】
<光学部駆動機構>
図2は光学部駆動機構4の斜視図であり、図3は光学部駆動機構4の平面図である。光学部駆動機構4は、光学部材41と、駆動モジュール45とを有する。光学部材41は、例えば平面ミラーである。光学部材41は、駆動モジュール45によって、回動(傾動)可能に保持されている。光学部材41は、光学部材41の回動(傾動)中心となる位置にて、上述した光出力部3から出射されたレーザ光によって照射される。換言すると、固定機構31は、回動(傾動)可能に保持された光学部材41の回動(傾動)中心をレーザ光にて照射可能な位置に光出力部3を固定している。
【0015】
駆動モジュール45は、光学部材41により反射されたレーザ光が表示板6上を照射する位置(照射位置)のぶれを低減する機能(手振れ補正機能)を備えている。より特定的には、駆動モジュール45は、光学部材41を様々な方向に回動させることができる。言い換えれば、駆動モジュール45は、光学部材41を2方向以上に傾動させることができる。光学部材41が回動(傾動)されることにより、表示される描画データの形状(例えば、〇や□等)に基づいて、表示板6上でのレーザ光の照射位置が移動する。また、光学部材41が回動(傾斜)されることにより、光学部材41を有する光学部駆動機構4が搭載されている表示装置1の姿勢変化に起因する表示板6上でのレーザ光の照射位置の乱れが低減される。照射位置の乱れは、別途、表示板6の描画状態を監視する撮像装置(不図示)等と組み合わせることにより、容易に識別可能である。
【0016】
図2中で符号Lが付されている一点鎖線は、光学部材41の回動(傾動)中心又は回動(傾動)中心の近傍を通り、光学部材41が非回動(非傾動)時における光学部材41の平面(反射面)と直交又は略直交する仮想直線を示している。
【0017】
図3中で符号A1が付されている一点鎖線は、図2に示されている仮想直線Lと交差する第1軸を表す第1軸線を示しており、符号A2が付されている一点鎖線は、仮想直線L及び第1軸と交差する第2軸を表す第2軸線を示している。また、図2図3において、Z軸方向は非回転時の光学部材41と直交する方向を示し、X軸方向はヨーイングの回転軸方向を示し、Y軸方向はピッチングの回転軸方向を示している。光学部材41は、仮想直線Lと第1軸線A1と第2軸線A2との交点(X,Y,Z軸の交点)を回転中心として回転可能である。なお、作図の都合上、図2図3では、光学部材41の実際の回転中心から離れた位置にX,Y,Z軸及びそれらの交点が示されている。尚、図1に示されるブロック図においても、図2図3に示されるX,Y,Z軸に倣って座標系が示されている。
【0018】
<光学部材>
図4は、光学部駆動機構4の分解図である。光学部材41は、光学素子としての平面ミラー,平面ミラーを保持する保持部材等を含んでいる。
【0019】
<駆動モジュールの全体構成>
光学部材41は、駆動モジュール45によって回転可能に保持されている。駆動モジュール45は、光学部材41を収容する可動部材40と、可動部材40を収容する固定部材50と、可動部材40を支持する支持機構60と、可動部材40を駆動する駆動機構70とを有する。
【0020】
<可動部材及び固定部材>
図5は、可動部材40及び固定部材50の斜視図である。可動部材40は、全体として矩形枠状の外観を呈する樹脂成形体である。固定部材50も樹脂成形体であって、可動部材40の外形に対応した収容空間51を備えている。以下の説明では、可動部材40を「ホルダ枠40」と呼び、固定部材50を「ケース50」と呼ぶ場合がある。
【0021】
ホルダ枠40は、ケース50の収容空間51内に収容されており、ホルダ枠40の底面401の少なくとも一部と、ケース50の底部内面52の少なくとも一部とは互いに対向している。もっとも、通常、ホルダ枠40の底面401とケース50の底部内面52とは接触していない。つまり、ホルダ枠40は、フローティング状態でケース50に収容されている。
【0022】
<支持機構>
図4に示されている支持機構60には、仮想直線L(図2)と交差する1つ又は複数の軸線を回転軸としてホルダ枠40がケース50に対して回転可能となるように、ホルダ枠40が支持される。より特定的には、支持機構60には、ホルダ枠40が図3に示されている第1軸線A1を回転軸として回転可能に支持されるとともに、第2軸線A2を回転軸として回転可能に支持される。別の見方をすると、ホルダ枠40は、仮想直線と第1軸線A1と第2軸線A2との交点を回転中心としてケース50に対して回転可能とされている。この結果、ホルダ枠40に収容されている光学部材41は、第1軸線A1と第2軸線A2との交点を回転中心として、ヨーイング方向及びピッチング方向を含む様々な方向に回転可能(傾斜可能)となっている。
