(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030944
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】釣糸ガイド
(51)【国際特許分類】
A01K 87/04 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134196
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AC00
2B019BA02
2B019BA05
2B019BA08
(57)【要約】
【課題】糸絡みの発生を抑制する。
【解決手段】釣糸案内部10と、第1脚部11と、第1取付部13と、を備え、釣糸案内部10は、中心軸方向を定義する螺旋状の線材4によって構成され、釣糸案内部10は、周回開始部20、および、周回終了部21を有し、周回終了部21は、周回開始部20に対して中心軸方向にずれ、第1脚部11は、周回開始部20から中心軸方向かつ周回終了部側に延び、第1取付部13は、竿体2に取り付けられるように第1脚部11から延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材から構成される釣糸ガイドであって、
中心軸方向を定義する螺旋状の線材によって構成され、周回開始部、および、前記周回開始部に対して前記中心軸方向にずれる周回終了部を有する釣糸案内部と、
前記周回開始部から前記中心軸方向かつ前記周回終了部側に延びる第1脚部と、
竿体に取り付けられるように前記第1脚部から延びる第1取付部と、を備える、釣糸ガイド。
【請求項2】
前記第1取付部は、前記中心軸方向の前記周回開始部側から前記周回終了部側に向けて、前記竿体の外周面に巻き付けられる、請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記第1取付部は、前記竿体に対して径方向に着脱可能に前記竿体の外周面に巻き付けられる、請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記中心軸方向かつ前記周回開始部側から前記周回終了部側に向かう方向に前記周回終了部から延びる第2脚部と、
前記竿体に取り付けられるように前記第2脚部から延びる第2取付部と、
をさらに備える、請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
前記第2取付部は、前記中心軸方向の前記周回終了部側から前記周回開始部側に向けて、前記竿体の外周面に巻き付けられる、請求項4に記載の釣糸ガイド。
【請求項6】
前記第2取付部は、前記竿体に対して径方向に着脱可能に前記竿体の外周面に巻き付けられる、請求項4に記載の釣糸ガイド。
【請求項7】
竿体の外周面に装着される装着筒と、
中心軸方向を定義する螺旋状の線材によって構成され、周回開始部、および、前記周回開始部に対して前記中心軸方向にずれる周回終了部を有する釣糸案内部と、
前記周回開始部から前記中心軸方向かつ前記周回終了部側に延びる第1脚部と、
前記装着筒に取り付けられるように前記第1脚部から延びる第1取付部と、を備える、釣糸ガイド。
【請求項8】
前記装着筒は、前記装着筒の周方向への前記第1取付部の回転を規制する第1規制部を有する、請求項7に記載の釣糸ガイド。
【請求項9】
前記装着筒は、前記中心軸方向への前記第1取付部の移動を規制する第2規制部を有する、請求項7に記載の釣糸ガイド。
【請求項10】
前記第1取付部は、前記中心軸方向の前記周回開始部側から前記周回終了部側に向けて、前記装着筒の外周面に巻き付けられる、請求項7乃至9の何れか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項11】
前記中心軸方向かつ前記周回開始部側から前記周回終了部側に向かう方向に前記周回終了部から延びる第2脚部と、
前記装着筒に取り付けられるように前記第2脚部から延びる第2取付部と、
をさらに備える、請求項7乃至9の何れか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項12】
