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特開2024-31037水中ポンプ装置および水中ポンプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031037
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】水中ポンプ装置および水中ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/025 20060101AFI20240229BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20240229BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20240229BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F04B49/025
F04D15/00 H
F04B49/02 311
F04B49/06 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134329
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】飯盛 央隆
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA08
3H020BA07
3H020CA07
3H020CA08
3H020EA04
3H020EA07
3H145AA06
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA07
3H145BA24
3H145CA14
3H145CA19
3H145CA21
3H145DA01
3H145EA15
3H145EA20
3H145EA35
(57)【要約】
【課題】簡便かつ多様な液位制御を実行できる。
【解決手段】水中ポンプ装置は、ポンプと、フロートスイッチと、無線通信部とを含む。ポンプは、筐体内に設けられる。フロートスイッチは、前記筐体の上部に配置され、液体の液位が上昇し、第1液位に達した場合に前記ポンプを始動させる。無線通信部は、前記筐体の下部に配置され、外部との無線通信が可能か否かにより液位を判定する。制御部は、前記液体の液位が下降し、前記第1液位よりも低い第2液位に達した場合にポンプを停止させるように制御する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられたポンプと、
前記筐体の上部に配置され、液体の液位が上昇し、第1液位に達した場合に前記ポンプを始動させるフロートスイッチと、
前記筐体の下部に配置され、外部との無線通信が可能か否かにより液位を判定する無線通信部と、
前記液体の液位が下降し、前記第1液位よりも低い第2液位に達した場合に前記ポンプを停止させるように制御する制御部と、
を具備する水中ポンプ装置。
【請求項2】
前記無線通信部における電波放射部位周辺外被は、電波放射部位を含む上方部は電波を減衰させる材料で構成され、前記電波放射部位の下方部は電波を透過させる材料で覆われる、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、無線信号を処理する信号処理部と、前記無線信号を送受信するアンテナ部とを含み、
前記アンテナ部は、前記筐体の下部に配置される、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項4】
前記無線通信部は、外部との無線送受信が可能となった場合に、前記液体が前記第1液位よりも低い第2液位に達したと判定する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプを駆動させるモータと、
前記モータに流れる電流を計測する電流計測部と、をさらに具備し、
前記制御部は、前記電流計測部により前記電流が脈動している状態または所定値以下の電流値であることが計測された場合、前記ポンプを停止させるように制御する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項6】
前記ポンプを駆動させるモータと、
前記モータおよび前記制御部を含む電装部の少なくとも一方の温度を計測する温度計測部と、をさらに具備し、
前記制御部は、前記温度計測部により前記温度が第1閾値以上となる場合、または第1時点の温度と前記第1時点から所定時間経過後の第2時点の温度とから算出される温度上昇値が第2閾値以上となる場合、前記ポンプを停止させるように制御する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項7】
前記ポンプを駆動させるモータと、
前記モータを可変速制御し、前記モータに流れる電流を計測する電流計測センサおよび前記モータおよび前記制御部を含む電装部の少なくとも一方の温度を計測する温度計測センサを含むインバータと、
