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特開2024-30836座席移動対象者特定方法及び座席移動者対象特定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030836
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】座席移動対象者特定方法及び座席移動者対象特定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q10/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134015
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】西口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 左千夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 達郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
(57)【要約】
【課題】移動可能となる座席の予約者をより多く特定する座席移動対象者特定方法及び座席移動者対象特定プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】座席移動対象者特定方法は、予約可能な座席に空席が発生した際に、前記座席を予約した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の有無を判定し、前記判定の結果に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予約可能な座席に空席が発生した際に、前記座席を予約した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の有無を判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
処理をコンピュータが実行する座席移動対象者特定方法。
【請求項2】
予約可能な座席に空席が発生した際に、前記座席を予約した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の人数を計数し、
前記人数に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
処理をコンピュータが実行する座席移動対象者特定方法。
【請求項3】
共通の環境に属する座席群の中のいずれかの座席に空席が発生した際に、前記環境を指定した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の人数を計数し、
前記人数に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
処理をコンピュータが実行する座席移動対象者特定方法。
【請求項4】
現座席に対する複数の第1の移動対象候補者のそれぞれの快適度を推定し、
共通の環境に属し、かつ、前記現座席を除いた座席群の中のいずれかの座席に空席が発生し、前記快適度が快適度の範囲から外れている場合、前記第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の人数を計数し、
前記人数に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
処理をコンピュータが実行する座席移動対象者特定方法。
【請求項5】
前記移動対象者を特定した後、特定した前記移動対象者に前記空席への移動を推奨する、
ことを特徴とする請求項4に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項6】
前記第1の移動対象候補者のそれぞれが入力した快適な環境に基づいて、前記座席群を複数の座席群に分割し、前記複数の座席群のいずれかを移動先として指定した移動パターンを生成し、
生成した前記移動パターンに基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項7】
前記移動先として指定した前記複数の座席群のいずれかをさらに分割する場合、分割元の座席群と分割された座席群の両方を移動先として指定した移動パターンを生成し、
生成した前記移動パターンに基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項8】
前記移動先として指定した前記複数の座席群のいずれかが他の移動先と重複する場合、重複が発生しない座席群が選択されるように、前記第1の移動対象候補者の人数を補正する、
ことを特徴とする請求項7に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項9】
前記移動先として指定した前記複数の座席群のいずれかに移動希望者がいる場合、前記移動希望者の人数に基づいて、前記第1の移動対象候補者の人数を補正する、
ことを特徴とする請求項7に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項10】
前記第1の移動対象候補者が座っていた旧座席に移動が可能となる前記第2の移動対象候補者の前記人数を計数する、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の座席移動対象者特定方法。
【請求項11】
予約可能な座席に空席が発生した際に、前記座席を予約した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の有無を判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、
処理をコンピュータに実行させるための座席移動対象者特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、座席移動対象者特定方法及び座席移動者対象特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどの公衆網を使った宿泊施設、会議室などの施設のオンライン予約が可能なオンライン予約システムが知られている(例えば特許文献1参照)。施設の予約以外にも、電車やバスといった公共交通機関、映画館といった娯楽施設の座席をオンラインで予約できる座席予約システムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-242265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座席予約システムでは、希望の座席が既に予約されている場合、キャンセル待ちを受け付けることがある。キャンセル待ちは、既に予約された座席にキャンセルが発生すると、その座席の希望者にその座席の予約が可能であることを知らせる仕組みである。座席がキャンセルされた場合、座席予約システムはその座席の希望者にキャンセルが発生した旨を通知し、その座席の希望者に座席の予約を促す。しかしながら、その座席に対して多数の希望者がいる場合には、座席予約システムはキャンセル待ちの受付順位が早い希望者から順に通知を行う。このため、座席希望者は必ずしもキャンセル待ちの座席を予約できるとは限らない。
【0005】
ところで、座席と座席利用者の関係が一意に定められていないフリーアドレスのオフィスにおいても、このような座席の予約が発生することがある。例えば、温度や湿度などの環境が快適である場所に配置された座席が満席である場合、その座席から離れた座席を利用する座席利用者はその快適な環境の座席を予約する。そして、その座席に空席が発生した場合に、その座席を予約した座席利用者(以下、予約者という)はその座席に移動して作業を継続する。予約者にとって移動前の座席が寒すぎるといった場合、この予約者は快適な環境で作業を行うことができる。
【0006】
このようなフリーアドレスのオフィスにおいて、座席の予約者が環境を理由に空席に移動すると、この予約者が利用していた元の座席の環境が別の予約者とって快適な環境になり得ることもある。このため、予約者の移動については、キャンセル待ちの受付順位とは異なる基準で特定することが望ましい。
【0007】
