(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031000
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】会計装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G07G1/12 321M
G07G1/12 361E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134273
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 秀規
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142CA17
3E142EA02
3E142EA04
3E142FA18
3E142FA31
3E142FA42
3E142GA16
3E142GA41
3E142JA01
3E142JA03
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、クーポンを使用した取引の会計を効率的に行うことが可能な会計装置およびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の会計装置は、顧客を識別する顧客識別情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された顧客識別情報で識別される顧客によって事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報を取得するクーポン情報取得部と、顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部と、前記商品情報取得部が取得した商品情報と前記クーポン情報取得部が取得した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する会計処理部と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を識別する顧客識別情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された顧客識別情報で識別される顧客によって事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報を取得するクーポン情報取得部と、
顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部と、
前記商品情報取得部が取得した商品情報と前記クーポン情報取得部が取得した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する会計処理部と、
を備える会計装置。
【請求項2】
前記クーポン情報取得部は、前記顧客識別情報と前記登録クーポン情報とを対応付けて記憶するクーポンサーバから、前記入力部に入力された顧客識別情報に対応する登録クーポン情報を受信する、
請求項1に記載の会計装置。
【請求項3】
前記商品情報取得部によって取得された商品情報に係る商品が、前記クーポン情報取得部によって取得された登録クーポン情報の対象商品であることを条件として、当該登録クーポン情報に基づく特典処理を実行する特典処理部をさらに備え、
前記会計処理部は、前記特典処理部による特典処理に基づいて会計処理を実行する、
請求項2に記載の会計装置。
【請求項4】
前記商品情報取得部によって取得された商品情報に係る商品が、前記クーポン情報取得部によって取得された登録クーポン情報の対象商品でない場合、当該登録クーポン情報を前記クーポンサーバに出力する出力部をさらに備える、
請求項3に記載の会計装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記クーポン情報取得部によって取得された登録クーポン情報に係るクーポンを使用しないことを示す未使用確認入力が入力されたことを条件として、前記登録クーポン情報を出力する、
請求項4に記載の会計装置。
【請求項6】
前記入力部は、前記会計処理部による決済処理の開始がなされた後は前記顧客識別情報の入力を受付けない、
請求項1または2に記載の会計装置。
【請求項7】
会計装置をコンピュータで制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
顧客を識別する顧客識別情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された顧客識別情報で識別される顧客によって事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報を取得するクーポン情報取得部と、
顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部と、
前記商品情報取得部が取得した商品情報と前記クーポン情報取得部が取得した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する会計処理部と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、会計装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、販売促進を目的として、商品やサービス(以下、総称して「商品」ともいう)を販売する店舗や事業者(以下、総称して「店舗」ともいう)によるクーポンの発行が行われている(例えば、特許文献1)。例えば、店舗は、メールアドレスを登録した店舗会員等の顧客に対して、ネットワークを介してデジタルクーポンを発行する。
【0003】
顧客は、クーポンを使用する際、発行されたクーポンを特定するバーコードをスマートフォンなどの携帯端末に表示させる。会計処理を実行するPOS(Point Of Sales)端末は、携帯端末に表示されたバーコードを読取って、クーポン対象商品について値引きして会計処理を実行する。
【0004】