前記第2取付部は、前記中心軸方向の前記周回終了部側から前記周回開始部側に向けて、前記装着筒の外周面に巻き付けられる、請求項11に記載の釣糸ガイド。
【請求項13】
前記第1取付部は、前記釣糸案内部に対して、前記中心軸方向かつ前記周回終了部側に位置する、請求項1または7に記載の釣糸ガイド。
【請求項14】
前記中心軸方向かつ前記周回終了部側に屈曲するように前記周回開始部と前記第1脚部との間に設けられる第1屈曲部をさらに備える、請求項1または7に記載の釣糸ガイド。
【請求項15】
前記中心軸方向かつ前記周回開始部側から前記周回終了部側に向かう方向に屈曲するように前記周回終了部と前記第2脚部との間に設けられる第2屈曲部をさらに備える、請求項4に記載の釣糸ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を案内するための釣糸ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1,2のように、線材を螺旋状に巻回して釣糸を案内するための案内部を形成すると共に、線材の両端部をそれぞれ巻回して釣竿に取り付けるための取付部を形成したものが提案されている。しかしながら、螺旋状に巻回した案内部において線材同士が離れると、そこに釣糸が絡みやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-45456号公報
【特許文献2】実公昭49-12074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、糸絡みの発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係る釣糸ガイドは、線材から構成される。釣糸ガイドは、釣糸案内部と、第1脚部と、第1取付部と、を備える。釣糸案内部は、中心軸方向を定義する螺旋状の線材によって構成される。釣糸案内部は、周回開始部、および、周回終了部を有する。周回終了部は、周回開始部に対して中心軸方向にずれる。第1脚部は、周回開始部から中心軸方向かつ周回終了部側に延びる。第1取付部は、竿体に取り付けられるように第1脚部から延びる。
【0006】
この構成によれば、第1脚部が周回開始部から中心軸方向かつ周回終了部側に延びている。そのため、第1脚部が周回開始部から竿体に向けて真っ直ぐに伸びている構成に比して、即ち、第1脚部が周回開始部から中心軸方向と直交する方向に向けて延びている構成に比して、釣糸案内部における線材の螺旋形状が崩れにくく、線材同士が中心軸方向に離れにくくなる。つまり、第1脚部が釣糸案内部における線材同士の離間、開きを抑制する。そのため、釣糸案内部において線材同士が離間することが要因となって生じる釣糸の絡みが抑制されることになる。
【0007】
本発明の第1側面に従う第2側面の釣糸ガイドにおいては、第1取付部は、中心軸方向の周回開始部側から周回終了部側に向けて、竿体の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、第1取付部が中心軸方向の周回開始部側から周回終了部側に向けて竿体の外周面に巻き付けられるので、第1取付部が中心軸方向の周回終了部側から周回開始部側に向けて竿体の外周面に巻き付けられる構成に比して、第1取付部における糸絡みが発生しにくくなる。
【0008】
本発明の第1側面に従う第3側面の釣糸ガイドにおいては、第1取付部は、竿体に対して径方向に着脱可能に竿体の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、釣糸ガイドを竿体に容易に着脱できる。
【0009】
本発明の第1乃至第3側面の何れか一つの側面に従う第4側面の釣糸ガイドにおいては、第2脚部と第2取付部をさらに備える。第2脚部は、中心軸方向かつ周回開始部側から周回終了部側に向かう方向に周回終了部から延びる。第2取付部は、竿体に取り付けられるように第2脚部から延びる。この構成によれば、第2脚部が第1脚部と同様に中心軸方向かつ周回開始部側から周回終了部側に向かう方向に延びているので、第1脚部及び第2脚部における糸絡みが抑制される。
