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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030893
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】弁装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/44 20060101AFI20240229BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16K1/44 A
F16K31/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134104
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】河井 伸二
(72)【発明者】
【氏名】中島 一真
【テーマコード(参考)】
3H052
3H062
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA21
3H052CA12
3H052CC03
3H052CD02
3H052EA03
3H062AA02
3H062BB31
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062GG04
3H062HH02
(57)【要約】
【課題】多方ポペット弁構造を有する弁装置につき、複数の弁座に対応した複数の弁体を一つの弁軸に自由度を確保しながら固定すること。
【解決手段】弁装置1は、流路2を有するハウジング3と、流路に設けられた二つの弁座4,5と、各弁座に着座可能な二つの弁体6,7と、弁体が設けられた弁軸8と、弁軸を往復動させるロータ23を含むステップモータ9と、弁軸に設けられた雄ねじ10に螺合されるロータの雌ねじ31とを含む。流路は、各弁座を境にステップモータに近い側と遠い側に分かれ、分かれた流路に各弁体が配置される。ハウジングは、第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とに分割される。弁装置の製造方法は、両ハウジング部の少なくとも一方の流路に突出させた弁軸に各弁体を固定する工程と、その後に弁座が同軸上に直列に配置されると共に弁体が各弁座に整合するように両ハウジング部を結合する工程とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を有するハウジングと、
前記流路にて同軸上に直列に設けられた複数の弁座と、
複数の前記弁座それぞれに対して着座可能に設けられた複数の弁体と、
複数の前記弁体が同軸上に直列に設けられた弁軸と、
前記弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に複数の前記弁体が固定され、前記他端側に第1ねじが設けられることと、
前記弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、
前記アクチュエータは、前記第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、
前記流路は、それぞれの前記弁座を境として前記アクチュエータに近い側と前記アクチュエータから遠い側に分かれ、前記アクチュエータに近い側又は前記アクチュエータから遠い側にて対応する前記弁体が前記弁座に着座可能に配置されることと
を備えた弁装置の製造方法において、
前記ハウジングは、複数の前記弁座のうち前記アクチュエータに最も近い前記弁座の近傍にて、第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割されて構成されており、前記第1ハウジング部及び前記第2ハウジング部は、それぞれ前記流路の一部を含み、
前記第1ハウジング部及び前記第2ハウジング部の少なくとも一方の前記流路に突出させた前記弁軸の前記一端側に複数の前記弁体を固定する工程と、
前記弁体の固定後に、複数の前記弁座が同軸上に直列に配置されると共に、複数の前記弁体が対応する前記弁座に整合するように前記第1ハウジング部と前記第2ハウジング部とを結合する工程と
を備えたことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項2】
流体の流路を有するハウジングと、
前記流路にて同軸上に直列に設けられた複数の弁座と、
複数の前記弁座それぞれに対応して着座可能に設けられた複数の弁体と、
複数の前記弁体が同軸上に直列に設けられた弁軸と、
前記弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に複数の前記弁体が固定され、前記他端側に第1ねじが設けられることと、
前記弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、
前記アクチュエータは、前記第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、
前記流路は、それぞれの前記弁座を境として前記アクチュエータに近い側と前記アクチュエータから遠い側に分かれ、前記アクチュエータに近い側又は前記アクチュエータから遠い側にて対応する前記弁体が前記弁座に着座可能に配置されることと
を備えた弁装置の製造方法において、
前記ハウジングは、前記流路に、少なくとも最も前記アクチュエータに近い位置に組み付けられる前記弁体の直径より大きい径を有すると共に前記弁座を保持可能な組み付け孔を含み、
前記ハウジングの前記流路に突出させた前記弁軸の前記一端側に、前記組み付け孔を介して少なくとも一つの前記弁体を固定する工程と、
前記弁体の固定後に、前記組み付け孔に少なくとも一つの前記弁座を組み付ける工程と
を備えたことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、
複数の前記弁体が一体的に組み付けられた組み弁体を更に備え、
複数の前記弁体を固定する工程では、前記組み弁体を前記弁軸の前記一端側に組み付け、その組み付け後に前記弁軸の前記一端側の端部にて前記組み弁体を前記弁軸に固定する
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、
前記弁軸上の複数の前記弁体のうち前記アクチュエータに最も近い前記弁体は、それに対応する前記弁座を境として前記アクチュエータに最も近い側の前記流路又はその反対側の前記流路に配置されており、
前記弁軸上の複数の前記弁体のうち前記アクチュエータから最も遠い前記弁体は、それに対応する前記弁座を境として前記アクチュエータに近い側の前記流路又はその反対側の前記流路に配置されており、
前記最も近い前記弁体と、それに対応する前記弁座に隣接する前記アクチュエータに最も近い側の前記流路の内壁との間において、前記弁軸上には、前記最も近い前記弁体をそれに対応する前記弁座へ着座させる方向へ付勢する又は前記最も遠い前記弁体をそれに対応する前記弁座へ着座させる方向へ付勢するために複数の前記弁体を前記弁軸と共に前記アクチュエータから遠ざかる方向へ付勢する流路スプリングが設けられる
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、
前記アクチュエータには、複数の前記弁体を前記弁軸と共に前記アクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられる
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の弁装置の製造方法において、
前記アクチュエータには、複数の前記弁体を前記弁軸と共に前記アクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられる
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載の弁装置の製造方法において、
前記アクチュエータには、複数の前記弁体を前記弁軸と共に前記アクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられる
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、
前記弁装置は、前記ハウジングに、前記流路に連通する一つの流入口と二つの流出口を含む三方弁を構成し、
複数の前記弁座は、前記アクチュエータに最も近い第1弁座と前記第1弁座の次に前記アクチュエータに近い第2弁座とを含み、
前記流路は、前記第1弁座を境として前記アクチュエータに最も近い第1流路部と、前記第1弁座と前記第2弁座との間の第2流路部と、前記第2弁座を境として前記アクチュエータから最も遠い第3流路部とを含み、
二つの前記流出口の一方が前記第1流路部に連通すると共に他方が前記第3流路部に連通し、前記流入口が前記第2流路部に連通し、
複数の前記弁体は、前記第1弁座に対応する第1弁体と、前記第2弁座に対応する第2弁体を含み、前記第1弁体と前記第2弁体が、前記第2流路部にて前記弁軸上に設けられ、
前記第1弁体は、円錐形状をなし外周にテーパ状のシール面を有し、前記シール面が前記第1弁座に着座可能に設けられ、
前記第2弁体は、平板状をなしその周縁部に平坦なシール面を有し、前記シール面が前記第2弁座に着座可能に設けられる
ことを特徴とする弁装置の製造方法。
【請求項9】
流体の流路を有するハウジングと、
前記流路に設けられた弁座と、
前記弁座に対して着座可能に設けられた弁体と、
前記弁体が設けられた弁軸と、
前記弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に前記弁体が固定され、前記他端側に第1ねじが設けられることと、
前記弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、
前記アクチュエータは、前記第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、 前記流路は、前記弁座を境として前記アクチュエータに近い側と前記アクチュエータから遠い側に分かれ、前記アクチュエータに近い側又は前記アクチュエータから遠い側にて前記弁体が前記弁座に着座可能に配置されることと
を備えた弁装置の製造方法において、