ところで、顧客に対して発行されるクーポンは、対象商品が定められているものが一般的である。このため、顧客が1取引で複数のクーポンを使用する場合、従来の技術ではクーポンを特定するバーコードの読取りが複数回必要となり、顧客が支払を行う会計に時間を要してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、クーポンを使用した取引の会計を効率的に行うことが可能な会計装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の会計装置は、顧客を識別する顧客識別情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された顧客識別情報で識別される顧客によって事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報を取得するクーポン情報取得部と、顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部と、前記商品情報取得部が取得した商品情報と前記クーポン情報取得部が取得した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する会計処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態のクーポンシステムの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態のポイントサーバの記憶部に記憶されるポイント管理ファイルのデータ構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のクーポンサーバの記憶部に記憶されるクーポン管理ファイルのデータ構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態のクーポンサーバの記憶部に記憶される登録クーポンファイルのデータ構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態のPOS端末の主たるハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態のPOS端末のRAMに記憶される商品情報部のデータ構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態のPOS端末のRAMに記憶される登録クーポン情報部のデータ構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態のPOS端末の記憶部に記憶される商品マスタのデータ構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態のPOS端末の制御部の主たる機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態のクーポンシステムの動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態のPOS端末の制御部による精算処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態の会計装置およびプログラムについて説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。例えば、以下に説明する実施形態では、店員の操作により商品登録および会計処理を行うPOS端末を会計装置とした例について説明するが、これに限らない。会計装置は、顧客自身の操作により商品登録および会計処理を行うセルフPOS端末であってもよい。
【0009】
また、会計装置は、商品登録を行う登録装置から商品情報を受信して会計処理を行う会計装置であってもよい。例えば、会計装置は、いわゆる2人制のPOSシステムの会計装置であってもよい。さらには、会計装置は、店員の操作により商品登録を行う登録装置と顧客の操作により会計処理を行う会計装置を備えたセミセルフPOSの会計装置であってもよい。
【0010】
図1は、実施形態のクーポンシステム10の概略を示す図である。クーポンシステム10は、店舗システム1と、ユーザ端末2と、ポイントサーバ3と、クーポンサーバ4とを有する。店舗システム1、ユーザ端末2、ポイントサーバ3、およびクーポンサーバ4は、インターネットなどのネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、店舗システム1、ポイントサーバ3、およびクーポンサーバ4は、同一の事業者で管理されてもよいし、それぞれ異なる事業者によって管理されてもよい。また、店舗システム1、ユーザ端末2、ポイントサーバ3、およびクーポンサーバ4の数は図示の例に限るものではない。
【0011】
ユーザ端末2は、クーポンシステム10のユーザである店舗会員(顧客)が所有するスマートフォンなどの端末装置である。ユーザ端末2には、店舗会員用のアプリケーションプログラム(以下、「会員アプリ」ともいう)がインストールされている。ユーザ端末2は、会員アプリを起動することによって、会員IDを示すバーコードを表示部に表示する。また、ユーザ端末2は、クーポンサーバ4が配信したクーポンを受信して記憶する。ユーザ端末2は、会員アプリの動作により、記憶したクーポンのクーポン情報を表示部に選択可能に表示する。顧客は、表示されたクーポン情報から取引で使用するものを選択することができる。
【0012】
ここで、クーポン情報とは、店舗が顧客に特典を付与するための処理、例えば値引き処理などに用いられる情報である。具体的には、クーポン情報は、クーポンの種類を特定するクーポンID、クーポンの内容を示す情報などの情報である。
【0013】
顧客がクーポンによって得られる特典としては、販売価格から一定の金額を差し引く値引きや販売価格から一定の割合の金額を差し引く割引(以下、総称して「値引き」ともいう)、粗品やグッズなどの無償での受領などがある。本実施形態においては、クーポンによって顧客が得られる特典は値引きであるものとする。
【0014】
ポイントサーバ3は、顧客である店舗会員ごとにポイントを管理する。本実施形態において、ポイントとは、次回以降の買物で使用できる金銭相当の価値を有するものである。ポイントは、取引における顧客の購入金額に応じて当該顧客に付与される。ポイントは、取引金額の一部に使用することもできるし、商品との交換に使用することもできる。なお、ポイントは、所定数に達した場合にのみ商品あるいは景品と交換することができるものであってもよい。
図2は、ポイントサーバ3の記憶部に記憶されるポイント管理ファイル31のデータ構成を示す図である。ポイント管理ファイル31は、会員IDと保有ポイントとを対応付けて記憶する。会員IDは、顧客を識別するもので、顧客識別情報の一例である。保有ポイントは、顧客が保有しているポイント(ポイント数)を示す情報である。
【0015】
