(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030862
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】差動増幅器、及び差動増幅器を含むレギュレータ、オペアンプ及びコンパレータ
(51)【国際特許分類】
H03F 3/68 20060101AFI20240229BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20240229BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H03F3/68
H03F3/45 210
G05F1/56 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134054
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真悟
【テーマコード(参考)】
5H430
5J500
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB11
5H430EE04
5H430FF04
5H430FF13
5H430HH03
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA58
5J500AC92
5J500AF14
5J500AF17
5J500AH02
5J500AH10
5J500AH18
5J500AH25
5J500AK02
5J500AK03
5J500AK06
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5J500AK17
5J500AM10
5J500AM13
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN14
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】差動増幅器1つで多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制する。
【解決手段】差動増幅器は、反転入力端子及び非反転入力端子の何れか一方である第1入力端子と、反転入力端子及び非反転入力端子の何れか他方である複数の第2入力端子と、前記複数の第2入力端子のそれぞれに対応した電圧を出力する複数の出力端子と、前記第1入力端子及び前記複数の第2入力端子に接続され、前記複数の第2入力端子に対応して設けられた複数の差動増幅回路と、前記複数の差動増幅回路に接続された電流源回路と、を備え、前記複数の差動増幅回路の各々は、前記第1入力端子に入力される電圧、及び前記複数の第2入力端子のうちの1つに入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する前記複数の出力端子のうちの1つから出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転入力端子及び非反転入力端子の何れか一方である第1入力端子と、
反転入力端子及び非反転入力端子の何れか他方である複数の第2入力端子と、
前記複数の第2入力端子のそれぞれに対応した電圧を出力する複数の出力端子と、
前記第1入力端子及び前記複数の第2入力端子に接続され、前記複数の第2入力端子に対応して設けられた複数の差動増幅回路と、
前記複数の差動増幅回路に接続された電流源回路と、
を備え、
前記複数の差動増幅回路の各々は、前記第1入力端子に入力される電圧、及び前記複数の第2入力端子のうちの1つに入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する前記複数の出力端子のうちの1つから出力する
差動増幅器。
【請求項2】
前記複数の差動増幅回路は、前記第1入力端子に接続されている部分回路を共有している請求項1記載の差動増幅器。
【請求項3】
前記複数の差動増幅回路は、
第1電位に接続された複数の負荷回路と、
前記第1入力端子、前記複数の第2入力端子、及び前記電流源回路に接続された複数の差動段回路と、を含む請求項1記載の差動増幅器。
【請求項4】
前記複数の差動増幅回路は、
第1電位に接続された負荷回路と、
前記第1入力端子、前記複数の第2入力端子、及び前記電流源回路に接続された差動段回路と、
を含み、
前記部分回路は、前記第1入力端子に接続された前記差動段回路の第1トランジスタと、前記第1トランジスタに接続されている前記負荷回路の1部分である請求項2記載の差動増幅器。
【請求項5】
前記複数の差動段回路のそれぞれは、前記第1入力端子に接続された第1トランジスタと、前記複数の第2入力端子の1つに接続された第2トランジスタとを有し、
前記複数の差動段回路のそれぞれの前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが前記電流源回路に接続されている請求項3に記載の差動増幅器。
【請求項6】
前記電流源回路は、前記複数の差動段回路に接続された第1電流源トランジスタを含む請求項1又は2記載の差動増幅器。
【請求項7】
前記複数の差動段回路に接続され、前記複数の出力端子にそれぞれ電圧を出力する複数の出力段回路をさらに備える請求項1又は2記載の差動増幅器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の差動増幅器と、
前記複数の出力端子に接続された複数の出力トランジスタと、
を含み、
前記複数の出力トランジスタに接続された複数の帰還ノードが、前記複数の第2入力端子に接続され、
前記第1入力端子に基準電圧が入力されている
レギュレータ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の差動増幅器と、
前記複数の出力端子に接続された複数の増幅回路と、
を含むオペアンプ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の差動増幅器と、
前記複数の出力端子に接続された複数のインバータ回路と、
を含むコンパレータ。
【請求項11】
基準電圧と第1入力電圧が入力される第1差動段回路と、
前記基準電圧と第2入力電圧が入力される第2差動段回路と、
前記第1差動段回路と第1電位との間に設けられた第1負荷回路と、
前記第2差動段回路と前記第1電位との間に設けられた第2負荷回路と、
前記第1差動段回路及び前記第2差動段回路と前記第1電位とは異なる第2電位との間に設けられた電流源回路と、
を備えた差動増幅器。
【請求項12】
前記電流源回路は、前記第1差動段回路及び前記第2差動段回路に接続された第1電流源トランジスタを含む請求項11記載の差動増幅器。
【請求項13】
前記第1差動段回路と前記第1負荷回路とが接続されたノードに接続された第1出力段回路と、前記第2差動段回路と前記第2負荷回路とが接続されたノードに接続された第2出力段回路をさらに備える請求項11又は12記載の差動増幅器。
【請求項14】
基準電圧が入力される第1トランジスタと、第1入力電圧が入力される第2トランジスタと、第2入力電圧が入力される第3トランジスタと、を含む差動段回路と、
前記差動段回路と第1電位との間に設けられた負荷回路と、
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、及び前記第3トランジスタに接続された電流源回路と、
を備え、
前記差動段回路は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとで第1差動対を構成し、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとで第2差動対を構成する差動増幅器。
【請求項15】
前記差動段回路は、前第1トランジスタと前記負荷回路とが接続された第1ノードから第1電圧が出力され、第3トランジスタと前記負荷回路とが接続された第2ノードから第2電圧が出力される請求項14記載の差動増幅器。
【請求項16】
前記電流源回路は、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、及び前記第3トランジスタに接続された第1電流源トランジスタを含む請求項14記載の差動増幅器。
【請求項17】
前記電流源回路は、
バイアス電流源と前記バイアス電流源に接続された第2電流源トランジスタとをさらに含み、
前記第1電流源トランジスタのゲートと第2電流源トランジスタのゲートは、前記バイアス電流源と前記第2電流源トランジスタとが接続されたノードに接続されている請求項12又は16記載の差動増幅器。
【請求項18】
前記負荷回路は、前記第1トランジスタに接続された第1負荷トランジスタと、前記第2トランジスタに接続された第2負荷トランジスタと、前記第3トランジスタに接続された第3負荷トランジスタとを含み、
前記第1負荷トランジスタのゲートと、前記第2負荷トランジスタのゲートと、前記第3負荷トランジスタのゲートが接続される請求項14記載の差動増幅器。
【請求項19】
前記差動段回路と前記負荷回路とが接続されノードに接続され、前記第1入力電圧が供給される第1出力段回路と前記第2入力電圧が供給される第2出力段回路とをさらに備える請求項14記載の差動増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅器、及び差動増幅器を含むレギュレータ、オペアンプ及びコンパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイコン、AD/DAコンバータ、モーター、各種通信システム、各種センサー等を搭載した大規模システムにおいて、その電源として一般的に安定化電源回路のレギュレータが使用されている。
【0003】
レギュレータは一般的にオペアンプ、出力トランジスタ及び帰還抵抗により構成されている。
【0004】
