(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031040
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/14 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G06F11/14 661
G06F11/14 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134334
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 紘太郎
(57)【要約】
【課題】画像検査装置から収集したデータを、人手を介さず自動的に処理することが可能な画像処理システムを提供する。
【解決手段】第1記憶手段を備え、ワークの画像を取得するとともに取得した前記画像に基づく画像検査を実行し、前記画像及び検査結果を含む検査データを前記第1記憶手段に格納する画像検査装置と、前記画像検査装置にネットワークを介して接続され、前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記ネットワーク上の他の記憶領域に収集するデータ収集装置と、前記ネットワークを介して前記画像検査装置及び前記データ収集装置に接続され、前記画像検査装置を監視及び制御するとともに、前記データ収集装置に対して、前記データ収集装置のシステム関数を使用して該システム関数に応じた処理を実行するための指令を送信する制御装置と、有する、画像処理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶手段を備え、ワークの画像を取得するとともに取得した前記画像に基づく画像検査を実行し、前記画像及び検査結果を含む検査データを前記第1記憶手段に格納する画像検査装置と、
前記画像検査装置にネットワークを介して接続され、前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記ネットワーク上の他の記憶領域に収集するデータ収集装置と、
前記ネットワークを介して前記画像検査装置及び前記データ収集装置に接続され、前記画像検査装置を監視及び制御するとともに、前記データ収集装置に対して、前記データ収集装置のシステム関数を使用して該システム関数に応じた処理を実行するための指令を送信する制御装置と、
を有する、画像処理システム。
【請求項2】
前記データ収集装置は、第2記憶手段を備えており、所定の条件に従って前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記第2記憶手段に収集する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記ネットワークに接続される一つ以上の記憶装置をさらに有しており、
前記制御装置は前記記憶装置に前記検査データを転送する前記指令である転送指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記転送指令を受信することによりデータ転送に係る前記システム関数を使用して、前記第2記憶手段から前記記憶装置に前記検査データを転送する処理を実行する、
請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記記憶装置に新たなディレクトリを作成する前記指令であるディレクトリ作成指令、及び前記転送指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記ディレクトリ作成指令を受信することによりディレクトリ作成に係る前記システム関数を使用して前記記憶装置に新たなディレクトリを作成する処理を実行するとともに、前記新たに作成されたディレクトリに対して前記第2記憶手段から前記検査データを転送する処理を実行する、
請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記記憶装置を複数有しており、
前記制御装置は、前記検査データの属性を特定する情報及び前記属性の違いに応じて異なる前記記憶装置を指定する情報を含む前記転送指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記特定された属性を有する前記検査データを前記第2記憶手段から前記指定された前記記憶装置に転送する処理を実行する、
請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記データ収集装置にはデータ圧縮を行うアプリケーションプログラムがインストールされており、
前記制御装置は、前記記憶装置内の所定条件を満たした前記検査データを、前記データ圧縮を行うアプリケーションプログラムにより圧縮する前記指令であるデータ圧縮指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記データ圧縮指令を受信することにより前記データ圧縮のためのアプリケーションを起動する前記システム関数を使用して、前記記憶装置内の前記所定条件を満たした前記検査データを圧縮する処理を実行する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記データ収集装置にはデータ分析を行うアプリケーションプログラムがインストールされており、
前記制御装置は、前記記憶装置に格納されている前記検査データを、前記データ分析を行うアプリケーションプログラムにより分析する前記指令であるデータ分析指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記データ分析指令を受信することにより前記データ分析のためのアプリケーションを起動する前記システム関数を使用して、前記記憶装置に格納されている前記検査データを取得するとともに該検査データを分析する処理を実行する、
