(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030998
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240229BHJP
H01R 24/60 20110101ALI20240229BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R24/60
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134271
(22)【出願日】2022-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】522339640
【氏名又は名称】▲高▼倉 真弓
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 真弓
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC31
5E021FC38
5E021KA02
5E223AC23
5E223AC47
5E223BA01
(57)【要約】
【課題】コネクタの上下を触覚で把握できるとともに、挿抜を容易に行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】第1のコネクタ(コネクタ)3は、接続端子部6を保持する本体部5と、本体部5の一の面に設けられた凸部9と、一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部10と、を備え、凸部9と載置部10は接続端子部6の挿抜方向(矢印a)に沿って配置され、且つ、凸部9は載置部10よりも接続端子部6に近い側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子部を保持する本体部と、
前記本体部の一の面に設けられた凸部と、
前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、
前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置する、コネクタ。
【請求項2】
前記載置部は、前記凸部から離れる方向に沿って上り勾配の傾斜面を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記載置部は、前記挿抜方向に沿って所定間隔をあけて設けられた複数の部材を含んで構成される、請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の電子機器に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやタブレット型の携帯端末などの電子機器、周辺機器を接続する際に用いられるコネクタとしては従来、受入側コネクタ(外部の接続先である電子機器が備えるポート)に挿入する際の上下方向が一義的に定まっているものが存在する。そのため挿入ミスを防ぐためには、使用者が予めコネクタの接続端子の上下の向きを目視により確認する必要がある。
【0003】
ところが、例えば視力の弱い者や視覚障害を有する者がコネクタを扱う場合、接続端子を目視することが困難である。そこで従来、差込側コネクタを保持する本体の一の面に差込み向きを示す突起を設けたコネクタ(USB接続ユニット)が提案されている(特許文献1を参照)。視覚障害を有する者は突起を手指で触れることで、コネクタの上下の向きを触覚で把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来技術では、コネクタの上下の向きを触覚で把握できるものの、コネクタの挿抜のし易さまでは追及できておらず、更なる改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、コネクタの上下を触覚で把握できるとともに、挿抜を容易に行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、接続端子部を保持する本体部と、前記本体部の一の面に設けられた凸部と、前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタの上下を触覚で把握できるとともに、挿抜を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるコネクタを備えるケーブルの斜視図
【
図2】本発明の実施の形態1におけるコネクタを備えるケーブルの(a)平面図(b)側面図
【
図3】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるコネクタを備えるケーブルの使用例を示す図
【
図4】本発明の実施の形態2におけるコネクタの(a)平面図(b)側面図
【
図5】本発明の実施の形態3におけるコネクタを備えるケーブルの斜視図
【
図6】本発明の実施の形態3におけるコネクタが備える載置部の横断面図
【
図7】本発明の実施の形態4におけるコネクタの平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1,2及び3を参照して、本発明の実施の形態1におけるコネクタを備えるケーブルについて説明する。
図1において、ケーブル1は複数の電子機器を通信可能に接続する通信用ケーブルであり、ケーブル部2と、ケーブル部2の一端に接続された第1のコネクタ3と、ケーブル部2の他端に接続された第2のコネクタ4と、を含んで構成される。
図1,2及び3では便宜上、ケーブル部2の図示を一部省略している。
【0011】
図2(a)において、第1のコネクタ3は平面視してほぼ長方形の本体部5を備えており、本体部5はその一端側で接続端子部6を保持している。