またオペアンプは、各種の増幅器として入力抵抗、帰還抵抗によって構成された反転増幅器、非反転増幅器や出力バッファとしてボルテージフォロワ、インバータを出力としたコンパレータなどの各種アナログ回路の構成要因としても使用されている。
【0005】
特許文献1には、レギュレータについて、オペアンプ、出力トランジスタ、分圧回路が設けられた構成が開示されている。
【0006】
特許文献2には、シリーズレギュレータについて、2つの出力トランジスタをそれぞれ別のオペアンプで制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-92869号公報
【特許文献2】特開2021-18657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的にレギュレータは、上記特許文献1のように差動増幅器で構成されたオペアンプを用いる。そして、大規模システムでは、上記特許文献2のように複数のレギュレータが必要になる。つまり、大規模システムのように複数のレギュレータを設ける場合には、レギュレータに伴って差動増幅器も複数設ける必要がある。
【0009】
さらにレギュレータや増幅器、出力バッファなどでは、出力端子に接続される回路によっては出力のオーバーシュート、アンダーシュート、ノイズ、出力歪みによって特性が低下するため、同じ出力端子に他回路と混同して接続出来ない場合がある。このため、これら回路のために個別のレギュレータや増幅器、出力バッファを用意する必要がある。したがって、回路規模が大きくなってしまう、という問題がある。
【0010】
本発明は、多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能な差動増幅器、及び差動増幅器を含むレギュレータ、オペアンプ及びコンパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る差動増幅器は、反転入力端子及び非反転入力端子の何れか一方である第1入力端子と、反転入力端子及び非反転入力端子の何れか他方である複数の第2入力端子と、前記複数の第2入力端子のそれぞれに対応した電圧を出力する複数の出力端子と、前記第1入力端子及び前記複数の第2入力端子に接続され、前記複数の第2入力端子に対応して設けられた複数の差動増幅回路と、前記複数の差動増幅回路に接続された電流源回路と、を備え、前記複数の差動増幅回路の各々は、前記第1入力端子に入力される電圧、及び前記複数の第2入力端子のうちの1つに入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、前記複数の出力端子のうちの1つから出力する。
【0012】
本発明に係るレギュレータは、上記の差動増幅器と、前記複数の出力端子に接続された複数の出力トランジスタと、を含み、前記複数の出力トランジスタに接続された複数の帰還ノードが、前記複数の第2入力端子に接続され、前記第1入力端子に、基準電圧が入力されている。
【0013】
本発明に係るオペアンプは、上記の差動増幅器と、前記複数の出力端子に接続された複数の増幅回路と、を含む。
【0014】
本発明に係るコンパレータは、上記の差動増幅器と、前記複数の出力端子に接続された複数のインバータ回路と、を含む。
【0015】
本発明に係る差動増幅器は、基準電圧と第1入力電圧が入力される第1差動段回路と、前記基準電圧と第2入力電圧が入力される第2差動段回路と、前記第1差動段回路と第1電位との間に設けられた第1負荷回路と、前記第2差動段回路と前記第1電位との間に設けられた第2負荷回路と、前記第1差動段回路及び前記第2差動段回路と前記第1電位とは異なる第2電位との間に設けられた電流源回路と、を備える。
【0016】
本発明に係る差動増幅器は、基準電圧が入力される第1トランジスタと、第1入力電圧が入力される第2トランジスタと、第2入力電圧が入力される第3トランジスタと、を含む差動段回路と、前記差動段回路と第1電位との間に設けられた負荷回路と、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、及び前記第3トランジスタに接続された電流源回路と、を備え、前記差動段回路は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとで第1差動対を構成し、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとで第2差動対を構成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能な差動増幅器、及び差動増幅器を含むレギュレータ、オペアンプ及びコンパレータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係るレギュレータの構成を示す回路ブロック図である。
【
図6】本発明の第5の実施形態に係るレギュレータの出力電圧の特性図を示すグラフである。
【
図7】本発明の第6の実施形態に係るオペアンプ、及び第7の実施形態に係るコンパレータの構成を示す回路ブロック図である。
【
図8】本発明の第6の実施形態に係るオペアンプの構成を示す回路ブロック図である。
【
図9】本発明の第6の実施形態に係るオペアンプを含む反転増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図10】反転増幅器の出力電圧の特性図を示すグラフである。
【
図11】本発明の第6の実施形態に係るオペアンプを含む非反転増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図12】非反転増幅器の出力電圧の特性図を示すグラフである。
【
図13】本発明の第6の実施形態に係るオペアンプを含むボルテージフォロワの構成を示す回路ブロック図である。
【
図14】ボルテージフォロワの出力電圧の特性図を示すグラフである。
【
図15】本発明の第7の実施形態に係るコンパレータの構成を示す回路ブロック図である。
【
図16】本発明の第7の実施形態に係るコンパレータを含む比較器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図17】比較器の出力電圧の特性図を示すグラフである。
【
図18】従来技術に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図19】従来技術に係る差動増幅器の構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
【0020】
(本発明の実施形態の概要)
【0021】
図18、
図19に、従来技術の実施例で使用される差動増幅器を示す。
【0022】
図18に示す差動増幅器は、PMOSトランジスタP0及びPMOSトランジスタP1を含むカレントミラー回路と、入力端子がゲートに接続されたNMOSトランジスタN0及びNMOSトランジスタN1を含む差動段回路と、NMOSトランジスタN4、NMOSトランジスタN4のゲートにゲートが接続されたNMOSトランジスタN5及びバイアス電流源ibpを含む電流源回路と、を含む。差動段回路のNMOSトランジスタN0には帰還ノードfbの電圧が入力され、NMOSトランジスタN1には基準電圧Vrefが入力される。
図18に示す差動増幅器は、差動段回路に入力される帰還ノードfbの電圧と基準電圧Vrefとの差分に応じた電流がカレントミラー回路で生成され、その電流に基づく電圧が出力電圧として出力端子Oから出力される。
【0023】
図19に示す差動増幅器は、上記
図18に示す差動増幅器に対して、PMOSトランジスタP1とNMOSトランジスタN1との間にゲートが接続されたPMOSトランジスタP2と、バイアス電流源ibnとを含む出力段回路を更に備えている。
図19に示す差動増幅器は、出力段回路を備えることで任意の出力電圧を出力する。
【0024】
このように、従来技術では、1つの差動増幅器で1出力であるため、多入力多出力を実現するためには、個別に同一特性の差動増幅器を複数設けることになり、回路面積が増大するという問題がある。
【0025】
そこで、本発明の実施形態では、回路面積の増大を抑制しつつ、多入力多出力を実現するようにする。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る差動増幅器10の構成を示す回路ブロック図である。
【0027】
差動増幅器10は、反転入力端子である第1入力端子I1と、非反転入力端子である第2入力端子I21、I22と、第2入力端子I21、I22に対応する出力端子O1、O2と、第2入力端子I21、I22に対応して設けられた差動増幅回路12A、12Bと、差動増幅回路12A、12Bに接続された電流源回路14と、を含む。第1入力端子I1には基準電圧Vrefが入力され、第2入力端子I21には帰還ノードfb1の電圧が入力され、第2入力端子I22には帰還ノードfb2の電圧が入力される。
【0028】
差動増幅回路12A、12Bは、電流源回路14を共有して構成されている。
【0029】
差動増幅回路12Aは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O1から出力する。差動増幅回路12Bは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O2から出力する。
【0030】
具体的には、差動増幅回路12Aは、電源電圧を有する電源電位に接続された負荷回路16Aと、第1入力端子I1、第2入力端子I21、及び電流源回路14に接続された差動段回路17Aと、を含む。差動増幅回路12Bは、電源電位に接続された負荷回路16Bと、第1入力端子I1、第2入力端子I22、及び電流源回路14に接続された差動段回路17Bと、を含む。
【0031】
負荷回路16Aは、PMOSトランジスタP0及びPMOSトランジスタP1を含むカレントミラー回路である。PMOSトランジスタP0のソース及びPMOSトランジスタP1のソースは電源電位に接続され、PMOSトランジスタP0のドレイン及びPMOSトランジスタP1のドレインは差動段回路17Aに接続されている。PMOSトランジスタP0のゲート及びPMOSトランジスタP1のゲートは、PMOSトランジスタP0のドレインと差動段回路17Aとが接続されたノードneg1に接続されている。