請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記データ収集装置は、前記分析の結果に係る分析結果情報を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記分析結果情報に基づいて前記画像検査装置の検査閾値の設定を行う、
請求項7に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記データ収集装置は、許容する前記指令及び前記ネットワークを介して前記データ収集装置に対して送信されるその他の命令の内容を掲載した許容指令リストを保持しており、
前記許容指令リストに基づいて、受信した前記指令又は前記命令を実行するか否かを決定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の生産ラインでは、ラインの中間工程や最終工程に、製品を撮影した画像に基づいて当該製品の検査を行う検査装置を配置し、不良の検出や不良品の仕分けなどが行われている。近年、このような検査装置に関して、撮影した画像データや検査データ(検査結果、計測データなどを含む)を、検査装置から単に削除してしまうのではなく、ネットワークで接続された大容量ストレージに保存することが公知になっている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、製品の外観検査を実施する外観検査装置を含む画像処理システムにおいて、検査結果のデータをNAS(Network Attached Storage)に保存したり、さらに外部ネットワークに接続されるクラウドサーバにNASのデータをバックアップすることが開示されている。このようなシステムによれば、検査に係るデータ(画像データを含む)を長期にわたり保存することができるとともに、ネットワーク経由でデータを利用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなシステムにおいては、画像を含む検査データなどはNASの予め設定されたディレクトリに保存されるため、保存データがすぐに保存容量の限度に達してしまい、保存先の定期的な変更或いはバックアップ(移し替え)が必要になるという問題がある。また、このような作業に伴って、データの属性(検査対象の品種、検査日時)に応じて保存先を分別することが行われる場合もあるが、ヒューマンエラーによる分別ミスなどが生じるおそれもあった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、画像検査装置から収集したデータを、人手を介さず自動的に処理することが可能な画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。即ち、
第1記憶手段を備え、ワークの画像を取得するとともに取得した前記画像に基づく画像検査を実行し、前記画像及び検査結果を含む検査データを前記第1記憶手段に格納する画像検査装置と、
前記画像検査装置にネットワークを介して接続され、前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記ネットワーク上の他の記憶領域に収集するデータ収集装置と、
前記ネットワークを介して前記画像検査装置及び前記データ収集装置に接続され、前記画像検査装置を監視及び制御するとともに、前記データ収集装置に対して、前記データ収集装置のシステム関数を使用して該システム関数に応じた処理を実行するための指令を送信する制御装置と、
を有する、画像処理システムである。
【0008】
ここで、制御装置としてはPLC(Programmable Logic Controller)を例示することができる。また、上記の第1記憶手段は例えば前記画像処理装置とポイント・ツー・ポイントでのみアクセス可能な外部ストレージであってもよい。ここで、ポイント・ツー・ポイントとは、前記画像処理装置と外部ストレージとが一対一で直接接続されることを示している。即ち、第1記憶手段は前記画像処理装置に内蔵されている必要はなく、例えばUSB(Universal Serial Bus)3.0以降の規格により接続されるSSD(Solid State Drive)などであってもよい。
【0009】
上記のような構成であれば、データ収集装置のシステム関数を使用して、収集したデータの転送(移動)、バックアップ(コピー)、圧縮、分析、ディレクトリの新規作成などの様々な処理を実行するための指令を制御装置から送信することで、人手によらないで柔軟なファイル管理を実行することができる。
【0010】
また、前記データ収集装置は、第2記憶手段を備えており、所定の条件に従って前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記第2記憶手段に収集するのであってもよい。即ち、前記記憶領域はデータ収集装置が備える第2記憶手段であってもよい。このような構成によれば、画像検査装置の第1記憶手段からデータ収集装置がデータを収集することと、データ収集装置の第2記憶手段からさらにデータをNASなどのネットワークストレージに転送することを分離して実行することが可能になる。このため、データ収集を行う際に、画像検査装置へアクセスする時間を画像検査装置の第1記憶手段からデータ収集装置の第2記憶手段に送信する時間のみにすることができ、画像検査装置がデータ収集のために割くリソースを低減し、画像処理速度の高速化を図ることができる。
【0011】
