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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030837
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】エレベータ昇降路内配線装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20240229BHJP
   H02G 7/02 20060101ALI20240229BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240229BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B66B7/06 Z
H02G7/02
H02G3/30
F16B1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134017
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智哉
【テーマコード(参考)】
3F305
5G363
5G367
【Fターム(参考)】
3F305BB11
3F305DA11
5G363DA01
5G363DC10
5G367DA02
5G367DB16
5G367DC03
(57)【要約】
【課題】直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41を固定できるエレベータ昇降路内配線装置を得る。
【解決手段】エレベータ昇降路内配線装置は、ケーブルクリート10及び押圧片20を備える。ケーブルクリート10は、鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブル41を通す空所14を有し、鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル41側に近づくように傾斜する傾斜面13aを有する。押圧片20は、傾斜面13aと丸型ケーブル41との間の空所14に挿入され、丸型ケーブル41を押圧する。押圧片20は、傾斜面13aに沿うように傾斜し傾斜面13aと摺接する第1の面、並びに、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41と接する第2の面及び第3の面を有する。第2の面と第3の面とは、互いに異なる方向に傾斜する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、前記鉛直方向の上方から下方に向かって前記丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、
前記傾斜面と前記丸型ケーブルとの間の前記空所に挿入され、前記丸型ケーブルを押圧する押圧片と
を備え、
前記押圧片は、前記傾斜面に沿うように傾斜し前記傾斜面と摺接する第1の面、並びに、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第2の面及び第3の面を有し、
前記第2の面と前記第3の面とは、互いに異なる方向に傾斜するエレベータ昇降路内配線装置。
【請求項2】
前記丸型ケーブルを挟んで前記押圧片と対向するように前記空所に配置され、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第4の面及び第5の面を有する支持部材と
をさらに備え、
前記第4の面と前記第5の面とは、互いに異なる方向に傾斜する請求項1に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
【請求項3】
前記丸型ケーブルと前記支持部材との間の前記空所に配置され、前記支持部材に取り付けられ、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第6の面及び第7の面を有する補助支持部材と
をさらに備え、
前記第6の面と前記第7の面とは、互いに異なる方向に傾斜する請求項2に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
【請求項4】
鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、前記鉛直方向の上方から下方に向かって前記丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、
前記傾斜面と前記丸型ケーブルとの間の前記空所に挿入され、前記丸型ケーブルを押圧する押圧片と
前記丸型ケーブルを挟んで前記押圧片と対向するように前記空所に配置される支持部材と
を備え、
前記押圧片は、前記傾斜面に沿うように傾斜し前記傾斜面と摺接する第1の面を有し、
前記押圧片及び前記支持部材のうちいずれか一方は、前記丸型ケーブルと1つの面で接する第8の面を有し、他方は、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと2つの面で接する第9の面及び第10の面を有し、
前記第9の面と前記第10の面とは、互いに異なる方向に傾斜するエレベータ昇降路内配線装置。
【請求項5】
前記丸型ケーブルと前記押圧片との間の前記空所に配置され、前記押圧片に取り付けられ、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第11の面及び第12の面を有する補助押圧片と
をさらに備え、
前記第11の面と前記第12の面とは、互いに異なる方向に傾斜する請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ昇降路内配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ昇降路内配線装置は、中間正面部に半環状帯板が設けられる半円形溝形のケーブルクリートと、断面三日月形の押圧片とを備える。ケーブルクリートに丸型ケーブルを嵌入し、丸型ケーブルと半環状帯板との間に押圧片を打込むことで、丸型ケーブルがケーブルクリートと押圧片との間に圧着挟持され、エレベータ昇降路の壁に沿って丸型ケーブルが固定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51-090094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のエレベータ昇降路内配線装置の押圧片は、断面が三日月形に形成される。言い換えると、押圧片の丸型ケーブルに接する側面は、丸型ケーブルに沿うように湾曲して形成される。このため、このような押圧片を備えるエレベータ昇降路内配線装置は、特定の直径の大きさの丸型ケーブルしか固定することができないという課題があった。
【0005】
本開示は上記の問題点を解決するためになされたものであり、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブルを固定できるエレベータ昇降路内配線装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるエレベータ昇降路内配線装置は、鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、傾斜面と丸型ケーブルとの間の空所に挿入され、丸型ケーブルを押圧する押圧片とを備え、押圧片は、傾斜面に沿うように傾斜し傾斜面と摺接する第1の面、並びに、丸型ケーブルと接する第2の面及び第3の面を有し、第2の面と第3の面とは、互いに異なる方向に傾斜する。