前記ハウジングは、前記弁座の近傍にて、第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割されて構成されており、
第1ハウジング部の前記流路に突出させた前記弁軸の前記一端側に前記弁体を固定する工程と、
前記弁体の固定後に、前記弁体が前記弁座に整合するように前記第1ハウジング部と前記第2ハウジング部とを結合する工程と
を備えたことを特徴とする弁装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、弁体が弁座のシート部から直角方向に移動する形式のポペット弁構造を有し、流体の流れを制御する弁装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「EGR弁」が知られている。このEGR弁は、流路を有するハウジングと、流路に設けられた弁座と、弁座に対して着座可能に設けられた弁体と、弁体が設けられた弁軸と、弁軸は一端部と他端部を含み、その一端部に弁体が固定され、他端部に雄ねじが設けられることと、弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、そのアクチュエータは、雄ねじに螺合される雌ねじを有するロータを含むことと、流路は、弁座を境としてロータに近い側と遠い側に分かれ、近い側の流路にて弁体が弁座に着座可能に配置されることとを備え、いわゆる内開式の二方ポペット弁の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-3237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1には、内開式の二方ポペット弁の構造が開示されているが、弁軸上に複数(例えば二つ)の弁体を直列に配置し、流路にそれらの弁体に対応する複数(例えば二つ)の弁座を配置した多方(例えば三方)ポペット弁の構造を有する弁装置を想定することができる。ところが、特許文献1には、内開式の二方ポペット弁に適用可能な製造方法についても、多方ポペット弁の構造を有する弁装置の製造方法についても特に開示されていなかった。
【0005】
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、いわゆる多方ポペット弁構造を有する弁装置につき、複数の弁座に対応した複数の弁体を一つの弁軸に自由度を確保しながら固定することを可能とした製造方法を提供することにある。また、この開示技術の第2の目的は、いわゆる二方ポペット弁構造を有する弁装置につき、一つの弁座に対応した一つの弁体を一つの弁軸に自由度を確保しながら固定することを可能とした製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、流体の流路を有するハウジングと、流路にて同軸上に直列に設けられた複数の弁座と、複数の弁座それぞれに対して着座可能に設けられた複数の弁体と、複数の弁体が同軸上に直列に設けられた弁軸と、弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に複数の弁体が固定され、他端側に第1ねじが設けられることと、弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、アクチュエータは、第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、流路は、それぞれの弁座を境としてアクチュエータに近い側とアクチュエータから遠い側に分かれ、アクチュエータに近い側又はアクチュエータから遠い側にて対応する弁体が弁座に着座可能に配置されることとを備えた弁装置の製造方法において、ハウジングは、複数の弁座のうちアクチュエータに最も近い弁座の近傍にて、第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割されて構成されており、第1ハウジング部及び第2ハウジング部の少なくとも一方の流路に突出させた弁軸の一端側に複数の弁体を固定する工程と、弁体の固定後に、複数の弁座が同軸上に直列に配置されると共に、複数の弁体が対応する弁座に整合するように第1ハウジング部と第2ハウジング部とを結合する工程とを備えたことを趣旨とする。
【0007】
上記技術の構成によれば、第1ハウジング部及び第2ハウジング部の少なくとも一方の流路に突出させた弁軸の一端側に複数の弁体を固定した後に、複数の弁座が同軸上に直列に配置されると共に、複数の弁体が対応する弁座に整合するように第1ハウジング部と第2ハウジング部とを結合する。従って、ハウジングの流路や弁座に制約されることなく弁軸上に複数の弁体を組み付けることが可能となる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、流体の流路を有するハウジングと、流路にて同軸上に直列に設けられた複数の弁座と、複数の弁座それぞれに対応して着座可能に設けられた複数の弁体と、複数の弁体が同軸上に直列に設けられた弁軸と、弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に複数の弁体が固定され、他端側に第1ねじが設けられることと、弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、アクチュエータは、第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、流路は、それぞれの弁座を境としてアクチュエータに近い側とアクチュエータから遠い側に分かれ、アクチュエータに近い側又はアクチュエータから遠い側にて対応する弁体が弁座に着座可能に配置されることとを備えた弁装置の製造方法において、ハウジングは、流路に、少なくとも最もアクチュエータに近い位置に組み付けられる弁体の直径より大きい径を有すると共に弁座を保持可能な組み付け孔を含み、ハウジングの流路に突出させた弁軸の一端側に、組み付け孔を介して少なくとも一つの弁体を固定する工程と、弁体の固定後に、組み付け孔に少なくとも一つの弁座を組み付ける工程とを備えたことを趣旨とする。
【0009】
上記技術の構成によれば、ハウジングの流路に突出させた弁軸の一端側に、組み付け孔を介して少なくとも一つの弁体を固定した後に、組み付け孔に少なくとも一つの弁座を組み付ける。従って、ハウジングを分割することなく、流路や弁座に制約されることなく弁軸上に複数の弁体を組み付けることが可能となる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、複数の弁体が一体的に組み付けられた組み弁体を更に備え、複数の弁体を固定する工程では、組み弁体を弁軸の一端側に組み付け、その組み付け後に弁軸の一端側の端部にて組み弁体を弁軸に固定することを趣旨とする。
【0011】
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、複数の弁体を固定する工程では、組み弁体を弁軸の一端側に組み付けた後に弁軸の一端側の端部にて組み弁体を弁軸に固定する。従って、複数の弁体を個別に弁軸に固定するよりも工数が少なくなる。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、弁軸上の複数の弁体のうちアクチュエータに最も近い弁体は、それに対応する弁座を境としてアクチュエータに最も近い側の流路又はその反対側の流路に配置されており、弁軸上の複数の弁体のうちアクチュエータから最も遠い弁体は、それに対応する弁座を境としてアクチュエータに近い側の流路又はその反対側の流路に配置されており、最も近い弁体と、それに対応する弁座に隣接するアクチュエータに最も近い側の流路の内壁との間において、弁軸上には、最も近い弁体をそれに対応する弁座へ着座させる方向へ付勢する又は最も遠い弁体をそれに対応する弁座へ着座させる方向へ付勢するために複数の弁体を弁軸と共にアクチュエータから遠ざかる方向へ付勢する流路スプリングが設けられることを趣旨とする。
【0013】
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、複数の弁体のうち、アクチュエータに最も近い弁体と、それに対応する弁座に隣接するアクチュエータに最も近い側の流路の内壁との間において、弁軸上に流路スプリングが設けられる。そして、この流路スプリングが、複数の弁体を弁軸と共にアクチュエータから遠ざかる方向へ付勢することにより、最も近い弁体をそれに対応する弁座へ着座させる方向へ付勢する又は最も遠い弁体をそれに対応する弁座へ着座させる方向へ付勢する。従って、弁軸への弁体の組み付け時に、弁体を安定した姿勢で組み付けることが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、アクチュエータには、複数の弁体を弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられることを趣旨とする。
【0015】
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、アクチュエータスプリングにより複数の弁体が弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢される。従って、互いに螺合する弁軸の第1ねじとロータの第2ねじとの間のバックラッシ(あそび)が片寄せされ、弁軸がロータに結合する。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項3に記載の弁装置の製造方法において、アクチュエータには、複数の弁体を弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられることを趣旨とする。
【0017】
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、アクチュエータスプリングにより複数の弁体が弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢される。従って、互いに螺合する弁軸の第1ねじとロータの第2ねじとの間のバックラッシ(あそび)が片寄せされ、弁軸がロータに結合する。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項4に記載の弁装置の製造方法において、アクチュエータには、複数の弁体を弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢するためのアクチュエータスプリングが更に設けられることを趣旨とする。