また、前記画像処理システムは、前記ネットワークに接続される一つ以上の記憶装置をさらに有しており、前記制御装置は前記記憶装置に前記検査データを転送する前記指令である転送指令を前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置は、前記転送指令を受信することによりデータ転送に係るシステム関数を使用して、前記第2記憶手段から前記記憶装置に前記検査データを転送する処理を実行する、ものであってもよい。このような構成であると、ネットワークストレージの残容量などに応じて、柔軟なタイミングでデータ転送を実行することが可能になる。
【0012】
また、前記制御装置は、前記記憶装置に新たなディレクトリを作成する前記指令であるディレクトリ作成指令、及び前記転送指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記ディレクトリ作成指令を受信することによりディレクトリ作成に係るシステム関数を使用して前記記憶装置に新たなディレクトリを作成する処理を実行するとともに、前記新たに作成されたディレクトリに対して前記第2記憶手段から前記検査データを転送する処理を実行するものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、データの属性(例えば、データ取得日など)に応じて新たなディレクトリを作成したうえで、当該作成したディレクトリに検査データを保存するようにデータの転送処理を行うことが可能になる。このため、人手によらないで自動的にデータの整理を行うことができ、データ整理に伴う人為的ミスを防止することができる。
【0014】
また、前記画像処理システムは、前記記憶装置を複数有しており、
前記制御装置は、前記検査データの属性を特定する情報及び前記属性の違いに応じて異なる前記記憶装置を指定する情報を含む前記転送指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記特定された属性を有する前記検査データを前記第2記憶手段から前記指定された前記記憶装置に転送する処理を実行するものであってもよい。
【0015】
このような構成であれば、検査データをその属性(例えば、検査対象の品種・品番など)に応じて、複数のネットワークストレージのいずれかに割り振って保存するようにデータの転送処理を行うことが可能になる。これによれば、記憶装置単位で自動的にデータの整理を行うことができるとともに、一つの記憶装置に全てのデータが転送される場合に比べて、各記憶装置の容量が限界となるタイミングを延ばすことができる。即ち、データのバックアップの頻度を少なくすることができる。
【0016】
また、前記データ収集装置にはデータ圧縮を行うアプリケーションプログラムがインストールされており、
前記制御装置は、前記記憶装置内の所定条件を満たした前記検査データを、前記データ圧縮を行うアプリケーションプログラムにより圧縮する前記指令であるデータ圧縮指令を前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記データ圧縮指令を受信することにより前記データ圧縮のためのアプリケーションを起動するシステム関数を使用して、前記記憶装置内の前記所定条件を満たした前記検査データを圧縮する処理を実行するものであってもよい。
【0017】
このような構成によれば、例えば(所定期限の渡過などにより)品質監視対象外となった製品の検査データなどを圧縮する処理を実行ことにより、自動的に記憶装置の容量を確保することが可能になる。
【0018】
また、前記データ収集装置にはデータ分析を行うアプリケーションプログラムがインストールされており、前記制御装置は、前記記憶装置に格納されている前記検査データを、前記データ分析を行うアプリケーションプログラムにより分析する前記指令であるデータ分析指令を前記データ収集装置に送信し、前記データ収集装置は、前記データ分析指令を受信することにより前記データ分析のためのアプリケーションを起動するシステム関数を使用して、前記記憶装置に格納されている前記検査データを取得するとともに該検査データを分析する処理を実行するものであってもよい。さらに、前記データ収集装置は、前記分析の結果に係る分析結果情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記分析結果情報に基づいて前記画像検査装置の検査閾値の設定を行うようにしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、一定量の検査データの蓄積に応じて自動的にデータの分析を実行するとともに、当該分析結果に基づいて、制御装置が画像検査装置の検査閾値などの検査設定データを、自動的に再設定(変更)することができる。即ち、画像検査を最適な検査設定で実施することが可能なように、自動的にデータ分析及び検査設定を実行することが可能になる。
【0020】
また、前記データ収集装置は、許容する前記指令及び前記ネットワークを介して前記データ収集装置に対して送信されるその他の命令の内容、を掲載した許容指令リストを保持しており、
前記許容指令リストに基づいて、受信した前記指令又は前記命令を実行するか否かを決定する、ものであってもよい。
【0021】
なお、上記の許容指令リストに掲載される内容は、指令の内容すべてのみを指すのではなく、指令に含まれるシステム関数の一部の文字列などが掲載されるのであってもよい。以下ではこのようなものも含めて、許容指令リストに掲載された内容を許容コマンドとも称する。なお、許容コマンドはユーザーが適宜追加・削除を行えるようになっていてもよい。このような構成によれば、データ収集装置がシステム関数を使用した所定のデータ処理の実行を指示する指令を受領した場合において、許容コマンドのみを実行するようにすることができる。これにより、システム関数を使用した指令を悪用してデータ収集装置に