【0007】
本開示にかかるエレベータ昇降路内配線装置は、鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、傾斜面と丸型ケーブルとの間の空所に挿入され、丸型ケーブルを押圧する押圧片と丸型ケーブルを挟んで押圧片と対向するように空所に配置される支持部材とを備え、押圧片は、傾斜面に沿うように傾斜し傾斜面と摺接する第1の面を有し、押圧片及び支持部材のうちいずれか一方は、丸型ケーブルと1つの面で接する第8の面を有し、他方は、丸型ケーブルと2つの面で接する第9の面及び第10の面を有し、第9の面と第10の面とは、互いに異なる方向に傾斜する。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかるエレベータ昇降路内配線装置によれば、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブルを固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図2】実施の形態1におけるケーブルクリートの斜視図である。
図3】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置の側面図である。
図4】実施の形態1における押圧片の斜視図である。
図5】実施の形態1における支持部材の斜視図である。
図6】実施の形態1におけるケーブルクリート及び支持部材の斜視図である。
図7】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置のA-A’断面図である。
図8】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図9】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置のB-B’断面図である。
図10】実施の形態1における丸型ケーブルの直径が小さくなったときのエレベータ昇降路内配線装置のA-A’断面図である。
図11】実施の形態1におけるケーブルクリートの変形例を示す斜視図である。
図12】実施の形態1におけるエレベータ昇降路内配線装置の変形例を示す断面図である。
図13】実施の形態2におけるケーブルクリート、支持部材及び補助支持部材の斜視図である。
図14】実施の形態2におけるエレベータ昇降路内配線装置の側面図である。
図15】実施の形態2におけるエレベータ昇降路内配線装置のC-C’断面図である。
図16】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図17】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置のD-D’断面図である。
図18】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図19】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置のE-E’断面図である。
図20】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置の変形例を示す斜視図である。
図21】実施の形態3におけるエレベータ昇降路内配線装置の変形例を示すE-E’断面図である。
図22】実施の形態4における補助押圧片の斜視図である。
図23】実施の形態4における押圧片及び補助押圧片の斜視図である。
図24】実施の形態4におけるエレベータ昇降路内配線装置の側面図である。
図25】実施の形態4におけるエレベータ昇降路内配線装置のF-F’断面図である。
図26】実施の形態5におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図27】実施の形態5におけるエレベータ昇降路内配線装置のG-G’断面図である。
図28】実施の形態5におけるエレベータ昇降路内配線装置の斜視図である。
図29】実施の形態5におけるエレベータ昇降路内配線装置のH-H’断面図である。
図30】実施の形態6におけるワールドダクターに取り付けられたエレベータ昇降路内配線装置の正面図である。
図31】実施の形態6におけるエレベータ昇降路内配線装置のI-I’断面図である。
図32】実施の形態6におけるワールドダクターに取り付けられたエレベータ昇降路内配線装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1にかかるエレベータ昇降路内配線装置を詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0011】
図1に示すように、エレベータ昇降路内配線装置は、鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブル41を固定するものである。エレベータ昇降路内配線装置は、ケーブルクリート10、支持部材30及び押圧片20を備える。丸型ケーブル41とは、具体的には、複数の絶縁電線をさらに保持被膜で覆ったものであり、その断面が円形のものを指す。なお、丸型ケーブル41は、1本の導体を絶縁体で被覆したものであり、その断面が円形のものであってもよい。また、鉛直方向とは、後述するガイドレール44が延びる方向と平行な方向である。鉛直方向と直交する方向を水平方向という。水平方向のうち、後述する一方の側板12から後述する他方の側板12に向かう方向と平行な方向を左右方向という。水平方向のうち、左右方向と直交する方向を奥行方向という。
【0012】
図2に示すように、ケーブルクリート10は、四角錘台状となるようにステンレス等の金属で形成される。ケーブルクリート10は、背板11、側板12、側板13及び空所14を有する。背板11は、鉛直方向と平行に配置される板である。背板11は、正面視において長方形となるように形成される。背板11の中心にねじ孔部11aが設けられる。ねじ孔部11aは、ケーブルクリート10を固定するためにねじ42が挿入される孔であり、奥行方向に貫通している。
【0013】
側板12は、鉛直方向と平行に配置される板である。側板12は、側面視において上底が下底より長い台形となるように形成される。また、側板12は、2つ設けられ、互いに平行に配置される。2つの側板12の一端は、背板11の一端及び他端にそれぞれ配置される。側板12は、背板11と垂直に交わる。
【0014】
側板13は、鉛直方向に対して傾斜する板である。側板13は、側板12の他端に配置され、側板12と交わる。側板13は、2つ設けられ、間隔Wを空けて配置される。側板13は、背板11と対向する傾斜面13aを有する。図3に示すように、丸型ケーブル41が空所14に通されたとき、傾斜面13aは鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル41側に近づくように傾斜している。
【0015】
空所14は、鉛直方向に貫通する空間である。具体的には、空所14は、水平方向において一方の側板12と他方の側板12とが向かい合う部分の空間である。空所14には、丸型ケーブル41が通される。
【0016】
