(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030827
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】生産システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240229BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65G1/04 521
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133991
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋田 洋二
(72)【発明者】
【氏名】▲塚▼田 乙
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022LL12
3F022MM01
3F022NN05
3F022NN12
3F022NN38
(57)【要約】
【課題】倉庫部に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備と倉庫部との間の搬送効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供する。
【解決手段】生産システム1は、生産設備30が設けられた生産区画3と、生産区画3の上方のみに設けられ、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される単位保管領域Hを、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成された倉庫部5と、倉庫部5の上を含むように、生産区画3の上方に閉じて設けられた走行路6と、任意の単位保管領域Hに対する生産関係物の格納と取り出し、及び走行路6上の走行が可能となるように設けられた、生産関係物を搬送する搬送装置7と、走行路6と生産設備30との間で生産関係物を上下に搬送させる昇降部8と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備が設けられた生産区画と、
前記生産区画の上方のみに設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される単位保管領域を、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成された倉庫部と、
前記倉庫部の上を含むように、前記生産区画の上方に閉じて設けられた走行路と、
任意の前記単位保管領域に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、
前記走行路と前記生産設備との間で前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、
を備えることを特徴とする生産システム。
【請求項2】
複数の前記単位保管領域は、空間をあけて互いに離間して設けられた一の前記単位保管領域と、二の前記単位保管領域とを備え、前記空間には設備機器が設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
前記生産区画の側方に設けられ、前記生産関係物が保管される補助倉庫部と、
前記補助倉庫部に対し前記生産関係物の入出庫を行う入出庫用コンベアと、
を更に備え、
前記入出庫用コンベアは、一端が前記補助倉庫部に、他端が前記走行路に面して設けられ、
前記搬送装置は、前記入出庫用コンベアの前記他端に対して前記生産関係物を授受することで、前記補助倉庫部に対する前記生産関係物の入出庫を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産設備の上方に生産関係物が保管される倉庫が設けられる生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を生産する生産システムにおいては、生産のために使用される原材料や、生産された製品を保管する必要がある。
このような場合に、例えば、次に説明する特許文献1~3に記載されたような自動倉庫システムを、例えば生産設備が設けられる生産区画の隣に併設して、原材料、仕掛品、製品等の、生産に関連する物を保管することが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、3次元グリッドと、複数のコンテナ荷役車両とを備える自動倉庫システムの構成が開示されている。この構成において、3次元グリッドは、コンテナが、垂直スタック状に相互の上に保管され得る保管カラムを備える。各コンテナ荷役車両は、保管カラムからコンテナを回収し、その中にコンテナを保管する。コンテナ荷役車両は、3次元グリッドの最上位におけるレール上で動作し、グリッドを横断してコンテナを水平に輸送する。
また、特許文献2には、スタッカクレーンと、ラックと、スタッカクレーンによってラックに配置され、ラック内において荷物の搬送及び移載を行うシャトルと、を備える自動倉庫システムの構成が開示されている。この構成において、ラックは、上下方向に並べられた複数段の載置棚を有する。各段の載置棚は、スタッカクレーンの通路の延在方向に交差する奥行方向に複数の荷物を並べて載置可能である。