そこで、1つの側面では、移動可能となる座席の予約者をより多く特定する座席移動対象者特定方法及び座席移動者対象特定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、座席移動対象者特定方法は、予約可能な座席に空席が発生した際に、前記座席を予約した複数の第1の移動対象候補者のそれぞれについて、前記第1の移動対象候補者が前記空席に移動することに応じて、移動が可能となる第2の移動対象候補者の有無を判定し、前記判定の結果に基づいて、前記第1の移動対象候補者の中から移動対象者を特定する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
移動可能となる座席の予約者をより多く特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は情報処理システムの一例である。
図2図2は第1サーバのハードウェア構成の一例である。
図3図3は第1実施形態に係る第1サーバの機能構成の一例である。
図4図4は環境情報の一例である。
図5図5は第2サーバの機能構成の一例である。
図6図6は第1実施形態に係る希望移動先の一例である。
図7図7は第1実施形態に係る第1サーバの第1動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は第1実施形態に係る第1サーバによる第2動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は通知画面の一例である。
図10図10は第1実施形態に係る第1サーバと第2サーバによる第3動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11(a)は座席予約順位の一例を説明するための図である。図11(b)は移動対象候補者の第1例と移動パターンの第1選択例を説明するための図である。
図12図12は通知画面の他の一例である。
図13図13は第2実施形態に係る第1サーバの機能構成の一例である。
図14図14は第2実施形態に係る希望移動先の一例である。
図15図15は第2実施形態に係る第1サーバによる第2動作の一例を示すフローチャートである。
図16図16はユーザが希望する環境の座席群の一例を説明するための図である。
図17図17は第3実施形態に係る第1サーバの機能構成の一例である。
図18図18は快適度情報の一例である。
図19図19は第3実施形態に係る希望移動先の一例である。
図20図20は第3実施形態に係る座席群の分割例である。
図21図21は第3実施形態に係る座席群の他の分割例である。
図22図22は第3実施形態に係る第1サーバによる第2動作の一例を示すフローチャートである。
図23図23は第3実施形態に係る第1サーバと第2サーバによる第3動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図24図24は移動対象候補者の第2例と移動パターンの第2選択例を説明するための図である。
図25図25は移動パターンの第3選択例を説明するための図である。
図26図26(a)は第3実施形態に係る移動パターンの選択例を説明するための図である。図26(b)は第3実施形態に係る移動パターンの他の選択例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、情報処理システムSTは、第1サーバ100と第2サーバ200とを含んでいる。第1サーバ100と第2サーバ200は通信ネットワークNW1を介して接続されている。通信ネットワークNW1は例えばLAN(Local Area Network)を含んでいる。また、第1サーバ100は通信ネットワークNW1,NW2を介してアクセスポイントAPと接続されている。通信ネットワークNW2は例えばLANであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0013】
アクセスポイントAPは例えばオフィス(執務室)のフロアFLに設置される。図1では、1つのアクセスポイントAPが示されているが、複数のアクセスポイントAPがフロアFLに設置されていてもよい。オフィスの温度(又は室温)は不図示の空調機器によって例えば20℃から30℃までの範囲に段階的に調節されている。図1では、寒さの一例として20℃が示され、暖かさの一例として30℃が示されている。
【0014】
フロアFLには座席M,N,X,Yといった複数の座席が配置されている。例えば座席Mには温度センサ11と着座センサ12が設けられている。座席N,X,Yなども座席Mと同様に温度センサと着座センサが設けられている。本実施形態では温度を環境の一例として説明するが、温度以外にも、湿度や照度、騒音なども環境に含めてもよい。したがって、座席M,N,X,Yに湿度センサや照度センサ、騒音センサなどを設けてもよい。
【0015】
温度センサ11は座席Mの温度を計測する。座席Mの温度は座席M自体の温度であってもよいし、座席Mを取り巻く周囲の室温又は気温であってもよい。着座センサ12は座席Mの使用状態を検出する。着座センサ12は座席MでユーザP1により操作される携帯端末13からユーザP1の識別子を取得することもできる。ユーザP1は第1の移動対象候補者の一例である。座席MにユーザP1が着座していれば、着座センサ12は使用状態として使用中を検出するとともに、携帯端末13から例えばユーザP1の識別子「A-P1」を取得する。座席MにユーザP1が着座していなければ、着座センサ12は、このような識別子を取得せずに、使用状態として空席を検出する。
【0016】
温度センサ11及び着座センサ12は無線通信WLを介してアクセスポイントAPと接続されている。第1サーバ100は、アクセスポイントAPを介して、温度センサ11が計測した温度を含む温度情報と着座センサ12が検出した使用状態及びユーザの識別子を含む座席情報とを座席Mの識別子とともに取得する。
【0017】
ユーザP1は座席Mで携帯端末13を操作する。図1では、携帯端末13の一例としてPC(Personal Computer)が示されているが、携帯端末13はタブレット端末やスマートフォンを含むスマート端末であってもよい。携帯端末13にはユーザP1を識別する識別子が登録されている。携帯端末13も、温度センサ11及び着座センサ12と同様に、無線通信WLを介してアクセスポイントAPと接続されている。第1サーバ100は、アクセスポイントAPを介して、ユーザP1の識別子やユーザP1が希望する移動先の座席を表す希望移動座席などを座席Mの識別子とともに携帯端末13から取得する。
【0018】
第1サーバ100は温度情報や座席情報などを取得すると、温度情報や座席情報などを互いに関連付けて管理する。また、第1サーバ100は寒さを感じているユーザP1の携帯端末13から例えば座席Xを予約する情報として移動希望座席が送信されると、この移動希望座席を受け付け、受付日時と関連付けて管理する。詳細は後述するが、移動希望座席は、ユーザP1の識別子、ユーザP1が現時点で着座する座席Mの識別子、ユーザP1が希望する移動先の座席Xの識別子などを含んでいる。
【0019】
ここで、第1サーバ100は寒さを感じているユーザP2の携帯端末23からユーザP1と同様に座席Xを予約する情報として移動希望座席が送信されると、この移動希望座席も受け付け、受付日時と関連付けて管理する。ユーザP2も第1の移動対象候補者の一例である。また、第1サーバ100は寒さを感じているユーザP3の携帯端末33から座席Yを予約する情報として移動希望座席が送信されると、この移動希望座席も受け付け、受付日時と関連付けて管理する。ユーザP3も第2の移動対象候補者の一例である。
【0020】
同じ座席Xが予約された場合には、第1サーバ100は受付日時の早い順番に予約順位を設定する。例えば、携帯端末23より先に携帯端末13から移動希望座席が送信された場合には、第1サーバ100は携帯端末13から送信された移動希望座席に座席Xの予約順位として第1位を設定する。そして、第1サーバ100は携帯端末23から送信された移動希望座席に座席Xの予約順位として第2位を設定する。
【0021】
座席Xに着座するユーザP4が例えば帰宅などにより座席Mを離れ、第1サーバ100が座席Xの空席を検出すると、第1サーバ100は第2サーバ200と連携し、座席Xへの移動対象者を特定する。本実施形態では、ユーザP1,P2の2人が座席Xを予約し、ユーザP1の予約順位がユーザP2の予約順位より上位に設定されている。このため、第1サーバ100はユーザP1を座席Xの移動対象者として特定することも想定される。ユーザP1が座席Xに移動すれば、ユーザP1は座席Xが位置する暖かな環境により満足感を得ることができる。
