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特開2024-30992露光マスク、パターン形成方法、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030992
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】露光マスク、パターン形成方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20240229BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240229BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F7/20 503
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134264
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195CA01
2H195CA23
2H197AA10
2H197BA11
2H197CA10
2H197DB11
2H197EA05
2H197GA01
(57)【要約】
【課題】ローカル段差を有する膜上に形成されたフォトレジスト層に対して焦点を合わせること。
【解決手段】実施形態の露光マスクは、第1の主面と第2の主面とを有する基板と、第1の主面側に設けられ、露光光を反射する反射層と、反射層を介した第1の主面側に、所定のパターンを有して設けられ、露光光を吸収する吸収層と、を備え、反射層は、第2の主面からの表面高さが第1の高さである第1の領域と、反射層が表面に有する第1の段差を介して第1の領域に隣接し、第2の主面からの表面高さが第1の高さよりも高い第2の高さである第2の領域と、を有し、吸収層は、第1の領域および第2の領域にそれぞれ設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と第2の主面とを有する基板と、
前記第1の主面側に設けられ、露光光を反射する反射層と、
前記反射層を介した前記第1の主面側に、所定のパターンを有して設けられ、前記露光光を吸収する吸収層と、を備え、
前記反射層は、
前記第2の主面からの表面高さが第1の高さである第1の領域と、
前記反射層が表面に有する第1の段差を介して前記第1の領域に隣接し、前記第2の主面からの表面高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さである第2の領域と、を有し、
前記吸収層は、
前記第1の領域および前記第2の領域にそれぞれ設けられている、
露光マスク。
【請求項2】
前記基板は、
第1の厚さを有し、前記第1の領域に高さ方向で重なる第3の領域と、
前記第1の主面が有する段差を介して前記第3の領域に隣接し、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有し、前記第2の領域に高さ方向で重なる第4の領域と、を有する、
請求項1に記載の露光マスク。
【請求項3】
前記反射層は、
前記第1の領域と前記第2の領域とで等しい厚さを有する、
請求項2に記載の露光マスク。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の露光マスクを用いるパターン形成方法であって、
被加工層を含む膜とフォトレジスト層とがこの順に形成されたウェハの前記フォトレジスト層と、前記露光マスクの前記反射層および前記吸収層が設けられた面とを対向させ、
前記反射層および前記吸収層が設けられた側から前記露光マスクに前記露光光を照射して、前記反射層で反射された前記露光光により前記フォトレジスト層を露光して、前記吸収層が有する前記パターンを前記フォトレジスト層に形成し、
前記膜は、
1回の露光が行われる露光領域内に膜厚が異なる複数の領域を有しており、
前記ウェハと前記露光マスクとを対向させるときは、
前記露光マスクの前記第1の領域および前記第2の領域と、前記膜の前記複数の領域のそれぞれとが対応するように、前記ウェハと前記露光マスクとを配置する、
パターン形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の露光マスクを用いる半導体装置の製造方法であって、
被加工層を含む膜とフォトレジスト層とがこの順に形成されたウェハの前記フォトレジスト層と、前記露光マスクの前記反射層および前記吸収層が設けられた面とを対向させ、
前記反射層および前記吸収層が設けられた側から前記露光マスクに前記露光光を照射して、前記反射層で反射された前記露光光により前記フォトレジスト層を露光して、前記吸収層が有する前記パターンを前記フォトレジスト層に形成し、
前記膜は、
1回の露光が行われる露光領域内に膜厚が異なる複数の領域を有しており、
前記ウェハと前記露光マスクとを対向させるときは、
前記露光マスクの前記第1の領域および前記第2の領域と、前記膜の前記複数の領域のそれぞれとが対応するように、前記ウェハと前記露光マスクとを配置する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、露光マスク、パターン形成方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法において、反射型の露光マスクを用いた露光処理によりパターンを形成する場合がある。この場合、露光マスクに反射した露光光によりウェハ上のフォトレジスト層にパターンを形成するため、パターンのベストフォーカス位置となるように露光マスクの表面からウェハの表面までの距離を調整することで、露光領域の全域に亘って、フォトレジスト層に均一に焦点を合わせることができる。
