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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031018
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】融合材料の製造装置及び融合材料
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20240229BHJP
   B02C 13/06 20060101ALI20240229BHJP
   B02C 13/09 20060101ALI20240229BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C08J11/12
B02C13/06 ZAB
B02C13/09 B
B29B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134295
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000154794
【氏名又は名称】株式会社放電精密加工研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊次郎
(72)【発明者】
【氏名】越名 崇文
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和宏
【テーマコード(参考)】
4D065
4F401
【Fターム(参考)】
4D065AA04
4D065BB04
4D065BB20
4D065EB14
4D065ED29
4D065ED31
4D065EE08
4D065EE12
4D065EE18
4F401AA27
4F401AA28
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA59
4F401FA01Y
(57)【要約】
【課題】 材料に近い部分の温度を適切に測定することができる融合材料の製造装置を提供する。
【解決手段】 融合材料の製造装置1は、駆動力を発生するモータ2と、材料が投入される混合容器3と、モータ2によって回転する回転軸5と、混合容器3内で回転軸5の軸方向の一方側の外周に形成された複数の羽根10と、混合容器3内で回転軸5の軸方向の他方側の外周に形成された螺旋状のスクリュー12と、混合容器内の温度を測定する温度センサー7,15と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生するモータと、
材料が投入される混合容器と、
前記モータによって回転する回転軸と、
前記混合容器内で前記回転軸の軸方向の一方側の外周に形成された複数の羽根と、
前記混合容器内で前記回転軸の軸方向の他方側の外周に形成された螺旋状のスクリューと、
前記混合容器内の温度を測定する温度センサーと、
を備える
融合材料の製造装置。
【請求項2】
前記温度センサーは、前記羽根の内部に設置される羽根温度センサー及び前記混合容器に設置される容器温度センサーのうち少なくとも1つを含む
請求項1に記載の融合材料の製造装置。
【請求項3】
前記羽根温度センサーは、熱電対を有し、
前記熱電対は、前記羽根の先端内部に設置される
請求項2に記載の融合材料の製造装置。
【請求項4】
前記熱電対は、複数の前記羽根のうち軸方向中央寄りの前記羽根に設置される
請求項3に記載の融合材料の製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の融合材料の製造装置
によって製造される融合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融合材料の製造装置及び融合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、地球温暖化等の気候変動が問題化している。地球温暖化等の環境異常を抑制し、且つ、枯渇の危険がある化石資源の使用を減らすため、バイオ技術を有効に活用した再生可能な資源であるバイオマスの活用が進められている。バイオマス材料の製造について、木質系フィラー材料、潤滑剤、熱可塑性樹脂原料、及び酸素変性剤から木質系複合樹脂材料を形成する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018─83876号公報
【特許文献2】特許第4489017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された混合粉砕装置では、混合容器内部の温度を適切に測定する技術については何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑み、混合容器内の温度を把握することができる融合材料の製造装置及び融合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の融合材料の製造装置は、
駆動力を発生するモータと、
材料が投入される混合容器と、
