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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003096
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】外構構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20231228BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20231228BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E04H17/14 101Z
E04H9/14 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188346
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021123254の分割
【原出願日】2021-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月28日にミサワホームのウェブサイトにて、令和3年4月28日にプライムライフテクノロジーのウェブサイトにて、令和3年4月28日にミサワホームグループ会社への通達文書にて、令和3年4月29日北海道・沖縄を除く全国のミサワホームにて発売を開始することで、令和3年4月30日に栃木県下野市仁良川結城街道1443番にて公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小田辺 統一
(72)【発明者】
【氏名】高見 真由子
(57)【要約】
【課題】駐車スペースへの駐車時に自動車が充放電装置に接触することを避けることができるとともに、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保できるようにする。
【解決手段】バッテリを搭載した自動車9のための駐車スペース5を含む敷地1に、出入口Enと、敷地1を囲む止水壁10と、が設けられ、敷地は、止水壁によって囲まれた第一敷地1Aと、止水壁の外側に配置された第二敷地1Bと、を備えていて、出入口は、第一敷地と第二敷地との境界に位置し、止水壁のうち出入口両側の門袖部11は、正面壁部11aを備え、充放電装置8が、正面壁部よりも第一敷地側の位置に設置されており、第一敷地は嵩上げされていて、第二敷地は、第一敷地側の端部から第一敷地とは反対側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜し、さらに、出入口を挟んで第一敷地側から第二敷地側にかけての地面は段差がない状態になっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを搭載した自動車のための駐車スペースを含む敷地に、人及び前記自動車が通過するための敷地正面側の出入口と、前記出入口を避けて構築された止水壁と、が設けられており、
前記敷地は、前記止水壁によって囲まれて前記駐車スペースを含む第一敷地と、前記第一敷地と隣接するとともに前記止水壁の外側に配置された第二敷地と、を備えていて、前記出入口は、前記第一敷地と前記第二敷地との境界に位置しており、
前記止水壁のうち前記出入口の両側に位置する門袖部は、前記第一敷地の外周に沿う正面壁部を備え、
前記自動車の前記バッテリに接続される充放電装置が、前記出入口の両側に位置する前記門袖部のうち一方の門袖部における前記正面壁部よりも前記第一敷地側の位置に設置されており、
前記第一敷地は、前記第二敷地よりも外側の地面の高さよりも上方に位置するように嵩上げされていて、前記第二敷地は、前記第一敷地側の端部から前記第一敷地とは反対側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜し、さらに、前記出入口を挟んで前記第一敷地側から前記第二敷地側にかけての地面は段差がない状態になっていることを特徴とする外構構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外構構造において、
前記出入口の両側に位置する前記門袖部は、前記正面壁部と、当該正面壁部と直交して配置されて前記第一敷地の内側に延出する側壁部と、を備えて平面視において略L字型に形成され、
前記充放電装置は、前記出入口の両側に位置する前記門袖部のうち一方の門袖部における前記側壁部の、前記出入口とは反対側の位置に設置されていることを特徴とする外構構造。
【請求項3】