【0019】
上記技術の構成によれば、請求項4に記載の技術の作用に加え、アクチュエータスプリングにより複数の弁体が弁軸と共にアクチュエータに近付く方向へ付勢される。従って、互いに螺合する弁軸の第1ねじとロータの第2ねじとの間のバックラッシ(あそび)が片寄せされ、弁軸がロータに結合する。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項1又は2に記載の弁装置の製造方法において、弁装置は、ハウジングに、流路に連通する一つの流入口と二つの流出口を含む三方弁を構成し、複数の弁座は、アクチュエータに最も近い第1弁座と第1弁座の次にアクチュエータに近い第2弁座とを含み、流路は、第1弁座を境としてアクチュエータに最も近い第1流路部と、第1弁座と第2弁座との間の第2流路部と、第2弁座を境としてアクチュエータから最も遠い第3流路部とを含み、二つの流出口の一方が第1流路部に連通すると共に他方が第3流路部に連通し、流入口が第2流路部に連通し、複数の弁体は、第1弁座に対応する第1弁体と、第2弁座に対応する第2弁体を含み、第1弁体と第2弁体が、第2流路部にて弁軸上に設けられ、第1弁体は、円錐形状をなし外周にテーパ状のシール面を有し、シール面が第1弁座に着座可能に設けられ、第2弁体は、平板状をなしその周縁部に平坦なシール面を有し、シール面が第2弁座に着座可能に設けられることを趣旨とする。
【0021】
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、二つの弁体のうち、第1弁体が、円錐形状をなし、外周のテーパ状のシール面が第1弁座に着座可能に設けられるが、第2弁体が、平板状をなし、その周縁部に設けられた平坦なシール面が第2弁座に着座可能に設けられる。従って、二つの弁体のうち、第2弁体の第2弁座に対する中心出しが緩和される。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項9に記載の技術は、流体の流路を有するハウジングと、流路に設けられた弁座と、弁座に対して着座可能に設けられた弁体と、弁体が設けられた弁軸と、弁軸は一端側と他端側を含み、その一端側に弁体が固定され、他端側に第1ねじが設けられることと、弁軸をその軸線方向へ往復動させるためのアクチュエータと、アクチュエータは、第1ねじに螺合される第2ねじを有するロータを含むことと、流路は、弁座を境としてアクチュエータに近い側とアクチュエータから遠い側に分かれ、アクチュエータに近い側又はアクチュエータから遠い側にて弁体が弁座に着座可能に配置されることとを備えた弁装置の製造方法において、ハウジングは、弁座の近傍にて、第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割されて構成されており、第1ハウジング部の流路に突出させた弁軸の一端側に弁体を固定する工程と、弁体の固定後に、弁体が弁座に整合するように第1ハウジング部と第2ハウジング部とを結合する工程とを備えたことを趣旨とする。
【0023】
上記技術の構成によれば、第1ハウジング部の流路に突出させた弁軸の一端側に弁体を固定した後に、弁体が弁座に整合するように第1ハウジング部と第2ハウジング部とを結合する。従って、ハウジングの流路や弁座に制約されることなく弁軸上に弁体を組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の技術によれば、多方ポペット弁構造を有する弁装置につき、複数の弁座に対応した複数の弁体を一つの弁軸に対し自由度を確保しながら固定することができる。
【0025】
請求項2に記載の技術によれば、多方ポペット弁構造を有する弁装置につき、複数の弁座に対応した複数の弁体を一つの弁軸に対し自由度を確保しながら固定することができる。
【0026】
請求項3に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、工数が少なくなる分だけ弁装置の製造を簡易化することができる。
【0027】
請求項4に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、弁装置として、弁体の全閉時の密着性及びシール性を向上させることができる。
【0028】
請求項5に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、弁軸を安定させた状態で弁体を弁軸に固定することができる。
【0029】
請求項6に記載の技術によれば、請求項3に記載の技術の効果に加え、弁軸を安定させた状態で弁体を弁軸に固定することができる。
【0030】
請求項7に記載の技術によれば、請求項4に記載の技術の効果に加え、弁軸を安定させた状態で弁体を弁軸に固定することができる。
【0031】
請求項8に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、弁軸に対する弁体の同軸精度を緩和することができ、その意味で弁装置の製造を簡易化することができる。
【0032】
請求項9に記載の技術によれば、二方ポペット弁構造を有する弁装置につき、弁体を一つの弁軸に自由度を確保しながら固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態に係り、弁装置の第1開閉状態を示す断面図。
図2】第1実施形態に係り、弁装置の第2開閉状態を示す断面図。
図3】第1実施形態に係り、弁装置につき、第1開閉状態におけるステップモータの一部を示す拡大断面図。
図4】第1実施形態に係り、図3における雄ねじと雌ねじの螺合状態の一部を示す拡大断面図。
図5】第1実施形態に係り、弁装置につき、第2開閉状態におけるステップモータの一部を示す拡大断面図。
図6】第1実施形態に係り、図5における雄ねじと雌ねじの螺合状態の一部を示す拡大断面図。
図7】第1実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する、第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらの関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図8】第1実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する、第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらの関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図9】第1実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する、第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらの関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図10】第1実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図11】第1実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図12】第1実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図13】第2実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図14】第2実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図15】第2実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図16】第3実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図17】第3実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図18】第3実施形態に係り、弁装置の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を示す断面図。
図19】第4実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらに関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図20】第4実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらに関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図21】第4実施形態に係り、第1及び第2の弁座に対する第1及び第2の弁体と弁軸の動作状態と、それらに関連したハウジング(第1ハウジング部と第2ハウジング部)の一部を概略的に示す断面図。
図22】第5実施形態に係り、弁装置の第2開閉状態を示す図7に準ずる断面図。
図23】第5実施形態に係り、弁装置の第1開閉状態を示す図9に準ずる断面図。
図24】第6実施形態に係り、弁装置の第1開閉状態を示す図23に準ずる断面図。
図25】第6実施形態に係り、弁装置の第2開閉状態を示す図22に準ずる断面図。
図26】第7実施形態に係り、第2弁座と第2弁体のみを示す断面図。
図27】第7実施形態に係り、第2弁座と第2弁体のみを示す断面図。
図28】第8実施形態に係り、弁装置の第2開閉状態を示す断面図。
図29】第8実施形態に係り、弁装置の第2開閉状態を示す断面図。
図30】第8実施形態に係り、弁装置の第1開閉状態を示す断面図。
図31】第8実施形態に係り、弁装置を含む水流切替装置を示す概略構成図。
図32】第8実施形態に係り、コイル異常時制御の内容を示すフローチャート。
図33】第9実施形態に係り、弁開度位置記憶制御の内容を示すフローチャート。
図34】第10実施形態に係り、弁装置を示す断面図。
図35】第10実施形態に係り、弁装置を示す断面図。
図36】第11実施形態に係り、弁装置を示す断面図。
図37】第11実施形態に係り、弁装置を示す断面図。
図38】第1実施形態に係り、弁装置の構成を示す概略図。
図39】別の実施形態に係り、弁装置の構成を示す概略図。
図40】別の実施形態に係り、二方ポペット弁構造を有する弁装置の構成を示す概略図。