前記モータによって回転する回転軸と、
前記混合容器内で前記回転軸の軸方向の一方側の外周に形成された複数の羽根と、
前記混合容器内で前記回転軸の軸方向の他方側の外周に形成された螺旋状のスクリューと、
前記混合容器内の温度を測定する温度センサーと、
を備える。
【0007】
さらに、本発明の態様に係る融合材料は、
前記融合材料の製造装置
によって製造される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の融合材料の製造装置によれば、混合容器内の温度を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る融合材料の製造装置の一例を示す。
図2】本実施形態に係る融合材料の製造装置1の羽根温度センサーの一例を示す。
図3】本実施形態に係る融合材料の製造方法の一例を示す。
図4】本実施形態に係る融合材料の製造方法で作成された融合材料の実施例1を示す。
図5】本実施形態に係る融合材料の製造方法で作成された融合材料の実施例2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る融合材料の製造装置1の一部の一例を示す。図2は、本実施形態に係る融合材料の製造装置1の羽根温度センサー15の一例を示す。
【0011】
本実施形態の融合材料の製造装置1は、図2に示すように、駆動力を発生するモータ2と、材料が投入される混合容器3と、モータ2の回転数又はトルクを制御する制御部4と、モータ2によって回転する回転軸5と、混合容器3内で回転軸5の外周に形成された複数の羽根10と、混合容器3内で回転軸5の外周に形成された螺旋状のスクリュー12と、混合容器3内の圧力を検知する圧力センサー6と、混合容器3内の温度を検知する容器温度センサー7と、モータ2の回転数を検知する回転数センサー8と、モータ2のトルクを検知するトルクセンサー9と、を備える。
【0012】
モータ2は、図示しない電源によって駆動される。モータ2は、駆動力を回転軸5に伝達し、回転軸5を介して羽根10及びスクリュー12を回転させる。モータ2は、羽根10の先端周速が5m/s~50m/sの範囲内で回転数を制御することができる。また、モータ2の出力軸2aと回転軸5は、回転軸5に急激な負荷トルクの変動が生じた場合に、該負荷トルクがモータ2に伝達されないように滑ることができるVベルト2bで連結している。なお、モータ2の出力軸2aと回転軸5は、ブレーキ又はクラッチ等を介して連結してもよい。
【0013】
混合容器3は、側面が円筒状の樽を横置きにした形状であって、側面の少なくとも一部が図示しない扉又はシャッター等によって開閉可能である。なお、混合容器3は、材料を投入する投入口及び溶融された物質を取り出す取出口を設けると好ましい。投入口及び取出口は手動又は自動で開閉可能である。混合容器3の両側平面部分の中心には混合容器3の側面と同軸であって回転可能な回転軸5が貫通する。混合容器3の壁内部には、図示しない管状部が形成され、冷却水を循環させて混合容器3を冷却する。また、混合容器3は、内部に冷却水を供給する図示しない給水部を設けてもよい。
【0014】
回転軸5は、モータ2の出力軸2aに連結され、500rpm以上で回転することができる。本実施形態の回転軸5は、モータ2の出力軸2aと同軸に形成されているが、これに限らず、ベルト等によって駆動力が伝達されるように形成してもよい。回転軸5の内部には、図示しない管状部が形成され、冷却水を循環させて冷却してもよい。
【0015】
回転軸5には、モータ2側の外周にスクリュー12が形成され、モータ2とは反対側の外周に複数の羽根10が溶接等によって形成される。スクリュー12は、投入された材料を羽根10側に送るように形成される。スクリュー12の間隔は、材料が効率的に送られるように、設定すればよい。
【0016】
羽根10は、回転軸5から径方向に突出し、先端が混合容器3の内周に可能な限り近づくように設置されると好ましい。羽根10は、内周側と比較して外周側に厚く形成される部分を有する。本実施形態の融合材料の製造装置1は、合計6枚の羽根10を有するが、これに限らず、少なくとも2枚の羽根10があればよい。6枚の羽根は、回転軸5の軸方向に並んだ3本の羽根10a,10c,10eと、3本の羽根10a,10c,10eに対して円周方向に180度間隔を空けた3本の羽根10b,10d,10fと、で構成される。3本の羽根10a,10c,10eと3本の羽根10b,10d,10fは、軸方向で交互に設置される。例えば、軸方向のモータ2とは反対側から、羽根10a,10b,10c,10d,10e,10fが、交互に180度ずつ反対側に設置される。
【0017】
羽根10のうち、少なくとも2枚は、回転方向Aにおいて互いの対向間隔が狭まるような取付角で設置される。回転軸5に対する羽根10の取付角は、取付部分から先端まで同一の角度が好ましい。本実施形態の融合材料の製造装置1は、中間部の4枚の羽根10b,10c,10d,10eが、回転軸5の外周に千鳥状に約15度の角度で傾斜して固着される。羽根10b,10cは、回転方向Aにおける前縁がモータ2の反対方向に向き、羽根10d,10eは、回転方向Aにおける前縁がモータ2の方向に向く。羽根10bと羽根10dは、軸方向に対向し、回転方向Aにおける前縁の間隔が狭まり、羽根10cと羽根10eは、軸方向に対向し、回転方向Aにおける前縁の間隔が遠ざかるように設置される。
