(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030863
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電動機および圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/20 20060101AFI20240229BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20240229BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240229BHJP
F04B 39/04 20060101ALI20240229BHJP
H02K 1/32 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H02K1/20 A
F04C29/02 351A
F04C29/00 T
F04B39/04 J
H02K1/32 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134059
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 清一
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
5H601
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BH06
3H003CE02
3H003CE03
3H003CF05
3H003CF06
3H129AA04
3H129AA13
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3H129BB05
3H129CC07
3H129CC09
3H129CC27
3H129CC44
3H129CC45
5H601AA16
5H601BB11
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
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5H601DD18
5H601DD27
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5H601EE25
5H601EE26
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA33
5H601GA50
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H601GC02
5H601GC10
5H601GC12
5H601GC22
5H601GC32
5H601GE11
5H601KK08
5H601KK12
(57)【要約】
【課題】電動機に設けられている、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる技術を提供する。
【解決手段】圧縮機構部30を駆動する電動機100を構成する回転子コア310は、積層された複数の板状の電磁鋼板600により構成されている。電磁鋼板600は、回転子通路360に対応する領域が切断されて、回転子通路内壁面315に対応する箇所に回転子通路内壁面部分615が形成されている。そして、回転子通路内壁面部分615の、第2面602側の部分に、溝形成面部分615bが形成されている。鉛直方向下方に配置されている電磁鋼板600の第1面601と、鉛直方向上方に配置されている電磁鋼板600の溝形成面部分615bによって、回転子通路内壁面315の周方向に沿って全周に延在する溝660Aが形成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コアを有する固定子と、軸線を中心に回転可能な回転子コアを有する回転子と、を備え、
前記固定子コアは、前記軸線の軸線方向に延在する筒状に形成され、固定子コア内周面と、固定子コア外周面と、前記固定子コア内周面により形成される固定子コア内側空間と、を有し、
前記回転子コアは、前記固定子コア内側空間内に配置され、
前記固定子コアおよび前記回転子コアのうちの少なくとも一方に、前記軸線方向に延在するとともに、前記軸線方向両側が開口している少なくとも1つの通路が設けられている電動機であって、
前記通路のうちの少なくとも1つは、当該通路を形成する通路形成面に、当該通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機であって、
密閉容器内周面と、前記密閉容器内周面により形成され、前記固定子コアと前記回転子コアを収容する密閉容器内側空間と、を有する密閉容器を備え、
前記固定子コア外周面は、第1固定子コア外周面と第2固定子コア外周面を有し、
前記固定子コアは、前記第1固定子コア外周面が前記密閉容器内周面に接触し、前記第2固定子コア外周面が前記密閉容器内周面から離れている状態で前記密閉容器内側空間用内に収容され、
前記固定子コアに、前記第2固定子コア外周面と前記密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される少なくとも1つの第1固定子通路が設けられ、
前記第1固定子通路のうちの少なくとも1つは、当該第1固定子通路を形成する第1固定子通路形成面に、当該第1固定子通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
【請求項3】
請求項1に記載の電動機であって、
前記回転子コアに、回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される少なくとも1つの回転子通路が設けられ、
前記回転子通路のうちの少なくとも1つは、当該回転子通路を形成する回転子通路形成面に、当該回転子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
【請求項4】
請求項1に記載の電動機であって、
前記固定子コアに、第2固定子通路内壁面を含む第2固定子通路形成面により形成される少なくとも1つの第2固定子通路が設けられ、
前記第2固定子通路のうちの少なくとも1つは、当該第2固定子通路を形成する第2固定子通路形成面に、当該第2固定子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
【請求項5】
請求項1に記載の電動機であって、
前記回転子コアは、前記軸線が鉛直方向に延在するように配置され、
前記通路形成面に開口を有する溝は、第1溝形成面と第2溝形成面により形成され、
前記第1溝形成面は、前記通路形成面から水平方向に延在するように形成され、
前記第2溝形成面は、前記第1溝形成面より前記鉛直方向上方に配置され、当該第1溝形成面と当該第2溝形成面との間の、前記鉛直方向に沿った間隔が、前記水平方向に沿って前記通路形成面から離れるにしたがって短くなるように形成されていることを特徴とする電動機。
【請求項6】
請求項5に記載の電動機であって、
前記固定子コアおよび前記回転子コアは、積層された複数の板状の電磁鋼板により構成され、
前記複数の電磁鋼板は、板厚方向第1側に第1面を有し、板厚方向第2側に第2面を有し、前記第1面と前記第2面が対向するとともに、前記第2面が、前記第1面より鉛直方向上方に配置されるように積層され、
前記複数の電磁鋼板は、前記通路に対応する領域が前記板厚方向に切断されて、前記通路形成面に対応する箇所に通路形成面部分が形成され、前記通路形成面部分は、前記板厚方向に沿った前記第2面側の箇所に溝形成面部分を有し、前記溝形成面部分は、当該溝形成面部分と前記第2面との間の、前記板厚方向に沿った間隔が、前記第2面の延在方向に沿って前記通路形成面部分から離れるにしたがって短くなるように形成され、