請求項1に記載の外構構造において、
前記出入口の両側に位置する前記門袖部の前記正面壁部間には、着脱自在に構成された止水板が架け渡されて設けられていることを特徴とする外構構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車に搭載された車載バッテリと充放電装置を用いて、自動車から建物側に電力を供給する技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術によれば、車載バッテリから建物内の必要な電気機器や電気設備に電力供給できるので、例えば停電時などであっても非常用電源を確保して建物内での生活を継続できる。
【0003】
また、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に給電する充電装置を敷地内に設置する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。この充電装置は、敷地内における人及び自動車の動線の外側であって、かつ、駐車時における自動車の進行方向の先にあり、自動車の受電口に近接するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-158309号公報
【特許文献2】特開2014-30306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば自然災害等により停電が発生した際、電力復旧の状況によっては、停電が数日に亘る生活や、あるいは輪番停電が行われることで断続的な停電が続く生活を送らなければならない場合もある。しかし、このような停電が続くとしても、特許文献1に記載の技術が導入されていれば非常用電源を確保できるので、建物内での生活を継続できるようになっている。ところが、災害が浸水を伴うものであった場合、自動車が水没してしまうと、車載バッテリから建物内への電力供給が不可能となる。また、充放電装置も、水没してしまうと機能しなくなる場合がある。そこで、止水壁によって駐車スペースを含む敷地を囲むことで、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保したいという要望があった。
また、浸水を伴う災害の発生時に自動車が敷地外にあると、自動車を駐車スペースに慌てて駐車する場合もあるが、特許文献2のように、駐車時における自動車の進行方向の先に充放電装置が配置されていると、自動車が接触してしまうような事態の発生も想定される。自動車が強く接触してしまうと充放電装置が機能しなくなる場合も考えられるため、万が一自動車を駐車スペースに慌てて駐車する場合であっても、自動車が充放電装置に接触しないようにすることが求められている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、駐車スペースへの駐車時に自動車が充放電装置に接触することを避けることができるとともに、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図6に示すように、バッテリを搭載した自動車9のための駐車スペース5を含む敷地1(第一敷地1A)に、人及び前記自動車9が通過するための敷地1正面側の出入口Enと、前記出入口Enを避けて構築された止水壁10と、が設けられており、
前記敷地1は、前記止水壁10によって囲まれて前記駐車スペースを含む第一敷地1Aと、前記第一敷地1Aと隣接するとともに前記止水壁10の外側に配置された第二敷地1Bと、を備えていて、前記出入口Enは、前記第一敷地1Aと前記第二敷地1Bとの境界に位置しており、
前記止水壁10のうち前記出入口Enの両側に位置する門袖部11は、前記第一敷地1の外周に沿う正面壁部11aを備え、
前記自動車9の前記バッテリに接続される充放電装置8が、前記出入口Enの両側に位置する前記門袖部11のうち一方の門袖部11における前記正面壁部11aよりも前記第一敷地1A側の位置に設置されており、
前記第一敷地1Aは、前記第二敷地1Bよりも外側の地面の高さよりも上方に位置するように嵩上げされていて、前記第二敷地1Bは、前記第一敷地1A側の端部から前記第一敷地1Aとは反対側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜し、さらに、出入口Enを挟んで前記敷地1の内側から外側にかけての地面は段差がない状態になっていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、浸水を伴う災害の発生時において敷地1(第一敷地1A)内への水の浸入を防ぐことができる。これにより、敷地1内の駐車スペース5に駐車された自動車9と充放電装置8が水没することを防ぐことができるので、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保できる。換言すれば、自動車9もインフラ(電力インフラ)の一部と考えて、非常時に利用することができる。