【0018】
なお、圧力センサー6、容器温度センサー7、回転数センサー8、及び、トルクセンサー9は、必ず用いる必要はない。制御部4に予め粉砕工程から融合工程までのモータ2の回転数とトルクを設定しておいてもよい。本実施形態融合材料の製造装置1としては、例えば、特許文献2に記載された混合粉砕装置を用いてもよい。
【0019】
本実施形態の融合材料の製造装置1は、図2に示すように、羽根10の内部に混合容器3内の羽根10の先端の温度を測定する羽根温度センサー15を設置する。羽根温度センサー15は、羽根10の先端内部に設置する熱電対15aと、回転軸5の内部から羽根10の内部を通り熱電対15aまで連通するケーブル15bと、を有する。羽根温度センサー15を設置することで、材料に近い位置で温度を適切に測定することができ、融合材料の製造装置1を温度に応じて適切に対応させることができる。
【0020】
熱電対15aは、羽根10の先端内部に設置される。本実施形態の熱電対15aは、複数の羽根のうち中央寄りの羽根10b,10c,10d,10eに設置される。中央寄りの羽根10b,10c,10d,10eに設置することで、軸方向外側からの影響を少なくでき、さらに適切に温度を測定することができる。ケーブル15bは、回転軸5のモータ2とは反対側の先端5aから熱電対15aまで形成された孔に設置される。なお、熱電対15aの設置位置は、この例に限らず、他の羽根10に設置してもよい。
【0021】
制御部4は、圧力センサー6、容器温度センサー7、回転数センサー8、トルクセンサー9、及び、羽根温度センサー15のうち少なくとも1つの値に応じて、モータ2の回転数及びトルク、並びに、混合容器3に供給される冷却水、混合容器3の壁部を流れる冷却水、及び、回転軸5を流れる冷却水の温度及び流量等の少なくとも1つを制御すると好ましい。例えば、羽根温度センサー15の測定値に応じてモータ2を制御することで、溶融材料の製造装置1を適切に作動させて、溶融材料を適切に製造することができる。また、羽根温度センサー15の測定値に応じて、異常を発見することもできる。さらに、実際のトルクが大きく、モータ2の回転数が設定よりも少ない場合に、フィードバック制御することで適切な値に制御することができる。また、制御部4は、圧力センサー6、容器温度センサー7、回転数センサー8、トルクセンサー9、及び、羽根温度センサー15のうち少なくとも1つから異常な値が検出された場合には、モータ2の駆動を停止するように制御してもよい。
【0022】
図3は、本実施形態に係る融合材料の製造方法の一例を示す。
【0023】
本実施形態の融合材料の製造過程は、材料を粉砕する粉砕期と、粉砕された材料を混合する混合期と、混合した材料を溶融する溶融期と、溶融された材料を融合する融合期と、を有する。粉砕期、混合期、溶融期、融合期は、別々に存在するのではなく、モータ2が回転軸5を回転させている間に、材料は、粉砕期、混合期、溶融期、融合期のいずれかの状態で存在する。例えば、材料の一部は粉砕期、材料の他の一部は混合期、材料の他の一部は溶融機、残りの一部は融合期のように、混合容器3の内部で各期の材料が存在してもよい。
【0024】
本実施形態の融合材料の製造方法は、まず、ステップ1で、材料の粉砕が行われる。使用者は、図2に記載された融合装置の混合容器3の図示しない開口から内部に材料を入れて、モータ2を駆動し、回転軸5、羽根10、及び、スクリュー12を回転させて、材料を細かく粉砕する。粉砕粒の大きさは、約2~7mmが好ましい。なお、粉砕期は、予め材料を他の装置で粉砕しておいた材料を入れるだけの場合には行われない。
【0025】
続いて、ステップ2で、材料の混合が行われる。混合期は、引き続き、モータ2を駆動し、回転軸5、羽根10、及び、スクリュー12を回転させて、粉砕された第1の材料と粉砕された第2の材料を混合する。混合期における回転軸5、羽根10、及び、スクリュー12の回転数は、500rpm以上にすると好ましい。
【0026】
また、本実施形態の融合材料の製造においては、相溶化のための添加剤等を使用しなくてもよい。添加剤等を使用しないことで、環境性が向上する。さらに、本実施形態の混合期では、材料に水分を含ませることが好ましい。水分を含ませることで、後の工程で内圧を上昇させることができる。水分は、混合容器3の内部に予め入れておいてもよく、動作中に混合容器3の内部に供給してもよい。
【0027】
次に、ステップ3で、材料の溶融が行われる。溶融期は、引き続き、モータ2を駆動し、回転軸5、羽根10、及び、スクリュー12を回転させる。溶融期における羽根の回転数は、混合期での回転数よりも高くすると好ましい。羽根10を高速に回転させると、材料自体の運動や材料同士が衝突しせん断する摩擦によって混合容器3内が100℃以上の高温になる。その後、水分から蒸気が発生し、混合容器3内が高圧化し、各材料が溶融する。
【0028】