図1に示すように、押圧片20は、丸型ケーブル41を固定するために傾斜面13aと丸型ケーブル41との間の空所14に挿入され、支持部材30側へ丸型ケーブル41を押圧する。図4に示すように、押圧片20は、錘台であって、その断面が凹五角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。つまり、押圧片20は、鉛直方向の上方から下方に向かうにつれてその断面積が小さくなるように形成される。押圧片20は、第1の面である面21、第2の面である面22及び第3の面である面23を有する。
【0017】
図3に示すように、面21は、傾斜面13aと同様に、丸型ケーブル41が空所14に通され、押圧片20が空所14に挿入されたとき、鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル側に近づくように傾斜している。言い換えると、面21は、傾斜面13aに沿うように傾斜している。また、面21は、押圧片20が空所14に挿入されたとき、傾斜面13aと摺接する。
【0018】
面22及び面23は、鉛直方向に対して平行な面であり、丸型ケーブル41の接線方向に傾斜している。言い換えると、面22及び面23は、奥行方向に対して傾斜している。面22と面23とは、互いに異なる方向に傾斜している。また、面22は、面23と垂直に交わる。そのため、押圧片20の断面凹五角形のうち、1つの内角θ1は、270度となる。
【0019】
図1、3に示すように、支持部材30は、丸型ケーブル41を挟んで押圧片20と対向するようにケーブルクリート10の空所14に配置され、丸型ケーブル41を支持する。
【0020】
図5に示すように、支持部材30は、角柱であって、その断面が凹五角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。支持部材30は、第4の面である面31、第5の面である面32及びねじ孔部33を有する。面31及び面32は、鉛直方向に対して平行な面であり、丸型ケーブル41の接線方向に傾斜している。言い換えると、面31及び面32は、奥行方向に対して傾斜している。面31と面32とは、互いに異なる方向に傾斜している。また、面31は、面32と垂直に交わる。そのため、支持部材30の断面凹五角形のうち、1つの内角θ2は、270度となる。
【0021】
ねじ孔部33は、支持部材30を取り付けるためにねじ42が挿入される孔であり、奥行方向に貫通している。また、ねじ孔部33は、支持部材30が空所14に配置されたとき、ケーブルクリート10のねじ孔部11aと重なるように設けられる。
【0022】
次に、このように構成されたエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順、及び丸型ケーブル41を固定したときのエレベータ昇降路内配線装置の状態について説明する。
【0023】
まず、作業員は、支持部材30をケーブルクリート10に取り付け、ケーブルクリート10を取付腕43に取り付ける。図6に示すように、昇降路内には、乗りかご(図示せず)又は釣合おもり(図示せず)の昇降を案内するガイドレール44が設けられる。ガイドレール44には、一対のレールクリップ45を介して水平方向の一方へと突出する取付腕43が取り付けられる。取付腕43には、ねじ42を通す取付孔部(図示せず)が設けられる。作業員は、ケーブルクリート10の空所14に支持部材30を配置した状態で、支持部材30のねじ孔部33、ケーブルクリート10のねじ孔部11a及び取付腕43の取付孔部(図示せず)にねじ42を挿入し、締め付ける。
【0024】
次に、作業員は、丸型ケーブル41を空所14に通す。具体的には、作業員は、一方の傾斜面13aと他方の傾斜面13aとの間を通過させて丸型ケーブル41を空所14に通す。なお、丸型ケーブル41を上方から空所14に挿入して、丸型ケーブル41を空所14に通してもよい。
【0025】
最後に、作業員は、傾斜面13aと丸型ケーブル41との間の空所14に押圧片20を鉛直方向の上方から挿入する。具体的には、作業員は、押圧片20を槌で打ち付けて空所14に挿入する。押圧片20が空所14に挿入されると、押圧片20は丸型ケーブル41を支持部材30側へ押圧する。このため、丸型ケーブル41が固定される。
【0026】
このとき、図7に示すように、面22、面23、面31及び面32は丸型ケーブル41と接している。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれており、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0027】
次に、エレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル46の固定手順、及び丸型ケーブル46を固定したときのエレベータ昇降路内配線装置の状態について説明する。丸型ケーブル46とは、その直径が丸型ケーブル41の直径より大きい丸型ケーブルである。
【0028】
エレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル46の固定手順は、上述の丸型ケーブル41の固定手順と同様である。丸型ケーブル46は、図8に示すようにエレベータ昇降路内配線装置によって固定される。
【0029】
エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル46を固定したとき、図9に示すように、面22、面23、面31及び面32は丸型ケーブル46と接している。また、丸型ケーブル46は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル46の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれており、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0030】
上述のように、エレベータ昇降路内配線装置は、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46を固定することができる。
【0031】
丸型ケーブル41は、設置される周囲の環境又は経年劣化等によって変形することがある。それにより、丸型ケーブル41の直径が変化する。このように丸型ケーブル41の直径が変化したとき、エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41を固定する仕組みについて説明する。なお、丸型ケーブル41の変形とは、例えば膨張又は収縮である。
【0032】
まず、丸型ケーブル41の直径が小さくなった場合について説明する。丸型ケーブル41の直径が小さくなると、図10に示すように丸型ケーブル41と押圧片20との間に隙間47が空き、A-A’断面において押圧片20が占めることができる断面積が増加する。
【0033】
押圧片20は、鉛直方向の上方から下方に向かうにつれてその断面積が小さくなるよう形成されている。このため、押圧片20が下方に移動すると、A-A’断面における押圧片20の断面積を大きくすることができる。また、押圧片20が上方に移動すると、A-A’断面における押圧片20の断面積を小さくすることができる。
【0034】
したがって、押圧片20は、A-A’断面において押圧片20が占めることができる断面積が増加した分、ケーブルクリート10の傾斜面13aに沿って下方に摺動する。言い換えると、押圧片20は、隙間47を埋めるように自重によりケーブルクリート10の傾斜面13aに沿って下方に摺動する。そして、押圧片20が丸型ケーブル41を再び押圧する。よって、丸型ケーブル41は再び固定される。