【0023】
支持機構60はジンバル61を有する。ジンバル61は、光学部材41を取り囲む円形開口部63aが形成されたジンバル本体63と、ジンバル本体63の四隅に設けられた4本の腕を有する。一対の腕64a,64bは、ジンバル本体63の一組の対角にそれぞれ設けられ、他の一対の腕は65a,65bは、ジンバル本体63の他の一組の対角にそれぞれ設けられている。図3に示されるように、ジンバル61は、腕64a,64bが第1軸線A1に沿って配置され、腕65a,65bが第2軸線A2に沿って配置されるように搭載されている。
【0024】
再び図4を参照すると、ジンバル61のそれぞれの腕64a,64b,65a,65bは、ジンバル本体63に対してZ軸方向に略90度折り曲げられている。また、それぞれの腕64a,64b,65a,65bの端部には、半球状の凹部が形成されている。
【0025】
ジンバル61の2本の腕64a,64bは、2つの支持部材62a,62bを介してケース50に接続されており、ジンバル61の他の2本の腕65a,65bは、他の2つの支持部材62c,62dを介してホルダ枠40に接続されている。
【0026】
図5に示されるように、収容空間51の向かい合う2つの角には挿入溝53が設けられており、それぞれ挿入溝53内に支持部材62a,62bが配置されている。図4に示されているジンバル61の腕64a,64bは、図5に示されている挿入溝53内であって、かつ、支持部材62a,62bの手前(内側)に挿入されている。
【0027】
図5に示されるように、ホルダ枠40の向かい合う2つの角には挿入溝42が設けられており、それぞれ挿入溝42内に支持部材62c,62dが配置されている。図4に示されているジンバル61の腕65a,65bは、図5に示されている挿入溝42内であって、かつ、支持部材62c,62dの手前(内側)に挿入されている。
【0028】
なお、それぞれの支持部材62a~62dには金属製のボールが溶接されている。支持部材62a,62bに溶接されているボールは、挿入溝53に挿入されたジンバル61の腕64a,64bに形成されている半球状の凹部に嵌っている。また、支持部材62c,62dに溶接されているボールは、挿入溝42に挿入されたジンバル61の腕65a,65bに設けられている半球状の凹部に嵌っている。
【0029】
ここで、支持部材62aに設けられているボールの頂点と支持部材62bに設けられているボールの頂点とを結ぶ線分(対角線)は、図3に示されている第1軸線A1の一部である。また、支持部材62cに設けられているボールの頂点と支持部材62dに設けられているボールの頂点とを結ぶ線分(対角線)は、図3に示されている第2軸線A2の一部である。つまり、ホルダ枠40は、2本の対角線の交点を回転中心としてケース50に対して回転可能である。
【0030】
以上のように、ジンバル61は、ケース50に支持されている。同時に、ジンバル61は、光学部材41を収容しているホルダ枠40を保持している。言い換えれば、光学部材41を収容しているホルダ枠40は、ケース50に支持されているジンバル61にぶら下がっている。
【0031】
<ストッパプレート>
図2図3に示されるように、ケース50には、ホルダ枠40を覆うストッパプレート66が装着されている。図5に示されるように、ストッパプレート66は、少なくとも光学部材41及びジンバル本体63を露出させる開口部67が形成された板金である。また、ストッパプレート66の開口部67の四隅には、ジンバル61の腕64a,64b,65a,65bとの干渉を回避するための切欠き68が設けられている。
【0032】
ケース50に装着されたストッパプレート66は、ホルダ枠40の上面44の全部又は一部と対向する。この結果、ストッパプレート66によってホルダ枠40の過剰な回転が規制される。具体的には、ホルダ枠40の回転角度が所定角度に達すると、ホルダ枠40の上面44がストッパプレート66に当接し、それ以上の回転が規制される。また、ストッパプレート66は、落下時の衝撃などによってホルダ枠40がケース50から飛び出すことを防止する。さらに、ストッパプレート66は、ホルダ枠40やケース50の内側に異物や埃などが侵入することを防止する防塵カバーとしても機能する。尚、他の実施形態では、ホルダ枠40がケース50に当接することにより、ホルダ枠40の過剰な回転が規制されることもある。