図41】第2実施形態に係り、弁装置の構成を示す概略図。
図42】別の実施形態に係り、弁装置の構成を示す概略図。
図43】別の実施形態に係り、二方ポペット弁構造を有する弁装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、弁装置の製造方法を具体化した実施形態について説明する。
【0035】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0036】
[弁装置の構成について]
図1に、この実施形態の弁装置1の第1開閉状態を断面図により示す。図2に、同じく弁装置1の第2開閉状態を断面図により示す。図1図2に示すように、この実施形態の弁装置1は、二つの弁体6,7が対応する弁座4,5のシート部4a,5aから直角方向に移動する形式のポペット弁構造を有する三方弁として構成される。この弁装置1は、流路2を有するハウジング3と、流路2にて同軸上に直列に設けられた二つの弁座4,5と、二つの弁座4,5それぞれに対して着座可能に設けられた二つの弁体6,7と、二つの弁体6,7が同軸上に直列に設けられた弁軸8と、弁軸8をその軸線方向へ往復運動(ストローク運動)させるためのステップモータ9とを備える。この実施形態で、ステップモータ9は、この開示技術における「アクチュエータ」の一例に相当する。
【0037】
弁軸8は、ハウジング3を垂直に貫通して配置される。弁軸8は一端側8a(図1図2の下端側)と他端側8b(図1図2の上端側)を含み、その一端側8aに二つの弁体6,7が固定され、他端側8bに雄ねじ10が設けられる。弁軸8には、雄ねじ10に隣接した下側にフランジ状のスプリング受け11が設けられる。弁軸8のスプリング受け11より下側には、横断面が略小判形状をなす二面幅部8cが設けられる。この実施形態で、雄ねじ10は、この開示技術の「第1ねじ」の一例に相当する。
【0038】
この実施形態において、弁装置1は、ハウジング3に、流路2に連通する一つの流入口12と二つの流出口13,14を含む三方弁として構成される。流路2は、それぞれの弁座4,5を境としてステップモータ9に近い側とステップモータ9から遠い側に分かれ、ステップモータ9に近い側又はステップモータ9から遠い側に対応する弁体6,7がそれぞれ弁座4,5に着座可能に配置される。すなわち、二つの弁座4,5は、ステップモータ9に最も近い第1弁座4と第1弁座4の次にステップモータ9に近い第2弁座5とを含む。第1弁座4は流路2に連通する弁孔4bを有し、第2弁座5は、同じく流路2に連通する弁孔5bを有する。二つの弁体6,7は、第1弁座4に対応する第1弁体6と、第2弁座5に対応する第2弁体7を含む。流路2は、第1弁座4を境としてステップモータ9に最も近い第1流路部15と、ステップモータ9から遠い第2流路部16とに分かれる。そして、第1弁座4に対応する第1弁体6は、第2流路部16にて第1弁座4に着座可能に配置される。一方、流路2は、第2弁座5を境としてステップモータ9に近い第2流路部16と、ステップモータ9から最も遠い第3流路部17とに分かれる。そして、第2弁座5に対応する第2弁体7は、第2流路部16にて第2弁座5に着座可能に配置される。二つの流出口13,14の一方が第1流路部15に連通する第1流出口13であり、他方が第3流路部17に連通する第2流出口14である。流入口12は第2流路部16に連通する。
【0039】
第1弁体6と第2弁体7は、第2流路部16にて弁軸8上に設けられる。第1弁体6は、略円錐台形状をなし外周にテーパ状のシール面6aを有し、そのシール面6aが第1弁座4の稜線状のシート部4aに着座可能に設けられる。第2弁体7は、円板状をなしその周縁部に平坦なシール面7aを有し、そのシール面7aが第2弁座5の平坦なシート部5aに着座可能に設けられる。この実施形態では、図1図2に示すように、第2弁座5のシート部5aの内周縁には、そのシート部5aよりも上方へ突出し、第2弁体7のシール面7aに接触可能なゴムシート18が設けられる。
【0040】
図1に示す第1開閉状態では、第1弁体6が第1弁座4に着座し、第2弁体7が第2弁座5から上方へ離間する。この第1開閉状態では、図1に黒矢印で示すように、流入口12から第2流路部16に流入する流体が、第3流路部17へ流れて第2流出口14から流れ出る。一方、図2に示す第2開閉状態では、第1弁体6は第1弁座4から下方へ離間し、第2弁体7が第2弁座5に着座する。この第2開閉状態では、図2に黒矢印で示すように、流入口12から第2流路部16に流入する流体が、第1流路部15へ流れて第1流出口13から流れ出る。
【0041】
ハウジング3には、弁軸8を軸線方向へストローク運動可能に支持するための、二つのスラスト軸受19,20が設けられる。スラスト軸受19の内周には、横断面が略小判形状をなし弁軸8の二面幅部8cに係合可能な回転規制部19aが形成される。二面幅部8cと回転規制部19aとが整合することで、弁軸8のストローク運動が案内されると共に、弁軸8の回転が規制される。
【0042】
ステップモータ9は、コイル21を有するステータ22と、ステータ22の内側に設けられたマグネットロータ23とを含む。これらの部材21~23等は、樹脂製のケーシング24によりモールドされて覆われる。ケーシング24には、横へ突出したコネクタ25が形成される。コネクタ25には、コイル21から延びる端子26が設けられる。
【0043】
マグネットロータ23は、ロータ本体27と、ロータ本体27の外側に一体的に設けられた円筒状のマグネット28とを含む。ロータ本体27の上端部外周には、ケーシング24との間に第1ラジアル軸受29が設けられる。マグネット28の下端部内周には、スラスト軸受19との間に第2ラジアル軸受30が設けられる。これら第1及び第2ラジアル軸受29,30によりマグネットロータ23がステータ22の内側にて回転可能に支持される。ロータ本体27の中心には、弁軸8の雄ねじ10に螺合される雌ねじ31が設けられる。この実施形態で、雌ねじ31は、この開示技術の「第2ねじ」の一例に相当する。
【0044】
図3に、弁装置1につき、第1開閉状態におけるステップモータ9の一部を拡大断面図により示す。図4に、図3における雄ねじ10と雌ねじ31の螺合状態の一部を拡大断面図により示す。図5に、弁装置1につき、第2開閉状態におけるステップモータ9の一部を拡大断面図により示す。図6に、図5における雄ねじ10と雌ねじ31の螺合状態の一部を拡大断面図により示す。図3図6に示すように、雄ねじ10は、弁軸8の軸線方向において螺旋状に連なる雄ねじ山10aを有する。この雄ねじ山10aは、第1弁座4の方(下方)へ向いた第1雄ねじ山面10aaと、その第1雄ねじ山面10aaの反対側(上側)に位置する第2雄ねじ山面10abを含む。また、雌ねじ31は、弁軸8の軸線方向において螺旋状に連なる雌ねじ山31aを有する。この雌ねじ山31aは、第1弁座4の方(下方)へ向いた第1雌ねじ山面31aaと、その第1雌ねじ山面31aaの反対側(上側)に位置する第2雌ねじ山面31abを含む。そして、図4図6に示すように、この雄ねじ10と雌ねじ31との間には、弁軸8の軸線方向において所定のバックラッシ35(あそび)が設けられる。
【0045】
ここで、弁軸8のスプリング受け11と下側の第2ラジアル軸受30との間、すなわち、スプリング受け11とハウジング3との間には、二つの弁体6,7を弁軸8と共にステップモータ9に近付く方向(図1図6の上方)へ付勢するための弁体スプリング32が設けられる。弁体スプリング32は、この開示技術の「アクチュエータスプリング」の一例に相当する。また、マグネットロータ23(マグネット28)と第2ラジアル軸受30との間には、マグネットロータ23を第1弁座4から遠ざかる方向へ付勢するためのロータスプリング33が設けられる。
【0046】
ハウジング3と弁軸8との間には、ハウジング3と弁軸8との間をシールするための略円筒形をなすリップシール37が、スラスト軸受20に隣接して設けられる。また、ハウジング3と弁軸8との間には、ハウジング3と弁軸8との間をデポジットからガードするための略円筒形をなすデポガードプラグ38が、リップシール37に隣接して設けられる。
【0047】
[ハウジングについて]
この実施形態において、図1図2に示すように、ハウジング3は、二つの弁座4,5のうちステップモータ9に最も近い第1弁座4の近傍にて、第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とに分割されて構成される。第1ハウジング部41及び第2ハウジング部42は、それぞれ流路2の一部を含む。これら二つのハウジング部41,42が接合されることで、一つのハウジング3が構成されると共に、そのハウジング3の流路2が構成される。
【0048】
[弁装置の動作について]
図7図9に、第1及び第2の弁座4,5に対する、第1及び第2の弁体6,7と弁軸8の動作状態と、それらの関連したハウジング3(第1ハウジング部41と第2ハウジング部42)の一部を概略的に断面図により示す。この弁装置1は、ステップモータ9を駆動させてマグネットロータ23を回転させることにより、その回転運動を雌ねじ31と雄ねじ10を介して弁軸8と二つの弁体6,7のストローク運動に変換し、二つの弁座4,5に対する弁体6,7の位置を調節するようになっている。
【0049】
すなわち、この弁装置1は、マグネットロータ23を一方向へ回転させて弁軸8を二つの弁体6,7と共に弁体スプリング32の付勢力に抗してストローク運動させることにより、弁体6,7がステップモータ9から遠ざかる方向へ移動し、図2図7に示す第2開閉状態となる。このとき、第2弁体7が第2弁座5に突き当たるようにステップモータ9を制御することにより、第2弁体7のシール面7aが第2弁座5のシート部5aに突き当たると共に、ゴムシート18の先端がシール面7aに押し当たり変形する。この突き当て状態では、第2弁座5が第2弁体7の閉弁ストッパとして機能することになり、ロータ本体27の回転が規制されると共に、弁軸8及び弁体6,7のストローク運動が規制される。このときの弁軸8の位置を初期位置として規定することができる。
【0050】
ここで、この突き当て状態では、ステップモータ9が脱調することがある。ステップモータ9が脱調すると、弁体スプリング32の付勢力により、図8に示すように弁体6,7がステップモータ9へ近付く方向へ微小に移動し、第2弁体7が微小に開弁することになる。しかし、第2弁座5には、ゴムシート18が設けられるので、第2弁体7が微小に開弁しても、ゴムシート18の先端が弾性を伴って第2弁体7のシール面7aに接するので、第2弁座4と第2弁体7との間の隙間をゴムシート18によりシールすることができる。