【0010】
本発明の第4側面に従う第5側面の釣糸ガイドにおいては、第2取付部は、中心軸方向の周回終了部側から周回開始部側に向けて、竿体の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、第2取付部が、第1取付部とは逆方向に竿体の外周面に巻き付けられる。そのため、第2取付部における糸絡みの発生を抑制することができる。
【0011】
本発明の第4又は第5側面に従う第6側面の釣糸ガイドにおいては、第2取付部は、竿体に対して径方向に着脱可能に竿体の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、釣糸ガイドを竿体に容易に着脱できる。
【0012】
本発明の第7側面の釣糸ガイドは、装着筒と、釣糸案内部と、第1脚部と、第1取付部と、を備える。装着筒は、竿体の外周面に装着される。釣糸案内部は、中心軸方向を定義する螺旋状の線材によって構成される。釣糸案内部は、周回開始部、および、周回終了部を有する。周回終了部は、周回開始部に対して中心軸方向にずれる。第1脚部は、周回開始部から中心軸方向かつ周回終了部側に延びる。第1取付部は、装着筒に取り付けられるように第1脚部から延びる。
【0013】
この構成によれば、釣糸ガイドを装着筒を介して竿体に取り付けることができる。そのため、釣糸ガイドの汎用性が高まる。そして、第1脚部が周回開始部から中心軸方向かつ周回終了部側に延びている。そのため、第1脚部が周回開始部から竿体に向けて真っ直ぐに伸びている構成に比して、即ち、第1脚部が周回開始部から中心軸方向と直交する方向に向けて延びている構成に比して、釣糸案内部における線材の螺旋形状が崩れにくく、線材同士が中心軸方向に離れにくくなる。つまり、第1脚部が釣糸案内部における線材同士の離間、開きを抑制する。そのため、釣糸案内部において線材同士が離間することが要因となって生じる釣糸の絡みが抑制されることになる。
【0014】
本発明の第7側面に従う第8側面の釣糸ガイドにおいては、装着筒は、第1規制部を有する。第1規制部は、装着筒の周方向への第1取付部の回転を規制する。この構成によれば、第1取付部の装着筒への取り付け状態が安定する。
【0015】
本発明の第7又は第8側面に従う第9側面の釣糸ガイドにおいては、装着筒は、第2規制部を有する。第2規制部は、中心軸方向への第1取付部の移動を規制する。この構成によれば、第1取付部の装着筒への取り付け状態が安定する。
【0016】
本発明の第7乃至第9側面の何れか一つの側面に従う第10側面の釣糸ガイドにおいては、第1取付部は、中心軸方向の周回開始部側から周回終了部側に向けて、装着筒の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、第1取付部が中心軸方向の周回終了部側から周回開始部側に向けて竿体の外周面に巻き付けられる構成に比して、第1取付部における糸絡みが発生しにくくなる。
【0017】
本発明の第7乃至第10側面の何れか一つの側面に従う第11側面の釣糸ガイドにおいては、第2脚部と第2取付部をさらに備える。第2脚部は、中心軸方向かつ周回開始部側から周回終了部側に向かう方向に周回終了部から延びる。第2取付部は、装着筒に取り付けられるように第2脚部から延びる。この構成によれば、第2脚部が第1脚部と同様に中心軸方向かつ周回開始部側から周回終了部側に向かう方向に延びているので、第1脚部及び第2脚部における糸絡みが抑制される。
【0018】
本発明の第11側面に従う第12側面の釣糸ガイドにおいては、第2取付部は、中心軸方向の周回終了部側から周回開始部側に向けて、装着筒の外周面に巻き付けられる。この構成によれば、第2取付部が、第1取付部とは逆方向に竿体の外周面に巻き付けられる。そのため、第2取付部における糸絡みの発生を抑制することができる。
【0019】
本発明の第1乃至第12側面の何れか一つの側面に従う第13側面の釣糸ガイドにおいては、第1取付部は、釣糸案内部に対して、中心軸方向かつ周回終了部側に位置する。この構成によれば、第1脚部が釣糸案内部と第1取付部とを斜めに連結するので、第1脚部における糸絡みの発生が抑制される。
