(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030873
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/30 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01N33/30
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134073
(22)【出願日】2022-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207399
【氏名又は名称】大同化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157934
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 隼明
(72)【発明者】
【氏名】王 大明
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 訓
(72)【発明者】
【氏名】石井 辰明
(72)【発明者】
【氏名】冨田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】武内 邦浩
(57)【要約】
【課題】冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法を提供すること。
【解決手段】圧延油と、圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムとを混合し、その混合量と、混合前又は混合後に測定した油溶鉄分濃度に基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、及び測定した油溶鉄分濃度を、油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、混入スカム量を決定するステップを含む洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記各ステップを含む、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、
(1)圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカム中の油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(2)上記スカムを圧延油に混合し、その混合量とステップ(1)で測定したスカム中の油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、
(3)洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(4)ステップ(3)で測定した油溶鉄分濃度を、ステップ(2)で算出した油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定するステップ。
【請求項2】
下記各ステップを含む、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、
(1)圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムを圧延油に混合したときの油溶鉄分濃度を測定すると共に、その混合量と測定した油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、
(2)洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(3)ステップ(2)で測定した油溶鉄分濃度を、ステップ(1)で算出した油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定するステップ。
【請求項3】
圧延油に対する、圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムの混合量が、洗浄用圧延油クーラントへの混合比率が1.0~10重量%となる範囲内である請求項1又は2に記載の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法。
【請求項4】
洗浄用圧延油クーラントを使用して、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄して、該クーラントにスカムが混入することによる洗浄力の低下の指標として、洗浄用圧延油クーラントのエマルション平均粒子径が10μmを超えた場合、又は、ESIが測定不能になった場合に、洗浄用圧延油クーラントの交換時期であるとする洗浄用圧延油クーラントの寿命判定の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内に付着したスカムを、洗浄用圧延油クーラントを循環使用して洗浄する際に、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鋼板等の冷間圧延においては、圧延油を水で希釈して、エマルション濃度1~10重量%程度とした圧延油クーラントが循環使用されている。冷間圧延油は、通常、動植物油脂や合成エステル等の基油と、乳化剤、極圧剤、油性向上剤、酸化防止剤、防錆剤等の各種添加剤を含有してなる。
【0003】