前記制御部は、前記電流計測センサにより前記電流が脈動している状態または所定値以下の電流値であることが計測された場合、前記ポンプを停止させるように制御する、もしくは、前記温度計測センサにより前記温度が第1閾値以上となる場合、または第1時点の温度と前記第1時点から所定時間経過後の第2時点の温度とから算出される温度上昇値が第2閾値以上となる場合、前記ポンプを停止させるように制御する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項8】
前記制御部は、ポンプ運転中に前記液体が前記第2液位に達しても、前記無線通信部が所定時間継続して無線通信できない場合、自装置の無線通信による複数台数制御運転を実行しない単独運転モードへ移行させる、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の水中ポンプ装置であって、先発で動作する主機として設定された第1水中ポンプ装置と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の水中ポンプ装置であって、後発で動作する従機として設定された1以上の第2水中ポンプ装置と、を具備し、
前記第1水中ポンプ装置は、自装置の前記フロートスイッチが液体の液位上昇に応じてオンとなった場合、前記ポンプの運転を開始し、前記第1水中ポンプ装置と少なくとも1つの前記第2水中ポンプ装置との間で、各無線通信部が無線通信可能となった場合、前記ポンプを停止する、水中ポンプシステム。
【請求項10】
前記第1水中ポンプ装置の無線通信部および第2水中ポンプ装置の無線通信部は、互いのポンプ運転情報を送受信する、請求項9に記載の水中ポンプシステム。
【請求項11】
前記ポンプ運転情報は、
単独運転、交互運転および交互並列運転のいずれのモードであるかを示す運転モード、
前記主機であるか前記従機であるかを示す動作順、
前記ポンプの動作状況を示す運転状態、
前記フロートスイッチのオンオフ情報
前記ポンプの積算運転時間、
前記ポンプの積算始動回数、
前記ポンプの識別番号、
前記ポンプの故障来歴、および
前記ポンプの故障発生時におけるセンサ情報の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の水中ポンプシステム。
【請求項12】
前記ポンプ運転情報は、先発で動作する主機であるか後発で動作する従機であるかを示す動作順に関する情報を含み、
前記第1水中ポンプ装置の制御部および第2水中ポンプ装置の制御部は、電源が投入された際に前記ポンプ運転情報を送受信する場合、前記ポンプ運転情報に基づいて自装置の前記動作順を決定する、請求項10に記載の水中ポンプシステム。
【請求項13】
前記第1水中ポンプ装置および前記第2水中ポンプ装置は、外部端末から交互運転モードおよび交互並列運転モードの切り換え指示を受信し、前記切り替え指示に応じて、前記交互運転モードおよび前記交互並列運転モードを切り替える、請求項9に記載の水中ポンプシステム。
【請求項14】
前記第1水中ポンプ装置と少なくとも1つの前記第2水中ポンプ装置とのそれぞれのポンプの運転が停止している場合、次の運転時に、前記第1水中ポンプ装置が前記従機に設定され、少なくとも1つの前記第2水中ポンプ装置のうちの1つが前記主機に設定される、請求項9に記載の水中ポンプシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第2水中ポンプ装置のうち、積算運転時間または積算始動回数が最も少ない第2水中ポンプ装置が前記主機に設定される、請求項14に記載の水中ポンプシステム。
【請求項16】
前記第2水中ポンプ装置は、
自装置のフロートスイッチがオンとなってから所定時間経過した後も前記フロートスイッチがオンである場合、自装置のポンプを始動し、
前記第1水中ポンプ装置のポンプが停止した後、所定時間経過した後でも前記無線通信が可能である場合、自装置のポンプを停止する、請求項9に記載の水中ポンプシステム。
【請求項17】
前記第1水中ポンプ装置と前記少なくとも1つの第2水中ポンプ装置とのうちの1つが優先機として予め設定され、
前記第1水中ポンプ装置と前記少なくとも1つの第2水中ポンプ装置とのうち、前記主機が1つに決定されていない場合、前記優先機である水中ポンプ装置が前記主機として設定される、請求項13に記載の水中ポンプシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を排水する水中ポンプ装置および水中ポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活排水などの排水に用いる排水装置には、筐体下部にフロートスイッチを設け、筐体上部に無線通信機能を設けた水中ポンプ装置を用いる技術が知られている。水中ポンプ装置は、フロートスイッチおよび無線通信機能により液位を検出し、ポンプの駆動および停止の制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-12398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係るフロートスイッチは、ポンプを停止するためのスイッチであり、水中ポンプ装置を設置した後またはメンテナンス後に試運転する場合、無線通信機器により無線接続を確立してからポンプを始動させる必要があるため、作業が煩わしい。