【0020】
本発明の第1乃至第13側面の何れか一つの側面に従う第14側面の釣糸ガイドにおいては、第1屈曲部をさらに備える。第1屈曲部は、中心軸方向かつ周回終了部側に屈曲するように周回開始部と第1脚部との間に設けられる。この構成によれば、第1屈曲部によって、釣糸案内部において線材同士が中心軸方向により一層離れにくくなる。そのため、釣糸案内部において線材同士が離間することが要因となって生じる釣糸の絡みがより一層抑制されることになる。
【0021】
本発明の第4又は第11側面に従う第15側面の釣糸ガイドにおいては、第2屈曲部をさらに備える。第2屈曲部は、中心軸方向かつ周回開始部側から周回終了部側に向かう方向に屈曲するように周回終了部と第2脚部との間に設けられる。この構成によれば、第1屈曲部によって、釣糸案内部において線材同士が中心軸方向により一層離れにくくなる。そのため、釣糸案内部において線材同士が離間することが要因となって生じる釣糸の絡みがより一層抑制されることになる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、線材から螺旋状に構成される釣糸案内部を備える釣糸ガイドにおいて、糸絡みの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態における釣糸ガイドの釣竿への取付状態を竿先側から見た斜視図。
【
図2】同釣糸ガイドの釣竿への取付状態を竿尻側から見た斜視図。
【
図3】同釣糸ガイドの釣竿への取付状態を示す側面図。
【
図4】同釣糸ガイドの釣竿への取付状態を竿尻側から軸線方向に見た図。
【
図5】同釣糸ガイドの釣竿への取付状態を示す底面図。
【
図6】同釣糸ガイドの釣竿への取付状態を示す要部拡大図。
【
図7】本発明の他の実施形態における釣糸ガイドの釣竿への取付状態を示す要部拡大図。
【
図8】本発明の他の実施形態における釣糸ガイドを示す側面図。
【
図9】本発明の他の実施形態における釣糸ガイドを示す側面図。
【
図11】本発明の他の実施形態における釣糸ガイドの要部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドについて、
図1~
図6を参酌しつつ説明する。釣糸ガイド1は、釣竿の竿体2の外周面の所定位置に取り付けられる。釣糸ガイド1は、リールが取り付け可能な種々の釣竿に取り付けられる。特に、スピニングリール用の釣竿に適している。また、竿体2に取り付けられる複数の釣糸ガイド1のうち、最も竿尻側に位置する釣糸ガイド1である元ガイド(バットガイド)に適しているが、他の位置に取り付けられる釣糸ガイド1にも適用可能である。
【0025】
尚、竿体24の軸方向を前後方向とし、竿先側を前側として図中に矢印X1で示し、竿尻側を後側として図中に矢印X2で示す。尚、竿体2の中心軸方向を単に第1軸方向と称する。また、竿体2の周方向を左右方向とする。
図4のように、釣糸ガイド1が竿体2に対して上側に位置した状態で後側から第1軸方向に見たとき、竿体2の中心2aと釣糸ガイド1の後述する釣糸案内部10の中心10dとを結ぶ左右対称線100に対して、向かって左側を左右第1方向として矢印Y1で示し、向かって右側を左右第2方向として矢印Y2で示す。
【0026】
釣糸ガイド1は、一本の線材4から構成されるガイド本体3を備えている。線材4は、好ましくは金属製であって、中実であってもよいし、中空であってもよい。線材4は例えば形状記憶合金であってもよい。また、線材4は、非金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。線材4は、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂の場合には、巻き回し成型後に加熱硬化し、熱可塑性樹脂の場合には、軟化した状態で成型し冷却する。ガイド本体3は、釣糸を案内するための釣糸案内部10と、釣糸案内部10から竿体2に向けて延びる第1脚部11と、釣糸案内部10から竿体2に向けて延びる第2脚部12と、第1脚部11から延びて竿体2に取り付けられる第1取付部13と、第2脚部12から延びて竿体2に取り付けられる第2取付部14とを有する。