【0033】
<駆動機構>
図4に示されている駆動機構70は、光学部材41が収容されているホルダ枠40をケース50に対して回転させる。例えば、駆動機構70は、ヨーイング軸及びチッピング軸を回転軸として、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる。
【0034】
駆動機構70は、コイルや永久磁石などから構成されており、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる力(推力)を発生させる。本実施形態の駆動機構70は、2つの巻線コイル(空芯コイル)71,72を備えている。また、本実施形態の駆動機構70は、巻線コイル71に対応する永久磁石73と、巻線コイル72に対応する永久磁石74と、を備えている。尚、他の実施形態では、巻線コイル71,72に代えて基板コイル等の他の種類のコイルが用いられる。
【0035】
図5に示されるように、ホルダ枠40の隣り合う2つの側壁の外面には、磁石装着溝43a,43bがそれぞれ形成されている。そして、図4に示されている永久磁石73は、図5に示されている磁石装着溝43aに収容される。一方、図4に示されている永久磁石74は、図5に示されている磁石装着溝43bに収容される。
【0036】
図5に示されるように、磁石装着溝43a,43bが形成されているホルダ枠40の側壁と対向するケース50の側壁には、コイル装着部54a,54bがそれぞれ形成されている。図4に示されている巻線コイル71は、図5に示されているコイル装着部54aに取り付けられ、図4に示されている巻線コイル72は、図5に示されているコイル装着部54bに取り付けられる。
【0037】
ケース50内にホルダ枠40が収容されると、巻線コイル71と永久磁石73とが対向し、巻線コイル72と永久磁石74とが対向する。駆動モジュール45には、光学部材41のヨーイング状態やピッチング状態を監視する磁気センサ(例えば、ホール素子)が搭載されている。駆動機構70は、磁気センサから出力される信号(検出信号)に基づいてホルダ枠40を回転させる。この結果、ホルダ枠40がケース50に対して回転(傾斜)する。
【0038】
<表示装置の動作>
上述した構成を有する表示装置1の動作について説明する。制御部5が有する不図示のドライバICは、表示される描画データの形状(例えば、〇や□等)に基づいて、ドライバICは光学部材41の回動(傾斜)量を決定する。制御部5は、この回動(傾斜)量に基づいて、巻線コイル71,72への通電条件(電流の方向や周波数)を制御する。これにより、レーザ光が表示板6上を照射する位置(照射位置)が描画データの形状に沿って移動する。上述したように、表示板6は蛍光部602を有する。表示装置1から照射されたレーザ光は、蛍光部602の蓄光作用によって蓄光され、残光としてしばらくの間発光し続ける。この結果、表示板6の観察者は、描画データに応じた形状を表示板6上にて観察しやすくなる。
【0039】
また、磁気センサ(例えば、ホール素子)から出力される信号(検出信号)は、制御部5が有するドライバICに入力される。ドライバICには、表示装置1に搭載されているジャイロセンサから出力される信号(ジャイロ信号)も入力される。ドライバICは、ジャイロ信号に基づいてコイル電流の方向や周波数を制御する。また、ドライバICは、検出信号に基づいて、巻線コイル71,72への通電条件をサーボ制御(クローズドループ制御)する。これにより、表示装置1をユーザが手で保持している場合に生じるブレによって、レーザ光が表示板6上を照射する照射位置がぶれることが抑制される。
【0040】
もっとも、ドライバICに入力されるジャイロ信号が、表示装置1が有する専用のジャイロセンサから出力される実施の形態もある。また、巻線コイル71,72への通電がオープンループ制御される実施形態もある。かかる実施形態では、ホール素子のような磁気センサが省略される。
【0041】
上述した第1の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0042】
