(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030824
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240229BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133988
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】廣川 武志
(72)【発明者】
【氏名】高砂 一弥
(72)【発明者】
【氏名】中野 征嗣
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB03
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化を小さく抑えることができる光学系を提供する。
【解決手段】光学系4は、正の屈折力を有し、ガラスから形成される第1レンズ10と、正の屈折力を有し、樹脂から形成される第2レンズ20と、負の屈折力を有し、樹脂から形成される第3レンズ30とを備える。第1レンズ10、第2レンズ20、及び第3レンズ30は、光軸Pに沿って対象物B側から像面S側に向けて順番に配置される。第2レンズ20の焦点距離をf
2、光軸P上の厚さをD
2、第3レンズ30の焦点距離をf
3、光軸P上の厚さをD
3とすると、0.13≦D
2/f
2≦0.21、-0.06≦D
3/f
3≦-0.02が満たされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って対象物側から像面側に向けて順番に配置された、
正の屈折力を有し、ガラスから形成される第1レンズと、
正の屈折力を有し、樹脂から形成される第2レンズと、
負の屈折力を有し、樹脂から形成される第3レンズと
を備え、
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記光軸上の厚さをD2、
前記第3レンズの焦点距離をf3、前記光軸上の厚さをD3とすると、
0.13≦D2/f2≦0.21
-0.06≦D3/f3≦-0.02
を満たす、光学系。
【請求項2】
さらに、
-18.61mm≦f2+f3≦-15.67mm
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記光軸上の厚さをD1とすると、
さらに、
0.17≦D1/f1≦0.20
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記第1レンズの前記光軸上の厚さをD1、前記第1レンズと前記第2レンズと前記第3レンズとの合成焦点距離をf123とすると、
さらに、
0.59≦(D1+D2+D3)/f123≦0.89
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記第1レンズのd線に対する屈折率Nd1は、
1.84≦Nd1≦2.01
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記第2レンズのd線に対する屈折率Nd2は、
1.54≦Nd2≦1.64
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記第3レンズのd線に対する屈折率Nd3は、
1.54≦Nd3≦1.64
を満たす、請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
光軸に沿って対象物側から像面側に向けて順番に配置された、
正の屈折力を有し、ガラスから形成される第1レンズと、
正の屈折力を有し、樹脂から形成される第2レンズと、
負の屈折力を有し、樹脂から形成される第3レンズと
を備え、
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3とすると、
-18.61mm≦f2+f3≦-15.67mm
を満たす、光学系。
【請求項9】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記光軸上の厚さをD1とすると、
さらに、
0.17≦D1/f1≦0.20
を満たす、請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1レンズの前記光軸上の厚さをD1、前記第2レンズの前記光軸上の厚さをD2、前記光軸上の厚さをD3、前記第1レンズと前記第2レンズと前記第3レンズとの合成焦点距離をf123とすると、
さらに、
0.59≦(D1+D2+D3)/f123≦0.89
を満たす、請求項8に記載の光学系。
【請求項11】
前記第1レンズのd線に対する屈折率Nd1は、
1.84≦Nd1≦2.01
を満たす、請求項8に記載の光学系。
【請求項12】
前記第2レンズのd線に対する屈折率Nd2は、
1.54≦Nd2≦1.64
を満たす、請求項8に記載の光学系。
【請求項13】
前記第3レンズのd線に対する屈折率Nd3は、
1.54≦Nd3≦1.64
を満たす、請求項8に記載の光学系。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の光学系と、
前記像面に配置された撮像素子と
