(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030874
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】点火装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/20 20060101AFI20240229BHJP
F23Q 3/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F23N5/20 102Z
F23N5/20 B
F23Q3/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134075
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】大谷 忠之
【テーマコード(参考)】
3K005
【Fターム(参考)】
3K005GA07
(57)【要約】
【課題】点火器に供給される電力が大きいと点火器で発生する火花放電も大きくなる。火花放電が生じると電磁波ノイズが発生し、火花放電が大きいほど電磁波ノイズが大きくなる。そのため、必要以上の電力を点火器に供給すると、不必要な電磁波ノイズが発生してしまうという不具合がある。
【解決手段】点火器に供給する電力を前回の点火時より低減させる電力変更手段と、点火に失敗した際に前回点火に成功した際の電力を上記点火器に供給する実行電力として記憶し、上記電力変更手段によって実行電力を低減することなく上記点火器に供給して点火を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の燃料が噴出するバーナの近傍に点火器を配設し、この点火器に電力を供給して点火器に火花放電を発生させて上記燃料に点火する点火装置において、上記点火器に供給する電力を前回の点火時より低減させる電力変更手段と、点火に失敗した際に前回点火に成功した際の電力を上記点火器に供給する実行電力として記憶し、上記電力変更手段によって実行電力を低減することなく上記点火器に供給して点火を行うことを特徴とする点火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花放電によって燃料に点火する点火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナであればガスバーナから可燃性のガスを噴出させ、石油バーナであればノズルから燃料である石油を霧状に噴出させた状態で点火器で火花放電を発生させて点火を行う。燃料の種類によって点火の難易度が相違するので、市場で使用されると予測される燃料のいずれが使用されても確実に点火できる余蘊寺、点火器には必要以上の電力を供給するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-199624号公報([0012]、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点火器に供給される電力が大きいと点火器で発生する火花放電も大きくなる。火花放電が生じると電磁波ノイズが発生し、火花放電が大きいほど電磁波ノイズが大きくなる。そのため、必要以上の電力を点火器に供給すると、不必要な電磁波ノイズが発生してしまうという不具合がある。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、点火器に必要最小限の電力を供給することによって電磁波ノイズの発生を可及的に抑制することのできる点火装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による点火装置は、可燃性の燃料が噴出するバーナの近傍に点火器を配設し、この点火器に電力を供給して点火器に火花放電を発生させて上記燃料に点火する点火装置において、上記点火器に供給する電力を前回の点火時より低減させる電力変更手段と、点火に失敗した際に前回点火に成功した際の電力を上記点火器に供給する実行電力として記憶し、上記電力変更手段によって実行電力を低減することなく上記点火器に供給して点火を行うことを特徴とする。
【0007】
初期設定では点火器に大きな電力を供給するように設定していても、使用中に順次電力を低減させて必要最小限の電力を実行電力として点火し続ける。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明は、点火器に供給する電力を必要最小限に設定できるので、電磁波ノイズの発生を可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、1は点火器であり、この点火器1には駆動回路11から電力が供給され、金属製のノズル2との間に火花放電を発生させるためのものである。駆動回路11には電源12からの電力を高電圧に変換して点火器1に供給するものであり、この点か1に供給する電力を複数段階に増減調節することができる。
【0011】
上記ノズル2にはタンク22内の石油燃料がポンプ21によって圧送されるように構成されており、図外の点火ボタンによって点火操作がされると点火シーケンスが作動して、ポンプ21が作動し、ノズル2から石油燃料が霧状に噴出する。その状態で点火器1に電力が供給され、ノズル2と点火器1の間に火花放電が生成され、ノズル2から噴出している霧状の石油燃料に点火される。
【0012】
図2を参照して、上記のように点火操作がされると(S1)、駆動回路11内の記憶部からN値を呼び出す(S2)。このN値は点火器1に供給する電力の大きさに対応して設定されている値であり、N値が大きいほど多くの電力が点火器1に供給される。本実施の形態では後述するように、5段階(0~5)に設定している。そして、最初はN値として最大出力(MAX)の「5」が記憶部に格納されている。
【0013】
すなわち、最初に点火操作がされた状態では、点火器1には最大の大きさの電力が供給されて点火シーケンスが開始される(S3)。点火シーケンスが開始されると所定時間内に点火が確認されると点火成功と判断されるが、所定時間内に点火しないと点火成功とは判断されない(S4)。
【0014】
最初の点火操作時には上述のようにN=5で最大の大きさの電力が点火器1に供給されるので必ず点火は成功するが、例えばN=2で点火操作が実施された場合には点火に成功しない場合が生じる。その場合にはN値に1を加えた値を新たなN値として再度点火シーケンスを実行する(S5、S3)。
【0015】
点火が成功した場合には、その点火時のN値が前回のN値と変化しているかをチェックした後(S6)、N値から1を引いた値を新たなN値として(S7)、次の点火操作時に備えて待機する。ちなみに最初の点火時では前回のN値は存在しないので、S6からS7へと流れる。
【0016】
また、最初の点火操作時にはS6時にはN=5であるが、2回目の点火操作時に点火が成功していればS6時にはN=4になっている。さらに3回目の点火操作時にも点火が成功していれば、S6時にはN=3であり、続くS7でN=2に設定される。
【0017】
N=2では点火できない場合にはS5でN=3に戻されるので、再点火シーケンス時に点火は成功してS6時にはN=3になっている。次のS7で再びN=2になるが、そのままでは点火できないので、次の点火操作がされた際にはS6時にはN=3になっている。
【0018】
ここで、S6で例えば3回連続してN値が変化しなければ、すなわち上記の例では3回連続してN=3であれば、S7をパスして次回の点火操作に備えるようにした。このため、それ以降はN値は3に固定されることになる。
【0019】
このN値は、
図3に示すように、左側のように最大電力を5とし、供給電力が無い状態を0としてもよいが、右側に示すように、最大電力を5とし、電力が60%を0として5段階に分けてもよい。また、5段階に分ける際に図示のように均等に分けてもよいが、必ずしも均等に分割する必要はない。
【0020】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0021】
1 点火器
2 ノズル
11 駆動回路
12 電源
21 ポンプ
22 タンク