【0003】
しかしながら、種々の工程を経たウェハは、ローカル段差と呼ばれる局所的な膜厚差が生じた膜を有する場合がある。このような膜上にフォトレジスト層を形成し、上記の露光マスクで露光を行うと、露光マスクの表面からウェハの表面までの距離が局所的に異なる領域があることとなり、フォトレジスト層の全域で焦点を合わせることが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-124214号公報
【特許文献2】特開2012-038786号公報
【特許文献3】特許第5803517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、ローカル段差を有する膜上に形成されたフォトレジスト層に対して焦点を合わせることができる露光マスク、パターン形成方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の露光マスクは、第1の主面と第2の主面とを有する基板と、前記第1の主面側に設けられ、露光光を反射する反射層と、前記反射層を介した前記第1の主面側に、所定のパターンを有して設けられ、前記露光光を吸収する吸収層と、を備え、前記反射層は、前記第2の主面からの表面高さが第1の高さである第1の領域と、前記反射層が表面に有する第1の段差を介して前記第1の領域に隣接し、前記第2の主面からの表面高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さである第2の領域と、を有し、前記吸収層は、前記第1の領域および前記第2の領域にそれぞれ設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図2】実施形態にかかる露光マスクの構成の一例を示す断面図。
図3】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図4】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図5】比較例にかかる露光マスクを用いた露光処理の手順の一例を示す断面図。
図6】比較例にかかる露光マスクを用いた露光処理の手順の一例を示す断面図。
図7】実施形態の変形例1にかかる露光マスクの構成の一例を示す断面図。
図8】実施形態の変形例2にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図9】実施形態の変形例2にかかる露光マスクの構成の一例を示す断面図。
図10】実施形態の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。本明細書において「等しい」または「均一」とは、例えば製造誤差を許容する程度に「等しい」または「均一」であることを意味する。
【0009】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体装置10の構成の一例を示す断面図である。より詳細には、図1は、製造途中の半導体装置10の一部領域の模式図であり、例えば露光現像処理前の状態を示している。
【0010】
図1に示すように、例えば製造工程の所定のタイミングにおける半導体装置10は、シリコン等で形成された基板11と、基板11上に形成された膜12とを備える。つまり、基板11はウェハ1の本体部分である。また、膜12は、少なくとも表層部分に被加工層12tを含み、複数種類の絶縁層および複数種類の導電層等が積層された多層膜等である。
【0011】
種々の工程を経て、これらの絶縁層および導電層には半導体装置10を構成する種々の構造が形成済みであってもよい。また、そのような種々の工程を経ることで、これらの絶縁層および導電層は、所定の領域ごとに異なる厚さを有することがある。これにより、膜12は、所定の膜厚を有する第6の領域としての領域AW1、及び領域AW1よりも膜厚が薄い第5の領域としての領域AW2を有する。領域AW1,AW2は互いに隣接しており、例えば膜12の表面の傾斜面を有するローカル段差LSによってひと続きに繋がっている。
【0012】
これらの領域AW1,AW2は、上面から見て矩形状を含む種々の形状を取り得る。それぞれの領域AW1,AW2の最小幅は、例えば少なくとも数μm程度であってよい。また、これらの領域AW1,AW2における膜12の膜厚差は例えば50nm以上100nm以下である。ただし、これらの数値はあくまでも一例であり、領域AW1,AW2のサイズ及び領域AW1,AW2間の膜厚差は、半導体装置10がこれまでに経てきた工程、及び製造工程の段階ごとに異なり得る。
【0013】
(露光マスクの構成例)
図2は、実施形態にかかる露光マスク20の構成の一例を示す断面図である。図2に示す露光マスク20は、上述のローカル段差LSを有する半導体装置10の露光処理に用いる露光マスクの一例である。露光マスク20を用いた露光処理は、露光光として、例えば極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)を用いて行われ、露光マスク20は例えば反射型の露光マスクとして構成されている。極端紫外線は13.5nmの波長の光である。
【0014】
図2には、上述の図1に示した半導体装置10と対応する露光マスク20の一部領域を示す。図2に示す露光マスク20は、例えば上述の半導体装置10の対応する領域の4倍程度の面積を有する。後述するように、露光マスク20が有するパターン231p,232pが、ウェハ1上に縮小されて転写されることで半導体装置10の露光処理が行われる。
【0015】
より詳細には、露光マスク20は、熱による膨張率が小さいガラス等の材料で構成された基板21と、基板21上に形成された反射層22と、反射層22上に形成された吸収層23を備える。
【0016】