【0032】
負荷回路16Aは、差動段回路17Aの負荷となる回路である。負荷回路16Aは、差動段回路17Aに入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路17Aに入力される電圧の差分に応じてPMOSトランジスタP0に流れる電流が決まり、PMOSトランジスタP0に流れる電流に応じてPMOSトランジスタP1に流れる電流が決まる。
【0033】
差動段回路17Aは、第1入力端子I1がゲートに接続されたNMOSトランジスタN0、及び第2入力端子I21がゲートに接続されたNMOSトランジスタN1を含む。NMOSトランジスタN0のドレインは負荷回路16AのPMOSトランジスタP0のドレインに接続され、NMOSトランジスタN1のドレインは負荷回路16AのPMOSトランジスタP1のドレインに接続されている。NMOSトランジスタN0のソース及びNMOSトランジスタN1のソースはノードtopを介して電流源回路14に接続されている。また、差動段回路17Aは、NMOSトランジスタN0及びNMOSトランジスタN1を1つの対とした差動対を含むということができる。
【0034】
差動段回路17Aは、第1入力端子I1及び第2入力端子I21に接続されており、差動増幅回路12Aに入力される電圧を受ける回路である。差動段回路17Aは、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0035】
PMOSトランジスタP1のドレインとNMOSトランジスタN1のドレインとの間が、出力端子O1に接続されている。
【0036】
負荷回路16Bは、PMOSトランジスタP2及びPMOSトランジスタP3を含むカレントミラー回路である。PMOSトランジスタP2のソース及びPMOSトランジスタP3のソースは電源電位に接続され、PMOSトランジスタP2のドレイン及びPMOSトランジスタP3のドレインは差動段回路17Bに接続されている。PMOSトランジスタP2のゲート及びPMOSトランジスタP3のゲートは、PMOSトランジスタP2のドレインと差動段回路17Bとが接続されたノードneg2に接続されている。
【0037】
負荷回路16Bは、差動段回路17Bの負荷となる回路である。負荷回路16Bは、差動段回路17Bに入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路17Bに入力される電圧の差分に応じてPMOSトランジスタP2に流れる電流が決まり、PMOSトランジスタP2に流れる電流に応じてPMOSトランジスタP3に流れる電流が決まる。
【0038】
差動段回路17Bは、第1入力端子I1がゲートに接続されたNMOSトランジスタN3、及び第2入力端子I22がゲートに接続されたNMOSトランジスタN2を含む。NMOSトランジスタN3のドレインは負荷回路16BのPMOSトランジスタP3のドレインに接続され、NMOSトランジスタN2のドレインは負荷回路16BのPMOSトランジスタP2のドレインに接続されている。NMOSトランジスタN2のソース及びNMOSトランジスタN3のソースはノードtopを介して電流源回路14に接続されている。また、差動段17Bは、NMOSトランジスタN3及びNMOSトランジスタN2を1つの対とした差動対を含むということができる。
【0039】
差動段回路17Bは、第1入力端子I1及び第2入力端子I21に接続されており、差動増幅回路12Bに入力される電圧を受ける回路である。差動段回路17Bは、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0040】
PMOSトランジスタP3のドレインとNMOSトランジスタN3のドレインとの間が、出力端子O2に接続されている。
【0041】
電流源回路14は、ゲート同士が接続されたNMOSトランジスタN4及びNMOSトランジスタN5と、バイアス電流源ibpとを含む。NMOSトランジスタN4のドレインは差動段回路17A及び差動段回路17Bに接続され、ソースは接地電圧を有する接地電位に接続されている。NMOSトランジスタN5のドレイン、NMOSトランジスタN4のゲート、及びNMOSトランジスタN5のゲートはノードvbnに接続され、NMOSトランジスタN5のソースは接地電位に接続されている。バイアス電流源ibpの一端は電源電位に接続され、他端はNMOSトランジスタN5のドレインと接続されている。
【0042】
電流源回路14は、差動増幅回路12A及び12Bに電流を供給する回路である。NMOSトランジスタN4及びNMOSトランジスタN5はカレントミラー回路を構成している。このカレントミラー回路によって、バイアス電流源ibnで生成された電流を差動増幅回路12A及び12Bに供給することができる。
【0043】
上記
図1の差動増幅器10は、上記
図18の従来技術の差動増幅器と比較して、差動増幅回路12B及び出力端子O2が追加されている点が異なっている。つまり、上記
図18の従来技術の差動増幅器では2出力のためには2つの差動増幅器が必要であるが、上記
図1の差動増幅器10は、電流源回路14を共有した1つの差動増幅器で2出力が可能となる。したがって、上記
図18の従来技術の差動増幅器と比較して、複数の出力が必要な場合に回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0044】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が1個、第2入力端子が2個、出力端子が2個の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2入力端子がN(Nは2以上)個の場合に出力端子をN個設けることができる。第2入力端子及び出力端子がN個の場合には、上記
図1の差動増幅回路がN個になり、必要な第2入力端子及び出力端子の数に応じて差動増幅回路の数が決まる。
【0045】
差動増幅器10では、差動増幅回路12A、12Bが個別に動作する。具体的には、差動増幅回路12Aは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O1から出力する。差動増幅回路12Bは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O2から出力する。
【0046】
差動増幅回路12Aは、差動段回路17Aに入力された基準電圧Vrefと帰還ノードfb1の電圧の差分に応じた電流が負荷回路16Aで生成され、その電流に基づいた電圧が出力電圧として出力端子O1から出力される。差動増幅回路12Bも同様に、差動段回路17Bに入力された基準電圧Vrefと帰還ノードfb2の電圧の差分に応じた電流が負荷回路16Bで生成され、その電流に基づいた電圧が出力電圧として出力端子O2から出力される。
【0047】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る差動増幅器10によれば、差動増幅回路の各々は、第1入力端子に入力される電圧、及び対応する第2入力端子に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する前記出力端子から出力する。このように、多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0048】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が、反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、非反転入力端子である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第1入力端子が、非反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、反転入力端子であってもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る差動増幅器20の構成を示す回路ブロック図である。
【0050】
差動増幅器20は、反転入力端子である第1入力端子I1と、非反転入力端子である第2入力端子I21、I22と、第2入力端子I21、I22に対応する出力端子O1、O2と、差動増幅回路22と、出力端子O1、O2に対応して設けられた出力段回路28A、28Bと、差動増幅回路22に接続された電流源回路24と、を含む。第1入力端子I1には基準電圧Vrefが入力され、第2入力端子I21には帰還ノードfb1の電圧が入力され、第2入力端子I22には帰還ノードfb2の電圧が入力される。
【0051】
差動増幅回路22は、第2入力端子I21、I22に対応した、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有するように構成されている。つまり、差動増幅回路22は、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有した複数の差動増幅回路であるということもできる。さらに、差動増幅回路22は、電流源回路24を共有して構成されている。
【0052】
差動増幅回路22は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O1から出力する。差動増幅回路22は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力端子O2から出力する。
【0053】
具体的には、差動増幅回路22は、電源電圧を有する電源電位に接続された負荷回路26と、第1入力端子I1、第2入力端子I21、I22、及び電流源回路24に接続された差動段回路27と、を含む。
【0054】