望ましくない処理を実行させることを防止することができる。また、許容指令リストへのアクセスを特定の権限を有する者のみ、及び又は特定の端末からのみとすることにより、より安全性を高くすることができる。
【0022】
また、上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像検査装置から収集したデータを、人手を介さず自動的に整理することが可能な画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、適用例に係る画像処理システムの概略を示す概略図である。
【
図2】
図2は、適用例に係る画像処理システムと従来の画像処理システムとの処理速度の違いを説明する説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像処理システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第1の図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第2の図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第3の図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第4の図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第5の図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る画像処理システムにおける情報処理の流れの例を示す第6の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<適用例>
(システム概要)
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
本発明は例えば、
図1に示すような画像処理システム9として適用することができる。
図1は本適用例に係る、画像処理システム9の概略を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本適用例に係る画像処理システム9は概略、画像検査装置としての外観検査装置100と、データ収集装置としての産業用情報処理端末(IPC:IndustrialPC)200と、制御装置としてのPLC300と、NAS400と、を有しており、これらはLAN(Local Area Network)によって接続されている。また、外観検査装置100にはローカルな通信規格データ(例えばUSB3.0)でSSD101が接続されている。
【0026】
(外観検査装置)
外観検査装置100は、製品の生産ラインに設置され、製品(以下ワークともいう)の画像を撮影するとともに、該撮影したワークの画像に対して予め設定される検査項目及び該項目に係る値の閾値を含む検査基準に基づく外観検査を実施する。なお、外観検査装置100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、補助記憶装置(SSD、フ
ラッシュメモリなど)、などを備える情報処理端末とすることができる。
【0027】
また、外観検査装置100は、撮影したワークの画像のデータと、当該画像に対して行った検査の結果に係るデータ(以下、これらを併せて検査データともいう)を、SSD101に記憶する。
【0028】
(データ収集装置)
IPC200は、CPU、RAMなどの主記憶装置、補助記憶装置、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、出力装置(ディスプレイ、プリンタ、スピーカなど)、通信手段などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成される。
【0029】
IPC200は、所定の条件に従って、外観検査装置100に接続されているSSD101から、ネットワーク上の所定の記憶領域に検査データを収集する機能を有する。所定の記憶領域としては、IPC200自身の補助記憶装置、NAS400などを例示することができる。また、所定の条件は、例えば、ユーザーによる指示、所定時刻または所定時間間隔の到来、後述するPLC300からの指令などとすることができる。
【0030】
(NAS)
NAS400は、大容量のストレージであり、IPC200が外観検査装置100から収集した検査データはNAS100に格納される。従来から知られている画像処理システムにおいては、画像処理装置において処理された画像データ(を含むデータ)は、ネットワークを介して直接NASに送信されるものであった。一方、本適用例に係る画像処理システム9では、このような構成ではなく、NAS400は、IPC200によって収集されたデータを受信して格納する。
【0031】
(PLC)
PLC300は、外観検査装置100及びIPC200の稼働状況を監視し適宜制御を行う制御装置である。また、PLC300は外観検査装置100及びIPC200の稼働状況、SSD101、NAS400の残容量などの情報、所定時刻や所定時間間隔の到来といった事項に基づいて、予め設定されたルールに合致するように、IPC200に様々な指令(以下、コマンドともいう)を送信する。具体的には、PLC300は、IPC200に対してIPC200のシステム関数を使用してIPC200に様々な情報処理を実行させるためのコマンドを送信し、IPC200が当該コマンドに応じたシステム関数による処理を実行する。ここで、PLC300がIPC200に対して送信するコマンドには様々なものが含まれており、例えばIPC200からNAS400へのファイル移動(転送)を実行させるもの(moveコマンド)、NAS400上に新たなディレクトリ(ファイル格納領域)を作成する処理を実行させるもの(mkdirコマンド)などが含まれている。
