(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030934
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】高さ調整部材と突き合わせ構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/07 20060101AFI20240229BHJP
E04F 19/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04F13/07 G
E04F19/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134181
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】日高 徳雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘章
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕一郎
(57)【要約】
【課題】互いに厚みが異なる内装材同士を突き合わせて壁面に取り付ける場合に、両者の厚みの違いによる両内装材の表面の高さの差を低減又は無くすことができる高さ調整部材を提供する。
【解決手段】高さ調整部材10は、第1の内装材1と、第1の内装材1よりも厚みが大きい第2の内装材2とを突き合わせ方向に互いに突き合わせて壁面3aに取り付ける場合に第1の内装材1の表面の高さを調整するための部材である。高さ調整部材10は、壁面3aに取り付けられる裏面11aと、第1の内装材1が取り付けられる表面11bとを有するシート状の高さ調整部11を有する。高さ調整部11は、突き合わせ方向における一端11cと他端11dを有する。高さ調整部11の厚みが、一端11c側から他端11d側に向かって、次第に大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内装材と、当該第1の内装材よりも厚みが大きい第2の内装材とを突き合わせ方向に互いに突き合わせて壁面に取り付ける場合に第1の内装材の表面の高さを調整するための高さ調整部材であって、
壁面に取り付けられる裏面と、第1の内装材が取り付けられる表面とを有するシート状の高さ調整部を有し、
前記高さ調整部は、前記突き合わせ方向における一端と他端を有し、
前記高さ調整部の厚みが、前記一端側から前記他端側に向かって、次第に大きくなっている、高さ調整部材。
【請求項2】
前記高さ調整部は、第1の内装材と第2の内装材との境界をなす立上り部を有し、
前記立上り部は、前記高さ調整部の前記他端に位置して前記高さ調整部の前記表面に対して立ち上がるように形成されている、請求項1に記載の高さ調整部材。
【請求項3】
第2の内装材の端部を壁面との間で挟めるように、前記立上り部における頂部側の部分から前記高さ調整部と反対側に延びる止め部を有し、
前記高さ調整部の前記裏面に対する前記止め部の裏面の高さは、前記高さ調整部の前記裏面に対する前記高さ調整部の前記表面の高さよりも高い、請求項2に記載の高さ調整部材。
【請求項4】
前記高さ調整部と前記立上り部と前記止め部とは、互いに一体的に形成されている、請求項3に記載の高さ調整部材。
【請求項5】
前記突き合わせ方向に互いに突き合わされるように壁面に取り付けられた第1および第2の内装材と、
前記壁面に取り付けられた裏面と、第1の内装材が取り付けられた表面とを有する高さ調整部を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の高さ調整部材と、を備え、
第2の内装材の厚みは、第1の内装材の厚みよりも大きく、
前記高さ調整部材の前記高さ調整部は、前記突き合わせ方向における一端と他端を有し、第1の内装材は、前記高さ調整部の前記一端側から前記他端側まで延びて第2の内装材と突き合わされている、突き合わせ構造。
【請求項6】
前記高さ調整部の一端は、前記突き合わせ方向における前記壁面の一端部に位置している、請求項5に記載の突き合わせ構造。
【請求項7】
前記壁面である第1の壁面の前記一端部から、第2の壁面が曲がって延びており、
第1の内装材は、第2の壁面に沿って第1および第2の壁面同士の境界まで延びて当該境界で曲がり、第1の壁面において前記高さ調整部の前記表面に沿って延びている、請求項6に記載の突き合わせ構造。