また、特許文献3には、水平面内で第1の方向、及び第1の方向に直交する第2の方向に、複数のグリッド開口部が隣接して形成されたトラックシステムと、グリッド開口部の垂直方向の下方に配置された保管コンテナのスタックと、スタックの中にスタックされている保管コンテナをリフトする保管コンテナリフティングデバイスと、トラックシステムに沿って移動する車両と、を備える自動倉庫システムの構成が開示されている。
【0004】
このように、生産区画の隣に自動倉庫システムや、自動倉庫システムと無人搬送システム(AGV)あるいは、天井走行式無人搬送システム(OHT)を組合せて設ける場合には、相応の敷地面積が必要となる。レイアウト変更には、固定設備の大掛かりな変更を伴う。
また、倉庫部を生産区画の側方に設けると、生産設備が設けられた位置によっては、倉庫部との距離が長くなり、搬送効率が低減することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2021-500283号公報
【特許文献2】特開2022-35540号公報
【特許文献3】特表2021-504265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、倉庫部に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備と倉庫部との間の搬送効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、搬送装置を有する生産システムとして、生産設備が設けられる生産区画と、前記生産区画の上方に生産関係物の倉庫部(メイン)に保管し、倉庫部内の前記生産関係物を搬送装置で搬送し、生産区画には昇降部で上下に搬送させることで、生産関係物の保管効率と搬送効率を高めることができ、かつ倉庫や生産区画に要する敷地面積の低減が可能である点に着眼して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の生産システムは、生産設備が設けられた生産区画と、前記生産区画の上方のみに設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される単位保管領域を、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成された倉庫部と、前記倉庫部の上を含むように、前記生産区画の上方に閉じて設けられた走行路と、任意の前記単位保管領域に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、前記走行路と前記生産設備との間で前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、倉庫部は、生産関係物が保管される単位保管領域を、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成されているので、多数の生産関係物を効率良く保管することができる。このような倉庫部は、生産区画の上方のみに設けられているので、倉庫部を生産区画の側方に設ける場合と比較し、倉庫部を設けるための敷地面積を必要としない。
また、任意の単位保管領域と生産区画との間で生産関係物を搬送する場合、搬送装置の走行路上での走行と、昇降部による走行路と生産設備との間での生産関係物の上下への搬送とにより、生産関係物の搬送が行われる。このとき、倉庫部が生産区画の上方に設けられているので、生産区画の側方に設けた場合に比べると、生産設備と倉庫部との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、生産設備と倉庫部との間の、搬送装置による生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、生産関係物の全体的な搬送効率を高めることができる。
また、例えば、生産区画において生産設備をレイアウト変更する際には、生産システムでは、生産設備の変更にあわせて倉庫部と走行路を増設または位置を変更し、昇降部の配置を変更することで、これに対応することとなる。ここで、倉庫部と走行路は、生産設備の上方に設けられるため、生産設備に影響されずに施工可能であるから、施工性が良い。また、昇降部の配置変更も容易である。したがって、生産設備のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
その結果、倉庫部に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備と倉庫部との間の搬送効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、複数の前記単位保管領域は、空間をあけて互いに離間して設けられた一の前記単位保管領域と、二の前記単位保管領域とを備え、前記空間には設備機器が設置される。
このような構成によれば、一の単位保管領域と、二の単位保管領域との間の空間に、設備機器が設置されることで、生産システムが設置される建物内のスペースを有効利用することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、本発明の生産システムは、前記生産区画の側方に設けられ、前記生産関係物が保管される補助倉庫部と、前記補助倉庫部に対し前記生産関係物の入出庫を行う入出庫用コンベアと、を更に備え、前記入出庫用コンベアは、一端が前記補助倉庫部に、他端が前記走行路に面して設けられ、前記搬送装置は、前記入出庫用コンベアの前記他端に対して前記生産関係物を授受することで、前記補助倉庫部に対する前記生産関係物の入出庫を行う。