前記複数の電磁鋼板の前記通路形成面部分によって前記通路形成面が構成され、
前記鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板のうち、前記鉛直方向下方に配置されている電磁鋼板の前記第1面によって前記第1溝形成面が構成され、前記鉛直方向上方に配置されている電磁鋼板の前記溝形成面部分によって前記第2溝形成面が構成されることを特徴とする電動機。
【請求項7】
請求項6に記載の電動機であって、
前記電磁鋼板の板厚は、0.25mm~0.35mmの範囲内に設定され、前記溝形成面部分の、前記板厚方向に沿った長さは、0.03mm~0.08mmの範囲内に設定され、前記溝形成面部分の、前記第2面の延在方向に沿った前記通路形成面部分からの長さは、0.05mm~0.15mmの範囲内に設定されていることを特徴とする電動機。
【請求項8】
密閉容器と、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機と、を備え、
前記密閉容器は、密閉容器内周面と、前記密閉容器内周面により形成される密閉容器内側空間と、を有し、
前記圧縮機構部と前記電動機は、前記密閉容器内側空間内に、前記電動機が前記圧縮機構部より鉛直方向上方に配置されるように収容されている圧縮機であって、
前記電動機として、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の電動機が用いられていることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機用の電動機および圧縮機構部を電動機により駆動する圧縮機に関し、特に、電動機に設けられる、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン(家庭用エアコン、車載用エアコン等)や冷蔵庫等に設けられている圧縮機として、特許文献1(特開2007-285266号公報)に開示されている圧縮機が知られている。
特許文献1に開示されている圧縮機は、密閉容器と、圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機を備えている。圧縮機構部と電動機は、密閉容器内に収容されている。電動機は、圧縮機構部より鉛直方向上方に配置(縦型配置)される。また、圧縮機構部の鉛直方向下方に、圧縮機構部の摺動部等に供給する潤滑油を貯留する油溜めが設けられている。
電動機は、固定子コアにより構成される固定子と、回転子コアにより構成される回転子を有している。固定子コアには、鉛直方向に延在するとともに、鉛直方向両側が開口している複数の通路が設けられている。
密閉容器内では、圧縮機構部によって圧縮された冷却媒体と微粒状の潤滑油を含む混合ガスが、固定子コアに設けられている通路を介して鉛直方向上方に流れる。そして、混合ガスは、密閉容器の鉛直方向上方に設けられている吐出口から吐出される。
ここで、油溜め内に貯留されている潤滑油が不足すると、圧縮機構部の潤滑不良が発生する。一方、密閉容器内への潤滑油の補充は困難である。このため、混合ガスに含まれている潤滑油が油溜めに戻されるように構成されている。
吐出管から吐出された混合ガスに含まれている潤滑油は、アキュムレータによって分離され、油溜りに戻される。しかしながら、アキュムレータにより回収される潤滑油の量は少ない。
このため、密閉容器内の混合ガスに含まれている潤滑油が、固定子コアに設けられている通路を介して油溜りに戻されるように構成されている。すなわち、混合ガスに含まれている潤滑油が、通路内を、潤滑油の粘性に抗して自重で鉛直方向下方に流れるように、通路の断面積が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、圧縮機の冷却媒体として、地球温暖化係数(GWP:Global Warning Potential)が小さい自然冷媒(Natural REFRIGERANT)の使用が検討されている。特に、自然冷媒の中でも、毒性や可燃性を有していない二酸化炭素が注目されている。冷媒として二酸化炭素を用いた場合には、フロン系の冷却媒体等を用いた場合に比べて密閉容器内が高温・高圧となる。このため、圧縮機構部の摺動部等を潤滑する潤滑油として、粘度が高い潤滑油を使用する必要がある。
ここで、粘度が高い潤滑油を、通路を介して油溜めに戻すためには、通路の断面積を増大させる必要がある。なお、特許文献1には、通路の断面積の指標として、水力直径が用いられている。水力直径は、非円形断面の通路と等価な円形断面の通路の直径を示し、[4×(通路の断面積)/通路の周長]で表される。
しかしながら、特許文献1に開示されている圧縮機において、通路の断面積を増大させると、電動機の特性が変化する。例えば、固定子コアが、積層された複数の板状の電磁鋼板により構成されている場合には、固定子コアの通路の断面積を増大させると、電磁鋼板の磁束密度が高くなる。そして、電磁鋼板を流れる磁束の磁束密度が高くなると、電磁鋼板の鉄損が増大する。
特に、特許文献1に開示されている電動機では、通路を形成する通路形成面の、周方向に沿った一部分に、潤滑油が軸線方向に流れることがある。この場合、通路形成面の、周方向に沿った一部分に、油膜が、通路形成面から通路内側に飛び出るように形成される。そして、このような油膜が形成されると、通路の実質的な断面積が減少する。すなわち、水力直径が小さくなる。このような通路形成面の一部に形成される、通路内側に局部的に飛び出る油膜を考慮すると、通路の断面積をさらに増大させる必要がある。
このため、通路の断面積を増大させることなく、粘度が高い潤滑油を、通路を介して油溜りに戻すことができる技術の開発が要望されている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は、電動機、特に、圧縮機用の電動機に関する。
第1発明の電動機は、固定子と回転子を備えている。固定子は、固定子コアを有し、回転子は、回転子コアを有している。
回転子コアは、軸線を中心に回転可能に配置されている。
固定子コアは、軸線の軸線方向に延在する筒状に形成されている。固定子コアは、固定子コア内周面と、固定子コア外周面と、固定子コア内周面により形成される固定子コア内側空間と、を有している。回転子コアは、固定子コア内側空間内に配置されている。
そして、固定子コアおよび回転子コアのうちの少なくとも一方に、軸線方向に延在するとともに、軸線方向両側が開口している少なくとも1つの通路が設けられている。
本発明では、通路のうちの少なくとも1つは、通路を形成する通路形成面に、通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられている。溝(溝の開口)は、通路形成面の周方向に沿って全周あるいは一部領域に延在するように設けられる。
通路形成面に、通路形成面の周方向に沿って延在する溝が形成されていることにより、通路形成面の一部に、軸線方向に沿って流れる潤滑油は、溝内に入り込み、溝の延在方向に沿って流れる。これにより、通路形成面の、周方向に沿った一部に、通路形成面から、通路内側に飛び出る油膜が局部的に形成されるのを防止することができる。すなわち、通路形成面に形成される油膜の最大厚さを低減することができる。そして、油膜の最大厚さが低減されることにより、通路の実質的な断面積を増大させることができる。
本発明の電動機では、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路としては、種々の通路を用いることができる。
第1発明の異なる形態では、密閉容器を備えている。密閉容器は、密閉容器内周面と、密閉容器内周面により形成され、固定子コアと回転子コアを収容する密閉容器内側空間と、を有している。