【請求項8】
前記壁面は、洗面化粧台の設置スペースにおける側壁面であり、
第2の内装材は、前記側壁面における、前記洗面化粧台の側方となる範囲に取り付けられており、
第2の内装材の表面は、水を通過または浸透させない耐水性を有する材質で形成されている、請求項5に記載の突き合わせ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに厚みが異なる内装材同士を互いに突き合わせて壁面に取り付ける場合に、内装材の表面高さを調整するための高さ調整部材に関する。また、本発明は、高さ調整部材を用いて第1および第2の内装材を互いに突き合わせるように壁面に取り付けた突き合わせ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内において、内装材(仕上げ材)同士を互いに突き合わせて壁面に取り付ける際に、両者の境界に見切り部材を設ける場合が多い。このような見切り部材は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、ベース板と止め具を備える見切り部材が開示されている。ベース板の表面には立設部が設けられている。立設部は、ベース板の表面の中央において立ち上がるように形成されており、ベース板の長手方向全体にわたってベース板の表面に沿って細長く延びている。ベース板の裏面は、壁面に接着される。ベース板の表面において、立設部の一方側には、一方の壁紙が配置され、立設部の他方側には、他方の壁紙が配置される。両壁紙は、それぞれの端が立設部の側面に接するように配置される。立設部には、その頂部に開口する溝が長手方向に延びるように形成されている。この溝に止め具を挿入することにより、両壁紙の端部がベース板の表面と止め具との間に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
互いに厚みが異なる内装材同士を突き合わせるように壁面に取り付けたい場合がある。この場合、特許文献1の見切り部材は、内装材同士の厚みの差に対応しておらず、両内装材同士の見切り部材としては不向きである。
【0006】
また、互いに厚みが異なる内装材同士の境界を仮に上述のような見切り部材で構成したとしても、両内装材の表面の高さが、両者の厚みの差によって異なってしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、互いに厚みが異なる内装材同士を突き合わせて壁面に取り付ける場合に、両者の厚みの違いによる両内装材の表面の高さの差を低減又は無くすことができる高さ調整部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によると、本発明の高さ調整部材は、第1の内装材と、当該第1の内装材よりも厚みが大きい第2の内装材とを突き合わせ方向に互いに突き合わせて壁面に取り付ける場合に第1の内装材の表面の高さを調整するための部材であって、
壁面に取り付けられる裏面と、第1の内装材が取り付けられる表面とを有するシート状の高さ調整部を有し、
前記高さ調整部は、前記突き合わせ方向における一端と他端を有し、
前記高さ調整部の厚みが、前記一端側から前記他端側に向かって、次第に大きくなっている。
【0009】
第2の態様によると、本発明の突き合わせ構造は、
前記突き合わせ方向に互いに突き合わされるように壁面に取り付けられた第1および第2の内装材と、
前記壁面に取り付けられた裏面と、第1の内装材が取り付けられた表面とを有する高さ調整部を有する上述の高さ調整部材と、を備え、
第2の内装材の厚みは、第1の内装材の厚みよりも大きく、
前記高さ調整部材の前記高さ調整部は、前記突き合わせ方向における一端と他端を有し、第1の内装材は、前記高さ調整部の前記一端側から前記他端側まで延びて第2の内装材と突き合わされている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、高さ調整部材は、壁面に取り付けられる裏面と、第1の内装材が取り付けられる表面とを有するシート状の高さ調整部を有する。高さ調整部の厚みは、第1および第2の内装材同士を突き合わせる方向の一端側から他端側に向かって、次第に大きくなっている。これにより、高さ調整部の他端側で第2の内装材に突き合わせられるように高さ調整部の表面に取り付けた第1の内装材の高さと、壁面に取り付けた第2の内装材の高さとの差を、第1および第2の内装材同士の突き合わせ箇所で、低減又は無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による突き合わせ構造を示す断面図である。