ポイントサーバ3は、店舗サーバ6を介してPOS端末5から取引におけるポイントを受信して、店舗会員ごとにポイントを管理する。具体的には、ポイントサーバ3は、決済された取引の顧客を示す会員IDと当該取引において当該顧客に付与されたポイントをPOS端末5から受信して、ポイント管理ファイル31を更新する。より詳細には、ポイントサーバ3は、ポイント管理ファイル31において、POS端末5から受信した会員IDに対応する保有ポイントに当該POS端末5から受信したポイントを加算する。
【0016】
また、ポイントサーバ3は、決済された取引の顧客を示す会員IDと当該取引において顧客が使用したポイントをPOS端末5から受信して、ポイント管理ファイル31を更新する。より詳細には、ポイントサーバ3は、ポイント管理ファイル31において、POS端末5から受信した会員IDに対応する保有ポイントから、当該POS端末5から受信したポイントを減算する。
【0017】
ポイント管理ファイル31は、POS端末5で決済がなされる度に更新されてもよいし、1回/日など定期的に更新されてもよい。例えば、ポイントサーバ3は、各POS端末5の取引データを管理する店舗サーバ6のバッチ処理により、1回/日の割合で決済された取引のポイントに関する情報を当該店舗サーバ6から受信する。そして、ポイントサーバ3は、店舗サーバ6から受信した情報に基づいて、ポイント管理ファイル31を更新することができる。
【0018】
ポイントサーバ3は、1店舗の顧客のポイントを管理するものでもよいし、複数店舗の顧客のポイントを管理するものであってもよい。1店舗の顧客のポイントを管理する場合、ポイントサーバ3の機能を店舗サーバ6に持たせてもよい。複数店舗の顧客のポイントを管理する場合、ポイント管理ファイル31は、店舗を特定する店舗IDを会員IDに対応付けて記憶することが望ましい。なお、複数店舗は、同一企業によって運営される複数の店舗でもよいし、異なる企業によって運営される複数の店舗であってもよい。
【0019】
クーポンサーバ4は、ユーザ端末2に対してクーポンを配信する機能を有する。具体的には、クーポンサーバ4は、店舗からクーポン企画を受付け、ユーザ端末2に対して当該クーポン企画の応じたクーポンを配信する。例えば、クーポンサーバ4は、クーポン企画としてクーポン情報や配信条件を受付け、当該配信条件に合致する顧客のユーザ端末2に当該クーポン情報を配信する。以下の説明において、クーポンサーバ4がユーザ端末2にクーポンを配信することを「クーポンを発行する」という場合がある。
【0020】
クーポンサーバ4は、顧客に対して発行したクーポンのクーポン情報を管理する。また、クーポンサーバ4は、ユーザ端末2からの事前登録要求に応じて、顧客が次回の1取引で使用するクーポンのクーポン情報を管理する。クーポンサーバ4は、クーポン管理ファイル41および登録クーポンファイル42を記憶する。
【0021】
クーポン管理ファイル41は、顧客が保有するクーポンのクーポン情報を顧客ごとに管理するファイルである。
図3は、クーポンサーバ4の記憶部に記憶されるクーポン管理ファイル41のデータ構成を示す図である。クーポン管理ファイル41は、会員IDに対応付けて、クーポンID、クーポン内容、および使用フラグを記憶する。
【0022】
会員IDは、上述したとおり、顧客を識別する顧客識別情報である。クーポンIDは、クーポンを特定する情報である。クーポン内容は、使用可能店舗、対象商品、値引き額、および期間などである。使用可能店舗は、クーポンが使用できる店舗を示す情報であり、例えば当該店舗を特定する店舗コードである。対象商品は、クーポンの対象商品を特定する情報であり、例えば当該対象商品の商品コードである。値引き額は、クーポンの使用によって値引きされる金額を示す情報である。期間は、クーポンが使用可能な期間を示す情報である。
【0023】
使用フラグは、クーポンが使用されたか否かを示す情報である。使用フラグには、クーポンが発行された際に「未」が登録され、クーポンサーバ4がPOS端末5からクーポンが使用された旨の情報を受信すると「済」に書き換えられる。使用フラグが「済」に書き換えられたクーポンは使用できないよう管理される。
【0024】
なお、本実施形態では、クーポン管理ファイル41は、クーポンサーバ4がユーザ端末2に配信したクーポンのクーポン情報のみを記憶しているが、これに限るものではない。クーポン管理ファイル41は、顧客に対して発行された紙クーポンの情報も含めて記憶してもよい。例えば、クーポンサーバ4は、店舗での会計時にレシートに印刷された紙クーポンのクーポン情報と、会計にて購入代金を支払った顧客すなわち取引を行った顧客の会員IDとを会計処理を行ったPOS端末5から取得し、クーポン管理ファイル41に登録してもよい。
【0025】
登録クーポンファイル42は、ユーザ端末2からの使用クーポン事前登録要求に応じて、顧客が次回の1取引で使用するクーポンのクーポン情報を管理するファイルである。登録クーポンファイル42は、使用クーポン事前登録要求に含まれる情報を記憶する。
図4は、クーポンサーバ4の記憶部に記憶される登録クーポンファイル42のデータ構成を示す図である。登録クーポンファイル42は、会員IDに対応付けて、クーポンIDと使用日を記憶する。
【0026】
上述したとおり、会員IDは顧客を識別する顧客識別情報であり、クーポンIDはクーポンを特定する情報である。使用日は、クーポンの使用予定日を示す情報である。
【0027】
ユーザ端末2が送信する使用クーポン事前登録要求は、顧客が1取引の会計を行う前に、当該1取引で使用するクーポンを選択して登録クーポンファイル42に事前に登録することを要求するものである。例えば、顧客は、売場で購入する商品を選んでいるとき、あるいはレジカウンタで会計を待っているときなどに会員アプリを起動して会計時に使用するクーポンを選択する。顧客は、複数のクーポンを選択することができる。ユーザ端末2は、選択されたクーポン全てについてのクーポンID、顧客の会員ID、およびクーポンの使用日を示す情報を含む使用クーポン事前登録要求をクーポンサーバ4に送信する。なお、使用クーポン事前登録要求は、クーポン使用日より前の日に送信することも可能である。そして、上述のとおり、クーポンサーバ4は、使用クーポン事前登録要求に含まれる情報を管理する。
【0028】
また、クーポンサーバ4は、POS端末5から会員IDを含む登録クーポン問合せを受信すると、登録クーポンファイル42から当該会員IDに対応するクーポンID、および使用日を読み出す。そして、クーポンサーバ4は、クーポン管理ファイル41を参照して上記クーポンIDが使用済でないことをチェックする。使用済でない場合、クーポンサーバ4は、クーポン管理ファイル41からクーポン内容を読み出す。クーポンサーバ4は、読み出したクーポンID、使用日、およびクーポン内容を登録クーポン情報として、POS端末5に送信する。登録クーポンファイル42に登録されたクーポンID、およびクーポン管理ファイル41において当該クーポンIDに対応付けられたクーポン内容は、事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報の一例である。