【0035】
次に、丸型ケーブル41の直径が大きくなった場合について説明する。丸型ケーブル41の直径が大きくなると、A-A’断面において押圧片20が占めることができる面積が減少する。
【0036】
押圧片20は、A-A’断面において押圧片20が占めることができる断面積が減少した分、ケーブルクリート10の傾斜面13aに沿って上方に摺動する。そして、押圧片20が丸型ケーブル41を再び押圧する。よって、丸型ケーブル41は再び固定される。
【0037】
以上のように、実施の形態1にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、傾斜面13aと丸型ケーブル41、46との間の空所14に挿入され、丸型ケーブル41、46を押圧する押圧片20を備える。押圧片20は、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41、46と接する面22及び面23を有する。面22と面23とは、互いに異なる方向に傾斜している。このため、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46に適用でき、丸型ケーブル41、46を昇降路内に固定することができる。また、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面22と面23とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。
【0038】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、押圧片20が丸型ケーブル41を支持部材30側へ押圧することで、丸型ケーブル41を固定する。このように丸型ケーブル41はねじの締付けによって固定されないため、作業員がねじを過剰に締め付けることによる丸型ケーブル41の断線を防ぐことができる。また、ねじの締付けによって丸型ケーブル41を固定する場合、ねじの締付けトルクの管理をする必要があるため、長い作業時間を要する。一方で、押圧片20によって丸型ケーブル41を固定する場合、ねじの締付けトルクの管理をする必要がなくなり、作業時間を短くすることができる。よって、作業効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、ケーブルクリート10の傾斜面13aに沿うように傾斜し、傾斜面13aと摺接する面31を有する押圧片20を備える。このため、設置される周囲の環境又は経年劣化等によって丸型ケーブル41の直径が変化しても、押圧片20が傾斜面13aに沿って摺動することにより、丸型ケーブル41を再び押圧し、固定することができる。
【0040】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、丸型ケーブル41を挟んで押圧片20と対向するように空所14に配置され、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41と接する面31及び面32を有する支持部材30を備える。面31と面32とは、互いに異なる方向に傾斜する。このような構成により、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面31と面32とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0041】
なお、ケーブルクリート10を取付腕43に取り付ける例について説明したが、ケーブルクリート10を昇降路の壁に取り付けてもよい。
【0042】
なお、側板13が2つ設けられる例について説明したが、図11に示すように、側板13は1つ設けられてもよい。
【0043】
なお、丸型ケーブル41、46よりも直径の大きい丸型ケーブル48を固定する場合は、図12に示すように支持部材30を設けなくてもよい。この場合において、押圧片20が空所14に挿入されると、押圧片20は丸型ケーブル49を背板11側へ押圧する。このため、丸型ケーブル49が固定される。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から背板11と押圧片20とに挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル41の一部が左右方向から面22と面23とに挟まれるため、左右方向に移動することが抑制される。
【0044】
なお、面22が面23と垂直に交わる例について説明したが、垂直に交わらなくてもよい。また、面31と面32が垂直に交わる例について説明したが、垂直に交わらなくてもよい。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1では、エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41を固定する例について説明した。実施の形態2では、エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41より直径が小さい丸型ケーブル49を固定する例について説明する。具体的には、補助支持部材50が設けられる点で実施の形態1と相違するため、以下に相違点について説明する。
【0046】
エレベータ昇降路内配線装置は、ケーブルクリート10、支持部材30、押圧片20及び補助支持部材50を備える。
【0047】
図13に示すように、補助支持部材50は、角柱であって、その断面が凹六角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。補助支持部材50は、第6の面である面51、第7の面である面52、面53、面54及びねじ孔部55を有する。面51及び面52は、鉛直方向に対して平行な面であり、丸型ケーブル49の接線方向に傾斜している。言い換えると、面51及び面52は、奥行方向に対して傾斜している。面51と面52とは、互いに異なる方向に傾斜している。また、面51は、面52と垂直に交わる。そのため、補助支持部材50の断面凹六角形のうち、1つの内角θ3は、270度となる。
【0048】
面53及び面54は、鉛直方向に対して平行な面である。面53は支持部材30の面31に沿うように傾斜しており、面54は支持部材30の面32に沿うように傾斜している。面53と面54とは、互いに異なる方向に傾斜している。
【0049】
ねじ孔部55は、補助支持部材50を取り付けるためにねじ42が挿入される孔であり、奥行方向に貫通している。また、ねじ孔部55は、支持部材30及び補助支持部材50が空所14に配置されたとき、ねじ孔部11a及びねじ孔部33と重なるように設けられる。
【0050】
次に、このように構成されたエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル49の固定手順、及び丸型ケーブル41を固定したときのエレベータ昇降路内配線装置の状態について説明する。
【0051】
まず、作業員は、補助支持部材50を支持部材30に取り付け、支持部材30をケーブルクリート10に取り付け、ケーブルクリート10を取付腕43に取り付ける。具体的には、作業員は、ケーブルクリート10の空所14に支持部材30及び補助支持部材50を配置する。このとき、支持部材30の面31が補助支持部材50の面53と接し、支持部材30の面32が補助支持部材50の面54と接するように補助支持部材50を配置する。この状態で、補助支持部材50のねじ孔部55、支持部材30のねじ孔部33、ケーブルクリート10のねじ孔部11a及び取付腕43の取付孔部(図示せず)にねじ42を挿入し、締め付ける。なお、図13では取付腕43の図示を省略している。
