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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030917
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】木製部材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240229BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04B1/58 503L
E04B1/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134154
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 初太郎
(72)【発明者】
【氏名】貞広 修
(72)【発明者】
【氏名】牧住 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 秀行
(72)【発明者】
【氏名】久米 建一
(72)【発明者】
【氏名】中島 忠大
(72)【発明者】
【氏名】田村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】津畑 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】西山 恒平
(72)【発明者】
【氏名】金坂 太一
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA01
2E125AB12
2E125AG03
2E125AG21
2E125BE10
2E125CA31
(57)【要約】
【課題】強度を向上させることができる木製部材の接合構造を提供する。
【解決手段】木製部材の接合構造は、第1対向壁部11と、第2対向壁部21と、第1凹部110と、第1凸部220と、第2対向壁部21の-Y側を向く第3対向面221から+Y側に凹むとともに、第2面211から+X側に凹む第2凹部210と、第1対向壁部11の+Y側を向く第4対向面113から+Y側に突出するとともに、第1対向壁部11の+X側を向く第4面122から+X側に突出し、第2凹部210に嵌合する第2凸部120と、第1凸部220と第2凸部120との間に第2方向に形成される隙間Sと、隙間Sに嵌合されて、第1部材1と第2部材2とを、相対的に、X方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材4と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の第1部材に対して、第1方向の一方側に木製の第2部材が接合された木製部材の接合構造であって、
前記第1部材のおける前記第1方向と直交する第2方向の一方側を向く第1面から前記第2方向の一方側に突出する第1対向壁部と、
前記第2部材のおける前記第2方向の他方側を向く第2面から前記第2方向の他方側に突出する第2対向壁部と、
前記第1対向壁部における前記第1方向の一方側を向く第1対向面から前記第1方向の他方側に凹むとともに、前記第1面から前記第2方向の他方側に凹む第1凹部と、
前記第2対向壁部における前記第1方向の他方側を向く第2対向面から前記第1方向の他方側に突出するとともに、前記第2対向壁部の前記第2方向の他方側を向く第3面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第1凹部に嵌合する第1凸部と、
前記第2対向壁部における前記第1方向の他方側を向く第3対向面から前記第1方向の一方側に凹むとともに、前記第2面から前記第2方向の一方側に凹む第2凹部と、
前記第1対向壁部における前記第1方向の一方側を向く第4対向面から前記第1方向の一方側に突出するとともに、前記第1対向壁部の前記第2方向の一方側を向く第4面から前記第2方向の一方側に突出し、前記第2凹部に嵌合する第2凸部と、
前記第1凸部と前記第2凸部との間に前記第2方向に形成される隙間と、
前記隙間に嵌合されて、前記第1部材と前記第2部材とを、相対的に、前記第2方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材と、を備える木製部材の接合構造。
【請求項2】
前記第1凹部には、前記第1面から前記第2方向の他方側に凹む第1嵌合凹部が形成され、
前記第1凸部には、前記第3面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第1嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部が形成されている請求項1に記載の木製部材の接合構造。
【請求項3】
前記第2凹部には、前記第2面から前記第2方向の一方側に凹む第2嵌合凹部が形成され、
前記第2凸部には、前記第4面から前記第2方向の一方側に突出し、前記第2嵌合凹部に嵌合する第2嵌合凸部が形成されている請求項1または2に記載の木製部材の接合構造。
【請求項4】