【0051】
このとき、弁体スプリング32の付勢力により、図6に示すように、雌ねじ31の第1雌ねじ山面31aaに雄ねじ10の第2雄ねじ山面10abが係合した状態となる。この係合状態では、弁軸8が弁体スプリング32の付勢力F1(黒矢印で示す)によりステップモータ9に近付く方向(図6の上方向)へ付勢されるので、バックラッシ35を介することなく雄ねじ山10aが雌ねじ山31aに当接し、弁軸8の上方向への移動が阻止される。従って、ステップモータ9に近付く方向へ弁体6,7を引き上げたり、押し上げたりするように流体の圧力が作用しても、その弁体6,7の移動が阻止される。このため、ステップモータ9(アクチュエータ)を特に高出力化及び大型化することなく、弁体6,7を第2開閉状態に保持することができる。
【0052】
一方、この第2開閉状態から、マグネットロータ23を反対方向へ回転させて弁軸8を二つの弁体6,7と共に弁体スプリング32の付勢力との協働によりストローク運動させることにより、弁体6,7がステップモータ9に近付く方向へ移動し、図1図9に示す第1開閉状態となる。このとき、制御全閉の状態で、第1弁体6のシール面6aが第1弁座4のシート部4aに突き当り、マグネットロータ23を更に閉弁制御すると、第1弁体6は第1弁座4で動きを制限されているので、第2雄ねじ山面10abが第1雌ねじ山面31aaから、離脱した状態になるが、弁体スプリング32の付勢力により全閉を維持することができる。また、第1弁体6に作用する流体の圧力も閉弁方向に作用するので、全閉を維持することができる。
【0053】
[弁装置の製造方法について]
次に、弁装置1の製造方法の一部について説明する。図10図12に、弁装置1の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を断面図により示す。この部品組み付け最終段階では、第1ハウジング部41及び第2ハウジング部42それぞれの流路2の一部に二つの弁座4,5を設ける工程を実施する。このとき、第2弁座5に、予めゴムシート18を設けておく。
【0054】
その後、第1ハウジング部41にステップモータ9を固定すると共に、マグネットロータ23にて雄ねじ10が雌ねじ31に螺合連結された弁軸8の一端側8aを第1ハウジング部41に設けられた第1弁座4を貫通させて突出させる工程を実施する。この工程では、先に製造されたステップモータ9(弁軸8を含む)と第1ハウジング部41(第1弁座4、第1流路部15及び第1流出口13を含む)とが先に組み付けられる。このとき、ステップモータ9から伸びる弁軸8は、第1ハウジング部41の各軸受19,20、リップシール37、デポガードプラグ38を貫通し、その一端側8aが第1弁座4の第1弁孔4bを貫通している。
【0055】
その後、第1弁座4から突出させた弁軸8の一端側8aに二つの弁体6,7を固定する工程を実施する。この工程では、図10に示すように、先ず、弁軸8の一端側8aに第1弁体6を挿通し、その弁体6を第1弁座4に着座させた状態で溶接51により弁軸8に固定する。続いて、図11に示すように、弁軸8の一端側8aの端に第2弁体7を挿通し、その弁体7を溶接51により弁軸8に固定する。
【0056】
そして、弁体6,7の固定後に、図12に示すように、二つの弁座4,5が同軸上に直列に配置されると共に、二つの弁体6,7が対応する弁座4,5に整合するように第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とを結合する工程を実施する。このようにして、部品組み付けの最終段階を終了する。図11図12には、溶接51の溶接痕52を示す。
【0057】
[弁装置とその製造方法の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の製造方法の構成によれば、第1ハウジング部41及び第2ハウジング部42の少なくとも一方の流路2に突出させた弁軸8の一端側8aに二つの弁体6,7を固定した後に、二つの弁座4,5が同軸上に直列に配置されると共に、二つの弁体6,7がそれぞれ対応する弁座4,5に整合するように第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とを結合する。従って、ハウジング3の流路2や弁座4,5に制約されることなく弁軸8上に二つの弁体6,7を組み付けることが可能となる。このため、多方ポペット弁構造を有する弁装置1につき、二つの弁座4,5に対応した二つの弁体6,7を一つの弁軸8に対し自由度を確保しながら固定することができる。
【0058】
この実施形態の弁装置1の構成によれば、弁体スプリング32により二つの弁体6,7が弁軸8と共にステップモータ9に近付く方向へ付勢される。従って、互いに螺合する弁軸8の雄ねじ10とロータ本体27の雌ねじ31との間のバックラッシ35(あそび)が片寄せされ、弁軸8がロータ本体27に結合する。このため、弁軸8を安定させた状態で弁体6,7を弁軸8に固定することができる。
【0059】
この実施形態の弁装置1の構成によれば、二つの弁体のうち、第1弁体6が、円錐形状をなし、外周のテーパ状のシール面6aが第1弁座4に着座可能に設けられるが、第2弁体7が、平板状をなし、その周縁部に設けられた平坦なシール面7aが第2弁座5に着座可能に設けられる。従って、二つの弁体6,7のうち、第2弁体7の第2弁座5に対する中心出しが緩和される。すなわち、第2弁体7が平板状に形成され、そのシール面7aを第2弁座5のシート部5aに押し当てるように構成されるので、第2弁体7と第2弁座5との間の中心出しが緩和され、図12に示すように、両者7,5の中心に多少のずれΔCが生じても第2弁体7の閉弁時にシール性が問題にならない。このため、弁軸8に対する弁体6,7の同軸精度を緩和することができ、その意味で弁装置1の製造を簡易化することができる。
【0060】
また、この実施形態弁装置1の構成によれば、第2弁体7がゴムシート18を介して第2弁座5に押し当てられるので、第2弁座5に対する第2弁体7の直交性が緩和される。そのため、第2弁体7が多少傾いていても閉弁時にゴムシート18によりシール性を確保することができる。また、ステップモータ9の脱調により第2弁体7が微小開弁しても、ゴムシート18によりシール性を確保することができる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0062】
[弁装置の製造方法について]
この実施形態では、弁装置の製造方法の点で第1実施形態と構成が異なる。その前提として、この実施形態のハウジング3は、二つに分割されておらず、予め全体が一体形成される。図13図15に、この実施形態の弁装置1の製造方法につき、部品組み付けの最終段階の一部の工程を断面図により示す。この実施形態では、図13図15に示すように、ハウジング3は、その流路2に、弁軸8に二つの弁体6,7を組み付けるために使用される組み付け孔3aを有する。この組み付け孔3aは、少なくとも最もステップモータ9に近い位置に組み付けられる第1弁体6の直径より大きい径を有すると共に第2弁座5を保持可能に設けられる。
【0063】
この実施形態において、部品組み付け最終段階では、先ず、ハウジング3の流路2に第1弁座4(一部の弁座)を設ける工程を実施する。
【0064】
その後、ハウジング3にステップモータ9を固定すると共に、マグネットロータ23にて雄ねじ10が雌ねじ31に螺合連結された弁軸8の一端側8aをハウジング3に設けられた第1弁座4を貫通させて突出させる工程を実施する。
【0065】
その後、第1弁座4から突出させた弁軸8の一端側8aに、組み付け孔3aを通じて二つの弁体6,7を固定する工程を実施する。この工程では、先ず、図13に示すように、弁軸8の一端側8aに第1弁体6を挿通し、その弁体6を第1弁座4に着座させた状態で溶接51により弁軸8に固定する。続いて、図14に示すように、弁軸8の一端側8aの端に第2弁体7を挿通し、その弁体7を溶接51により弁軸8に固定する。
【0066】
そして、二つの弁体6,7の固定後に、組み付け孔3aに第2弁座5(残りの弁座)を組み付ける工程を実施する。この工程では、図14図15に示すように、ゴムシート18を設けた第2弁座5を組み付け孔3aに圧入し、その第2弁座5を、流路2に連通する配管53のフランジ53aで押さえてハウジング3に対し抜け止めする。このようにして、組み付けの最終段階を終了する。
【0067】
[弁装置とその製造方法の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の製造方法の構成によれば、ハウジング3の流路2に突出させた弁軸8の一端側8aに、組み付け孔3aを介して二つの弁体6,7を固定した後に、組み付け孔3aに一つの弁座5を組み付ける。従って、ハウジング3を分割することなく、流路2や弁座4,5に制約されることなく弁軸8上に二つの弁体6,7を組み付けることが可能となる。このため、多方ポペット弁構造を有する弁装置1につき、二つの弁座4,5に対応した二つの弁体6,7を一つの弁軸8に対し自由度を確保しながら固定することができる。
【0068】
この実施形態の弁装置1の作用及び効果は、第1実施形態のそれと同じである。
【0069】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。
【0070】
[弁装置の製造方法について]
この実施形態では、弁装置1の製造方法の点で第2実施形態と構成が異なる。図16図18に、この実施形態の弁装置1の製造方法につき、組み付けの最終段階の一部の工程を断面図により示す。
【0071】
この実施形態では、予め二つの弁体6,7を一体的な組み弁体44として形成する工程を更に備える。この組み弁体44は、弁軸8を挿通させる管材45の両端に、第1弁体6と第2弁体7を固定することで二つの弁体6,7を一体的に組み付けておく。
【0072】
そして、部品組み付け最終段階では、先ず、ハウジング3の流路2に第1弁座4(一部の弁座)を設ける工程を実施する。
【0073】
その後、ハウジング3にステップモータ9を固定すると共に、マグネットロータ23にて雄ねじ10が雌ねじ31に螺合連結された弁軸8の一端側8aをハウジング3に設けられた第1弁座4を貫通させて突出させる工程を実施する。
【0074】
その後、第1弁座4から突出させた弁軸8の一端側8aに、二つの弁体6,7を固定する工程を実施する。この工程では、先ず、図16に示すように、弁軸8の一端側8aに組み弁体44を組み付け、その組み付け後に、図17に示すように、弁軸8の一端側8aの端部にて組み弁体44を弁軸8に溶接51により固定する。