【
図2】
図1における部分拡大図であり、高さ調整部材のみを示す。
【
図4】建物の室内において洗面化粧台が設けられたスペースの正面図である。
【
図6】変更例による突き合わせ構造を示す断面図である。
【
図7】別の変更例による突き合わせ構造を示す断面図である。
【
図8】別の変更例による突き合わせ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による突き合わせ構造100を示す断面図である。
図1は、水平面による断面である。
図2は、
図1における部分拡大図であり、高さ調整部材10のみを示す。
図3は、
図1のIII-III線矢視図であるが、第1および第2の内装材1,2については、その外縁のみを2点鎖線で示している。
【0014】
突き合わせ構造100は、第1の内装材1と、第1の内装材1よりも厚みが大きい第2の内装材2を突き合わせて壁面3aに取り付けた構造である。以下において、第1および第2の内装材1,2を互いに突き合わせる方向を突き合わせ方向という。
【0015】
なお、
図1において、壁面3aよりも内側における、壁3の具体的構造の図示は省略するが、壁面3aは、例えば石膏ボードや合板などの下地材により形成されたものであってよい。壁面3aは、水平方向を向く鉛直面である。この場合、壁面3aは、本実施形態では平面であるが、場合によっては曲面であってもよい。
【0016】
突き合わせ構造100は、第1および第2の内装材1,2と、高さ調整部材10とを備える。
【0017】
第1および第2の内装材1,2は、シート状に形成されたものであってよい。第1および第2の内装材1,2は、室内の空間に露出する外面を形成する仕上げ材であってよい。例えば、第1の内装材1は、クロス(壁紙)であってよい。このクロスは、例えば、紙、布、或いはビニル系の材料で形成されたものであってよいが、他の材料で形成されたものであってもよい。第2の内装材2は、一例では、メラミン化粧板であるが、これに限定されず、第1の内装材1よりも厚みが大きいものであればよい。
【0018】
第1の内装材1の厚みと第2の内装材2の厚みとの差は、人の目で認識され得る大きさであってよく、例えば、0.3mm以上であり1mm以下、又は1mm以上であり5mm以下であってよいが、これらの範囲に限定されない。
【0019】
第1の内装材1の厚みは、第1の内装材1の全体にわたって同じであってよい。同様に、第2の内装材2の厚みは、第2の内装材2の全体にわたって同じであってよい。
【0020】
一例では、第1の内装材1の厚みは、0.3mm以上であり0.5mm以下であってよく、第2の内装材2は、0.8mm以上であり1.2mm以下であってよい。ただし、第1および第2の内装材1,2の厚みは、この数値範囲に限定されない。
【0021】
高さ調整部材10は、第1および第2の内装材1,2を互いに突き合わせて壁面3aに取り付ける場合に第1の内装材1の表面の高さを調整するために壁面3aに取り付けられる。
図1において高さ調整部材10内の破線(及び
図2における対応する箇所の破線)は、高さ調整部11と立上り部12と止め部13との境界を示す仮想線である。また、高さ調整部材10と第1および第2の内装材1,2は、室内における床面(又は床面近傍の位置)から天井面(又は天井面近傍の位置)まで延びていてよい。ここで、当該室内は、建物(例えばマンション又は一戸建て住宅)の室内であってよいが、これに限定されず、例えば乗り物などの室内であってもよい。
【0022】
高さ調整部材10は、本実施形態では、高さ調整部11、立上り部12、および止め部13を備える見切り部材である。
【0023】
高さ調整部11は、壁面3aに取り付けられる裏面11aと、第1の内装材1が取り付けられる表面11bとを有する。高さ調整部11は、突き合わせ方向における一端11cと他端11dを有する。高さ調整部11の裏面11aは、例えば接着剤により壁面3aに取り付けてよいが、他の手段により壁面3aに取り付けられてもよい。第1の内装材1は、例えば接着剤により高さ調整部11の表面11bに取り付けてよいが、他の手段により高さ調整部11の表面11bに取り付けられてもよい。なお、第2の内装材2は、例えば接着剤により壁面3aに取り付けてよいが、他の手段により壁面3aに取り付けられてよい。