前記第1部材及び前記第2部材に、前記第1方向に連通するように形成された連通孔と、
前記連通孔に嵌合された第2栓部材と、を備える請求項1または2に記載の木製部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製部材の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のCO排出削減などを目的として、木活用が推進されている。木部材どうしの接合部に金物を使用することが知られているが、金物を使用すると美観を損ねたり、鋼材使用によるCO排出量が増加したりする等の課題である。
【0003】
日本の伝統的な木造では、下記の特許文献1に示される金輪継ぎのように、鋼材を使用しない継手が知られていて、優れた美観と強度を呈するという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3752671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような継手では、建物に必要である十分な強度を得られないことがあるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、強度を向上させることができる木製部材の接合構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る木製部材の接合構造は、木製の第1部材に対して、第1方向の一方側に木製の第2部材が接合された木製部材の接合構造であって、前記第1部材のおける前記第1方向と直交する第2方向の一方側を向く第1面から前記第2方向の一方側に突出する第1対向壁部と、前記第2部材のおける前記第2方向の他方側を向く第2面から前記第2方向の他方側に突出する第2対向壁部と、前記第1対向壁部における前記第1方向の一方側を向く第1対向面から前記第1方向の他方側に凹むとともに、前記第1面から前記第2方向の他方側に凹む第1凹部と、前記第2対向壁部における前記第1方向の他方側を向く第2対向面から前記第1方向の他方側に突出するとともに、前記第2対向壁部の前記第2方向の他方側を向く第3面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第1凹部に嵌合する第1凸部と、前記第2対向壁部における前記第1方向の他方側を向く第3対向面から前記第1方向の一方側に凹むとともに、前記第2面から前記第2方向の一方側に凹む第2凹部と、前記第1対向壁部における前記第1方向の一方側を向く第4対向面から前記第1方向の一方側に突出するとともに、前記第1対向壁部の前記第2方向の一方側を向く第4面から前記第2方向の一方側に突出し、前記第2凹部に嵌合する第2凸部と、前記第1凸部と前記第2凸部との間に前記第2方向に形成される隙間と、前記隙間に嵌合されて、前記第1部材と前記第2部材とを、相対的に、前記第2方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材と、を備える。
【0008】
このように構成された木製部材の接合構造では、第2部材の第1凸部は、第1部材の第1凹部に嵌合している。第1部材の第2凸部は、第2部材の第2凹部に嵌合している。よって、第1部材と第2部材とは、相対的に第1方向及び第2方向の移動が拘束される。第1凸部と第2凸部との間に形成された隙間に第1栓部材が嵌合されているため、第1部材と第2部材とが、相対的に、第2方向に離間する方向への移動が拘束される。したがって、第1方向及び第2方向の移動が規制された状態で、第1部材と第2部材とは接合される。
【0009】
また、本発明に係る木製部材の接合構造は、前記第1凹部には、前記第1面から前記第2方向の他方側に凹む第1嵌合凹部が形成され、前記第1凸部には、前記第3面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第1嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部が形成されていてもよい。
【0010】
このように構成された木製部材の接合構造では、第2部材の第1嵌合凸部を第1部材の第1嵌合凹部に嵌合することによって、第1部材と第2部材との第1方向へ相対的な移動を拘束することができる。
【0011】
また、本発明に係る木製部材の接合構造は、前記第2凹部には、前記第2面から前記第2方向の一方側に凹む第2嵌合凹部が形成され、前記第2凸部には、前記第4面から前記第2方向の一方側に突出し、前記第2嵌合凹部に嵌合する第2嵌合凸部が形成されていてもよい。
【0012】
このように構成された木製部材の接合構造では、第1部材の第2嵌合凸部を第2部材の第2嵌合凹部に嵌合することによって、第1部材と第2部材との第1方向へ相対的な移動を拘束することができる。
【0013】
また、本発明に係る木製部材の接合構造では、前記第1部材及び前記第2部材に、前記第1方向に連通するように形成された連通孔と、前記連通孔に嵌合された第2栓部材と、備えていてもよい。
【0014】