【0027】
<釣糸案内部10>
釣糸案内部10は、所定の中心軸回りに線材4が螺旋状に巻回されて構成されている。釣糸案内部10は、線材4が密巻きされて形成されている。即ち、釣糸案内部10は、線材4が隙間がないようにして螺旋状に巻回されていて、釣糸案内部10においては、隣り合う線材同士が密着している。このように密巻きされていると、釣糸が絡みにくい。釣糸案内部10の中心軸方向を以下単に第2軸方向と称する。第2軸方向は第1軸方向と平行であってもよいが、第1軸方向に対して傾斜していてもよい。本実施形態では、第2軸方向は第1軸方向と平行である。釣糸案内部10において、線材4の巻回数(ターン数)は任意であるが、少なくとも1周回(1ターン)を越えるものであって、本実施形態では、1.5周回である。
【0028】
釣糸案内部10は、螺旋状の線材4の周回の始点と終点のうちの一方である周回開始部20(第1周回端部)と、他方である周回終了部21(第2周回端部)とを有する。周回開始部20と周回終了部21は、釣糸案内部10における線材4の周回の一端部と他端部である。線材4は、周回開始部20と周回終了部21においてそれぞれ釣糸案内部10から離れて、第1脚部11と第2脚部12となる。周回終了部21は、周回開始部20に対して第2軸方向にずれている。本実施形態において周回開始部20は、前側に位置し、周回終了部21は後側に位置する。即ち、周回終了部21は、周回開始部20に対して後側に位置する。周回開始部20は、釣糸案内部10のうち最も前側に位置する。周回終了部21は、釣糸案内部10のうち最も後側に位置する。
【0029】
図4のように、周回開始部20は、左右対称線100よりも左右第1方向に位置する。周回終了部21は、左右対称線100よりも左右第2方向に位置する。周回開始部20と周回終了部21は、左右対称線100に対して互いに左右対称関係にある。釣糸案内部10の全周を90度毎に四つの領域に区分したとき、即ち、竿体2に近い90度領域である下部領域10aと、竿体2から遠い90度領域である上部領域10bと、下部領域10aと上部領域10bの間に位置する左右一対の側部領域10cとに区分したとき、周回開始部20及び周回終了部21は、左右一対の側部領域10cにそれぞれ設けられる。
【0030】
尚、釣糸案内部10は、本実施形態では円形であるが、非円形であってもよい。非円形としては、例えば楕円形や、一部に直線区間を有する陸上競技トラックのような形状を含む長円形等がある。また、多角形であってもよい。
【0031】
<第1脚部11と第2脚部12>
第1脚部11と第2脚部12は、釣糸案内部10と第1取付部13及び第2取付部14とを連結する。第1脚部11と第2脚部12は、釣糸案内部10を支持する支持脚である。第1脚部11と第2脚部12は、
図4のように第1軸方向に見たとき、左右対称関係にある。第1脚部11は、周回開始部20から竿体2に向けて延び、第2脚部12は、周回終了部21から竿体2に向けて延びる。第1脚部11は、左右対称線100に対して左右第1方向に位置し、第2脚部12は、左右対称線100に対して左右第2方向に位置する。
【0032】
<第1脚部11>
第1脚部11は、周回開始部20から後側に向けて延びている。
図3のように、第1脚部11は、釣糸案内部10の径方向外側を横断する。第1脚部11は、周回開始部20の後側に隣接する線材4に近づくように周回開始部20から後側に向かい、そして、周回開始部20の後側に隣接する線材4の径方向外側を後側に通過する。第1脚部11は、周回開始部20に隣接する線材4の径方向外側を斜めに横断して竿体2に向かう。
【0033】
周回開始部20と第1脚部11との間には、第1屈曲部31が設けられる。第1屈曲部31は、後側に屈曲する。第1屈曲部31は、前側から見て山折りであり、後側から見て谷折りである。第1脚部11は、第1屈曲部31において、周回開始部20に対して後側に90度未満の角度で屈曲していて、より詳細には45度以下の角度で屈曲している。