圧延油クーラントは、循環使用されている間に、特に圧延油中の基油は、圧延加工による鋼板の変形時に発生する鉄粉と加工熱、摩擦熱が触媒となって、加水分解される。基油が加水分解されるとアルコールと脂肪酸が生成し、脂肪酸は鉄粉と反応し、スカムとなる。スカムの発生は、圧延油クーラントの乳化安定性の低下を招き、冷間圧延機内に蓄積し汚れにもなる。また、冷間圧延機(ミル)に付着堆積したスカムが鋼板の表面に脱落する場合もあり、このような場合には次段の圧延スタンドで圧延される際に、押し込み傷の原因となって鋼板品質を低下させることになる。このため定期的にミル内及びクーラント循環システム内を洗浄しなければならない。
【0004】
上記洗浄方法として、使用する圧延油クーラントのエマルション濃度を1~5重量%程度とした洗浄用圧延油クーラントを、圧延機内及びクーラント循環システム内を循環させて、スカムを洗い落とす方法が行われている。しかし、これまでのところ、定期修理(定修)や圧延油クーラントの切り替えの際にどの程度圧延機内を洗浄することが出来たのかを定量的に確認する方法はなく、定修や圧延油クーラントの切り替え後に、圧延油クーラント中の鉄粉量、酸価、ケン価等の性状値を測定して、新液との数値の違いにより洗浄度の推測をしているだけであった。
【0005】
尚、圧延機内及びクーラント循環システム内を、界面活性剤、アルカリ化合物等と水を含有する水系洗浄剤や、界面活性剤、アルカリ化合物と低沸点溶剤を含有する油系洗浄剤を用いて、洗浄することも行われているが、水系洗浄剤はスカムの洗浄効果が十分でなく、油系洗浄剤はスカムの洗浄効果は高いものの、低引火点のため火災の危険性があるので、これらの洗浄剤の使用は避けたい。
【0006】
特許文献1は、圧延油クーラント循環システム内に電磁波発生装置を配備して、酸化したエマルション圧延潤滑油に負電荷を付与して、該圧延潤滑油を還元して、圧延潤滑油の劣化を防止するもので、圧延機のハウジング上部及び側部に計量プレートを配置し、計量プレートの付着物量とダーティータンク内の堆積したスカム量を測定する方法が記載されている。また、特許文献2は、特定の非イオン性界面活性剤を含有する冷間圧延油および冷間圧延方法に係るもので、冷間圧延実験前後の油分残存率および鉄粉除去率から総合的にスカム除去性を評価する方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2には、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内の洗浄に関する記載・示唆は無く、勿論、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定についての記載・示唆は全く無い。また、洗浄時に、洗い落とされるスカム量を測定することは、例えばタンデムミルの場合、洗浄用圧延油クーラント量が10万L以上もあり、実際上、非常に困難であるため行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-96245号公報
【特許文献2】特許第4076796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内に付着したスカムを、洗浄用圧延油クーラントで循環洗浄する際に、その洗浄度を定量的に確認することを可能にする、当該洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカム中の油溶鉄分濃度を予め測定しておき、このスカムを圧延油に混合し、その混合量と測定したスカム中の油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出しておくことによって、或いは、
圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムを圧延油に混合したときの油溶鉄分濃度を測定すると共に、その混合量と測定した油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出しておくことによって、
洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラント中の油溶鉄分濃度を測定し、その測定した油溶鉄分濃度を、前記油溶鉄分濃度の理論計算値と照合して混入スカム量を決定できること、これによれば、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内の洗浄度を定量的に確認できることを見出し、更に種々検討して、本発明を完成するに至った。
【0011】
また、本発明者は、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内に付着したスカムを、洗浄用圧延油クーラントで循環洗浄する際に、洗浄用圧延油クーラントにスカムが混入して洗浄力が低下した場合に、そのエマルション平均粒子径又はESI(エマルションスタビリティインデックス)を指標として、当該洗浄用圧延油クーラントの寿命を判定できることも見出した。
【0012】
従って、本発明は、以下に示す、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、並びに洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法を提供するものである。
【0013】
1.下記各ステップを含む、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、