(1)表示装置1は、光出力部3から出射した光を反射して外部に出力させる光学部材41と、光学部材41を内部に保持し、光学部材41を第1軸及び第2軸の少なくとも一方に駆動させる光学部駆動機構4と、を備える。具体的には、光学部駆動機構4は、光学部材41が内部に収容される可動部材40と、可動部材40が収容される固定部材50と、光学部材41の反射面と直交する方向(仮想直線Lに沿う方向)と交差する第1軸線A1及び第2軸線A2を回転軸として、可動部材40が固定部材50に対して回転可能に支持される支持機構60と、可動部材40を固定部材50に対して回転させる駆動機構70と、を備える。これにより、ポリゴンミラーやガルバノミラー等の大型の機構を用いることなく手振れによる照射位置のぶれの抑制と、描画データの形状の表示制御とができるので、表示装置1を小型化、軽量化することが可能となる。また、可動部材40及び固定部材50を樹脂成形体にて構成することができるで、ポリゴンミラーやガルバノミラー等の機構を用いる場合よりも、軽量化することが可能となる。さらに、表示装置1の小型化、軽量化が可能となったことにより、ユーザが表示装置1を手に持って描画データの表示を行う場合に、光学部駆動機構4によって手ぶれに伴う表示装置1の姿勢変化に起因するレーザ光の照射位置の乱れが低減される。また、ポリゴンミラーやガルバノミラー等を用いていないため、複雑な制御を行うことなく、手振れによる照射位置のぶれの抑制と、描画データの形状の表示制御とが可能となる。
【0043】
(2)光出力部3は、レーザ光を出射するレーザ光出射体であり、表示板6は光学部材41によって反射され外部に出力されたレーザ光によって照射される。この表示板6は、蛍光性を有する受光部である蛍光部602を有する。これにより、表示装置1から照射されたレーザ光は、蛍光部602の蓄光作用によって蓄光され、残光としてしばらくの間発光し続けるため、描画データに応じた形状を表示板6上にて観察しやすくなる。
【0044】
(3)光学部材41は平面ミラーである。これにより、安価な表示装置1を提供することができる。
【0045】
<変形例1>
上述した第1の実施形態の表示装置1を以下のように変形できる。
【0046】
図6は、変形例1の表示装置1の要部構成を模式的に示すブロック図である。変形例1の表示装置1は、第1の実施形態の表示装置1が備える光学部材41に代えてハーフミラーによって構成される光学部材410を備え、さらに、撮像部7を備える。
【0047】
光学部材410は、光出力部3から出射されたレーザ光の一部を反射させて表示板6を照射するとともに、レーザ光の一部を透過させて撮像部7へ到達させる。光学部材410は、光出力部3から出射されたレーザ光のうち、例えば95%を反射して、5%を透過させる。
【0048】
撮像部7は、例えばPSD(Position Sensitive Detector)やCMOS等の撮像画素を複数有する撮像素子である。尚、複数の撮像画素は一次元状に配列されてもよいし、二次元状に配列されてもよい。撮像部7は、光学部駆動機構4内の、光学部材410の後段に設けられる。撮像部7は、光学部材410を通過したレーザ光を受光して光電変換を行い、電気信号(画像信号)を出力する。この画像信号は、光学部材410を通過したレーザ光が撮像部7の撮像面上に入射した位置(入射位置)を示している。光学部材410は、第1の実施形態の場合と同様に回動(傾斜)することから、画像信号は、レーザ光が光学部材410を通過した位置を表している、ということができる。すなわち、撮像部7は、光出力部3から出射したレーザ光のうち光学部材410を通過した通過光を受光して、レーザ光が光学部材410を通過する位置を検出する検出部として機能する。
【0049】
制御部5は、光学部材410の回動(傾斜)量と、検出した透過位置とを用いて、透過位置と光学部材410の回動(傾動)中心の位置との差を算出する。そして、制御部5は、算出した差の値に応じて、新たな光学部材410の回動(傾斜量)を算出する。すなわち、制御部5は、検出した透過位置が光学部材410の回動中心ではない場合に、算出した回動(傾斜量)に基づいて光学部材410の回動(傾動)を制御して、レーザ光の透過位置を光学部材410の回動中心となるように補正する。この場合、制御部5は、検出された透過位置と、光学部材410の回動中心の位置との差に基づいて、巻線コイル71,72へ供給される電流の方向や周波数を制御する。
【0050】
変形例1によれば、第1の実施形態により得られた作用効果(1)~(3)に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0051】
