(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031011
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240229BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240229BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L29/78 301B
H01L29/78 652K
H01L29/78 652T
H01L29/78 652E
H01L29/78 301X
H01L29/78 301Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134285
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 昌芳
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140BA02
5F140BA16
5F140BA20
5F140BB05
5F140BC12
5F140BC15
5F140BE07
5F140BE17
5F140BF01
5F140BF04
5F140BG28
5F140BH06
5F140BJ01
5F140BJ08
5F140BK13
5F140BK21
5F140BK29
5F140CC10
5F140CC16
(57)【要約】
【課題】チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置は、第1面と、前記第1面と反対の第2面とを有するフィン状の突起を有する炭化珪素基板と、前記第1面及び前記第2面の上に設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられるゲート電極と、を有し、前記第1面及び前記第2面の面方位が{0-33-8}面である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対の第2面とを有するフィン状の突起を有する炭化珪素基板と、
前記第1面及び前記第2面の上に設けられるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられるゲート電極と、
を有し、
前記第1面及び前記第2面の面方位が{0-33-8}面である、
炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記突起は、前記第1面及び前記第2面と連なる第3面を更に有し、
前記第3面の上には、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極がこの順に設けられ、
前記第3面の面方位が{0001}面である、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記突起は、第1方向に沿って延在し、
前記第1方向と直交する断面において、前記ゲート電極の下面位置での前記突起の幅が55nm以下である、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記突起は、第1方向に沿って延在し、
前記突起は、前記第1方向において前記ゲート電極を挟んで設けられる第1半導体領域及び第2半導体領域を有し、
前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域は、第1導電型を有し、
前記第1半導体領域とオーミック接合するソース電極と、
前記第2半導体領域とオーミック接合するドレイン電極と、
を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記突起は、第1方向に沿って延在し、
前記突起は、前記第1方向において前記ゲート電極を挟んで設けられる第1半導体領域及び第2半導体領域を有し、
前記炭化珪素基板は、前記突起が設けられる第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有し、
前記炭化珪素基板は、前記第2半導体領域に隣接して設けられ、かつ前記第2主面に露出する第3半導体領域を有し、
前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、第1導電型を有し、
前記第1半導体領域とオーミック接合するソース電極と、
前記第3半導体領域と前記第2主面においてオーミック接合するドレイン電極と、
を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素半導体装置の一つとして、炭化珪素基板の一方の面にソース電極及びドレイン電極が形成された、いわゆる横型のトランジスタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炭化珪素半導体装置では、移動度の低い結晶面が利用されているため、チャネル移動度が低い。
【0005】
本開示は、チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炭化珪素半導体装置は、第1面と、前記第1面と反対の第2面とを有するフィン状の突起を有する炭化珪素基板と、前記第1面及び前記第2面の上に設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられるゲート電極と、を有し、前記第1面及び前記第2面の面方位が{0-33-8}面である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す第1断面の断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す第2断面の断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置が有する突起の第1例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置が有する突起の第2例を示す概略図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その1)である。
【
図6B】
図6Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その1)である。
【
図7A】
図7Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その2)である。
【
図7B】
図7Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その2)である。
【
図8A】
図8Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その3)である。