このような構成によれば、生産区画の側方に補助倉庫部を設けることで、生産システムにおける生産関係物の保管量を増大させることができる。補助倉庫部と走行路との間には入出庫用コンベアが設けられているので、搬送装置が、入出庫用コンベアの他端に対して生産関係物を授受することで、補助倉庫部に対する生産関係物の入出庫を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、倉庫部に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備と倉庫部との間の搬送効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る生産システムの構成を示す平面図である。
【
図5】上記実施形態の変形例に係る生産システムの構成を示す平面図である。
【
図8】上記実施形態の変形例に係る生産システムにおける、走行路と入出庫用コンベアとの間で搬送容器を授受する搬送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、生産施設を対象とする、生産設備が設けられた生産区画の上方に、自動倉庫システムの倉庫部を備えた生産システムである(実施形態、
図1~
図4)。変形例では、自動倉庫システムの倉庫部(メイン倉庫)に近接した位置に、入出庫用コンベアを備えた補助倉庫部がある(
図5~
図8)。倉庫部と補助倉庫部との連結部では、搬送装置上の生産関係物を吊り上げて移設させる、昇降機構により搬送装置と入出庫用コンベアとの間において、搬送容器を移載させる(
図8)。
以下、添付図面を参照して、本発明による生産システムを実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る生産システムの構成を示す平面図を
図1に示す。
図2は、
図1のI-I矢視断面図である。
図3は、
図1のII-II矢視断面図である。
図4は、
図1の生産システムの斜視図である。
図1、
図2に示されるように、生産システム1は、建物2内に設けられている。建物2は、例えば平屋建てで、床21と、床21の上方に配置された屋根22(
図2参照)と、床21の外周部に設けられた外壁25(
図1参照)と、を備えている。
図2に示されるように、床21の上方、かつ屋根22の下方には、天井23が設けられている。ここで、建物2の具体的な構造、構成については、何ら限定するものではない。建物2は、平屋建てではなく、2階建て以上の複数階層を有した構成であってもよい。この場合、屋根22に代えて、上階の床24(床スラブ)が設けられていてもよい。
図1~
図4に示されるように、生産システム1は、生産区画3と、倉庫部5と、走行路6と、搬送装置7と、昇降部8と、を主に備えている。
【0013】
生産区画3は、床21上に配置されている。生産区画3は、複数の生産設備30を備えている。生産区画3は、複数の生産設備30が配置された生産室である。生産区画3は、床21と、天井23との間に形成されている。
複数の生産設備30においては、全体として、例えばひとつの製品が製造される。本実施形態では、複数の生産設備30として、例えば、第1工程の生産設備30Aと、第2工程の生産設備30Bと、第3工程の生産設備30Cと、が設けられている。本実施形態において、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cは、第1方向D1に沿って順次配列されている。製品は、例えば、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cを、この順で順次経ることで生産される。なお、
図1において、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cが、第1方向D1に沿って順次配列されているが、複数の生産設備30の配列(配置)は、これに限るものではなく、適宜変更可能である。
なお、製品を製造するために経る生産設備30の数(工程数)は、ここで示した3つに限らず、2つ、または4つ以上であってもよい。また、生産区画3内に、製品を製造するための一連の生産設備30(第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30C)を、複数組備えていてもよい。本実施形態においては、複数の生産設備30は、水平面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に間隔をあけて、複数列が配置されている。
【0014】
複数の生産設備30(第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30C)の各々には、製品を生産する基となり、生産に使用される供給物が供給される。複数の生産設備30の各々は、供給された供給物を基に、所定の加工、組立等を行い、その生産設備30における生産物を生産する。複数の生産設備30においては、製品の原料材を基に、複数の生産設備30の各々で、所定の加工、組立等の工程を順次経ることで、全体として、例えばひとつの製品を製造する。
複数の生産設備30の各々における供給物としては、製品の原料材、前工程の生産設備30で生産された中間製品等がある。複数の生産設備30の各々における生産物では、中間製品、完成品としての製品等がある。
このような、生産設備30へ供給される供給物と、生産設備30により生産された生産物とを含む、製品の原料材、中間製品、完成品としての製品等の、各生産設備30における生産の過程で生産設備30に投入され、生産設備30から排出される物を、総じて生産関係物と呼称する。