【0022】
しかしながら、ユーザP2は座席Xに移動できずに座席Yに残留するため、ユーザP2は満足感を得ることができない。また、ユーザP3は、ユーザP2が座席Xに移動すれば座席Yに移動できたが、ユーザP2が座席Yに残留するため、ユーザP3も満足を得ることができない。すなわち、オフィスに滞在するユーザ全体を考慮すると、ユーザ全体の満足度が向上するとは限らない。
【0023】
このため、本実施形態では、第1サーバ100は第2サーバ200と連携し、オフィスに滞在するユーザ全体を考慮して、移動対象者を特定する。すなわち、本実施形態であれば、第1サーバ100は第2サーバ200と連携し、予約順位に関わらずに、ユーザP2,P3の2人を移動対象者として特定する。これにより、移動可能となる座席の予約者としてより多くのユーザを特定することでき、オフィスに滞在するユーザ全体の満足度を向上させることができる。
【0024】
以下、本件の第1実施形態の詳細を説明する。
【0025】
まず、図2を参照して、第1サーバ100のハードウェア構成について説明する。なお、第2サーバ200や携帯端末13などは基本的に第1サーバ100と同様のハードウェア構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0026】
第1サーバ100は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)100Aと、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを含んでいる。第1サーバ100は、ネットワークI/F(インタフェース)100D及びHDD(Hard Disk Drive)100Eを含んでいる。HDD(Hard Disk Drive)100Eに代えて、SSD(Solid State Drive)を採用してもよい。
【0027】
第1サーバ100は、必要に応じて、入力I/F100F、出力I/F100G、入出力I/F100H、ドライブ装置100Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU100Aからドライブ装置100Iまでは、内部バス100Jによって互いに接続されている。すなわち、第1サーバ100はコンピュータによって実現することができる。
【0028】
入力I/F100Fには入力装置710が接続される。入力装置710としては例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどがある。出力I/F100Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては例えば液晶ディスプレイなどがある。入出力I/F100Hには半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F100Hは半導体メモリ730に記憶された座席移動対象者特定プログラムを読み取る。入力I/F100F及び入出力I/F100Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F100Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0029】
ドライブ装置100Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置100Iは可搬型記録媒体740に記録された座席移動対象者特定プログラムを読み込む。ネットワークI/F100Dは例えばLANポートや通信回路などを備えている。通信回路は有線通信回路と無線通信回路のいずれか一方又は両方を含んでいる。ネットワークI/F100Dは通信ネットワークNW1と接続されている。
【0030】
RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された座席移動対象者特定プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100Bには可搬型記録媒体740に記録された座席移動対象者特定プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。格納された座席移動対象者特定プログラムをCPU100Aが実行することにより、CPU100Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。なお、座席移動対象者特定プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0031】
次に、図3及び図4を参照して、第1サーバ100の機能構成について説明する。なお、図3では第1サーバ100の機能の要部が示されている。
【0032】
図3に示すように、第1サーバ100は記憶部110、処理部120、及び通信部130を備えている。記憶部110は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部120は上述したCPU100Aによって実現することができる。通信部130は上述したネットワークI/F100Dによって実現することができる。
【0033】
記憶部110、処理部120、及び通信部130は互いに接続されている。記憶部110は環境情報記憶部111を含んでいる。処理部120は、環境登録部121、移動先受付部122、空席通知部123、及び移動先通知部124を含んでいる。
【0034】
環境情報記憶部111は上述した温度情報や座席情報などを含む環境情報を記憶する。環境情報は、図4に示すように、座席ID、空席状況、計測温度、及び座席利用者IDといった複数の項目を含んでいる。座席ID、空席状況、計測温度、及び座席利用者IDの項目は互いに関連付いている。
【0035】
座席IDの項目には、座席M,Yといった複数の座席を一意に識別する識別子が登録される。本実施形態では、一例として、座席Mが座席ID「Q001」によって識別されており、座席Yが座席ID「Q020」によって識別されている。空席状況の項目には、座席M,Yといった複数の座席の使用状況が登録される。本実施形態であれば、座席MにはユーザP1が着座し、座席YにはユーザP2が着座している。このため、空席状況の項目にはいずれも使用中が登録される。例えば座席ID「Q004」によって識別される座席XからユーザP4が離れて着座していなければ、空席状況の項目には使用中に代えて空席が登録される。
【0036】
計測温度の項目には、温度センサ11が計測した温度が登録される。座席利用者IDの項目には、その座席を使用している最中のユーザの識別子が登録される。座席MにユーザP1が着座していれば、座席利用者IDの項目にはユーザP1の識別子「A-P1」が登録される。
【0037】
環境登録部121は温度センサ11から温度情報を取得し、着座センサ12から座席情報を取得する。環境登録部121は温度情報と座席情報を取得すると、取得した温度情報と座席情報を含む環境情報を環境情報記憶部111に登録する。計測温度の項目に温度が既に登録されていれば、環境登録部121は登録された温度を温度情報に含まれる温度に基づいて更新する。空席状況の項目に座席の使用状態が既に登録されていれば、環境登録部121は登録された使用状態を座席情報に含まれる使用状態に基づいて更新する。
【0038】
移動先受付部122はユーザが移動先として希望する座席を含む移動希望座席を受け付ける。本実施形態であれば、移動先受付部122はユーザP1が移動先として希望する座席Xを含む移動希望座席を携帯端末13から受け付ける。また、移動先受付部122はユーザP2が移動先として希望する座席Xを含む移動希望座席を携帯端末23から受け付ける。さらに、移動先受付部122はユーザP3が移動先として希望する座席Yを含む移動希望座席を携帯端末33から受け付ける。移動先受付部122は移動希望座席を受け付けると、移動希望座席を第2サーバ200に転送する。詳細は後述するが、第2サーバ200は移動希望座席を保持して管理する。
【0039】
空席通知部123は第2サーバ200で管理された移動希望座席に基づいて環境情報にアクセスし、移動希望座席の現時点での空席状況を定期的に判断する。空席状況の項目に空席が登録されていれば、空席通知部123は移動希望座席が現時点で空席であると判断し、その旨を第2サーバ200に通知する。なお、詳細は後述するが、移動希望座席が現時点で空席である旨が第2サーバ200に通知されると、第2サーバ200は移動対象者を特定し、特定した移動対象者を移動先通知部124に通知する。