【0024】
高さ調整部11の厚みが、一端11c側から他端11d側に向かって、次第に大きくなっている。高さ調整部11の厚みは、一端11cから他端11dまでの全範囲にわたって(あるいは当該全範囲に含まれる一部の範囲にわたって)、一端11c側から他端11d側へ移行するにつれて連続的に大きくなっていてよい。
【0025】
一例では、高さ調整部11の厚みは、一端11cから他端11dまで、他端11d側に移行するにつれて連続的に大きくなっていることにより、高さ調整部11の表面11bの全体は、裏面11aに対して斜めの斜面となっている。この斜面は、平面であっても曲面であってもよい。
【0026】
別の例では、高さ調整部11の厚みは、一端11cから他端11d側へずれた位置から、他端11dから一端11c側へずれた位置まで、他端11d側に移行するにつれて連続的に大きくなっていてよい。ここで、一端11cから他端11d側へずれた上記位置から一端11cまでの範囲では、高さ調整部11の厚みは変化せずに同じであってよい。同様に、他端11dから一端11c側へずれた上記位置から他端11dまでの範囲では、高さ調整部11の厚みは変化せずに同じであってよい。
【0027】
また、場合によっては、高さ調整部11の厚みが、一端11c側から他端11d側に向かって、人の目で認識し難い大きさ(例えば1mm以下又は0.5mm以下の大きさ)ずつ複数回にわたって段階的に(すなわち、互いにずれた複数の位置の各々で)不連続的に)大きくなっていてもよい。
【0028】
本実施形態によると、高さ調整部11の一端11cは、突き合わせ方向における壁面3aの一端部(例えば後述の角3cとなる端辺)に位置している。
【0029】
壁3は、壁面3aの端辺から(例えば直角に)曲がって延びる第2の壁面3bを有していてよい。水平面による壁の断面において、
図1のように、壁面3a(以下で第1の壁面3aともいう)と、第2の壁面3bとにより、角3cが形成されていてよく、高さ調整部11の一端11cは、この角3cに位置していてよい。第2の壁面3bは、第1の壁面3aと同様に鉛直面であってよい。
【0030】
第1の内装材1は、
図1のように、第1および第2の壁面3a,3bの両方に取り付けられてよい。すなわち、1枚の第1の内装材1が、第1および第2の壁面3a,3bにわたって連続的に延びていてよい。この場合、第1の内装材1は、第2の壁面3bに沿って第1および第2の壁面3a同士の境界(上記角3c)まで延びて当該境界で曲がり、第1の壁面3aにおいて高さ調整部11の表面11bに沿って延びている。第1の内装材1は、第1の壁面3aに対しては、上述のように高さ調整部11を介して取り付けられるが、第2の壁面3bには接着剤などにより直接取り付けられてよい。
【0031】
立上り部12は、第1の内装材1と第2の内装材2との境界をなしている。立上り部12は、高さ調整部11の他端11dに位置して高さ調整部11の表面11bに対して立ち上がるように形成されている。なお、立上り部12において高さ調整部11と反対側の側面が第2の内装材2の端辺に当接していてよい。これにより、高さ調整部材10を第2の内装材2に対して位置決めさせてよい。立上り部12は、高さ調整部11に一体的に形成されていてよい。
【0032】
止め部13は、第2の内装材2の端部を壁面3aとの間で挟めるように、立上り部12における頂部側の部分から高さ調整部11と反対側に延びる。止め部13は、高さ調整部11および立上り部12と一体的に形成されていてよい。高さ調整部11の裏面11aに対する止め部13の裏面13aの高さは、高さ調整部11の裏面11aに対する高さ調整部11の表面11bの高さよりも高い。
【0033】
高さ調整部材10は、樹脂により形成されてよいが、他の材料により形成されてもよい。高さ調整部11と立上り部12と止め部13とは、互いに一体的に形成される場合、高さ調整部材10は、例えば3次元造形装置(3Dプリンタ)により製作されてよいが、他の方法で形成されてもよい。
【0034】