このように構成された木製部材の接合構造では、第1部材と第2部材に形成された第1方向に連通する連通孔に、第2栓部材が嵌合されている。つまり、第1方向と交差する方向の移動が規制された状態で、第1部材と第2部材とは接合される。よって。第1部材と第2部材とが接合された状態での剛性及び強度を向上させることができるとともに、最大荷重到達後の荷重低下を緩やかにして、靭性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る木製部材の接合構造よれば、強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す上面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す正面図である。
図5図3のV部拡大図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造の施工方法を説明する図であり、(a)第1部材と第2部材とを相対的に回転する工程を示し、(b)第1部材と第2部材を相対的に近接するように移動する工程を示す。
図7】本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す上面図である。
図1から図3に示す木製部材の接合構造100は、例えば木造建築物の柱間に架設されるものである。木製部材の接合構造100は、木製の第1部材1と木製の第2部材2とが接合されたものである。第1部材1及び第2部材2は、水平面に沿うY方向(第1方向)の厚みが薄くなっている箇所があり、その薄肉部分で互いに接合されている。Y方向に直交し水平面に沿う方向を、X方向(第2方向)と称する。
【0018】
各構成部材において、木製部材の接合構造100の中心を基準にして、Y方向のうち第2部材2の第2対向壁部21が配置される側を+Y側(第1方向の一方側)として、反対側を-Y(第1方向の他方側)とする。X方向のうち、第2部材2の本体部20が配置される側を+X側(第2方向の一方側)として、反対側を-X側(第2方向の他方側)とする。
【0019】
第2部材2の-X側には、木製部材の接合構造100を介して第1部材1が接合されている。第2部材2の+X側には、木製部材の接合構造100Aを介して第1部材1Aが接合されている。木製部材の接合構造100Aの構成は、木製部材の接合構造100を点対称にした構成であり、説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、木製部材の接合構造100は、第1部材1の第1対向壁部11と、第1対向壁部11に形成された第1基端側凹部(第1凹部)110と、第1対向壁部11に形成された第1先端側凸部(第2凸部)120と、第2部材2の第2対向壁部21と、第2対向壁部21に形成された第2基端側凹部(第2凹部)210と、第2対向壁部21に形成された第2先端側凸部(第1凸部)220と、第1栓部材4と、を備えている。
【0021】
図4は、木製部材の接合構造100を示す正面図である。図5は、図3のV部拡大図である。
図4に示すように、第1部材1は、+X側に向かうにしたがって次第に上方に向かう形状をしている。なお、第1部材1は、水平方向に延びる形状であってもよい。図5に示すように、第1部材1は、第1本体部10と、第1対向壁部11と、を有している。
【0022】
第1本体部10は、板状に形成されている。第1本体部10の板面は、Y方向を向いている。
【0023】
第1対向壁部11は、第1本体部10における+X側を向く第1当接面(第1面)111から、+X側に向かって突出している。第1対向壁部11は、第1本体部10の-Y側を向く面10aに沿って配置されている。第1当接面111は、-X側に凹む曲面をしている。なお、第1当接面111は、平面状に形成されていてもよい。
【0024】
第1対向壁部11は、第1基端側凹部110と、第1先端側凸部(第2凸部)120と、を有している。
【0025】
第1基端側凹部110は、第1対向壁部11の-X側である基端部11aに形成されている。第1基端側凹部110は、第1対向壁部11の+X側である先端部11bにおける+Y側を向く面(第1対向面)121から-Y側に凹んでいる。第1基端側凹部110には、第1当接面111から-X側に凹む嵌合凹部(第1嵌合凹部)112が形成されている。嵌合凹部112は、第1当接面111の上下方向の中間に形成されている。面121は、+X側に向かうにしたがって次第に-Y側に向かうようにX方向に対して傾斜している。
【0026】
第1先端側凸部120は、第1基端側凹部110の+Y側を向く面(第4対向面)113から+Y側に突出している。第1先端側凸部120には、先端部11bにおける+X側を向く第2当接面(第4面)122から+X側に突出する嵌合凸部(第2嵌合凸部)123が形成されている。嵌合凸部123は、第2当接面122の上下方向の中間に形成されている(図2参照)。面113は、+X側に向かうにしたがって次第に-Y側に向かうようにX方向に対して傾斜している。第2当接面122は、-X側に凹む曲面をしている。なお、第2当接面122は、平面状に形成されていてもよい。
【0027】
図4に示すように、第2部材2は、上方に凸となる形状をしている。第2部材2は、木製部材の接合構造100の部分では、+X側に向かうにしたがって次第に上方に向かう形状をしている。なお、第1部材1は、水平方向に延びる形状であってもよい。図5に示すように、第2部材2は、第2本体部20と、第2対向壁部21と、を有している。