本発明は、簡便かつ多様な液位制御を実行できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、水中ポンプ装置は、ポンプと、フロートスイッチと、無線通信部とを含む。ポンプは、筐体内に設けられる。フロートスイッチは、前記筐体の上部に配置され、液体の液位が上昇し、第1液位に達した場合に前記ポンプを始動させる。無線通信部は、前記筐体の下部に配置され、外部との無線通信が可能か否かにより液位を判定する。制御部は、前記液体の液位が下降し、前記第1液位よりも低い第2液位に達した場合にポンプを停止させるように制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡便かつ多様な液位制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る水中ポンプ装置を示す図。
図2】本実施形態に係る水中ポンプ装置の別例を示す図。
図3】本実施形態に係る無線通信部周辺のカバー例を示す図。
図4】本実施形態に係る水中ポンプ装置の運転動作の一例を示すフローチャート。
図5】水中ポンプ装置が複数台存在する水中ポンプシステムの構成例を示す図。
図6】本実施形態に係る水中ポンプシステムの交互運転の動作例を示すシーケンス図。
図7】本実施形態に係る水中ポンプシステムの交互並列運転の動作例を示すシーケンス図。
図8】本実施形態に係る水中ポンプシステムの交互並列運転の動作例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る水中ポンプ装置および水中ポンプシステムについて説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えてアルファベットまたは枝番号を用いることもある。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る水中ポンプの構成を示す説明図である。水中ポンプ装置10は、貯水タンク100内に貯留された水を外部配管200に向けて圧送可能に形成されている。
【0010】
貯水タンク100には、外部から水、排水、汚水などの液体が流入する。設定液位L0は、水中ポンプ装置10を停止する停止液位である。設定液位L1は、設定液位L0よりも高い液位であり、水中ポンプ装置10のポンプを始動する始動液位である。
【0011】
水中ポンプ装置10は、円筒状の筐体20と、筐体20内に設けられたポンプ22と、筐体20内に設けられポンプ22を駆動するモータ23と、筐体20内に設けられた電装部30と、筐体20外に設けられたフロートスイッチ40(液面検出センサ)とを含む。
【0012】
フロートスイッチ40は、筐体20外の上部に配置され、液面によって上下に揺動し、上側ならオン、下側ならオフとなる。具体的に、フロートスイッチ40は、貯水タンク100の液面が設定液位L1(第1液位)に達した場合に、ポンプ22を始動させる機能を有している。
【0013】
ポンプ22は、筐体20内に設けられ、筐体20の下部に設けられた開口部22aから貯水タンク100内の水を吸い上げ、吐出口22bから吐出する。
【0014】
電装部30は、制御部31、インバータ32、時間計測部33、温度計測部35、電流計測部34、運転周波数計測部36、記憶部37、入力インタフェース38、無線通信部39を備え、それぞれがシステムバスにより接続されている。
【0015】
制御部31は、予め定められたプログラムに従い、フロートスイッチ40の出力値および無線通信部39の無線信号および無線の伝搬状況に基づいて制御を行う。制御部31は、液体が設定液位L0(第2液位)に達した場合、ポンプ22を停止させる。制御部31は、「周波数一定モード」および「電流値一定モード」を必要に応じて切り換えることが可能である。制御部31を動作させるプログラムは、後述するように水中ポンプ装置を交互運転または交互並列運転のいずれかを実行させるものである。
インバータ32は、モータ23を可変速制御すると共に、モータ23への印加電流、および、モータ23の運転周波数の情報を制御部31に送信する。また、インバータ32は、電流計測センサおよび温度計測センサを含んでもよい。
【0016】
時間計測部33は、ポンプ22の積算運転時間、始動からの運転時間などを計測する。
電流計測部34は、モータ23に流れる電流を計測する。
温度計測部35は、電装部30およびモータ23の温度を計測する。
運転周波数計測部36は、モータ23の運転に係る運転周波数を計測する。
【0017】
記憶部37は、例えば、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)であり、ポンプ運転情報、他の水中ポンプ装置から取得したポンプ運転情報を記憶する。
入力インタフェース38は、外部機器からの入力を受け付ける。