基板21は、反射層22及び吸収層23が設けられた側に第1の主面としての主面を有し、その反対側に第2の主面としての主面を有する略平板状の形状を有する。基板21の平均の厚さとしては例えば数mm程度とすることができる。
【0017】
ただし、基板21は、第2の厚さとしての所定厚さを有する第4の領域としての領域AG1、及び領域AG1よりも薄い第1の厚さとしての厚さを有する第3の領域としての領域AG2を有する。領域AG1,AG2は互いに隣接しており、例えば反射層22及び吸収層23側の主面の緩やかな傾斜面を有する段差STgによってひと続きに繋がっている。
【0018】
ここで、領域AG1は、上述の半導体装置10の領域AW2に対応する位置に設けられ、領域AG2は、上述の半導体装置10の領域AW1に対応する位置に設けられている。また、段差STgが、上述の半導体装置10のローカル段差LSと略対応する位置に設けられていてもよい。
【0019】
領域AG1,AG2がそれぞれ領域AW2,AW1と対応するとは、後述する露光処理の際に、領域AG1に高さ方向に重なる位置に設けられた後述のパターン231pが、半導体装置10の領域AW2に転写され、領域AG2に高さ方向に重なる位置に設けられた後述のパターン232pが、半導体装置10の領域AW1に転写されることを意味する。
【0020】
ただし、段差STgは、半導体装置10のローカル段差LTと概ね対応する位置にあればよく、また、必ずしもローカル段差LTの相似形状となっていなくともよい。
【0021】
反射層22は、露光光を反射させる異種の材料から構成される層が交互に積層された多層構造を有する。これらの層としては、露光光の屈折率が大きく異なる異種層として、例えばMo層とSi層とを交互に積層させた組み合わせとすることができる。これにより、反射層22の反射効率を高めることができる。
【0022】
反射層22は、全体に亘り等しい厚さを有する。反射層22は、例えば250nm以上300nm以下の平均層厚を有することができる。
【0023】
また、反射層22が、厚さの異なる領域AG1,AG2及び段差STgを有する基板21上に設けられることで、これらの領域AG1,AG2及び段差STgに対応して、基板21の裏面からの反射層22の表面高さが異なることとなる。
【0024】
すなわち、反射層22は、基板21の領域AG1と高さ方向に重なる第2の領域としての領域AR1を有する。領域AR1において、反射層22は、基板21の裏面からの表面高さとして、第2の高さとしての所定の高さを有する。また、反射層22は、基板21の領域AG2と高さ方向に重なる第1の領域としての領域AR2を有する。領域AR2において、反射層22は、基板21の裏面からの表面高さとして、領域AR1における表面高さよりも低い、第1の高さとしての所定の高さを有する。
【0025】
これらの領域AR1,AR2における反射層22の表面高さの差は、例えば上述の半導体装置10が有する膜12の膜厚差の2倍以上10倍以下である。上述のように、例えば膜12の膜厚差が例えば50nm以上100nm以下であった場合、領域AR1,AR2における反射層22の表面高さの差を120nm以上1000nm以下などとすることができる。このような反射層22の表面高さの差は、例えば領域AG1,AG2における基板21の厚さの差を調整することで得られる。
【0026】
また、これらの領域AR1,AR2は、半導体装置10の膜12における領域AW1,AW2と相似形をなす、基板21の領域AG1,AG2の形状に応じて、矩形状を含む種々の形状を取り得る。これらの領域AR1,AR2が例えば矩形状であった場合、それぞれの領域AR1,AR2の1辺の長さは例えば数百nm~数mm程度である。
【0027】
また、反射層22は、基板21の段差STgと高さ方向に重なる位置に第1の段差としての段差STrを有する。段差STrは、基板21の段差STgに沿うように所定の傾斜角を有する緩やかな傾斜面となっている。
【0028】
具体的には、段差STrは、例えば傾斜角が0.01°以上5°以下の緩やかな傾斜面となっていることが好ましい。換言すれば、領域AG1,AG2間に設けられる段差STgのサイズは、反射層22の段差STrが上記のような傾斜角を有するよう調整されていることが好ましい。これにより、反射層22の段差STrも、基板21の段差STgのサイズに応じたサイズを有することとなる。
【0029】
吸収層23は、露光光を吸収する材料から構成される。吸収層23としては、例えばTaN層、TaBN層、またはTaGeN層等を用いることができる。吸収層23は、反射層22の領域AR1,AR2と高さ方向に重なる位置にそれぞれ設けられている。吸収層23の層厚は、それぞれの領域の全体に亘って等しい。吸収層23は、例えば50nm以上70nm以下の平均層厚を有することができる。
【0030】
また、吸収層23は、反射層22の領域AR1と高さ方向に重なる位置に、パターン231pを有している。また、吸収層23は、反射層22の領域AR2と高さ方向に重なる位置に、パターン232pを有している。これらのパターン231p、232pは、例えばライン&スペース、ホール、またはドット等の任意のパターンであってよい。後述する露光処理により、パターン231p、232pは半導体装置10に転写され、例えば数十nm~数μmサイズのパターンとなる。
【0031】
以上のように構成される露光マスク20は、例えば以下のように製造することができる。
【0032】
まず、全体に亘って等しい厚さを有し、平均厚さが例えば数mm程度のガラス基板等の基板21を用意する。また、この基板21に上述の段差STgを設ける。このような段差STgは、例えば集束イオンビーム (FIB:Focused Ion Beam)等を用いて形成することができる。
【0033】