【
図8B】
図8Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その3)である。
【
図9A】
図9Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その4)である。
【
図9B】
図9Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その4)である。
【
図10A】
図10Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その5)である。
【
図10B】
図10Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その5)である。
【
図11A】
図11Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その6)である。
【
図11B】
図11Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その6)である。
【
図12A】
図12Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その7)である。
【
図12B】
図12Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その7)である。
【
図13A】
図13Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その8)である。
【
図13B】
図13Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その8)である。
【
図14A】
図14Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その9)である。
【
図14B】
図14Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その9)である。
【
図15A】
図15Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第1断面の断面図(その10)である。
【
図15B】
図15Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第2断面の断面図(その10)である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す第3断面の断面図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す第4断面の断面図である。
【
図19A】
図19Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その1)である。
【
図19B】
図19Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その1)である。
【
図20A】
図20Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その2)である。
【
図20B】
図20Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その2)である。
【
図21A】
図21Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その3)である。
【
図21B】
図21Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その3)である。
【
図22A】
図22Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その4)である。
【
図22B】
図22Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その4)である。
【
図23A】
図23Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その5)である。
【
図23B】
図23Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その5)である。
【
図24A】
図24Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その6)である。
【
図24B】
図24Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その6)である。
【
図25A】
図25Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その7)である。
【
図25B】
図25Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その7)である。
【
図26A】
図26Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その8)である。
【
図26B】
図26Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その8)である。
【
図27A】
図27Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その9)である。
【
図27B】
図27Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その9)である。
【
図28A】
図28Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その10)である。
【
図28B】
図28Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その10)である。
【
図29A】
図29Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その11)である。
【
図29B】
図29Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その11)である。
【
図30A】
図30Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その12)である。
【
図30B】
図30Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その12)である。
【
図31A】