【0029】
クーポンサーバ4は、クーポンの配信は行わずクーポン情報を管理する機能のみを備えているものでもよい。また、クーポンサーバ4は、1店舗の顧客のクーポン情報を管理するものでもよいし、複数店舗の顧客のクーポン情報を管理するものであってもよい。1店舗の顧客のクーポン情報を管理する場合、クーポンサーバ4の機能を店舗サーバ6に持たせてもよい。なお、複数店舗は、同一企業によって運営される複数の店舗でもよいし、異なる企業によって運営される複数の店舗であってもよい。
【0030】
続いて、店舗システム1について説明する。店舗システム1は、例えば、スーパーマーケットなどの量販店に適用される。店舗システム1は、1以上のPOS端末5と店舗サーバ6とを有する。各POS端末5と店舗サーバ6とはLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0031】
POS端末5は、店員が商品登録および会計処理に係る操作を行うものである。POS端末5は、オペレータ(店員)の操作によって、顧客が購入する商品の商品コードを読取り、読取った商品コードに基づいて取得した商品情報を記憶することによって商品登録を実行する。また、POS端末5は、商品登録された情報に基づいて会計処理を実行する。POS端末5は、会計装置の一例である。
【0032】
会計処理は、顧客が購入商品の代金の支払を行うための処理であって、算出処理、決済処理、レシート発行処理等を含む。算出処理は、取引金額を算出する処理等である。決済処理は、算出処理にて算出された取引金額の支払を完了させるための処理で、現金決済においては釣銭の算出および払出等、キャッシュレス決済においては決済用サーバとの通信等を含む。決済処理は、決済された金額に応じて顧客にポイントを付与する処理を含む。レシート発行処理は、紙レシートあるいは電子レシートを発行するための処理である。
【0033】
また、POS端末5は、特典処理を実行する。特典処理は、クーポンに関する処理である。POS端末5は、特典処理として、取引において顧客が使用するクーポンがあるか否か判断し、使用するクーポンがある場合、当該クーポンで設定された値引き額を対象商品の価格から差し引く。以下の説明において、対象商品の価格からクーポンで設定された値引き額を差し引く処理を「値引き処理」ともいう。
【0034】
POS端末5は、会計時に、ユーザ端末2に表示されたバーコードから顧客の会員IDを読取る。POS端末5は、読取った会員IDの顧客によって事前登録されたクーポンがあるか否かをクーポンサーバ4に問い合わせ、その応答として登録クーポン情報を取得する。POS端末5は、取引対象として商品登録された商品が取得した登録クーポン情報のクーポン対象商品であるか否か照合する。POS端末5は、商品登録された商品のうち、取得した登録クーポン情報のクーポン対象商品について値引き処理を行う。
【0035】
これにより、1取引において顧客が複数のクーポンを使用する場合でも、POS端末5は、会員IDを読取るだけで当該複数のクーポンに係る値引き処理を行うことができる。このため、POS端末5は、複数回のクーポンIDの読取りが不要となることから、1取引の会計に要する時間を短縮することができるばかりでなく、オペレータの操作性も向上させることができる。
【0036】
店舗サーバ6は、会計処理にて決済された取引データを各POS端末5から受信して管理する。店舗サーバ6は、各POS端末5から受信した取引データを集中的に管理して、一店舗での売上管理等を行う。また、店舗サーバ6は、店舗で扱う商品の商品情報を記憶した商品マスタを適宜更新し、各POS端末5に送信する。店舗サーバ6は、POS端末5から受信した各種情報を必要に応じてポイントサーバ3やクーポンサーバ4に送信する。また、店舗サーバ6は、ポイントサーバ3やクーポンサーバ4から受信した各種情報を必要に応じてPOS端末5に送信する。
【0037】
次に、POS端末5について詳細に説明する。
図5は、POS端末5の主たるハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末5は、制御部50と、記憶部51と、表示部52と、操作部53と、スキャナ54と、プリンタ55と、カードリーダ56と、釣銭機57と、通信部58と、を備えている。制御部50、記憶部51、表示部52、操作部53、スキャナ54、プリンタ55、カードリーダ56、釣銭機57、および通信部58は、バス59等を介して互いに接続されている。
【0038】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503を備えたコンピュータ構成となっている。CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス59を介して互いに接続されている。
【0039】
CPU501はPOS端末5の全体の動作を制御する。ROM502は、CPU501の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用され、ROM502や記憶部51に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部50は、CPU501がROM502や記憶部51に記憶されてRAM503に展開された制御プログラムにしたがって動作することによって、POS端末5の各種制御処理を実行する。
【0040】
また、RAM503は、商品情報部5031および登録クーポン情報部5032を備える。商品情報部5031は、顧客が購入する商品の商品情報を記憶する。
図6は、商品情報部5031のデータ構成を示す図である。商品情報部5031は、商品コードに対応付けて、商品名、価格、および個数を記憶する。
【0041】
商品コードは、商品を識別する情報であり、商品識別情報の一例である。商品名は、商品の名称を示す情報である。価格は、商品の価格を示す情報である。商品の価格は、税込価格でも税抜価格でもよい。個数は、商品の個数を示す情報である。
【0042】
商品名、および価格は、例えばスキャナ54が商品に付された商品バーコードから読取った商品コードに基づいて記憶部51から読み出される。個数は、例えば操作部53から入力される。商品情報部5031に商品情報が記憶(登録)されることを「商品登録」ともいう。
【0043】
