(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030884
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240229BHJP
B65H 16/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H16/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134089
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 工
(72)【発明者】
【氏名】赤津 昇司
(72)【発明者】
【氏名】黒飛 周平
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060BA05
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA12
(57)【要約】
【課題】印刷装置を低く構成する。
【解決手段】長尺状の媒体Mに印刷する印刷部8と、巻回された媒体Mの第1巻き芯または媒体Mを巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部15を有する1対の保持部3と、保持部3を支持する支持部19と、を備え、支持部19は、前記巻き芯の延設方向と直行する方向のうち前記保持部から前記支持部に向かう方向である第1方向において保持部3よりも印刷部8側に配置される印刷装置1。このような構成の印刷装置1とすることで、印刷装置1を低く構成することが可能になる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の媒体に印刷する印刷部と、
巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、
前記保持部を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記巻き芯の延設方向と直行する方向のうち前記保持部から前記支持部に向かう方向である第1方向において前記保持部よりも前記印刷部側に配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記支持部は、前記延設方向に延設され、前記保持部を前記延設方向に沿って移動可能に支持することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
規制部を備え、
前記規制部は、前記第1方向において、前記支持部を基準として前記保持部とは反対側に配置され、前記支持部を回転軸として回転可能に支持される前記保持部の回転を規制することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載された印刷装置において、
前記印刷部と対向して配置され前記媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部を支持する複数の脚部と、前記複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、
前記繋ぎ部は、前記規制部の役割を兼ねていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記第1巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する前記保持部としての1対の第1保持部と、
前記第1保持部を支持する前記支持部としての第1支持部と、
前記第2巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する前記保持部としての1対の第2保持部と、
前記第2保持部を支持する前記支持部としての第2支持部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載された印刷装置において、
第1規制部と、第2規制部と、前記印刷部と対向して配置され前記媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部を支持する複数の脚部と、前記複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、
前記第1規制部は、前記第1支持部を基準として前記第1保持部とは反対側に配置され、前記第1支持部を第1回転軸として回転可能に支持される前記第1保持部の回転を規制し、
前記第2規制部は、前記第2支持部を基準として前記第2保持部とは反対側に配置され、前記第2支持部を第2回転軸として回転可能に支持される前記第2保持部の回転を規制し、
前記繋ぎ部は、前記第1規制部及び前記第2規制部の役割を兼ねていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記支持部は、前記第1方向に沿って見たときに前記挿入部と少なくとも一部が重なる位置に配置されることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な印刷装置が使用されている。このうち、ロール状の媒体に画像を形成することが可能な印刷装置がある。例えば、特許文献1には、ロール状の媒体を保持する保持部と、画像が形成された媒体をロール状に巻き取る巻取部と、を備える印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の印刷装置のような、ロール状の媒体を保持する保持部や画像が形成された媒体をロール状に巻き取る巻取部などを備える印刷装置においては、媒体が巻かれる紙管などを幅方向の両側から挟み込むために、保持部や巻取部の幅方向への移動を可能にするレールなどが保持部や巻取部の下部に設けられることが一般的である。しかしながら、このような構成にすると、印刷装置が高さ方向において大きくなる傾向になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、長尺状の媒体に印刷する印刷部と、巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、前記保持部を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記巻き芯の延設方向と直行する方向のうち前記保持部から前記支持部に向かう方向である第1方向において前記保持部よりも前記印刷部側に配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】