(1)圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカム中の油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(2)上記スカムを圧延油に混合し、その混合量とステップ(1)で測定したスカム中の油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、
(3)洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(4)ステップ(3)で測定した油溶鉄分濃度を、ステップ(2)で算出した油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定するステップ。
【0014】
2.下記各ステップを含む、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、
(1)圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムを圧延油に混合したときの油溶鉄分濃度を測定すると共に、その混合量と測定した油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、
(2)洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、
(3)ステップ(2)で測定した油溶鉄分濃度を、ステップ(1)で算出した油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定するステップ。
【0015】
3.圧延油に対する、圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムの混合量が、洗浄用圧延油クーラントへの混合比率が1.0~10重量%となる範囲内である上記項1又は2に記載の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法。
【0016】
4.洗浄用圧延油クーラントを使用して、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄して、該クーラントにスカムが混入することによる洗浄力の低下の指標として、洗浄用圧延油クーラントのエマルション平均粒子径が10μmを超えた場合、又は、ESIが測定不能になった場合に、洗浄用圧延油クーラントの交換時期であるとする洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法、並びに洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法によれば、次の様な顕著な効果が奏される。
【0018】
(1)本発明の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法によれば、簡便な方法で、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量評価を行うことができる。即ち、実際に洗い落としたスカム量を容易に知ることが可能になり、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内の洗浄度を定量的に確認することができる。
【0019】
(2)従って、本発明の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法によれば、定期修理等の際に、洗浄に使用中の圧延油クーラントへのスカム混入量を測定して、洗浄度をモニター(観測)することで、新液への切り替えの判断を、的確にすることができるので、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内を洗浄する際の作業性が大幅に向上する。
【0020】
(3)また、本発明の洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法によれば、洗浄用圧延油クーラントにスカムが混入して、該クーラントの乳化安定性が低下して、洗浄力が徐々に低下した場合に、そのエマルション粒子の平均粒子径が10μmを超えるか又はESI(エマルションスタビリティインデックス)が測定不能になるという簡易な判断基準に基づいて、洗浄用圧延油クーラントの交換時期を判定することができる。従って、洗浄用圧延油クーラントの寿命を容易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例1~4における、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率(重量%)と、油溶鉄分濃度(ppm)の理論計算値及び油溶鉄分濃度の測定値との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法
本発明の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法は、圧延油と、圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムとを混合し、その混合量と、混合前又は混合後に測定した油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定するステップ、及びスカム混入後のクーラントについて測定した油溶鉄分濃度を、上記油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、混入スカム量を決定するステップを行うものであり、この決定された混入スカム量によって、冷間圧延機内及びその圧延油クーラント循環システム内の洗浄度を定量的に確認することができるものである。