無線通信部39は、筐体20の下部に配置され、例えば、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等の無線通信機能を備える。無線通信部39は、外部との無線通信が可能か否かにより液位を判定する。
【0018】
次に、水中ポンプ装置10の別例を図2に示す。
図2に示す水中ポンプ装置10は、筐体20外に電装部30を配置した場合を示す。これにより、無線通信部39などの電装部30に対するメンテナンスを容易にすることができる。なお、電装部30が単体で液体に浸かることになるため、電装部30は、金属または樹脂を用いたシールド材料でカバーされればよい。また、電装部30は樹脂ポッティングをすることで、結露・防水対策を施すこともできる。
【0019】
次に、無線通信部39周辺のカバー例について図3の概念図を参照して説明する。
図3は、無線通信部39がシールド301により囲われる例を示す。より具体的には、無線通信部39からの電波放射部位に対して、液面上昇方向の上部側が鉄、ステンレス、アルミなどの電波を遮蔽する金属部品または電波をカーボンなど減衰させる材料による第1シールド材料302で囲われ、下部側が電波を透過させる樹脂などの第2シールド材料303で囲われる。
【0020】
無線通信部39が、排液、汚水などの液体に浸液される場合、例えばLTE、Bluetoothに代表される2GHz以上の周波数帯の無線信号は、高周波になるほど液体内では電波が大幅に減衰し、外部と送受信できない。さらに、第1シールド材料302である金属部品は、電波を減衰または遮蔽させるため、液面が低下して無線通信部39が液体に浸液していない場合でも、無線通信部39の上部方向に対しては、信号を送受信しにくい、または信号を送受信できなくなる。
【0021】
一方、樹脂である第2シールド材料303は電波を通すことができるため、下方には信号を送受信できる。すなわち、無線通信部における電波放射部位周辺の外被は、無線通信部39の上部側は電波を減衰させるまたは電波を通さない第1シールド材料302で、無線通信部39の下部側は電波を通す第2シールド材料303で形成されたシールド301でそれぞれ覆うことで、無線通信部39が無線通信できる場合は、貯水タンク100の液位が無線通信部39よりも低いと判定できるため、無線通信部39による無線通信が可能になった場合をトリガとして、ポンプ22を停止することができる。
【0022】
なお、フロートスイッチ40は筐体20のできるだけ上部に、無線通信部39は、筐体20のできるだけ下部に配置することで、ポンプ22の運転に係る液位幅を広く設定できる。なお、無線通信部39の配置によっては、無線通信が可能となった場合に、即座にポンプ22を停止するように制御されてもよいし、所定時間経過後にポンプ22を停止するように設定されてもよい。例えば、無線通信部39により無線通信可能となっても、実際には貯水タンク100に液体が残っており、さらなる排水が可能である場合も想定される。よって、実際に水中ポンプ装置10を貯水タンク100に設置して無線通信が可能となってから、貯水タンク100内の液体を排水できなくなるまでの時間を計測し、当該時間を所定時間として設定してもよい。これにより、無線通信部39の筐体20における配置に限らず、低水位となるまでポンプ22を駆動することができる。
【0023】
また、図3では、無線通信機能とアンテナ部とを備える無線通信部39に対するカバー例を示すが、これに限らずアンテナ部だけカバーされてもよい。例えば、アンテナ部が上述のシールド301で囲われて筐体20内下部または筐体20外部の下部に配置され、アンテナと有線接続される無線通信機能を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの信号処理部(無線通信基板)は筐体20内または筐体20の上部に配置されてもよい。
【0024】
さらに図3の例では、無線通信部39に対する液面上昇方向の水平面の中間位置を境目として、上部を第1シールド材料302および下部を第2シールド材料303で囲われているが、これに限らず、どちらか一方のシールド材料で覆う割合を多くしてもよい。例えば、無線通信部39に対する液面上昇方向の3分の2を第1シールド材料302で、残りの3分の1を第2シールド材料303でそれぞれカバーしてもよい。例えば第1シールド材料302で無線通信部39をカバーする割合を多くすることで、より下方からしか電波を送受信できなくなるため、ポンプを停止させるトリガとなる設定液位L0をより低くすることができる。
【0025】
次に、本実施形態に係る水中ポンプ装置10の運転動作の一例について図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップSA1では、使用者による水中ポンプ装置10の電源投入後、制御部31は、水中ポンプ装置10を停止状態とする。
【0026】
ステップSA2では、無線通信部39が、無線通信が可能であるか否かを判定する。具体的には、例えば無線通信部39が定期的にビーコン信号を送信し、他の外部機器から当該ビーコン信号に対するACK信号を受信した場合は、無線通信が可能と判定すればよく、ACK信号を受信できない場合は、無線通信が不可能と判定すればよい。無線通信が可能と判定された場合、無線通信部39よりも液位が低いと考えられるため、ステップSA1に戻り、ポンプ停止を継続する。一方、無線通信が不可能と判定された場合、ステップSA3に進む。