固定子コアの固定子コア外周面は、第1固定子コア外周面と、第2固定子コア外周面を有している。そして、固定子コアは、第1固定子コア外周面が密閉容器内周面に接触し、第2固定子コア外周面が密閉容器内周面から離れている状態で密閉容器内側空間用内に収容される。
本形態の電動機では、固定子コアに、少なくとも1つの第1固定子通路が設けられている。第1固定子通路は、第2固定子コア外周面と密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される。
そして、第1固定子通路のうちの少なくとも1つは、第1固定子通路を形成する第1固定子通路形成面に、第1固定子通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられている。
本形態においても、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
第1発明の異なる形態では、回転子コアに、少なくとも1つの回転子通路が設けられている。回転子通路は、回転子コアに形成されている回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される。
そして、回転子通路のうちの少なくとも1つは、回転子通路を形成する回転子通路形成面に、回転子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられている。
本形態においても、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
第1発明の異なる形態では、固定子コアに、少なくとも1つの第2固定子通路が設けられている。第2固定子通路は、固定子コアに形成されている第2固定子通路内壁面を含む第2固定子通路形成面により形成される。
そして、第2固定子通路のうちの少なくとも1つは、第2固定子通路を形成する第2固定子通路形成面に、第2固定子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられている。
本形態においても、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
第1発明の異なる形態では、回転子コアは、軸線が鉛直方向(「略鉛直方向」を含む)に延在するように配置されている。固定子コアも、鉛直方向(「略鉛直方向」を含む)に延在するように配置される。
本形態では、通路形成面に開口を有する溝は、第1溝形成面と第2溝形成面により形成されている。第1溝形成面は、通路形成面から水平方向(「略水平方向」を含む)に延在するように形成されている。第2溝形成面は、第1溝形成面より鉛直方向上方に配置されている。そして、第2溝形成面は、第1溝形成面と第2溝形成面との間の、鉛直方向に沿った間隔が、水平方向(「略水平方向」を含む)に沿って通路形成面から離れるにしたがって短くなるように形成されている。
本形態では、通路形成面に沿って鉛直方向上方から鉛直方向下方に流れる潤滑油を、溝内に、溝の延在方向(通路形成面の周方向)に沿って容易に流すことができる。
第1発明の異なる形態では、固定子コアおよび回転子コアは、積層された複数の板状の電磁鋼板により構成されている。
複数の電磁鋼板は、板厚方向第1側に第1面を有し、板厚方向第2側に第2面を有している。複数の電磁鋼板は、第1面と第2面が対向するとともに、第2面が、第1面より鉛直方向上方に配置されるように積層される。
複数の電磁鋼板は、通路に対応する領域が板厚方向に切断されている。これにより、通路形成面に対応する箇所に通路形成面部分が形成される。また、通路形成面部分は、板厚方向に沿った第2面側の箇所に溝形成面部分を有している。溝形成面部分は、溝形成面部分と第2面との間の、板厚方向に沿った間隔が、第2面の延在方向に沿って通路形成面部分から離れるにしたがって短くなるように形成されている。
積層された複数の電磁鋼板の通路形成面部分によって通路形成面が構成される。そして、鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板のうち、鉛直方向下方に配置されている電磁鋼板の第1面によって第1溝形成面が構成される。また、鉛直方向上方に配置されている電磁鋼板の溝形成面部分によって第2溝形成面が構成される。
本形態では、固定子コアあるいは回転子コアを構成する電磁鋼板の鉄損の増加を抑制しながら、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路を介して、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
第1発明の異なる形態では、電磁鋼板の板厚は、0.25mm~0.35mmの範囲内に設定されている。また、溝形成面部分の、板厚方向に沿った長さは、0.03mm~0.08mmの範囲内に設定されている。また、溝形成面部分の、第2面の延在方向に沿った通路形成面部分からの長さは、0.05mm~0.15mmの範囲内に設定されている。
本形態では、電磁鋼板の鉄損の増加を抑制しながら、通路形成面に沿って鉛直方向上方から鉛直方向下方に流れる潤滑油を、溝内に、溝の延在方向に沿って流すことができる。
第2発明は、圧縮機に関する。
本発明の圧縮機は、密閉容器と、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機と、を備えている。
密閉容器は、密閉容器内周面と、密閉容器内周面により形成される密閉容器内側空間と、を有している。圧縮機構部と電動機は、密閉容器内側空間内に、電動機が圧縮機構部より鉛直方向上方に配置されるように収容されている。
そして、電動機として、前述した電動機のいずれかが用いられている。
第2発明の圧縮機は、前述したいずれかの電動機と同様の効果を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電動機および圧縮機を用いることにより、冷却媒体と潤滑油を含む混合ガスを流す通路の断面積を低減しながら、潤滑油を油溜りに戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2を矢印III-III線方向から見た断面図である。
【
図4】本発明の電動機の回転子通路の概略構成を示す図である。
【
図5】一実施形態の電動機の回転子通路と従来の電動機の回転子通路を対比する図である。
【
図6】一実施形態の電動機の回転子通路の断面図である。
【
図8】本発明の電動機の第1固定子通路の概略構成を示す図である。
【
図9】一実施形態の電動機の第1固定子通路の断面図である。
【
図11】本発明の電動機の第2固定子通路の概略構成を示す図である。
【
図12】一実施形態の電動機の第2固定子通路の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、「軸線」は、回転子コア(回転子)が固定子コア(固定子)に対して回転可能に支持されている状態において、回転子コア(回転子)の回転中心線Pを示す。「軸線方向」は、回転中心線(軸線)Pの延在方向(図において、矢印X-Yで示されている方向)を示す。また、「周方向」は、回転子が固定子に対して回転可能に支持されている状態において、軸線方向一方側あるいは軸線方向他方側からみて(
図3参照)、回転中心線(軸線)Pを中心とする円周方向を示す。また、「径方向」は、回転子が固定子に対して回転可能に支持されている状態において、軸方向一方側あるいは軸方向他方側からみて、回転中心線(軸線)Pを通る方向を示す。
また、「上方」あるいは「上側」という記載は、特に断りがない場合には、鉛直方向に沿った上方(鉛直方向上方)あるいは上側(鉛直方向上側)を表し(図において、矢印Yで示されている方向)、「下方」あるいは「下側」という記載は、特に断りがない場合には、鉛直方向に沿った下方(鉛直方向下方)あるいは下側(鉛直方向下側)を表す(図において、矢印Xで示されている方向)。