【0052】
次に、作業員は、丸型ケーブル49を空所14に通す。具体的には、作業員は、傾斜面13aと傾斜面13aとの間を通過させて丸型ケーブル49を空所14に通す。なお、丸型ケーブル49を上方から空所14に挿入して、丸型ケーブル49を空所14に通してもよい。
【0053】
最後に、作業員は、傾斜面13aと丸型ケーブル41との間の空所14に押圧片20を鉛直方向の上方から挿入する。具体的には、作業員は、押圧片20を槌で打ち付けて空所14に挿入する。図14に示すように、押圧片20が空所14に挿入されると、押圧片20は丸型ケーブル49を補助支持部材50側へ押圧する。このため、丸型ケーブル49が固定される。
【0054】
このとき、図15に示すように、補助支持部材50は、丸型ケーブル49と支持部材30との間の空所14に配置されている。面22、面23、面51及び面52は、丸型ケーブル49と接している。また、丸型ケーブル49は、奥行方向の両側から補助支持部材50と押圧片20とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれており、丸型ケーブル49の補助支持部材50側の一部は、左右方向から面51と面52とに挟まれている。
【0055】
以上のように、実施の形態2にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、丸型ケーブル49と支持部材30との間の空所14に配置され、支持部材30に取り付けられ、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル49と接する面51及び面52を有する補助支持部材50を備える。面51と面52とは、互いに異なる方向に傾斜する。このため、支持部材30及び押圧片20のみでは固定することができないような直径の小さい丸型ケーブル49を固定することができる。また、丸型ケーブル49の一部が、左右方向から面51と面52とに挟まれる。このため、丸型ケーブル49が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル49は、奥行方向の両側から押圧片20と補助支持部材50に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態1では、押圧片20が丸型ケーブル41と2つの面で接する例について説明した。実施の形態3では、押圧片20が丸型ケーブル41と1つの面で接する例について説明する。具体的には、押圧片20の形状が実施の形態1と相違するため、以下に相違点について説明する。
【0057】
図16に示すように、押圧片20は、錘台であって、その断面が四角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。つまり、押圧片20は、鉛直方向の上方から下方に向かうにつれてその断面積が小さくなるように形成される。押圧片20は、第1の面である面21及び第8の面である面24を有する。
【0058】
面24は、鉛直方向及び左右方向に対して平行な面である。面21は、傾斜面13aに沿うように傾斜している。言い換えると、面21は、鉛直方向の上方から下方に向かって面24に近づくように傾斜している。
【0059】
なお、本実施の形態において支持部材30の面31は第9の面であり、面32は第10の面である。
【0060】
このように構成されたエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順は、実施の形態1のエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順と同様である。丸型ケーブル41は、図16に示すようにエレベータ昇降路内配線装置によって固定される。
【0061】
エレベータ昇降路内配線装置によって丸型ケーブル41が固定されたとき、図17に示すように、面24、面31及び面32は丸型ケーブル41と接している。つまり、押圧片20は丸型ケーブル41と1つの面24で接しており、支持部材30は丸型ケーブル41と2つの面31、32で接している。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0062】
本実施の形態にかかるエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル46の固定手順は、実施の形態1のエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順と同様である。丸型ケーブル46は、図18に示すようにエレベータ昇降路内配線装置によって固定される。
【0063】
エレベータ昇降路内配線装置によって丸型ケーブル46が固定されたとき、図19に示すように、面24、面31及び面32は丸型ケーブル41と接している。つまり、押圧片20は丸型ケーブル41と1つの面24で接しており、支持部材30は丸型ケーブル41と2つの面31、32で接している。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0064】
上述のように、エレベータ昇降路内配線装置は、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46を固定することができる。
【0065】
以上のように、実施の形態3にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、丸型ケーブル41、46を押圧する押圧片20及び丸型ケーブル41、46を支持する支持部材30を備える。押圧片20は、丸型ケーブル41、46と接する面34を有する。支持部材30は、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41、46と接する面21及び面22を有する。このため、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46に適用でき、丸型ケーブル41、46を昇降路内に固定することができる。また、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面21と面22とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0066】
なお、図20、21に示すように、支持部材30が丸型ケーブル41と1つの面で接する第8の面である面34を有し、押圧片20が丸型ケーブル41と2つの面で接する第9の面である面22及び第10の面である面23を有してもよい。この場合において、支持部材30は、角柱であって、その断面が四角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。面34は、鉛直方向及び左右方向に対して平行な面である。
【0067】
このように構成されても、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46に適用でき、丸型ケーブル41、46を昇降路内に固定することができる。また、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面22と面23とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0068】
実施の形態4.