負荷回路26は、PMOSトランジスタP0を共有する2つのカレントミラー回路と等価であり、PMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP1、及びPMOSトランジスタP2を含む。PMOSトランジスタP0のソース、PMOSトランジスタP1のソース、及びPMOSトランジスタP2のソースは電源電位に接続され、PMOSトランジスタP0のドレイン、PMOSトランジスタP1のドレイン、及びPMOSトランジスタP2のドレインは差動段回路27に接続されている。PMOSトランジスタP0のゲート、PMOSトランジスタP1のゲート及びPMOSトランジスタP2のゲートは、PMOSトランジスタP0のドレインと差動段回路27とが接続されたノードneg1に接続されている。
【0055】
負荷回路26は、差動段回路27の負荷となる回路である。負荷回路26は、差動段回路27に入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路27に入力される電圧の差分に応じてPMOSトランジスタP0に流れる電流が決まり、PMOSトランジスタP0に流れる電流に応じてPMOSトランジスタP1及びPMOSトランジスタP2に流れる電流が決まる。
【0056】
差動段回路27は、NMOSトランジスタN0を共有する2つの差動段回路と等価であり、第1入力端子I1がゲートに接続されたNMOSトランジスタN0、第2入力端子I21がゲートに接続されたNMOSトランジスタN1、及び第2入力端子I22がゲートに接続されたNMOSトランジスタN2を含む。NMOSトランジスタN0のドレインは負荷回路26のPMOSトランジスタP0のドレインに接続され、NMOSトランジスタN1のドレインは負荷回路26のPMOSトランジスタP1のドレインに接続され、NMOSトランジスタN2のドレインは負荷回路26のPMOSトランジスタP2のドレインに接続されている。NMOSトランジスタN0のソース、NMOSトランジスタN1のソース、及びNMOSトランジスタN2のソースはノードtopを介して電流源回路24に接続されている。また、差動段回路27は、NMOSトランジスタN0及びNMOSトランジスタN1を1つの対とした第1差動対と、NMOSトランジスタN0及びNMOSトランジスタN2を1つの対とした第2差動対と、を含むということができる。
【0057】
差動段回路27は、第1入力端子I1、第2入力端子I21、I22に接続されており、差動増幅回路22に入力される電圧を受ける回路である。差動段回路27は、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0058】
PMOSトランジスタP1のドレインとNMOSトランジスタN1のドレインとが接続されたノードpos1が、出力段回路28Aを介して出力端子O1に接続されている。PMOSトランジスタP2のドレインとNMOSトランジスタN2のドレインとが接続されたノードpose2が、出力段回路28Bを介して出力端子O2に接続されている。
【0059】
電流源回路24は、ゲート同士が接続されたNMOSトランジスタN4及びNMOSトランジスタN5と、バイアス電流源ibpとを含む。NMOSトランジスタN4のドレインは差動段回路27に接続され、ソースは接地電圧を有する接地電位に接続されている。NMOSトランジスタN5のドレイン、NMOSトランジスタN4のゲート、及びNMOSトランジスタN5のゲートはノードvbnに接続され、NMOSトランジスタN5のソースは接地電位に接続されている。バイアス電流源ibpの一端は、電源電位に接続され、他端は、NMOSトランジスタN5のドレインと接続されている。
【0060】
電流源回路24は、差動増幅回路22に電流を供給する回路である。NMOSトランジスタN4及びNMOSトランジスタN5はカレントミラー回路を構成している。このカレントミラー回路によって、バイアス電流源ibnで生成された電流を差動増幅回路22に供給することができる。
【0061】
出力段回路28Aは、PMOSトランジスタP1とNMOSトランジスタN1との間のノードpos1にゲートが接続されたPMOSトランジスタP3と、バイアス電流源ibn1とを含む。PMOSトランジスタP3のソースは電源電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibn1に接続されている。バイアス電流源ibn1の一端は、PMOSトランジスタP3のドレインに接続され、他端は接地電位に接続されている。PMOSトランジスタP3と、バイアス電流源ibn1との間が、出力端子O1に接続されている。
【0062】
出力段回路28Bは、PMOSトランジスタP2とNMOSトランジスタN2との間のノードpos2にゲートが接続されたPMOSトランジスタP4と、バイアス電流源ibn2とを含む。PMOSトランジスタP4のソースは電源電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibn2に接続されている。バイアス電流源ibn2の一端は、PMOSトランジスタP4のドレインに接続され、他端は接地電位に接続されている。PMOSトランジスタP4と、バイアス電流源ibn2との間が、出力端子O2に接続されている。
【0063】
出力段回路28A及び出力段回路28Bは、所望の電圧を供給するための回路である。出力段回路を設けることで、出力段回路を構成するPMOSトランジスタ及びバイアス電流源の設定値を変更して出力電圧を調整することができる。
【0064】
上記
図2の差動増幅器20は、上記
図19の従来技術の差動増幅器と比較して、PMOSトランジスタP2とNMOSトランジスタN2と出力段回路28Aと出力端子O2が追加されている点が異なっている。つまり、上記
図19の従来の差動増幅器では2出力のためには2つの差動増幅器が必要であるが、上記
図2の差動増幅器20は、電流源回路24と、第1入力端子I21が接続されている部分回路である負荷回路26のPMOSトランジスタP0及び差動段回路27のNMOSトランジスタN0とを共有した1つの差動増幅器で2出力が可能となる。したがって、上記
図19の従来技術の差動増幅器と比較して、複数の出力が必要な場合に回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0065】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が1個、第2入力端子が2個、出力端子が2個の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2入力端子がN(Nは2以上)個の場合に出力端子がN個であればよい。第2入力端子及び出力端子がN個の場合には、上記
図2の第2入力端子に接続された差動段回路の一部及び該差動段回路の一部に接続された負荷回路の一部がN個になり、必要な第2入力端子及び出力端子の数に応じて第2入力端子に接続された差動段回路の一部及び該差動段回路に接続された負荷回路の一部の数が決まる。
【0066】
差動増幅器20では、差動増幅回路22の、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路が個別に動作する。具体的には、差動増幅回路22は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路28Aを介して出力端子O1から出力する。差動増幅回路22は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路28Bを介して出力端子O2から出力する。
【0067】
差動増幅回路22は、差動段回路27のNMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN1にそれぞれ入力された基準電圧Vref、帰還ノードfb1の電圧の差分に応じた電流が負荷回路26のPMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP1で生成され、その電流に基づいた電圧が出力段回路28Aを介して出力電圧として出力端子O1から出力される。差動段回路27のNMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN2についても同様に、差動段回路27のNMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN2にそれぞれ入力された基準電圧Vref、帰還ノードfb2の電圧の差分に応じた電流が負荷回路26のPMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP2で生成され、その電流に基づいた電圧が出力段回路28Bを介して出力電圧として出力端子O2から出力される。
【0068】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係る差動増幅器20によれば、第1入力端子に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路の各々は、第1入力端子に入力される電圧、及び対応する第2入力端子に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する出力端子から出力する。このように、多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0069】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が、反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、非反転入力端子である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第1入力端子が、非反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、反転入力端子であってもよい。