【0009】
本発明の圧縮機の一実施形態を、
図1を参照して説明する。
図1は、一実施形態の圧縮機10の断面図である。
本実施形態の圧縮機10は、密閉容器内にロータリー型の圧縮機構部と電動機が配置されているロータリー型の密閉圧縮機として構成されている。
圧縮機10は、密閉容器20、圧縮機構部30、アキュムレータ40、電動機100等により構成されている。
密閉容器20は、密閉容器内周面21を有している。密閉容器内周面21によって密閉容器内側空間が形成される。
圧縮機構部30と電動機100は、密閉容器内側空間内に収容されている。本実施形態では、電動機100は、圧縮機構部30より上方に配置されている。
密閉容器20には、電動機100の下方に吸入口22が設けられ、電動機100の上方に吐出口23が設けられている。また、密閉容器20の底部(圧縮機構部30の下方)には、回転軸430の軸受部34および35や圧縮機構部30の摺動部等に供給する潤滑油を貯留する油溜め36が設けられている。
密閉容器20が、本発明の「密閉容器」に対応し、密閉容器内周面21が、本発明の「密閉容器内周面」に対応する。
【0010】
圧縮機構部30は、熱エネルギーを移動させる冷却媒体(以下、単に「冷媒」という)を圧縮する。本実施形態では、冷媒として、地球温暖化係数(GWP)が小さい自然冷媒、特に、毒性や可燃性を有していない二酸化炭素を使用する。勿論、二酸化炭素以外の種々の冷媒を用いることができる。なお、冷媒として二酸化炭素を用いた場合には、フロン系の冷媒等を用いた場合に比べて密閉容器20内が高温・高圧となる。このため、潤滑油として、粘度が高い潤滑油が用いられる。
【0011】
圧縮機構部30は、シリンダ31、回転軸430により回転される偏心ロータ32、圧縮室33により構成されている。回転軸430は、軸受部34と35により回転可能に支持されている。
回転軸430の回転によって圧縮機構部30の偏心ロータ32が回転すると、吸入口22から吸入された冷媒が圧縮室33内で圧縮される。
圧縮機構部30で圧縮された冷媒は、微粒状の潤滑油と混合される。そして、圧縮された冷媒と微粒状の潤滑油を含む混合ガスは、電動機100に設けられている通路(冷媒通路)を流れ、吐出口23から吐出される。電動機100に設けられる通路(冷媒通路)については、後述する。
アキュムレータ40は、吐出口23から吐出された混合ガスに含まれている冷媒と潤滑油を分離する。アキュムレータ40で混合ガスから分離された冷媒は、吸入管41および吸入口22を介して圧縮機構部30に戻される。また、アキュムレータ40で混合ガスから分離された潤滑油は、油溜め36に戻される。
なお、回転軸430の回転によって、油溜め36に貯留されている潤滑油が軸受部34と35、圧縮機構部30の摺動部等に供給される。軸受部34と35や圧縮機構部30の摺動部等を潤滑した潤滑油は、油溜め36に戻される。
また、電動機100に設けられている通路を介して電動機100の上方に流れた混合ガスが密閉容器20の密閉容器内周面等に接触して冷却されると、混合ガスに含まれている潤滑油が分離され、下方に落下する。そして、電動機100に設けられている通路内を下方に流れ、油溜め36に戻される。
【0012】
次に、電動機100の構成を、
図1~
図3を参照して説明する。
図2は、
図1の要部を拡大した拡大図である。
図3は、
図2を矢印III-III線方向から見た断面図である。なお、電動機100は、本発明の電動機の一実施形態を示している。
一実施形態の電動機100は、埋込型永久磁石電動機として構成されている。
電動機100は、密閉容器20、固定子200および回転子300等により構成されている。
【0013】
固定子200は、固定子コア210、固定子巻線230を有している。
固定子コア210は、複数の板状の電磁鋼板500を積層した積層体により構成されている。固定子コア210は、筒状に形成され、軸線方向に延在するように配置される。固定子コア210は、軸線方向第1側(上方側)に固定子コア端面210Aを有し、軸線方向第2側(下方側)に固定子コア端面210Bを有している。
固定子コア210は、圧縮機10を軸線方向一方側から見た
図3に示されているように、ヨーク214と複数のティース215を有している。
ヨーク214は、周方向に延在している。複数のティース215は、周方向に沿って離間する位置に配置され、ヨーク214から径方向内側に延在している。ティース215は、径方向内側(回転中心線P側)の先端部に、周方向に延在するティース先端面216を有している。ティース先端面216によって、回転子コア310(回転子300)が配置される固定子コア内側空間220が形成される。
周方向に隣接するティース215によって、スロット217が形成される。スロット217内には、固定子巻線230が挿入される。
図3には、9個のスロット217を有する(9スロット)固定子コア210が示されている。勿論、固定子コア210のスロット数は、9個に限定されない。
本実施形態では、固定子コア210に、第1固定子通路240と第2固定子通路250(詳しくは後述する)が設けられている。
【0014】
回転子300は、回転子コア310と回転軸430を有している。
回転子コア310は、複数の板状の電磁鋼板600を積層した積層体により構成され、筒状に形成されている。回転子コア310は、回転子コア外周面311と、回転子コア内周面312と、回転子コア内周面312により形成される回転子コア内側空間320と、を有している。
回転軸430は、回転子コア内側空間320内に圧入等によって挿入される。
回転子コア310は、回転中心線Pを中心に回転可能に、固定子コア内側空間220内に配置される。回転子コア310は、軸線方向第1側(上方)に回転子コア端面310Aを有し、軸線方向第2側(下方)に回転子コア端面310Bを有している。
なお、複数の電磁鋼板600が積層された状態で、軸線方向両側に端板410が配置される。そして、各電磁鋼板600および端板410に形成されているカシメピン挿入孔330にカシメピン420が挿入されることによって、各電磁鋼板600が位置合わせされた状態で積層体が構成される。各電磁鋼板600のカシメピン挿入孔330は、各電磁鋼板600に形成されているカシメピン挿入孔内壁面313により形成される。カシメピン挿入孔330(カシメピン挿入孔内壁面313)の数および配置箇所は、
図3に示されている数および配置個所に限定されない。
また、回転子コア310は、主磁極[A]~[F]と補助磁極[AB]~[FA]が、周方向に沿って交互に配置されている。主磁極[A]~[F]には、磁石挿入孔340を形成する磁石挿入孔内壁面314が形成されている。そして、磁石挿入孔340内に、永久磁石350が挿入されている。主磁極[A]~[F]は、回転中心線Pと主磁極[A]~[F]の周方向中心を結ぶd軸によって規定され、補助磁極[AB]~[FA]は、回転中心線Pと補助磁極[AB]~[FA]の周方向中心を結ぶq軸によって規定される。
図3には、極数が6である(6極)回転子コア310が示されている。勿論、回転子コア310の極数は、6に限定されない。
本実施形態では、回転子コア310に、回転子通路360(詳しくは後述する)が設けられている。
【0015】
次に、電動機100の固定子コア210に設けられる第1固定子通路240、第2固定子通路250と回転子コア310に設けられる回転子通路360について説明する。
【0016】
先ず、回転子通路360について説明する。
なお、本実施形態の電動機100は、回転中心線Pが鉛直方向(「略鉛直方向」を含む)に延在するように配置されている。このため、「軸線方向」と「鉛直方向」は、同じ方向を示している。