図3のように、第1脚部11は、後側に向けて湾曲しながら竿体2に向かう。第1脚部11は、周回開始部20の近傍においては、竿体2に向けて斜め後方に指向し、第1取付部13の近傍においては、竿体2の径方向に指向する。また、
図4のように、第1脚部11は、左右第1方向に向けて湾曲しながら竿体2に向かう。
【0034】
<第2脚部12>
第2脚部12は、周回終了部21から後側に向けて延びている。
図3のように、第2脚部12は、周回終了部21の前側に隣接する線材4から離れるように後側に延びている。周回終了部21と第2脚部12との間には、第2屈曲部32が設けられる。第2屈曲部32は、後側に屈曲する。第2脚部12は、第2屈曲部32において、周回終了部21に対して後側に90度未満の角度で屈曲していて、より詳細には45度以下の角度で屈曲している。第2屈曲部32は、前側から見て山折りであり、後側から見て谷折りである。
【0035】
図3のように、第2脚部12は、後側に向けて湾曲しながら竿体2に向かう。第2脚部12は、周回終了部21の近傍においては、竿体2に向けて斜め後方に指向し、第2取付部14の近傍においては、竿体2の径方向に指向する。第2脚部12は、第1脚部11に対して後側に位置ずれしている。第2脚部12の前後方向の湾曲度合いは、第1脚部11の前後方向の湾曲度合いと同じであって、
図3のように側方から見たときにおいて、第2脚部12は第1脚部11に沿っていて、第1脚部11と略同一の側面視形状を有する。尚、第1脚部11の前後方向の湾曲度合いと第2脚部12の前後方向の湾曲度合いとが異なっていてもよい。また、第2脚部12は、
図4のように、左右第2方向に向けて湾曲しながら竿体2に向かう。
【0036】
<第1取付部13と第2取付部14>
第1取付部13と第2取付部14は、それぞれ竿体2の外周面に取り付けられる。第1取付部13と第2取付部14は、それぞれ線材4が巻回された構成である。尚、第1取付部13や第2取付部14においては、線材4は密巻されていなくてもよく、線材4同士の間に隙間があってもよい。例えばその隙間は線材4の線径よりも大きくてもよい。線材4同士の間に隙間が設けられていると、竿体2の外周面に軸方向に安定して取り付けることができる。また、第1取付部13と第2取付部14が互いに径方向に重なり合って二重になっていてもよく、軸方向の取り付け長さを短縮でき、また、軸方向に傾きにくくなる。第1取付部13と第2取付部14は、何れも、釣糸案内部10よりも後側に位置している。第1取付部13は、第1脚部11と連続している。第1取付部13は、線材4の第1端部4aを有する。より詳細には、第1取付部13は、竿体2の外周面に巻き付けられるように、第1脚部11から後側に向けて螺旋状に巻回される。第1取付部13においては、線材4同士が接触しないようにして巻回されている。第1取付部13の巻回数は好ましくは1周回未満であって、本実施形態では約3/4周回である。第1端部4aは、竿体2の外周面の全周のうち最も釣糸案内部10に近い箇所に位置する。第1取付部13は、竿体2に対して径方向に着脱可能である。
図3のように、第1端部4aは、第1脚部11と第2脚部12の前後方向の間に位置する。
【0037】
第2取付部14は、第2脚部12と連続している。第2取付部14は、第1取付部13の後側に位置している。第2取付部14は、線材4の第2端部4bを有する。第2取付部14は、竿体2の外周面に巻き付けられるように、第2脚部12から前側に向けて螺旋状に巻回される。第2取付部14においては、線材4同士が接触しないようにして巻回されている。第2取付部14の巻回数は好ましくは1周回未満であって、本実施形態では約1/2周回から3/4周回である。第2取付部14の巻回数は、第1取付部13の巻回数よりも少ない。第2端部4bは、第1端部4aとは竿体2の周方向に離間している。第2端部4bは、第1端部4aと竿体2の周方向に対峙している。第2取付部14は、竿体2に対して径方向に着脱可能である。
図3のように、第2端部4bは、第1脚部11と第2脚部12の前後方向の間に位置する。
【0038】