【0015】
倉庫部5は、建物2内で、生産区画3の上方のみに設けられている。倉庫部5は、天井23の上方の、いわゆる天井裏スペースに配置されている。
図2、
図3に示されるように、倉庫部5は、建物2の躯体に緊結されて設けられている。本実施形態において、倉庫部5は、建物2の躯体の一部に支持された吊り棚28に設けられている。吊り棚28は、屋根22を下方から支持する屋根梁26に吊下されている。吊り棚28は、屋根梁26から下方に延びる複数本の束材28aと、複数本の束材28aに支持され、水平面に沿って設けられた棚材28bと、を備える。本実施形態において、倉庫部5は、吊り棚28の棚材28b上に載置されている。
倉庫部5には、生産設備30へ供給される供給物と、生産設備30により生産された生産物とを含む、生産関係物が保管される。本実施形態において、生産関係物は、箱状の搬送容器100に収容されて保管される。搬送容器100は、全体として、立方体状、または直方体状の中空箱状で、例えば、上方に、生産関係物を出し入れするための開口を有している。
【0016】
倉庫部5は、ラック50を備えている。
ラック50は、当該ラック50の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に延びる複数の第1上部フレーム51と、ラック50の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる複数の第2上部フレーム52と、上下方向Dvに延びる複数の支柱53と、内部フレーム54と、を備えている。
複数の第1上部フレーム51は、ラック50の最上部に、第2方向D2に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第2上部フレーム52は、ラック50の最上部に、第1方向D1に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第1上部フレーム51、及び複数の第2上部フレーム52は、上方から見て格子状に形成されている。複数の支柱53の各々は、上方から見て、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52との交差部分と重なる位置に、交差部分から下方へと延伸するように配置されている。
図2、
図3に示されるように、第1方向D1、及び第2方向D2で隣り合う支柱53同士は、上下方向Dvに間隔をあけて配置された複数の内部フレーム54によって連結されている。
図1に示されるように、第2方向D2で隣り合う第1上部フレーム51同士、及び第1方向D1で隣り合う第2上部フレーム52同士の間には、上方に向けて開口する矩形の開口55が形成されている。開口55は、第1方向D1、及び第2方向D2に沿ってそれぞれ複数形成されている。各開口55の下方には、上下方向Dvに延びる角柱状の保管空間56が形成されている。各保管空間56には、搬送容器100が上下方向Dvに複数積層されて保管される。
このようにして、各フレーム51、52、54及び支柱53によって略立方体状の枠を構築することで、一つの搬送容器100が保管される領域である、単位保管領域Hが形成されている。単位保管領域Hは、複数が、第1方向D1、第2方向D2、及び上下方向Dvに連接させるように設けられている。これにより、倉庫部5は、単位保管領域Hを、複数個、3次元のグリッド状に集積させて形成されている。
【0017】
図1、
図4に示されるように、本実施形態において、ラック50は、水平面内で第1方向D1に延びる第1ラック部50Aと、水平面内で第2方向D2に延びる第2ラック部50Bと、を有している。第1ラック部50Aは、第2方向D2に間隔をあけて複数設けられている。2つの第1ラック部50Aの間には、空間Kが設けられている。第2ラック部50Bは、第2方向D2で隣り合う第1ラック部50A同士を接続するように設けられている。第2ラック部50Bは、第1方向D1に間隔をあけて複数設けられている。2つの第2ラック部50Bの間には、空間Kが設けられている。このような複数の第1ラック部50A、及び複数の第2ラック部50Bにより、ラック50は、上方から見て、全体として格子状に形成されている。なお、ラック50を上方から見た際の配置(形状)は、一例に過ぎず、適宜変更可能である。
図3に示されるように、第1方向D1に間隔をあけて複数の第2ラック部50Bが配置された部分においては、一方の第2ラック部50Bに設けられた一の単位保管領域H1と、他方の第2ラック部50Bに設けられた二の単位保管領域H2とは、第1方向D1に空間Kを空けて互いに離間して設けられた構成となっている。本実施形態においては、この空間Kには、設備機器9が設置されている。設備機器9としては、配管、ダクト、空調設備等が挙げられる。
【0018】
図2に示されるように、昇降部8は、後述する走行路6と生産設備30との間で生産関係物を上下に搬送させる。昇降部8は、生産設備30の上方の位置P1と生産設備30の各々との間で生産関係物を上下に搬送させる。
昇降部8は、例えば、生産設備30に対する供給物の供給部、生産設備30からの生産物の搬出部の各々に、隣接して配置されている。生産設備30の供給部が複数ある場合には、この各々に対応して、昇降部8が設けられてもよい。また、生産設備30の搬出部が複数ある場合には、この各々に対応して、昇降部8が設けられてもよい。