図31Aは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第3断面の断面図(その13)である。
【
図31B】
図31Bは、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す第4断面の断面図(その13)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第1面と、前記第1面と反対の第2面とを有するフィン状の突起を有する炭化珪素基板と、前記第1面及び前記第2面の上に設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられるゲート電極と、を有し、前記第1面及び前記第2面の面方位が{0-33-8}面である。この場合、高い移動度を持つ{0-33-8}面をチャネルに利用できるため、チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置が得られる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記突起は、前記第1面及び前記第2面と連なる第3面を更に有し、前記第3面の上には、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極がこの順に設けられ、前記第3面の面方位が{0001}面であってもよい。この場合、3つの面をチャネルに利用できるため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0013】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記突起は、第1方向に沿って延在し、前記第1方向と直交する断面において、前記ゲート電極の下面位置での前記突起の幅が55nm以下であってもよい。この場合、突起の全体にチャネルが形成されやいため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記突起は、第1方向に沿って延在し、前記突起は、前記第1方向において前記ゲート電極を挟んで設けられる第1半導体領域及び第2半導体領域を有し、前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域は、第1導電型を有し、前記第1半導体領域とオーミック接合するソース電極と、前記第2半導体領域とオーミック接合するドレイン電極と、を有していてもよい。この場合、チャネル移動度に優れた横型の炭化珪素半導体装置が得られる。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記突起は、第1方向に沿って延在し、前記突起は、前記第1方向において前記ゲート電極を挟んで設けられる第1半導体領域及び第2半導体領域を有し、前記炭化珪素基板は、前記突起が設けられる第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有し、前記炭化珪素基板は、前記第2半導体領域に隣接して設けられ、かつ前記第2主面に露出する第3半導体領域を有し、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、第1導電型を有し、前記第1半導体領域とオーミック接合するソース電極と、前記第3半導体領域と前記第2主面においてオーミック接合するドレイン電極と、を有していてもよい。この場合、チャネル移動度に優れた縦型の炭化珪素半導体装置が得られる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0017】
〔第1実施形態〕
第1実施形態は、いわゆる横型のMOSFET(炭化珪素半導体装置)に関する。
【0018】
(炭化珪素半導体装置)
第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aを示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aを示す第1断面の断面図である。第1断面は、
図1中のI-I線で切断した断面に相当する。
図3は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aを示す第2断面の断面図である。第2断面は、
図1中のII-II線で切断した断面に相当する。
【0019】
図1から
図3に示されるように、炭化珪素半導体装置1Aは、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、ソース電極60と、ドレイン電極70と、パッシベーション膜90とを主に有する。
図1においては、層間絶縁膜83、ソース電極60、ドレイン電極70、パッシベーション膜90等の図示を省略する。
【0020】
炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板20と、突起30とを含む。
【0021】
炭化珪素単結晶基板20は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成される。炭化珪素単結晶基板20は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。炭化珪素単結晶基板20は、第1主面20aと、第1主面20aと反対の第2主面20bとを有する。第1主面20aは、{0001}面であってよい。
【0022】
突起30は、第1主面20a上に設けられる。突起30は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成される。突起30は、例えばアルミニウム(Al)等のp型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成される。突起30は、第1主面20aと平行な第1方向に沿って延在する。
【0023】
突起30は、第1側面30aと、第1側面30aと反対の第2側面30bと、第1側面30a及び第2側面30bと連なる上面30cとにより規定されるフィン状を有する。第1側面30a及び第2側面30bは、{0-33-8}面を有する。この場合、高い移動度を持つ{0-33-8}面をチャネルに利用できるため、チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置1Aが得られる。第1側面30aは、第1主面20aに対して角度θ1だけ傾斜した面である。角度θ1は、例えば54.7°±3°であってよい。第2側面30bは、第1主面20aに対して角度θ2だけ傾斜した面である。角度θ2は、例えば54.7°±3°であってよい。上面30cは、例えば第1主面20aと平行な平面である。上面30cは、{0001}面であってよい。この場合、3つの面をチャネルに利用できるため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0024】