さらに、自動車9のバッテリに接続される充放電装置8が、出入口Enの両側に位置する門袖部11のうち一方の門袖部11における正面壁部11aよりも第一敷地1A側の位置に設置されているので、充放電装置8は、正面壁部11aの裏側に隠れた状態となる。そのため、自動車9が出入口Enを通過して駐車スペース5に向かって進行するときに、充放電装置8に接触することを確実に避けることができ、浸水を伴う災害時における非常用電源の確保に貢献できる。
また、第一敷地1Aは嵩上げされているので、第一敷地1Aにおける地面の高さを、第二敷地1Bの外側の地面の高さよりも上方に位置させて、浸水しにくくすることができる。また、第二敷地1Bは、第一敷地1A側の端部から第一敷地1Aとは反対側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜しているので、第一敷地1Aが盛土によって嵩上げされていても、第一敷地1Aと第二敷地1Bとの間に段差が生じることなく、人と自動車9の通行が妨げられない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図6に示すように、請求項1に記載の外構構造において、
前記出入口Enの両側に位置する前記門袖部11は、前記正面壁部11aと、当該正面壁部11aと直交して配置されて前記第一敷地1Aの内側に延出する側壁部11bと、を備えて平面視において略L字型に形成され、
前記充放電装置8は、前記出入口Enの両側に位置する前記門袖部11のうち一方の門袖部11における前記側壁部11bの、前記出入口Enとは反対側の位置に設置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、自動車9のバッテリに接続される充放電装置8が、出入口Enの両側に位置する門袖部11のうち一方の門袖部11における側壁部11bの、出入口Enとは反対側の位置に設置されているので、出入口En側から見ると、充放電装置8は、側壁部11bの裏側に隠れた状態となる。そのため、自動車9が出入口Enを通過して駐車スペース5に向かって進行するときに、充放電装置8に接触することを確実に避けることができ、浸水を伴う災害時における非常用電源の確保に貢献できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図5に示すように、請求項1又は2に記載の外構構造において、
前記出入口Enの両側に位置する前記門袖部11の前記正面壁部11a間には、着脱自在に構成された止水板12が架け渡されて設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、出入口Enの両側に位置する門袖部11の正面壁部11a間に、着脱自在に構成された止水板12が架け渡されて設けられているので、止水板12によって出入口Enを閉塞することができ、浸水を伴う災害の発生時において敷地1(第一敷地1A)内への水の浸入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駐車スペースへの駐車時に自動車が充放電装置に接触することを避けることができるとともに、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】敷地を示す平面図である。
図2】敷地の正面側を示す斜視図である。
図3】敷地外から止水壁を見た場合の正面図である。
図4】仕切壁の周壁部における敷地正面側の部位を示す断面図である。
図5】敷地の正面側を示す拡大図である。
図6】充放電装置の設置形態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0016】
図1において符号1は、宅地である敷地を示す。敷地1は、住宅2が建てられた第一敷地1Aと、図示しない道路に面して駐車場とされた第二敷地1Bと、からなる。第一敷地1Aと第二敷地1Bは隣接して配置されており、本実施形態においては、第一敷地1Aの南側に第二敷地1Bが位置している。
【0017】
第一敷地1Aの外周には、人及び自動車9が通過するための敷地正面側(第一敷地1Aの南側)の出入口Enと、出入口Enを避けて構築されて第一敷地1Aを囲む止水壁10と、が設けられている。