【0070】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る差動増幅器30の構成を示す回路ブロック図である。本発明の第3の実施形態に係る差動増幅器30は、第1の実施形態に係る差動増幅器10に対して極性を反転させたものである。さらに本発明の第3の実施形態に係る差動増幅器30は、出力段回路をさらに有する。
【0071】
差動増幅器30は、反転入力端子である第1入力端子I1と、非反転入力端子である第2入力端子I21、I22と、第2入力端子I21、I22に対応する出力端子O1、O2と、第2入力端子I21、I22に対応して設けられた差動増幅回路32A、32Bと、差動増幅回路32A、32Bに接続された電流源回路34と、出力端子O1、O2に対応して設けられた出力段回路38A、38Bと、を含む。第1入力端子I1には基準電圧Vrefが入力され、第2入力端子I21には帰還ノードfb1の電圧が入力され、第2入力端子I22には帰還ノードfb2の電圧が入力される。
【0072】
差動増幅回路32A、32Bは、電流源回路34を共有して構成されている。
【0073】
差動増幅回路32Aは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路38Aを介して出力端子O1から出力する。差動増幅回路32Bは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路38Bを介して出力端子O2から出力する。
【0074】
具体的には、差動増幅回路32Aは、接地電位に接続された負荷回路36Aと、第1入力端子I1、第2入力端子I21、及び電流源回路34に接続された差動段回路37Aと、を含む。差動増幅回路32Bは、接地電位に接続された負荷回路36Bと、第1入力端子I1、第2入力端子I22、及び電流源回路34に接続された差動段回路37Bと、を含む。
【0075】
負荷回路36Aは、NMOSトランジスタN0及びNMOSトランジスタN1を含むカレントミラー回路である。NMOSトランジスタN0のソース及びNMOSトランジスタN1のソースは接地電位に接続され、NMOSトランジスタN0のドレイン及びNMOSトランジスタN1のドレインは差動段回路37Aに接続されている。NMOSトランジスタN0のゲート及びNMOSトランジスタN1のゲートは、NNMOSトランジスタN1のドレインと差動段回路37Aとが接続されたノードneg1に接続されている。
【0076】
負荷回路36Aは、差動段回路37Aの負荷となる回路である。負荷回路36Aは、差動段回路37Aに入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路37Aに入力される電圧の差分に応じてNMOSトランジスタN1に流れる電流が決まり、NMOSトランジスタN1に流れる電流に応じてNMOSトランジスタN0に流れる電流が決まる。
【0077】
差動段回路37Aは、第1入力端子I1がゲートに接続されたPMOSトランジスタP0、及び第2入力端子I21がゲートに接続されたPMOSトランジスタP1を含む。PMOSトランジスタP0のドレインは負荷回路36AのNMOSトランジスタN0のドレインに接続され、PMOSトランジスタP1のドレインは負荷回路36AのNMOSトランジスタN1のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP0のソース及びPMOSトランジスタP1のソースはノードtopを介して電流源回路34に接続されている。また、差動段回路37Aは、PMOSトランジスタP0及びPMOSトランジスタP1を1つの対とした差動対を含むということができる。
【0078】
差動段回路37Aは、第1入力端子I1及び第2入力端子I21に接続されており、差動増幅回路32Aに入力される電圧を受ける回路である。差動段回路37Aは、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0079】
NMOSトランジスタN0のドレインとPMOSトランジスタP0のドレインとが接続されたノードpos1が、出力段回路38Aを介して出力端子O1に接続されている。
【0080】
負荷回路36Bは、NMOSトランジスタN2及びNMOSトランジスタN3を含むカレントミラー回路である。NMOSトランジスタN2のソース及びNMOSトランジスタN3のソースは接地電位に接続され、NMOSトランジスタN2のドレイン及びNMOSトランジスタN3のドレインは差動段回路37Bに接続されている。NPMOSトランジスタN2のゲート及びNMOSトランジスタN3のゲートは、NMOSトランジスタN3のドレインと差動段回路37Bとが接続されたノードneg2に接続されている。
【0081】
負荷回路36Bは、差動段回路37Bの負荷となる回路である。負荷回路36Bは、差動段回路37Bに入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路37Bに入力される電圧の差分に応じてNMOSトランジスタN3に流れる電流が決まり、NMOSトランジスタN3に流れる電流に応じてNMOSトランジスタN2に流れる電流が決まる。
【0082】
差動段回路37Bは、第1入力端子I1がゲートに接続されたPMOSトランジスタP3、及び第2入力端子I22がゲートに接続されたPMOSトランジスタP2を含む。PMOSトランジスタP3のドレインは負荷回路36BのNMOSトランジスタN3のドレインに接続され、PMOSトランジスタP2のドレインは負荷回路36BのNMOSトランジスタN2のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP2のソース及びPMOSトランジスタP3のソースはノードtopを介して電流源回路34に接続されている。また、差動段回路37Bは、PMOSトランジスタP3及びPMOSトランジスタP2を1つの対とした差動対を含むということができる。
【0083】
差動段回路37Bは、第1入力端子I1及び第2入力端子I21に接続されており、差動増幅回路32Bに入力される電圧を受ける回路である。差動段回路37Bは、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0084】
NMOSトランジスタN2のドレインとPMOSトランジスタP2のドレインとが接続されたノードpos2が、出力段回路38Bを介して出力端子O2に接続されている。
【0085】
電流源回路34は、ゲート同士が接続されたPMOSトランジスタP4及びPMOSトランジスタP5と、バイアス電流源ibnとを含む。PMOSトランジスタP4のドレインは差動段回路37A及び差動段回路37Bに接続され、ソースは電源電圧を有する電源電位に接続されている。PMOSトランジスタP5のドレイン、PMOSトランジスタP4のゲート、及びPMOSトランジスタP5のゲートはノードvbpに接続され、PMOSトランジスタP5のソースは電源電位に接続されている。バイアス電流源ibnの一端は接地電位に接続され、他端はPMOSトランジスタP5のドレインと接続されている。
【0086】
電流源回路34は、差動増幅回路32A及び32Bに電流を供給する回路である。PMOSトランジスタP4及びPMOSトランジスタP5はカレントミラー回路を構成している。このカレントミラー回路によって、バイアス電流源ibnで生成された電流を差動増幅回路32A及び32Bに供給することができる。
【0087】
出力段回路38Aは、PMOSトランジスタP0とNMOSトランジスタN0とが接続されたノードpos1にゲートが接続されたNMOSトランジスタN4と、バイアス電流源ibp1とを含む。NMOSトランジスタN4のソースは接地電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibp1に接続されている。バイアス電流源ibp1の一端は、NMOSトランジスタN4のドレインに接続され、他端は電源電位に接続されている。NMOSトランジスタP4と、バイアス電流源ibp1との間が、出力端子O1に接続されている。
【0088】
出力段回路28Bは、PMOSトランジスタP2とNMOSトランジスタN2とが接続されたノードpos2にゲートが接続されたNMOSトランジスタN5と、バイアス電流源ibp2とを含む。NMOSトランジスタN5のソースは接地電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibp2に接続されている。バイアス電流源ibp2の一端は、NMOSトランジスタN5のドレインに接続され、他端は電源電位に接続されている。NMOSトランジスタN5と、バイアス電流源ibp2との間が、出力端子O2に接続されている。
【0089】
出力段回路28A及び出力段回路28Bは、所望の電圧を供給するための回路である。出力段回路を設けることで、出力段回路を構成するNMOSトランジスタ及びバイアス電流源の設定値を変更して出力電圧を調整することができる。
【0090】
上記
図3の差動増幅器30は、上記
図19の従来技術の差動増幅器の極性を反転させたものと比較して、差動増幅回路32B、出力段回路38B、及び出力端子O2が設けられている点が異なっている。つまり、上記
図19の従来技術の差動増幅器の極性を反転させたものでは2出力のためには2つの差動増幅器が必要であるが、上記
図3の差動増幅器30は、電流源回路34を共有した1つの差動増幅器で2出力が可能となる。したがって、上記
図19の従来技術の差動増幅器の極性を反転させたものと比較して、複数の出力が必要な場合に回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0091】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が1個、第2入力端子が2個、出力端子が2個の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2入力端子がN(Nは2以上)個の場合に出力端子をN個設けることができる。第2入力端子及び出力端子がN個の場合には、上記