第1方向と直交する断面において、ゲート電極82の下面位置での突起30の幅W1は55nm以下であってよい。この場合、突起30の全体にチャネルが形成されやいため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0025】
突起30は、ボディ領域31と、ソース領域32と、ドレイン領域33とを有する。
【0026】
ボディ領域31は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0027】
ソース領域32は、第1方向においてボディ領域31の隣に設けられる。ソース領域32は、ボディ領域31に接する。ソース領域32は、例えば窒素又はリン(P)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。
【0028】
ドレイン領域33は、第1方向においてボディ領域31の隣に設けられる。ドレイン領域33は、ボディ領域31に接する。ドレイン領域33は、第1方向において、ボディ領域31によってソース領域32から隔てられるように設けられる。第1主面20aに垂直な方向から平面視したときに、ドレイン領域33とソース領域32とは、第1方向においてゲート電極82を挟んで設けられる。ドレイン領域33は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドレイン領域33のn型不純物の実効濃度は、ソース領域32のn型不純物の実効濃度と同じ又はほぼ同じであってよい。
【0029】
ゲート絶縁膜81は、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cの上に設けられる。ゲート絶縁膜81は、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31に接する。ゲート絶縁膜81は、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20と接していてもよい。ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成される。
【0030】
ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に設けられる。ゲート電極82は、例えば第1主面20aと平行でありかつ第1方向と直交する第2方向に沿って延在する。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコンから構成される。
【0031】
層間絶縁膜83は、ゲート電極82に接して設けられる。層間絶縁膜83は、ゲート電極82とソース電極60及びドレイン電極70とを電気的に絶縁する。層間絶縁膜83の一部は、ソース領域32及びドレイン領域33に接していてもよい。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成される。
【0032】
ソース電極60は、ソース領域32の上に設けられる。ソース電極60は、コンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。コンタクト電極61は、ソース領域32に接する。コンタクト電極61は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)を含む材料から構成される。コンタクト電極61は、チタン(Ti)と、アルミニウムと、シリコン(Si)とを含む材料から構成されてもよい。コンタクト電極61は、ソース領域32とオーミック接合する。ソース配線62は、コンタクト電極61の上に設けられる。ソース配線62は、コンタクト電極61及び層間絶縁膜83に接する。ソース配線62は、例えばアルミニウムを含む材料から構成される。
【0033】
ドレイン電極70は、ドレイン領域33の上に設けられる。ドレイン電極70は、コンタクト電極71と、ドレイン配線72とを有する。コンタクト電極71は、ドレイン領域33に接する。コンタクト電極71は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成される。コンタクト電極71は、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されてもよい。コンタクト電極71は、ドレイン領域33とオーミック接合する。ドレイン配線72は、コンタクト電極71の上に設けられる。ドレイン配線72は、コンタクト電極71及び層間絶縁膜83に接する。ドレイン配線72は、例えばアルミニウムを含む材料から構成される。
【0034】
パッシベーション膜90は、ソース配線62、ドレイン配線72及び層間絶縁膜83の上に設けられる。パッシベーション膜90は、ソース配線62、ドレイン配線72及び層間絶縁膜83に接する。パッシベーション膜90は、例えばポリイミドを含む材料から構成される。
【0035】
以上に説明した第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aによれば、第1側面30aと第2側面30bとを有するフィン状の突起30を有する炭化珪素基板10を有し、第1側面30a及び第2側面30bの面方位が{0-33-8}面である。この場合、高い移動度を持つ{0-33-8}面をチャネルに利用できるため、チャネル移動度に優れた横型の炭化珪素半導体装置1Aが得られる。
【0036】
また、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aは、バルク型の電界効果トランジスタを有するので、炭化珪素単結晶基板20にバイアスを印加できる。これにより、FinFET(Fin Field Effect Transistor)において生じうる閾値変動に容易に対応できる。
【0037】
(突起の配置)
第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aが有する突起30の配置について説明する。
【0038】
図4は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aが有する突起30の第1例を示す概略図である。
図4は、第1主面20aに垂直な方向から突起30を平面視した図である。
図4に示される例では、1つの突起30が第1方向に沿って延在する。突起30は、第1方向において間隔をあけて設けられるソース配線62、ゲート電極82及びドレイン配線72に覆われる。ソース配線62及びドレイン配線72は、第1方向においてゲート電極82を挟んで設けられる。
【0039】
図5は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Aが有する突起30の第2例を示す概略図である。
図5は、第1主面20aに垂直な方向から突起30を平面視した図である。
