(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030871
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】醤油絞り器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134070
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】592053181
【氏名又は名称】丸島醤油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】山西 輝美
(72)【発明者】
【氏名】山西 正宣
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA13
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】 絞りたての醤油を手軽に味わうことができると共に、視覚的にも楽しむことができる醤油絞り器を提供する。
【解決手段】 底部11に排出孔12を有し、醤油もろみ100が収容される第1の容器10と、第1の容器10の下方に配置され、排出孔12から排出される醤油101を貯留する第2の容器20と、第1の容器10および第2の容器20の間に介在される環状の介在部30とを備え、第1の容器10の底部11の上面は、周縁部から排出孔12に向けて下方に傾斜し、通液性のシート体102を介して醤油もろみ100が載置されることにより、圧搾された醤油101を排出孔12に案内するように形成されており、介在部30は、排出孔12から滴下する醤油101の滴を目視可能にする窓部31が設けられている醤油絞り器1である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に排出孔を有し、醤油もろみが収容される第1の容器と、
前記第1の容器の下方に配置され、前記排出孔から排出される醤油を貯留する第2の容器と、
前記第1の容器および第2の容器の間に介在される環状の介在部とを備え、
前記第1の容器の底部上面は、周縁部から前記排出孔に向けて下方に傾斜し、通液性のシート体を介して醤油もろみが載置されることにより、圧搾された醤油を前記排出孔に案内するように形成されており、
前記介在部は、前記排出孔から滴下する醤油の滴を目視可能にする窓部が設けられている醤油絞り器。
【請求項2】
前記排出孔は、前記第1の容器の底部中央に形成されており、
前記窓部は、前記排出孔を挟んで互いに反対側に位置するように複数設けられている請求項1に記載の醤油絞り器。
【請求項3】
前記介在部は、前記第1の容器の底部周縁から下方に突出するように、前記第1の容器と一体的に形成されている請求項1に記載の醤油絞り器。
【請求項4】
前記第1の容器は、木桶を模した形状を有する請求項1に記載の醤油絞り器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭の食卓等で好適に使用することができる醤油絞り器に関する。
【背景技術】
【0002】
木桶を用いた天然醸造による醤油づくりは、小豆島を中心とする讃岐地方の醤油醸造技術として伝承されている。木桶仕込みの醤油は、塩と水としょうゆ麹を仕込み、乳酸菌や酵母の働きによって発酵熟成される。そして、できた「もろみ」をろ布に包んで加圧することにより圧搾し、火入れを行うことにより製品化される。
【0003】
醤油もろみの圧搾は、工場内で圧搾機等を用いて行われるのが一般的であるが、これを家庭等で手軽に行うことができる小型の醤油絞り器が、従来から知られている。例えば、特許文献1に開示された醤油絞り器は、もろみを収納した巾着袋を、上部がしごき部の貫通孔に挿入された状態で吊り下げることにより、しごき部の自重により巾着袋内のもろみが貫通孔によって絞られて、容器内に滴下されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の醤油絞り器は、巾着袋を吊り下げるための支持部が必要になるため、設置場所の制約を受け易く、取り扱いが煩雑になり易いという問題があった。また、容器内に滴下する醤油の流量が安定しないため、醤油が絞られる過程を楽しむ上で改良の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、絞りたての醤油を手軽に味わうことができると共に、視覚的にも楽しむことができる醤油絞り器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、底部に排出孔を有し、醤油もろみが収容される第1の容器と、前記第1の容器の下方に配置され、前記排出孔から排出される醤油を貯留する第2の容器と、前記第1の容器および第2の容器の間に介在される環状の介在部とを備え、前記第1の容器の底部上面は、周縁部から前記排出孔に向けて下方に傾斜し、通液性のシート体を介して醤油もろみが載置されることにより、圧搾された醤油を前記排出孔に案内するように形成されており、前記介在部は、前記排出孔から滴下する醤油の滴を目視可能にする窓部が設けられている醤油絞り器により達成される。
【0008】
この醤油絞り器において、前記排出孔は、前記第1の容器の底部中央に形成されていることが好ましく、前記窓部は、前記排出孔を挟んで互いに反対側に位置するように複数設けられていることが好ましい。
【0009】
前記介在部は、前記第1の容器の底部周縁から下方に突出するように、前記第1の容器と一体的に形成されていることが好ましい。
【0010】
前記第1の容器は、木桶を模した形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の醤油絞り器によれば、絞りたての醤油を手軽に味わうことができると共に、視覚的にも醤油が垂れてくる様子を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る醤油絞り器の正面図である。