実施の形態1では、エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41を固定する例について説明した。実施の形態2では、エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41より直径が小さい丸型ケーブル49を固定する例について説明する。具体的には、補助押圧片60が設けられる点で実施の形態1と相違するため、以下に相違点について説明する。
【0069】
エレベータ昇降路内配線装置は、ケーブルクリート10、支持部材30、押圧片20及び補助押圧片60を備える。
【0070】
図22に示すように、補助押圧片60は、角柱であって、その断面が凹六角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。補助押圧片60は、第11の面である面61、第7の面である面62、面63及び面64を有する。面61及び面62は、鉛直方向に対して平行な面であり、丸型ケーブル49の接線方向に傾斜している。面61と面62とは、互いに異なる方向に傾斜している。また、面61は、面62と垂直に交わる。そのため、補助支持部材50の断面凹六角形のうち、1つの内角θ4は、270度となる。
【0071】
面63及び面64は、鉛直方向に対して平行な面である。面63は押圧片20の面22に沿うように傾斜しており、面64は押圧片20の面23に沿うように傾斜している。面63と面64とは、互いに異なる方向に傾斜している。図23に示すように、補助押圧片60は、押圧片20にねじ(図示せず)で取り付けられる。
【0072】
次に、このように構成されたエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル49の固定手順、及び丸型ケーブル49を固定したときのエレベータ昇降路内配線装置の状態について説明する。
【0073】
実施の形態1のエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順と同様に、まず、作業員は、支持部材30をケーブルクリート10に取り付け、ケーブルクリート10を取付腕43に取り付ける。次に、作業員は、丸型ケーブル49を空所14に通す。
【0074】
最後に、作業員は、傾斜面13aと丸型ケーブル49との間の空所14に補助押圧片60が取り付けられた押圧片20を鉛直方向の上方から挿入する。具体的には、作業員は、補助押圧片60が取り付けられた押圧片20を槌で打ち付けて空所14に挿入する。図24に示すように、押圧片20及び補助押圧片60が空所14に挿入されると、押圧片20及び補助押圧片60は丸型ケーブル41を支持部材30側へ押圧する。このため、丸型ケーブル41が固定される。
【0075】
このとき、図25に示すように、補助押圧片60は、丸型ケーブル49と押圧片20との間の空所14に配置されている。面31、面32、面61及び面62は、丸型ケーブル49と接している。また、丸型ケーブル49は、奥行方向の両側から支持部材30と補助押圧片60とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面21と面22とに挟まれており、丸型ケーブル41の補助押圧片60側の一部は、左右方向から面61と面62とに挟まれている。
【0076】
以上のように、実施の形態4にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、丸型ケーブル49と支持部材30との間の空所に配置され、押圧片20に取り付けられ、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル49と接する面61及び面62を有する補助押圧片60を備える。面61と面62とは、互いに異なる方向に傾斜する。このため、支持部材30及び押圧片20のみでは固定することができないような直径の小さい丸型ケーブル49を固定することができる。また、丸型ケーブル49の一部が、左右方向から面61と面62とに挟まれる。このため、丸型ケーブル49が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル49は、奥行方向の両側から支持部材30と補助押圧片60に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0077】
なお、実施の形態2で説明した補助支持部材50を本実施例と組み合わせて使用してもよい。支持部材30に取り付けられた補助支持部材50、及び押圧片20に取り付けられた補助押圧片60を備えるエレベータ昇降路内配線装置によって丸型ケーブルを固定することにより、丸型ケーブル49より直径が小さい丸型ケーブルを固定することができる。
【0078】
実施の形態5.