図1の印刷装置の保持部周辺を表す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、長尺状の媒体に印刷する印刷部と、巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、前記保持部を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記巻き芯の延設方向と直行する方向のうち前記保持部から前記支持部に向かう方向である第1方向において前記保持部よりも前記印刷部側に配置されることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、巻回された媒体の第1巻き芯または媒体を巻回するための第2巻き芯の挿入部を有する1対の保持部と保持部を支持する支持部とを備え、支持部は前記巻き芯の延設方向と直行する方向のうち前記保持部から前記支持部に向かう方向である第1方向において保持部よりも印刷部側に配置される。すなわち、保持部の幅方向への移動を可能にする支持部を、保持部の下部ではなく、保持部に対して水平方向に並べて配置することができる。したがって、印刷装置を低く構成することが可能になる。
【0009】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記支持部は、前記延設方向に延設され、前記保持部を前記延設方向に沿って移動可能に支持することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、支持部は、延設方向に延設され、保持部を延設方向に沿って移動可能に支持する。このため、媒体が巻かれる紙管などの巻き芯を幅方向の両側から容易に挟み込むことができる。
【0011】
本発明の第3の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、規制部を備え、前記規制部は、前記第1方向において、前記支持部を基準として前記保持部とは反対側に配置され、前記支持部を回転軸として回転可能に支持される前記保持部の回転を規制することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、保持部は支持部を回転軸として回転可能に支持され、回転軸を基準として保持部とは反対側に保持部の回転を規制する規制部を備える。このため、保持部及び支持部の構成を簡単な構成とすることができ、保持部が支持部を回転軸として回転してしまうことを抑制することもできる。
【0013】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第3の態様において、前記印刷部と対向して配置され前記媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部を支持する複数の脚部と、前記複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、前記繋ぎ部は、前記規制部の役割を兼ねていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、繋ぎ部は規制部の役割を兼ねている。複数の脚部を繋ぐ構成とすることで装置の剛性を高くすることができ、保持部が支持部を回転軸として回転してしまうことを抑制する構成を複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部という簡単な構成で達成することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記第1巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する前記保持部としての1対の第1保持部と、前記第1保持部を支持する前記支持部としての第1支持部と、前記第2巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する前記保持部としての1対の第2保持部と、前記第2保持部を支持する前記支持部としての第2支持部と、を有することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、保持部としての1対の第1保持部及び第2保持部と、支持部としての第1支持部及び第2支持部と、を有する。このため、巻回された媒体の第1巻き芯及び媒体を巻回するための第2巻き芯の両方を保持する構成において、印刷装置を特に低く構成することが可能になる。
【0017】