次に、ステップ4で、材料の融合が行われる。融合期は、引き続き、モータ2を駆動し、回転軸5、羽根10、及び、スクリュー12を回転させ、材料の反応を進ませる。反応が進むと、各材料が一体化する。同時に水分が水蒸気化して混合容器3の図示しない排出口から外に放出される。したがって、混合容器3内は乾燥し、水分等が除去された融合物が得られる。
【0029】
得られた融合物は、融点の異なる複数の材料を分子レベルで均一に融合した新たな新素材であって、射出、押出し、ブロー、プレス等の成形が可能なので、様々な用途に使用することができる。
【0030】
また、本実施形態の融合材料の製造方法は、1800秒未満で実行される。通常、材料は、入熱が多いほど劣化が激しくなる。本実施形態の融合材料の製造方法は、外部から熱を与えることがなく、材料に熱が加わる時間が短い。したがって、本実施形態の融合材料の製造方法で製造された融合材料は、劣化が少なく、強度を保持することができる。また、本実施形態の融合材料の製造方法で製造された融合材料は、劣化が少ないので、完成した融合物を再利用することもできる。
【0031】
このように、本実施形態の融合材料の製造方法は、少なくとも第1の材料と第1の材料とは異なる第2の材料を混合する混合期と、混合した第1の材料と第2の材料を溶融する溶融期と、溶融した第1の材料と第2の材料の反応を進ませ第1の材料と第2の材料を融合する融合期と、を有し、混合、溶融、及び、融合を一連の一工程として行う。したがって、成分がほぼ均一な複数の異なる種類の樹脂材料によって新たな融合材料を製造でき、環境負荷や原料コストを低減することができる。
【0032】
本実施形態に融合材料を製造するための材料を以下に示す。なお、融合材料を製造するための材料は、複数種類の材料を含んでもよい。
【0033】
樹脂材料は、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、汎用プラスチック又はエンジニアプラスチックでよい。
【0034】
汎用プラスチックとしては、以下の表1に示す材料が好ましい。
【表1】
【0035】
汎用プラスチックは、非結晶性と結晶性に分けられる。非結晶性の汎用プラスチックは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、メチルメタクリレート・スチレン樹脂(MS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)等でよい。また、結晶性の汎用プラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等でよい。
【0036】
汎用エンジニアプラスチックとしては以下の表2に示す材料が好ましい。
【表2】
【0037】
汎用エンジニアプラスチックは、非結晶性と結晶性に分けられる。非結晶性の汎用エンジニアプラスチックは、ポリカーボネート(PC)等でよい。結晶性の汎用エンジニアプラスチックは、ポリブチレンテフタレート(PBT)、ポリアセタール(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアミド66(PA66)等でよい。
【0038】
スーパーエンジニアプラスチックとしては以下の表3に示す材料が好ましい。
【表3】
【0039】
スーパーエンジニアプラスチックは、非結晶性と結晶性に分けられる。非結晶性のスーパーエンジニアプラスチックは、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)又はポリアミドイミド(PAI)等の熱可塑性ポリイミド(TPI)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)等でよい。結晶性のスーパーエンジニアプラスチックは、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂等でよい。フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等でよい。
【0040】
樹脂材料は、生分解性樹脂でもよい。生分解性樹脂としては、以下の表4に示す材料が好ましい。
【表4】
【0041】
生分解性樹脂は、バイオ由来、バイオ由来+化石由来、化石由来に分けられる。バイオ由来の生分解性樹脂は、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)等でよい。バイオ由来+化石由来の生分解性樹脂は、バイオポリブチレンサクシネート(バイオPBS)、PBAT・PLAコンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂(SPR)、酢酸セルロース(CA)等でよい。化石由来の生分解性樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)等でよい。
【0042】
樹脂材料は、非生分解性樹脂でもよい。非生分解性樹脂としては、以下の表5に示す材料が好ましい。
【表5】
【0043】