(4)撮像部7は、光出力部3から出射したレーザ光のうちハーフミラーである光学部材41を通過した通過光を受光して、レーザ光が光学部材41を通過する位置を検出する検出部として機能する。これにより、光学部材410の回動(傾斜)中心の位置にレーザ光を入射させるために、製造時に光出力部3の固定位置を位置決めして固定機構31に取り付ける必要がなくなる。すなわち、表示装置1に固定機構31を設ける必要がなくなり、装置の小型化に寄与することができる。
【0052】
<第2の実施形態>
図面を参照して、第2の実施形態の表示装置1について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については第1の実施形態と同様である。
【0053】
図7は、第2の実施形態の表示装置1の要部構成を模式的に示すブロック図である。第2の実施形態の表示装置1は、第1の実施形態の光出力部3に代えて光出力部310を備える。光出力部310は、例えば液晶プロジェクタ等の投影装置である。光出力部310は、例えばLED等の光源311と、画像形成部312とを有する。画像形成部312は、ダイクロイックミラー、液晶パネル、プリズム等を有し、光源311から出射された光に基づいて、画像データに対応する画像を形成し、投影画像として投影させる。尚、光出力部310は、液晶プロジェクタに限定されず、DLP(Digital Light Processing)プロジェクタやLCOS(反射型液晶素子)プロジェクタであってもよい。
【0054】
光出力部310は、制御部5によって制御され、投影画像を光学部駆動機構4の光学部材41に向けて投影する。この投影画像は光学部材41によって反射され、表示装置1の外部の壁やスクリーン等の物体面(投影面)611に投影される。
【0055】
このとき、制御部5のドライバICは、コイル電流の方向や周波数を制御する。この制御によって、光学部材41が予め決められた周期にて予め決められた回動(傾斜)量で回動される。これにより、物体面611に投影された投影画像が、光学部材41の回動に応じて、物体面611上で揺らいで観察される。揺れを伴った投影画像が投影されることにより、例えば警告表示等を行う場合には、ユーザの注意を引くことが可能となる。
【0056】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態により得られた作用効果(1)に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0057】
(5)光出力部310は、光源311と、光源311から出射された光に基づいて画像を形成して投影する画像形成部312とを有する投影装置である。これにより、表示板6を用いることなく、所望の位置に投影画像を投影させることが可能となる。また、光学部材41の回動(傾斜)に応じて、投影画像が揺らいで投影されるため、例えば警告表示等を行う場合には、ユーザの注意を引くことが可能となる。
【0058】
<第3の実施形態>
図面を参照して、第3の実施形態の表示装置1について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については第1の実施形態と同様である。
【0059】
図8は、第3の実施形態の表示装置1の要部構成を模式的に示すブロック図である。第3の実施形態の表示装置1は、第1の実施形態の光出力部3に代えて、第2の実施形態の光出力部310を備える。さらに、第3の実施形態の表示装置1は、複数種類の画像を重畳させてユーザに知覚させる例えばVRゴーグル等である。表示装置1は、重畳部9を備える。
【0060】
重畳部9は、例えばレンズ等により構成される第1領域と、例えばハーフミラーにより構成される第2領域とを有する。重畳部9の第1領域は、実像をユーザの一方の目E1(例えば左目)へ導く。重畳部の第2領域は、光出力部310によって投影された投影画像を透過させる。第2領域を透過した投影画像は、光学部駆動機構4の光学部材41によって反射される。光学部材41によって反射された投影画像は、第2領域によって反射され、ユーザの同一の目E1(例えば左目)に導かれる。
【0061】