本発明の第6の態様の印刷装置は、前記第5の態様において、第1規制部と、第2規制部と、前記印刷部と対向して配置され前記媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部を支持する複数の脚部と、前記複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、前記第1規制部は、前記第1支持部を基準として前記第1保持部とは反対側に配置され、前記第1支持部を第1回転軸として回転可能に支持される前記第1保持部の回転を規制し、前記第2規制部は、前記第2支持部を基準として前記第2保持部とは反対側に配置され、前記第2支持部を第2回転軸として回転可能に支持される前記第2保持部の回転を規制し、前記繋ぎ部は、前記第1規制部及び前記第2規制部の役割を兼ねていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1保持部は第1支持部を第1回転軸として回転可能に支持され、第1回転軸を基準として第1保持部とは反対側に第1保持部の回転を規制する第1規制部を備え、第2保持部は第2支持部を第2回転軸として回転可能に支持され、第2回転軸を基準として第2保持部とは反対側に第2保持部の回転を規制する第2規制部を備え、また、複数の脚部と複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部とを備え、繋ぎ部は第1規制部及び第2規制部の役割を兼ねている。このため、複数の脚部を繋ぐ構成とすることで装置の剛性を高くすることができ、第1保持部が第1支持部を回転軸として回転してしまうことと第2保持部が第2支持部を回転軸として回転してしまうこととの両方を抑制する構成を複数の脚部を繋ぐ繋ぎ部という簡単な構成で達成することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記支持部は、前記第1方向に沿って見たときに前記挿入部と少なくとも一部が重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、支持部は第1方向に沿って見たときに挿入部と少なくとも一部が重なる位置に配置される。このため、印刷装置を特に低く構成することが可能になる。
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、
図1を参照して本発明の一実施例に係る印刷装置1の概要について説明する。なお、
図1においては、構成を分かり易くするために一部の構成部材を省略して表している。ここで、図中のX軸方向は水平方向であって媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持する保持部3の回転軸(後述のパイプ19)の延びる方向であり、Y軸方向は水平方向であるとともに印刷装置1の前後方向であってX軸方向と直交する方向、Z軸方向は鉛直方向である。また、以下においては、矢印方向を+方向、矢印方向と反対方向を-方向とする。例えば、鉛直上方向は+Z方向、鉛直下方向は-Z方向、印刷装置1の前方は+Y方向、印刷装置1の後方は-Y方向とする。
【0022】
本実施例の印刷装置1は、本体部2を備えており、本体部2のX軸方向の両端部分には、脚部13が取り付けられている。脚部13は後述の媒体支持部4、媒体支持部10及び媒体支持部11を支持している。また、本実施例の印刷装置1は、本体部2の後方側である-Y方向側に媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持する保持部3として第1保持部3Aを備えている。第1保持部3Aは、ロール体R1から媒体Mを本体部2に送り出す送出部の役割をしており、X軸方向の両側に配置された脚部13を繋ぐ後述のパイプ19(パイプ19A)に取り付けられたアーム部14(アーム部14A)に設けられている。
【0023】
そして、本実施例の印刷装置1においては、媒体Mを搬送方向である第1方向A1に搬送する際、X軸方向に沿う回転軸を有する第1保持部3Aに設けられた後述の挿入部15Aは回転方向Cに回転する。挿入部15Aはロール体R1の巻き芯(第1巻き芯)である紙管に挿入する部材である。また、媒体Mを第1方向A1とは反対方向の逆搬送方向である第2方向A2に搬送する際、X軸方向に沿う回転軸を有する挿入部15Aは回転方向Cとは逆方向に回転する。なお、本実施例では画像が形成される印刷面が外側になるように巻かれているロール体R1を使用しているが、印刷面が内側になるように巻かれているロール体R1を使用する場合は、保持部3は回転方向Cとは逆方向に回転してロール体R1から媒体Mを送り出すことが可能である。
【0024】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを支持する媒体支持部4、媒体支持部10及び媒体支持部11などからなる媒体Mの搬送経路を備えている。また、印刷装置1は、該搬送経路において媒体Mを第1方向A1及び第2方向A2に搬送するための搬送部として、駆動ローラー5と従動ローラー6とからなるローラー対7を備えている。なお、本実施例の印刷装置1では、駆動ローラー5は第1方向A1及び第2方向A2と交差する幅方向Bに延びるローラーで構成されており、従動ローラー6は駆動ローラー5と対向する位置において駆動ローラー5に対して幅方向Bに複数並べて設けられている。ただし、搬送部の構成に特に限定はない。
【0025】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体支持部10と対向する位置に、複数のノズルが設けられ該ノズルからインクを吐出して画像を形成する印刷部としてのヘッド8と、該ヘッド8を搭載して幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ9と、を備えている。なお、本実施例の印刷装置1では、媒体支持部10上のヘッド8と対向する位置における第1方向A1は+Y方向で第2方向A2は-Y方向であり、ヘッド8の移動方向である幅方向BはX軸方向に沿う方向であり、インクの吐出方向は-Z方向である。
【0026】