生産設備30に対する供給物の供給部と生産物の搬出部とが共通、あるいは近接している場合、昇降部8は、共通の供給部及び搬出部に隣接して配置される。この場合には、共通の供給部及び搬出部に対応して、1つの昇降部8が設けられてもよいし、供給部への供給物の供給用と、搬出部からの生産物の搬出用に、それぞれ異なる昇降部8を設けてもよい。
昇降部8は、上下方向Dvに延びている。昇降部8は、例えば、上下方向Dvに昇降可能な昇降台(図示無し)を備えている。昇降部8の上端部は、後述する走行路6に臨む位置に、上方に向けて開口する上部開口81を有している。上部開口81は、例えば、倉庫部5を構成するラック50に隣接、またはラック50内に形成されている。昇降部8の下端部には、生産設備30に対し、供給物の供給、生産物の搬出を行うための入出庫口82が設けられている。入出庫口82には、生産設備30の供給部、搬出部との間で生産関係物を搬送するコンベアや無人搬送台車等を備えていてもよい。また、入出庫口82における供給物の取り出し、生産物の投入は、作業者によって人手で行うようにしてもよいし、ロボット等を用いて自動で行うようにしてもよい。
このように、昇降部8は、生産設備30の供給部、搬出部に隣接して配置される。このため、厳密には、昇降部8は、生産設備30の、特に供給部と搬出部の各々の上方の位置P1と、生産設備30の各々の供給部と搬出部との間で、生産関係物を上下に搬送させる。
【0019】
走行路6は、倉庫部5の上を含むように、生産区画3の上方に閉じて設けられている。走行路6は、生産区画3の上方の領域の、閉じた領域のみに設けられている。走行路6は、生産区画3の上方の領域とは異なる領域に延びるようには設けられていない。これにより、走行路6上を走行する、後に説明する搬送装置7は、生産区画3の上方の、限定され、閉じた領域内のみを走行する。
走行路6は、倉庫部5のラック50の上面を含む水平面に沿って延びている。走行路6は、倉庫部5の上方を含むように設けられている。
図2、
図3に示されるように、走行路6は、例えば、後述する搬送装置7が走行可能なレール61を備えている。レール61は、第1上部フレーム51、第2上部フレーム52上に、第1上部フレーム51、第2上部フレーム52に沿って延びるように敷設されている。レール61は、例えば、第1上部フレーム51、第2上部フレーム52を兼ねていても良い。
走行路6は、全ての第1上部フレーム51と第2上部フレーム52の上に、格子状に設けられている。このようにして、本実施形態においては、走行路6は、倉庫部5の全域にわたって、倉庫部5の上のみを走行するように構成されている。
【0020】
搬送装置7は、走行路6上で走行可能に設けられている。搬送装置7は、走行路6上で、予め設定されたプログラムに基づいて、自走可能に構成されている。例えば、搬送装置7は、内部に設けられた制御ソフトウェアによって、他の搬送装置7の走行状況を考慮しつつ、最適な経路をリアルタイムで判断して目的地に到達するように、走行経路が探索され、探索された走行経路に従って、走行路6上を走行する。搬送装置7は、進行方向に直交する方向に離間するように対として設けられた車輪を有し、当該車輪をレール61上に位置づけることで、走行路6上を走行する。搬送装置7は、方向転換機能を有している。上記のように、本実施形態においては、走行路6は、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52の上に、格子状に設けられており、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52が交差する部分で、任意の方向に進行方向を変えることができる。このように、搬送装置7は、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52が交差する部分を分岐部、合流部とし、これら分岐部、合流部で、走行する経路を適宜選択して走行可能とされている。
搬送装置7は、例えば上記のように制御ソフトウェアにより制御されて、生産関係物を、生産システム1内で搬送するため、走行路6上を自走する。搬送装置7は、走行路6上に複数台備えられている。複数台の搬送装置7は、コントローラからの指令に基づき、走行路6を構成するレール61から、走行する経路を選択することで、走行路6上で交錯しないように制御されている。
各搬送装置7は、充電可能な蓄電池を搭載しており、蓄電池を電源として走行可能に構成されている。
【0021】
各搬送装置7は、搬送容器100に収容された生産関係物を搬送する。各搬送装置7は、生産関係物が収容される搬送容器100を吊り下げるリフタ71を備えている。リフタ71は、下方に向けて伸縮するケーブル、ベルト等(図示無し)を有し、その下端部で搬送容器100を保持可能に構成されている。リフタ71は、ケーブル、ベルト等の下端部で搬送容器100を保持した状態で、ケーブル、ベルト等を伸縮させることによって、搬送容器100を上下方向Dvに昇降させる。
各搬送装置7は、倉庫部5の任意の場所の単位保管領域Hに対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、倉庫部5の、走行路6上の任意の位置を走行し、任意の位置に停止して、当該位置に設けられた開口55の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、開口55の下方の保管空間56内の生産関係物の格納と取り出しを行う。
各搬送装置7は、昇降部8の上部開口81に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、昇降部8の上部開口81の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、上部開口81の下方の昇降台(図示無し)に対し、生産関係物の格納と取り出しを行う。