実施の形態1では、押圧片20の面22が面23と交わる例について説明した。実施の形態5では、押圧片20の面22と面23との間に他の面が配置される例について説明する。具体的には、押圧片20の形状が実施の形態1と相違するため、以下に相違点について説明する。
【0079】
図26、27に示すように、押圧片20は、錘台であって、その断面が凹六角形となるようにニトリルゴム等の合成ゴムで形成される。つまり、押圧片20は、鉛直方向の上方から下方に向かうにつれてその断面積が小さくなるように形成される。押圧片20は、第1の面である面21、第2の面である面22、第3の面である面23を有する。さらに押圧片は、面22と面23との間に配置される面25を有する。
【0080】
面21は、傾斜面13aに沿うように傾斜する面である。面22及び面23は、鉛直方向に対して平行な面であり、丸型ケーブル41の接線方向に傾斜している。面22と面23とは、互いに異なる方向に傾斜している。面25は、鉛直方向及び左右方向に対して平行な面である。面25は、面22と面23との間に配置され、面22及び面23と交わる。
【0081】
本実施の形態にかかるエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順は、実施の形態1のエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順と同様である。丸型ケーブル41は、図26に示すようにエレベータ昇降路内配線装置によって固定される。
【0082】
エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41を固定したとき、図27に示すように、面22、面23、面31及び面32は丸型ケーブル41と接しており、面25は丸型ケーブル41と接していない。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれており、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0083】
本実施の形態にかかるエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル46の固定手順は、実施の形態1のエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順と同様である。丸型ケーブル46は、図28に示すようにエレベータ昇降路内配線装置によって固定される。
【0084】
エレベータ昇降路内配線装置によって丸型ケーブル46が固定されたとき、図29に示すように、面22、面23、面31及び面32は丸型ケーブル41と接しており、面25は丸型ケーブル41と接していない。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれており、丸型ケーブル41の支持部材30側の一部は、左右方向から面31と面32とに挟まれている。
【0085】
上述のように、エレベータ昇降路内配線装置は、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46を固定することができる。
【0086】
以上のように、実施の形態5にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、丸型ケーブル41、46を押圧する押圧片20、及び丸型ケーブル41、46を支持する支持部材30を備える。押圧片20は、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41、46と接する面22及び面23を有する。面22と面23とは、互いに異なる方向に傾斜している。また、支持部材30は、鉛直方向に対して平行な面であり丸型ケーブル41、46と接する面31及び面32を有する。面31と面32とは、互いに異なる方向に傾斜している。このため、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46に適用でき、丸型ケーブル41、46を昇降路内に固定することができる。また、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面22と面23とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0087】
なお、押圧片の面22と面23との間に1つの面25が配置される例について説明したが、面22と面23との間に複数の面が配置されてもよい。
【0088】
なお、支持部材30も押圧片20と同様に、面31と面32との間に他の面が配置されてもよい。
【0089】
実施の形態6.
実施の形態1では、ケーブルクリート10が取付腕43に直接取り付けられる例について明した。実施の形態6では、ケーブルクリート10がワールドダクター70を介して取付腕43に取り付けられる例について説明する。具体的には、ケーブルクリート10の形状及び丸型ケーブル41の固定手順が実施の形態1と相違するため、以下に相違点について説明する。
【0090】
図30、31に示すように、ワールドダクター70は、帯状であり、側面視において略コの字型となるように金属により形成される。ワールドダクター70は、取付腕43に取り付けられる。ワールドダクター70には、複数のエレベータ昇降路内配線装置が取り付けられる。なお、図30、31において、取付腕43の図示を省略している。
【0091】
ワールドダクター70は、開口部71及び係合部72を有する。ケーブルクリート10をワールドダクター70に取り付ける際、後述する爪部15が開口部71を通過し、爪部15が係合部72に引っ掛けられる。
【0092】
図32に示すように、ケーブルクリート10は、平面視においてコの字型となるようにステンレス等の金属により形成される。ケーブルクリート10は、側板12、側板13、空所14及び爪部15を有する。
【0093】
側板12は、鉛直方向と平行に配置される板である。側板13は、鉛直方向に対して傾斜する板である。側板13は、側板12の他端に配置され、側板12と交わる。側板13は、1つ設けられる。側板13は、傾斜面13aを有する。図31に示すように、丸型ケーブル41が空所14に通され、押圧片20が空所14に挿入されたとき、傾斜面13aは鉛直方向の上方から下方に向かって丸型ケーブル側に近づくように傾斜している。
【0094】
爪部15は、側板12の端部に設けられる。爪部15は、ケーブルクリート10をワールドダクター70に取り付ける際、ワールドダクター70の係合部72に引っ掛けられ、係合部72と係合する。
【0095】