図2に示すように、高さ調整部11の裏面11aに対する止め部13の裏面13aの高さH1は、第2の内装材2の実質的な厚み(例えば、第2の内装材2の厚みと、第2の内装材2と壁面3aとの間の接着剤の厚みとの和)に等しくてよい。ここで、高さ調整部11の裏面11aと止め部13の裏面13aは、平面であってよい。他端11dにおける高さ調整部11の厚みH2と第1の内装材1の実質的な厚み(例えば、第1の内装材1の厚みと、第1の内装材1と高さ調整部11との間の接着剤の厚みとの和)との和が、第2の内装材2の実質的な厚みH1と等しくてよい。また、他端11dにおける高さ調整部11の厚みH2は、第1の内装材1の厚みと第2の内装材2の厚みとの差と等しくてよい。なお、一例では、高さ調整部11の厚みは、一端11cにおいてH2は、0.3mmであり、他端11dまで連続的に増加して他端11dにおいて0.8mm(すなわちH2=0.8mm)であり、H1は、1.2mmである。
また、高さ調整部11の一端11cから他端11dまでの寸法は、例えば、10mm以上であり20mm未満、20mm以上であり30mm未満、30mm以上50mm未満、50mm以上100mm未満、100mm以上300mm未満、又は300mm以上であってもよいが、これらの範囲に限定されない。また、高さ調整部11は、一端11cから他端11dへの方向に直交する方向(
図2の紙面と直交する方向)に長尺の形状を有していてよい。
【0035】
(実施形態の効果)
上述した実施形態によると、高さ調整部11の厚みは、一端11c側から他端11d側に向かって、次第に大きくなっている。これにより、高さ調整部11の裏面11aを壁面3aに取り付けた状態で、壁面3aに対する高さ調整部11の表面11bの高さは、一端11c側から他端11d側に向かって次第に高くなっている。したがって、高さ調整部11の表面11bに取り付けた第1の内装材1(すなわち、高さ調整部11を介して壁面3aに取り付けた第1の内装材1)の高さと、壁面3aに取り付けた第2の内装材2の高さとの差は、第1および第2の内装材1,2同士の突き合わせ箇所(境界)で、人の目で認識し難い程度に小さくなっている(例えば、無くなっている)。これにより、第1および第2の内装材1,2によるデザイン性が向上する。
【0036】
これに関して、高さ調整部11により、壁面3aに対する第1の内装材1の高さは、一端11c側から他端11d側に向かって、次第に大きくなっているので、人は、この高さの変化を視認し難く、壁面3a上における第1の内装材1の広範囲(例えば全体)の高さが、第2の内装材2の高さと同じになっていると錯覚する。これにより、互いに厚みが異なっており互いに突き合わされるように壁面3aに取り付けられた第1および第2の内装材1,2によるデザイン性が向上する。
【0037】
立上り部12は、第1の内装材1と第2の内装材2との境界をなす。したがって、立上り部12により、第1および第2の内装材1,2同士の継ぎ目のデザイン性(装飾性)が向上する。
【0038】
また、立上り部12は、高さ調整部11の他端11dに位置して高さ調整部11の表面11bに対して立ち上がるように形成されている。したがって、立上り部12の側面12aに、第1の内装材1の端辺を当接させることにより、第1の内装材1を位置決めすることが可能となる。これにより、高さ調整部11への第1の内装材1の取り付け作業が容易になる。
【0039】
止め部13は、第2の内装材2の端部を壁面3aとの間で挟めるように、立上り部12における頂部側の部分から高さ調整部11と反対側に延びる。したがって、止め部13により、第2の内装材2の端辺を隠すことができるとともに、第2の内装材2が壁面3aから剥がれてしまうことを防止できる。
【0040】
また、高さ調整部11と立上り部12と止め部13とは、互いに一体的に形成されている。これにより、例えば、第2の内装材2を壁面3aに取り付け、次いで、第2の内装材2に合わせて、一体型の高さ調整部材10を壁面3aに取り付け、次いで、第1の内装材1を高さ調整部材10に合わせて取り付けることで、第1および第2の内装材1,2同士の高さが調整された状態で、両者を互いに突き合わせるように壁面3aに取り付けられる。したがって、第1および第2の内装材1,2同士の高さを調整しつつ、両者を互いに突き合わせて壁面3aに取り付ける作業が容易になる。
【0041】
高さ調整部11の一端11c(端辺)は、壁面3aの端部(例えば端辺)に位置している。これにより、高さ調整部11の一端11cにおいて、壁面3aと高さ調整部11の表面11bとの段差が生じなくなる。すなわち、この段差が第2の壁面3bと同一面において生じることにより、当該段差が見えなくなる。
【0042】