【0075】
その後、組み付け孔3aに第2弁座5を組み付ける工程を実施する。この工程では、図18に示すように、ゴムシート18を設けた第2弁座5を組み付け孔3aに圧入し、その第2弁座5を、流路2に連通する配管53のフランジ53aで押さえてハウジング3に対し抜け止めする。このようにして、組み付けの最終段階を終了する。
【0076】
[弁装置の製造方法の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の製造方法の構成によれば、二つの弁体6,7を固定する工程では、組み弁体44を弁軸8の一端側8aに組み付けた後に弁軸8の一端側8aの端部にて組み弁体44を弁軸8に固定する。従って、二つの弁体6,7を個別に弁軸8に固定するよりも工数が少なくなる。このため、工数が少なくなる分だけ弁装置1の製造を簡易化することができる。
【0077】
この実施形態の弁装置1の作用及び効果は、第2実施形態のそれと同じである。
【0078】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図面を参照して説明する。
【0079】
[弁装置の構成について]
この実施形態では、弁装置1が、第1弁座4と第1弁体6の構成の点で第1実施形態と異なる。図19図21に、第1及び第2の弁座4,5に対する第1及び第2の弁体6,7と弁軸8の動作状態と、それらに関連したハウジング3(第1ハウジング部41と第2ハウジング部42)の一部を概略的に断面図により示す。この実施形態では、第1及び第2の弁座4,5の両方にゴムシート48,18が設けられる。また、第1及び第2の弁体6,7の両方が平板状をなしている。すなわち、第2弁体7と同様、第1弁体6も平板状をなし、その周縁部に平坦なシール面6aを有し、そのシール面6aが第1弁座4の平坦なシート部4aに着座可能に設けられる。ただし、この実施形態では、第1弁座4に設けられるゴムシート48の厚さ及び変位量L1(図19参照)よりも第2弁座5に設けられるゴムシート48の厚さ及び変位量L2(図21参照)を大きく設定している。
【0080】
[弁装置の動作について]
この実施形態の弁装置1の構成によれば、第1弁座4と第1弁体6との間の漏れ要求、並びに、第2弁座5と第2弁体7との間の漏れ要求の双方が厳しい場合に、両弁座4,5に設けられるゴムシート48,18がシール性の点で有効に作用する。
【0081】
ここで、図19に示すように二つの弁体6,7が第2開閉状態となるときは、第2弁体7のシール面7aが第2弁座5のシート部5aに突き当たると共に、ゴムシート18の先端がシール面7aに押し当たり変形する。この突き当て状態でステップモータ9が脱調すると、図20に示すように弁体6,7がステップモータ9へ近付く方向へ微小に移動し、第2弁体7が微小に開弁することになる。このときは、ゴムシート18の先端が弾性を伴って第2弁体7のシール面7aに接するので、第2弁座4と第2弁体7との間の隙間をゴムシート18によりシールすることができる。すなわち、脱調発生後は、第2弁体7は第2弁座5に非接地となるが、ゴムシート18は第2弁体7に接地する。
【0082】
一方、図21に示すように、二つの弁体6,7が第1開閉状態となるときは、第1弁体6のシール面6aが第1弁座4のシート部4aに突き当たると共に、ゴムシート48がシール面6aに押し当たる。この突き当て状態でステップモータ9が脱調しても、弁体スプリング32の付勢力により弁体6,7がステップモータ9へ近付く方向へ付勢されるので、第1弁体6を第1弁座4に突き当てたまま第1開閉状態を維持することができる。すなわち、脱調発生後は、第1弁体6は第1弁座4に接地し、ゴムシート48も第1弁体6に接地する。
【0083】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図面を参照して説明する。
【0084】
[弁装置の構成について]
この実施形態で、弁装置1の流路2にて、弁軸8の周囲に更に流路スプリング46が設けられ、第1弁座4にゴムシート48が設けられ、第2弁座5にゴムシート18が設けられない点で第1実施形態と構成が異なる。図22に、弁装置1の第2開閉状態を、図7に準ずる断面図により示す。図23に、弁装置1の第1開閉状態を、図9に準ずる断面図により示す。図22図23に示すように、弁軸8上の二つ弁体6,7のうちステップモータ9に最も近い第1弁体6は、それに対応する第1弁座4を境としてステップモータ9に最も近い側の流路2(第1流路部15)の反対側の流路2(第2流路部16)に配置される。そして、第1弁体6と、それに対応する第1弁座4に隣接するステップモータ9に最も近い側の流路2(第1流路部15)の内壁15aとの間において、弁軸8上には、第2弁体7をそれに対応する第2弁座5へ着座させる方向へ付勢するために二つの弁体6,7を弁軸8と共にステップモータ9から遠ざかる方向へ付勢する流路スプリング46が設けられる。ここで、流路スプリング46の付勢力F2(白矢印で示す)は、ステップモータ9の弁体スプリング32の付勢力F1(白矢印で示す)よりも大きく設定される。
【0085】
[弁装置の動作について]
この実施形態の弁装置1の構成によれば、図22に示すように、二つの弁体6,7が第2開閉状態となる場合に、第2弁体7が第2弁座5に突き当てられてステップモータ9が脱調しても、流路スプリング46の付勢力F2により第2弁体7が第2弁座5に押し付けられる。このため、第2弁体7の第2弁座5に対する閉弁状態、すなわち第2開閉状態を維持することができる。
【0086】
一方、図23に示すように、二つの弁体6,7が第1開閉状態となる場合に、第1弁体6が第1弁座4に突き当てられてステップモータ9が脱調すると、流路スプリング46の付勢力F2により微小開弁してしまう。そこで、第1弁座4にゴムシート48を設けることで、微小開弁したとしてもシール性を確保することができる。
【0087】
[弁装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の構成によれば、第1実施形態と異なり、二つの弁体6,7のうち、ステップモータ9に最も近い第1弁体6と、それに対応する第1弁座4に隣接するステップモータ9に最も近い側の流路2(第1流路部15)の内壁15aとの間において、弁軸8上に流路スプリング46が設けられる。そして、この流路スプリング46が、二つの弁体6,7を弁軸8と共にステップモータ9から遠ざかる方向へ付勢することにより、最も遠い第2弁体7をそれに対応する第2弁座5へ着座させる方向へ付勢する。従って、弁軸8への弁体6,7の組み付け時に、弁体6,7を安定した姿勢で組み付けることが可能となる。このため、弁装置1として、弁体6,7の全閉時の密着性及びシール性を向上させることができる。
【0088】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について図面を参照して説明する。
【0089】
[弁装置の構成について]
この実施形態で、第1弁座4及び第2弁座5の構成、第1弁座4に対する第1弁体6の配置、第2弁座5に対する第2弁体7の配置等の点で第5実施形態と構成が異なる。また、この実施形態では、第2弁座5にゴムシート18が設けられる。第5実施形態では、弁軸8上に流路スプリング46が設けられるので、両弁体6,7が第2開閉状態となるとき、すなわち第1弁体6が開弁し第2弁体7が閉弁するときに、流路スプリング46が、第1弁孔4bを流れる流体の圧損を増加させるおそれがあった。この実施形態では、その課題を解決するために両弁体6,7の位置を変更している。図24に、弁装置1の第1開閉状態を図23に準ずる断面図により示す。図25に、弁装置1の第2開閉状態を、図22に準ずる断面図により示す。図24図25に示すように、この実施形態では、第1弁体6は、それに対応する第1弁座4を境としてステップモータ9に最も近い側の流路2(第1流路部15)に配置される。また、この実施形態の第2弁体7は、それに対応する第2弁座5を境としてステップモータ9に近い側の流路2(第2流路部16)の反対側の流路2(第3流路部17)に配置される。そして、第1弁体6と、それに対応する第1弁座4が対向する第1流路部15の内壁15aとの間において、弁軸8上には、第1弁体6をそれに対応する第1弁座4へ着座させる方向へ付勢するために二つの弁体6,7を弁軸8と共にステップモータ9から遠ざかる方向へ付勢する流路スプリング46が設けられる。ここで、流路スプリング46の付勢力F2は、ステップモータ9の弁体スプリング32の付勢力F1よりも大きく設定される。
【0090】
[弁装置の動作について]
この実施形態の弁装置1の構成によれば、図24に示すように、二つの弁体6,7が第1開閉状態となる場合に、第1弁体6が第1弁座4に突き当てられてステップモータ9が脱調しても、流路スプリング46の付勢力F2により第1弁体6が第1弁座4に押し付けられる。このため、第1弁体6の第1弁座4に対する閉弁状態、すなわち第1開閉状態を維持することができる。
【0091】
一方、図25に示すように、二つの弁体6,7が第2開閉状態となる場合に、第2弁体7が第2弁座5に突き当てられてステップモータ9が脱調すると、流路スプリング46の付勢力F2により微小開弁してしまう。そこで、第2弁座5にゴムシート18を設けることで、微小開弁したとしてもシール性を確保することができる。
【0092】
[弁装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の構成によれば、第5実施形態と異なり、図24図25に示すように、第1弁座4に対する第1弁体6の配置、第2弁座5に対する第2弁体7の配置を変更し、弁軸8上において、第1弁体6と第1流路部15の内壁15aとの間に流路スプリング46を設けた。従って、両弁体6,7が第2開閉状態となるとき、すなわち第1弁体6が開弁し第2弁体7が閉弁するときに、流路スプリング46が、第1弁座4の第1弁孔4bを流れる流体の障害とならない。このため、両弁体6,7が第2開閉状態となるときの流体を圧損の増加を防止することができる。
【0093】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について図面を参照して説明する。
【0094】
この実施形態では、主として第2弁座5と第2弁体7の構成の点で前記第1~第4の実施形態と異なる。図26図27に、この実施形態の第2弁座5と第2弁体7のみを断面図により示す。図26図27に示すように、この実施形態の第2弁座5は、円錐台形状をなしている。また、第2弁座5に設けられるゴムシート18は、第2弁体7の形状に合わせてリップ形状をなし、第2弁体7のテーパ形状をなすシール面7aに接触しやすくなっている。