非生分解性樹脂は、バイオ由来、バイオ由来+化石由来に分けられる。バイオ由来の非生分解性樹脂は、バイオポリエチレン(バイオPE)、バイオポリアミド11,1010(バイオPA11,1010)等でよい。バイオ由来+化石由来の非生分解性樹脂は、バイオポリエチレンテレフタレート(バイオPET)、バイオポリトリメチレンテレフタレート(バイオPTT)、バイオポリアミド610(バイオPA610)、バイオポリカーボネート(バイオPC)、バイオポリウレタン(バイオPU)、バイオ芳香族ポリエステル(バイオPAR)、バイオ不飽和ポリエステル(バイオUP)、バイオフェノール樹脂(バイオPF)、バイオエポキシ樹脂(バイオEP)等でよい。
【0044】
その他の樹脂としては、水添ポリマー、熱可塑性エラストマー、海洋プラスチック等でもよい。熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系等が好ましい。また、海洋プラスチックは、海洋プラスチックごみ、海岸に打ち上げられた樹脂材料又は海を漂流していた樹脂材料等を含む。海洋プラスチックは、複数種類の樹脂材料を含んでいてもよい。
【0045】
本実施形態融合材料を製造するための材料は、以下の表6に示すフィラーを含んでもよい。
【表6】
【0046】
フィラーは、バイオマス材とバイオマス以外に分けられる。バイオマス材は、木と食品・食品残渣に分けられる。木は、マツ、スギ、ヒノキ等の裸子植物、ブナ、タモ、竹、イグサ、ワタ等の被子植物でよい。また、木の成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、樹皮等でよい。食品・食品残渣は、米、麦類(大麦、小麦等)、雑穀(とうもろこし、そば等)、豆類(大豆、小豆、いんげん、落花生等)、野菜(根菜類、葉茎菜類、きのこ、山菜類等)、果実(柑橘類、仁果類、殻果類等)、糖料作物(サトウキビバガス等)、未加工飲料用作物(コーヒー、ココア等)、香辛料原料品(唐辛子、胡椒等)、その他(卵の殻、貝殻等)等でよい。
【0047】
バイオマス以外は、無機材と熱硬化性樹脂等でよい。無機材は、炭素繊維(カーボンファイバー等)、ガラス繊維(グラスファイバー等)、砂、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム(石灰石)、炭化物(灰等)、硫酸カルシウム(石膏)、カルシウム、香料等でよい。熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂(ベークライト等)、エポキシ樹脂(モルタル等)、熱硬化性エラストマー(シリコンゴム、ウレタンゴム等)等でよい。
【0048】
本実施形態融合材料を製造するための材料は、以下の表7に示す機能性付与添加剤を含んでもよい。
【表7】
【0049】
機能性付与添加剤は、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、滑材、結晶化促進剤、着色剤、発泡剤、助剤、金属不活性化剤、抗菌剤等でよい。充填剤は、ガラス繊維、炭酸カルシウム、パルプ、タルク、マイカ等でよい。酸化防止剤は、フェノール系、イオウ系、リン系、ホスファイト系等でよい。光安定剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系等でよい。難燃剤は、塩素系、臭素系、リン系、無機系等でよい。熱安定剤は、金属含有化合物等でよい。帯電防止剤は、界面活性剤、アニオン系活性剤、カチオン系活性剤、非イオン活性剤、両性活性剤等でよい。可塑剤は、エポキシ化植物油、フタル酸エステル類、ポリエステル系等でよい。
【0050】
滑剤は、炭化水素系、肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アミド系、金属石けん系、エステル系等でよい。結晶化促進剤は、結晶核剤、造核剤、カルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩等でよい。着色剤は、着色済樹脂、溶剤等でよい。発泡剤は、窒素ガス系、炭酸ガス系等でよい。助剤は、安定化助剤、重金属不活性化剤等でよい。金属不活性化剤は、ヒドラジド系、アミド系等でよい。抗菌剤は、有機系(アルデヒド、フェノール、ピリチオン系等)、無機系(銀、銅、亜鉛等)、天然系(わさび、からし、ヒノキ等)等でよい。
【0051】
本実施形態融合材料を製造するための材料は、以下の表8に示す混合時添加剤を含んでもよい。
【表8】
【0052】
混合時添加剤は、材料相溶性増加剤、材料変性剤、その他でよい。材料相溶性増加剤は、水分、相溶化剤、酸変性熱可塑性樹脂、分散剤等でよい。材料変性剤は、酢酸、無水マレイン酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、高分子化合物等でよい。その他は、生分解促進剤、凝集剤等でよい。
【0053】
本実施形態の融合材料を製造するための材料は、少なくとも1つの樹脂材料を含む。樹脂材料は、汎用プラスチック、汎用エンジニアプラスチック、スーパーエンジニアプラスチック、生分解性樹脂、非生分解性樹脂又は上記その他の樹脂のうち、少なくとも1つ又は複数含んでよい。本実施形態の融合材料を製造するための材料は、複数種類の樹脂材料のみでもよい。
【0054】