あるいは、上記の段差STgをフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により形成してもよい。この場合、例えば基板21の領域AG1となる部分を覆い、段差STgとなる部分に裾引き形状を有するフォトレジスト層を基板21上に形成する。また、このフォトレジスト層から露出した基板21の表面をエッチング処理することで、上記の段差STgが形成される。エッチング処理としては、例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングを用いることができる。
【0034】
上記のような処理により、異なる厚さを有する領域AG1,AG2、及び段差STgを有する基板21が形成される。
【0035】
また、段差STgが形成された基板21上に、例えばMo層とASi層とを交互に積層して反射層22を形成する。このとき、基板21の表面全体に亘り、それぞれ均一な層厚を有するように、Mo層とASi層とを形成する。これにより、表面に段差STrを有する反射層22が形成される。
【0036】
また、反射層22の表面全体を覆うTaN層、TaBN層、またはTaGeN層等を形成する。このとき、反射層22の表面全体に亘り、これらのいずれかの層が均一な層厚を有するようにする。また、反射層22上に形成した層にパターン231p,232pを形成する。パターン231p,232pは、上述と同様、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術等を用いて形成することができる。これにより、吸収層23が形成される。
【0037】
以上により、実施形態の露光マスク20が製造される。
【0038】
(半導体装置の製造方法)
次に、図3及び図4を用いて、実施形態の半導体装置10の製造方法について説明する。図3及び図4は、実施形態にかかる半導体装置10の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0039】
図3の例では、製造途中の半導体装置10であって、種々の工程を経て、上述の図1(b)に示す状態となった半導体装置10に対し、実施形態の露光マスク20を用いて露光処理を行うものとする。
【0040】
すなわち、半導体装置10には、基板11上に形成され、表層部分に被加工層12tを含む膜12が形成済みである。また、膜12にはローカル段差LSが生じており、領域AW1,AW2ごとに膜12の膜厚が異なっている。
【0041】
図3に示すように、半導体装置10の膜12上に、例えばネガ型のフォトレジスト層13を形成する。フォトレジスト層13は、例えばスピンコーティング技術等を用いて形成される。これにより、膜厚差によりローカル段差LSが生じた膜12の表面全体に亘り、均一な層厚のフォトレジスト層13を形成することができる。
【0042】
また、半導体装置10のフォトレジスト層13が形成された側の面に、露光マスク20の反射層22及び吸収層23が設けられた側の面を対向させて、半導体装置10と露光マスク20とが互いに所定の距離を保つよう配置する。このとき、上述のように、吸収層23のパターン231pが半導体装置10の領域AW2上のフォトレジスト層13に転写され、パターン232pが半導体装置10の領域AW1上のフォトレジスト層13に転写されることとなるよう、半導体装置10と露光マスク20との水平方向の位置を調整する。
【0043】
なお、図3においては、吸収層23のパターン231p,232pと半導体装置10の領域AW1,AW2との位置関係が判りやすいように、半導体装置10のサイズと、それに対応する露光マスク20のサイズとが同一に示されている。しかし、上述のとおり、露光マスク20は、半導体装置10のサイズの例えば4倍程度のサイズを有し、露光マスク20のパターン231P,232pは、フォトレジスト層13に縮小されて転写される。
【0044】
半導体装置10と露光マスク20とを上記のように対向させた状態で、露光マスク20の反射層22及び吸収層23が設けられた面の下方側から露光光LTeを露光マスク20に照射する。
【0045】
露光マスク20の反射層22に到達した露光光LTeは、反射層22により半導体装置10側へと反射され、その反射光LTrによって膜12上のフォトレジスト層13が露光される。露光マスク20の吸収層23に到達した露光光LTeは、吸収層23により吸収されて半導体装置10側へは到達せず、膜12上のフォトレジスト層13を露光させることはない。
【0046】
これにより、吸収層23のパターン231pが、膜12の領域AW2上に形成されたフォトレジスト層13に転写される。また、吸収層23のパターン232pが、膜12の領域AW1上に形成されたフォトレジスト層13に転写される。
【0047】
ここで、領域AW1,AW2において、膜12は異なる厚さを有する。このため、領域AW1上のフォトレジスト層13と、領域AW2上のフォトレジスト層13とでは、反射光LTrに対して異なる焦点深度、つまり、焦点の合う位置を有することとなる。
【0048】
このとき、吸収層23のパターン231pと高さ方向に重なる基板21の領域AP1と、膜12の領域AW2とは、互いに対応する位置に配置されている。また、吸収層23のパターン232pと高さ方向に重なる基板21の領域AP2と、膜12の領域AW1とは、互いに対応する位置に配置されている。
【0049】
これにより、基板21の領域AP1と高さ方向に重なる位置の反射層22から、膜12の領域AW2と高さ方向に重なる位置のフォトレジスト層13へと至る反射光LTrの焦点と、基板21の領域AP2と高さ方向に重なる位置の反射層22から、膜12の領域AW1と高さ方向に重なる位置のフォトレジスト層13へと至る反射光LTrの焦点と、をともに、高さ位置の異なるそれぞれのフォトレジスト層13に対して合わせることができる。
【0050】
換言すれば、半導体装置10が有する膜12の膜厚差に応じて、半導体装置10のそれぞれの領域AW1,AW2でフォトレジスト層13に対して焦点が合うよう、露光マスク20の反射層22の表面高さが調整されている。