図5に示される例では、3つの突起30が並列に設けられる。具体的には、第1主面20aに垂直な方向から平面視したときに、3つの突起30が第1方向に垂直な第2方向に一定の間隔で設けられる。各突起30は、第1方向に沿って延在する。各突起30は、第1方向において間隔を開けて設けられるソース配線62、ゲート電極82及びドレイン配線72に覆われる。ソース配線62及びドレイン配線72は、第1方向においてゲート電極82を挟んで設けられる。3つの突起30が並列に設けられる場合、ドレイン出力を増やすことができる。
【0040】
図4では突起30が1つである場合を示し、
図5では突起30が3つである場合を示したが、突起30の数は限定されない。例えば、突起30は2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0041】
【0042】
まず、
図6A及び
図6Bに示されるように、炭化珪素単結晶基板20を準備する。炭化珪素単結晶基板20は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。炭化珪素単結晶基板20は、第1主面20aと、第1主面20aと反対の第2主面20bとを有する。
【0043】
次に、
図7A及び
図7Bに示されるように、第1主面20a上に炭化珪素エピタキシャル層30Xを形成する。炭化珪素エピタキシャル層30Xは、例えばアルミニウム等のp型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。
【0044】
次に、
図8A及び
図8Bに示されるように、第1方向に沿って延在し、第1側面30aと第2側面30bと上面30cとを有するフィン状を有する突起30を形成する。突起30は、次のようにして形成できる。
【0045】
まず、突起30を形成しない領域上に開口を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、マスクを用いて、炭化珪素エピタキシャル層30Xをエッチングにより除去する。エッチングにより、突起30を形成する領域上に、第1主面20aに対してほぼ垂直な側部と、側部と連続的に設けられかつ第1主面20aとほぼ平行な上部とを有する凸部が形成される。
【0046】
次に、凸部において熱エッチングを行う。熱エッチングは、マスクが形成された状態で、例えば少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応性ガスを含む雰囲気での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子及びフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、例えば塩素(Cl2)、三塩化ホウ素(BCl3)、六フッ化硫黄(SF6)又は四フッ化炭素(CF4)を含む。例えば、塩素ガスと酸素(O2)ガスとの混合ガスを反応性ガスとして用い、熱処理温度を800℃以上900℃以下として、熱エッチングが行われる。反応性ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、例えば窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)ガス又はヘリウム(He)ガス等を利用できる。
【0047】
上記の熱エッチングにより、第1主面20a上に突起30が形成される。突起30は、第1側面30aと、第2側面30bと、上面30cとを有する。第1側面30a及び第2側面30bは、{0-33-8}面を有する。上面30cは、{0001}面を有する。熱エッチングの後、マスクを除去する。このようにして、炭化珪素単結晶基板20と突起30とを有する炭化珪素基板10が得られる。
【0048】
次に、
図9A及び
図9Bに示されるように、突起30にソース領域32及びドレイン領域33を形成するためのイオン注入を行う。イオン注入においては、例えば窒素又はリン等のn型不純物を注入する。これにより、突起30にソース領域32及びドレイン領域33が形成される。突起30のうち、不純物イオンの注入が行われていない部分からボディ領域31が構成される。次に、突起30に注入された不純物イオンを活性化するために活性化アニールを行う。活性化アニールの雰囲気は、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、例えばアルゴン(Ar)雰囲気である。
【0049】
次に、
図10A及び
図10Bに示されるように、ゲート絶縁膜81を形成する。例えば、炭化珪素基板10を熱酸化することにより、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31と接し、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20に接するゲート絶縁膜81を形成する。具体的には、炭化珪素基板10を、酸素を含む雰囲気において、例えば1300℃以上1400℃以下の温度で加熱する。これにより、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31と接し、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20に接するゲート絶縁膜81が形成される。なお、ゲート絶縁膜81が熱酸化により形成される場合、厳密には、炭化珪素基板10の一部がゲート絶縁膜81に取り込まれる。このため、以降の処理では、熱酸化した後のゲート絶縁膜81と炭化珪素基板10との間の界面に第1側面30a、第2側面30b、上面30c及び第1主面20aが若干移動したものとする。
【0050】
次に、一酸化窒素(NO)ガス雰囲気において炭化珪素基板10に対して熱処理(NOアニール)を行ってもよい。NOアニールにおいて、炭化珪素基板10が、例えば1100℃以上1400℃以下の条件下で保持される。これにより、ゲート絶縁膜81とボディ領域31との界面領域に窒素原子が導入される。その結果、界面領域における界面順位の形成が抑制されることで、チャネル移動度が向上する。
【0051】
次に、
図11A及び
図11Bに示されるように、ゲート電極82を形成する。ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に形成される。ゲート電極82は、例えば減圧CVD(low pressure-chemical vapor deposition:LP-CVD)法により形成される。ゲート電極82は、ボディ領域31と対面するように設けられる。
【0052】
次に、
図12A及び
図12Bに示されるように、層間絶縁膜83を形成する。具体的には、ゲート電極82を覆い、かつソース領域32及びドレイン領域33に接するように層間絶縁膜83が形成される。層間絶縁膜83は、例えばCVD法により形成される。