図3の差動増幅回路がN個になり、必要な第2入力端子及び出力端子の数に応じて差動増幅回路の数が決まる。
【0092】
差動増幅器30では、差動増幅回路32A、32Bが個別に動作する。具体的には、差動増幅回路32Aは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路38Aを介して出力端子O1から出力する。差動増幅回路32Bは、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路38Bを介して出力端子O2から出力する。
【0093】
差動増幅回路32Aは、差動段回路37Aに入力された基準電圧Vrefと帰還ノードfb1の電圧の差分に応じた電流が負荷回路36Aで生成され、その電流に基づいた電圧が出力電圧として出力端子O1から出力される。差動増幅回路32Bも同様に、差動段回路37Bに入力された基準電圧Vrefと帰還ノードfb2の電圧の差分に応じた電流が負荷回路36Bで生成され、その電流に基づいた電圧が出力電圧として出力端子O2から出力される。
【0094】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態に係る差動増幅器30によれば、差動増幅回路の各々は、第1入力端子に入力される電圧、及び対応する第2入力端子に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する出力端子から出力する。このように、多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0095】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が、反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、非反転入力端子である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第1入力端子が、非反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、反転入力端子であってもよい。
【0096】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る差動増幅器40の構成を示す回路ブロック図である。本発明の第4の実施形態に係る差動増幅器40は、第2の実施形態に係る差動増幅器20に対して極性を反転させたものである。
【0097】
差動増幅器40は、反転入力端子である第1入力端子I1と、非反転入力端子である第2入力端子I21、I22と、第2入力端子I21、I22に対応する出力端子O1、O2と、差動増幅回路42と、出力端子O1、O2に対応して設けられた出力段回路48A、48Bと、差動増幅回路42に接続された電流源回路44と、を含む。第1入力端子I1には基準電圧Vrefが入力され、第2入力端子I21には帰還ノードfb1の電圧が入力され、第2入力端子I22には帰還ノードfb2の電圧が入力される。
【0098】
差動増幅回路42は、第2入力端子I21、I22に対応した、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有するように構成されている。つまり、差動増幅回路42は、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有した複数の差動増幅回路であるということもできる。さらに、差動増幅回路42は、電流源回路44を共有して構成されている。
【0099】
差動増幅回路42は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路48Aを介して出力端子O1から出力する。差動増幅回路42は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路48Bを介して出力端子O2から出力する。
【0100】
具体的には、差動増幅回路42は、接地電位に接続された負荷回路46と、第1入力端子I1、第2入力端子I21、I22、及び電流源回路44に接続された差動段回路47と、を含む。
【0101】
負荷回路46は、NMOSトランジスタN0を共有する2つのカレントミラー回路と等価であり、NMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN1、及びNMOSトランジスタN2を含む。NMOSトランジスタN0のソース、NMOSトランジスタN1のソース、及びNMOSトランジスタN2のソースは接地電位に接続され、NMOSトランジスタN0のドレイン、NMOSトランジスタN1のドレイン、及びNMOSトランジスタN2のドレインは差動段回路47に接続されている。NMOSトランジスタN0のゲート、NMOSトランジスタN1のゲート及びNMOSトランジスタN2のゲートは、NMOSトランジスタN0のドレインと差動段回路47とが接続されたノードneg1に接続されている。
【0102】
負荷回路46は、差動段回路47の負荷となる回路である。負荷回路46は、差動段回路47に入力される電圧の差分に応じて流れる電流が決まる。詳細には、差動段回路47に入力される電圧の差分に応じてNMOSトランジスタN0に流れる電流が決まり、NMOSトランジスタN0に流れる電流に応じてNMOSトランジスタN1及びNMOSトランジスタN2に流れる電流が決まる。
【0103】
差動段回路47は、PMOSトランジスタP0を共有する2つの差動段回路と等価であり、第1入力端子I1がゲートに接続されたPMOSトランジスタP0、第2入力端子I21がゲートに接続されたPMOSトランジスタP1、及び第2入力端子I22がゲートに接続されたPMOSトランジスタP2を含む。PMOSトランジスタP0のドレインは負荷回路46のNMOSトランジスタN0のドレインに接続され、PMOSトランジスタP1のドレインは負荷回路46のNMOSトランジスタN1のドレインに接続され、PMOSトランジスタP2のドレインは負荷回路46のNMOSトランジスタN2のドレインに接続されている。PMOSトランジスタP0のソース、PMOSトランジスタP1のソース、及びPMOSトランジスタP2のソースはノードtopを介して電流源回路44に接続されている。また、差動段回路47は、PMOSトランジスタP0及びPMOSトランジスタP1を1つの対とした第1差動対と、PMOSトランジスタP0及びPMOSトランジスタP2を1つの対とした第2差動対と、を含むということができる。
【0104】
差動段回路47は、第1入力端子I1、第2入力端子I21、I22に接続されており、差動増幅回路42に入力される電圧を受ける回路である。差動段回路47は、入力される電圧の差分に応じて動作する。
【0105】
PMOSトランジスタP1のドレインとNMOSトランジスタN1のドレインとが接続されたノードpos1が、出力段回路48Aを介して出力端子O1に接続されている。PMOSトランジスタP2のドレインとNMOSトランジスタN2のドレインとが接続されたノードpos2が、出力段回路48Bを介して出力端子O2に接続されている。
【0106】
電流源回路44は、ゲート同士が接続されたPMOSトランジスタP4及びPMOSトランジスタP5と、バイアス電流源ibnとを含む。PMOSトランジスタP4のドレインは差動段回路47に接続され、ソースは電源電圧を有する電源電位に接続されている。PMOSトランジスタP5のドレイン、PMOSトランジスタP4のゲート、及びPMOSトランジスタP5のゲートはノードvbpに接続され、PMOSトランジスタP5のソースは電源電位に接続されている。バイアス電流源ibnの一端は、接地電位に接続され、他端は、PMOSトランジスタP5のドレインと接続されている。
【0107】
電流源回路44は、差動増幅回路42に電流を供給する回路である。PMOSトランジスタP4及びPMOSトランジスタP5はカレントミラー回路を構成している。このカレントミラー回路によって、バイアス電流源ibnで生成された電流を差動増幅回路42に供給することができる。
【0108】
出力段回路48Aは、NMOSトランジスタN1とPMOSトランジスタP1とが接続されたノードpos1にゲートが接続されたNMOSトランジスタN3と、バイアス電流源ibp1とを含む。NMOSトランジスタN3のソースは接地電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibp1に接続されている。バイアス電流源ibp1の一端は、NMOSトランジスタN3のドレインに接続され、他端は電源電位に接続されている。NMOSトランジスタN3と、バイアス電流源ibp1との間が、出力端子O1に接続されている。
【0109】
出力段回路48Bは、NMOSトランジスタN2とPMOSトランジスタP2とが接続されたノードpos2にゲートが接続されたNMOSトランジスタN4と、バイアス電流源ibp2とを含む。NMOSトランジスタN4のソースは接地電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibp2に接続されている。バイアス電流源ibp2の一端は、NMOSトランジスタN4のドレインに接続され、他端は電源電位に接続されている。NMOSトランジスタN4と、バイアス電流源ibp2との間が、出力端子O2に接続されている。
【0110】
出力段回路48A及び出力段回路48Bは、所望の電圧を供給するための回路である。出力段回路を設けることで、出力段回路を構成するNMOSトランジスタ及びバイアス電流源の設定値を変更して出力電圧を調整することができる。
【0111】
上記
図4の差動増幅器40は、上記
図19の従来技術の差動増幅器の極性を反転させたものと比較して、NMOSトランジスタN2とPMOSトランジスタP2と出力段回路48Bと出力端子O2が追加されている点が異なっている。つまり、上記
図19の従来の差動増幅器の極性を反転させたものでは2出力のためには2つの差動増幅器が必要であるが、上記