本実施形態の融合材料を製造するための材料は、少なくとも1つの樹脂材料及び少なくとも1つのフィラーを含んでもよい。フィラーは、木、食品、食品残渣、無機材又は熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1つでよい。
【0055】
本実施形態の融合材料を製造するための材料は、少なくとも1つの樹脂材料及び少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。添加剤は、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、滑材、結晶促進剤、着色剤、発泡剤、助剤、金属不活性化剤又は抗菌剤のうち、少なくとも1つでよい。
【0056】
本実施形態の融合材料を製造するための材料は、複数種類の樹脂材料を含んでよく、複数の樹脂材料のみでもよい。また、本実施形態の融合材料を製造するための材料は、少なくとも1つの樹脂材料、少なくとも1つのフィラー及び少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。
【0057】
次に、本実施形態の融合材料の製造方法で製造した融合材料の例を示す。
【0058】
図4は、本実施形態の融合材料の製造方法で製造した実施例1の融合材料を示す。図4(a)は実施例1の融合材料の表面、図4(b)は実施例1の融合材料の走査電子顕微鏡での写真を示す。
【0059】
実施例1は、第1の材料としての第1の樹脂材料であるナイロン樹脂50%と第2の材料としての第2の樹脂材料であるポリエチレン樹脂50%と水300gを融合させた。表1は、実施例1の表面状態の成分を示す。計算上、炭素が約93Atom%、酸素が約7Atom%となり、炭素が多くなっているので、表面においてポリプロピレン成分が多くなっていると推定される。ナイロン成分、ポリエチレン成分は、ほぼ均一に融合され、一様な外観となっている。
【表9】
【0060】
図5は、本実施形態の融合材料の製造方法で製造した実施例2の融合材料を示す。図5(a)は実施例2の融合前の海洋プラスチック材料、図5(b)は実施例2の融合材料の写真を示す。
【0061】
図5(a)に示すように、海洋プラスチック材料は、様々な種類のプラスチック材料を含んでいる。異なる種類のプラスチックは、異なる融点を持っているので、従来は混合溶融が困難であった。本実施形態の融合材料の製造装置1を用いる融合材料の製造方法によれば、図5(b)に示すように、異なる融点の海洋プラスチック材料を瞬時に混合溶融することができ、ほぼ均一に融合された一様な外観を有する融合材料を製造することができる。したがって、海洋プラスチック材料を分別する手間を省いて、再利用プラスチック材料を、容易に製造することができる。また、海洋プラスチックを新たな材料として有効利用することができ、環境問題に役立つことができる。
【0062】
以上、本実施形態の融合材料の製造装置1によれば、駆動力を発生するモータ2と、材料が投入される混合容器3と、モータ2によって回転する回転軸5と、混合容器3内で回転軸5の軸方向の一方側の外周に形成された複数の羽根10と、混合容器3内で回転軸5の軸方向の他方側の外周に形成された螺旋状のスクリュー12と、前記混合容器内の温度を測定する温度センサー7,15と、を備える。したがって、本実施形態の融合材料の製造装置1は、混合容器3内の温度を把握することができ、材料の状態や異常状態等を把握することができる。
【0063】
また、本実施形態の融合材料の製造装置1によれば、温度センサー7,15は、羽根10の内部に設置される羽根温度センサー15及び混合容器3に設置される容器温度センサー7のうち少なくとも1つを含む。したがって、本実施形態の融合材料の製造装置1は、混合容器3内の温度を適切に把握することができ、材料の状態や異常状態等を適切に把握することができる。
【0064】
また、本実施形態の融合材料の製造装置1によれば、羽根温度センサー15は、熱電対15aを有し、熱電対15aは、羽根10の先端内部に設置される。したがって、本実施形態の融合材料の製造装置1は、材料に近い部分の温度をより適切に測定することができる。
【0065】
また、本実施形態の融合材料の製造装置1によれば、熱電対15aは、複数の羽根10のうち軸方向中央寄りの羽根10に設置される。したがって、本実施形態の融合材料の製造装置1は、軸方向外側からの影響を少なくでき、さらに適切に温度を測定することができる。
【0066】
さらに、本実施形態の融合材料によれば、前記融合材料の製造装置によって製造されるので、成分がほぼ均一な融合材料を製造でき、環境負荷や原料コストを低減することができる。
【0067】
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1…融合材料の製造装置、2…モータ、3…混合容器、4…制御部、5…回転軸、6…圧力センサー、7…容器温度センサー、8…回転数センサー、9…トルクセンサー、10…羽根、12…スクリュー、15…羽根温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5