【0023】
(1)洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ
圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカム中の油溶鉄分濃度を予め測定しておき、このスカムを圧延油に混合し、その混合量と測定したスカム中の油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ、或いは、
圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムを圧延油に混合したときの油溶鉄分濃度を測定すると共に、その混合量と測定した油溶鉄分濃度とに基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップである。
【0024】
本発明方法を適用できる圧延油は、鋼板等の冷間圧延において、動植物油脂、合成エステル、鉱物油等の基油、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン系界面活性剤等の各種乳化剤、必要に応じて、極圧剤、酸化防止剤、油焼け防止剤、油性向上剤、防錆剤、潤滑添加剤、pH向上剤、消泡剤、鋼板濡れ性向上剤等の添加剤を含有してなるものである。
【0025】
また、この理論計算値を算出するステップにおいて、スカムを混合する圧延油は、実際に鋼板等の冷間圧延に使用する圧延油クーラントにおける圧延油と同一又は類似する成分内容の圧延油であるのが、本発明の効果の確実性から、好ましい。
【0026】
スカムとは、鋼板の圧延加工の場合、圧延加工により発生した鉄粉がクーラント中の圧延油と反応した劣化変性物を指す。圧延油中の基油である油脂や合成エステルが、鋼板の変形時に発生する鉄粉と加工熱や摩擦熱とを触媒として加水分解されて生成した脂肪酸と鉄イオンとが反応し鉄石鹸を生成する。この鉄石鹸が、スカムの主要成分となる。生じたスカムは、圧延油クーラントと共に圧延機内を循環し、圧延機設備に付着堆積し、作業環境や鋼板品質を著しく悪化させる要因となる。このため、定期的にミル内及びクーラントシステムを洗浄しなければならない。
【0027】
このステップでは、洗浄に用いる圧延油(クーラントとする前の圧延油原液)に、洗浄前の圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカムを、種々の混合量で混合した模擬洗浄液を用意する。即ち、ミル洗浄に使用する圧延油に、スカムを、例えば、後記実施例1~4に示したような種々の混合量で混合して模擬洗浄液とし、その混合前又は混合後に測定した油溶鉄分濃度に基づいて、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値を算出する。
【0028】
ここで、スカム中の油溶鉄分量(上記混合前のスカム中の油溶鉄分量)、圧延油とスカムとの混合物中の油溶鉄分量(上記混合後の模擬洗浄液中の油溶鉄分量)、及び圧延油クーラントとスカムとの混合物中の油溶鉄分量(圧延油クーラント中の油溶鉄分量)は、いずれも、同じスカムに由来するので、同量であるとみなせる。従って、圧延油とスカムとの種々の比率の混合物である各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の理論計算値を算出して、この計算値を洗浄用圧延油クーラントへの種々のスカム混合比率に対応させることができる。
【0029】
洗浄用圧延油クーラントのエマルション濃度は、通常、当該クーラントの一般的な濃度である1~5重量%の間の任意の濃度とすることが適切である。例えば、表1に示すように、圧延油とスカムとを混合して、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントに対するスカムの混合比率が、1.0重量%、2.5重量%、5.0重量%,10.0重量%になる場合に対応させて、スカム混合比率(重量%)に対する油溶鉄分濃度(ppm)の理論計算値を算出する。
【0030】
スカムと圧延油との混合前又は混合後に測定した油溶鉄分濃度は、何れも、ミル洗浄によって生成したスカムに基づくものである。油溶鉄分濃度は、スカムと圧延油の混合前に測定するのが、圧延油の影響が無い状態であることから、好ましい。即ち、予め、洗浄前の圧延油クーラント循環システム配管から採取したスカム中の油溶鉄分濃度を測定しておくことによって、圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度(ppm)の理論計算値を、正確に算出することができる。一方、スカムと圧延油との混合後に、その混合物の油溶鉄分濃度を測定しても、圧延油クーラントへのスカム混合比率に対する油溶鉄分濃度(ppm)の理論計算値を、同様に、算出することができる。
【0031】
スカムの主成分は油分(有機溶剤可溶成分)、鉄分、水分、油溶鉄分であり、油溶鉄分は、スカム中の有機溶剤可溶成分の内で、鉄を含むもので、通常、前記した脂肪酸の鉄石鹸が主成分である。スカム中の油溶鉄分濃度の測定は、例えば、スカムをN-ヘキサン、ジエチルエーテル等の有機溶剤で油分を抽出し、抽出物を燃焼して酸化鉄とし、これを塩酸に溶解して、鉄イオンとする。油溶鉄分濃度を吸光度法で測定する場合は、次いで、この塩酸溶液に、発色剤(例えば、チオシアン酸アンモニウム水溶液)を加えた後、吸光光度計によって、波長480nmの吸光度を測定することによって、行うことができる。尚、スカムと圧延油の混合物の油溶鉄分濃度の測定は、スカムに代えてこの混合物を用いて、同様に測定することができる。