上記のような構成により、ヘッド8は、第1方向A1及び第2方向A2と交差する方向である幅方向Bに往復移動しながら、搬送される媒体Mに不図示のノズルからインクを吐出して画像を形成することが可能である。本実施例の印刷装置1は、所定の搬送量で媒体Mを第1方向A1に搬送させることと、媒体Mを停止した状態でヘッド8を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を送り返すことで、媒体Mに所望の画像を形成可能である。ただし、このような構成のヘッドの代わりにインクを吐出するノズルがX軸方向全体に亘り設けられる所謂ラインヘッドを備える構成であってもよい。
【0027】
また、第1方向A1における媒体支持部11の下流には、第1方向A1に搬送される媒体Mをロール状に巻き取ってロール体R2とする巻取部としての保持部3(第2保持部3B)が設けられている。なお、本実施例の印刷装置1においては、第1保持部3Aと第2保持部3Bとは同様の構成をしており、第2保持部3Bに設けられた後述の挿入部15Bは回転方向Cに回転する。挿入部15Bはロール体R2の巻き芯(第2巻き芯)である紙管を挿入する部材である。第2保持部3Bは、X軸方向の両側の脚部13を繋ぐ後述のパイプ19(パイプ19B)に取り付けられたアーム部14(アーム部14B)に設けられている。
【0028】
以下に、
図2から
図4を参照して、本実施例の印刷装置1の要部について詳細に説明する。なお、上記の通り第1保持部3Aと第2保持部3Bとは同様の構成をしているので、
図2においては、構成を見やすくするため、第1保持部3Aはアーム部14Aを含め省略されて表されている。ここで、第1保持部3A及び第2保持部3Bともに、保持部3は、挿入部15と、挿入部15が形成されたアーム部14と、支持部としてのパイプ19と、パイプ19を回転軸としたアーム部14の回転を規制する規制部であるステー16と、を有しているとみなすことができる。
【0029】
図3で表されるように、本実施例の印刷装置1は、長尺状の媒体Mに印刷するヘッド8と、巻回された媒体Mの第1巻き芯に対して第1巻き芯の延設方向であるX軸方向の外側から挿入する挿入部15としての挿入部15Aを有する1対の第1保持部3Aと、第1保持部3Aを支持する支持部としてのパイプ19Aと、を備え、パイプ19Aは、第1巻き芯の延設方向と直行する方向のうち第1保持部3Aからパイプ19Aに向かう方向である第1方向としてのY軸方向において第1保持部3Aよりもヘッド8側(+Y方向側)に配置されている。同様に、
図2及び
図3で表されるように、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを巻回するための第2巻き芯に対して第2巻き芯の延設方向であるX軸方向の外側から挿入する挿入部15Bを有する1対の第2保持部3Bと、第2保持部3Bを支持する支持部としてのパイプ19Bと、を備え、パイプ19Bは、水平方向において第2保持部3Bよりもヘッド8側(-Y方向側)に配置されている。
【0030】
このように、本実施例の印刷装置1は、巻回された媒体Mの第1巻き芯または媒体Mを巻回するための第2巻き芯に挿入する挿入部を有する1対の保持部3と保持部3を支持するパイプ19とを備え、パイプ19は水平方向において保持部3よりもヘッド8側に配置されている。すなわち、保持部3の幅方向Bへの移動を可能にするパイプ19を、保持部3の下部ではなく、保持部3に対して水平方向に並べて配置することができている。したがって、本実施例の印刷装置1は、高さ方向において低く構成することができている。また、本実施例の印刷装置1のように、パイプ19を保持部3の下部に設けない構成とすることで、例えば、フォークリフトを用いて印刷装置1を移動させる場合などにおいてパイプ19が邪魔になることを抑制することもできる。なお、巻回された媒体Mのロール体R1は重いものが多いが、挿入部3aの位置を低くすることができることで、ロール体R1を持ち上げる高さを低くでき、さらにロール体R1がセットされる位置の下側にスペースが空くので、ロール体R1をセットする際の負荷を減らすことができる。
【0031】
詳細には、本実施例の印刷装置1においては、パイプ19Aは水平方向に沿って見たときに挿入部15Aと少なくとも一部が重なる位置に配置され、パイプ19BはY軸方向に沿って見たときに挿入部15Bと少なくとも一部が重なる位置に配置されている。このように、パイプ19が水平方向に沿って見たときに挿入部15と少なくとも一部が重なる位置に配置されることで、印刷装置1を特に低く構成することが可能になる。
【0032】
また、パイプ19は、パイプ19A及びパイプ19Bともに、延設方向であるX軸方向に延設され、保持部3を延設方向に沿って移動可能に支持する。このような構成とすることで、媒体Mが巻かれる紙管などの巻き芯を幅方向Bの両側から容易に挟み込むことができる。
【0033】
また、
図2及び
図3で表されるように、保持部3は、第1保持部3A及び第2保持部3Bともに、パイプ19を回転軸とした回転方向に回転可能に支持されている。そして、本実施例の印刷装置1においては、パイプ19を基準として保持部3とは第1方向としてのY軸方向における反対側に、保持部3の回転を規制する規制部としての役割をするステー16を備えている。詳細には、アーム部14の挿入部15が設けられる側とは反対側の端部がステー16に当接することで保持部3の回転は規制される。このため、保持部3及びパイプ19の構成を簡単な構成とすることができ、保持部3がパイプ19を回転軸として回転してしまうことを抑制することもできる。
【0034】
詳細には、本実施例の印刷装置1は、ヘッド8と対向して配置される媒体支持部10と、媒体支持部10を支持する2本の脚部13を備え、ステー16は2本の脚部13を繋ぐ繋ぎ部としての役割を兼ねている。このように複数の脚部13を繋ぐ構成とすることで装置の剛性を高くすることができ、また、保持部3がパイプ19を回転軸として回転してしまうことを抑制する構成を複数の脚部13を繋ぐ繋ぎ部という簡単な構成で達成することができる。