登録クーポン情報部5032は、クーポンサーバ4から受信した登録クーポン情報を記憶する。POS端末5は、読取った顧客の会員IDに対応する登録クーポン情報の問合せをクーポンサーバ4に送信し、その応答として登録クーポン情報を受信して、登録クーポン情報部5032に記憶する。登録クーポン情報部5032に登録される登録クーポン情報は、顧客が1取引で使用予定の1または複数のクーポンの情報である。
図7は、登録クーポン情報部5032のデータ構成を示す図である。登録クーポン情報部5032は、クーポンIDに対応付けて、使用日、クーポン内容を記憶する。
【0044】
上述したとおり、クーポンIDはクーポンを特定する情報であり、使用日はクーポンの使用予定日を示す情報である。また、クーポン内容は、クーポン管理ファイル41と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0045】
記憶部51は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部51は、制御プログラム511、および商品マスタ512を記憶する。
【0046】
制御プログラム511は、スキャナ54で読取られた商品コードに基づいて商品登録を行うためのプログラム、読取った会員IDに基づいてクーポンサーバ4から登録クーポン情報を取得するためのプログラム、商品情報部5031に記憶された情報および取得した登録クーポン情報に基づいて一取引の会計処理を行うためのプログラム、などである。
【0047】
商品マスタ512は、店舗が販売する商品の商品情報を記憶したマスタファイルであり、店舗サーバ6から送信されて記憶部51に記憶される。店舗で扱う商品は日々変化するため、商品マスタ512は適宜更新される。
図8は、商品マスタ512のデータ構成を示す図である。商品マスタ512は、商品コードに対応付けて、商品名、価格、および画像を記憶する。
【0048】
上述したとおり、商品コードは商品を識別する情報、商品名は商品の名称を示す情報、価格は商品の価格を示す情報である。画像は、商品の外観を示す写真やイラストなどの画像データである。
【0049】
図5に戻って、POS端末5のハードウェア構成を説明する。
【0050】
表示部52は、表示デバイスであり、液晶ディスプレイなどで構成される。表示部52は、制御部50の制御の下、各種情報を表示する。例えば、表示部52は、商品登録された商品の商品情報や、取引金額(一取引の合計金額)などを表示する。また、表示部52は、オペレータが操作を行うための各種操作画面を表示する。
【0051】
操作部53は、入力デバイスであり、表示部52の表面に設けられたタッチパネル、表示部52とは別に設けられたキーボードなどで構成される。操作部53は、オペレータの操作により入力された各種情報を制御部50に入力する。例えば、操作部53は、会計処理の開始を指示する取引開始入力、会計処理を指示する会計指示入力などを制御部50に入力する。
【0052】
スキャナ54は、媒体に示された各種コードシンボルから情報を読取る。例えば、スキャナ54は、商品に付された商品バーコードから商品コードを読取る。スキャナ54は、オペレータの操作により顧客が購入する商品に付された商品バーコードから商品コードを読取る。また、スキャナ54は、顧客のユーザ端末2に表示されたバーコードから会員IDを読取る。スキャナ54は、POS端末5に固定的に設けられたものでもよいし、オペレータが手に取って操作可能なハンディ式のものでもよい。
【0053】
プリンタ55は、制御部50の制御の下、一取引に係るレシートを印字して発行する。プリンタ55は、取引金額、値引き額、購入された商品の商品情報、付与されたポイントなどを含む取引情報、および各種メッセージなどをレシートに印字する。プリンタ55は、レシート発行時にクーポン情報を印字した紙クーポンを印字して発行してもよい。上記紙クーポンは、レシートの一部として発行されてもよいし、レシートとは別に発行されてもよい。
【0054】
カードリーダ56は、各種カードから情報を読取る。例えば、カードリーダ56は、顧客のクレジットカードからクレジットカード決済に必要な顧客情報を読取る。カードリーダ56は、顧客が所有する会員カードから会員IDを読取ってもよい。カードリーダ56は、磁気カードから情報を読取る磁気カードリーダでもよいし、ICチップを内蔵したカードから情報を読取るICカードリーダでもよい。
【0055】
釣銭機57は、顧客が購入代金を現金で支払った際に、顧客の支払った紙幣や硬貨を受付け、必要に応じて釣り銭を払い出す。
【0056】
通信部58は、店舗サーバ6などの外部装置と通信するためのインターフェイスである。制御部50は、通信部58を介して外部装置と接続されることで、当該外部装置と情報(データ)の送受信が可能となる。例えば、制御部50は、通信部58および店舗サーバ6を介して、ポイントサーバ3やクーポンサーバ4と情報の送受信が可能である。
【0057】
続いて、POS端末5の制御部50の主たる機能構成について説明する。
図9は、POS端末5の制御部50の主たる機能構成を示すブロック図である。制御部50は、CPU501がROM502や記憶部51に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、送受信部5001、入力部5002、登録部5003、特典処理部5004、会計処理部5005、および表示制御部5006として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアを用いて構成してもよい。
【0058】
送受信部5001は、店舗サーバ6との間で各種情報を送受信する。例えば、送受信部5001は、商品マスタ512を店舗サーバ6から受信する。また、送受信部5001は、1取引ごとの取引データを店舗サーバ6に送信する。
【0059】
送受信部5001は、店舗サーバ6を介してポイントサーバ3やクーポンサーバ4との間で各種情報を送受信する。例えば、送受信部5001は、入力部5002に入力された会員IDを含むクーポン問合せをクーポンサーバ4に送信する。そして、送受信部5001は、送信した会員IDで識別される会員が事前登録した登録クーポン情報をクーポンサーバ4から受信する。送受信部5001は、登録クーポン情報を取得するクーポン情報取得部として機能する。
【0060】
送受信部5001は、取得した登録クーポン情報に係るクーポンが取引において使用されなかった場合、未使用クーポン通知をクーポンサーバ4に送信する。未使用クーポン通知は、事前に登録された登録クーポン情報のうち、取引で使用されなかったクーポンを通知するものである。クーポンサーバ4は、未使用クーポン通知に含まれるクーポン情報が示すクーポンを未使用のクーポンとして管理する。送受信部5001は、商品登録された商品が登録クーポン情報の対象商品でない場合、当該登録クーポン情報をクーポンサーバ4に出力する出力部として機能する。