【0032】
上記油溶鉄分濃度を測定する方法としては、上記吸光度法以外にも、例えば、原子吸光分析(AA)法、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、イオンクロマトグラフィー(IC:ion chromatography)法等の金属イオンを測定できる各種方法を採用することもできる。
【0033】
また、例えば、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントに対するスカムの混合比率が、1.0重量%、2.5重量%、5.0重量%,10.0重量%になる場合に対応させて、圧延油にスカムを混合した各模擬洗浄液について、有機溶剤に溶解後、水分を除去し、有機溶剤抽出液をろ過し、有機溶剤を蒸発した後、油溶鉄分濃度を実際に測定することによって、実際に測定した各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度と、前記スカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値とを比較することによって、油溶鉄分濃度の理論計算値の妥当性の確認をすることができる。
【0034】
上記各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の測定は、例えば、N-ヘキサン、ジエチルエーテル等の有機溶剤に、各模擬洗浄液を溶かし、無水硫酸ナトリウムで水分を除去した後、ろ過処理し、ろ液を加熱して溶剤を蒸発させて得られた抽出物を燃焼して酸化鉄とし、これを塩酸に溶解し、吸光度法で測定する場合は、次いで、この塩酸溶液に、発色剤(例えば、チオシアン酸アンモニウム水溶液)を加えた後、吸光光度計によって、波長480nmの吸光度を測定することによって、行うことができる。
【0035】
図1は、後記実施例1~4における、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率(重量%)と、各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度(ppm)の理論計算値及び各模擬洗浄液について油溶鉄分濃度を実際に測定した測定値との関係を示したグラフである。
図1に示されるように、スカム混合比率に対する油溶鉄分濃度の理論計算値と実際に測定した油溶鉄分濃度とはよく一致した。つまり、スカム由来の油溶鉄分濃度を測定しておけば、実際に圧延油クーラントへ混入して洗い落としたスカム量を定量的に確認することができるようになることが分かる。
【0036】
また、
図1に示すように、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントの場合、スカム混合比率が増加するにつれ油溶鉄分濃度が増加するが、10重量%を超えると油溶鉄分である脂肪酸鉄石鹸等がサチュレートするようになるので、本発明測定方法の適用可能なスカム混合比率としては、1.0~10重量%程度の範囲内であるのが好ましく、1.0重量%未満や10重量%を超えると誤差が大きくなる可能性がある。従って、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定は、この範囲内で行うのが、望ましい。
【0037】
(2)スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントの油溶鉄分濃度を測定するステップ
前記の油溶鉄分濃度の理論計算値を算出するステップ後に、洗浄用圧延油クーラントを用いて冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄し、スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントから油分を有機溶剤で抽出後、抽出された油溶鉄分濃度を測定する工程である。一般の圧延油クーラントは、鋼板等の冷間圧延において、その濃度を1~10重量%程度の水性エマルションとして循環使用しているが、洗浄用のものは、通常、10重量程度まで濃度を上げる必要はなく、1~5重量%程度で十分である。ここで、油分とは、有機溶剤に可溶であり、水と相分離する疎水性成分を意味する。
【0038】
洗浄用圧延油クーラントを用いて、実際に、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内を洗浄中に又は洗浄後に、洗浄用圧延油クーラントに混入した、スカム量を前述したようにして測定しておくことによって、次のステップで、混入スカム量を決定することができる。
【0039】
(3)洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定するステップ
スカムが混入した洗浄用圧延油クーラントの油溶鉄分濃度を測定するステップで測定した油溶鉄分濃度を、前記模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の理論計算値と照合することにより、洗浄用圧延油クーラントに混入したスカム量を決定する工程である。即ち、実際に洗浄に使用したクーラントの油溶鉄分濃度を測定し、これに基づく、油溶鉄分濃度を、事前に算出された模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の理論計算値と照らし合わせることによって、容易に、実際の混入スカム量を決定することができる。