回転子通路360は、回転子通路形成面により形成され、軸線方向に延在するとともに、軸線方向両側が開口している。すなわち、回転子通路360は、回転子コア端面310Aと310Bに開口している。
回転子通路形成面は、回転子コア310に形成されている回転子通路内壁面315を含んでいる。本実施形態では、回転子通路360(回転子通路内壁面315)は、断面が、中心線Qを中心とする円形形状(「略円形形状」を含む)に形成されている。
また、本実施形態では、
図3に示されているように、回転子通路360は、主磁極[A]~[F]のd軸上で、永久磁石350(磁石挿入孔内壁面314)より径方向内側の箇所に複数形成されている。
勿論、回転子通路360の形状、数および配置個所は、
図3に示されている形状、数および配置箇所に限定されない。
【0017】
回転子通路360の概略構成が、
図4に示されている。
図4に示されているように、回転子通路360を形成する回転子通路内壁面315(回転子通路形成面)に、複数の溝360Aが形成されている。
溝360Aは、第1溝形成面315a、第2溝形成面315bおよび開口315cを有している。開口315cは、回転子通路内壁面315に、回転子通路内壁面315の周方向に沿って全周に開口している。
第1溝形成面315aは、軸線方向に対して直角方向(「略直角方向」を含む)に延在している。本実施形態では、水平方向(「略水平方向」を含む)に延在している。
第2溝形成面315bは、第1溝形成面315aより上方に配置されている。第2溝形成面315bは、第1溝形成面315aと第2溝形成面315bとの間の、軸線方向に沿った間隔(本実施形態では、鉛直方向に沿った間隔)が、第1溝形成面315aの延在方向に沿って回転子通路内壁面315から離れるにしたがって短くなるように形成されている。第2溝形成面315bは、平面形状あるいは曲面形状等の種々の形状に形成することができる。
なお、溝360Aは、回転子通路内壁面315に、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0018】
回転子通路360が、本発明の「回転子通路」に対応する。回転子通路内壁面315が、「回転子通路を形成する回転子通路形成面」に対応する。あるいは、回転子通路内壁面315により形成される回転子通路360が、本発明の「回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される回転子通路」に対応する。
第1溝形成面315a、第2溝形成面315bおよび開口315cにより構成される溝360Aが、本発明の「通路形成面(回転子通路形成面)の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝」に対応する。
【0019】
本実施形態の回転子通路360と従来の回転子通路360との違いを、
図5を参照して説明する。
図5(a)は、従来の回転子通路360を示し、
図5(b)は、本実施形態の回転子通路360を示している。
混合ガスに含まれている潤滑油が、回転子通路内壁面315に沿って軸線方向(本実施形態では、鉛直方向)に流れる場合、回転子通路内壁面315の、周方向に沿った一部の箇所を流れることがある。
従来の回転子通路360では、
図5(a)に示されているように、回転子通路内壁面315の、周方向に沿った一部の箇所に、回転子通路内壁面315から中心線Q側に飛び出ている油膜が形成される。
回転子通路内壁面315に、局部的に油膜が形成されると、回転子通路360内の有効通路(油膜を除いた部分)の形状が変化する。また、回転子通路360内の有効通路の断面積も減少する。
このため、従来の電動機では、回転子通路360内に局部的に油膜が形成されることを考慮して回転子通路360の断面積、例えば、回転子通路360の内径Dを設定する必要がある。
一方、
図5(b)に示されている本実施形態の回転子通路360は、回転子通路内壁面315に、回転子通路内壁面315の周方向に沿って全周に延在する溝360Aが形成されている。
本実施形態の電動機において、混合ガスに含まれている潤滑油が、回転子通路内壁面315の、周方向に沿った一部の箇所に、軸線方向(本実施形態では、鉛直方向)に沿って流れた場合、潤滑油は、溝360A内に入り込み、溝360Aに沿って流れる。潤滑油が溝360A内を、溝360Aの延在方向に沿って流れることにより、回転子通路内壁面315に形成される油膜は、回転子通路内壁面315の周方向に沿って均一化される。すなわち、回転子通路内壁面315に、中心線Q側に飛び出ている油膜が局部的に形成されるのを防止することができ、有効通路の形状が略円形形状に保持される。
このため、回転子通路360内の断面積、例えば、回転子通路360の内径Dを大きくする必要がない。すなわち、回転子通路360の内径Dを、従来の回転子通路360の内径より小さく設定することができる。
【0020】
本実施形態では、回転子コア310は、複数の板状の電磁鋼板600を積層した積層体により構成されている。
積層された複数の電磁鋼板600により構成される回転子コア310において、回転子通路360を形成する方法を、
図6、
図7を参照して説明する。
図6は、回転子コア310の、回転子通路360の部分を拡大した断面図であり、
図7は、
図6の斜視図である。
電磁鋼板600は、板厚方向第1側に第1面601を有し、板厚方向第2側に第2面602を有している。
電磁鋼板600は、回転子通路360に対応する領域が板厚方向に切断され、回転子通路内壁面315に対応する箇所に、板厚方向に延在する回転子通路内壁面部分615が形成されている。また、回転子通路360に対応する領域に、回転子通路部分660が形成されている。
また、回転子通路内壁面部分615の、第2面602側の箇所に、溝形成面部分615bが形成されている。溝形成面部分615bは、溝形成面部分615bと第2面602との間の板厚方向に沿った距離が、第2面602の延在方向に沿って回転子通路内壁面部分615から離れるにしたがって短くなるように形成されている。
溝形成面部分615bを形成する方法としては、適宜の方法を用いることができる。例えば、電磁鋼板600の、回転子通路360に対応する領域を切断する際に、回転子通路内壁面部分615とともに溝形成面部分615bを形成する方法を用いることができる。
電磁鋼板600の第1面601の、回転子通路内壁面部分615側の部分によって、第1溝形成面部分615aが形成される。
【0021】
複数の電磁鋼板600を積層する際には、第2面602が第1面601の上方に対向配置されるように積層する。
そして、複数の電磁鋼板600を積層した状態で、各電磁鋼板600のカシメピン挿入孔330にカシメピン420を挿入して、各電磁鋼板600を位置合わせする。
この状態において、各電磁鋼板600の回転子通路内壁面部分615によって、回転子通路内壁面315が構成される。すなわち、各電磁鋼板600の回転子通路部分660によって、回転子通路360が構成される。
鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板600のうち、下方に配置されている電磁鋼板600の第1面601の、回転子通路内壁面部分615側の部分615aによって、溝360Aの第1溝形成面315aが構成される。また、軸線方向に隣接する2つの電磁鋼板600のうち、上方に配置されている電磁鋼板600の溝形成面部分615bによって、溝360Aの第2溝形成面315bが構成される。
鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板のうち、下方に配置されている電磁鋼板600の第1面601と、上方に配置されている電磁鋼板600の溝形成面部分615bによって溝部分660Aが構成される。そして、上方に配置されている電磁鋼板600と下方に配置されている電磁鋼板600との間に形成される溝部分660Aによって、回転子通路内壁面315の周方向に沿って全周に延在する開口615cを有する溝360Aが構成される。