【0040】
移動先通知部124は第2サーバ200から移動対象者が通知されると、移動対象者として特定されたユーザの携帯端末に移動が可能となった旨を通知する。本実施形態であれば、移動先通知部124は、座席Xの空席の発生に基づいて、ユーザP2の携帯端末23に座席Xへの移動が可能となった旨を通知する。ユーザP2が座席Xに移動して着座すると、座席Yの空席の発生に基づいて、ユーザP3の携帯端末33に座席Yへの移動が可能となった旨を通知する。
【0041】
次に、図5及び図6を参照して、第2サーバ200の機能構成について説明する。なお、図5では第2サーバ200の機能の要部が示されている。
【0042】
図5に示すように、第2サーバ200は記憶部210、処理部220、及び通信部230を備えている。記憶部210は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部220は上述したCPU100Aによって実現することができる。通信部230は上述したネットワークI/F100Dによって実現することができる。
【0043】
記憶部210、処理部220、及び通信部230は互いに接続されている。記憶部210は希望移動先記憶部211及びパターン記憶部212を含んでいる。処理部220は、パターン生成部221、満足度算出部222、及びパターン選択部223を含んでいる。
【0044】
希望移動先記憶部211は第1サーバ100から転送された移動希望座席を記憶する。移動希望座席は、図6に示すように、移動希望者ID、現座席ID、希望座席IDといった複数の項目を含んでいる。移動希望者ID、現座席ID、希望座席ID、及び受付日時は互いに関連付いている。
【0045】
移動希望者IDの項目には、座席の移動を希望するユーザの識別子が登録される。現座席IDの項目には、移動希望者IDの項目に登録された識別子のユーザが現時点で着座する座席の識別子が登録される。希望座席IDの項目には、移動希望者IDの項目に登録された識別子のユーザが希望する座席の識別子が登録される。したがって、本実施形態であれば、例えば識別子「A-P1」のユーザP1は現時点で識別子「Q001」の座席Mに着座しており、移動先として、識別子「Q004」の座席Xへの移動を希望しているが特定される。なお、受付日時の項目には移動先受付部122が移動希望座席を受け付けた日時がYYYYMMDD形式で登録される。
【0046】
パターン記憶部212はパターン生成部221が生成する移動パターンを記憶する。詳細は後述するが、本実施形態であれば、パターン記憶部212は座席Mに着座するユーザP1だけが座席Xに移動する第1パターンを移動パターンとして記憶する。また、パターン記憶部212は座席Yに着座するユーザP2が座席Xに移動し、かつ、座席Nに着座するユーザP3が座席Yに移動する第2パターンを移動パターンとして記憶する。
【0047】
パターン生成部221は移動希望座席が現時点で空席である旨が第1サーバ100から通知されると、上述した第1パターンや第2パターンといった様々な移動パターンを生成する。パターン生成部221は移動パターンを生成すると、生成した移動パターンをパターン記憶部212に保存する。これにより、パターン記憶部212は様々な移動パターンを記憶する。
【0048】
満足度算出部222は、移動パターンが生成されると、パターン記憶部212にアクセスし、移動パターンごとのユーザ全体の満足度を算出する。満足度は座席が空席になることで改善される人数の総和である。満足度は移動を希望する移動元のユーザの人数と移動元の座席が空席になることにより移動が可能となるユーザの人数の和によって表される。満足度算出部222は、移動元の座席が空席になることで移動が可能となるユーザの人数を計数し、計数結果と移動元のユーザの人数を合計することにより満足度を算出することができる。上述した第1パターンであれば、ユーザP1だけが座席Mから移動を希望しているが、座席Mが空席になっても移動が可能となるユーザは存在しない。このため、満足度は1人と0人との和により1人として算出される。一方、上述した第2パターンであれば、ユーザP2が座席Yから移動を希望しており、座席Yが空席になるとユーザP3の移動が可能となる。このため、満足度は1人と1人との和により2人として算出される。
【0049】
パターン選択部223は、満足度算出部222が算出した満足度に基づいて、複数の移動パターンの中からいずれかの移動パターンを選択する。具体的には、パターン選択部223は、満足度が最も高い移動パターンを選択する。本実施形態であれば、パターン選択部223は第1パターンの満足度が1人であり、第2パターンの満足度が2人であるため、第2パターンを移動パターンとして選択する。パターン選択部223は、移動パターンを選択すると、選択した移動パターンに基づいて移動対象者を特定し、特定した移動対象者を第1サーバ100の移動先通知部124に通知する。これにより、移動先通知部124は移動対象者として特定されたユーザの携帯端末に移動が可能となった旨を通知する。
【0050】
次に、図7を参照して、第1実施形態に係る第1サーバ100による第1動作の一例を説明する。第1動作は環境登録部121が環境情報を環境情報記憶部111に登録する動作である。
【0051】
まず、環境登録部121は座席情報を取得する(ステップS1)。例えば、環境登録部121は座席Mに設けられた着座センサ12から座席情報を取得する。座席情報は座席Mの識別子「Q001」と座席Mの使用状況「使用中」と座席Mを利用するユーザP1の識別子「A-P1」とを含んでいる。環境登録部121は着座センサ12から座席情報を取得すると、座席N,X,Yについても同様に座席情報を取得する。
【0052】
座席情報を取得すると、環境登録部121は座席情報に基づいて空席状況の項目を更新する(ステップS2)。例えば、環境登録部121は環境情報記憶部111が記憶する環境情報(図4参照)の中から、座席情報に含まれる座席Mの識別子「Q001」と同じ識別子を特定し、特定した識別子に関連付けられた座席の使用状況を更新する。環境登録部121が使用状況を更新することにより、空席状況の項目に登録される使用状況が使用中と空席のいずれかに切り替わる。
【0053】
次に、環境登録部121は温度情報を取得する(ステップS3)。例えば、環境登録部121は座席Mに設けられた温度センサ11から温度情報を取得する。温度情報は座席Mの識別子「Q001」と座席Mの周囲の気温「25.2℃」とを含んでいる。環境登録部121は温度センサ11から温度情報を取得すると、座席N,X,Yについても同様に温度情報を取得する。
【0054】
温度情報を取得すると、環境登録部121は温度情報に基づいて計測温度の項目に登録された温度を更新し(ステップS4)、第1動作を終了する。例えば、環境登録部121は環境情報記憶部111が記憶する環境情報(図4参照)の中から、温度情報に含まれる座席Mの識別子「Q001」と同じ識別子を特定し、特定した識別子に関連付けられた温度を更新する。環境登録部121が温度を更新することにより、その座席の現在の温度を特定することができる。
【0055】
なお、上述したステップS2とS3の処理順序は逆であってもよい。また、ステップS1とS3の処理は同じタイミングであってもよい。このように、環境登録部121は定期的(例えば数分単位)で座席情報及び温度情報を取得し、環境情報を更新する。これにより、環境情報記憶部111では座席ごとの直近の環境情報が維持される。
【0056】
次に、図8及び図9を参照して、第1実施形態に係る第1サーバ100による第2動作の一例を説明する。第2動作は移動先受付部122が移動希望座席を受け付けて希望移動先記憶部211に保存する動作である。
【0057】
まず、図8に示すように、移動先受付部122は通知画面を生成する(ステップS11)。例えば、携帯端末23から移動先受付部122に通知画面の提供が要求されると、移動先受付部122は環境情報記憶部111が記憶する環境情報を取得し、環境情報に基づいて座席の使用状況及び現在の温度を反映した通知画面を生成する。移動先受付部122は生成した通知画面を携帯端末23に提供する。
【0058】