【0027】
ステップSA3では、例えば制御部31は、無線通信部39の設置位置または当該位置以上に液面が存在し、液位が上昇中であると判定できる。制御部31は、フロートスイッチ40がオンであるか否かを判定する。フロートスイッチ40がオフであれば、液面が設定液位L1まで上昇していないため、ステップSA2に戻り、同様の処理を繰り返す。フロートスイッチ40がオンであれば、ステップSA4に進む。
【0028】
ステップSA4では、制御部31は、液面が設定液位L1まで上昇しているため、ポンプ22を始動させ、貯水タンク100内の液体を排出する。
【0029】
ステップSA5では、制御部31は、フロートスイッチ40がオフであるか否かを判定する。フロートスイッチ40がオフでない場合、フロートスイッチ40がオンのままであるため、フロートスイッチ40がオフとなるまでステップSA5の判定を繰り返す。一方、フロートスイッチがオフである場合、ステップSA6に進む。
【0030】
ステップSA6では、例えば制御部31は、フロートスイッチ40がオンからオフに変更されたため、液位が下降中であると判定できる。無線通信部39は、ステップSA2と同様に、無線通信可能であるか否かを判定する。無線通信が可能と判定された場合、ステップSA7に進み、無線通信が不可能と判定された場合、ステップSA5に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0031】
ステップSA7では、制御部31が、停止条件を満たすか否かを判定する。ここでは、無線通信部39の無線通信が可能である場合に、液位が設定液位L0まで低下したと判定して、ポンプ22の停止条件を満たすと判定すればよい。また、無線通信による判定に加えて、液位が設定液位L0以下まで低下したことを判定する別の手法として、電流値および温度の計測値の少なくとも一方を用いてもよい。具体的に、電流値を用いて判定する場合は、渇水時において、ポンプに空気が入った空運転状態と、吐き出し管からの戻り水を吸い上げる運転状態とを繰り返す、いわゆる「鳴り水運転」に基づいて停止条件を決定する。空運転状態では、水を吸い上げている状態よりも電流値が低くなり、「鳴り水運転」では、電流値が周期的に変化し、電流が脈動している状態、すなわち脈動電流が発生する。よって、制御部31は、電流計測部34により計測された電流値に基づき、脈動電流が発生している、または電流が所定値以下であれば、液位が設定液位L0に達したと判定できるため、ポンプ22の停止条件を満たすと判定する。
【0032】
また、温度を用いて判定する場合は、ポンプ運転中は電流値が高い状態が継続するが、液位が一定以上ある場合は、当該液体によって筐体20およびポンプ22が水冷されるため、所定範囲で温度が保たれ、温度変化を計測するため予め設定した期間経過後の温度上昇値も所定範囲内となる。しかし、液位が減少すると、筐体20およびポンプ22が水冷されなくなり、温度が上昇する。よって、温度計測部35で計測された、モータ23または電装部30の温度が閾値以上となる場合、または第1時点の温度と予め設定した期間経過後の第2時点の温度とから算出される温度上昇値が閾値以上となる場合、液位が設定液位L0に達したと判定できるため、制御部31は、ポンプ22の停止条件を満たすと判定する。停止条件を満たすと判定された場合、ステップSA8に進み、停止条件を満たしていないと判定された場合、ステップSA5に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0033】
ステップSA8では、制御部31が、ポンプ22を停止させるように制御する。その後、SA2に戻り、無線通信機能とフロートスイッチ40とによりポンプ22の運転制御を継続して実行する。
【0034】
なお、制御部31は、液位が設定液位L0に達しても、無線通信部39が外部と所定時間継続して無線通信できない場合は、無線通信機能を用いずに単独運転モードに移行し、上述したステップSA7の電流および温度の少なくとも一方の停止条件に基づき、ポンプ22を停止させてもよい。
また、電流計測部34および温度計測部35に代えて、インバータ32に含まれる電流計測センサおよび温度計測センサが同様の計測処理を行ってもよい。
【0035】
次に、水中ポンプ装置10が複数台存在する水中ポンプシステムの構成例を図5に示す。
図5に示す水中ポンプシステムは、貯水タンク100内に配置された2台の水中ポンプ装置10Aおよび水中ポンプ装置10Bを含む。なお、図5の例では、水中ポンプ装置10A,10Bの2台を図示するが、これに限らず3台以上の水中ポンプ装置10が貯水タンク100内に設置されてもよい。
水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bとの各構成は、図1に示す水中ポンプ装置10と同様の構成であり、説明の便宜上、符号に対して「A」および「B」を付与して区別する。
【0036】
ここでは、水中ポンプ装置10Aの無線通信部39Aは、他方の水中ポンプ装置10Bの無線通信部39Bとの間で状態信号(運転/停止状態、液位情報、タイマ値等)、互いの運転許可・運転禁止の指示情報の無線通信を行う。