【0035】
なお、
図4で表されるように、本実施例の印刷装置1においては、保持部3が延設方向に沿って移動しやすいように、ステー16とアーム部14との当接部分の摩擦力が大きくなりすぎないように、アーム部14のステー16に対する当接部14aは、凸状部材となっている。当接部14aを凸状部材とすることで、ステー16とアーム部14との当接部分の接触面積を減らすことができ、該当接部分の摩擦力が大きくなりすぎないようにすることができる。ただし、このような構成に限定されない。例えば、凸状部材の代わりにローラーなどを設けてもよい。
【0036】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1は、第1保持部3Aと第2保持部3Bとは同様の構成をしている。したがって、本実施例の印刷装置1は、第1巻き芯に対して巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部15Aを有する保持部3としての1対の第1保持部3Aと、第1保持部3Aを支持する支持部としての第1支持部であるパイプ19Aと、を有するとともに、本実施例の印刷装置1は、第2巻き芯に対して巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部15Bを有する保持部3としての1対の第2保持部3Bと、第2保持部3Bを支持する支持部としての第2支持部であるパイプ19Bと、を有すると表現することができる。本実施例の印刷装置1は、このような構成をしているため、巻回された媒体Mの第1巻き芯及び媒体Mを巻回するための第2巻き芯の両方を保持する構成において、印刷装置1を特に低く構成することが可能になっている。
【0037】
さらに詳細には、本実施例の印刷装置1は、第1保持部3Aがパイプ19Aを第1回転軸として回転可能に支持され、第1回転軸を基準として第1保持部3Aとは反対側に第1保持部3Aの回転を規制する第1規制部としての役割をするステー16を備えている。また、本実施例の印刷装置1は、第2保持部3Bがパイプ19Bを第2回転軸として回転可能に支持され、第2回転軸を基準として第2保持部3Bとは反対側に第2保持部3Bの回転を規制する第2規制部としての役割もするステー16を備えている。さらに、本実施例の印刷装置1は、ヘッド8と対向して配置される媒体支持部10と、媒体支持部10を支持する複数の脚部13と複数の脚部13を繋ぐ繋ぎ部としての役割をするステー16を備えている。すなわち、繋ぎ部としてのステー16は、第1規制部及び第2規制部の役割を兼ねている。このため、本実施例の印刷装置1は、複数の脚部13を繋ぐ構成とすることで装置の剛性を高くすることができ、第1保持部3Aがパイプ19Aを回転軸として回転してしまうことと第2保持部3Bがパイプ19Bを回転軸として回転してしまうこととの両方を抑制する構成を複数の脚部13を繋ぐステー16という簡単な構成で達成することができている。
【0038】
なお、本実施例の印刷装置1においては、
図3で表されるように、パイプ19A及びパイプ19Bはいずれも断面が円形となっている。このため、保持部3がパイプ19を回転軸として回転しやすい構造となっているが、パイプ19の断面が円形になるように支持部を構成することで、支持部の延設方向に沿った保持部3の移動をさせ易くなる。ただし、このような構成に限定されない、例えば、保持部3を支持する支持部の断面が矩形であってもよい。保持部3を支持する支持部の断面が矩形のような多角形である場合、保持部3の回転抑制構造を簡素化することができる。
【0039】
また、本実施例の印刷装置1においては、
図3で表されるように、脚部13にY軸方向に延設される軸部131が設けられ、軸部131にパイプ19の支持機構191が取り付けられている。支持機構191にはY軸方向に長い長孔191aが設けられ、長孔191aを通して軸部131に支持機構191をネジ留めすることで、軸部131に支持機構191が取り付けられている。このような構成となっていることで、概ね長孔191aのY軸方向の長さのぶん、Y軸方向における軸部131に対する支持機構191の位置を調整可能になっている。すなわち、Y軸方向における脚部13に対するパイプ19の位置を調整可能になっている。ただし、このような構成に限定されない。
【0040】
また、本実施例の印刷装置1においては、ステー16は脚部13に対してネジ留めされているが、ステー16を脚部13に対してネジ留めするためのネジを通す孔は、ネジの軸部よりも広く作られている。このため、ネジを通す孔とネジの軸部との隙間のぶん、ステー16を脚部13に対して、水平方向、鉛直方向、X軸方向を回転軸とする回転方向に、調整可能になっている。このように、ステー16を脚部13の位置に対して位置を調整可能にすることで、例えば、ロール体R2の巻きずれを軽減することができる。ただし、このような構成に限定されない。
【0041】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…印刷装置、2…本体部、3…保持部、3A…第1保持部、3B…第2保持部、4…媒体支持部、5…駆動ローラー、6…従動ローラー、7…ローラー対、8…ヘッド(印刷部)、9…キャリッジ、10…媒体支持部、11…媒体支持部、13…脚部、14…アーム部、14A…アーム部、14B…アーム部、14a…当接部、15…挿入部、15A…挿入部、15B…挿入部、16…ステー(規制部、第1規制部、第2規制部、繋ぎ部)、19…パイプ(支持部、回転軸)、19A…パイプ(第1支持部、第1回転軸)、19B…パイプ(第2支持部、第2回転軸)、131…軸部、191…支持機構、191a…長孔、M…媒体、R1…ロール体、R2…ロール体