尚、第1取付部13の巻回数が第2取付部14の巻回数よりも少なくてもよい。第1取付部13の巻回数と第2取付部14の巻回数のうち一方が他方よりも少ないことが好ましい。例えば巻回数が多い方の取付部については、竿体2の外周面に竿体の端部から第1軸方向に装着し、巻回数が少ない方の取付部については、竿体2の外周面に径方向に取り付けるようにしてよい。このように、第1取付部13と第2取付部14のうち一方の巻回数が1周回未満であって竿体2に径方向に着脱できる場合においては、他方の巻回数は1周回を越えるものであってもよい。また、第1取付部13と第2取付部14が互いに部分的に重なりあって二重螺旋形状を形成していてもよい。
【0039】
<第1規制部>
竿体2の外周面には、好ましくは、竿体2に対する釣糸ガイド1の竿体2の周方向の移動を規制するための第1規制部が設けられる。本実施形態では、第1規制部として、第1軸方向に沿った第1溝41が設けられている。第1溝41は、竿体2の全長に亘って設けられてもよいが、好ましくは、竿体2の全長のうちの一部に設けられる。第1溝41は、線材4の第1端部4aを規制する位置と、線材4の第2端部4bを規制する位置のそれぞれに設けられることが好ましい。本実施形態では、
図2のように、線材4の第1端部4a及び第2端部4bを規制すべく、周方向に離間して2本の第1溝41が設けられている。尚、1本の第1溝41に、線材4の第1端部4aと第2端部4bが共に規制されてもよい。
【0040】
図6(a)のように、第1端部4aが第1溝41に周方向の第1方向に向けて当接して引っ掛かることにより、第1取付部13の竿体2に対する周方向の第1方向の移動が規制される。その結果、釣糸ガイド1の竿体2に対する周方向の第1方向の移動が規制される。また、
図6(b)のように、第2端部4bが第2溝に周方向の第2方向に向けて当接して引っ掛かることにより、第2取付部14の竿体2に対する周方向の第2方向(第1方向とは反対側)の移動が規制される。その結果、釣糸ガイド1の竿体2に対する周方向の第2方向の移動が規制される。
【0041】
尚、第1規制部として、第1軸方向に沿った溝の他に、例えば、径方向の段差部を設けてその段差部に第1端部4aや第2端部4bが当接するようにしてもよい。また、釣糸ガイド1が取り付けられる竿体2の外周面の部分を粗面として、その粗面の凹凸によって移動を規制するようにしてもよい。
【0042】
以上のように、第1脚部11が周回開始部20から後側に向かうように延びているので、第1脚部11が周回開始部20から竿体2に向けて真っ直ぐに延びている構成に比して、釣糸案内部10における線材4の螺旋形状が保持されやすい。つまり、隣り合う線材4同士が前後に離れにくくなる。そのため、線材4同士が離れることによってその箇所に釣糸が絡むということが生じにくくなり、糸絡みを抑制することができる。特に、周回開始部20と第1脚部11との間に第1屈曲部31が設けられているので、第1屈曲部31によって釣糸案内部10の螺旋形状がより一層維持される。更には、第2脚部12と周回終了部21との間に第2屈曲部32が設けられているので、第2屈曲部32によって釣糸案内部10における線材4同士の前後の離反が抑制される。
【0043】
また、第1取付部13が釣糸案内部10よりも後側に位置している。そのため、第1脚部11は釣糸案内部10から第1取付部13に向けて後側に向かうことになり、釣糸が第1脚部11に絡みにくくなる。第1取付部13が第1脚部11から後側に向けて螺旋状に巻回されているので、線材4の第1端部4aを第1脚部11よりも後側に位置させることができる。特には、第1端部4aを第1脚部11と第2脚部12の前後方向の間に位置させることができる。そのため、第1端部4aにおける糸絡みの発生を抑制できる。また、第2取付部14が第2脚部12から前側に向けて螺旋状に巻回されているので、線材4の第2端部4bを第2脚部12よりも前側に位置させることができる。特に、第2端部4bを第1脚部11と第2脚部12の前後方向の間に位置させることができる。そのため、第2端部4bにおける糸絡みの発生を抑制できる。
【0044】