図4の差動増幅器40は、電流源回路44と、第1入力端子I21が接続されている部分回路である負荷回路46のNMOSトランジスタN0及び差動段回路47のPMOSトランジスタP0とを共有した1つの差動増幅器で2出力が可能となる。したがって、上記
図19の従来技術の差動増幅器の極性を反転させたものと比較して、複数の出力が必要な場合に回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0112】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が1個、第2入力端子が2個、出力端子が2個の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2入力端子がN(Nは2以上)個の場合に出力端子がN個であればよい。第2入力端子及び出力端子がN個の場合には、上記
図4の第2入力端子に接続された差動段回路の一部及び該差動段回路の一部に接続された負荷回路の一部がN個になり、必要な第2入力端子及び出力端子の数に応じて第2入力端子に接続された差動段回路の一部及び該差動段回路に接続された負荷回路の一部の数が決まる。
【0113】
差動増幅器40では、差動増幅回路42の、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路が個別に動作する。具体的には、差動増幅回路42は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I21に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路48Aを介して出力端子O1から出力する。差動増幅回路42は、第1入力端子I1に入力される電圧、及び第2入力端子I22に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、出力段回路48Bを介して出力端子O2から出力する。
【0114】
差動増幅回路42は、差動段回路47のPMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP1にそれぞれ入力された基準電圧Vref、帰還ノードfb1の電圧の差分に応じた電流が負荷回路46のNMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN1で生成され、その電流に基づいた電圧が出力段回路48Aを介して出力電圧として出力端子O1から出力される。差動段回路47のPMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP2についても同様に、差動段回路47のPMOSトランジスタP0、PMOSトランジスタP2にそれぞれ入力された基準電圧Vref、帰還ノードfb2の電圧の差分に応じた電流が負荷回路46のNMOSトランジスタN0、NMOSトランジスタN2で生成され、その電流に基づいた電圧が出力段回路48Bを介して出力電圧として出力端子O2から出力される。
【0115】
以上説明したように、本発明の第4の実施形態に係る差動増幅器40によれば、第1入力端子に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路の各々は、第1入力端子に入力される電圧、及び対応する第2入力端子に入力される電圧の組み合わせに応じた出力電圧を、対応する出力端子から出力する。このように、差動増幅器1つで多入力多出力を実現することにより、回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0116】
なお、上記の実施形態では、第1入力端子が、反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、非反転入力端子である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第1入力端子が、非反転入力端子であり、複数の第2入力端子が、反転入力端子であってもよい。
【0117】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係るレギュレータ50の構成を示す回路ブロック図である。
【0118】
レギュレータ50が上記第1の実施形態で説明した差動増幅器10を含む場合を例に挙げて説明する。差動増幅器10の第1入力端子I1には基準電圧Vrefが印加される。差動増幅器10の出力端子O1はPMOSトランジスタP10のゲートに接続されている。レギュレータ50は、PMOSトランジスタP10及び帰還抵抗R0、R1の直列回路52を含む。
【0119】
PMOSトランジスタP10のソースは電源電圧を有する電源電位に接続され、ドレインは帰還抵抗R0に接続されている。帰還抵抗R0の一端はPMOSトランジスタP10のドレインに接続され、他端は帰還抵抗R1に接続されている。帰還抵抗R1の一端は帰還抵抗R0の他端に接続され、他端は接地電圧を有する接地電位に接続されている。
【0120】
PMOSトランジスタP10のドレイン及び帰還抵抗R0の一端の間が、出力端子O10に接続されている。出力端子O10は、キャパシタCout1を介して接地電位と接続されている。帰還抵抗R0、R1の間の帰還ノードfb1が、差動増幅器10の第2入力端子I21と接続されている。
【0121】
差動増幅器10の出力端子O2は、PMOSトランジスタP20のゲートに接続されている。レギュレータ50は、PMOSトランジスタP20及び帰還抵抗R2、R3の直列回路54を含む。
【0122】
PMOSトランジスタP20のソースは電源電位に接続され、ドレインは帰還抵抗R2に接続されている。帰還抵抗R2の一端はPMOSトランジスタP20のドレインに接続され、他端は帰還抵抗R3に接続されている。帰還抵抗R3の一端は帰還抵抗R2の他端に接続され、他端は接地電位に接続されている。
【0123】
PMOSトランジスタP20のドレイン及び帰還抵抗R2の一端の間が、出力端子O20に接続されている。出力端子O20は、キャパシタCout2を介して接地電位と接続されている。帰還抵抗R2、R3の間の帰還ノードfb2が、差動増幅器10の第2入力端子I22と接続されている。
【0124】
レギュレータ50は、差動増幅器10の非反転端子である第1入力端子I1に基準電圧Vrefを入力し、差動増幅器10の反転端子である第2入力端子I21に帰還ノードfb1の電圧を入力し、出力端子O10の出力電圧Vout1を一定に維持する。
【0125】
また、レギュレータ50は、差動増幅器10の非反転端子である第1入力端子I1に基準電圧Vrefを入力し、差動増幅器10の反転端子である第2入力端子I22に帰還ノードfb2の電圧を入力し、出力端子O20の出力電圧Vout2を一定に維持する。
【0126】
このとき、差動増幅器10では、差動増幅回路12A、12Bが個別に動作する。また帰還抵抗R0、R1の分圧比と帰還抵抗R2、R3の分圧比とを異ならせることにより、個別の出力電圧Vout1、Vout2を発生させることができる。
【0127】
図6に、レギュレータ50の出力電圧の特性図を示す。レギュレータ50は、電源電圧VDDに応じて、個別の出力電圧Vout1、Vout2を発生させていることが分かる。
【0128】
以上説明したように、第5の実施形態に係るレギュレータ50によれば、1つのレギュレータで多入力及び多出力が可能となるため、複数の出力が必要な場合にレギュレータを複数設ける従来のものと比べて回路規模の増大を抑制することができる。
【0129】
なお、上記の実施形態では、レギュレータ50が、上記第1の実施形態で説明した差動増幅器10を用いて構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。上記
図5に示すように、レギュレータ50が、上記第2の実施形態~第4の実施形態で説明した差動増幅器20、30、又は40を用いて構成されてもよい。
【0130】
[第6の実施形態]
図7は、本発明の第6の実施形態に係るオペアンプ80の構成を示す回路ブロック図である。
【0131】
オペアンプ80は、入力端子in+、in1-、in2-と、出力端子out1,out2に接続されている。
【0132】
図8は、
図7に示した第6の実施形態に係るオペアンプ80の具体的な構成を示す回路ブロック図である。オペアンプ80が、上記第2の実施形態で説明した差動増幅器20を含む場合を挙げて説明する。
【0133】
差動増幅器20の第1入力端子I1は、入力端子in+に接続され、第2入力端子I21、I22は、入力端子in1-、in2-に接続されている。
【0134】
差動増幅器20の出力端子O1が、PMOSトランジスタP10のゲートに接続されている。オペアンプ80は、PMOSトランジスタP10及びバイアス電流源ibn10の直列回路である増幅回路82Aを含む。PMOSトランジスタP10のソースは電源電圧を有する電源電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibn10に接続されている。バイアス電流源ibn10の一端はPMOSトランジスタP10のドレインに接続され、他端は接地電圧を有する接地電位に接続されている。PMOSトランジスタP10のドレイン及びバイアス電流源ibn10の一端の間が、出力端子out1と接続されている。
【0135】
差動増幅器20の出力端子O2が、PMOSトランジスタP20のゲートに接続されている。オペアンプ80は、PMOSトランジスタP20及びバイアス電流源ibn20の直列回路である増幅回路82Bを含む。PMOSトランジスタP20のソースは電源電位に接続され、ドレインはバイアス電流源ibn20に接続されている。バイアス電流源ibn20の一端はPMOSトランジスタP20のドレインに接続され、他端は接地電位に接続されている。PMOSトランジスタP20のドレイン及びバイアス電流源ibn20の一端の間が、出力端子out2と接続されている。
【0136】
このオペアンプ80を用いて例えば
図9に示すような反転増幅器90が構成される。
【0137】