【0028】
第2本体部20は、板状に形成されている。第2本体部20の板面は、Y方向を向いている。
【0029】
第2対向壁部21は、第2本体部20における-X側を向く第3当接面(第2面)211から、-X側に向かって突出している。第2対向壁部21は、第2本体部20の+Y側を向く面20aに沿って配置されている。第3当接面211は、-X側に膨らむ曲面をしている。なお、第3当接面211は、平面状に形成されていてもよい。
【0030】
第3当接面211は、第1部材1の第2当接面122と当接している。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、X方向に互いに近接する方向への移動が拘束されている。
【0031】
第2対向壁部21は、第2基端側凹部210と、第2先端側凸部220と、を有している。
【0032】
第2基端側凹部210は、第2対向壁部21の+X側である基端部21aに形成されている。第2基端側凹部210は、第2対向壁部21の-X側である先端部21bにおける-Y側を向く面(第3対向面)221から+Y側に凹んでいる。第2基端側凹部210には、第3当接面211から+X側に凹む嵌合凹部(第2嵌合凹部)212が形成されている。嵌合凹部212は、第3当接面211の上下方向の中間に形成されている。嵌合凹部212には、第1部材1の嵌合凸部123が嵌合している。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、Y方向への移動及び上下方向への移動が拘束されている。
【0033】
面221は、+X側に向かうにしたがって次第に-Y側に向かうようにX方向に対して傾斜している。面221は、第1部材1の面113に当接している。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、Y方向に互いに近接する方向への移動が拘束されている。
【0034】
第2先端側凸部220は、第2基端側凹部210の-Y側を向く面(第2対向面)213から-Y側に突出している。面213は、+X側に向かうにしたがって次第に-Y側に向かうようにX方向に対して傾斜している。第2先端側凸部220は、第1部材1の第1基端側凹部110に嵌合している。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、Y方向への移動が拘束されている。
【0035】
第2先端側凸部220には、先端部21bにおける-X側を向く第4当接面(第3面)222から-X側に突出する嵌合凸部(第1嵌合凸部)223が形成されている。嵌合凸部223は、第4当接面222の上下方向の中間に形成されている。嵌合凸部223は、第1部材1の嵌合凹部112に嵌合している。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的にY方向への移動及び上下方向への移動が拘束されている。第4当接面222は、-X側に膨らむ曲面をしている。なお、第4当接面222は、平面状に形成されていてもよい。
【0036】
第1部材1の第1先端側凸部120の-X側を向く面124と、第2部材2の第2先端側凸部220の+X側を向く面224とは、X方向に離間して配置されている。第1部材1の第1基端側凹部110の面113と第2部材2の第2基端側凹部210の面213とは、Y方向に離間して配置されている。これによって、第1部材1の面124、面113、第2部材2の面224及び面213との間に、隙間Sが形成されている。
【0037】
図2に示すように、隙間Sには、上下方向に長い直方体状をする木製の2本の第1栓部材4が上下両側から嵌合されている。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、X方向に離間する方向への移動が拘束されている。なお、第1栓部材4は、隙間Sの上下方向の長さに対応した長さの1本の木製の材料で形成されていてもよい。
【0038】
次に、上記に示す木製部材の接合構造100の施工方向について説明する。
図6は、木製部材の接合構造100の施工方法を説明する図であり、(a)第1部材1と第2部材2とを相対的に回転する工程を示し、(b)第1部材1と第2部材2を相対的に近接するように移動する工程を示す。
図6(a)に示すように、第1部材1と第2部材2とを組み立てる際には、第1部材1の嵌合凸部123に第2部材2の第3当接面211を当てるようにする。当該箇所を中心に、第1部材1の第1基端側凹部110に第2部材2の第2先端側凸部220を近接させる方向(矢印Aで示す方向)に回転させる。
【0039】
図6(b)に示すように、第1部材1の面113に第2部材2の面221が近接した状態で、第1部材1と第2部材2とをX方向に近接させるようにスライドさせる。第1部材1の嵌合凹部112に第2部材2の嵌合凸部223が入り込ませて、第2部材2の嵌合凹部212に第1部材1の嵌合凸部123が入り込ませる。第1部材1と第2部材2との間に形成される隙間Sに第1栓部材4を嵌め込んで終了する。
【0040】