図1に示すように、接続端子部6は本体部5の一端から突出して設けられた端子6aと、端子6aを覆う金属製のカバー部材6bと、を含んで構成される。
【0012】
接続端子部6は、図示しない外部の接続先である電子機器が備える受入側コネクタ(ポート)に接続される。接続端子部6の仕様は任意であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)のType-A,Type-B,Type-C等が挙げられる。
【0013】
第2のコネクタ4も第1のコネクタ3と同様に本体部7を備えている。本体部7には外部の電子機器と接続される接続端子部8を保持している。後述のとおり、本発明は第1のコネクタ3が対象であるが、第2のコネクタ4にも本発明が有する構成を適用することができる(後述する
図7を参照)。
【0014】
第1のコネクタ3について詳しく説明する。
図1,2及び3において、本体部5の一の面5a(
図2(b))には凸部9と、使用者の手指12(実際は親指)が載置される載置部10が、第1のコネクタ3の挿抜方向(矢印a)に沿って設けられている。凸部9は第1のコネクタ3の挿入方向(矢印a1)側に位置し、載置部10は第1のコネクタ3の抜き取り方向(矢印a2)側に位置する。言い換えれば、凸部9は載置部10よりも接続端子部6に近い側に位置する。以下、第1のコネクタの挿抜方向を矢印a、第1のコネクタ3の挿入方向を矢印a1、第1のコネクタ3の抜き取り方向を矢印a2として説明する。
【0015】
凸部9は例えば、光を分散、屈折、反射するなどのプリズム効果を生むダイヤモンドカットを施した透明な多面体で構成される樹脂体である。このような樹脂体を採用することで、視覚障害を有する者を含む一般使用者が凸部9を認識し易くなるといった効果を期待できる。凸部9は滑らかな曲面を有する半球状であってもよい。
【0016】
使用者は凸部9を視覚または触覚により認識することで、第1のコネクタ3の上下(表裏)の向きを把握することができる。すなわち、凸部9は使用者が第1のコネクタ3の上下の向きを把握するための目印として機能する。
【0017】
図2(b)において、載置部10は一の面5aから突出しており、凸部9よりも第1のコネクタ3の抜き取り方向(矢印a2)側に設けられている。載置部10は、使用者が第1のコネクタ3を外部の電子機器の接続ポートに対して挿抜する際、使用者の手指12(
図3)を載置するために設けられたものである。
【0018】
図2(a)において、載置部10は平面視してほぼ二等辺三角形を成し、短辺10aが第1のコネクタ3の挿抜方向(矢印a)と水平面内において直交する方向と平行になるように位置合わせされている。2つの長辺10bのそれぞれは、短辺10a側から第1のコネクタ3の挿入方向(矢印a1)に向かって互いに接近し合う方向に延びている。すなわち、載置部10は平面視して、凸部9に近づく方向(挿入方向(矢印a1))に沿って先細り状となっており、手指12(
図3)が載置される部位であるとともに、接続端子部6の挿入方向(矢印a1)を視覚的に示すピクトグラムとしての機能を備えている。
【0019】
図2(b)において、載置部10は側面視して、凸部9から離れる方向(抜き取り方向(矢印a2))に沿って上り勾配の第1の傾斜面(傾斜面)10cを有する。第1の傾斜面10cの先端部10c1は、凸部9よりも低い位置にあるため、凸部9と載置部10との間には側面視してほぼv字状の谷間が形成される。
【0020】
図3(a)に示すように、使用者が第1の傾斜面10cに手指12の指腹を載置したとき、手指12の先端が凸部9に当接することによって挿入方向(矢印a1)への滑りが規制される。すなわち、凸部9は載置部10に載置された手指12の挿入方向(矢印a1)への滑りを規制するストッパとして機能することで、第1のコネクタ3の挿入時に手指12が誤って挿入方向(矢印a1)に滑って怪我する事態を抑制することができる。
【0021】
図2(b)において、載置部10はさらに、第1の傾斜面10cの後端部10c2から斜め下方に向けて(若しくはほぼ水平方向)延びる平滑な面である平滑面10dと、平滑面10dの端部から本体部5の一の面5aに向けて下り勾配の第2の傾斜面10eを有する。
図3(b)に示すように、使用者は平滑面10dと第2の傾斜面10eに手指12を接触させた状態で第1のコネクタ3を挿入方向(矢印a1)に押し込む操作を行うこともできる。
【0022】
図1において、本体部5の両側面のそれぞれには凸部11a,11bが設けられている。使用者は例えば、凸部11a,11bを人差指と親指で摘まんだ状態で第1のコネクタ3を挿抜することができる。凸部11a,11bが有用な場面としては、例えば、複数の受入側コネクタ(ポート)が縦方向に直列に配置されているような電子機器に第1のコネクタ3を挿入したい場合、所定の受入側コネクタ(ポート)に他のコネクタが既に挿入されているようなケースが想定し得る。このようなケースでは、既に挿入されている他のコネクタが邪魔になり、
図3(a),(b)のように、手指12を載置部10に載置することが困難となる。このような場面で凸部11a,11bを用いる(摘まむ)ことにより、第1のコネクタ3の挿入(あるいは挿抜)が容易になる。すなわち、実施の形態1によれば、受入側コネクタ(ポート)の使用状況あるいは使用者の好みに応じた様々な方法によって、第1のコネクタ3の挿抜を行うことができる。
【0023】
以上説明したように、実施の形態1におけるコネクタ(第1のコネクタ3)は、接続端子部6を保持する本体部5と、本体部5の一の面5aに設けられた凸部9と、一の面5aに設けられ使用者の手指12が載置可能な載置部10と、を備えている。また、凸部9と載置部10は接続端子部6の矢印aで示す挿抜方向に沿って配置され、且つ、凸部9は載置部10よりも接続端子部6に近い側に位置する。これにより、コネクタの上下を視覚または触覚で把握できるとともに、挿抜を容易に行うことができる。
【0024】
(実施の形態2)
次に