【0061】
このとき、送受信部5001は、登録クーポン情報に係るクーポンを使用しないことを示す未使用確認入力が入力されたことを条件として、当該登録クーポン情報をクーポンサーバ4に出力する。未使用確認入力は、登録クーポン情報の対象商品が商品登録されていない場合、オペレータが顧客に対して登録クーポン情報を使用しないことを確認したうえで、当該オペレータによって操作部53に入力される。未使用確認入力は、登録クーポン情報の対象商品が商品登録されていない場合に当該クーポン対象商品を追加購入しないことを宣言するものであるといえる。
【0062】
送受信部5001は、取引において顧客に付与されたポイント、あるいは取引において顧客が使用したポイントを示すポイント情報をポイントサーバ3に送信する。そして、送受信部5001は、更新されたポイントを示すポイント更新通知をポイントサーバ3から受信する。
【0063】
入力部5002には、操作部53から各種情報が入力される。例えば、入力部5002には、取引の開始を指示する取引開始入力、会計処理を指示する会計指示入力などが操作部53から入力される。また、入力部5002には、上述した未使用確認入力が操作部53から入力される。
【0064】
入力部5002には、会計時に商品コードが入力される。入力される商品コードは、例えば、スキャナ54が商品バーコードから読取った商品コード、あるいは操作部53によって入力された商品コードである。商品コードは、商品情報の一部である。入力部5002は、顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部として機能する。
【0065】
入力部5002には、顧客を識別する顧客識別情報、すなわち会員IDが入力される。具体的には、入力部5002には、スキャナ54が顧客のユーザ端末2に表示されたバーコードから読取った会員IDが入力される。入力部5002は、会計処理の一部である決済処理の開始がなされた後は会員IDの入力を受付けない。決済処理の開始とは、顧客が支払いを行うための情報が入力された時点をいい、具体的には、現金決済の場合には現金が投入された時点、クレジットカード決済の場合には決済サーバと通信を開始した時点などをいう。
【0066】
なお、入力部5002には、カードリーダ56が顧客の会員カードから読取った会員IDが入力されてもよい。また、顧客がクレジットカード決済により支払を行う場合、入力部5002には、カードリーダ56が顧客のクレジットカードから読取った顧客情報が入力される。
【0067】
登録部5003は、商品登録を実行する。具体的には、登録部5003は、入力部5002に入力された商品コードに対応する情報を商品マスタ512から読み出して、商品情報部5031に当該商品コードを含む商品情報を登録(記憶)する。また、登録部5003は、送受信部5001がクーポンサーバ4から受信した登録クーポン情報を登録クーポン情報部5032に登録する。
【0068】
特典処理部5004は、クーポンに関する特典処理として、値引き処理を実行する。特典処理部5004は、登録部5003によって商品登録された商品が送受信部5001によって取得された登録クーポン情報の対象商品であることを条件として、当該商品について値引き処理を実行する。具体的には、特典処理部5004は、商品登録された商品のうち、登録クーポン情報部5032に登録された登録クーポンの対象商品について、値引き処理を実行する。より詳細には、特典処理部5004は、クーポン対象商品について、商品マスタ512から価格を読み出すとともに、登録クーポン情報部5032から値引き額を読み出す。そして、特典処理部5004は、読み出した価格から値引き額を差し引くことによって値引き処理を実行する。
【0069】
会計処理部5005は、取引に係る会計処理を実行する。例えば、会計処理部5005は、入力部5002に入力された商品情報と送受信部5001が受信した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する。具体的には、会計処理部5005は、商品情報部5031に記憶された情報、および登録クーポン情報に応じて値引処理された結果に基づいて一取引の取引金額、顧客に付与するポイント等を算出する。
【0070】
そして、会計処理部5005は、算出した取引金額の支払を完了させるための決済処理を実行する。オペレータによって現金による支払が選択された場合、会計処理部5005は、釣銭機57に投入された金額から取引金額を差し引いて釣銭を算出し、算出した釣銭を釣銭機57から払い出させる。また、オペレータによってクレジットカードによる支払等のキャッシュレス決済による支払が選択された場合、会計処理部5005は、送受信部5001を介して図示しない決済サーバと通信して決済を完了させる。会計処理部5005は、決済処理が完了すると、プリンタ55にレシートを印字させる。
【0071】
表示制御部5006は、表示部52を制御して当該表示部52に各種情報を表示させる。例えば、表示制御部5006は、商品登録された商品の商品情報、取引金額、各種操作画面などを表示部52に表示させる。また、表示部52は、オペレータが未使用確認入力を行うための確認画面を表示部52に表示させる。上記確認画面は、登録クーポン情報の対象商品が商品登録されていない場合に当該クーポン対象商品を追加購入するか否か、すなわち当該登録クーポン情報が示すクーポンを使用するか否か、を選択するための操作画面である。
【0072】
次に、上記構成のクーポンシステム10の動作の概略について説明する。
図10は、顧客が事前登録したクーポンを使用した取引におけるクーポンシステム10の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【0073】
顧客は、ユーザ端末2によって事前登録するクーポンを選択する。ユーザ端末2には、選択された1または複数のクーポンのクーポンIDが入力される(ステップS1)。ユーザ端末2は、顧客の会員IDと入力されたクーポンIDとを対応付けた、使用クーポン事前登録要求をクーポンサーバ4の送信する(ステップS2)。
【0074】
クーポンサーバ4は、使用クーポン事前登録要求に含まれる会員IDとクーポンIDとがクーポン管理ファイル41において対応付けられているか否かチェックし、対応付けられていれば使用クーポン事前登録を行う(ステップS3)。具体的には、クーポンサーバ4は、使用クーポン事前登録要求に含まれる会員ID、クーポンID、および使用日を示す情報を登録クーポンファイル42に登録する。