【0022】
電磁鋼板600が、本発明の「回転子コアを形成する電磁鋼板」に対応する。電磁鋼板600の第1面601、第2面602が、それぞれ本発明の「回転子コアを構成する電磁鋼板の第1面」、「回転子コアを構成する電磁鋼板の第2面」に対応する。
回転子通路内壁面部分615が、本発明の「通路形成面部分」あるいは「回転子通路形成面部分」に対応する。溝形成面部分615bが、本発明の「溝形成面部分」に対応する。
第1面601(第1溝形成面部分615a)、溝形成面部分615bおよび開口615cによって形成される溝部分660Aが、本発明の「溝部分」に対応する。
【0023】
電磁鋼板600の板厚Hは、0.25mmと0.35mmの範囲内([0.25mm≦H≦0.35mm])に設定される。
また、溝形成面部分615b(第2溝形成面315b)の、板厚方向に沿った長さTが0.03mmより小さいと、潤滑油が、溝部分660A(溝360A)内に入り込み難い。
長さTが、0.08mmを超えると、電磁鋼板600の磁束密度が高くなる。電磁鋼板600の磁束密度が高くなると、電磁鋼板600の鉄損が増大する。
このため、溝形成面部分615b(第2溝形成面315b)の、板厚方向に沿った長さTは、0.03mmと0.08mmの範囲内([0.03mm≦T≦0.08mm])に設定される。
また、溝形成面部分615b(第2溝形成面315b)の、第2面602の延在方向に沿った長さWが、0.05mmより小さいと、潤滑油が、溝部分660A(溝360A)内を流れ難い。
長さWが0.15mmを超えると、電磁鋼板600の磁束密度が高くなる。電磁鋼板600の磁束密度が高くなると、電磁鋼板600の鉄損が増大する。
このため、溝形成面部分615b(第2溝形成面315b)の、第2面602の延在方向に沿った長さWは、0.05mmと0.15mmの範囲内([0.05mm≦W≦0.15mm])に設定される。
電磁鋼板の板厚H、溝形成面部分の長さTおよび長さWは、第1固定子通路240、第2固定子通路250に対しても同様である。
【0024】
次に、第1固定子通路240について説明する。
本実施形態では、
図3に示されているように、密閉容器20の密閉容器内周面21は、回転中心線Pを中心点とする円形形状に形成されている。
また、固定子コア210の固定子コア外周面211は、第1固定子コア外周面212と第2固定子コア外周面213により構成されている。本実施形態では、第1固定子コア外周面212は、回転中心線Pを中心点とする円弧形状に形成されている。第2固定子コア外周面213は、第1固定子コア外周面212を延ばした円形形状を切欠いた直線形状に形成されている。すなわち、第2固定子コア外周面213は、回転中心線Pを通り、径方向に延在する線と交差する方向に直線状に延在している。
そして、固定子コア210は、密閉容器20の密閉容器内側空間内に嵌合される。例えば、圧入あるいは焼き嵌めされる。この時、固定子コア210は、第1固定子コア外周面212が密閉容器内周面21に接触し、第2固定子コア外周面213が密閉容器内周面21から離れている状態で、密閉容器内側空間内に収容される。
【0025】
第1固定子通路240の概略構成が、
図8に示されている。
図3、
図8に示されているように、第1固定子通路240は、第2固定子コア外周面213と密閉容器内周面21により形成されている。すなわち、第1固定子通路240は、第2固定子コア外周面213と密閉容器内周面21を含む通路形成面(第1固定子通路形成面)によって形成されている。
第1固定子通路240は、軸線方向に延在するとともに、軸線方向両側が開口している。すなわち、第1固定子通路240は、固定子コア端面210Aと210Bに開口している。
本実施形態では、第1固定子通路240は、断面が、円形を切欠いた切欠形状に形成されている。
【0026】
第1固定子通路240を形成する第2固定子コア外周面213(第1固定子通路形成面)に、第2固定子コア外周面213の周方向に沿って延在する溝240Aが形成されている。
溝240Aは、第1溝形成面213a、第2溝形成面213bおよび開口213cを有している。開口213cは、第2固定子コア外周面213に、第2固定子コア外周面213の周方向に沿って開口している。
回転子通路360の溝360Aは、回転子通路360を形成する回転子通路内壁面315に形成され、第1固定子通路240の溝240Aは、第1固定子通路240を形成する第2固定子コア外周面213に形成されている点を除いて、第1固定子通路240の溝240Aは、回転子通路360の溝360Aと同様に構成される。
本実施形態では、
図3に示されているように、第1固定子通路240は、固定子コア210の外周側に複数形成されている。
勿論、第1固定子通路240の形状、数および配置個所は、
図3に示されている形状、数および配置箇所に限定されない。
なお、溝240Aは、固定子コア210の外周側に、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0027】
第1固定子通路240が、本発明の「第1固定子通路」に対応する。第2固定子コア外周面213と密閉容器内周面21により、本発明の「第1固定子通路を形成する第1固定子通路形成面」が構成される。あるいは、第2固定子コア外周面213と密閉容器内周面21により形成される第1固定子通路240が、本発明の「第2固定子コア外周面と密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される第1固定子通路」に対応する。
第1溝形成面213a、第2溝形成面213bおよび開口213cにより構成される溝240Aが、本発明の「通路形成面(第1固定子通路形成面)の周方向に沿って延在する開口を有する溝」に対応する。
【0028】
本実施形態では、固定子コア210は、複数の板状の電磁鋼板500を積層した積層体により構成されている。
積層された複数の電磁鋼板500により構成される固定子コア210において、第1固定子通路240を形成する方法が、
図9、
図10に示されている。
図9は、固定子コア210の、第1固定子通路240の部分を拡大した断面図であり、
図10は、
図9の斜視図である。
電磁鋼板500は、板厚方向第1側に第1面501を有し、板厚方向第2側に第2面502を有している。また、電磁鋼板500の電磁鋼板外周面511は、第1電磁鋼板外周面512と、第2電磁鋼板外周面513を有している。なお、固定子コア210に、第1固定子通路240が設けられない場合には、第2電磁鋼板外周面513を省略することができる。
電磁鋼板500は、第1固定子通路240に対応する領域が板厚方向に切断され、第2固定子コア外周面213に対応する箇所に、板厚方向に延在する第2電磁鋼板外周面513が形成されている。
また、第2電磁鋼板外周面513の、第2面502側の箇所に、溝形成面部分513bが形成されている。溝形成面部分513bは、溝形成面部分513bと第2面502との間の板厚方向に沿った距離が、第2面502の延在方向に沿って第2電磁鋼板外周面513から離れるにしたがって短くなるように形成されている。
溝形成面部分513bを形成する方法としては、前述した、電磁鋼板600に溝形成面部分615bを形成する方法と同様の方法を用いることができる。
電磁鋼板500の第1面501の、第2電磁鋼板外周面513側の部分によって、第1溝形成面部分513aが形成される。
電磁鋼板500は、前述した、電磁鋼板600を積層する方法と同様の方法を用いて積層される。
積層した状態において、各電磁鋼板500の第2電磁鋼板外周面513によって、第2固定子コア外周面213が構成される。
鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板500のうち、下方に配置される電磁鋼板500の第1面501の、第2電磁鋼板外周面513側の第1溝形成面部分513aによって、溝240Aの第1溝形成面213aが構成される。
鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板500のうち、上方に配置される電磁鋼板500の第2溝形成面部分513bによって、溝240Aの第2溝形成面213bが構成される。
鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板のうち、下方に配置されている電磁鋼板500の第1面501と、上方に配置されている電磁鋼板500の第2溝形成面部分513bによって溝部分540Aが構成される。そして、上方に配置されている電磁鋼板500と下方に配置されている電磁鋼板500との間に形成される溝部分540Aによって、第2固定子コア外周面213の周方向に沿って延在する開口213cを有する溝240Aが構成される。
なお、第1固定子通路240は、固定子コア210を密閉容器内側空間内に収容することによって形成される。
【0029】
電磁鋼板500が、本発明の「固定子コアを形成する電磁鋼板」に対応する。電磁鋼板500の第1面501、第2面502が、それぞれ本発明の「固定子コアを構成する電磁鋼板の第1面」、「固定子コアを構成する電磁鋼板の第2面」に対応する。
第2電磁鋼板外周面513が、本発明の「通路形成面部分」あるいは「第1固定子通路形成面部分」に対応する。溝形成面部分513bが、本発明の「溝形成面部分」に対応する。
第1面501(第1溝形成面部分513a)、溝形成面部分513bおよび開口513cによって形成される溝部分540Aが、本発明の「溝部分」に対応する。
【0030】
次に、第2固定子通路250について説明する。
第2固定子通路250は、第2固定子通路形成面により形成され、軸線方向に延在するとともに、軸線方向両側が開口している。すなわち、第2固定子通路250は、固定子コア端面210Aと210Bに開口している。
第2固定子通路形成面は、固定子コア210に形成されている第2固定子通路内壁面218を含んでいる。本実施形態では、第2固定子通路250(第2固定子通路内壁面218)は、断面が、中心線Rを中心とする円形形状(「略円形形状」を含む)に形成されている。
また、本実施形態では、
図3に示されているように、第2固定子通路250は、ヨーク214に対応する箇所に複数形成されている。
勿論、第2固定子通路250の形状、数および配置個所は、
図3に示されている形状、数および配置箇所に限定されない。
【0031】
第2固定子通路250の概略構成が、
図11に示されている。
図11に示されているように、第2固定子通路250を形成する第2固定子通路内壁面218(第2固定子通路形成面)に、複数の溝250Aが形成されている。
溝250Aは、第1溝形成面218a、第2溝形成面218bおよび開口218cを有している。開口218cは、第2固定子通路内壁面218に、第2固定子通路内壁面218の周方向に沿って全周に開口している。
第2固定子通路250は、回転子通路360と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0032】
第2固定子通路250が、本発明の「第2固定子通路」に対応する。第2固定子通路内壁面218が、「第2固定子通路を形成する第2固定子通路形成面」に対応する。あるいは、第2固定子通路内壁面218により形成される第2固定子通路250が、本発明の「第2固定子通路内壁面を含む通路形成面により形成される第2固定子通路」に対応する。
第1溝形成面218a、第2溝形成面218bおよび開口218cにより構成される溝250Aが、本発明の「通路形成面(第2固定子通路形成面)の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝」に対応する。
【0033】
本実施形態では、固定子コア210は、複数の板状の電磁鋼板500を積層した積層体により構成されている。
積層された複数の電磁鋼板500により構成される固定子コア210において、第2固定子通路250を形成する方法を、
図12、
図13に示す。
図12は、固定子コア210の、第2固定子通路250に対応する部分を拡大した断面図であり、
図13は、
図12の斜視図である。
積層された複数の電磁鋼板500により形成される第2固定子通路250は、積層された複数の電磁鋼板600により形成される回転子通路360と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0034】
第2固定子通路内壁面部分518が、本発明の「通路形成面部分」あるいは「第2固定子通路形成面部分」に対応する。溝形成面部分518bが、本発明の「溝形成面部分」に対応する。
第1面501(第1溝形成面部分518a)、溝形成面部分518bおよび開口518cによって形成される溝部分550Aが、本発明の「溝部分」に対応する。
【0035】
本発明は、以下のように構成することもできる。
(態様1)
固定子コアを有する固定子と、軸線を中心に回転可能な回転子コアを有する回転子と、を備え、
前記固定子コアは、前記軸線の軸線方向に延在する筒状に形成され、固定子コア内周面と、固定子コア外周面と、前記固定子コア内周面により形成される固定子コア内側空間と、を有し、
前記回転子コアは、前記固定子コア内側空間内に配置され、
前記固定子コアおよび前記回転子コアのうちの少なくとも一方に、前記軸線方向に延在するとともに、前記軸線方向両側が開口している少なくとも1つの通路が設けられている電動機であって、
前記通路のうちの少なくとも1つは、当該通路を形成する通路形成面に、当該通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
(態様2)
態様1の電動機であって、
密閉容器内周面と、前記密閉容器内周面により形成され、前記固定子コアと前記回転子コアを収容する密閉容器内側空間と、を有する密閉容器を備え、
前記固定子コア外周面は、第1固定子コア外周面と第2固定子コア外周面を有し、
前記固定子コアは、前記第1固定子コア外周面が前記密閉容器内周面に接触し、前記第2固定子コア外周面が前記密閉容器内周面から離れている状態で前記密閉容器内側空間用内に収容され、
前記固定子コアに、前記第2固定子コア外周面と前記密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される少なくとも1つの第1固定子通路が設けられ、
前記第1固定子通路のうちの少なくとも1つは、当該第1固定子通路を形成する第1固定子通路形成面に、当該第1固定子通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
(態様3)
態様1または2の電動機であって、
前記回転子コアに、回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される少なくとも1つの回転子通路が設けられ、
前記回転子通路のうちの少なくとも1つは、当該回転子通路を形成する回転子通路形成面に、当該回転子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
(態様4)
態様1~3のうちのいずれかの電動機であって、
前記固定子コアに、第2固定子通路内壁面を含む第2固定子通路形成面により形成される少なくとも1つの第2固定子通路が設けられ、
前記第2固定子通路のうちの少なくとも1つは、当該第2固定子通路を形成する第2固定子通路形成面に、当該第2固定子通路形成面の周方向に沿って全周に延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
(態様5)
固定子コアを有する固定子と、軸線を中心に回転可能な回転子コアを有する回転子と、密閉容器と、を備え、