このような搬送装置7が生産区画3の上方に集中した場合においても、渋滞回避が可能なように、走行路6は設けられている。より具体的には、走行路6は、少なくとも、搬送経路上において搬送装置7が特に集中して渋滞しやすいと考えられる箇所においては、複線や、対面通行とする等により、追い越しや迂回、周回による渋滞回避が可能となるように制御されている。このような構成とすることで、搬送装置7が走行する際の経路選択の自由度が向上して、搬送効率が向上する。
【0022】
このような生産システム1では、複数の生産設備30を順次経ることで、製品が製造される。より具体的には、まず、第1工程の生産設備30Aへ供給物(原料材)を供給し、供給物に対して生産設備30Aにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Aから生産物を搬出する。次いで、第1工程の生産設備30Aにおける生産物を、第2工程の生産設備30Bへ供給物として供給し、これに対して生産設備30Bにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Bから生産物を搬出する。更に、第2工程の生産設備30Bにおける生産物を、第3工程の生産設備30Cへ供給物として供給し、これに対して生産設備30Cにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Cから生産物(製品)を搬出する。
【0023】
第1工程の生産設備30Aに生産関係物(供給物、この場合には原料材)を供給する際には、まず、生産設備30Aにおける生産に先立って、搬送装置7が、走行路6上の、当該生産関係物が予め保管されている倉庫部5の保管空間56の上方に移動し、生産関係物を取り出す。搬送装置7は、走行路6上を走行し、生産関係物を搬送する。搬送装置7は、走行路6上を、生産設備30Aに生産関係物を供給する昇降部8の上部開口81へと移動する。搬送装置7は、昇降部8の昇降台に生産関係物を載置する。昇降部8は昇降台を下降させ、生産関係物を生産設備30Aの供給部へと搬送する。
【0024】
生産設備30Aにおいて生産物(中間製品)が生産されると、これは生産関係物として、倉庫部5へと搬送される。
具体的には、生産設備30Aにおいて生産された生産関係物を昇降部8の昇降台に載置すると、昇降部8は昇降台を上昇させる。搬送装置7は、上昇された生産関係物を保持し、走行路6上を走行し、倉庫部5の所定の単位保管領域Hへと搬送した生産関係物を保管する。
その後、生産設備30Bに当該生産関係物を供給するタイミングで、搬送装置7が倉庫部5の走行路6上の、当該生産関係物が保管されている単位保管領域Hの上方に移動し、生産関係物を取り出す。搬送装置7は、走行路6上を、生産設備30Bに生産関係物を供給する昇降部8の上部開口81へと移動する。搬送装置7は、昇降部8の昇降台に生産関係物を載置する。昇降部8は昇降台を下降させ、生産関係物を生産設備30Bの供給部へと搬送する。
生産設備30Bにおいて生産物(中間製品)が生産されると、これは生産関係物として、上記と同様な手順で、倉庫部5へと搬送される。そして、生産設備30Cに当該生産関係物を供給するタイミングで、上記と同様な手順で、生産設備30Cの供給部へと搬送される。
【0025】
生産設備30Cにおいて生産物(最終製品)が生産されると、これは生産関係物として、上記と同様な手順で、倉庫部5へと搬送される。倉庫部5に保管された生産関係物(最終製品)は、適切なタイミングで、生産システム1から出庫される。
【0026】
上述したような生産システム1は、生産設備30が設けられた生産区画3と、生産区画3の上方のみに設けられ、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される単位保管領域Hを、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成された倉庫部5と、倉庫部5の上を含むように、生産区画3の上方に閉じて設けられた走行路6と、任意の単位保管領域Hに対する生産関係物の格納と取り出し、及び走行路6上の走行が可能となるように設けられた、生産関係物を搬送する搬送装置7と、走行路6と生産設備30との間で生産関係物を上下に搬送させる昇降部8と、を備える。
このような構成によれば、倉庫部5は、生産関係物が保管される単位保管領域Hを、複数個、3次元グリッド状に集積させて形成されているので、多数の生産関係物を効率良く保管することができる。このような倉庫部5は、生産区画3の上方のみに設けられているので、倉庫部5を生産区画3の側方に設ける場合と比較し、倉庫部5を設けるための敷地面積を必要としない。
また、任意の単位保管領域Hと生産区画3との間で生産関係物を搬送する場合、搬送装置7の走行路6上での走行と、昇降部8による走行路6と生産設備30との間での生産関係物の上下への搬送とにより、生産関係物の搬送が行われる。このとき、倉庫部5が生産区画3の上方に設けられているので、生産区画3の側方に設けた場合に比べると、生産設備30と倉庫部5との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、生産設備30と倉庫部5との間の、搬送装置7による生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、生産関係物の全体的な搬送効率を高めることができる。