【0051】
このため、領域AW1上のフォトレジスト層13と、領域AW2上のフォトレジスト層13とのいずれにおいても反射光LTrの焦点が合い、いずれのパターン231p,232pも高精度にフォトレジスト層13に転写される。
【0052】
図4(a)に示すように、露光マスク20を用いて上述のように露光されたフォトレジスト層13を現像し、フォトレジスト層13にパターン131p,132pをそれぞれ形成する。パターン131pは、露光マスク20のパターン232pが転写されたパターンであり、パターン132pは、露光マスク20のパターン231pが転写されたパターンである。
【0053】
より具体的には、フォトレジスト層13は、例えばネガ型のフォトレジスト層である。このため、露光マスク20の反射層22により反射された反射光LTrが入射して露光された部分は現像処理により残る。また、フォトレジスト層13において、露光マスク20の吸収層23により露光光LTeが吸収されて露光されなかった部分は除去される。これにより、フォトレジスト層13にパターン131p,132pが形成される。
【0054】
ただし、フォトレジスト層13はポジ型のフォトレジスト層であってもよい。この場合、露光マスク20の反射層22を露出させる部分と、吸収層23で覆う部分とを上述の例とは反転させればよい。これにより、フォトレジスト層13に、図4(a)に示すパターン131p,132pを同様に形成することができる。
【0055】
図4(b)に示すように、フォトレジスト層13のパターン131p,132pを介して膜12の表層部分の被加工層12tをエッチング加工する。これにより、フォトレジスト層13のパターン131p,132pが転写されたパターン121p、122pが被加工層12tに形成される。パターン121p、122pは、例えば数十nmサイズのライン&スペース、ホール、またはドット等の形状を有しうる。
【0056】
図4(c)に示すように、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理等によってフォトレジスト層13を除去する。
【0057】
以上により、実施形態の半導体装置10に対する露光現像処理およびエッチング処理が終了する。
【0058】
これ以降、半導体装置10に対して、更に種々の層を形成し、形成したこれらの層を適宜、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて加工する等の工程を繰り返すことで、半導体装置10が製造される。
【0059】
(比較例)
半導体装置の製造工程では、数十nmサイズのパターンを被加工層に形成するため、EUV露光技術が用いられることがある。EUV露光技術においては、これまでの透過型の露光マスクに替えて、例えば露光光を反射させてフォトレジスト層を露光する反射型の露光マスクが用いられる。図5及び図6に、比較例の反射型の露光マスク20xの構成例を示す。
【0060】
図5及び図6は、比較例にかかる露光マスク20xを用いた露光処理の手順の一例を示す断面図である。
【0061】
図5及び図6に示すように、比較例の露光マスク20xは、全体に亘って等しい厚さを有する平板状の基板21xと、基板21x上に設けられ、全体に亘って等しい層厚の反射層22xと、反射層22x上に設けられ、パターンA,Bを有する吸収層23xとを備える。
【0062】
図5に示す例では、露光マスク20xを用いて、半導体装置10xに対して露光処理を行うものとする。
【0063】
図5(a)に示すように、半導体装置10xは、基板11xと、基板11x上に形成され、全体に亘って等しい層厚の膜12xとを有しており、膜12x上にはフォトレジスト層13xが更に形成されている。
【0064】
露光マスク20xの反射層22x及び吸収層23xが形成された側の面を、半導体装置10xの膜12x及びフォトレジスト層13xが形成された側の面に対向させて配置する。また、反射層22x及び吸収層23x側から露光マスク20xに露光光を照射し、反射層22xで反射された反射光により半導体装置10xのフォトレジスト層13xを露光して、パターンA,Bをフォトレジスト層13xに形成する。
【0065】
図5(b)に示すように、この場合、フォトレジスト層13xのパターンAが形成される部分とパターンBが形成される部分とでは、パターンA,Bのベストフォーカス位置が等しい。このため、パターンA,Bのいずれも高精度に形成される。
【0066】
図6に示す例では、露光マスク20xを用いて、半導体装置10yに対して露光処理を行うものとする。
【0067】
図6(a)に示すように、半導体装置10yは、基板11yと、基板11y上に形成され、領域ごとに異なる膜厚を有する膜12yとを有しており、膜12y上にはフォトレジスト層13yが更に形成されている。
【0068】
また、図5(a)と同様に、露光マスク20xと半導体装置10yとを対向させ、露光マスク20xに露光光を照射して、反射層22xで反射された反射光により半導体装置10yのフォトレジスト層13yを露光して、パターンA,Bをフォトレジスト層13yに形成する。ここで、パターンAは、膜厚が厚い部分の膜12y上に形成され、パターンBは、膜厚が薄い部分の膜12y上に形成されるものとする。
【0069】
図6(b)に示すように、この場合、フォトレジスト層13yのパターンAが形成される部分は、パターンBが形成される部分よりも露光マスク20xのパターン面に近く、ベストフォーカス位置が異なることとなる。このため、例えば反射光の焦点をパターンAに合わせると、パターンBに対する焦点が合わない等、パターンA,Bの両方に対して反射光の焦点を合わせることが困難となってしまう。
【0070】