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被写体までの距離を測定するセンサとして、例えば赤外光やレーザ光を対象物に照射して対象物から反射した光を検出することで対象物までの距離を測定するTOF(Time of Flight)カメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。近年では、自動運転や安全支援のためにこのようなカメラを用いて運転者を監視することも多くなっている。このようなカメラは温度変化の大きい環境に設置されることが多いため、温度変化に対してレンズ性能が大きく変化しないことが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化を小さく抑えることができる光学系及びそのような光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化を小さく抑えることができる光学系が提供される。この光学系は、光軸に沿って対象物側から像面側に向けて順番に配置された、正の屈折力を有し、ガラスから形成される第1レンズと、正の屈折力を有し、樹脂から形成される第2レンズと、負の屈折力を有し、樹脂から形成される第3レンズとを備える。上記第2レンズの焦点距離をf2、上記光軸上の厚さをD2、上記第3レンズの焦点距離をf3、上記光軸上の厚さをD3とすると、上記光学系は、
0.13≦D2/f2≦0.21
-0.06≦D3/f3≦-0.02
を満たす。
【0006】
また、本発明の第2の態様によれば、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化を小さく抑えることができる光学系が提供される。この光学系は、光軸に沿って対象物側から像面側に向けて順番に配置された、正の屈折力を有し、ガラスから形成される第1レンズと、正の屈折力を有し、樹脂から形成される第2レンズと、負の屈折力を有し、樹脂から形成される第3レンズとを備える。上記光学系は、上記第2レンズの焦点距離をf2、上記第3レンズの焦点距離をf3とすると、
-18.61mm≦f2+f3≦-15.67mm
を満たす。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、上述した光学系と、上記像面に配置された撮像素子とを備える撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における撮像装置の構成を示す模式図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の第1の実施例における光学系の-40℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【
図2B】
図2Bは、本発明の第1の実施例における光学系の25℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【
図2C】
図2Cは、本発明の第1の実施例における光学系の85℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第2の実施例における光学系の-40℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第2の実施例における光学系の25℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【
図3C】
図3Cは、本発明の第2の実施例における光学系の85℃における焦点ずれとMTFとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る光学系及び撮像装置の実施形態について
図1から
図3Cを参照して詳細に説明する。
図1から
図3Cにおいて、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図3Cにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、撮像装置1は、ケーシング2と、ベース板3と、ケーシング2とベース板3との間に収容された光学系4と、ベース板3上に配置された撮像素子5とを備えている。撮像素子5は、光学系4の像面Sに配置されている。なお、本実施形態の撮像装置1は、例えば950nmの波長の近赤外光を検出するように構成されているが、撮像装置1により検出する光の波長はこれに限られるものではない。
【0011】
光学系4は、正の屈折力を有する第1レンズ10と、絞り15と、正の屈折力を有する第2レンズ20と、負の屈折力を有する第3レンズ30と、所定の周波数帯域の光(例えば赤外光)を透過させるバンドパスフィルタ40と、バンドパスフィルタ40と撮像素子5との間に配置されたセンサ保護ガラス50とを含んでいる。第1レンズ10、絞り15、第2レンズ20、第3レンズ30、バンドパスフィルタ40、及びセンサ保護ガラス50が、光軸Pに沿って対象物(被写体)B側から像面S側に向けて順番に配置されている。なお、本明細書においては、光軸Pに沿って対象物B側を「前方」、像面S側を「後方」と定義する。
【0012】
第1レンズ10はガラスにより形成されており、第2レンズ20及び第3レンズよりも高い屈折率を有することが好ましい。第1レンズ10の前方レンズ面10Aは対象物B側に凸であり、後方レンズ面10Bは対象物B側に凹んでいることが好ましい。
【0013】
第2レンズ20は樹脂(プラスチック)により形成されている。また、第2レンズ20の前方レンズ面20Aは像面S側に凹んでおり、後方レンズ面20Bは像面S側に凸であることが好ましい。第2レンズ20の前方レンズ面20A及び後方レンズ面20Bは非球面で構成されていることが好ましい。
【0014】