支持部材30は、側面視において略コの字型となるように金属により形成される。支持部材30は、丸型ケーブル41が固定されたとき、丸型ケーブル41と1つの面で接する第8の面である面35を有する。面35は、鉛直方向及び左右方向に対して平行な面である。なお、本実施の形態において押圧片20の面22は第9の面であり、面23は第10の面である。
【0096】
次に、このように構成されたエレベータ昇降路内配線装置による丸型ケーブル41の固定手順、及び丸型ケーブル41を固定したときのエレベータ昇降路内配線装置の状態について説明する。
【0097】
まず、作業員は、ワールドダクター70を取付腕43に取り付ける。次に、作業員は、支持部材30をワールドダクター70に取り付ける。支持部材30は、開口部71の一部を覆うように取り付けられる。
【0098】
次に、作業員は、ケーブルクリート10をワールドダクター70に取り付ける。具体的には、一方の側板12と他方の側板12との間の空所14に丸型ケーブル41を通して、ケーブルクリート10をワールドダクター70側に近づける。そして、作業員は、爪部15を係合部72に引っ掛けて、爪部15と係合部72とを係合させる。
【0099】
最後に、作業員は、傾斜面13aと丸型ケーブル41との間の空所14に押圧片20を鉛直方向の上方から挿入する。具体的には、作業員は、押圧片20を槌で打ち付けて空所14に挿入する。図31に示すように、押圧片20が空所14に挿入されると、押圧片20は丸型ケーブル41を支持部材30側へ押圧する。このため、丸型ケーブル41が固定される。
【0100】
作業員は、1つの丸型ケーブル41を固定すると、ワールドダクター70に他のエレベータ昇降路内配線装置を設置し、他の丸型ケーブル41を固定する。
【0101】
エレベータ昇降路内配線装置が丸型ケーブル41を固定したとき、図32に示すように、面22、面23及び面35は丸型ケーブル41と接している。また、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から支持部材30と押圧片20とに挟まれている。そして、丸型ケーブル41の押圧片20側の一部は、左右方向から面22と面23とに挟まれている。
【0102】
以上のように、実施の形態6にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっては、ワールドダクター70に複数のエレベータ昇降路内配線装置が取り付けられる。このため、昇降路内ある複数の丸型ケーブル41を固定することができる。
【0103】
さらに、実施の形態6にかかるエレベータ昇降路内配線装置にあっても、実施の形態3と同様に、直径の大きさが異なる複数種類の丸型ケーブル41、46に適用でき、丸型ケーブル41、46を昇降路内に固定することができる。また、丸型ケーブル41の一部が、左右方向から面21と面22とに挟まれる。このため、丸型ケーブル41が左右方向に移動することが抑制される。さらに、丸型ケーブル41は、奥行方向の両側から押圧片20と支持部材30に挟まれるため、奥行方向に移動することが抑制される。
【0104】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、前記鉛直方向の上方から下方に向かって前記丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、
前記傾斜面と前記丸型ケーブルとの間の前記空所に挿入され、前記丸型ケーブルを押圧する押圧片と
を備え、
前記押圧片は、前記傾斜面に沿うように傾斜し前記傾斜面と摺接する第1の面、並びに、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第2の面及び第3の面を有し、
前記第2の面と前記第3の面とは、互いに異なる方向に傾斜するエレベータ昇降路内配線装置。
(付記2)
前記丸型ケーブルを挟んで前記押圧片と対向するように前記空所に配置され、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第4の面及び第5の面を有する支持部材と
をさらに備え、
前記第4の面と前記第5の面とは、互いに異なる方向に傾斜する付記1に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
(付記3)
前記丸型ケーブルと前記支持部材との間の前記空所に配置され、前記支持部材に取り付けられ、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第6の面及び第7の面を有する補助支持部材と
をさらに備え、
前記第6の面と前記第7の面とは、互いに異なる方向に傾斜する付記2に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
(付記4)
鉛直方向に延びるように昇降路内に配置される丸型ケーブルを通す空所を有し、前記鉛直方向の上方から下方に向かって前記丸型ケーブル側に近づくように傾斜する傾斜面を有するケーブルクリートと、
前記傾斜面と前記丸型ケーブルとの間の前記空所に挿入され、前記丸型ケーブルを押圧する押圧片と
前記丸型ケーブルを挟んで前記押圧片と対向するように前記空所に配置される支持部材と
を備え、
前記押圧片は、前記傾斜面に沿うように傾斜し前記傾斜面と摺接する第1の面を有し、
前記押圧片及び前記支持部材のうちいずれか一方は、前記丸型ケーブルと1つの面で接する第8の面を有し、他方は、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと2つの面で接する第9の面及び第10の面を有し、
前記第9の面と前記第10の面とは、互いに異なる方向に傾斜するエレベータ昇降路内配線装置。
(付記5)
前記丸型ケーブルと前記押圧片との間の前記空所に配置され、前記押圧片に取り付けられ、前記鉛直方向に対して平行な面であり前記丸型ケーブルと接する第11の面及び第12の面を有する補助押圧片と
をさらに備え、
前記第11の面と前記第12の面とは、互いに異なる方向に傾斜する付記1から4のいずれか一項に記載のエレベータ昇降路内配線装置。
【符号の説明】
【0105】
10 ケーブルクリート、13a 傾斜面、14 空所、20 押圧片、21 面、22 面、23 面、24 面、30 支持部材、31 面、32 面、34 面、41 丸型ケーブル、46 丸型ケーブル、48 丸型ケーブル、49 丸型ケーブル、50 補助支持部材、51 面、52 面、60 補助押圧片、61 面、62 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32