【0053】
次に、
図13A及び
図13Bに示されるように、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてソース領域32及びドレイン領域33に接するコンタクト電極61,71用の金属膜(図示せず)を形成する。コンタクト電極61,71用の金属膜は、例えばスパッタリング法により形成される。次に、合金化アニールを行う。コンタクト電極61,71用の金属膜が、例えば900℃以上1100℃以下の温度で保持される。これにより、コンタクト電極61,71用の金属膜の少なくとも一部が、炭化珪素基板10が含む珪素と反応してシリサイド化する。これにより、ソース領域32及びドレイン領域33とオーミック接合するコンタクト電極61,71が形成される。
【0054】
次に、
図14A及び
図14Bに示されるように、ソース配線62及びドレイン配線72を形成する。具体的には、コンタクト電極61を覆うソース配線62と、コンタクト電極71を覆うドレイン配線72とが形成される。ソース配線62及びドレイン配線72は、例えばスパッタリング法により形成される。このようにして、コンタクト電極61とソース配線62とを有するソース電極60と、コンタクト電極71とドレイン配線72とを有するドレイン電極70とが形成される。
【0055】
次に、
図15A及び
図15Bに示されるように、パッシベーション膜90を形成する。具体的には、ソース配線62、ドレイン配線72及び層間絶縁膜83を覆うパッシベーション膜90を形成する。パッシベーション膜90は、例えば塗布法により形成される。
【0056】
このようにして、電界効果トランジスタを含む炭化珪素半導体装置1Aを製造できる。
【0057】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、いわゆる縦型のMOSFET(炭化珪素半導体装置)に関する。
【0058】
(炭化珪素半導体装置)
第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Bについて説明する。
図16は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Bを示す斜視図である。
図17は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Bを示す第3断面の断面図である。第3断面は、
図16中のIII-III線で切断した断面に相当する。
図18は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Bを示す第4断面の断面図である。第4断面は、
図16中のIV-IV線で切断した断面に相当する。
【0059】
図16から
図18に示されるように、炭化珪素半導体装置1Bは、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、ソース電極60と、ドレイン電極70と、パッシベーション膜90とを主に有する。
図16においては、層間絶縁膜83、ソース電極60、パッシベーション膜90等の図示を省略する。
【0060】
炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板20と、突起30とを含む。
【0061】
炭化珪素単結晶基板20は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成される。炭化珪素単結晶基板20は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。炭化珪素単結晶基板20は、第1主面20aと、第1主面20aと反対の第2主面20bとを有する。第1主面20aは、{0001}面であってよい。
【0062】
突起30は、第1主面20a上に設けられる。突起30は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成される。突起30は、例えばアルミニウム等のp型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成される。突起30は、第1主面20aと平行な第1方向に沿って延在する。
【0063】
突起30は、第1側面30aと、第1側面30aと反対の第2側面30bと、第1側面30a及び第2側面30bと連なる上面30cとにより規定されるフィン状を有する。第1側面30a及び第2側面30bは、{0-33-8}面を有する。この場合、高い移動度を持つ{0-33-8}面をチャネルに利用できるため、チャネル移動度に優れた炭化珪素半導体装置1Aが得られる。第1側面30aは、第1主面20aに対して角度θ1だけ傾斜した面である。角度θ1は、例えば54.7°±3°であってよい。第2側面30bは、第1主面20aに対して角度θ2だけ傾斜した面である。角度θ2は、例えば54.7°±3°であってよい。上面30cは、例えば第1主面20aと平行な平面である。上面30cは、{0001}面であってよい。この場合、3つの面をチャネルに利用できるため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0064】
第1方向と直交する断面において、ゲート電極82の下面位置での突起30の幅W1は55nm以下であってよい。この場合、突起30の全体にチャネルが形成されやいため、より優れたチャネル移動度が得られる。
【0065】
突起30は、ボディ領域31と、ソース領域32と、第1接続領域34と、第2接続領域35とを有する。
【0066】
ボディ領域31は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。ボディ領域31は、第1領域31Aと、第2領域31Bとを有する。第1領域31Aは、炭化珪素単結晶基板20の上に設けられる。第1領域31Aは、第1主面20aに接する。第2領域31Bは、第1領域31Aの上に設けられる。第2領域31Bは、第1領域31A、ソース領域32、第2接続領域35及びゲート絶縁膜81に接する。
【0067】
ソース領域32は、第1領域31Aの上に設けられる。ソース領域32は、第1方向において第2領域31Bの隣に設けられる。ソース領域32は、第2領域31Bに接する。ソース領域32は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。
【0068】
第1接続領域34は、炭化珪素単結晶基板20の上に設けられる。第1接続領域34は、第1主面20aに接する。第1接続領域34は、第1方向において第1領域31Aの隣に設けられる。第1接続領域34は、第1領域31Aに接する。第1主面20aに垂直な方向から平面視したときに、第1接続領域34とソース領域32とは、第1方向においてゲート電極82を挟んで設けられる。第1接続領域34は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。