実施形態の露光マスク20によれば、反射層22は、基板21の裏面からの表面高さが所定高さである領域AR2と、反射層22が表面に有する段差STrを介して領域AR2に隣接し、基板21の裏面からの表面高さが上記所定の高さよりも高い領域AR1と、を有する。これにより、露光処理時のフォーカスマージンを向上させて、ローカル段差LSを有する膜12上に形成されたフォトレジスト層13の全域に亘って焦点を合わせることができる。
【0071】
実施形態の露光マスク20によれば、基板21は、所定の厚さを有し、反射層22の領域AR2に高さ方向で重なる領域AG2と、基板21の反射層22等が設けられた側の主面が有する段差STgを介して領域AG2に隣接し、上記所定の厚さよりも厚く、反射層22の領域AR1に高さ方向で重なる領域AG1と、を有する。これにより、それぞれの領域AR1,AR2における反射層22の表面高さを異ならせることができ、ローカル段差LSを有する膜12上に形成されたフォトレジスト層13に対して焦点を合わせることができる。
【0072】
実施形態の露光マスク20によれば、反射層22表面の段差STrは、例えば0.01°以上5°以下の傾斜角を有する傾斜面となっている。このような傾斜角を有する傾斜面は、基板21表面の段差STgが緩やかな傾斜角となるよう調整することによって得られる。このように、基板21の段差STgを緩やかにすることで、基板21表面に反射層22を形成する際、基板21の段差STgによる影響を低減して、反射層22にひずみ等が生じることを抑制し、全体的に等しい層厚を有する反射層22を形成することができる。よって、露光光に対する反射層22の反射効率および屈折率等を反射層22の全体に亘って均一にすることができる。
【0073】
実施形態の半導体装置10の製造方法によれば、露光マスク20の領域AR1,AR2と、膜12の複数の領域AW1,AW2とが対応するように、ウェハ1と露光マスク20とを配置する。より詳細には、露光マスク20の領域AR2とウェハ1の領域AW1とを対応させ、露光マスク20の領域AR1と、ウェハ1の領域AR2とを対応させて、ウェハ1と露光マスク20とを配置する。
【0074】
これにより、露光処理時のフォーカスマージンが向上し、ローカル段差LSを有する膜12上に形成されたフォトレジスト層13の全域において焦点を合わせることができる。
【0075】
実施形態の半導体装置10の製造方法によれば、領域AR1,AR2における反射層22の表面高さの差は、ウェハ1の領域AW1,AW2における膜12の膜厚差の2倍以上10倍以下である。
【0076】
上述のように、製造途中の半導体装置10に形成された膜12は、例えば50nm以上100nm以下の膜厚差を生じさせるローカル段差LSを有することがある。これに対し、露光マスク20の反射層22における表面高さの差を、例えば120nm以上1000nm以下に調整し、ウェハ1に形成された膜12の膜厚差に対して2倍以上10倍以下の差を生じさせることにより、ローカル段差LSを有する膜12上に形成されたフォトレジスト層13の全域に亘って焦点を合わせることができる。
【0077】
(変形例1)
次に、図7を用いて、実施形態の変形例1の露光マスク320について説明する。変形例1の露光マスク320は、反射層22の段差STrが形成された部分にも、吸収層323が形成されている点が上述の実施形態とは異なる。
【0078】
なお、以下の図面において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図7は、実施形態の変形例1にかかる露光マスク320の構成の一例を示す断面図である。図7に示すように、変形例1の露光マスク320は、ガラス基板等の基板21と、基板21上に形成された反射層22と、反射層22上に形成された吸収層323とを備える。
【0080】
変形例1の露光マスク320において、基板21及び反射層22は、上述の実施形態と同様に構成される。
【0081】
吸収層323は、反射層22の領域AR1,AR2上にパターン231p,232pをそれぞれ有し、反射層22の段差STr上にパターン233pを有して構成される。パターン233pは、例えば反射層22の段差STr全体を覆っている。
【0082】
また、吸収層323は、領域AR1,AR2において等しい層厚を有していてよい。一方、吸収層323は、段差STtにおいて、領域AR1,AR2と等しい層厚を有していてもよく、または、領域AR1,AR2とは異なる層厚を有していてよい。また、吸収層323の層厚は、段差STtにおいて変化していてもよい。
【0083】
以上のように構成される露光マスク320は、例えば以下のように製造することができる。
【0084】
基板21及び反射層22は、例えば上述の実施形態と同様に形成される。吸収層323もまた、段差STr上にパターン233pを形成すること以外は、例えば上述の実施形態と同様に形成される。このとき、吸収層323の形成手法および形成条件等によって、段差STtにおける吸収層323の層厚は、上述したように種々に異なり得る。
【0085】
以上により、変形例1の露光マスク320が製造される。
【0086】
変形例1の露光マスク320によれば、吸収層323は、反射層22の段差STrにも設けられている。これにより、反射層22の段差STrに照射された露光光が、段差STrにより乱反射するなどして、露光処理に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0087】
変形例1の露光マスク320によれば、その他、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0088】
なお、上述の変形例1の露光マスク320は、上述の実施形態と同様の基板21及び反射層22を備えることとしたが、変形例1の吸収層323の構成を、上述の変形例1または変形例2の露光マスク120,220に適用することも可能である。
【0089】