【0037】
また、水中ポンプ装置10Aの無線通信部39Aと水中ポンプ装置10Bの無線通信部39Bでは、ポンプ運転情報を交換する。ポンプ運転情報は、運転モード、動作順、運転情報、液位情報、積算運転時間、積算始動回数、識別番号、故障来歴、センサ情報のうちの少なくとも1つを含む。運転モードは、例えば単独運転モード、交互運転モード、交互並列運転モードのうちのどのモードであるかを示す。動作順は、運転モードが、交互運転モードまたは交互並列運転モードである場合、先発で動作する主機であるか、後発で動作する従機であるかを示す。なお、3台以上の水中ポンプ装置10が設定される場合は、従機1、従機2といったように、従機の中でも動作順を設定すればよい。
運転情報は、水中ポンプ装置10の動作状況を示す運転状態であり、例えば、水中ポンプ装置10が運転中であるか、低水位停止中であるか、故障停止中であるか、警報発報中であるかを示す。液位情報は、フロートスイッチのオンオフ情報またはフロートスイッチによって検出された、設定液位L1に対する高低の情報を示す。識別番号は、水中ポンプ装置10を一意に識別する番号である。故障来歴は、水中ポンプ装置10が故障した際の故障個所および故障日時などの情報を示す。センサ情報は、例えば、水中ポンプ装置10の故障発生時におけるセンサ情報であり、温度計測部35で計測された温度、電流計測部34で計測された電流値、運転周波数計測部36で計測された運転周波数値である。
ポンプ運転情報により、例えば、フロートスイッチ40Aによって検出された液位情報とフロートスイッチ40Bによって検出された液位情報を交換している。取得した相手方のポンプ運転情報は、自身のポンプ運転情報とともに、例えば記憶部37に記憶する。
【0038】
以下、このように構成された水中ポンプ装置10Aおよび水中ポンプ装置10Bによって行われる排水動作について説明する。始めに、交互運転動作について、図6のフロー図に沿って説明する。交互運転動作とは、水中ポンプ装置10A、10Bのいずれか一方のみを運転する動作である。
【0039】
まず、使用者が電源をオンにすると、制御部31Aおよび制御部31Bが起動する。
ステップSB1では、制御部31Aはポンプ22Aの動作の停止を、制御部31Bはポンプ22Bの動作の停止を確認する。
【0040】
ステップSB2では、無線通信部39Aと無線通信部39Bとが、ポンプ運転情報を交換し、主機・従機の割り当てを設定する。主機・従機の決定方法としては、例えば、互いに積算運転時間または積算始動回数の情報を交換し、積算運転時間が短い方、積算始動回数が少ない方を主機として設定する。または、互いにランダムに数値を決定し、決定された数値が大きい方を主機として設定すればよい。ここでは、水中ポンプ装置10Aが主機、水中ポンプ装置10Bが従機に設定される。また、無線通信部39Aと無線通信部39Bとが、互いに無線通信可能か否かを判定してもよい。これにより、無線通信が不可能となった場合は、液位が上昇していると判定できる。
【0041】
ステップSB3では、制御部31Aが、フロートスイッチ40Aがオンになるか否かを判定する。フロートスイッチ40Aがオンである場合、ステップSB4に進み、オフである場合、フロートスイッチ40Aがオンとなるまで当該判定処理を継続する。なお、従機である水中ポンプ装置10Bは、最初は主機である水中ポンプ装置10Aが始動するため、フロートスイッチ40Aがオンとなれば、基本的にはフロートスイッチ40Bもオンとなるが、動作は開始しない。
【0042】
ステップSB4では、フロートスイッチ40Aによって貯水タンク100の液面が設定液位L1を超えたと判定され、制御部31Aは、ポンプ22Aを始動する。なお、ポンプ22Aが始動する情報が、無線通信部39Aから水中ポンプ装置10Bの制御部31Bへと送信される。
【0043】
ステップSB5では、フロートスイッチ40Aがオフとなるか否かを判定する。フロートスイッチ40Aがオフになれば、貯水タンク100の液位が低下していると判定できる。フロートスイッチ40Aがオフである場合、ステップSB6に進み、フロートスイッチ40Aがオンのままであれば、貯水タンク100の液面が設定液位L1を超えているため、フロートスイッチ40AがオフとなるまでステップSB5の処理を継続する。なお、ポンプ22を運転すれば、フロートスイッチ40がオフとなるはずであるが、運転している場合でもフロートスイッチ40がオフにならなければ、制御部31は、モータ23Aの運転周波数を増加させ高速で回転させることで、ポンプ22の排水能力を増加させる制御を実行してもよい。
【0044】
ステップSB6では、無線通信部39Aと無線通信部39Bとが無線通信可能であるか否かを判定する。無線通信が可能である場合、ステップSB7に進み、無線通信が不可能である場合、ステップSB5に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0045】