第1取付部13の巻回数は1周回未満であって竿体2に対して径方向にフックのように着脱可能である。そのため、釣糸ガイド1を竿体2に容易に着脱できる。同様に、第2取付部14の巻回数は1周回未満であって竿体2に対して径方向にフックのように着脱可能である。そのため、釣糸ガイド1を竿体2に対して容易に着脱できる。また、竿体2の外周面に第1溝41が設けられていると、釣糸ガイド1の周方向の回転が規制され、安定して釣糸を案内できる。
【0045】
尚、本実施形態では、竿体2に対して釣糸ガイド1が竿体2の周方向へ回転することを規制するための第1溝41を設けたが、竿体2の外周面に、竿体2に対して釣糸ガイド1が第1軸方向に移動することを規制するための第2規制部を設けてもよい。例えば、
図7のように、竿体2の外周面に、第2規制部として、第1取付部13や第2取付部14の螺旋の方向に沿った第2溝42を設けてもよい。第2溝42は、第1溝41と共に設けられてもよい。第2溝42は、例えば
図7(a)のように第2取付部14が係合するものであってもよいし、
図7(b)のように、第1取付部13と第2取付部14がそれぞれ係合するように前後2本設けられてもよいし、第1取付部13が係合するものであってもよい。また、第2溝42は螺旋方向の溝ではなく周方向の溝であってもよい。第2溝42は径方向の段差部であってもよい。また、上述したのと同様に、竿体2の外周面を粗面とすることにより第2規制部としてもよい。
【0046】
上記実施形態では、釣糸ガイド1が竿体2の外周面に直接取り付けられる構成であったが、釣糸ガイド1が装着筒5を備える構成であってもよい。この場合、装着筒5が竿体2に対して前後方向に移動可能に装着されてもよい。即ち、釣糸ガイド1が竿体2に対して第1軸方向に移動可能な遊動ガイドであってもよい。また、装着筒5が竿体2に対して移動不能に装着されてもよい。即ち、釣糸ガイド1は固定ガイドであってもよい。
【0047】
図8に遊動ガイドの一例を示している。釣糸ガイド1は、線材4から構成されるガイド本体3と、ガイド本体3が取り付けられると共に竿体2の外周面に移動可能に装着される装着筒5とを備える。ガイド本体3は、
図1に示したものと同様である。第1取付部13と第2取付部14が装着筒5に取り付けられる。装着筒5は、竿体2の外周面に装着されて竿体2に対して第1軸方向に移動可能且つ周方向にも移動可能であって、装着筒5の内周面と竿体2の外周面との間の摩擦力によって竿体2の所定位置に固定される。装着筒5の外周面には、上述したような第1溝41が設けられることが好ましい。また、
図11のように、第1溝41に代えて第2溝42が設けられてもよく、第1溝41と共に第2溝42が設けられてもよい。
【0048】
また、
図9及び
図10のように、第2取付部14が第2脚部12から後側に向けて螺旋状に巻回されてもよい。この場合、第2端部4bは、第1脚部11と第2脚部12の前後方向の間には位置せず、第2脚部12よりも後側に位置することになる。また、第1端部4aと第2端部4bが前後方向に位置ずれしつつ装着筒5の周方向の同じ角度位置に位置してもよい。この場合には、第1溝41が1本で済み、その1本の第1溝41に第1端部4aと第2端部4bが周方向の両側から引っ掛かることになる。
【0049】
尚、
図9及び
図10では、装着筒5を備える構成であったが、釣糸ガイド1が竿体2に装着筒5を介さずに取り付けられる構成の場合も同様である。尚、釣糸ガイド1が釣糸案内部10に装着されるガイドリングを備えてもよい。第1取付部13や第2取付部14は、螺旋状に巻回されたものではなく周方向に巻回されたものであってもよいし、また、巻回された構成ではなく例えば第1軸方向に直線状に延びる構成等であってもよく、例えば、竿体2の外周面や装着筒5の外周面に巻糸により取り付けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 釣糸ガイド
2 竿体
2a 中心
3 ガイド本体
4 線材
4a 第1端部
4b 第2端部
5 装着筒
10 釣糸案内部
10a 下部領域
10b 上部領域
10c 側部領域
10d 中心
11 第1脚部
12 第2脚部
13 第1取付部
14 第2取付部
20 周回開始部
21 周回終了部
31 第1屈曲部
32 第2屈曲部
41 第1溝(第1規制部)
42 第2溝(第2規制部)
100 左右対称線