第3レンズ30は樹脂(プラスチック)により形成されている。第3レンズ30の前方レンズ面30Aは対象物B側に凸であり、後方レンズ面30Bは対象物B側に凹んでいることが好ましい。第3レンズ30の前方レンズ面30A及び後方レンズ面30Bは非球面で構成されていることが好ましい。
【0015】
ここで、第2レンズ20の焦点距離をf2、第2レンズ20の光軸P上の厚さをD2、第3レンズ30の焦点距離をf3、第3レンズ30の光軸P上の厚さをD3とすると、光学系4は以下の式(1)及び(2)を満たしている。
0.13≦D2/f2≦0.21 ・・・(1)
-0.06≦D3/f3≦-0.02 ・・・(2)
【0016】
また、ガラスレンズである第1レンズ10よりも線膨張係数の大きい樹脂レンズである第2レンズ20及び第3レンズ30の温度変化が像面Sでの焦点ずれに対して大きな影響を与える。このため、第2レンズ20と第3レンズ30とのパワーのバランスが温度変化時のレンズ性能に大きく影響する。したがって、第2レンズ20と第3レンズ30とのパワーのバランスを取るように、光学系4は、上記式(1)及び(2)に代えて、あるいは上記式(1)及び(2)に加えて、以下の式(3)を満たしていることが好ましい。
-18.61mm≦f2+f3≦-15.67mm ・・・(3)
【0017】
さらに、第1レンズ10の焦点距離をf1、第1レンズ10の光軸P上の厚さをD1とすると、光学系4はさらに以下の式(4)を満たしていることが好ましい。
0.17≦D1/f1≦0.20 ・・・(4)
【0018】
また、第1レンズ10と第2レンズ20と第3レンズ30との合成焦点距離をf123とすると、光学系4はさらに以下の式(5)を満たしていることが好ましい。
0.59≦(D1+D2+D3)/f123≦0.89 ・・・(5)
【0019】
さらに、第1レンズ10のd線に対する屈折率をNd1、第2レンズ20のd線に対する屈折率をNd2、第3レンズ30のd線に対する屈折率をNd3とすると、光学系4はさらに以下の式(6)~(8)を満たしていることが好ましい。
1.84≦Nd1≦2.01 ・・・(6)
1.54≦Nd2≦1.64 ・・・(7)
1.54≦Nd3≦1.64 ・・・(8)
【0020】
一般に、ガラスレンズを使用することにより、温度変化に対するレンズ性能の変化が少ない光学系を実現できるが、第1レンズ10、第2レンズ20、及び第3レンズ30のすべてをガラスレンズにすると光学系4のコストが上昇してしまう。この点に鑑み、本実施形態では、第1レンズ10のみをガラスレンズとし、第2レンズ20及び第3レンズ30は比較的安価な樹脂レンズにより構成し、さらに、上記式で表されるようなパラメータで各レンズ間のバランスを取ることにより、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化の少ない光学系を実現している。また、上記式を満たすことにより、F値2.0の明るい光学系とすることができ、良好な解像度を得ることができる。さらに、光学系4におけるレンズの最大有効径を例えば5.0mm以下、光学全長を例えば7mm以下にすることができ、コンパクトな光学系を実現することができる。
【0021】
上述した各実施形態では、第1レンズ10、第2レンズ20、及び第3レンズ30のそれぞれが単一のレンズで構成されているが、複数枚のレンズを組み合わせることにより第1レンズ10、第2レンズ20、及び第3レンズ30のそれぞれを構成してもよい。また、絞り15の位置は図示のものに限られるものではない。
【0022】
なお、上述した第2レンズ20及び第3レンズ30のレンズ面が非球面で構成される場合、この非球面のプロファイルは、以下の式(9)により表される。
【数1】
ここで、yは光軸Pに垂直な方向の高さ、Z(y)は高さyにおける非球面の頂点の接平面から非球面に至るまでの光軸Pと平行な方向における距離(サグ量)、Cは非球面の頂点における曲率、κは円錐定数、A
nはn次の非球面係数である。
【実施例0023】
本発明の第1の実施例として以下のようなパラメータを有する光学系により上述の実施形態の撮像装置1を構成し、その特性を分析した。
<光軸P上のレンズ面の曲率半径>
第1レンズ10の前方レンズ面10A:4.126mm
第1レンズ10の後方レンズ面10B:17.803mm
第2レンズ20の前方レンズ面20A:-1.566mm(非球面)
第2レンズ20の後方レンズ面20B:-1.249mm(非球面)
第3レンズ30の前方レンズ面30A:2.843mm(非球面)
第3レンズ30の後方レンズ面30B:1.972mm(非球面)
【0024】
<光軸P上の厚さ又は間隔>
第1レンズ10の厚さD1=1.245mm
第1レンズ10と絞り15との間の間隔D1F=0.095mm
絞り15と第2レンズ20との間の間隔DF2=1.165mm
第2レンズ20の厚さD2=1.070mm
第2レンズ20と第3レンズ30との間の間隔D23=0.075mm
第3レンズ30の厚さD3=1.145mm
第3レンズ30とバンドパスフィルタ40との間の間隔D3B=0.600mm
バンドパスフィルタ40の厚さDB=0.300mm
バンドパスフィルタ40とセンサ保護ガラス50との間の間隔DBG=0.517mm
センサ保護ガラス50の厚さDG=0.400mm
センサ保護ガラス50と像面Sとの間の間隔DGS=0.100mm
【0025】
<d線に対する屈折率>
第1レンズ10の屈折率Nd1=1.847
第2レンズ20の屈折率Nd2=1.544
第3レンズ30の屈折率Nd3=1.636
バンドパスフィルタ40の屈折率NdB=1.516
センサ保護ガラス50の屈折率NdG=1.516
【0026】
<アッベ数>
第1レンズ10のアッベ数ν1=23.8
第2レンズ20のアッベ数ν2=55.9
第3レンズ30のアッベ数ν3=23.9