【0075】
このとき、クーポンサーバ4は、使用可能なクーポン、すなわちクーポン管理ファイル41において使用フラグに「未」が登録されているクーポン情報について登録クーポンファイル42に登録する。これにより、顧客が1取引において使用するクーポンの事前登録が完了する。なお、使用クーポン事前登録要求に含まれる会員IDとクーポンIDとがクーポン管理ファイル41において対応付けられていない場合、クーポンサーバ4はユーザ端末2にエラー情報を送信する。
【0076】
会計のために顧客が購入する商品をレジカウンタに持ち込むと、POS端末5にはオペレータの操作によって取引開始入力がなされる(ステップS4)。次いで、POS端末5には、ユーザ端末2に表示されたバーコードからスキャナ54が読取った会員IDが入力される(ステップS5)。なお、会員IDの入力は、取引開始入力から会計処理における決済処理の開始がなされるまでの間であれば可能である。POS端末5は、入力された会員IDを含むクーポン問合せをクーポンサーバ4に送信する(ステップS6)。
【0077】
クーポンサーバ4は、事前登録されたクーポンを抽出する(ステップS7)。具体的には、クーポンサーバ4は、受信したクーポン問合せに含まれる会員IDに対応するクーポンIDを登録クーポンファイル42から抽出する。クーポンサーバ4は、クーポン管理ファイル41を更新する(ステップS8)。具体的には、クーポンサーバ4は、抽出したクーポンIDに対応する使用フラグを「済」に書き換える。
【0078】
クーポンサーバ4は、クーポン問合せの送信元であるPOS端末5に対して、登録クーポン情報を送信する(ステップS9)。より詳細には、クーポンサーバ4は、登録クーポンファイル42から抽出したクーポンIDに対応するクーポン内容をクーポン管理ファイル41から読み出す。そして、クーポンID、使用日、およびクーポン内容を含む登録クーポン情報をPOS端末5に送信する。POS端末5は、受信した登録クーポン情報を記憶する。
【0079】
POS端末5は、顧客が購入する商品の商品登録を実行する(ステップS10)。顧客が購入する全ての商品の商品登録が完了すると、POS端末5には会計指示入力が入力される(ステップS11)。POS端末5は、商品登録された商品のうち、登録クーポン情報の対象商品について、特典処理として値引き処理を実行する(ステップS12)。続いて、POS端末5は、商品登録された商品情報および値引き処理の結果に基づいて会計処理を実行する(ステップS13)。
【0080】
POS端末5は、会計処理にて算出されたポイントと顧客の会員IDとを対応付けたポイント情報をポイントサーバ3に送信する(ステップS14)。ポイントサーバ3は、受信したポイント情報に基づいて、ポイント管理ファイル31を更新する(ステップS15)。
【0081】
なお、取引において、事前登録されたクーポンのいずれかが使用されなかった場合、POS端末5は、使用されなかったクーポンのクーポンIDと会員IDとを対応付けた未使用クーポン通知をクーポンサーバ4に送信する(ステップS16)。
【0082】
クーポンサーバ4は、受信した未使用クーポン通知に基づいて、クーポン管理ファイル41を更新する。具体的には、クーポンサーバ4は、クーポン管理ファイル41において、未使用クーポン通知に含まれる会員IDとクーポンIDとで特定されるクーポン情報の使用フラグを「未」に書き換える。これにより、顧客は、使用しなかったクーポンを後に使用することが可能となる。
【0083】
以上の動作により、顧客は、1取引で使用するクーポンを事前に登録し、会計時には会員IDを示すだけでクーポンによる特典を得ることができる。
【0084】
次に、POS端末5が実行する精算処理について説明する。
図11は、POS端末5の制御部50による精算処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
まず、入力部5002に取引開始入力がなされる(ステップS21)。次いで、制御部50は、入力部5002に会員IDが入力されたか否か判断する(ステップS22)。言い換えれば、制御部50は、顧客が店舗会員であるか否か判断する。会員IDが入力されると(ステップS22のY)、送受信部5001は、クーポン問合せをクーポンサーバ4に送信する(ステップS23)。
【0086】
次いで、送受信部5001は、クーポン問合せに対する応答として、クーポンサーバ4から登録クーポン情報を受信する(ステップS24)。入力部5002に入力された会員IDの顧客が事前登録していない場合、送受信部5001は、クーポン問合せに対する応答として、事前登録がないことを示す情報を受信する。登録部5003は、送受信部5001が受信した登録クーポン情報を登録クーポン情報部5032に記憶する(ステップS25)。
【0087】
次いで、制御部50は、入力部5002に商品コードが入力されたか否か判断し(ステップS26)、入力されていなければ(ステップS26のN)、ステップS26の処理に戻って待機する。入力部5002に商品コードが入力されると(ステップS26のY)、登録部5003は、商品登録を実行する(ステップS27)。具体的には、登録部5003は、入力部5002に入力された商品コードに対応する商品情報を商品マスタ512から読み出して、商品情報部5031に記憶する。
【0088】
続いて、制御部50は、入力部5002に会計指示入力がなされたか否か判断し(ステップS28)、入力されなければ(ステップS28のN)、ステップS26の処理に戻る。そして、制御部50は、次の商品コードが入力されるまで待機する。入力部5002に会計指示入力がなされると(ステップS28のY)、特典処理部5004は、商品登録された商品と、登録クーポン情報の対象商品とを照合する(ステップS29)。特典処理部5004は、照合の結果、商品登録された商品のうち、登録クーポン情報の対象商品について値引き処理を実行する(ステップS30)。
【0089】
制御部50は、特典処理部5004による照合の結果、クーポン対象製品が商品登録されていない登録クーポン情報があるか否か、すなわち送受信部5001が受信した登録クーポン情報に係るクーポンのうち未使用クーポンがあるか否か判断する(ステップS31)。未使用クーポンがある場合(ステップS31のY)、表示制御部5006は、オペレータが未使用確認入力を行うための確認画面を表示部52に表示させる(ステップS32)。
【0090】
制御部50は、未使用確認入力がなされたか否か判断する(ステップS33)。言い換えれば、制御部50は、確認画面において、未使用のクーポンの対象商品を追加購入しない旨の情報が入力されたか否か判断する。クーポンを使用する旨の情報が入力されると(ステップS33のN)、制御部50は、ステップS26の処理に戻って商品コードの入力を待つ。