また、上述の変形例1の露光マスク320は、領域AR1,AR2における層厚が等しい吸収層323を有することとしたが、上述の変形例2の吸収層223のように、変形例1の露光マスク320が、領域AR1,AR2で層厚が異なる吸収層323を有していてもよい。
【0090】
(変形例2)
次に、図8図9を用いて、実施形態の変形例2の露光マスク420について説明する。変形例2の露光マスク420は、複数のローカル段差LS1~LS3を有する半導体装置410の露光処理に用いられる点が、上述の実施形態とは異なる。
【0091】
なお、以下の図面において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
上述の実施形態では、膜12は、1つのローカル段差LSを含むこととした。しかし、複数の工程を経て種々の異種層を含むこととなった膜は、これまでに経てきた工程等により、複数のローカル段差を有する場合がある。図8に、そのような半導体装置410の一例を示す。
【0093】
図8は、実施形態の変形例2にかかる半導体装置410の構成の一例を示す断面図である。図8は、製造途中の半導体装置410の一部領域の模式図であり、例えば露光現像処理前の状態を示している。
【0094】
図8に示すように、変形例2の半導体装置410は、シリコン基板等の基板11、複数の異種層が積層された多層膜構造を有し、表層部分に被加工層412tを有して基板11上に形成された膜412を備える。
【0095】
膜412は、所定の膜厚を有する領域AW41、領域AW41よりも膜厚が薄い第6の領域としての領域AW42、領域AW42よりも更に膜厚が薄い第5の領域としての領域AW43、及び領域AW43よりも膜厚が厚い領域AW44を有する。
【0096】
領域AW41,AW42は互いに隣接しており、例えば膜412の表面の緩やかな傾斜面を有するローカル段差LS1によってひと続きに繋がっている。領域AW42,AW43は互いに隣接しており、例えば膜412の表面の緩やかな傾斜面を有するローカル段差LS2によってひと続きに繋がっている。領域AW43,AW44は互いに隣接しており、例えば膜412の表面の緩やかな傾斜面を有するローカル段差LS4によってひと続きに繋がっている。
【0097】
これらの領域AW41~AW44は、矩形状を含む種々の形状を取り得る。それぞれの領域AW41~AW44の最小幅は、例えば少なくとも数μm程度であってよい。また、これらの領域AW41~AW44における膜412の膜厚差は例えば50nm以上100nm以下である。ただし、これらの数値はあくまでも一例である。
【0098】
なお、半導体装置410に含まれるローカル段差LS1~LS3の数はあくまでも一例であり、半導体装置410がこれまでに経てきた工程、及び製造工程の段階ごとによって、様々に異なり得る。また、領域AW41~AW44の上記膜厚および並び順もあくまでも一例であり、半導体装置410には、半導体装置410がこれまでに経てきた工程、及び製造工程の段階ごとによって、様々な膜厚を有する領域が種々の並び順で配置されうる。
【0099】
図9は、実施形態の変形例2にかかる露光マスク420の構成の一例を示す断面図である。変形例2の露光マスク420は、上述の半導体装置410に対応して設計され、半導体装置410の露光処理に用いられる。
【0100】
図9に示すように、露光マスク420は、ガラス基板等の基板421と、基板421上に形成された反射層422と、反射層422上に形成された吸収層423とを備える。
【0101】
基板421は、所定厚さを有する領域AG41、領域AG41の基板421の厚さよりも厚い所定厚さを有する領域AG42、領域AG42よりも薄い所定厚さを有する領域AG43、及び領域AG43の基板421の厚さよりも薄い所定厚さを有する領域AG44を有する。
【0102】
領域AG41,AG42は互いに隣接しており、例えば反射層422及び吸収層423側の基板421主面の緩やかな傾斜面を有する段差ST4gによってひと続きに繋がっている。領域AG42,AG43は互いに隣接しており、例えば反射層422及び吸収層423側の基板421主面の緩やかな傾斜面を有する段差ST5gによってひと続きに繋がっている。領域AG43,AG44は互いに隣接しており、例えば反射層422及び吸収層423側の基板421主面の緩やかな傾斜面を有する段差ST6gによってひと続きに繋がっている。
【0103】
反射層422は、例えば全体に亘り等しい厚さを有する。これにより、反射層422においては、基板421の領域AG41~AG44及び段差ST4g~ST6gに対応して、基板421の裏面からの表面高さが異なることとなる。
【0104】
すなわち、反射層422は、基板421の領域AG41と高さ方向に重なる第3の領域としての領域AR41を有する。領域AR41において、反射層422は、基板421の裏面からの表面高さとして、第3の高さとしての所定の高さを有する。
【0105】
また、反射層422は、基板421の領域AG42と高さ方向に重なる第2の領域としての領域AR42を有する。領域AR42において、反射層422は、基板421の裏面からの表面高さとして、領域AR41における表面高さよりも高い、第2の高さとしての所定の高さを有する。
【0106】
また、反射層422は、基板421の領域AG43と高さ方向に重なる第1の領域としての領域AR43を有する。領域AR43において、反射層422は、基板421の裏面からの表面高さとして、領域AR42における表面高さよりも低い、第1の高さとしての所定の高さを有する。
【0107】
また、反射層422は、基板421の領域AG44と高さ方向に重なる領域AR44を有する。領域AR44において、反射層422は、基板421の裏面からの表面高さとして、領域AR43における表面高さよりも更に低い所定の高さを有する。
【0108】