ステップSB7では、無線通信が可能となるまで液位が低下しているため、制御部31Aが停止条件を満たすか否かを判定する。ここでは、無線通信が可能となれば、停止条件を満たすとしてステップSB8に進むことを想定するが、無線通信が可能となることに加えて、さらに図4の説明で上述した電流または温度の計測値による閾値判定を行い、提示条件を決定してもよい。例えば、制御部31Aは、無線通信部39Aおよび39Bで無線通信が可能であり、かつ脈動電流が発生していれば、停止条件を満たすと判定してもよい。
【0046】
ステップSB8では、制御部31Aは、ポンプ22Aを停止する。
ステップSB9では、無線通信部39Aと無線通信部39Bとが互いに通信することにより、主機・従機を入れ替えるように設定する。制御部31Aは、ポンプ22Aが停止した後、自身を従機に設定し、ポンプ22Aが停止したことを示す停止情報を、無線通信部39Aから無線通信部39Bへと送信する。制御部31Bは、無線通信部39Bが受信したポンプ22Aの停止情報を受けて、自身の水中ポンプ装置10Bを主機として設定する。
【0047】
その後、制御部31Bは、ステップSB1からステップSB9までの水中ポンプ装置10Aの主機の役割を実行する。このように、フロートスイッチと無線通信とにより、複数台の水中ポンプ装置10Aによる交互運転を実現できる。
【0048】
このように水中ポンプ装置10Aおよび水中ポンプ装置10Bが交互運転する場合において、水中ポンプ装置は、水中ポンプ装置10Aおよび水中ポンプ装置10Bの始動基準となる設定液位L1の検出をフロートスイッチ40で、停止基準となる設定液位L0の検出を無線通信で行うことができる。また、起動を交互に行うことで、運転時間の平準化を図ることで、メンテナンスコストを低減することができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る水中ポンプ装置10の交互並列運転の一例について図7および図8のフローチャートを参照して説明する。
交互並列運転動作とは、設定液位L1を超えた場合は最初にポンプ装置10A,10Bのうち一方を始動させ、しばらく時間が経過しても設定液位L1を下回らなければ、両方共に運転する動作である。
【0050】
まず、使用者が電源をオンにすると、制御部31Aおよび制御部31Bが起動する。
ステップSB1からステップSB4までは、図6と同様の処理であり、水中ポンプ装置10Aが単独運転する場合である。
【0051】
ステップSC1では、制御部31Bが、水中ポンプ装置10Aのポンプが始動してから所定時間経過してもフロートスイッチ40Bがオンのままであるか否かを判定する。時間は、時間計測部33により計測されればよい。フロートスイッチ40Bが所定時間経過してもオンのままである場合、ステップSC2に進み、そうでなければ、図6に示す水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bとの交互運転を実行すればよい。
【0052】
ステップSC2では、制御部31Bが、水中ポンプ装置10Bを始動する。すなわち、水中ポンプ装置10Aのポンプを始動するだけでは、液位が減少せず、そのまま水中ポンプ装置10Aのポンプの単独運転では貯水タンク100から液体が溢れる可能性があるため、水中ポンプ装置10Bも同時に運転させる並列運転を実行する。
【0053】
ステップSC3では、制御部31Bが、フロートスイッチ40Bがオフであるか否かを判定する。フロートスイッチ40Bがオフである場合、ステップSC4に進み、フロートスイッチがオフではない、つまりオンである場合、ステップSC3の判定処理を継続する。なお、並列運転を継続すれば、フロートスイッチ40がオフとなるはずであるが、並列運転している場合でもフロートスイッチ40がオフにならなければ、制御部31は、モータ23Aおよびモータ232Bの運転周波数を増加させ高速で回転させることで、ポンプ22の排水能力を増加させる制御を実行してもよい。
【0054】
ステップSC4では、制御部31Bが、無線通信部39Bが水中ポンプ装置10Aの無線通信部39Aとの無線通信が可能であるか否かを判定する。無線通信が可能であれば、ステップSB9に進み、無線通信が不可能であれば、ステップSC3に戻り、同様の処理を繰り返す。
なお、図7の例では、並列運転により液位が減少し、無線通信部39による無線通信が可能となり、そのまま停止条件を満たして水中ポンプ装置10Aが停止することを想定する。続いて、ステップSB9において、無線通信部39Aと無線通信部39Bとの通信により、水中ポンプ装置10間で主機・従機を交代する。
【0055】
ステップSC5では、制御部31Bが、ポンプ22Bの停止条件を満たすか否かを判定する。停止条件は、ステップSA7と同様の基準で判定すればよい。停止条件を満たす場合、ステップSC6に進む。なお、停止条件を満たさない場合は、図8に示す処理に移行する。
【0056】
ステップSC6では、制御部31Bが、ポンプ22Bを停止する。その後は、水中ポンプ装置10Bが図7の水中ポンプ装置10Aに示す主機の動作を実行し、水中ポンプ装置10Aが水中ポンプ装置10Bに示す従機の動作を実行し、同様の処理を交互に繰り返す。
【0057】
続いて、ステップSC5で停止条件を満たさない場合の水中ポンプ装置10の運転例を図8に示す。