これにより、図9に示すように、携帯端末23は座席の使用状況が反映された通知画面を表示する。例えば、空席は例えば無色で表現される。携帯端末23を操作するユーザP2が現時点で着座する座席Yは色と模様のいずれかと円などの図形で表現される。ユーザP2以外のユーザP1,P3,P4などが着座する使用中の座席M,N,Xなどは色と模様のいずれかで表現される。例えばユーザP2がポインタPTを使用中の座席Xに重畳すると、携帯端末23は環境情報が有する座席Xの現在の温度を表示する。これにより、ユーザP2は座席の作業環境を確認することができる。
【0059】
ユーザP2がポインタPTにより座席Xをクリック操作などにより指定すると、携帯端末23は移動希望座席を生成し、移動先受付部122に送信する。移動希望座席は、移動を希望するユーザP2の識別子、ユーザP2が現時点で着座する座席Yの識別子、ユーザP2が希望する座席Xの識別子などを含んでいる。
【0060】
移動先受付部122は携帯端末23から送信された移動希望座席を受信することにより移動希望座席を受け付ける(ステップS12)。移動先受付部122は、移動希望座席を受け付けると、移動希望座席を第2サーバ200の希望移動先記憶部211に保存し(ステップS13)、第2動作を終了する。これにより、希望移動先記憶部211は移動希望座席を記憶する(図6参照)。
【0061】
次に、図10乃至図12を参照して、第1実施形態に係る第1サーバ100と第2サーバ200による第3動作の一例を説明する。第3動作は移動希望座席の空席を検出して第2サーバ200に通知し、第2サーバ200の処理結果に基づいて移動対象者に移動可能である旨を通知する動作である。このように、第1サーバ100の第3動作と第2サーバ200の動作が連携することにより本件の座席移動対象者特定方法が実行される。
【0062】
まず、図10に示すように、第1サーバ100の空席通知部123は空席を検出するまで待機する(ステップS21:NO)。より詳しくは、空席通知部123は第2サーバ200の希望移動先記憶部211にアクセスし、移動希望座席(図6参照)に含まれる希望座席IDの項目に登録された識別子を特定する。例えば、空席通知部123は希望座席IDの項目に登録された座席Xの識別子「Q004」を特定する。空席通知部123は識別子を特定すると、特定した識別子を含む環境情報の空席状況の項目(図4参照)を確認し、空席の有無を確認する。
【0063】
例えば、特定した識別子「Q004」を含む環境情報の空席状況の項目を確認し、使用状況が空席であれば、空席通知部123は座席Xの空席を検出する(ステップS21:YES)。空席を検出すると、空席通知部123は第2サーバ200に空席が発生した旨と通知し、第2サーバ200のパターン生成部221は移動パターンを生成する(ステップS22)。
【0064】
本実施形態であれば、図11(a)に示すように、座席Mに着座するユーザP1と座席Yに着座するユーザP2の両方が希望移動先として座席Xを希望している。図11(a)では、ユーザP1の予約順位が1位として示され、ユーザP2の予約順位が2位として示されている。また、図11(a)では、座席Nに着座するユーザP3が希望移動先として座席Yを希望し、ユーザP3の予約順位が1位として示されている。
【0065】
このような各ユーザP1,P2,P3の希望移動先の関係は、図11(b)の上段に示すように、模式的に表現することができる。例えば、座席Mから座席Xの移動対象候補者が1人であり、座席Yから座席Xの移動対象候補者も1人である第1の関係で表現することができる。また、座席Nから座席Yの移動対象候補者が1人である第2の関係も第1の関係に関連付けることができる。
【0066】
このような希望移動先の関係を移動パターンに展開すると、図11(b)の下段に示すように、パターン生成部221は移動パターンとして第1パターンと第2パターンを生成する。第1パターンは座席Mに着座するユーザP1だけが座席Xに移動する移動パターンである。第2パターンは座席Yに着座するユーザP2が座席Xに移動し、かつ、座席Nに着座するユーザP3が座席Yに移動する移動パターンである。パターン生成部221は移動パターンを生成すると、移動パターンをパターン記憶部212に保存する。
【0067】
パターン生成部221が移動パターンを生成して保存すると、満足度算出部222は移動パターンごとの満足度を算出する(ステップS23)。より詳しくは、満足度算出部222はパターン記憶部212が記憶する移動パターンを取得し、取得した移動パターンごとに満足度を算出する。
【0068】
例えば、満足度算出部222が移動パターンとして第1パターンを取得した場合、図11(b)の下段に示すように、満足度として1人を算出する。第1パターンの場合、ユーザP1だけが座席Mから移動を希望しているが、座席Mが空席になっても移動が可能となるユーザは存在しない(ユーザの計数結果が0人である)。すなわち、座席Mが空席になっても満足するユーザは存在せず、満足度が0人である。このため、満足度算出部222は1人と0人との和により満足度として1人を算出する。このように、満足度算出部222は座席Mが空席になると、移動が可能となるユーザの有無を判定する。判定の結果、このようなユーザが存在しなければ、満足度算出部222はこのユーザの計数結果を0人と認定する。そして、上述したように、満足度算出部222は1人と0人との和により満足度として1人を算出する。
【0069】
一方、満足度算出部222が移動パターンとして第2パターンを取得した場合、図11(b)の下段に示すように、満足度として2人を算出する。第2パターンを取得した場合、ユーザP2が座席Yから移動を希望しており、座席Yが空席になるとユーザP3の移動が可能となる(ユーザの計数結果が1人である)ため、満足度算出部222は1人と1人との和により満足度として2人を算出する。すなわち、上述したように、満足度算出部222は座席Mが空席になると、移動が可能となるユーザの有無を判定する。判定の結果、このようなユーザが存在すれば、満足度算出部222はこのユーザの人数を計数する。第2パターンを取得した場合であれば、計数結果は1人である。そして、上述したように、満足度算出部222は1人と1人との和により満足度として2人を算出する。
【0070】
満足度算出部222が移動パターンごとの満足度を算出すると、パターン選択部223は移動パターンを選択する(ステップS24)。本実施形態であれば、パターン選択部223は第1パターンの満足度が1人であり、第2パターンの満足度が2人であるため、図11(b)の下段に示すように、第2パターンを移動パターンとして選択する。
【0071】
移動パターンを選択すると、パターン選択部223は選択した移動パターンに基づいて移動対象者を特定する(ステップS25)。本実施形態であれば、第2パターンが選択されているため、図11(b)の下段に示すように、パターン選択部223は第2パターンに基づいて座席Yに着座するユーザP2を移動対象者として特定する。パターン選択部223は移動対象者を特定すると、特定した移動対象者を第1サーバ100の移動先通知部124に通知する。
【0072】
移動先通知部124は移動対象者が通知されると、移動対象者に移動可能である旨を通知し(ステップS26)、第3動作を終了する。本実施形態であれば、移動先通知部124は座席Xが空席になることにより移動可能となるユーザP2に移動可能である旨を通知する。これにより、図12に示すように、ユーザP2が操作する携帯端末23は、移動可能である旨を含む通知画面を表示する。通知画面にはユーザP2の移動可能先である座席Xが他の座席M,N,Y,Wなどと識別可能に出現する。
【0073】
ユーザP2が座席Xに移動すると、座席Yの空席の発生に基づいて、図10の処理が行われ、移動先通知部124は、座席Yに移動可能となるユーザP3に移動可能である旨を通知する。これにより、ユーザP3が操作する携帯端末33は、移動可能である旨を移動先の座席Yを識別可能な状態で含む通知画面を表示する。ユーザP2とユーザP3に移動可能である旨を同時に通知しないのは、ユーザP2が移動しない可能性や、ユーザP2が移動するまでに座席Yに対する予約がなされる可能性があるためである。
【0074】
このように、第1実施形態によれば、移動希望座席の予約順位とは異なる基準で、移動可能となる座席の予約者をより多く特定することができる。本実施形態であれば、座席Xに対する予約順位が1位であるユーザP1ではなく、予約順位が2位であるユーザP2が特定される。また、本実施形態であれば、座席Yに対する予約順位が1位であるユーザP3がユーザP2とともに特定される。このように、予約者をより多く特定して、特定した予約者に移動可能である旨を通知すれば、作業環境に対するユーザの満足度をフロアFL全体で向上させることができる。