これらの領域AR41~AR44における反射層422の表面高さの差は、例えば上述の半導体装置410が有する膜412の膜厚差の2倍以上10倍以下である。また、これらの領域AR41~AR44は、半導体装置410の膜412における領域AW41~AW44とそれぞれ相似形をなし、これらの領域AR41~AR44が例えば矩形状であった場合、それぞれの領域AR41~AR44の1辺の長さは例えば数百nm~数mm程度である。
【0109】
また、反射層422は、基板421の段差ST4gと高さ方向に重なる位置に第2の段差としての段差ST4rを有する。また、反射層422は、基板421の段差ST5gと高さ方向に重なる位置に第1の段差としての段差ST5rを有する。また、反射層422は、基板421の段差ST6gと高さ方向に重なる位置に段差ST6rを有する。
【0110】
これらの段差ST4r~ST6rはそれぞれ、基板421の段差ST4g~ST6gに沿うように、所定の傾斜角を有する緩やかな傾斜面となっている。具体的には、段差ST4r~ST6rはそれぞれが、例えば傾斜角が0.01°以上5°以下の緩やかな傾斜面となっていることが好ましい。
【0111】
また、これらの段差ST4r~ST6rのサイズの一例として、領域AR41~AR44にそれぞれ挟まれた段差ST4r~ST6rの幅を、例えばそれぞれ1μm以上数mm以下とすることができる。
【0112】
吸収層423は、反射層422の領域AR41~AR44上にパターン431p~434pをそれぞれ有して構成される。吸収層423は、領域AR41~AR44の全体に亘って等しい層厚を有していてよい。
【0113】
なお、複数の段差ST4r~ST6rを有する変形例2の露光マスク420の構成を、上述の変形例1~3のいずれかの構成に適用することも可能である。すなわち、複数の段差ST4r~ST6rを有する露光マスクを、基板および反射層の少なくともいずれかが異なる厚さを有するよう構成することができる。また、複数の段差ST4r~ST6rを有する露光マスクが、複数の領域における層厚が異なる吸収層を備えていてもよい。
【0114】
その他、基板421、反射層422、及び吸収層423の各種構成、並びに基板421、反射層422、及び吸収層423に関する各種数値は、上述の実施形態および変形例1~3のいずれかの基板、反射層、及び吸収層と同様とすることができる。
【0115】
以上のように構成される露光マスク420もまた、例えば上述の実施形態の露光マスク20と同様に製造することができる。
【0116】
図10は、実施形態の変形例2にかかる半導体装置410の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。図10においては、露光マスク420を用いた半導体装置410の露光処理の様子を示す。
【0117】
図10に示すように、露光マスク420の反射層422及び吸収層423が設けられた側を、半導体装置410の膜412上に形成したフォトレジスト層413と対向させて、露光マスク420と半導体装置410とを配置する。また、反射層422及び吸収層423が設けられた側から、露光光LTeを露光マスク420に照射して、反射層422で反射された反射光LTrにより半導体装置410のフォトレジスト層413を露光させる。
【0118】
このときの露光マスク420と半導体装置410との配置位置としては、露光マスク420が備える反射層422の表面高さが最も低い領域AR44と、半導体装置410に形成された膜412の膜厚が最も厚い領域AW41とを対応させる。また、露光マスク420が備える反射層422の表面高さが最も高い領域AR42と、半導体装置410に形成された膜412の膜厚が最も薄い領域AW43とを対応させる。
【0119】
またこれにより、露光マスク420が備える反射層422の表面高さが、領域AR41,AR44の間である領域AR43と、半導体装置410に形成された膜412の膜厚が領域AW41,AW44の間である領域AW42とが互いに対応する位置に配置される。また、露光マスク420が備える反射層422の表面高さが、領域AR41,AR44の間である領域AR42と、半導体装置410に形成された膜412の膜厚が領域AW41,AW44の間である領域AW43とが互いに対応する位置に配置される。
【0120】
この状態で上記露光処理を行うことで、半導体装置410の領域AW41~AW44に形成されたフォトレジスト層413のいずれの部分においても、反射光LTrの焦点が合い、露光マスク420のパターン431p~434pのいずれもが高精度にフォトレジスト層413に転写される。
【0121】
変形例2の露光マスク420によれば、反射層422は、反射層422が表面に有する段差ST4rを介して領域AR42に隣接し、基板421の裏面からの表面高さが領域AR42における表面高さとは異なる高さである領域AR41を更に有する。
【0122】
このように、露光マスク420は、半導体装置410が有するローカル段差LS1~LS3の数、並びに異なる膜厚を有する複数の領域AW41~AW44の数および配置に応じて、様々な構成を採ることができる。これにより、露光処理時のフォーカスマージンをいっそう向上させることができる。
【0123】
変形例2の露光マスク420によれば、その他、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1,2…ウェハ、10,410…半導体装置、12,412…膜、12t、412t…被加工層、13,413…フォトレジスト層、20,320,420…露光マスク、21,421…基板、22,422…反射層、23,323,423…吸収層、231p,232p,233p,431p~434p…パターン、AR1,AR2,AR41~AR44…領域、AW1,AW2,AW41~AW44…領域、STr,ST4r~ST6r…段差、LS,LS1~LS3…ローカル段差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10