また、例えば、生産区画3において生産設備30をレイアウト変更する際には、生産システム1では、生産設備30の変更にあわせて倉庫部5と走行路6を増設または位置を変更し、昇降部8の配置を変更することで、これに対応することとなる。ここで、倉庫部5と走行路6は、生産設備30の上方に設けられるため、生産設備30に影響されずに施工可能であるから、施工性が良い。また、昇降部8の配置変更も容易である。したがって、生産設備30のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
その結果、倉庫部5に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備30と倉庫部5との間の搬送効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システム1を提供することが可能となる。
【0027】
また、複数の単位保管領域Hは、空間Kをあけて互いに離間して設けられた一の単位保管領域H1と、二の単位保管領域H2とを備え、空間Kには設備機器9が設置される。
このような構成によれば、一の単位保管領域H1と、二の単位保管領域H2との間の空間Kに、設備機器9が設置されることで、生産システム1が設置される建物内のスペースを有効利用することができる。
【0028】
一般に、無人搬送を行うシステムとして、天井走行式無人搬送システム(OHT)が用いられることがある。OHTにおいては、天井に敷設された分岐合流機構を有する給電レールを搬送装置が走行して、搬送が行われる。このようなOHTにおいては、多くの場合、搬送装置は、外部給電による常時給電を要するため、搬送装置が走行するレールは、給電機能を備えた専用のものとなる。また、複数のレールを、分岐点、合流点を設定して組み合わせて設ける必要がある。このような理由に拠り、OHTにおいては、大掛かりな設備を必要とする。
更には、搬送装置は、上記のような分岐点、合流点の近傍で渋滞し、搬送効率が低下する可能性がある。
これに対し、本実施形態においては、各搬送装置7は、充電可能な蓄電池を搭載しているため、走行路6に給電機能や給電のための給電装置を備える必要が無い。
また、走行路6は、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52の上に、格子状に設けられており、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52が交差する部分で、任意の方向に進行方向を変えることができる。このため、走行路6には多くの分岐点、合流点が設けられた構成となっており、搬送装置7が走行可能な経路の選択肢が多く、渋滞が生じにくい。したがって、搬送効率の低下を抑制可能である。
【0029】
(実施形態の変形例)
本発明の実施形態の変形例に係る生産システムの構成を示す平面図を
図5に示す。
図6は、
図5のIII-III矢視断面図である。
図7は、
図5のIV-IV矢視断面図である。
図5~
図7に示されるように、本実施形態における生産システム1Bは、建物2B内に設けられている。生産システム1Bは、上記実施形態で示した生産システム1の構成に加えて、補助倉庫部200と、入出庫用コンベア210と、を備えている。
補助倉庫部200は、平面視したときに、生産区画3の近傍に設けられている。本実施形態においては、補助倉庫部200は、生産区画3に対し、第1方向D1における側方に隣接して設けられている。補助倉庫部200は、走行路6から、第1方向D1に間隔をあけて配置されている。補助倉庫部200は、床21上に設けられている。
本変形例の生産システム1Bにおいても、生産設備30により生産が行われる際には、基本的には、倉庫部5が、生産関係物の保管に使用される。倉庫部5に保管すべき生産関係物の量が増え、倉庫部5のみでは保管できない生産関係物が生じた場合に、このような生産関係物を保管する目的で、補助倉庫部200は使用され得る。あるいは、補助倉庫部200は、生産システム1Bと、生産システム1Bの外部に位置する他の施設との間で、生産関係物を授受する際における、仮置きのための倉庫としても用いられ得る。
生産関係物は、搬送容器100に収容されて保管される。
【0030】
補助倉庫部200は、生産関係物が保管可能な、例えば自動倉庫ユニットによって構成されている。補助倉庫部200は、例えばバケット保管用の自動倉庫であってよい。
図6に示されるように、補助倉庫部200を構成する自動倉庫ユニットは、複数の搬送容器100を収容可能な収容部201を有している。収容部201は、第2方向D2に間隔をあけて複数設けられている。各収容部201は、第1方向D1に複数列の収容空間202を有している。各収容空間202は、上下方向Dvに延びている。各収容空間202には、搬送容器100が上下方向Dvに複数段に収容可能に構成されている。補助倉庫部200は、各収容空間202と、次に説明する入出庫用コンベア210との間で、搬送容器100を自動的に搬送する、例えばスタッカクレーン等の、適宜の機構を備えている。
このような補助倉庫部200は、上下方向Dvにおける高さが、走行路6よりも上方に設定されている。
なお、補助倉庫部200の具体的な構成については上記に限定されず、例えば、補助倉庫部200は、シャトル式の自動倉庫ユニットや、倉庫部5と同様の構成を有するものとしてもよい。
【0031】