図4(a),(b)を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1と同じ部材については同一の符号を付す。実施の形態2における第1のコネクタ3Aは載置部の構造が実施の形態1と相違する。
【0025】
載置部10Aは複数(実施の形態2では4個)に個片化された部材(第1の個片部材10A1,第2の個片部材10A2,第3の個片部材10A3,第4の個片部材10A4)を含んで構成される。個片部材10A1~10A4のそれぞれは、本体部5の一の面5a(
図4(b))上において、挿抜方向(矢印a)に沿って所定間隔をあけて設けられており、平面視して接続端子部6の挿入方向(矢印a1)を視覚的に示すピクトグラムとしても機能する。
【0026】
実施の形態2における載置部10Aによれば、使用者が手指12を載置部10Aに載置したとき、指腹が個々の個片部材10A1~10A4の間に形成された隙間にくい込むので、挿抜方向(矢印a)への手指12の滑りがより一層抑制される。
【0027】
(実施の形態3)
次に
図5,6を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1と同じ部材については同一の符号を付す。実施の形態3における第1のコネクタ3Bは、実施の形態2と同様に、載置部の構造が実施の形態1と相違する。
【0028】
載置部10Bが有する傾斜面10B1(実施の形態1における第1の傾斜面10cに相当)は、使用者の手指12の指腹に倣って窪んだ領域10B2を有する。領域10B2は手指12(指腹)に倣って窪んでいるため、載置部10Bに指腹を載置した際のフィット感が向上する。
【0029】
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4におけるコネクタ4の平面図を示している。コネクタ4が備える本体部7はUSB(Type-C)の接続端子部8を保持しており、その上面には実施の形態1に対応した本発明に対応する凸部9、載置部10が設けられている。また、本体部7の両側面のそれぞれには凸部11a,11bが設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
コネクタの上下を触覚で把握できるとともに、挿抜を容易に行うことができるコネクタを提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
3 第1のコネクタ(コネクタ)
5 本体部
5a 一の面
6 接続端子部
9 凸部
10 載置部
10c 第1の傾斜面(傾斜面)
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子部を保持する本体部と、
前記本体部の一の面に設けられた凸部と、
前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、
前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、
前記載置部は、前記凸部から離れる方向に沿って上り勾配の傾斜面を有し、
前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている、コネクタ。
【請求項2】
接続端子部を保持する本体部と、
前記本体部の一の面に設けられた凸部と、
前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、
前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、
前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている、コネクタ。
【請求項3】
前記載置部は、前記挿抜方向に沿って所定間隔をあけて設けられた複数の部材を含んで構成される、請求項1または2に記載のコネクタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のコネクタは、接続端子部を保持する本体部と、前記本体部の一の面に設けられた凸部と、前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、前記載置部は、前記凸部から離れる方向に沿って上り勾配の傾斜面を有し、前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている。
また、本発明のコネクタは、接続端子部を保持する本体部と、前記本体部の一の面に設けられた凸部と、前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子部を保持する本体部と、
前記本体部の一の面に設けられた凸部と、
前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、
前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、
前記載置部は、前記凸部から離れる方向に沿って上り勾配の傾斜面を有し、
前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている、コネクタ。
【請求項2】
前記載置部は、前記挿抜方向に沿って所定間隔をあけて設けられた複数の部材を含んで構成される、請求項1に記載のコネクタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のコネクタは、接続端子部を保持する本体部と、前記本体部の一の面に設けられた凸部と、前記一の面に設けられ使用者の手指が載置可能な載置部と、を備え、前記凸部と前記載置部は前記接続端子部の挿抜方向に沿って配置され、且つ、前記凸部は前記載置部よりも前記接続端子部に近い側に位置し、前記載置部は、前記凸部から離れる方向に沿って上り勾配の傾斜面を有し、前記載置部は平面視して、前記凸部に近づく方向に沿って先細り状となっていることで、前記接続端子部の挿入方向を視覚的に示すピクトグラムとなっている。