【0032】
このように、PLC300が外観検査装置100及びIPC200の稼働状況を監視しつつ、IPC200に対してシステム関数を使用した様々な情報処理の実行を行わせるコマンドを送信可能な構成にすることによって、都度人手を介在させることなく自動的に柔軟なデータ管理に係る処理を実行することが可能になる。
【0033】
例えば、PLC300は外観検査装置100の稼働状況に応じて検査データの転送処理の影響が少ないタイミングでIPC200に対してデータ収集処理を実行させるコマンドを送信し、SSD101からIPC200へと検査データの収集を実行させる。そして、IPC300は、適宜のタイミングでさらにNAS400へ検査データを転送させる処理をIPC200に実行させるコマンドを送信する。これらの処理を自動的に実行可能とす
ることで、例えば外観検査装置100がデータ転送に係る処理にリソースを割くことを抑制することができる。
【0034】
図2は、IPC200がSSD101から検査データを収集し、NAS400にこれを転送する処理に関する、従来の方法と本適用例を用いた方法との比較を示す説明図である。
図2に示すように、例えば所定の規則に従ってSSD101からの検査データ収集とNAS400への転送を一括して実行する従来の方法(
図2上段)では、転送終了までの間ずっと外観検査装置100のSSD101へのアクセスが発生することになる。そして、SSD101へのアクセスが発生している間は、外観検査装置100の画像処理性能が低下するおそれがある。一方、上述のように、PLC300が外観検査装置100の負荷の低いタイミングを見計らって、検査データ収集のコマンドをIPC200に送信することで検査データを取得し、その後さらに適宜のタイミングでIPC200からNAS400へのデータ転送を実行させるコマンドを送信するようにすることで、IPC200がSSD101へアクセスする時間を大きく低減することができる。これにより、外観検査装置100の処理速度低下を防止し、システム全体の処理速度を向上させることが可能になる。
【0035】
なお、本発明は、上記適用例以外にも様々な態様で実施することができる。以下では、本発明の実施形態の例をさらに詳しく説明する。
【0036】
<実施形態1>
(システム構成)
図3は、本実施形態に係る画像処理システム1の構成例を模式的に示す図である。また、
図4は、本実施形態に係る画像処理システム1の機能構成の概略を示す機能ブロック図である。画像処理システム1は、適用例に係る画像処理システム9と概ね同一の構成を有している。このため、画像処理システム9と同様の構成については同一の符号を付し、改めての説明は省略する。なお、本実施形態に係る画像処理システム1は、複数のNAS(NAS400a、NAS400b・・・NAS400n)を有しているが、以下ではNAS400a、NAS400b・・・NAS400nについて、これらを区別して言及する必要が無い場合においては、単にNAS400として説明を行うことがある。
【0037】
なお、
図3、
図4において、各構成要素間を繋ぐ線は通信の接続関係を示しており、実線がローカル接続、点線は一般的な通信規格による接続回線(例えば、Ethernetなど)、一点鎖線は一般的な通信規格よりも速度及び安定性に優れた規格(例えば、EtherCATなど)である。
【0038】
(外観検査装置)
外観検査装置100は、
図4に示すように、機能部として、制御部110、記憶部120、通信部130、を有している。
【0039】
制御部110は、例えばCPUなどを含んで構成され、所定のプログラムに従って外観検査装置100全体の制御を司る。なお、所定のプログラムは記憶部120に保存され、ここから読み出される。制御部110は、さらに機能モジュールとして、画像取得部111、検査実施部112を備えている。各機能モジュールは、例えば記憶部120に格納されたプログラムをCPUが読み込み実行することにより実現してもよい。
【0040】
記憶部120は、例えばRAMやROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、取り外し可能なSSD101などの補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は制御部110において実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置は、外観検査のための検査項目、検査閾値といった検査基
準に係るデータ、撮影されたワークの画像、実施された検査の結果データなどの各種データが格納される。なお、本実施形態におけるSSD101が本発明における第1記憶手段に相当する。
【0041】
通信部130は、ネットワークを介して、データ収集装置200、PLC300などの他の機器との通信を行う。なお、通信部130は、接続される通信ネットワークとの接続方式に応じて適宜の構成を採用でき、有線、無線のいずれの態様でも接続可能なように構成することができる。
【0042】
画像取得部111は、外観検査装置100に内蔵又は接続される撮影手段により、ワークの画像を取得する。また、検査実施部112は、画像取得部111が取得した画像データに基づき、ワークの外観検査を実施する。具体的には画像の特徴量に基づいてワーク形状の計測、欠陥(キズ、汚れ)の検出などを行い、ワークが良品か否かを決定する処理を行う。そして、当該処理に係る画像データと結果データ(計測値、良否判定結果など)を、SSD101に都度格納する。なお、以下では外観検査に係る画像データと結果データをまとめて「検査データ」ともいう。
【0043】