【0095】
[弁装置の作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の弁装置1の構成によれば、図26に示すように、第2弁体7が第2弁座5に突き当たり、閉弁するときは、ゴムシート18がシール面7aにも圧接してシール性が向上する。一方、第2弁体7が第2弁座5に突き当たり、ステップモータ9に脱調が生じて、第2弁体7と第2弁座5との間に隙間が生じても、図27に示すように、第2弁体7とゴムシート18との接地によりシール性を確保することができる。
【0096】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について図面を参照して説明する。
【0097】
[弁装置の構成について]
この実施形態では、弁装置1が、第2弁座5と第2弁体7の構成の点で第1実施形態と異なる。図28及び図29に、弁装置1の第2開閉状態を断面図により示す。図30に、弁装置1の第1開閉状態を断面図により示す。図28図30に示すように、この実施形態では、第2弁座5にゴムシート18が設けられていない。また、第2弁体7が第1弁体6と同様に円錐台形状をなしている。
【0098】
[水流切替装置の構成について]
図31に、弁装置1を含む水流切替装置を概略構成図により示す。図31に示すように、この水流切替装置は、弁装置1の他に、電動式の水ポンプ61と電子制御装置(ECU)62とを備える。水流路を切り替えるために、弁装置1において、流入口12には入口パイプ56が接続され、第1流出口13には第1出口パイプ57が接続され、第2流出口14には第2出口パイプ58が接続される。水ポンプ61は、入口パイプ56に設けられる。ECU62は、弁装置1のステップモータ9と水ポンプ61に電気的に接続され、それらを制御するようになっている。また、ECU62は、弁装置1のステップモータ9の制御状態からそのコイル21の異常を判断するようになっている。
【0099】
ここで、図28は、ECU62が弁装置1と水ポンプ61をオン(通電)し、コイル21が異常となっている場合を示す。図29は、図28の状態から、ECU62が水ポンプ61をオフ(非通電)した場合を示す。図30は、図29の状態から、ECU62が弁装置1をオフし、水ポンプ61をオン復帰した場合を示す。この実施形態では、前提として、弁装置1のステップモータ9における雄ねじ10及び雌ねじ31のリード角が立っている(大きい)ことで、弁体スプリング32の付勢力により、第1弁体6及び第2弁体7が、イニシャル位置である第1開閉状態に戻る設計となっている。この実施形態では、図28に示すように弁装置1が第2開閉状態でコイル21が異常となる場合は、水ポンプ61から弁装置1へ圧送される水の圧力により第2弁体7が第2弁座5へ押し付けられる。この場合、両弁体6,7を第1開閉状態に戻す作用に逆らう方向に水圧F3が作用するので、両弁体6,7が第1開閉状態に戻らなくなるおそれがある。そこで、この実施形態では、ECU62が、次のようなコイル異常時制御を実行するようになっている。
【0100】
[コイル異常時制御について]
図32に、コイル異常時制御の内容をフローチャートにより示す。ECU62は、処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、コイル異常か否かを判断する。ECU62は、例えば、コイル21へ通電してもステップモータ9が動作しないとき、そのことを電気的に検知してコイル異常と判断するようになっている。ECU62は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ110へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ170へ移行する。
【0101】
ステップ110では、ECU62は、第2弁体7が閉か否かを判断する。ECU62は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ180へ移行する。
【0102】
ステップ120では、ECU62は、コイル異常処理フラグXCFが「0」か否かを判断する。ECU62は、後述するように、このフラグXCFを「1」又は「0」に設定するようになっている。ECU62は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ180へ移行する。
【0103】
ステップ130では、ECU62は、水ポンプ61を停止(オフ)する。この場合、両弁体6,7に作用する圧力は、図28に示す状態から図29に示す状態となる。すなわち、この場合、図29に示すように、第2弁体7には第2弁座5へ押し付ける水圧F3の作用がなくなり、両弁体6,7には、両弁体6,7をステップモータ9へ近付ける弁体スプリング32の付勢力F1が作用し、両弁体6,7が図29に示す状態から図30に示す第1開閉状態へ復帰する。
【0104】
次に、ステップ140では、ECU62は、水ポンプ停止後に所定時間A1が経過したか否かを判断する。ECU62は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ150へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
【0105】
ステップ150では、ECU62は、コイル異常処理フラグXCFを「1」に設定する。
【0106】
次に、ステップ160で、ECU62は、水ポンプ61の作動を復帰する。すなわち、水ポンプ61を改めてオンする。その後、ECU62は、処理をステップ100へ戻す。この場合、図30に示すように、第1弁体6には第1弁座4へ押し付ける水圧F3が作用し、両弁体6,7が第1開閉状態(イニシャル位置)に保たれる。
【0107】
一方、ステップ100から移行してステップ170では、ECU62は、コイル異常処理フラグXCFを「0」に設定する。
【0108】
次に、ステップ180で、ECU62は、水ポンプ61の作動を係属する。すなわち、ECU62は、水ポンプ61のオンを継続する。その後、ECU62は、処理をステップ100へ戻す。
【0109】
上記したコイル異常時制御によれば、ECU62は、コイル異常時に、両弁体6,7が第2開閉状態となる場合は、水ポンプ61を停止することで第2弁体7に作用する水圧を解除するようになっている。これにより、両弁体6,7を、弁体スプリング32の付勢力によりイニシャル位置である第1開閉状態へ戻し易くすることができる。
【0110】
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について図面を参照して説明する。
【0111】
[弁装置及び水流切替装置の構成について]
この実施形態の弁装置1と水流切替装置は、基本的に第8実施形態と同様の構成を有する。ただし、この実施形態では、前提として、ステップモータ9における雄ねじ10及び雌ねじ31のリード角が寝ている(小さい)ことで、コイル21への通電を停止しても、第1弁体6及び第2弁体7の位置を保持できるようになっている。また、この実施形態の弁装置1は、それら弁体6,7の開度位置を検出するセンサを持たないことから、ECU62は、ステップモータ9を制御するための指令値である制御ステップ数を弁体6,7の開度位置に置き換えて制御に使用している。ここで、ステップモータ9の作動中に何らかの原因によりコイル21への通電が寸断された場合、弁体6,7の開度位置が不明となり、弁体6,7の開度位置に合わせた異常時制御が困難になる。そこで、この実施形態で、ECU62は、次のような弁開度位置記憶制御を実行するようになっている。
【0112】
[弁開度位置記憶制御について]
図33に、弁開度位置記憶制御の内容をフローチャートにより示す。ECU62は、処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ200で、コイル正常か否かを判断する。ECU62は、例えば、コイル21へ通電してステップモータ9が動作するときは、そのことを電気的に検知してコイル正常と判断するようになっている。ECU62は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ210へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ230へ移行する。
【0113】
ステップ210では、ECU62は、正常時のステップモータ9につき、現在(そのとき)の制御ステップ数を取り込む。
【0114】
次に、ステップ220で、ECU62は、正常時の制御ステップ数をメモリに記憶し、処理をステップ200へ戻す。
【0115】
一方、ステップ200から移行してステップ230では、ECU62は、異常時のステップモータ9につき、現在(そのとき)の制御ステップ数を取り込む。
【0116】
次に、ステップ240で、ECU62は、異常時の制御ステップ数をメモリに記憶し、処理をステップ200へ戻す。
【0117】
上記した弁開度位置記憶制御によれば、ECU62は、常に現在の制御ステップ数を記憶し、電源オフ時もそのステップ数を記憶しておく。これにより、ECU62は、コイル21への通電が寸断されても、その記憶された制御ステップ数により弁体6,7の開閉位置を確認できるようにしている。このため、ECU62は、コイル異常時でも、弁体6,7の開閉位置に合わせた異常時制御を実行することができる。
【0118】
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について図面を参照して説明する。
【0119】
[弁装置の構成について]
この実施形態で、ハウジング3、流路2、弁座74及び弁体76の構成の点で前記各実施形態と異なる。図34図35に、この実施形態の弁装置71を断面図により示す。この実施形態の弁装置71は、ステップモータ9につき、前記各実施形態の弁装置1と同等の構成を有する。ハウジング3の流路2には、内径の大きい弁孔74aを有する一つの弁座74が設けられる。その弁座74に対応して、弁軸8には、外径の大きい一つの弁体76が設けられる。弁体76は円錐台形状をなし、外周にテーパ状のシール面76aを有する。この実施形態の流路2は、弁座74を境に図下側の上流側流路2Aと、図上側の下流側流路2Bに分けられる。そして、弁体76は下流側流路2Bにて弁座74に着座可能に配置される。また、下流側流路2Bにおいて、弁体76と、弁座74が対向する流路内壁2Baとの間には、弁体76を弁座74に着座する方向へ付勢する流路スプリング77が、弁軸8を囲繞するように設けられる。この実施形態では、流路スプリング77の付勢力が、ステップモータ9に設けられる弁体スプリング32の付勢力よりも大きく設定されている。