出入口Enは、第一敷地1Aと第二敷地1Bとの間を行き来するために設けられ、第一敷地1Aと第二敷地1Bとの境界に位置している。本実施形態においては、住宅2が西側に寄せられて配置されているため、出入口Enは、第一敷地1Aと第二敷地1Bとの境界のうち、東側に寄せられて配置されている。
なお、出入口Enの幅寸法は、道路運送車両法によって規定される自動車の全幅をクリアできる寸法に設定されているものとする。また、この出入口Enを挟んで第一敷地1A側から第二敷地1B側にかけての地面は段差がない状態になっている。
【0018】
また、止水壁10は、第一敷地1Aを取り囲んでおり、出入口Enを除き、南側に位置する第二敷地1Bとの間や、北側、東側、西側の隣地との間に設けられている。
このような第一敷地1Aは、盛土によって嵩上げされており、地面の高さを、敷地1外(図示しない道路、北側、東側、西側の隣地)における地面の高さよりも上方に位置させることができる。なお、第一敷地1Aが嵩上げされることで、第一敷地1Aに建てられた住宅2も高さが高くなるが、その場合は、住宅2の北側を桁落とし設計で建築することにより北側斜線制限に対応する。
【0019】
第二敷地1Bは、駐車場として利用される領域に、矩形状に形成された複数の床材20が並列して配置されている。これら複数の床材20は、地面に打設されたコンクリートによって構成されている。
また、第二敷地1Bは、第一敷地1A側の端部(北側の端部)から第一敷地1Aとは反対側の端部(南側の端部)にかけて下り勾配となるように傾斜している。換言すれば、第二敷地1Bは、第一敷地1Aとの境界部分から図示しない道路側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜している。このように第二敷地1Bは、第一敷地1Aとの境界部分から下り勾配となるように傾斜しているので、第一敷地1A(出入口En)との間に段差が生じないようになっている。
【0020】
第一敷地1Aの外構について、より詳細に説明すると、住宅2の玄関3における玄関ドア3aの外側は玄関ポーチ4とされている。玄関ポーチ4の床面の高さ位置は、第一敷地1Aの地面よりも高く設定されており、玄関3の土間床面と略等しい高さに設定されている。
このような玄関ポーチ4の東側には、自動車9が駐車可能な駐車スペース5が設けられている。
なお、玄関ポーチ4の西側には、玄関ポーチ4と一体に形成されて床面が連続するアウトドアリビングとしてのコミュニケーションポーチ6が設けられている。
【0021】
駐車スペース5は、自動車9が駐車される領域に、矩形状に形成された複数列の床材5aが並列して配置されている。各列の床材5aは、地面に埋め込まれた複数の石材によって構成されている。各列の床材5aにおける長さ寸法(東西方向の寸法)は、自動車9の車幅よりも長く設定されている。すなわち、駐車スペース5の領域は、複数列の床材5aによって規定されている。また、駐車スペース5は、第一敷地1Aの地面の高さに設けられているため、玄関ポーチ4の床面よりも下方に位置している。
なお、この駐車スペース5は、出入口Enに隣接して配置されており、床材5a(石材)は、自動車9が駐車される領域だけでなく、出入口Enの領域及び第二敷地1Bのうちの出入口En側の領域にも敷き込まれている。
【0022】
駐車スペース5に駐車される自動車9は、バッテリが搭載されたプラグインハイブリッドカー(Plug-in Hybrid Vehicle;PHV)又は電気自動車(Electric Vehicle;EV)等の電気エネルギーで走行する自動車とされている。
家庭で充電する際には、充放電装置8が必要となる。また、自動車9は、充放電装置8から充電される電力を受電したり、バッテリから充放電装置8に電力を送電したりするための接続口を備える。この充放電用の接続口の位置は車種によって異なる場合があり、車体の前端部や、側面の前側部、側面の後側部等に設けられるが、主に、車体の前端部か後端部のいずれかに設けられる。
充放電装置8は、図示はしないが、バッテリの電力を自動車9の外部に出力する放電制御、及び、自動車9の外部からバッテリへ電力を入力する充電制御を行う充放電制御部と、充放電装置8と自動車9の接続口とを接続するプラグ付き接続ケーブルと、を備える。
【0023】
ここで、自動車9の外部とは、住宅2に構築された電力管理システムの電力系であり、電力管理システムは、電力管理制御機能を有する分電盤と、蓄電ユニットと、を備えており、分電盤には、蓄電池や充放電装置8の他、外部の送電網や建物内の発電装置、売電系統が接続されている。発電装置としては、代表的には太陽電池が例示される。蓄電池は、分電盤を介して外部の送電網や発電装置等から供給される電力を蓄積できるとともに、自動車9のバッテリの電力を蓄積可能に構成されている。蓄電池に蓄積された電力は、分電盤を介して、住宅2内で消費されるとともに、外部の売電系統や充放電装置8に対して供給され得るようになっている。