バンドパスフィルタ40のアッベ数νB=64.1
センサ保護ガラス50のアッベ数νG=64.1
【0027】
<波長950nmの光に対する焦点距離>
第1レンズ10の焦点距離f1=6.327mm
第2レンズ20の焦点距離f2=5.300mm
第3レンズ30の焦点距離f3=-20.979mm
第1レンズ10と第2レンズ20と第3レンズ30の合成焦点距離f123=3.915mm
【0028】
<非球面データ>
第1レンズ10の前方レンズ面10A:
κ=-2.76876×10-1
A4=-1.36985×10-2
A6=-2.10101×10-2
A8=-1.99807×10-2
A10=2.25775×10-2
A12=4.82101×10-3
A14=-4.39593×10-3
A16=7.02624×10-4
第1レンズ10の後方レンズ面10B:
κ=-1.10319
A4=-1.53560×10-2
A6=-1.94167×10-2
A8=1.30620×10-2
A10=-6.35051×10-3
A12=4.41306×10-4
A14=7.51147×10-4
A16=-1.36000×10-4
第3レンズ30の前方レンズ面30A:
κ=-1.71573
A4=-3.21957×10-2
A6=1.09800×10-2
A8=-1.90241×10-3
A10=9.51160×10-5
A12=2.86579×10-5
A14=-5.96690×10-6
A16=3.24508×10-7
第3レンズ30の後方レンズ面30B:
κ=-5.18285
A4=-2.86282×10-2
A6=7.55932×10-3
A8=-1.26837×10-3
A10=1.17222×10-4
A12=4.05708×10-7
A14=-1.41129×10-6
A16=7.55025×10-8
【0029】
ここで、上記式(1)~(8)について検討する。
式(1)
D2/f2=1.070mm/5.300mm=0.202
であり、
0.13≦D2/f2≦0.21
であるから、式(1)を満たしている。
【0030】
式(2)
D3/f3=1.145mm/-20.979mm=-0.0546
であり、
-0.06≦D3/f3≦-0.02
であるから、式(2)を満たしている。
【0031】
式(3)
f2+f3=5.300mm-20.979mm=-15.679mm
であり、
-18.61mm≦f2+f3≦-15.67mm
であるから、式(3)を満たしている。
【0032】
式(4)
D1/f1=1.245mm/6.327mm=0.197
であり、
0.17≦D1/f1≦0.20
であるから、式(4)を満たしている。
【0033】
式(5)
(D1+D2+D3)/f123=(1.245mm+1.070mm+1.145mm)/3.915mm=0.884
であり、
0.59≦(D1+D2+D3)/f123≦0.89
であるから、式(5)を満たしている。
【0034】
式(6)
Nd1=1.847
であり、
1.84≦Nd1≦2.01
であるから、式(6)を満たしている。
【0035】
式(7)
Nd2=1.544
であり、
1.54≦Nd2≦1.64
であるから、式(7)を満たしている。
【0036】
式(8)
Nd3=1.636
であり、
1.54≦Nd3≦1.64
であるから、式(8)を満たしている。
【0037】
このように、第1の実施例における光学系は上記式(1)~(8)をすべて満たしている。
【0038】
この第1の実施例における光学系について、焦点ずれとMTF(Modulation Transfer Function)との関係を複数の異なる温度で求めた結果を
図2Aから
図2Cに示す。光学系が通常使用されることを想定されているのは25℃であるため、25℃での焦点位置を基準とした。
図2Aは-40℃、
図2Bは25℃、
図2Cは85℃での算出結果を示している。なお、
図2Aから
図2Cは、MTF周波数を83LP/mmとしたときの結果である。
【0039】
図2Aから
図2Cに示されるように、-40℃のときの25℃に対する焦点ずれは-0.016mm程度、85℃のときの25℃に対する焦点ずれは+0.012mm程度と極めて小さく抑えられている。このように、第1の実施例の光学系は、温度変化による焦点ずれが少なく、温度変化に対するレンズ性能の変化が少ない光学系であることがわかる。
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化を小さく抑えることができる光学系が提供される。具体的には、本発明に係る光学系は、以下のような構成を採用することができる。
このように、第1レンズをガラスレンズとし、第2レンズ及び第3レンズは比較的安価な樹脂レンズにより構成し、第2レンズと第3レンズのパラメータを調整することにより、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化の少ない光学系が実現される。
このように、第1レンズをガラスレンズとし、第2レンズ及び第3レンズは比較的安価な樹脂レンズにより構成し、第2レンズと第3レンズのパラメータを調整することにより、安価な構成で温度変化に対するレンズ性能の変化の少ない光学系が実現される。特に、ガラスレンズである第1レンズのパラメータよりも樹脂レンズである第2レンズ及び第3レンズのパラメータが温度変化による焦点ずれに大きな影響を与えるため、第2レンズ及び第3のレンズの焦点距離を上記のように調整することで、温度変化に対するレンズ性能の変化が少なくなる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。