ここでは、ステップSB9の処理により、水中ポンプ装置10Aが停止後に無線通信により従機として設定され、水中ポンプ装置10Bは運転中であるが無線通信により主機として設定された後、並列運転が解除されたが、1台の水中ポンプ装置10Bでは排水が間に合わず、液位が上昇した場合を想定する。液位が上昇する間、無線通信部39Aおよび無線通信部39Bによる無線通信が不可能となり、フロートスイッチ40がオンとなったと想定する。
【0058】
ステップSD1では、制御部31Aが、水中ポンプ装置10Bのポンプが始動してから所定時間経過してもフロートスイッチ40Aがオンのままであるか否かを判定する。フロートスイッチ40Aが所定時間経過してもオンのままである場合、ステップSD2に進み、そうでなければ、図6に示す水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bとの交互運転を実行する。
【0059】
ステップSD2では、制御部31Aが、水中ポンプ装置10Aを始動し、並列運転を実行する。その後は、水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bとの役割が入れ替わった動作をするため、詳細な説明は省略する。
【0060】
なお、実際の運転環境によっては、2台の水中ポンプ装置10間でポンプの停止の度に主機・従機を入れ替えることで、積算運転時間および積算始動回数が平均化されず、一方の水中ポンプ装置の運転時間が短いという偏りが生じることも考えられる。この場合は、主機・従機を交互に切り替えず、運転開始時に、無線通信部39間で積算運転時間または積算始動回数を送受信し、積算運転時間または積算始動回数が少ない水中ポンプ装置10が主機として始動すればよい。これにより、ある水中ポンプ装置10が連続して主機として動作することもあるが、複数台の水中ポンプ装置10のメンテナンスのタイミングを揃えることができ、効率的な運用を実現できる。
【0061】
また、複数台の水中ポンプ装置10において、主機・従機の切り換えが上手く設定されず、複数台の水中ポンプ装置10が主機として設定され同時に始動する場合や、水中ポンプ装置10が1台も主機として設定されず、どれも始動しないという場合も想定される。このような場合、1台の水中ポンプ装置10に「優先機」である旨を記憶部37に記憶しておき、主機が重複して設定された場合または主機が1台も設定されない場合は、制御部31が、無線通信により水中ポンプ装置10間でリセット動作を行い、「優先機」が主機として設定され、他の水中ポンプ装置10は、従機として設定されるようにすればよい。
【0062】
なお、複数台の水中ポンプ装置10の装置間でポンプ運転情報をやりとりすることで、主機、従機の動作順を決定する例を説明したが、これに限らず、各水中ポンプ装置10が、外部端末から交互運転モードおよび交互並列運転モードの切り換え指示を受信し、当該切り替え指示に応じて、各水中ポンプ装置10の制御部31が、各交互運転モードおよび交互並列運転モードを切り替えるようにしてもよい。
【0063】
図6から図8に示すように、本実施形態に係る水中ポンプ装置10においては、排水すべき液体が増え、水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bを設置する場合、水中ポンプ装置10Aと水中ポンプ装置10Bの構成を同一構成とすることができ、ポンプ装置1台当たりの製造コストを低減することが可能となる。また、フロートスイッチ40を手動で動かすことで、簡単にポンプを始動させることができる。さらに、運転時間の平準化を図ることで、メンテナンスコストを低減することが可能である。
【0064】
また、制御部31Aおよび制御部31Bは、「周波数一定モード」および「電流値一定モード」を必要に応じて切り換えると説明したが、「周波数一定モード」および「電流値一定モード」を同時に設定することも可能である。
【0065】
以上に示した本実施形態によれば、水中ポンプ装置の上部にフロートスイッチを、下部に無線通信部をそれぞれ配置し、フロートスイッチによりポンプの始動を、無線通信部による無線通信によりポンプの停止を制御する。これにより、使用者よりも低位に配置されることが多い水中ポンプ装置の上部にあるフロートスイッチのオンオフを切り替えるだけで、簡単にポンプの試運転を実行できる。また、無線通信が可能となった場合に、ポンプを停止、または交互運転および交互並列運転時に主機・従機を切り替えることができる。このように、簡便かつ多様な液位制御を実行できる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0067】
10…水中ポンプ装置、20…筐体、22…ポンプ、22a…開口部、22b…吐出口、23…モータ、30…電装部、31…制御部、32…インバータ、33…時間計測部、34…電流計測部、35…温度計測部、36…運転周波数計測部、37…記憶部、38…入力インタフェース、39…無線通信部、40…フロートスイッチ、100…貯水タンク、200…外部配管、301…シールド、302,303…シールド材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8