【0075】
(第2実施形態)
続いて、図13乃至図16を参照して、本件の第2実施形態について説明する。まず、図13及び図14を参照して、第2実施形態に係る第1サーバ100の機能構成などについて説明する。図13に示すように、第2実施形態に係る第1サーバ100は、候補選択部125をさらに含む点で第1実施形態に係る第1サーバ100と相違する。
【0076】
候補選択部125は、移動先受付部122が例えば携帯端末23からユーザP2が希望する座席ではなく、ユーザP2が希望する環境を表す希望環境条件を受け付けた場合に、その希望環境条件に応じた座席群を選択する。すなわち、座席群は共通の環境に属する一又は複数の座席を含んでいる。希望環境条件はユーザP2が希望する環境として温度などを含んでいる。候補選択部125は、希望環境条件に応じた座席群を選択する際、環境情報記憶部111にアクセスし、希望環境条件に含まれる温度に近い温度と関連付けられた一又は複数の座席の識別子(図4参照)を取得する。
【0077】
例えば、希望環境条件にユーザP2が希望する温度として27.0℃が含まれていれば、候補選択部125は温度が27.1℃である座席Xの識別子「Q004」を取得する。座席Rの温度が27.2℃であれば、候補選択部125は、座席Xの識別子「Q004」と共に、座席Rの識別子「Q003」(不図示)を取得する。なお、温度の近さは例えば温度差が0.1℃~0.2℃の範囲内であれば、候補選択部125は温度が近いと判断する。
【0078】
候補選択部125は座席の識別子を取得すると、取得した全ての識別子を第2サーバ200の希望移動先記憶部211に保存する。これにより、希望移動先記憶部211は、図14に示すように、ユーザP2が希望する環境に応じた座席に関する一又は複数の識別子を記憶する。
【0079】
なお、空席通知部123は、第1実施形態と同様に、第2サーバ200の希望移動先記憶部211にアクセスし、希望座席IDの項目(図14参照)に登録された一又は複数の識別子を特定する。複数の識別子を特定した場合、空席通知部123は特定した複数の識別子の各々を個別に含む環境情報の空席状況の項目(図4参照)を確認し、それぞれの空席の有無を確認する。いずれかの空席を検出すると、空席通知部123は第2サーバ200に空席が発生した旨と通知する。
【0080】
これにより、第2サーバ200は第1実施形態と同様の処理を実行し、処理結果を移動先通知部124に通知する。例えばユーザP2,P3の2人が移動するパターンを選択し、移動対象者としてP2を特定する処理結果が通知された場合、移動先通知部124はユーザP2が操作する携帯端末23にユーザP4が滞在していた環境の座席に移動可能である旨を通知する。ユーザP2が希望する環境の座席にユーザP2が移動すると、P2が滞在していた環境の座席が空席となり、空席通知部123から第2サーバ200に空席が発生した旨が通知される。これにより、第2サーバ200は第1実施形態と同様の処理を実行し、ユーザP3を移動対象者として特定する処理結果を移動先通知部124に通知する。移動先通知部124はユーザP3が操作する携帯端末33にユーザP2が滞在していた環境の座席に移動可能である旨を通知する。
【0081】
次に、図15及び図16を参照して、第2実施形態に係る第1サーバ100による第2動作の一例を説明する。まず、図15に示すように、移動先受付部122は希望環境条件を受け付ける(ステップS31)。例えば、第1実施形態で説明した通知画面に希望環境条件として温度などを指定して入力する入力欄を設け、入力欄に希望環境条件が入力されると、移動先受付部122は希望環境条件を受け付ける。この場合、入力欄に入力された希望環境条件が携帯端末23から送信され、移動先受付部122が希望環境条件を受信することにより移動先受付部122は希望環境条件を受け付ける。なお、希望環境条件として温度などを指定して入力する入力欄を含む希望環境条件入力画面を通知画面とは別に採用してもよい。
【0082】
移動先受付部122が希望環境条件を受け付けると、候補選択部125は座席群を選択する(ステップS32)。より詳しくは、候補選択部125は環境情報記憶部111にアクセスし、希望環境条件に含まれる温度に近い温度と関連付けられた座席の一又は複数の識別子を座席群の識別子として選択し、取得する。
【0083】
候補選択部125は座席群の識別子を取得すると、取得した座席群の識別子を保存する(ステップS33)。候補選択部125は取得した座席群に含まれる全ての識別子を希望移動先記憶部211に保存する。これにより、希望移動先記憶部211はユーザP2が希望する環境に応じた座席に関する一又は複数の識別子を記憶する(図14参照)。なお、第2実施形態に係る第3動作については基本的に第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
これにより、例えば図16に示すように、座席Mに着座するユーザP1と座席Yに着座するユーザP2がいずれも快適な作業環境として座席群Gxを希望していれば、第1実施形態と同様に、ユーザP2が移動対象者として特定される。より詳しくは、座席Rに着座するユーザP5が離席した場合、座席群Gxの予約順位の1位がユーザP1であり、座席群Gxの予約順位の2位がユーザP2であっても、予約順位に関わらずに、ユーザP2が座席Rへの移動対象者として特定される。これにより、ユーザP2の携帯端末23に座席Rへの移動が可能である旨が通知される。
【0085】
このように、第2実施形態では、希望の座席ではなく、入力欄に希望環境条件として入力された温度に近い一又は複数の座席がユーザの希望座席群として希望移動先記憶部211に保存される。希望座席群は温度入力時の各座席の温度で決定される。そして、希望環境条件に含まれる温度に一致又は近似する温度の座席の満足度によって移動対象者が特定される。なお、座席Nに着座するユーザP3が快適な作業環境として座席群Gyの環境を希望していれば、ユーザP2の移動完了に伴い、ユーザP3の携帯端末33に座席群Gyに属するいずれかの座席への移動が可能である旨が通知される。
【0086】
(第3実施形態)
続いて、図17乃至図26を参照して、本件の第3実施形態について説明する。まず、図17及び図18を参照して、第3実施形態に係る第1サーバ100の機能構成などについて説明する。図17に示すように、第3実施形態に係る第1サーバ100は、快適度記憶部112及び快適度推定部126をさらに含む点で第2実施形態に係る第1サーバ100と相違する。
【0087】
快適度記憶部112は快適環境情報(以下、単に快適環境という)を記憶する。快適環境は、図18に示すように、移動希望者ID、快適温度、受付日時といった複数の項目を含んでいる。移動希望者IDの項目には移動を希望するユーザの識別子が登録される。快適温度の項目にはユーザが快適と感じる温度の範囲が登録される。ユーザが快適と感じる温度の範囲は快適度の範囲の一例である。受付日時の項目には移動先受付部122が快適環境を受け付けた日時が登録される。快適環境は携帯端末13,23などから第1サーバ100に送信される。第1サーバ100の移動先受付部122が快適環境を受信することにより、移動先受付部122は快適環境を受け付け、快適環境を快適度記憶部112に保存する。これにより、快適度記憶部112は快適環境を記憶する。
【0088】
快適度推定部126は座席に着座するユーザのその座席における環境の快適度を推定する。より詳しくは、快適度推定部126は環境情報記憶部111にアクセスし、各座席の現時点の温度と各座席に着座するユーザの識別子とを取得する(図4参照)。また、快適度推定部126は快適度記憶部112にアクセスし、ユーザの識別子とユーザが快適と感じる温度の範囲とを取得する。快適度推定部126はユーザの識別子ごとに現時点の温度とユーザが快適と感じる温度の範囲とを比較することによりユーザの快適度を推定する。
【0089】
例えば、現時点の温度が温度の範囲から外れていれば、快適度推定部126はユーザの快適度が低いと推定する。すなわち、ユーザにとって現在の座席が快適でない可能性がある。逆に、現時点の温度が温度の範囲から外れていなければ、快適度推定部126はユーザの快適度が高いと推定する。すなわち、ユーザにとって現在の座席が快適である可能性がある。
【0090】