例えば、反転増幅器90におけるオペアンプ80の入力端子in+には、基準電圧Vrefが印加される。また、オペアンプ80の入力端子in1-は、帰還抵抗R0、R1を介して、入力電圧Vinと出力端子out1に接続されている。また、オペアンプ80の入力端子in2-は、帰還抵抗R2、R3を介して、入力電圧Vinと出力端子out2に接続されている。
【0138】
帰還抵抗R0の一端はオペアンプ80の入力端子in1-に接続され、他端はオペアンプ80の出力端子out1に接続されている。帰還抵抗R1の一端は入力電圧Vinに接続され、他端は帰還抵抗R0の一端、オペアンプ80の入力端子in1-に接続されている。帰還抵抗R2の一端はオペアンプ80の入力端子in2-に接続され、他端はオペアンプ80の出力端子out2に接続されている。帰還抵抗R3の一端は入力電圧Vin、帰還抵抗R1の一端に接続され、他端は帰還抵抗R2の一端、オペアンプ80の入力端子in2-に接続されている。
【0139】
反転増幅器90は、帰還抵抗R0、R1の抵抗比によって入力電圧Vinの“-N倍”の出力電圧Vout1を発生させると共に、帰還抵抗R2、R3の抵抗比によって入力電圧Vinの“-N倍”の出力電圧Vout2を発生させる。このとき、差動増幅器20では、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路22が個別に動作する。また反転増幅器90は、帰還抵抗R0、R1の抵抗比と、帰還抵抗R2、R3の抵抗比を異ならせることにより、出力電圧Vout1、Vout2として、個別に“-N倍”の出力電圧を発生させることができる。
【0140】
図10に、反転増幅器90の出力電圧の特性図を示す。帰還抵抗R0、R1の抵抗比と、帰還抵抗R2、R3の抵抗比とを異ならせることで、入力電圧Vinの“-N倍”(例えば、N=0.25、0.5、2、4)の出力電圧Vout1、Vout2を個別に発生させていることが分かる。
【0141】
また、オペアンプ80を用いて例えば
図11に示すような非反転増幅器100が構成される。
【0142】
例えば、非反転増幅器100におけるオペアンプ80の入力端子in+には、入力電圧Vinが印加される。また、オペアンプ80の入力端子in1-は、帰還抵抗R0、R1を介して、基準電圧Vrefと出力端子out1に接続されている。また、オペアンプ80の入力端子in2-は、帰還抵抗R2、R3を介して、基準電圧Vrefと出力端子out2に接続されている。
【0143】
非反転増幅器100は帰還抵抗R0、R1の抵抗比によって入力電圧Vinの“N倍”の出力電圧Vout1を発生させると共に、帰還抵抗R2、R3の抵抗比によって入力電圧Vinの“N倍”の出力電圧Vout2を発生させる。このとき、差動増幅器20では、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路22が個別に動作する。また非反転増幅器100は、帰還抵抗R0、R1の抵抗比と、帰還抵抗R2、R3の抵抗比を異ならせることにより、出力電圧Vout1、Vout2として、個別に“N倍”の出力電圧を発生させることができる。
【0144】
図12に、非反転増幅器100の出力電圧の特性図を示す。帰還抵抗R0、R1の抵抗比と、帰還抵抗R2、R3の抵抗比とを異ならせることで、入力電圧Vinの“N倍”(例えば、N=0.25、0.5、2、4)の出力電圧Vout1、Vout2を個別に発生させていることが分かる。
【0145】
また、オペアンプ80を用いて例えば
図13に示すようなボルテージフォロワ110が構成される。
【0146】
例えば、ボルテージフォロワ110におけるオペアンプ80の入力端子in+には、入力電圧Vinが印加される。また、オペアンプ80の入力端子in1-は、オペアンプ80の出力端子out1と帰還ノードによって接続されている。また、オペアンプ80の入力端子in2-は、オペアンプ80の出力端子out2と帰還ノードによって接続されている。
【0147】
ボルテージフォロワ110は、入力電圧Vinの“1倍”の出力電圧を発生させる。
【0148】
このとき、差動増幅器20では、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路22が個別に動作する。またボルテージフォロワ110は、出力電圧Vout1、Vout2として、個別に“1倍”の出力電圧を発生させることができる。
【0149】
図14に、ボルテージフォロワ110の出力電圧の特性図を示す。入力電圧Vinの“1倍”の出力電圧Vout1、Vout2を個別に発生させていることが分かる。
【0150】
以上説明したように、第6の実施形態に係るオペアンプ80によれば、1つのオペアンプで多入力及び多出力の反転増幅器、非反転増幅器、ボルテージフォロワが構成可能となるため、複数の出力が必要な場合にこれらの回路を複数設ける従来のものと比べて回路規模の増大を抑制することができる。
【0151】
なお、上記の実施形態では、オペアンプ80が、上記第2の実施形態で説明した差動増幅器20を用いて構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。上記
図8に示すように、オペアンプ80が、上記第3の実施形態、第4の実施形態で説明した差動増幅器30、又は40を用いて構成されてもよい。
【0152】
[第7の実施形態]
上記
図7は、本発明の第7の実施形態に係るコンパレータ150の構成を示す回路ブロック図である。
【0153】
コンパレータ150は、入力端子in+、in1-、in2-と、出力端子out1,out2に接続されている。
【0154】
図15は、
図7に示した第7の実施形態に係るコンパレータ150の具体的な構成を示す回路ブロック図である。コンパレータ150が、上記第2の実施形態で説明した差動増幅器20を含む場合を挙げて説明する。
【0155】
差動増幅器20の第1入力端子I1は、入力端子in+に接続され、第2入力端子I21、I22は、入力端子in1-、in2-に接続されている。
【0156】
差動増幅器20の出力端子O1が、インバータ回路X1を介して出力端子out1と接続されている。
【0157】
差動増幅器20の出力端子O2が、インバータ回路X2を介して出力端子out2と接続されている。
【0158】
また、このコンパレータ150を用いて例えば
図16に示すような比較器160が構成される。
【0159】
例えば、比較器160におけるコンパレータ150の入力端子in+には、入力電圧Vinが印加される。また、コンパレータ150の入力端子in1-には、基準電圧Vref1が印加される。また、コンパレータ150の入力端子in2-には、基準電圧Vref2が印加される。
【0160】
コンパレータ150の出力端子out1から出力電圧Vout1が出力される。また、コンパレータ150の出力端子out2から出力電圧Vout2が出力される。
【0161】
比較器160は、入力電圧Vinと基準電圧Vref1とを比較した結果に応じた出力電圧を発生させると共に、入力電圧Vinと基準電圧Vref2とを比較した結果に応じた出力電圧を発生させる。このとき、差動増幅器20では、第1入力端子I1に接続されている部分回路を共有する差動増幅回路22が個別に動作する。また、入力電圧Vinに対して基準電圧Vref1、Vref2を任意に設定することにより、出力電圧Vout1、Vout2として、個別に、比較結果に応じた出力電圧を出力させる。
【0162】
図17の上段、下段のそれぞれに、比較器160の出力電圧の特性図を示す。Vref1/Vref2=Aとし、A<B<C<Dとした場合、比較結果に応じた出力電圧Vout1、Vout2を個別に発生させていることが分かる。
【0163】
以上説明したように、第7の実施形態に係るコンパレータ150によれば、1つのコンパレータで多入力及び多出力の比較器が構成可能となるため、複数の出力が必要な場合にこれらの回路を複数設ける従来のものと比べて回路規模の増大を抑制することができる。
【0164】
なお、上記の実施形態では、コンパレータ150が、上記第2の実施形態で説明した差動増幅器20を用いて構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。上記
図15に示すように、コンパレータ150が、上記第3の実施形態、第4の実施形態で説明した差動増幅器30、又は40を用いて構成されてもよい。
【0165】
また、上記の各実施形態では、第2入力端子が2つである場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2入力端子が3つ以上であってもよい。この場合には、第2入力端子と同数の出力端子及び差動増幅回路を設ければよい。上記第2の実施形態、第4の実施形態と同様の構成となる差動増幅器では、第1入力端子に接続された部分回路を共有する複数の差動増幅回路と等価となるように構成すればよい。
【0166】
また、上記の各実施形態では、負荷回路が、カレントミラー回路を用いて構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。負荷回路が、カスコード接続回路又はダイオード接続を用いた回路であってもよい。
【0167】
また、上記の各実施形態に位相補償回路をさらに設けてもよい。
【0168】
また、BipolarプロセスおよびBi-CMOSプロセスで、上述した回路を用いる事は可能である。また、ディスクリートでも上述した回路を用いる事は可能である。
【符号の説明】
【0169】
10、20、30、40 差動増幅器
12A、12B、22、32A、32B、42 差動増幅回路
14、24、34、44 電流源回路
16A、16B、26、36A、36B、46 負荷回路
17A、17B、27、37A、37B、47 差動段回路
28A、28B、38A、38B、48A、48B 出力段回路
50 レギュレータ
52、54 直列回路
80 オペアンプ
82A、82B 増幅回路
90 反転増幅器
100 非反転増幅器
110 ボルテージフォロワ
150 コンパレータ
160 比較器
I1、I21、I22 入力端子
O1、O2 出力端子