【0120】
[弁装置の動作について]
この実施形態の弁装置71の構成によれば、図34に示すように、弁体76が弁座74に突き当てられてステップモータ9が脱調しても、流路スプリング77の付勢力により弁体76が弁座74に押し付けられる。ここで、ステップモータ9のコイル21への通電を停止しても、流路スプリング77の付勢力により弁体76が弁座74に押し付けられる。このため、弁体76の弁座74に対する閉弁状態を維持することができる。
【0121】
一方、図35に示すように、ステップモータ9のコイル21へ通電され、弁体76を開弁する場合は、弁体76が流路スプリング77の付勢力に抗して開弁する。このとき、流路スプリング77は、弁体76と流路内壁2Baとの間で収縮するが、弁座74と弁体76との間で露出しないので、流路スプリング77が流体の流れの圧損となることがない。
【0122】
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について図面を参照して説明する。
【0123】
[弁装置の構成について]
この実施形態で、主として弁座74と弁体76の構成の点で第10実施形態と異なる。図36図37に、この実施形態の弁装置71を断面図により示す。すなわち、この実施形態の弁装置71の弁体76は、円板形状をなし、その下面周縁が、弁座74のシート部74bに接触可能なシール面76aとなっている。また、弁座74のシート部74bには、円環状のゴムシート78が弁体76のシール面76aに接触可能に設けられる。この実施形態では、流路スプリング77の付勢力が、ステップモータ9の弁体スプリング32の付勢力よりも大きく、かつ、ロータスプリング33の付勢力よりも小さく設定されている。
【0124】
[弁装置の動作について]
この実施形態の弁装置71の構成によれば、図36に示すように、弁体76が弁座74に突き当たりステップモータ9が脱調しても、流路スプリング77の付勢力により弁体76が弁座74に押し付けられる。ここで、ステップモータ9のコイル21への通電を停止しても、流路スプリング77の付勢力により弁体76が弁座74に押し付けられる。このため、第10実施形態と同様、弁体76の弁座74に対する閉弁状態を維持することができる。
【0125】
一方、弁体76の外径が大きいことで、弁体76に上流側流路2Aから流体の圧力が作用し、その圧力に流路スプリング77の付勢力がうち負けると、弁体76が弁座74から押し上げられて開弁するおそれがある。しかし、この実施形態では、ゴムシート78が設けられるので、図37に示すように、弁体76が多少開弁しても、ゴムシート78が弁体76のシール面76aに接する限りシール性を維持することができる。ここで、図36に示すように、弁体76を弁座74に突き当てたときにステップモータ9が脱調しても、ステップモータ9のステップ数で最大でも4ステップの開弁位置で、雌ねじ31に雄ねじ10が接地し、弁軸8の移動、つまりは弁体76の開弁が規制される。従って、ゴムシート78の弁体76に対する変形追従性を4ステップに合わせて設定することで、弁体76の全閉シール性を維持することができる。
【0126】
<別の実施形態>
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0127】
(1)前記第1実施形態の弁装置1では、図38に示すように、ハウジング3を、二つの弁座4,5のうちステップモータ9に最も近い第1弁座4の近傍にて、第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とに分割して構成し、ハウジング3の流路2を、第1弁座4を境としてステップモータ9に最も近い第1流路部15と、第1弁座4と第2弁座5との間の第2流路部16と、第2弁座5を境としてステップモータ9から最も遠い第3流路部17とから構成した。そして、第2ハウジング部42の第2流路部16に突出させた弁軸8の一端側8aに第1弁体6及び第2弁体7を固定し、その後に、二つの弁座4,5が同軸上に直列に配置されると共に、二つの弁体6,7が対応する弁座4,5に整合するように第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とを結合した。これに対し、図39に示すように、弁装置1のハウジング3を、同様に二つのハウジング部41,42に分割して構成すると共に、流路2を第1~第3の流路部15~17とから構成する。そして、二つのハウジング部41,42の全流路部15~17に弁軸8の一端側8aを突出するようにし、第1流路部15にて第1弁体6を一端側8aに固定し、その後に、二つの弁座4,5が同軸上に直列に配置されると共に、二つの弁体6,7が対応する弁座4,5に整合するように二つのハウジング部41,42を結合し、第3流路部17にて第2弁体7を一端側8aに固定することもできる。図38図39は、弁装置1の構成を示す概略図であり、それぞれハウジング3と弁座4,5のみ断面で示す。
【0128】
(2)前記第1実施形態では、弁装置1を図38に示すように構成したが、図40に示すように、二方ポペット弁構造を有する弁装置81を構成するハウジング3を、第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とに分割して構成し、流路2を、第1弁座4を境としてステップモータ9に近い第1流路部15と、その反対側の第2流路部16とから構成する。そして、第1ハウジング部41の第1流路部15に突出させた弁軸8の一端側8aに第1弁体6を固定し、その後に、弁体6が弁座4に整合するように第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とを結合することもできる。この場合、第1ハウジング部41の流路2(第1流路部15)に突出させた弁軸8の一端側8aに弁体6を固定した後に、弁体6が弁座4に整合するように第1ハウジング部41と第2ハウジング部42とを結合する。従って、ハウジング3の流路2や弁座4に制約されることなく弁軸8上に弁体6を組み付けることが可能となる。このため、二方ポペット弁構造を有する弁装置81につき、弁体6を一つの弁軸8に自由度を確保しながら固定することができる。図40は、二方ポペット弁構造を有する弁装置81の構成を示す概略図であり、ハウジング3と弁座4のみ断面で示す。
【0129】
(3)前記第2実施形態の弁装置1では、図41に示すように、一つのハウジング3に設けられる流路2を、二つの弁座4,5それぞれを境としてステップモータ9に近い側とステップモータ9から遠い側に分けて構成し、ハウジング3の第2及び第3の流路部16,17に対応して二つの弁体6,7の直径より大きい径を有すると共に第2弁座5を保持可能な組み付け孔3aを設ける。そして、ハウジング3の第2流路部16に第1弁座4を設け、その第1弁座4を介して第2流路部16に突出させた弁軸8の一端側8aに、組み付け孔3aを介して二つの弁体6,7を固定し、その後に、組み付け孔3aに残りの第2弁座5を組み付けた。これに対し、図42に示すように、一つのハウジング3に設けられる流路2を、二つの弁座4,5それぞれを境としてステップモータ9に近い側とステップモータ9から遠い側に分けて構成し、ハウジング3の全流路部15~17に対応して二つの弁体6,7の直径より大きい径を有すると共に第1弁座4を保持可能な組み付け孔3b及び第2弁座5を保持可能な組み付け孔3aをそれぞれ設ける。そして、ハウジング3の全流路部15~17に突出させた弁軸8の一端側8aに、組み付け孔3a,3bを介して、第1流路部15にて第1弁体6を固定し、組み付け孔3bに第1弁座4を組み付け、組み付け孔3aに残りの第2弁座5を組み付け、その後に、第3流路部17にて第2弁体7を固定することもできる。図41図42は、弁装置1の構成を示す概略図であり、それぞれハウジング3と弁座4,5のみ断面で示す。
【0130】
(4)前記第2実施形態では、弁装置1を図41に示すように構成したが、図43に示すように、二方ポペット弁構造を有する弁装置82を構成するハウジング3の流路2を、第1弁座4を境としてステップモータ9に近い第1流路部15と、その反対側の第2流路部16とから構成し、第1流路部15にて弁軸8に組み付けられる第1弁体6の直径より大きい径を有すると共に第1弁座4を保持可能な組み付け孔3aをハウジング3に設ける。そして、ハウジング3の第1流路部15に突出させた弁軸8の一端側8aに、組み付け孔3a介して第1弁体6を固定し、その後に、組み付け孔3aに第1弁座4を組み付けることもできる。図43は、弁装置82の構成を示す概略図であり、ハウジング3と弁座4のみ断面で示す。
【0131】
(5)前記各実施形態では、弁軸8に設けられる第1ねじを雄ねじ10により構成し、ロータ本体27に設けられる第2ねじを雌ねじ31により構成したが、第1ねじを雌ねじにより構成し、第2ねじを雌ねじに螺合される雄ねじにより構成することもできる。
【0132】
(6)前記各実施形態では、複数の弁座及びそれに対応する複数の弁体として、二つの弁座4,5と二つの弁体6,7を設けたが、3つ以上の弁座及びそれに対応する3つ以上の弁体を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
この開示技術は、ポペット弁構造を有し、流体の流れを制御する弁装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 弁装置
2 流路
3 ハウジング
3a 組み付け孔
3b 組み付け孔
4 第1弁座
5 第2弁座
6 第1弁体
6a シール面
7 第2弁体
7a シール面
8 弁軸
8a 一端側
8b 他端側
9 ステップモータ(アクチュエータ)
10 雄ねじ(第1ねじ)
12 流入口
13 第1流出口
14 第2流出口
15 第1流路部
15a 内壁
16 第2流路部
17 第3流路部
23 マグネットロータ
31 雌ねじ(第2ねじ)
32 弁体スプリング(アクチュエータスプリング)
41 第1ハウジング部
42 第2ハウジング部
44 組み弁体
46 流路スプリング
71 弁装置
81 弁装置
82 弁装置
図1
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