充放電装置8は、住宅2に構築された電力管理システムに組み込まれた状態となっているため、充放電が適切に管理されることで、住宅2における電力コストの低減に貢献できる。
【0024】
本実施形態においては、第一敷地1Aと第二敷地1Bの双方に、色々な高さの樹木7や草花、芝生等を含む各種の植物が植栽されている。
樹木7としては、小低木(~1m)、低木(1~3m)、小高木(3~10m)と分類される樹高の樹木が好適に植栽される。
【0025】
次に、止水壁10について、より詳細に説明する。
止水壁10は、図1図3に示すように、出入口Enの両側に位置する門袖部11と、門袖部11と一体形成されて門袖部11と共に第一敷地1Aを囲む周壁部13と、からなる。すなわち、出入口Enは、第一敷地1Aにおける門であり、東側の門袖部11と、西側の門袖部11との間に形成されている。
【0026】
門袖部11は、第一敷地1Aの外周に沿う正面壁部11aと、当該正面壁部11aと直交して配置されて第一敷地1Aの内側に延出する側壁部11bと、を備えて平面視において略L字型に形成されている。
東側及び西側の門袖部11は双方とも、側壁部11bが、正面壁部11aの出入口En側端部から第一敷地1Aの内側に延出している。そのため、図3に示すように、門袖部11を真正面から見ると、側壁部11bは正面壁部11aによって隠される。
なお、西側の門袖部11における正面壁部11aには、門灯及び郵便受けが設けられている。
【0027】
東側の門袖部11における正面壁部11aの外側面(南側面)と、西側の門袖部11における正面壁部11aの外側面(南側面)と、の間には、止水板12が架け渡されて設けられている。
より詳細に説明すると、東側の門袖部11における正面壁部11aの外側面(南側面)と、西側の門袖部11における正面壁部11aの外側面(南側面)の前方には、柱状の支持部12aがそれぞれ立設されており、これら支持部12aと正面壁部11aとの間にはシーリング材が設けられて水密処理されている。
そして、止水板12は、これらの支持部12aによって支持されている。また、止水板12の両端部にはシーリング材が設けられており、支持部12aによって支持されたときに支持部12aとの間の隙間が水密処理される。また、止水板12の下端部にもシーリング材が設けられており、支持部12aによって支持されたときに第二敷地1Bの地面(床材5a)との間の隙間が水密処理される。止水板12の下端部に設けられたシーリング材は、止水板12の重みで第二敷地1Bの地面(床材5a)に押し付けられる。また、浸水を伴う災害が発生した場合、止水板12の両端部に設けられたシーリング材は、外側からの水圧によって支持部12aに押さえ付けられる。
【0028】
止水板12は、普段は、両側の支持部12aは外されており、物置等の収納スペースに収納されており、浸水を伴う災害時にのみ収納スペースから持ち出されて、両側の支持部12aに固定される。
すなわち、止水板12は、東側の門袖部11における正面壁部11aと西側の門袖部11における正面壁部11aに対して着脱自在に構成されている。より詳細に説明すると、止水板12の上端部における幅方向両端部と、両側の支持部12aとの間には、止水板12を両側の支持部12aに固定するための固定手段が設けられている。固定手段は、普段は使用されず、浸水を伴う災害時にのみ使用されるものであり、これにより、止水板12を、両側の支持部12aに対して着脱自在に構成している。
なお、固定手段は、例えばラッチ装置やボルト等が好適に採用されるが、これに限られるものではなく、浸水を伴う災害が発生した場合に止水板12が動かないようにできればよいものとする。
【0029】
周壁部13は、基礎部分が地面に埋設されており、基礎部分の上にコンクリートブロックが積み上げられて構成されている。このような周壁部13は、門袖部11と一体形成されているが、門袖部11よりも低い高さに設定されている。本実施形態においては、周壁部13の高さは、門袖部11の高さの半分程度に設定されている。そのため、住宅2から敷地1外への眺望に優れる。本実施形態においては、図示しない道路の高さ位置から、周壁部13における上端部の高さ位置までの高さ寸法は1メートルに設定されている。一方、第一敷地1Aの地面から、周壁部13における上端部の高さ位置までの高さ寸法は60センチメートルに設定されている。
また、周壁部13の高さは、両側の支持部12aに固定されたときの止水板12の高さと略等しく設定されている。換言すれば、止水板12の高さを、周壁部13の高さより高くしても、周壁部13の高さ以上の浸水を防ぐことができない。そのため、止水板12の高さは、必要以上に高くする必要がなく、周壁部13の高さと略等しく設定されている。