ユーザにとって現在の座席が快適でない場合、候補選択部125は、現在の座席が快適でないユーザの識別子などを希望移動先として希望移動先記憶部211に保存する。希望移動先は、現在の座席が快適でないユーザの識別子のほか、そのユーザが現時点で着座する座席の識別子、その座席の温度、そのユーザが快適と感じる温度の範囲などを含んでいる。
【0091】
これにより、図19に示すように、希望移動先記憶部211は希望移動先を記憶する。なお、希望移動先が含むユーザの識別子、座席の識別子、座席の温度、温度の範囲は、環境情報記憶部111及び快適度記憶部112のそれぞれから候補選択部125が取得すればよい。
【0092】
なお、第3実施形態の場合、空席通知部123は、環境情報記憶部111にアクセスし、環境情報の空席状況の項目(図4参照)を確認して、座席の空席の有無を確認する。空席通知部123は、いずれかの空席を検出すると、希望移動先記憶部211にアクセスし、空席が発生した座席の温度に基づいて、その座席の温度を快適と感じるユーザの識別子を特定する。
【0093】
すなわち、ユーザが快適と感じる温度の範囲に、空席が発生した座席の温度が含まれていれば、空席通知部123はその温度の範囲と関連付けられたユーザの識別子を特定する。本実施形態であれば、座席ID「Q004」の座席Xの温度は27.1℃である(図4参照)。この温度は識別子「A-P1」のユーザP1と識別子「B-P2」のユーザP2の2人にとって快適な温度に相当する(図19参照)。したがって、ユーザP4が座席Xから離席して座席Xに空席が発生すると、空席通知部123は第2サーバ200に空席が発生した旨を通知する。
【0094】
これにより、第2サーバ200は第1実施形態と基本的に同様の処理を実行し、処理結果を移動先通知部124に通知する。なお、第3実施形態では、ユーザが快適と感じる温度の範囲が希望移動先記憶部211に保存されるが、この温度の範囲と比較する現時点の温度は、時間経過やユーザの増減などに応じて変化することがある。この結果、ユーザの快適度が変わる可能性がある。
【0095】
例えば、図19に示すように、ユーザP2が快適と感じる温度の範囲は27.0℃~27.5℃であり、ユーザP2が着座する座席Yを含む座席群Gyの現時点の温度が26.2℃であるため、ユーザP2は快適度が低いと感じている可能性がある。しかしながら、フロアFL内の温度が変化し、座席群Gyの現時点の温度が27.2℃に上昇すると、ユーザP2は同じ座席群Gyに属しながらも快適度が高いと感じる可能性がある。
【0096】
このため、第3実施形態では、ユーザによって登録された快適な温度の範囲やフロアFLの温度の範囲などに基づいて、移動パターンを生成することが要求される。したがって、第3実施形態では、パターン生成部221が、ユーザが属する座席群を分割していくつかの座席群を生成することにより移動パターンを生成する。
【0097】
例えば、図20に示すように、パターン生成部221は、ユーザP2が属する座席群Gyを分割して第1座席群Gg、第2座席群Gf、及び第3座席群Ghを生成する。第1座席群GgはユーザP2が快適な温度として希望する27.0℃~27.5℃の座席群である。第2座席群GfはフロアFLの温度の下限である20.0℃から快適な温度の下限である27.0℃までの座席群である。ユーザP2が着座する座席Yを含む座席群Gyの現時点の温度が26.2℃であるため、ユーザP2は第2座席群Gfに属する。第3座席群Ghは快適な温度の上限27.5℃からフロアFLの温度の上限である30.0℃までの座席群である。
【0098】
このように、パターン生成部221は、ユーザP2が属する座席群Gyを分割して第1座席群Gg、第2座席群Gf、及び第3座席群Ghを生成する。ユーザP2にとって27.0℃~27.5℃が快適な温度であるため、第2座席群Gfに属するユーザP2の希望移動先は第1座席群Ggである。このように、第3実施形態の場合、パターン生成部221は、快適な温度の範囲やフロアFLの温度の範囲に基づいて、ユーザが属する座席群を分割して複数の座席群を生成することにより移動パターンを生成する。
【0099】
また、図21では、第1座席群Ggに属するいずれかの座席にユーザP8が着座しており、ユーザP8が快適な温度として27.3℃から27.5℃を希望している。この場合、パターン生成部221は第1座席群Ggを分割して第6座席群Gk及び第7座席群Gjを生成する。
【0100】
第6座席群GkはユーザP8にとって快適でないが、ユーザP2が快適な温度として希望する27.0℃~27.3℃の座席群に相当する。第7座席群GjはユーザP2,P8のいずれにとっても快適な温度として希望する27.3℃~27.5℃の座席群に相当する。すなわち、ユーザP2にとって第6座席群Gkと第7座席群Gjの両方が移動先の候補となる。このように、ユーザP2の移動先の候補となる第1座席群Ggに別のユーザP8が滞在し、ユーザP8が快適な温度としてユーザP2と異なる温度を希望している場合、パターン生成部221は、分割した座席群の両方を移動先の候補とする移動パターンを生成する。
【0101】
次に、図22を参照して、第3実施形態に係る第1サーバ100による第2動作の一例を説明する。
【0102】
まず、移動先受付部122は快適環境を受け付ける(ステップS41)。例えば、第1実施形態で説明した通知画面にユーザが快適と感じる温度の範囲を入力する入力欄を設け、入力欄に温度の範囲が入力されると、移動先受付部122は快適環境を受け付ける。この場合、入力欄に入力された快適環境が携帯端末23から送信され、移動先受付部122が快適環境を受信することにより移動先受付部122は快適環境を受け付ける。移動先受付部122は快適環境を受け付けると、受け付けた快適環境を保存する(ステップS42)。これにより、希望移動先記憶部211はユーザP2が快適と感じる温度の範囲などを記憶する(図18参照)。
【0103】
次に、図23を参照して、第3実施形態に係る第1サーバ100と第2サーバ200による第3動作の一例を説明する。なお、第1実施形態に係る第1サーバ100の第3動作と重複する部分については基本的に同様の処理であるため、その詳細な説明は省略する。第1サーバ100は第2サーバ200と連携して図23に示す処理を定期的に(例えば数分単位で)実行する。座席情報や温度情報が更新されるタイミングで、図23に示す処理を実行してもよい。
【0104】
まず、快適度推定部126は快適度を推定する(ステップS51)。上述したように、ユーザの識別子ごとに現時点の温度とユーザが快適と感じる温度の範囲とを比較することにより、快適度推定部126はユーザの快適度を推定する。
【0105】
快適度推定部126が快適度を推定すると、候補選択部125は現在の座席の快適度が低いユーザを決定する(ステップS52)。より詳しくは、候補選択部125は、現在の座席の快適度が低いユーザの識別子を決定し、決定した識別子などを希望移動先として希望移動先記憶部211に保存する。これにより、希望移動先記憶部211は希望移動先を記憶する(図19参照)。現在の座席の温度が変化することで、快適度が高くなったユーザについては、希望移動先記憶部211から削除する。
【0106】
快適度が低いユーザを決定すると、空席通知部123は第1実施形態で説明したステップS21の処理を実行する。空席が発生していない場合には、快適度推定部126はステップS51の処理を再び実行する。空席が発生している場合には、空席通知部123は第2サーバ200に空席が発生した旨を通知し、ステップS22の処理以降が実行される。
【0107】
これにより、例えばユーザP2,P3の2人を移動対象者として特定する処理結果が通知された場合、移動先通知部124は、ユーザP2が操作する携帯端末23に座席群Gxの空いた座席Rへの移動を推奨する旨を通知する。ユーザP2が希望する温度の座席群Gxの空いた座席Rに移動すると、ユーザP3が操作する携帯端末33に座席群GyのユーザP2が移動した座席Yへの移動を推奨する旨を通知する。このように、第2実施形態ではユーザが希望する温度の座席群を固定的に特定されたのに対し、第3実施形態では現時点の温度がユーザにとって快適でなくなった時点で流動的に座席群が特定される。
【0108】
(その他の実施形態)
図24を参照して、移動パターンの他の選択手法について説明する。第1実施形態では、図11(b)を参照して、ユーザP1,P2の2人がそれぞれ座席Xを予約し、ユーザP3の1人が座席Yを予約することを説明した。図24の上段に示すように、座席L,M,N,Y,Zを含む複数の座席のそれぞれからユーザの1人又は2人が座席L,X,Y,Zへの移動を希望して予約することも想定される。なお、座席L,M,N,X,Y,Zはそれぞれ座席群Gl,Gm,Gn,Gx,Gy,Gzであってもよい。座席Zからユーザの2人が移動する場合、座席Zは座席群Gzを表している。