このように構成された木製部材の接合構造100では、第2部材2の第2先端側凸部220は、第1部材1の第1基端側凹部110に嵌合している。第1部材1の第1先端側凸部120は、第2部材2の第2基端側凹部210に嵌合している。よって、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、X方向及びY方向の移動が拘束される。第1部材1と第2部材2との間に形成された隙間Sに第1栓部材4が嵌合されているため、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、X方向に離間する方向への移動が拘束される。したがって、X方向への移動及びY方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。
【0041】
また、第2部材2の嵌合凸部223を第1部材1の嵌合凹部112に嵌合することによって、第1部材1と第2部材2とのY方向へ相対的な移動を拘束することができる。
【0042】
また、第1部材1の嵌合凸部123を第2部材2の嵌合凹部212に嵌合することによって、第1部材1と第2部材2とのY方向へ相対的な移動を拘束することができる。
【0043】
また、鋼材を使用しないため、美観を向上させることができるとともに、COの排出量を削減することができる。
【0044】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造について、主に図7を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態では、上述の第一実施形態と同一又は同様な部材及び部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
【0045】
図7は、本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
図7に示すように、第1部材1の第1対向壁部11には、Y方向に貫通する複数の連通孔115が形成されている。連通孔115は、上下方向に離間して5箇所且つX方向に離間して2列の合計10箇所に形成されている。第2部材2の第2対向壁部21には、連通孔115と連通するように連通孔(不図示)が形成されている。第1部材1の連通孔115及び第2部材2の連通孔には、第1方向に延びる円柱状の木製の第2栓部材5が嵌合されている。なお、連通孔115の個数は適宜設定可能である。
【0046】
このように構成された木製部材の接合構造100Bでは、第2部材2の第2先端側凸部220は、第1部材1の第1基端側凹部110に嵌合している。第1部材1の第1先端側凸部120は、第2部材2の第2基端側凹部210に嵌合している。よって、第1部材1と第2部材2とは、相対的にX方向への移動及びY方向に近接する方向の移動が拘束される。第1部材1と第2部材2との間に形成された隙間Sに第1栓部材4が嵌合されているため、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、X方向に離間する方向への移動が拘束される。したがって、X方向への移動及びY方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。
【0047】
また、第1部材1と第2部材2に形成されたY方向に連通する連通孔115に、第2栓部材5が嵌合されている。つまり、X方向及び上下方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。よって。第1部材1と第2部材2とが接合された状態での剛性及び強度を向上させることができるとともに、最大荷重到達後の荷重低下を緩やかにして、靭性を高めることができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0049】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)滑動」がある。本実施形態に係る木製部材の接合構造100は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「15.陸の豊かさを守ろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 第1部材
2 第2部材
4 第1栓部材
5 第2栓部材
11 第1対向壁部
21 第2対向壁部
100,100A,100B 接合構造
110 第1基端側凹部(第1凹部)
111 第1当接面(第1面)
112 嵌合凹部(第1嵌合凹部)
113 面(第4対向面)
115 連通孔
120 第1先端側凸部(第2凸部)
121 面(第1対向面)
122 第2当接面(第4面)
123 嵌合凸部(第2嵌合凸部)
210 第2基端側凹部(第2凹部)
211 第3当接面(第2面)
212 嵌合凹部(第2嵌合凹部)
213 面(第2対向面)
220 第2先端側凸部(第1凸部)
221 面(第3対向面)
222 第4当接面(第3面)
223 嵌合凸部(第1嵌合凸部)
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7