【0040】
洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法
本発明の洗浄用圧延油クーラントの寿命判定方法は、冷間圧延機内及び圧延油クーラント循環システム内の洗浄に使用して、スカムが混入したことにより、洗浄力が低下した洗浄用圧延油クーラントのエマルション粒子の平均粒子径が10μmを超えた場合、又はESI(エマルションスタビリティインデックス)が測定不能になった場合に、エマルションの乳化安定性が低下しており、洗浄用圧延油クーラントの交換時期であると判定するものである。
【0041】
洗浄用圧延油クーラントへのスカムの混入によりその洗浄力が低下すると、クーラントの乳化安定性も失われる。従って、クーラントのエマルション粒子の乳化安定性を調べることによりクーラントの洗浄油としての寿命も推定できる。つまり、更にスカムを取り除くには、新しいクーラントに交換して、再度循環洗浄しなければならない。
【0042】
クーラントの乳化安定性は、平均粒子径の測定やESIの測定により、容易に計測することができる。ここで、ESI(エマルションスタビリティインデックス)とは、圧延油エマルションの乳化安定性を評価するための指標で、所定量の圧延油エマルションを、分液ロート等を用いて攪拌後、一定時間(例えば、15分間)静置した後の(下層の圧延油エマルション濃度)/(圧延油エマルション全濃度)を百分率で表したものである。エマルション粒子の平均粒子径が10μmを超えた場合、又はESI測定で、大量のスカムが混入して、攪拌しても均質なエマルションを維持できず、ESIが測定できなくなった場合には、乳化安定性が低下している。
【0043】
あらかじめスカムとミル洗浄に使用する圧延油クーラントとを、例えば、後記表3の実施例5~9に示したように、エマルション濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントに、スカムを混合して、スカムの混合比率を、0.5重量%、1.0重量%、2.5重量%、5.0重量%,10.0重量%と変化させて圧延油クーラントの平均粒子径とESIを測定すると、表3の実施例8、9に示すようにスカムの混入量が5.0重量%を超えると攪拌開始から3分後、10分後、20分後の模擬圧延油クーラントの平均粒子径が10μmを超えて大きくなり、ESIは測定不能になり、洗浄油としてのクーラントの劣化が進んでおり、寿命に達していると考えられ、更に洗浄する場合には、クーラントの交換が必要であると判断できる。
【実施例0044】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって、何ら限定されるものではない。
【0045】
各例における実験方法等は、以下の通りである。
【0046】
試験用のスカム
試験用のスカムは、鋼板の冷間圧延に使用後、洗浄前の実機圧延機の圧延油クーラント循環システム配管から採取したものである。このスカムの構成内容を分析したところ、鉄分36.6重量%、油分28.8重量%(B1とする)、油溶鉄分濃度4.0重量%(40000ppm)(A1とする)、水分10.7重量%であった。このスカムを、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量を測定するための混合試験に用いる。
【0047】
試験用の圧延油
試験用の圧延油としては、大同化学株式会社製の冷間圧延油を使用した。この冷間圧延油の配合成分は、合成エステル、油脂、鉱油、ノニオン乳化剤、極圧剤、消泡剤、酸化防止剤、及び防錆剤である。
【0048】
比較試験用の洗浄剤
洗浄剤aとしては、大同化学株式会社製の水系洗浄剤を使用した。また、洗浄剤bとしては、大同化学株式会社製の油系洗浄剤を使用した。洗浄剤aの配合成分は、ノニオン乳化剤、アルカリ化合物、エーテル化合物、キレート化剤、消泡剤及び水である。洗浄剤bの配合成分は、ノニオン乳化剤、アルカリ化合物、エーテル化合物及び低沸点の炭化水素溶剤である。
【0049】
スカムが混合された、圧延油中又は圧延油クーラント中の油溶鉄分濃度の理論計算値の算出方法
以下の式1を用いて、圧延油中又は圧延油クーラント中のスカム量に基づいて、油溶鉄分濃度の理論計算値(ppm)を算出する。
A=(W1・B1・A1)/(W2+W1・B1) (式1)
式1において、各記号は、以下の通りである。
A:油溶鉄分濃度の理論計算値(ppm)
W1:スカム混合量(g);圧延油クーラントの場合は、クーラントの比重を1とみなして、スカム混合重量%×クーラント容量=スカム混合量(g)により、算出しておく(例えば、濃度4重量%の圧延油クーラント10000Lにおいて、5重量%のスカムが混入している場合のスカム混合量は、W1=10000×0.05=500(kg)となる。)
B1:スカム中の油分の割合(重量%);採取したスカムの組成によって変わる。前記試験用スカムでは28.8重量%
A1:スカム中の油溶鉄分濃度(ppm);採取したスカムの組成によって変わる。前記試験用スカムでは40000ppm
W2:圧延油重量(g);圧延油クーラントの場合は、クーラントの比重を1とみなして、圧延油重量%×クーラント容量=圧延油重量(g)により、算出しておく(例えば、濃度4重量%の圧延油クーラント10000Lにおいては、W2=10000×0.04=400(kg)となる。)
【0050】
抽出した油分の前処理及び油分中の油溶鉄分濃度の測定方法