【0091】
未使用確認入力がなされると(ステップS33のY)、送受信部5001は、未使用クーポンのクーポン情報をクーポンサーバ4に送信する(ステップS34)。次いで、会計処理部5005は、会計処理を実行する(ステップS35)。送受信部5001は、会計処理にて算出されたポイントと入力部5002に入力された会員IDとを対応付けたポイント情報をポイントサーバ3に送信する(ステップS36)。
【0092】
次いで、登録部5003は、商品情報部5031および登録クーポン情報部5032に記憶されている情報をクリアする(ステップS37)。そして、制御部50は、精算処理を終了する。
【0093】
なお、ステップS22の処理において、入力部5002に会員IDが入力されない場合(ステップS22のN)、制御部50は、ステップS23~ステップS25の処理をスキップしてステップS26の処理に移行する。顧客が店舗会員でないと判断される場合、クーポンの事前登録は行われていないので、制御部50は、登録クーポン情報の問合せに係る処理をスキップする。
【0094】
また、ステップS31の処理において、未使用クーポンがない場合(ステップS31のN)、制御部50は、ステップS32~ステップS34の処理をスキップしてステップS35の処理に移行する。顧客が1取引において事前登録したクーポンを全て使用した場合、制御部50は、未使用クーポンのクーポンサーバ4への送信に係る処理をスキップする。
【0095】
上記精算処理により、POS端末5は、顧客がクーポンを使用した際の会計を効率的に行うことができる。また、POS端末5は、事前登録されたクーポンが使用されなかった場合、クーポンサーバ4に未使用のクーポンに係る情報を提供する。これにより、クーポンサーバ4は、取引において使用するものとして事前登録されたクーポンのうち、使用されなかったクーポンを使用可能なものとして管理することができる。
【0096】
以上説明したとおり、実施形態のPOS端末5は、顧客を識別する会員IDが入力される入力部5002と、入力部5002に入力された会員IDで識別される顧客によって事前に登録されたクーポンを示す登録クーポン情報を取得する送受信部5001と、顧客が購入する商品の商品情報を取得する商品情報取得部(入力部5002)と、入力部5002が取得した商品情報と送受信部5001が取得した登録クーポン情報とに基づいて会計処理を実行する会計処理部5005と、を備える。
【0097】
これにより、POS端末5は、入力された会員IDに基づいて顧客が使用する複数のクーポンのクーポン情報を取得することができる。このため、POS端末5は、1取引において顧客が複数のクーポンを使用する場合でも、会員IDを読取るだけで当該複数のクーポンに係る値引き処理を行うことができる。結果として、POS端末5は、1取引の会計に要する時間を短縮することができるとともに、オペレータの操作性を向上させることができる。
【0098】
また、実施形態のPOS端末5において、送受信部5001は、会員IDと登録クーポン情報とを対応付けて記憶するクーポンサーバ4から、入力部5002に入力された会員ID顧客識別情報に対応する登録クーポン情報を受信する。
【0099】
これにより、POS端末5は、クーポンを管理するために従来からデータの送受信を行っているクーポンサーバ4から登録クーポン情報を取得することができ、通信対象を増やす必要がない。このため、POS端末5が登録クーポン情報を取得するためのシステム構成を簡素化することが可能となる。
【0100】
さらに、実施形態のPOS端末5は、入力部5002に入力された商品コードに係る商品が、送受信部5001によって受信された登録クーポン情報の対象商品であることを条件として、当該登録クーポン情報に基づく特典処理を実行する特典処理部5004をさらに備え、会計処理部5005は、特典処理部5004による特典処理に基づいて会計処理を実行する。
【0101】
これにより、POS端末5は、事前登録されたクーポンについて確実に特典処理を実行することができる。このため、POS端末5は、クーポンを使用した取引について正確な会計処理を行うことができる。
【0102】
加えて、実施形態のPOS端末5は、入力部5002に入力された商品コードに係る商品が、送受信部5001によって受信された登録クーポン情報の対象商品でない場合、当該登録クーポン情報をクーポンサーバ4に出力する出力部(送受信部5001)をさらに備える。
【0103】
これにより、POS端末5は、事前登録されたクーポンのうち、取引で使用されなかったクーポンをクーポンサーバ4に通知することができる。このため、クーポンサーバ4は、事前登録されたものの取引では使用されなかったクーポンを未使用のクーポンとして管理することができる。
【0104】
また、実施形態のPOS端末5において、出力部(送受信部5001)は、送受信部5001によって受信された登録クーポン情報に係るクーポンを使用しないことを示す未使用確認入力が入力されたことを条件として、前記登録クーポン情報を出力する。
【0105】
これにより、POS端末5は、顧客が事前登録されたクーポンを使用しないことを確認できない場合にはクーポンサーバ4に登録クーポン情報を出力しない。このため、POS端末5は、顧客が登録クーポン情報の対象商品を追加購入した際に、クーポンサーバ4に送信した登録クーポン情報の取消が生じることがない。
【0106】
さらに、本実施形態のPOS端末5において、入力部5002は、会計処理部5005による決済処理の開始がなされた後は会員IDの入力を受付けない。
【0107】
これにより、POS端末5は、決済処理の開始後はクーポンの使用を受付けないようにすることができる。このため、POS端末5は、決済処理のやり直しが生じることを抑制することができる。
【0108】
なお、上記実施形態において、POS端末5で実行される制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、POS端末5で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0109】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
5 POS端末(会計装置)
5001 送受信部(クーポン情報取得部、出力部)
5002 入力部(商品情報取得部)
5004 特典処理部
5005 会計処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】