例えば、一端11cでの高さ調整部11の厚みが、人が視認できる程度の厚み(例えば、0.1mm以上、0.3mm以上、又は、0.5mm以上の厚み)である場合に、高さ調整部11の一端11c(端辺)を、壁面3aの端部(例えば端辺)に位置させてよい。これにより、一端11cでの高さ調整部11の厚みによる上記段差が、上述のように生じなくなる。
【0043】
(実施例)
図4と
図5は、上述した本発明による突き合わせ構造100が適用された一実施例を示す。
図4は、建物(例えば集合住宅)の室内において洗面化粧台21が設けられたスペースの正面図である。
図5は、
図4のV-V矢視図である。本実施例の場合、上述の
図1は、
図5の破線で囲んだ部分の拡大図である。
【0044】
図4と
図5に示すように、上述の壁面3aは、洗面化粧台21の設置スペースにおける側壁面である。第1の内装材1は、壁紙であってよい。第2の内装材2は、側壁面3aにおける、洗面化粧台21の側方となる範囲に取り付けられている。第2の内装材2の表面は、水を通過または浸透させない耐水性を有する材質で形成されていてよい。第2の内装材2は、一例では、メラミン化粧板であってよいが、これに限定されない。
【0045】
第1および第2の内装材1,2は、洗面化粧台21から当該洗面化粧台21の正面側にずれた位置で互いに突き合わされるように側壁面3aに取り付けられてよい。なお、第2の内装材2は、洗面化粧台21の背面側の壁面4から高さ調整部材10まで延びていてよい。
【0046】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1~4のいずれかを採用してもよいし、変更例1~4のうち、任意の2つ、3つ又は全てを組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で説明しない事項は、上述と同じであってよい。
【0047】
(変更例1)
上述では、高さ調整部材10は、高さ調整部11、立上り部12、および止め部13を備えていたが、高さ調整部材10は、高さ調整部11を有していればよい。すなわち、高さ調整部材10は、止め部13を有していなくてもよいし、立上り部12と止め部13の両方を有していなくてもよい。後者の場合、
図6に示すように、高さ調整部11における他端11d側の端面が第2の内装材2の端辺(端面)に当接していてよい。これにより、高さ調整部材10を第2の内装材2に対して位置決めさせてよい。また、この場合、第1および第2の内装材1,2は、それぞれの端辺(端面)同士が互いに当接してよい。なお、
図6は、
図1に相当する図であるが、本変更例の場合を示す。
【0048】
(変更例2)
高さ調整部11および立上り部12と、止め部13とは、互いに別体として製作されていてよい。この場合、止め部13は、嵌合や接着剤などにより立上り部12に取り付けることにより、上述の突き合わせ構造100が形成されてよい。例えば、止め部13が立上り部12に嵌合することにより、止め部13が立上り部12に取り付けられてよい。例えば、立上り部12の頂部には、突き合わせ方向と直交する方向(
図1の紙面に直交する方向)に延びる溝12bが形成されており、止め部13には、この溝12bに嵌合する嵌合部13bが形成されていてよい。この場合でも、止め部13は、更に接着剤により立上り部12に接着してよい。なお、
図7は、
図2に相当する図であるが、本変更例の場合を示す。
【0049】
(変更例3)
上述の止め部13は、立上り部12における頂部側の部分から高さ調整部11側と反対側に延びる部分に加えて、又は当該部分の代わりに、
図8のように、立上り部12における頂部側の部分から高さ調整部11側へ延びている部分を有していてもよい。この場合、当該部分と高さ調整部11との間に、第1の内装材1の端部が挟まれるようになっていてよい。なお、
図8は、
図1に相当する図であるが、本変更例の場合を示す。
【0050】
(変更例4)
上述では、突き合わせ方向は、上述では水平方向であったが、他の方向(例えば鉛直方向)であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の内装材
2 第2の内装材
3 壁
3a 壁面(第1の壁面、側壁面)
3b 壁面(第2の壁面)
3c 角
10 高さ調整部材
11 高さ調整部
11a 裏面
11b 表面
11c 一端
11d 他端
12 立上り部
12a 側面
13 止め部
13a 裏面
21 洗面化粧台
100 突き合わせ構造