【
図2】
図1に示す醤油絞り器のA-A断面図である。
【
図3】
図1に示す醤油絞り器の使用方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る醤油絞り器の正面図である。また、
図2は、
図1に示す醤油絞り器のA-A断面図である。
図1および
図2に示すように、醤油絞り器1は、醤油もろみが収容される第1の容器10と、第1の容器10の下方に配置されて第1の容器10から排出される醤油を貯留する第2の容器20と、第1の容器10および第2の容器20間に介在される環状の介在部30とを備えている。醤油絞り器1の材質は、醤油のしみ出しを防止すると共に耐久性を高めることができるように、磁器を好ましく使用することができるが、合成樹脂であってもよく、あるいは、陶器や金属材料など特に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、第1の容器10の外観形状は、木桶を模しており、外周面には、桶側を想起させる複数の縦溝13、および、箍を想起させる複数の帯状部14が形成されている。
図2に断面図で示すように、第1の容器10は、上部が開口し、底壁11の中央に排出孔12が形成されている。底壁11の上面は、周縁部から排出孔12に向けて下方に緩やかに傾斜している。
【0015】
第2の容器20は、側壁に注ぎ口21を有する受皿状に形成されており、食卓等に載置することができる。第2の容器20の上端面には、外周に沿って環状の嵌合凸部22が設けられている。
【0016】
介在部30は、第1の容器10の底部周縁から下方に突出する円環状に形成され、第1の容器10と一体的に形成されている。介在部30の外周面には、複数の窓部31が設けられている。各窓部31は、介在部30の周壁の下端側を半円状に切り欠くように形成されており、排出孔12を挟んで互いに反対側に配置されている。介在部30の下端面には、第2の容器20の嵌合凸部22と嵌合する嵌合凹部32が外周に沿って形成されており、第1の容器10が介在部30を介して第2の容器20に支持される。
【0017】
上記の構成を備える醤油絞り器1は、
図3に示すように、第1の容器10の底壁11にシート体102を介して醤油もろみ100を載置して、醤油101を絞ることができる。醤油もろみ100は、醤油の原料を混ぜ合わせて発酵させたものであればよく、材料や製法等は特に限定されないが、第1の容器10の外観イメージに合致するように、木桶を用いて製造されたもろみを好ましく使用することができる。絞られる醤油101の滴下速度を調整するため、木桶等を用いて製造された醤油をもろみに混ぜ合わせた醤油もろみ100を使用してもよい。
【0018】
シート体102は、布、樹脂、紙等の通液性を有するシート状の部材であり、本実施形態ではドリップバック状に形成されて、内部に醤油もろみ100が収容される。シート体102は、少なくとも一部が底壁11の上面に沿って配置可能であればよく、その形状や大きさは特に限定されないが、本実施形態のように醤油もろみ100を内部に収容可能な袋状に形成されて、上部を折り返し可能な構成を好ましく使用することができる。
【0019】
シート体102を介した醤油もろみ100の圧搾は、醤油もろみ100の自重や、醤油もろみ100に載置した重石103を利用して行うことが可能であり、あるいは、醤油もろみ100の上方に載置した重石や押し蓋等を使用者が下方に押圧して行ってもよい。
【0020】
圧搾された醤油101は、底壁11の上面に沿って排出孔12に案内されるが、醤油もろみ100の固形分によってシート体102と底壁11との間に形成される微小な隙間を通過しながら緩やかに流れるため、排出孔12において時間をかけながら滴となって、第2の容器20に略一定の周期で滴下する。醤油101が滴下する様子は、介在部30の窓部31を介して観察することができ、滴下によって第2の容器20に貯留された醤油101は、第2の容器20を介在部30から取り外して使用することができる。なお、醤油101が絞られた後の醤油もろみ100も、食材として有効に利用することができる。
【0021】
本実施形態の醤油絞り器1は、従来のようにもろみを収容した巾着袋を吊り下げ支持する必要がなく、家庭の食卓等で使用可能なコンパクトな構成にすることが容易であり、絞りたての醤油を手軽に味わうことができる。
【0022】
また、第1の容器10で絞られた醤油101は、ゆっくりと滴下する様子を窓部31から観察することができるので、使用者が視覚的に楽しむことができると共に、醤油の製造過程を使用者が容易に理解することができるので、学習用の教材としても好適に使用することができる。窓部31の形状や大きさ、個数等は、特に限定されるものではなく、滴下の観察が容易になるように、醤油絞り器1の大きさや観察者の人数等を考慮して適宜設定することができる。
【0023】
また、第1の容器10の形状を、本実施形態のように木桶を模した形状にすることで、その多くが小豆島に存在する木桶を用いた醤油づくりの周知や理解を広く促して、小豆島の伝統産業の普及や木桶の製造技術の継承を図ることができる。
【0024】
本実施形態の介在部30は、第1の容器10の下部に一体的に設けられることで、取扱性を良好にしているが、介在部30を第2の容器20の上部に一体的に設けてもよく、あるいは、介在部30を第1の容器10および第2の容器20とは別体としてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 醤油絞り器
10 第1の容器
11 底部
12 排出孔
20 第2の容器
30 介在部
31 窓部
100 醤油もろみ
101 醤油
102 シート体