(IPC)
IPC200は、CPU、RAM、ROMなどの主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置、通信手段などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成される。また、
図4に示すように、IPC200は機能部として、制御部210、記憶部220、通信部230を有している。
【0044】
制御部210は、例えばCPUなどを含んで構成され、所定のプログラムに従ってIPC200全体の制御を司る。制御部210はさらに機能モジュールとして、指令内容実行部211を備えている。指令内容実行部211は、後述するように、PLC300から送信されるシステム関数を使用する様々なコマンドを実行し、当該コマンドに応じた処理をIPC200が行うように制御する。
【0045】
記憶部220は、例えばRAMやROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、ハードディスク、SSDなどの補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は制御部210において実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置は、外観検査装置100から収集したデータ、後述する許容指令リストなどの各種情報を格納する。なお、本実施形態におけるIPC200の補助記憶装置が本発明における第2記憶手段に相当する。
【0046】
通信部230は、ネットワークを介して、外観検査装置100、PLC300、NAS400などの他の機器との通信を行う。なお、通信部230は、接続される通信ネットワークとの接続方式に応じて適宜の構成を採用でき、有線、無線のいずれの態様でも接続可能なように構成することができる。
【0047】
なお、図示しないが、IPC200はキーボード、マウス、タッチパネルなどの各種入力手段や、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの各種出力手段を備えており、これらを介して情報の入出力が行われる。
【0048】
(PLC)
PLC300は、外観検査装置100及びIPC200の稼働状況を監視し適宜制御を行う制御装置である。
図4に示すように、PLC300は機能部として、制御部310、記憶部320、通信部330を有している。制御部310はさらに機能モジュールとして、指令内容生成部311、端末状態監視部312を備えている。
【0049】
指令内容生成部311は、予め定められる所定のルールに従い、IPC200に実行させるデータ管理に関する様々なコマンドを生成し、適宜のタイミングで通信部330を介してIPC200に送信する。生成されるコマンドには、例えば処理の内容そのものを示すコマンド本体や処理の対象を指定するための識別子などが含まれる。
【0050】
端末状態監視部312は、外観検査装置100、IPC200の稼働状況を監視し、装置の負荷や記憶容量などが所定の条件を満たした場合には、指令内容生成部311に当該情報を提供する。また、外観検査装置100については、各部のセンサデータなどの稼働状況に係る各種データを取得するとともに、記憶部320に記憶する。
【0051】
記憶部320、通信部330は、外観検査装置100やIPC200の記憶部、通信部と同様に構成することができるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
(データ収集処理の流れ)
次に、
図5及び
図6に基づいて、本実施形態に係る画像処理システム1において、検査データを収集する際の基本的な処理の流れを説明する。
図5及び
図6は、画像処理システム1内で行われる情報の授受、及び処理の流れを示す図である。
図5に示すように、まず外観検査装置100はワークを撮影して画像データを取得し(S101)、当該画像データに基づいてワークの外観検査処理を実行する(S102)。そして、外観検査に係る画像データ及び検査結果のデータをローカルなストレージであるSSD101に保存する。
【0053】
PLC300は、外観検査装置100の稼働状況を常時監視している。即ち外観検査装置100の稼働状況データが常時PLC300によって取得されている(S104)。PLC300は、当該稼働状況データに基づいて、検査データを収集するのに適切なタイミングか否かの判定を継続的に実施し(S105)、適切なタイミングであると判定した場合にはIPC200に対して検査データを収集すべき旨の指令を送信する(S106)。
【0054】
なお、検査データを収集すべき旨の指令は、必ずしもシステム関数を使用するコマンドである必要はなく、IPC200がSSD101に対してデータ要求信号を送信するためのトリガに相当するものであってもよい。PLC300から指令を受けたIPC200は検査データ収集の条件が満たされたとして収集処理を実行し(S107)、外観検査装置100に対して、SSD101内の検査データを送信することを要求する信号を出力する(S108)。
【0055】
IPC200からデータ要求信号を受信した外観検査装置100は、SSD101内の検査データを送信する処理を実行し(S109)、SSD101から検査データ(画像データ、結果データ)が送信されてIPC200の記憶部220に保存される(S110)。ここで、一旦データ収集処理が終了する。これにより、IPC200がSSD101にアクセスする時間を限定することができる。
【0056】
(データ転送処理の流れ)
続けて、