なお、本実施形態においては、周壁部13の高さは全て等しく設定されているが、少なくとも、住宅2の正面部分の前方に位置する部位13aだけが、門袖部11よりも低い高さに設定されているものとしてもよい。
【0030】
さらに、周壁部13のうち少なくとも門袖部11と同じ方角(本実施形態においては南側)に設けられた敷地正面側の部位13aにおける敷地内側面(第一敷地1A側の面)及び敷地外側面(第二敷地1B側の面)には、図1図5に示すように、植物が絡み付く網状の緑化フェンス14が取り付けられている。
緑化フェンス14は、上下方向及び左右方向に配置された金属製の複数の線材によって構成されており、図4図5に示すように、上下方向に配置された線材は、周壁部13の側面に固定される部位と、周壁部13の側面から外方に突出する部位と、を有してジグザグに形成されている。
また、左右方向に配置された複数の線材は、上下方向に配置されたジグザグの複数の線材のうち、最も周壁部13側に位置する部位間に架け渡されるとともに、最も外方に突出した部位間に架け渡されている。
【0031】
緑化フェンス14の下端部は、地面に埋設されており、上端部は、周壁部13の上端部に設けられた笠木15の下方に配置されている。
笠木15における第一敷地1A側の端部及び第二敷地1B側の端部は、下方に突出して形成されており、緑化フェンス14の上端部を隠せるようになっている。
緑化フェンス14に絡み付いた植物は、上下方向及び左右方向に配置された金属製の複数の線材を伝って広がるが、笠木15における第一敷地1A側の端部及び第二敷地1B側の端部を越えて上方には伸びにくくなっている。つまり、緑化フェンス14に絡み付いた植物は、緑化フェンス14の範囲内で広がって伸びていき、上方に向かって過剰に伸びないようになっている。
【0032】
住宅2及びコミュニケーションポーチ6の前方に位置しているため、緑化フェンス14は、周壁部13のうち敷地正面側の部位13aにおける敷地内側面及び敷地外側面に好適に設けられるものとするが、周壁部13の他の部分に設けられてもよいし、門袖部11に設けられてもよい。
【0033】
そして、図1図6に示すように、以上のように構成された止水壁10のうち、東側の門袖部11における側壁部11bの、出入口Enとは反対側の位置に、上記の充放電装置8が設けられている。つまり、出入口En側から見ると、充放電装置8は、側壁部11bによって隠された状態となっている。
本実施形態における充放電装置8は、角柱状に形成されて側壁部11bと略等しい高さに設定された本体部8aに、上記のプラグ付き接続ケーブルが接続されるケーブル接続部8bや充放電操作盤8c、屋外コンセントボックス8dが設けられて構成されている。ケーブル接続部8bや充放電操作盤8c(充放電オン・オフ等の操作)は、本体部8aのうち東側面に設けられているが、北側面に設けられてもよい。
また、側壁部11bにおける出入口Enとは反対側の位置には、充放電装置8と共に樹木7が植栽されており、東側から充放電装置8が見えにくい状態となっている。
【0034】
本実施形態の充放電装置8は、東側の門袖部11における側壁部11bの裏側(東側)に設けられるものとしたが、西側の門袖部11における側壁部11bの裏側(西側)に設けられてもよい。すなわち、上記のように自動車9における充放電用の接続口の位置は車種によって異なる場合があるため、充放電装置8が、西側の門袖部11における側壁部11bの裏側(西側)に設けられた方が好ましい場合もある。
【0035】
なお、第一敷地1Aには、図1に示すように、外構構造の一部として、築山16、浸透桝18、圧力開放蓋19が更に設けられている。
築山16は、駐車スペース5の後方(北側)のスペースに設けられており、築山16の周囲の地面に、人が歩くための床材17が埋め込まれて設けられている。
浸透桝18は、第一敷地1Aの地面に埋設されており、第一敷地1Aに降り注いだ雨水等を地中に浸透させやすくしている。
圧力開放蓋19は、弁体が開放されることで排水管からの圧力を逃がし、住宅2内への排水の逆流を防ぐことができる。
【0036】
以上のように構成された本実施形態の外構構造において、浸水を伴う災害が発生した場合は、まずは、自動車9を駐車スペース5に駐車する。このとき、自動車9は、東側の門袖部11と西側の門袖部11との間の出入口Enを通されて駐車スペース5に駐車されるため、自動車9は、東側の門袖部11における側壁部11bの裏側(東側)に設けられた充放電装置8に対して接触することがなくなる。換言すれば、自動車9を駐車スペース5に駐車する際に、充放電装置8の存在を気にする必要がなくなる。