【0069】
第2接続領域35は、第1接続領域34の上に設けられる。第2接続領域35は、第1方向において第2領域31Bの隣に設けられる。第2接続領域35は、第2領域31Bに接する。第2接続領域35は、第1方向において、第2領域31Bによってソース領域32から隔てられるように設けられる。第1主面20aに垂直な方向から平面視したときに、第2接続領域35とソース領域32とは、第1方向においてゲート電極82を挟んで設けられる。第2接続領域35は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。第2接続領域35のn型不純物の実効濃度は、ソース領域32のn型不純物の実効濃度と同じ又はほぼ同じであってよい。第2接続領域35のn型不純物の実効濃度は、第1接続領域34のn型不純物の実効濃度よりも高くてよい。
【0070】
ゲート絶縁膜81は、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cの上に設けられる。ゲート絶縁膜81は、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31に接する。ゲート絶縁膜81は、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20と接していてもよい。ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成される。
【0071】
ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に設けられる。ゲート電極82は、例えば第1主面20aと平行でありかつ第1方向と直交する第2方向に沿って延在する。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコンから構成される。
【0072】
層間絶縁膜83は、ゲート電極82に接して設けられる。層間絶縁膜83は、ゲート電極82を覆う。層間絶縁膜83は、ゲート電極82とソース電極60とを電気的に絶縁する。層間絶縁膜83の一部は、ソース領域32及び第2接続領域35に接していてもよい。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成される。
【0073】
ソース電極60は、ソース領域32の上に設けられる。ソース電極60は、コンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。コンタクト電極61は、ソース領域32に接する。コンタクト電極61は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成される。コンタクト電極61は、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されてもよい。コンタクト電極61は、ソース領域32とオーミック接合する。ソース配線62は、コンタクト電極61の上に設けられる。ソース配線62は、コンタクト電極61及び層間絶縁膜83に接する。ソース配線62は、例えばアルミニウムを含む材料から構成される。
【0074】
ドレイン電極70は、第2主面20bに接する。ドレイン電極70は、第2主面20bにおいて炭化珪素単結晶基板20に接する。ドレイン電極70は、第1接続領域34と電気的に接続される。ドレイン電極70は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成されている。ドレイン電極70は、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。ドレイン電極70は、炭化珪素単結晶基板20とオーミック接合している。
【0075】
パッシベーション膜90は、ソース配線62及び層間絶縁膜83の上に設けられる。パッシベーション膜90は、ソース配線62及び層間絶縁膜83に接する。パッシベーション膜90は、例えばポリイミドを含む材料から構成される。
【0076】
以上に説明した第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置1Bによれば、第1側面30aと第2側面30bとを有するフィン状の突起30を有する炭化珪素基板10を有し、第1側面30a及び第2側面30bの面方位が{0-33-8}面である。この場合、高い移動度を持つ{0-33-8}面をチャネルに利用できるため、チャネル移動度に優れた縦型の炭化珪素半導体装置1Aが得られる。
【0077】
【0078】
まず、
図19A及び
図19Bに示されるように、炭化珪素単結晶基板20を準備する。炭化珪素単結晶基板20は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。炭化珪素単結晶基板20は、第1主面20aと、第1主面20aと反対の第2主面20bとを有する。
【0079】
次に、
図20A及び
図20Bに示されるように、第1主面20a上に第1炭化珪素エピタキシャル層30Yを形成する。第1炭化珪素エピタキシャル層30Yは、例えばアルミニウム等のp型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。
【0080】
次に、
図21A及び
図21Bに示されるように、第1炭化珪素エピタキシャル層30Yに第1接続領域34を形成するためのイオン注入を行う。イオン注入においては、例えば窒素又はリン等のn型不純物を注入する。
【0081】
次に、
図22A及び
図22Bに示されるように、第1炭化珪素エピタキシャル層30Y上に第2炭化珪素エピタキシャル層30Zを形成する。第2炭化珪素エピタキシャル層30Zは、例えばアルミニウム等のp型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。
【0082】
次に、
図23A及び
図23Bに示されるように、第1方向に沿って延在し、第1側面30aと第2側面30bと上面30cとを有するフィン状を有する突起30を形成する。突起30は、次のようにして形成できる。
【0083】
まず、突起30を形成しない領域上に開口を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、マスクを用いて、第1炭化珪素エピタキシャル層30Y及び第2炭化珪素エピタキシャル層30Zをエッチングにより除去する。エッチングにより、突起30を形成する領域上に、第1主面20aに対してほぼ垂直な側部と、側部と連続的に設けられかつ第1主面20aとほぼ平行な上部とを有する凸部が形成される。
【0084】