図6に基づいて、その後の検査データ処理の一例を説明する。PLC300は、所定の条件の達成(例えば、所定時刻の到来)をトリガとして、IPC200の記憶部220に格納されている検査データをNAS400へ転送する処理を行うための指令を生成し(S111)、当該コマンドをIPC200に送信する(S112)。指令を受信したIPC200はシステム関数(例えばmoveコマンド)を使用して、指令の内容(即ち、NAS400への検査データの転送)を実行するための処理を行う(S113)。これにより、NAS400へ画像データ及び検査結果データが送信され(S114)、所定のディレクトリに検査データがファイル形式で保存されて、一連の処理が終了する。
【0057】
(品種別に異なるNASへ転送する処理)
なお、複数あるNAS400のいずれに検査データを転送するかは、予め設定されたルールに基づいて行うようにしてもよい。或いは、次に説明するように、検査対象であるワークの品種の違いなどに応じてPLC300が転送先のNAS400を指定する内容の指令を作成し、IPC200は当該指令に基づいて検査データの転送先を決定するのであってもよい。
【0058】
図7は、ワークの品種に応じて検査データの転送先のNASを振り分ける場合の処理の流れを示す図である。
図7に示すように、PLC300の指令内容生成部311は、IPC200の記憶部220に格納されている検査データを、ワークの品種に応じてそれぞれ異なるNAS400へ転送する処理を行うための指令を生成する(S201)。具体的には、例えばXという品種のワークの検査データについてはNAS400aに転送し、Yという品種のワークの検査データについてはNAS400bに転送する、という内容の指令を生成する。即ち、ステップS201では、指令の内容として転送を実行するためのコマンド本体だけでなく、ワークの品種を指定する識別子、転送先のNAS400を指定する識別子などを含む指令が生成される。なお、ワークの品種を指定する識別子は、検査データのファイル名の一部を指定するようなものであってもよい。
【0059】
ステップS201で生成された指令はIPC200に送信され(S202)、指令を受信したIPC200は、システム関数を使用して、指令の内容、即ち、記憶部220に格納されている検査データを、ワークの品種に応じて指定されたNAS400へそれぞれ転送するための処理を実行する(S203)。これにより、検査データがIPC200の記憶部220から、転送先として指定された各NAS400へ送信され(S204)、それぞれのNAS400に検査データが保存されて、一連の処理が終了する。
【0060】
以上のような本実施形態に係る画像処理システム1によれば、外観検査装置100から検査データを適宜のタイミングで収集することができるとともに、ワークの品種などに応じて、自動的に転送先のNAS400を設定したうえで転送処理を実行することができる。これにより、ヒューマンエラーを防止するとともに、転送先のNASの容量が不足する前に新たな保存先を指定することもでき、人手による定期的なデータの整理(ファイルの分類や、バックアップ即ちNASの容量確保など)の作業を大幅に低減することが可能になる。
【0061】
(許容指令リストによる判定)
なお、IPC200は、PLC300からIPC200に送信される指令或いは、ネットワークを介してIPC200に送信されるその他の命令について、受け付けるか否かを判定する処理を行うようになっていてもよい。具体的には、IPC200は記憶部220に実行を許可するシステム関数をリスト化した許容指令リストを保持しており、当該リストに掲載されていないシステム関数の実行を要求するコマンドを拒否するように構成することができる。
【0062】
図8に、このような許容指令リストによる判定処理を行う場合の処理の流れの一例を示す。まず、PLC300は、IPC200に対してNAS400に新たなディレクトリを作成する処理と、新たなディレクトリをYYYYMMDD形式の日付が含まれる名称にする処理と、IPC200の記憶部220に格納されている検査データをその検査実施日の属性に応じて対応するディレクトリに転送する処理とを実行させる指令を生成する(S301)。そして、当該指令がPLC300からIPC200に送信される(S302)。指令を受信したIPC200は、記憶部220に保持している許容指令リストを参照し、PLC300から受信した指令を実行するか否かを判定する処理を行う(S303)。具
体的には、新たなディレクトリを作成するシステム関数、新規ディレクトリの命名を行うシステム関数、ファイルの転送を行うシステム関数、それぞれについて許容指令リストに掲載されているかを照合する。
【0063】
ステップS303において判定処理が行われた後は、当該判定結果をPLC300に対して送信する(S304)。以下では、指令に含まれるシステム関数がいずれも許容指令リストに掲載されている場合の流れの説明を行う。なおIPC200は、PLC300から送信された指令が許可リストに掲載されていないシステム関数を使用しての処理を要求するものであった場合には、そこで処理を終了する。
【0064】
ステップS303で、指令に含まれているシステム関数は全て許容指令リストに掲載されているものであると判定した場合には、IPC200は、新たなディレクトリを作成するシステム関数を使用してNAS400に新たなディレクトリを作成し、当該新規ディレクトリの命名を行うシステム関数によりディレクトリ名を設定する(S305)。そして、ファイルの転送を行うシステム関数を使用して、記憶部220に格納されている検査データを、その検査実施日に応じて対応する日付のディレクトリへ格納されるように転送処理を実行する(S306)。これにより、検査データがIPC200の記憶部220から、NAS400の転送先として指定されたディレクトリへ送信され(S307)、それぞれのディレクトリに検査データが保存されて、一連の処理が終了する。
【0065】