また、自動車9は、充放電用の接続口が主に車体の前端部か後端部のいずれかに設けられるため、前向き駐車か後向き駐車かを間違えていない前提で、駐車スペース5における複数列の床材5aの領域内に駐車できれば、充放電用の接続口が、充放電装置8の近傍に配置されることとなる。
自動車9を駐車スペース5に駐車した後は、収納スペースから持ち出しておいた止水板12を、出入口Enの両側に位置する門袖部11の正面壁部11a間(両側の支持部12a間)に架け渡して設ける。これにより、出入口Enを閉塞することができる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、出入口Enの両側に位置する門袖部11の正面壁部11a間に、着脱自在に構成された止水板12が架け渡されて設けられているので、止水板12によって出入口Enを閉塞することができ、浸水を伴う災害の発生時において敷地1(第一敷地1A)内への水の浸入を防ぐことができる。これにより、敷地1内の駐車スペース5に駐車された自動車9と充放電装置8が水没することを防ぐことができるので、浸水を伴う災害時における非常用電源を確保できる。換言すれば、自動車9もインフラ(電力インフラ)の一部と考えて、非常時に利用することができる。
さらに、自動車9のバッテリに接続される充放電装置8が、出入口Enの両側に位置する門袖部11のうち一方の門袖部11における側壁部11bの、出入口Enとは反対側の位置に設置されているので、出入口En側から見ると、充放電装置8は、側壁部11bの裏側に隠れた状態となる。そのため、自動車9が出入口Enを通過して駐車スペース5に向かって進行するときに、充放電装置8に接触することを確実に避けることができ、浸水を伴う災害時における非常用電源の確保に貢献できる。
【0038】
また、駐車スペース5は、出入口Enに隣接して配置されているので、浸水を伴う災害の発生時に自動車9が敷地外にあっても、すぐに敷地1内の駐車スペース5に駐車することができる。
さらに、駐車スペース5が出入口Enに隣接して配置されていることから、普段は、出入口Enの付近に自動車9が駐車されていれば、例えば自動車9が敷地1(第一敷地1A)外に駐車されていたとしても、出入口Enのそばに設置された充放電装置8を通じて容易かつ確実に充放電を行うことができる。
【0039】
また、門袖部11と一体形成されて門袖部11と共に敷地1を囲む周壁部13のうち少なくとも門袖部11と同じ方角に設けられた敷地正面側の部位13aは、門袖部11よりも低い高さに設定されているので、周壁部13における敷地正面側の部位13aの上方空間を通じて、敷地1側から外方への視界を確保でき、採光や採風もしやすい。
【0040】
また、周壁部13の敷地正面側の部位13aにおける敷地内側面及び敷地外側面に、植物が絡み付く網状の緑化フェンス14が取り付けられているので、周壁部13における敷地正面側の部位13aの表面を緑化できる。これにより、敷地1の内側からも外側からも見栄えを良くするだけでなく、周壁部13の表面を保護したり、周囲の温度上昇を抑制したりすることができる。
【0041】
また、止水板12の高さと、周壁部13における敷地正面側の部位13aの高さと、が略等しく設定されているので、敷地1内への浸水を、止水板12及び周壁部13の高さまで抑制することができる。
さらに、止水板12の高さを、周壁部13における敷地正面側の部位13aの高さよりも高くする必要がなくなるので、高さを抑える分、止水板12の重量を小さくでき、持ち運びや着脱がしやすくなる。
【0042】
また、第一敷地1Aは、盛土によって嵩上げされているので、第一敷地1Aにおける地面の高さを、敷地1外における地面の高さよりも上方に位置させて、浸水しにくくすることができる。また、第二敷地1Bは、第一敷地1A側の端部から第一敷地1Aとは反対側の端部にかけて下り勾配となるように傾斜しているので、第一敷地1Aが盛土によって嵩上げされていても、第一敷地1Aと第二敷地1Bとの間に段差が生じることなく、人と自動車9の通行が妨げられない。
【符号の説明】
【0043】
1 敷地
1A 第一敷地
1B 第二敷地
2 住宅
3 玄関
3a 玄関ドア
4 玄関ポーチ
5 駐車スペース
5a 床材
6 コミュニケーションポーチ
7 植物
8 充放電装置
8a 本体部
8b ケーブル接続部
8c 充放電操作盤
8d 屋外コンセントボックス
9 自動車
10 止水壁
11 門袖部
11a 正面壁部
11b 側壁部
12 止水板
12a 支持部
13 周壁部
13a 敷地正面側の部位
14 緑化フェンス
15 笠木
16 築山
17 床材
18 浸透桝
19 圧力開放蓋
20 床材
En 出入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6