本変形例において、搬送装置7の走行路6Dは、上記実施形態における走行路6に加え、レール61の一部が倉庫部5から補助倉庫部200に向けて、第1方向D1に突出するように設けられた連絡部62を備えている。この場合も、走行路6Dは、倉庫部5の上を含むように、生産区画3の上方に閉じて設けられた構成となっており、搬送装置7は、生産区画3の上方の、限定され、閉じた領域内のみを走行する。
入出庫用コンベア210は、補助倉庫部200に対し、生産関係物の入出庫を行う。入出庫用コンベア210は、各収容部201から、第1方向D1に、連絡部62に向けて突出して延びている。入出庫用コンベア210は、一端210aが補助倉庫部200に、他端210bが走行路6Dに、特に連絡部62に面して設けられている。
図8は、上記実施形態の変形例に係る生産システムにおける、走行路と入出庫用コンベアとの間で搬送容器を授受する搬送装置を示す斜視図である。
図6、
図8に示されるように、入出庫用コンベア210の他端210bは、連絡部62の先端6sに対し、近接して配置されている。本実施形態において、入出庫用コンベア210は、連絡部62よりも所定寸法低い位置に設けられている。
搬送装置7は、入出庫用コンベア210の他端210bに対して生産関係物が収容された搬送容器100を授受する。搬送装置7のリフタ71は、搬送容器100を、適宜のチャック機構、バキューム機構、磁着機構等によって上方から支持可能に構成されている。リフタ71は、ロッド、シリンダ、ケーブル等の昇降機構72を上下方向Dvに伸縮させることで、昇降可能に構成されている。連絡部62の先端6sにおいて、入出庫用コンベア210の他端210bの上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、入出庫用コンベア210の他端210bに対して生産関係物が収容された搬送容器100の授受を行う。
入出庫用コンベア210は、搬送装置7から受け取った搬送容器100を、他端210bから一端210aに向けて搬送する。一端210aに搬送された搬送容器100は、補助倉庫部200に入庫され、所定の位置に収容される。
また、入出庫用コンベア210においては、補助倉庫部200から出庫される搬送容器100が、一端210aに載置される。入出庫用コンベア210は、載置された搬送容器100を、一端210aから他端210bに搬送する。他端210bに搬送された搬送容器100は、搬送装置7のリフタ71により受け取られて、入出庫用コンベア210から搬出される。
【0032】
上述したように、本変形例における生産システム1Bは、生産区画3の側方に設けられ、生産関係物が保管される補助倉庫部200と、補助倉庫部200に対し生産関係物の入出庫を行う入出庫用コンベア210と、を更に備え、入出庫用コンベア210は、一端210aが補助倉庫部200に、他端210bが走行路6Dに面して設けられ、搬送装置7は、入出庫用コンベア210の他端210bに対して生産関係物を授受することで、補助倉庫部200に対する生産関係物の入出庫を行う。
このような構成によれば、生産区画3の側方に、補助倉庫部200を設けることで、生産システム1における生産関係物の保管量を増大させることができる。補助倉庫部200と走行路6Dとの間には入出庫用コンベア210が設けられているので、搬送装置7が、入出庫用コンベア210の他端210bに対して生産関係物を授受することで、補助倉庫部200に対する生産関係物の入出庫を自動的に行うことができる。
【0033】
(実施形態の他の変形例)
上記実施形態及び変形例では、昇降部8が昇降可能な昇降台を備える構成としたが、搬送装置7が、昇降部8で搬送容器100を搬送可能な機能を備えるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、倉庫部5と走行路6、6Dは、天井23の上方の天井裏スペースに建物2の躯体の一部に支持された吊り棚28に配置されているが、生産区画に設置した鉄骨架台上に配置してもよい。また、生産区画の上方に設備機械スペース(ISS:Interstitial Space System)を設け、ISS内に倉庫部5と走行路6、6Dを設置してもよい。
また、上記実施形態では、走行路6は、倉庫部5の上のみを走行するように構成されていたが、これに限られない。例えば、走行路は、上記実施形態の構成に加え、空間Kをあけて互いに離間して設けられた2つの第2ラック部50Bの間を連結するように、空間Kの上方に設けられてもよい。あるいは、走行路は、上記実施形態の構成に加え、空間Kをあけて互いに離間して設けられた2つの第1ラック部50Aの間を連結するように、空間Kの上方に設けられてもよい。このようにした場合においても、走行路は、生産区画3の上方に閉じて設けられている構成となっていることは、明らかである。
また、上記実施形態及び変形例では、倉庫部5を、天井23の上方の天井裏スペースの一部に配置するようにしたが、倉庫部5を、天井裏スペースに、生産区画3の上方の領域の全体にわたって設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、水平方向に間隔をあけて配置された倉庫部5の間に、設備機器9を配置するようにしたが、設備機器9を配置しない構成としてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1、1B 生産システム 200 補助倉庫部
3 生産区画 210 入出庫用コンベア
5 倉庫部 210a 一端
6、6D 走行路 210b 他端
7 搬送装置 H 単位保管領域
8 昇降部 H1 一の単位保管領域
9 設備機器 H2 二の単位保管領域
30、30A~30C 生産設備 K 空間