なお、上記の許容指令リストに掲載される内容は、指令の内容すべてを指すのではなく、指令に含まれるシステム関数の一部の文字列などが掲載されるのであってもよい。このようなものも含めて、許容指令リストに掲載された内容を許容コマンドとも称する。なお、許容コマンドはユーザーが適宜追加・削除を行えるようになっていてもよい。このような構成によれば、IPC200がシステム関数を使用した所定のデータ処理の実行を指示する指令を受領した場合において、許容コマンドのみを実行するようにすることができる。これにより、システム関数を使用した指令を悪用してIPC200に望ましくない処理を実行させることを防止することができる。また、許容指令リストへのアクセスを特定の権限を有する者のみ、及び又は特定の端末からのみとすることにより、より安全性を高めることができる。
【0066】
(他のアプリケーションプログラムを用いる処理)
なお、画像処理システム1では、IPC200からNAS400へのファイルの転送のみならず、その他の様々な処理をPLC300からの指令に基づいて自動的に実行することができる。具体的には、例えばデータ圧縮を行うアプリケーションプログラムを用いて、NAS400のデータサイズを圧縮する処理をIPC200に実行させることも可能である。
【0067】
図9は、このようなデータ圧縮処理を行う場合のPLC300、IPC200の処理の流れを示す図である。
図9に示すように、まずPLC300は、所定の時間間隔の到来などをトリガとして、NAS400内に格納されている品質管理期間を渡過したファイルの圧縮をIPC200に対して実行させる指令を生成する(S401)。そして、当該指令がPLC300からIPC200に送信される(S402)。指令を受信したIPC200は、アプリケーションプログラムを起動するシステム関数を用いてファイル圧縮プログラムを起動し、NAS400の対象となるファイル(指定されたファイル)のサイズを圧縮する処理を実行する(S403)。これにより、NAS400の記憶容量を確保することができる。
【0068】
(外観検査装置の設定変更)
また、画像処理システム1では、IPC200が実行した処理の結果に基づいて、PL
C300が外観検査装置100の検査基準の設定(変更)を実行することも可能である。
図10は、このようなPLC300による外観検査装置100の検査基準の自動設定を行う場合の処理の流れの一例を示す図である。
図10に示すように、まずPLC300は、所定の時間間隔の到来などをトリガとして、IPC200に対して、NAS400内に格納されている検査データを取得し(例えば記憶部220にコピーを作成)、当該検査データに対して分析を行う処理を実行する指令を生成する(S501)。そして、当該指令がPLC300からIPC200に送信される(S502)。指令を受信したIPC200は、NAS400に対して所定内容の検査データを要求する信号を送信し(S503)、NAS400はこれを受けて、画像データ、結果データを含む検査データをIPC200に送信する(S504)。検査データを取得したIPC200は、システム関数を使用してデータ分析を行うアプリケーションプログラムを起動し、検査データの集合に対してデータ分析を実行する(S505)。そして、IPC200はデータ分析の結果(例えば、所定の検査項目に対する最適閾値のパラメータなど)をPLC300に送信する(S506)。データ分析結果の情報を受信したPLC300は、当該結果に基づいて外観検査装置100の新たな検査パラメータ(例えば、所定の検査項目の新規閾値)を作成し(S507)、当該パラメータの情報を外観検査装置100に送信する(S508)。そして、外観検査装置100において、受信した新たなパラメータを新規検査基準として設定し(S509)、一連の処理を終了する。
【0069】
これによれば、一定量の検査データの蓄積に応じて自動的にデータの分析を実行するとともに、当該分析結果に基づいて、PLC300が外観検査装置100の検査閾値などの検査設定データを、自動的に再設定(変更)することができる。即ち、画像検査を最適な検査設定で実施することが可能なように、自動的にデータ分析及び検査設定を実行することが可能になる。
【0070】
<その他>
なお、上記の実施形態の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。例えば、上記実施形態に係る画像処理システム1では外観検査装置100は一つのみの構成であったが、複数の外観検査装置を備える構成であってもよい。この場合には各外観検査装置はHUBを介してIPC200に接続されるのであってもよい。
【0071】
また、上記実施形態において説明されている処理の流れはあくまで一例であり、各ステップの処理をさらに分割して捉えたり、処理の順序を適宜入れ換えたりすることが可能なことは言うまでもない。
【0072】
<付記>
第1記憶手段(101)を備え、ワークの画像を取得するとともに取得した前記画像に基づく画像検査を実行し、前記画像及び検査結果を含む検査データを前記第1記憶手段に格納する画像検査装置(100)と、
前記画像検査装置にネットワークを介して接続され、前記第1記憶手段に格納されている前記検査データを前記ネットワーク上の他の記憶領域(220、400)に収集するデータ収集装置(200)と、
前記ネットワークを介して前記画像検査装置及び前記データ収集装置に接続され、前記画像検査装置を監視及び制御するとともに、前記データ収集装置に対して、前記データ収集装置のシステム関数を使用して該システム関数に応じた処理を実行するための指令を送信する制御装置(300)と、
を有する、画像処理システム(1)。
【符号の説明】
【0073】
1、9・・・画像処理システム
400、400a、400b、400n・・・NAS
100・・・外観検査装置
110、210、310、・・・制御部
101・・・SSD
200・・・IPC
300・・・PLC