【0109】
このような場合であっても、第1実施形態と同様に、予約が重複する座席に基づいて希望移動先の関係を移動パターンに展開すると、図24の下段に示すように、移動パターンとして第1パターン乃至第4パターンが生成される。例えば第1パターンであれば、満足度として3人が算出される。すなわち、座席Yに着座するユーザが座席Xに移動すれば、座席Lに着座するユーザが座席Yに移動可能になる。座席Lに着座するユーザが座席Yに移動すれば、座席Mに着座するユーザが座席Lに移動可能になる。すなわち、座席Xの空席が発生すると、3人のユーザが満足できるため、満足度として3人が算出される。第2パターン乃至第4パターンについても第1パターンの場合と同様である。
【0110】
このように、第1パターンの満足度が3人であり、第2パターンの満足度が2人であり、第3パターン及び第4パターンの満足度がいずれも1人であるため、改善される満足度が最も高い第1パターンが移動パターンとして選択される。移動パターンが選択されると、選択した移動パターンに基づいて移動対象者が特定される。本実施形態であれば、座席L,M,Yに着座するユーザが移動対象者として特定される。このように、移動対象者が少ない場合には、希望移動先の関係を移動パターンに展開することにより、移動パターンの選択処理を単純化することができる。
【0111】
一方、図25に示すように、図24を参照して説明した移動パターンの選択手法と異なる選択手法を採用してもよい。この場合、満足度は移動元の移動希望の人数と移動元の座席の満足度のすべてを合計した合計値によって表される。例えば、図25に示す座席Xの満足度は6人として算出される。すなわち、座席Yから座席Xへの移動を希望するユーザの人数は1人であり、座席Yの満足度は3人である。一方、座席Zから座席Xへの移動を希望するユーザの人数は2人であり、座席Zの満足度は0人である。これらの合計により、座席Xの満足度は6人として算出される。なお、座席Lや座席Yの満足度も同様に算出される。
【0112】
このような場合において、座席Xに空席が発生すると、座席Xへの移動を希望する座席Yに着座するユーザと座席Zに着座するユーザのうち、改善される満足度が高い方の座席Yに着座するユーザが移動対象者として選択される。本実施形態であれば、座席Xの空席が発生した場合、座席Xの空席により改善される座席Yの満足度は3人であり、座席Yから座席Xへの移動希望者が1人である。このため、改善される満足度は3人と1人の合計である4人である。
【0113】
一方、座席Xの空席により改善される座席Zの満足度は0人であり、座席Zから座席Xへの移動希望者が2人である。このため、改善される満足度は0人と2人の合計である2人である。したがって、改善される満足度が高い方の座席Yに着座するユーザが移動対象者として選択される。このような手法を採用すると、移動対象者が多い場合には、移動パターンの展開が不要となり、移動パターンを選択する処理の計算量を低減することができる。
【0114】
また、図21の下段を参照して説明したように、移動パターンに複数の希望移動先の候補が出現した場合、図26(a)に示すように、満足度算出部222による満足度の算出手法を変更するようにしてもよい。複数の希望移動先の候補があることにより移動の機会が増加するため、例えば重複しない移動先はより選択されやすくなるように移動対象候補者の人数を増やせばよい。一方で、重複する移動先はより選択されにくくなるように移動対象候補者の人数を減らせばよい。
【0115】
図26(a)に示す場合であれば、座席Xは座席Yに着座するユーザの単独の希望移動先となるが、座席Wは座席Yに着座するユーザと座席Zに着座するユーザの両方の希望移動先となり、移動先の候補として重複する。このような場合、座席Yに着座するユーザが座席Xに移動できれば、座席Zに着座するユーザは座席Wに移動することが可能となる。このため、パターン選択部223は座席Yから座席Xへの移動対象候補者の人数である1人に例えば+0.2人といった所定の重みを付与する補正を行って人数を1.2人に増やす。一方、パターン選択部223は座席Yから座席Wへの移動対象候補者の人数である1人に同じ重みの反数(即ち-0.2人)を付与する補正を行って人数を0.8人に減らす。なお、どちらの人数を増やしどちらの人数を減らすかについては、パターン選択部223は重複が発生する座席の方の人数を減らし、重複が発生しない座席の方の人数を増やせばよい。
【0116】
この結果、図25の場合と同様に、座席Wに対する座席Yにおける改善される満足度は、座席Yの満足度である1人と座席Yから座席Wへの移動対象候補者の人数である0.8人の合計である1.8人となる。一方、座席Wに対する座席Zにおける改善される満足度は、座席Zの満足度である0人と座席Zから座席Wへの移動対象候補者の人数である2人の合計である2人となる。パターン選択部223は、改善される満足度が高い方を選択するため、座席Zから座席Wへの移動を移動パターンとして選択する。
【0117】
さらに、図26(b)に示すように、移動先の移動対象候補者の人数が多い場合には、満足度算出部222による満足度の算出手法をさらに変更するようにしてもよい。複数の希望移動先の候補があれば、空席の発生機会が増加するため、パターン選択部223は、移動先の移動対象候補者の人数に基づいて補正を行う。例えば、図26(b)に示すように、座席Xにおける移動対象者の候補の人数が1人であり、座席Rにおける移動対象者の候補の人数が2人である場合、これらの人数に基づいて、パターン選択部223は補正を行う。
【0118】
座席Xにおける移動対象候補者の人数が1人であれば、パターン選択部223はその人数(1人)に例えば+0.2人といった所定の重みを掛け合わせて、座席Yから座席Xへの移動対象者の候補の人数である1人に合算して、1人を1.2人に増やす。また、パターン選択部223はその人数(1人)に所定の重みの反数(-0.2人)を掛け合わせて、座席Yから座席Wへの移動対象者の候補の人数である1人に合算して、1人を0.8人に減らす。上述したように、パターン選択部223は重複が発生する座席Wの方の人数を減らし、重複が発生しない座席Xの方の人数を増やす。
【0119】
また、座席Rにおける移動対象者の候補の人数が2人であれば、パターン選択部223はその人数(2人)に例えば+0.2人といった所定の重みを掛け合わせて、座席Zから座席Rへの移動対象者の候補の人数である1人に合算して、1人を1.4人に増やす。また、パターン選択部223はその人数(2人)に所定の重みの反数(-0.2人)を掛け合わせて、座席Zから座席Wへの移動対象者の候補の人数である1人に合算して、1人を0.6人に減らす。上述したように、パターン選択部223は重複が発生する座席Wの方の人数を減らし、重複が発生しない座席Rの方の人数を増やす。
【0120】
この結果、座席Wに対する座席Yにおける改善される満足度は、座席Yの満足度である1人と座席Yから座席Wへの移動対象候補者の人数である0.8人の合計である1.8人となる。一方、座席Wに対する座席Zにおける改善される満足度は、座席Zの満足度である1人と座席Zから座席Wへの移動対象候補者の人数である0.6人の合計である1.6人となる。パターン選択部223は、改善される満足度が高い方を選択するため、座席Yから座席Wへの移動を移動パターンとして選択する。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0122】
例えば、本実施形態では、第1サーバ100と第2サーバ200に機能を分散したが、分散した機能を第1サーバ100と第2サーバ200のいずれか一方に集約してもよい。また、第1サーバ100の機能の一部を第2サーバ200が備えていてもよいし、第2サーバ200の機能の一部を第1サーバ100が備えていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
100 第1サーバ
111 環境情報記憶部
112 快適度記憶部
121 環境登録部
122 移動先受付部
123 空席通知部
124 移動先通知部
125 候補選択部
126 快適度推定部
200 第2サーバ
211 希望移動先記憶部
212 パターン記憶部
221 パターン生成部
222 満足度算出部
223 パターン選択部
図1
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