前記密閉容器は、密閉容器内周面と、前記密閉容器内周面により形成され、前記固定子コアと前記回転子コアを収容する密閉容器内側空間と、を有し、
前記固定子コアは、前記軸線の軸線方向に延在する筒状に形成され、固定子コア内周面と、固定子コア外周面と、前記固定子コア内周面により形成される固定子コア内側空間と、を有し、
前記回転子コアは、前記固定子コア内側空間内に配置され、
前記固定子コアおよび前記回転子コアのうちの少なくとも一方に、通路形成面により形成され、前記軸線方向に延在するとともに、前記軸線方向両側が開口している少なくとも1つの通路が設けられている電動機であって、
前記通路として、前記固定子コア外周面と前記密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される第1固定子通路と、前記固定子コアに形成される第2固定子通路内壁面を含む第2固定子通路形成面により形成される第2固定子通路と、前記回転子コアに形成される回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される回転子通路と、のうちの少なくとも1つが設けられ、
前記第1固定子通路と、前記第2固定子通路と、前記回転子通路と、のうちの前記少なくとも1つは、当該通路を形成する通路形成面に、当該通路形成面の周方向に沿って延在する開口を有する溝が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする電動機。
(態様6)
態様1~5のうちのいずれかの電動機であって、
前記回転子コアは、前記軸線が鉛直方向に延在するように配置され、
前記通路形成面に開口を有する溝は、第1溝形成面と第2溝形成面により形成され、
前記第1溝形成面は、前記通路形成面から水平方向に延在するように形成され、
前記第2溝形成面は、前記第1溝形成面より前記鉛直方向上方に配置され、当該第1溝形成面と当該第2溝形成面との間の、前記鉛直方向に沿った間隔が、前記水平方向に沿って前記通路形成面から離れるにしたがって短くなるように形成されていることを特徴とする電動機。
(態様7)
態様6の電動機であって、
前記固定子コアおよび前記回転子コアは、積層された複数の板状の電磁鋼板により構成され、
前記複数の電磁鋼板は、板厚方向第1側に第1面を有し、板厚方向第2側に第2面を有し、前記第1面と前記第2面が対向するとともに、前記第2面が、前記第1面より鉛直方向上方に配置されるように積層され、
前記複数の電磁鋼板は、前記通路に対応する領域が前記板厚方向に切断されて、前記通路形成面に対応する箇所に通路形成面部分が形成され、前記通路形成面部分は、前記板厚方向に沿った前記第2面側の箇所に溝形成面部分を有し、前記溝形成面部分は、当該溝形成面部分と前記第2面との間の、前記板厚方向に沿った間隔が、前記第2面の延在方向に沿って前記通路形成面部分から離れるにしたがって短くなるように形成され、
前記複数の電磁鋼板の前記通路形成面部分によって前記通路形成面が構成され、
前記鉛直方向に隣接する2つの電磁鋼板のうち、前記鉛直方向下方に配置されている電磁鋼板の前記第1面によって前記第1溝形成面が構成され、前記鉛直方向上方に配置されている電磁鋼板の前記溝形成面部分によって前記第2溝形成面が構成されることを特徴とする電動機。
(態様8)
態様7の電動機であって、
前記電磁鋼板の板厚は、0.25mm~0.35mmの範囲内に設定され、前記溝形成面部分の、前記板厚方向に沿った長さは、0.03mm~0.08mmの範囲内に設定され、前記溝形成面部分の、前記第2面の延在方向に沿った前記通路形成面部分からの長さは、0.05mm~0.15mmの範囲内に設定されていることを特徴とする電動機。
(態様9)
密閉容器と、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機と、を備え、
前記密閉容器は、密閉容器内周面と、前記密閉容器内周面により形成される密閉容器内側空間と、を有し、
前記圧縮機構部と前記電動機は、前記密閉容器内側空間内に、前記電動機が前記圧縮機構部より鉛直方向上方に配置されるように収容されている圧縮機であって、
前記電動機として、態様1~8のうちのいずれかの電動機が用いられていることを特徴とする圧縮機。
【0036】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
実施形態では、第2固定子コア外周面と密閉容器内周面を含む第1固定子通路形成面により形成される第1固定子通路、第2固定子通路内壁面を含む第2固定子通路形成面により形成される第2固定子通路および回転子通路内壁面を含む回転子通路形成面により形成される回転子通路を設けたが、第1固定子通路と、第2固定子通路と、回転子通路と、のうちの少なくとも1つが設けられていればよい。
第1固定子通路の断面形状、数および配置位置等は、適宜変更可能である。
第2固定子通路の断面形状、数および配置位置等は、適宜変更可能である。
回転子通路の断面形状、数および配置位置等は、適宜変更可能である。
実施形態では、固定コアおよび回転コアを、複数の板状の電磁鋼板を積層した積層体により構成したが、これに限定されない。
通路形成面に形成する溝の断面形状、数や配置箇所等は適宜変更可能である。
実施形態では、第1固定子通路の溝を、第1固定子通路を形成する第1固定子通路形成面(第2固定子コア外周面、密閉容器内周面)の周方向に沿った一部(第2固定子コア外周面)に形成したが、第1固定子通路形成面の周方向に沿って全周(第2固定子コア外周面および密閉容器内周面)に形成することもできる。
実施形態では、磁石挿入孔が形成されているとともに、磁石挿入孔に永久磁石が挿入されている回転子を有する埋込型永久磁石電動機について説明したが、本発明の電動機は、埋込型永久磁石電動機に限定されず、回転子と固定子を有する種々の型式の電動機として構成することができる。
実施形態では、電動機を圧縮機に用いた場合(圧縮機用電動機)について説明したが、本発明の電動機は、圧縮機以外に用いることもできる、
実施形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0037】
10 圧縮機
20 密閉容器
21 密閉容器内周面
22 吸入口
23 吐出口
30 圧縮機構部
31 シリンダ
32 偏心ロータ
33 圧縮室
34、35 軸受部
36 油溜め
40 アキュムレータ
41 吸入管
100 電動機
200 固定子
210 固定子コア
210A、210B 固定子コア端面
211 固定子コア外周面
212 第1固定子コア外周面
213 第2固定子コア外周面
214 ヨーク
215 ティース
216 ティース先端面
217 スロット
218 固定子通路内壁面(第2固定子通路内壁面)
220 固定子コア内側空間
230 固定子巻線
240 固定子通路(第1固定子通路)
240A 溝
250 固定子通路(第2固定子通路)
250A 溝
300 回転子
310 回転子コア
310A、310B 固定子コア端面
311 回転子コア外周面
312 回転子コア内周面
313 カシメピン挿入孔内壁面
314 磁石挿入孔内壁面
315 回転子通路内壁面
320 回転子コア内側空間
330 カシメピン挿入孔
340 磁石挿入孔
350 永久磁石
360 回転子通路
360A 溝
410 端板
420 カシメピン
430 回転軸
500、600 電磁鋼板
501、601 第1面
502、602 第2面
511 電磁鋼板外周面
512 第1電磁鋼板外周面
513 第2電磁鋼板外周面
513a、518a、615a 第1溝形成面部分
513b、518b、615b 第2溝形成面部分
513c、518c、615c 開口
518 固定子通路内壁面部分(第2固定子通路内壁面部分)
540A、550A、660A 溝部分
615 回転子通路内壁面部分
660 回転子通路部分