油分サンプルの前処理及びその油溶鉄分濃度の測定は、次の方法でおこなった。即ち、突沸防止のためガーゼを入れたるつぼに、一定量(0.1~0.3g)の油分サンプルを入れ、ガスバーナーで十分焼き鉄分を酸化鉄にする。その後、工業用塩酸をるつぼに入れて加熱し、酸化鉄を完全に溶解させ、その溶液に発色剤であるチオシアン酸アンモニウム水溶液を加え、吸光光度計(480 nm)により油溶鉄分濃度を測定した。
【0051】
洗浄用圧延油クーラントの寿命の判定方法
圧延油クーラントのエマルション粒子の乳化安定性を、圧延油クーラントのエマルション粒子の平均粒子径が10μmを超えた場合、又はESI(エマルションスタビリティインデックス)を、以下の様にして評価して、その寿命を判定した。
【0052】
粒子径:コールターカウンター(BECKMANCOULTER社製「Multisizer 3」)を用いて、圧延油クーラントのエマルション粒子の平均粒子径とその分布を測定して調べた。
【0053】
ESI(エマルションスタビリティインデックス):所定量の圧延油クーラントを20分間攪拌後のエマルションを分液ロートに入れ、一定時間(15分)静置後の下層エマルションを採取し、下層の圧延油エマルション濃度と圧延油エマルション全濃度を測定し、ESI(%)=[(下層の圧延油エマルション濃度)/(圧延油エマルション全濃度)]×100を算出する。大量のスカムが混入することで、攪拌しても均質なエマルションを維持できない場合は、ESIは測定不能となる。
【0054】
実施例1~4及び比較例1~2
模擬洗浄液の調製と油溶鉄分濃度の測定
下記表1に示した通り、所定量(g、W2)の圧延油又は洗浄剤a若しくはbと、各混合量(g、W1)の試験用スカムとを、ビーカーに入れ、室温において、よく混合して各模擬洗浄液を調製した。表1において、スカム混合比率(重量%)は、各模擬洗浄液を圧延油又は洗浄剤の濃度が4.0重量%の洗浄用クーラント800gであるとしたときの混合比率を示す。
【0055】
【0056】
得られた各模擬洗浄液について、ジエチルエーテルに各混合比率の模擬洗浄液を溶かし、無水硫酸ナトリウムで水分を除去した後、ろ過処理し、ろ液を加熱して溶剤を蒸発させ抽出した油分中の鉄分量を吸光度法で求めて、油溶鉄分濃度を測定した。この測定を二回行った。この二回の測定値(ppm)と、前記式1で計算した各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の理論計算値(ppm)との比較結果を、表2に示した。また、
図1に、各模擬洗浄液の油溶鉄分濃度の理論計算値(ppm)及び各油溶鉄分濃度の実際の測定値(ppm)を、濃度4.0重量%の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混合比率(重量%)に対応させて、プロットした。
図1における測定値は、上記二回の測定値の平均値である。
【0057】
【0058】
表2及び
図1の実施例1~4の結果から、各模擬洗浄液に比率を変えて混合したスカムから計算される油溶鉄分濃度の理論計算値と、実際に吸光度から鉄分を測定した油溶鉄分濃度の測定値とを比較すると非常に良い一致が得られた。これによって、採取したスカムからの油溶鉄分濃度に基づいて、油溶鉄分濃度を測定することによりスカム混入量(混合量)を予測できることが確認できた。
【0059】
一方、比較例1~2の比較用洗浄剤a又はbからの油溶鉄分濃度の理論計算値(ppm)と測定値(ppm)との比較では、大きな違いが見られる。比較例1の水系洗浄剤aの主成分は水であるため油分抽出の過程で、無水硫酸ナトリウムに水が吸収されるので、油溶鉄分濃度の測定値が理論計算値よりかなり高い値となった。比較例2の洗浄剤bの場合は、主成分が低沸点の炭化水素溶剤であるため、油分抽出の過程で、ジエチルエーテルと一緒に蒸発してしまうために、油溶鉄分濃度の測定値が理論計算値よりも高い値となる。結果として、これらの比較用洗浄剤には、本発明の測定方法を適用することができないことがわかる。
【0060】
実施例5~9
スカムを混合した圧延油クーラントの乳化安定性評価
表3に示した各混合比率となるスカムを、大同化学(株)製の冷間圧延油に混合し、水で希釈して、エマルション濃度が4.0重量%の各洗浄用圧延油クーラントの模擬液を調製した。各洗浄用圧延油クーラントの摸擬液を、80℃において、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで攪拌した場合の乳化安定性を調査するために、3分攪拌後、10分攪拌後、20分攪拌後の平均粒子径を測定した結果を表3に示す。使用したホモジナイザーの機種名は、プライミクス株式会社製「T.K.HOMOMIXER MARK II Model 2.5」である。尚、表3において、*は測定不能を表す。
【0061】
【0062】
表3の結果から、実施例8や9のようにスカム混合比率が5.0重量%、10重量%と多い場合に、攪拌時間が10分を超えると時間とともに平均粒子径が肥大し続けるものに関して、粒子径が大きくなると浮力により油が浮上しやすくなるために油滴間にスカムを抱き込む能力が低下する。その場合は、洗浄用クーラントとしての寿命に至ったと判定した。また、ESI値の比較においても、スカム混合比率が5.0重量%、10重量%と多い場合には、スカム混合によって、測定不能となり、洗浄用クーラントとしての寿命に至ったと判定した。
本発明の洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量の測定方法によれば、簡便な方法で、洗浄用圧延油クーラントへのスカム混入量評価を行うことができるので、冷間圧延機の定期修理や圧延油クーラントの切り替え等において好適に利用される。