このとき、制御部5のドライバICは、コイル電流の方向や周波数を制御する。この制御によって、光学部材41が予め決められた周期にて予め決められた回動(傾斜)量で回動される。この場合の回動量は、光出力部310により投影される投影画像を構成する各画素の大きさ(例えば1個の画素の大きさ)に相当する量である。この結果、決められた周期毎に1個の画素の大きさ分の位置が移動する投影画像は重畳部9の第2領域を通過してユーザの目E1に入射する。上記のようにしてユーザの目E1に入射した実像に対して、ユーザの目E1に入射する際に位置が移動する投影画像は、ユーザによって、高解像度化された画像として重畳して知覚される。
【0062】
尚、実像が第1領域を通過する構成に代えて、液晶パネル等の画像表示部によって表示された表示画像が第1領域を通過させてもよい。すなわち、表示装置1が画像表示部を備えてもよい。
【0063】
また、投影画像のみで高解像度化された画像としてユーザに知覚させてもよい。この場合、表示装置1は、シャッター等を用いて第1領域を遮蔽することにより、実像がユーザの目E1に到達しないようにする。
【0064】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態により得られた作用効果(1)に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0065】
(6)重畳部9は、光出力部310によって投影され光学部材41によって反射された画像(投影画像)と、実像とを重畳して出力する。これにより、光出力部310から投影された投影画像の投影位置が光学部駆動機構4によって画素単位で移動されるため、簡単な構成にて高解像度化された投影画像が実像に重畳してユーザに知覚される。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、光学部材41は、ヨーイング方向又はピッチング方向のいずれかの方向にのみ回転可能に保持されていてもよい。また、光学部材41は、ヨーイング方向,ピッチング方向及び第3の方向(例えば、ローリング方向)に回転可能に保持されていてもよい。
【0067】
尚、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0068】
(1)表示装置は、光を出射する光出力部と、前記光出力部から出射した光を反射して外部に出力させる光学部材と、前記光学部材が内部に収容される可動部材と、前記可動部材が収容される固定部材と、前記光学部材の反射面と直交する方向と交差する第1軸及び第2軸を回転軸として、前記可動部材が前記固定部材に対して回転可能に支持される支持機構と、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を備える、表示装置。
【0069】
(2)前記光出力部はレーザ光を出射するレーザ光出射体である、(1)に記載の表示装置。
【0070】
(3)前記光学部材は平面ミラーである、(1)または(2)に記載の表示装置。
【0071】
(4)前記光学部材はハーフミラーであり、前記光出力部から出射した光のうち前記ハーフミラーを通過した通過光を受光して、前記光が前記ハーフミラーを通過する位置を検出する検出部を有する、(2)または(3)に記載の表示装置。
【0072】
(5)前記光学部材によって反射され外部に出力された光によって照射される表示板を備える、(2)から(4)までの何れかに記載の表示装置。
【0073】
(6)前記表示板は蛍光剤を含む受光部を有する、(5)に記載の表示装置。
【0074】
(7)前記光出力部は、光を出射する光源と、前記光源から出射された光に基づいて画像を形成して投影する画像形成部と、を有する投影装置である、(1)に記載の表示装置。
【0075】
(8)前記光出力部によって投影され前記光学部材によって反射された前記画像と、実像とを重畳して出力する重畳部と、を備える、(7)に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0076】
1 表示装置、3,310 光出力部、4 光学部駆動機構、5 制御部、6 表示板、7 撮像部、9 重畳部、31 固定機構、40 可動部材(ホルダ枠)、41,410 光学部材、45 駆動モジュール、50 固定部材(ケース)、311 光源、312 画像形成部、601 基板、602 蛍光部、611 物体面(投影面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8