次に、凸部において熱エッチングを行う。熱エッチングは、マスクが形成された状態で、例えば少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応性ガスを含む雰囲気での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素原子及びフッ素原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、例えば塩素、三塩化ホウ素、六フッ化硫黄又は四フッ化炭素を含む。例えば、塩素ガスと酸素ガスとの混合ガスを反応性ガスとして用い、熱処理温度を800℃以上900℃以下として、熱エッチングが行われる。反応性ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス又はヘリウムガス等を利用できる。
【0085】
上記の熱エッチングにより、第1主面20a上に突起30が形成される。突起30は、第1側面30aと、第2側面30bと、上面30cとを有する。第1側面30a及び第2側面30bは、{0-33-8}面を有する。上面30cは、{0001}面を有する。熱エッチングの後、マスクを除去する。このようにして、炭化珪素単結晶基板20と突起30とを有する炭化珪素基板10が得られる。
【0086】
次に、
図24A及び
図24Bに示されるように、突起30にソース領域32及び第2接続領域35を形成するためのイオン注入を行う。イオン注入においては、例えば窒素又はリン等のn型不純物を注入する。これにより、突起30にソース領域32及び第2接続領域35が形成される。突起30のうち、不純物イオンの注入が行われていない部分からボディ領域31が構成される。ボディ領域31は、第1領域31Aと、第2領域31Bとを有する。次に、突起30に注入された不純物イオンを活性化するために活性化アニールを行う。活性化アニールの雰囲気は、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、例えばアルゴン雰囲気である。
【0087】
次に、
図25A及び
図25Bに示されるように、ゲート絶縁膜81を形成する。例えば、炭化珪素基板10を熱酸化することにより、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31と接し、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20に接するゲート絶縁膜81を形成する。具体的には、炭化珪素基板10を、酸素を含む雰囲気において、例えば1300℃以上1400℃以下の温度で加熱する。これにより、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてボディ領域31と接し、第1主面20aにおいて炭化珪素単結晶基板20に接するゲート絶縁膜81が形成される。なお、ゲート絶縁膜81が熱酸化により形成される場合、厳密には、炭化珪素基板10の一部がゲート絶縁膜81に取り込まれる。このため、以降の処理では、熱酸化した後のゲート絶縁膜81と炭化珪素基板10との間の界面に第1側面30a、第2側面30b、上面30c及び第1主面20aが若干移動したものとする。
【0088】
次に、一酸化窒素ガス雰囲気において炭化珪素基板10に対して熱処理(NOアニール)を行ってもよい。NOアニールにおいて、炭化珪素基板10が、例えば1100℃以上1400℃以下の条件下で保持される。これにより、ゲート絶縁膜81とボディ領域31との界面領域に窒素原子が導入される。その結果、界面領域における界面順位の形成が抑制されることで、チャネル移動度が向上する。
【0089】
次に、
図26A及び
図26Bに示されるように、ゲート電極82を形成する。ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に形成される。ゲート電極82は、例えば減圧CVD法により形成される。ゲート電極82は、ボディ領域31と対面するように設けられる。
【0090】
次に、
図27A及び
図27Bに示されるように、層間絶縁膜83を形成する。具体的には、ゲート電極82を覆うように層間絶縁膜83が形成される。層間絶縁膜83は、例えばCVD法により形成される。
【0091】
次に、
図28A及び
図28Bに示されるように、第1側面30a、第2側面30b及び上面30cにおいてソース領域32に接するコンタクト電極61用の金属膜(図示せず)を形成する。コンタクト電極61用の金属膜は、例えばスパッタリング法により形成される。次に、合金化アニールを行う。コンタクト電極61用の金属膜が、例えば900℃以上1100℃以下の温度で保持される。これにより、コンタクト電極61用の金属膜の少なくとも一部が、炭化珪素基板10が含む珪素と反応してシリサイド化する。これにより、ソース領域32とオーミック接合するコンタクト電極61が形成される。
【0092】
次に、
図29A及び
図29Bに示されるように、ソース配線62を形成する。具体的には、コンタクト電極61を覆うソース配線62が形成される。ソース配線62は、例えばスパッタリング法により形成される。このようにして、コンタクト電極61とソース配線62とを有するソース電極60が形成される。
【0093】
次に、
図30A及び
図30Bに示されるように、パッシベーション膜90を形成する。具体的には、ソース配線62及び層間絶縁膜83を覆うパッシベーション膜90を形成する。パッシベーション膜90は、例えば塗布法により形成される。
【0094】
次に、
図31A及び
図31Bに示されるように、第2主面20bを研磨し、炭化珪素単結晶基板20を薄化する。次に、第2主面20bにおいて炭化珪素単結晶基板20に接するドレイン電極70用の金属膜(図示せず)を形成する。ドレイン電極70用の金属膜は、例えばスパッタリング法により形成される。次に、合金化アニールを行う。ドレイン電極70用の金属膜が、例えば900℃以上1100℃以下の温度で保持される。これにより、ドレイン電極70用の金属膜の少なくとも一部が、炭化珪素基板10が含む珪素と反応してシリサイド化する。これにより、炭化珪素単結晶基板20とオーミック接合するドレイン電極70が形成される。
【0095】
このようにして、電界効果トランジスタを含む炭化珪素半導体装置1Bを製造できる。
【0096】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1A、1B 炭化珪素半導体装置
10 炭化珪素基板
20 炭化珪素単結晶基板
20a 第1主面
20b 第2主面
30 突起
30a 第1側面
30b 第2側面
30c 上面
30X 炭化珪素エピタキシャル層
30Y 第1炭化珪素エピタキシャル層
30Z 第2炭化珪素エピタキシャル層
31 ボディ領域
31A 第1領域
31B 第2領域
32 ソース領域
33 ドレイン領域
34 第1接続領域
35 第2接続領域
60 ソース電極
61 コンタクト電極
62 ソース配線
70 ドレイン電極
71 コンタクト電極
72 ドレイン配線
81 ゲート絶縁膜
82 ゲート電極
83 層間絶縁膜
90 パッシベーション膜