(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031053
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ハウジングユニット、コネクタ、ハウジングセット、及び、コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H01R13/46 304C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134349
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 慶紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 淳
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087HH04
5E087MM09
5E087MM12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】設置作業の作業性を向上可能なハウジングユニット、ハウジングセット、及び、コネクタを提供すること。
【解決手段】ハウジングユニットは、端子付き電線3,5の端子を収容可能な端子収容室13,23を有するハウジング2,4と、ハウジング2,4の外周壁のうち、ハウジング2,4を設置する設置対象7に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する突起部15,25と、突起部15,25に係合可能な係合部34を有してハウジング2,4に取付可能であり、ハウジング2,4を設置対象7に保持可能な保持具6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き電線の端子を収容可能な端子収容室を有するハウジングと、
前記ハウジングの外周壁のうち、前記ハウジングを設置する設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する突起部と、
前記突起部に係合可能な係合部を有して前記ハウジングに取付可能であり、前記ハウジングを前記設置対象に保持可能な保持具と、を備える、
ハウジングユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のハウジングユニットにおいて、
前記突起部は、
アンダーカット部を有さない形状を有する、
ハウジングユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のハウジングユニットにおいて、
前記保持具は、
板状の形状を有し、前記突起部が嵌まる形状の貫通孔を前記係合部として有し、
前記突起部は、
前記ハウジングと相手側ハウジングとの嵌合方向において前記貫通孔の孔縁部と向かい合う第1側壁と、前記嵌合方向に交差する方向において前記孔縁部と向かい合う第2側壁と、を有し、
前記第1側壁と前記外周壁とがなす角度は、前記第2側壁と前記外周壁がなす角度よりも小さい、
ハウジングユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のハウジングユニットにおいて、
前記突起部の前記外周壁からの突出高さは、前記貫通孔の貫通方向における孔長さよりも小さい、
ハウジングユニット。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のハウジングユニットと、
前記ハウジングの前記端子収容室に端子が収容される端子付き電線と、を備える、
コネクタ。
【請求項6】
端子付き電線の端子を収容可能な端子収容室を有し、互いに嵌合可能であり、所定の設置対象に設置されることになる第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングの外周壁のうち、前記設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する第1突起部と、
前記第2ハウジングの外周壁のうち、前記設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する第2突起部と、
前記第1突起部及び前記第2突起部の何れにも係合可能な係合部を有して前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの一方に選択的に取付可能であり、前記一方を前記設置対象に保持可能な保持具と、を備える、
ハウジングセット。
【請求項7】
請求項6に記載のハウジングセットと、
前記第1ハウジングに第1端子が収容される第1端子付き電線と、
前記第2ハウジングに第2端子が収容される第2端子付き電線と、を備える、
コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングとそのハウジングに取付可能な保持具とを備えるハウジングユニット、及び、端子付き電線とハウジングユニットとを備えるコネクタ、並びに、一対のハウジングとそれら一対のハウジングの一方に取付可能な保持具とを備えるハウジングセット、及び、端子付き電線とハウジングセットとを備えるコネクタセット、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定用金具を用いてコネクタを所定の設置対象に固定することが提案されている。例えば、従来のコネクタの一つは、固定用金具としてのブラケットをコネクタにネジ止めして、更にそのブラケットを設置対象にネジ止めすることで、設置対象に固定されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のコネクタでは、設置対象へコネクタを設置する際、ブラケットをコネクタにネジ止めする準備作業を行った後、実際の設置作業を行うことになる。そのため、設置対象が家屋等の建造物の天井裏である場合等のように準備作業を行うスペースを確保し難い場合、準備作業に時間を要する等の理由から、コネクタの設置作業の作業性を向上させ難いと考えられる。
【0005】
本発明の目的の一つは、設置作業の作業性を向上可能なハウジングユニット、ハウジングセット、及び、コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るハウジングユニット、コネクタ、ハウジングセット、及び、コネクタセットは、以下を特徴としている。
【0007】
端子付き電線の端子を収容可能な端子収容室を有するハウジングと、
前記ハウジングの外周壁のうち、前記ハウジングを設置する設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する突起部と、
前記突起部に係合可能な係合部を有して前記ハウジングに取付可能であり、前記ハウジングを前記設置対象に保持可能な保持具と、を備える、
ハウジングユニットであること。
【0008】
上述したハウジングユニットと、
前記ハウジングの前記端子収容室に端子が収容される端子付き電線と、を備える、
コネクタであること。
【0009】
端子付き電線の端子を収容可能な端子収容室を有し、互いに嵌合可能であり、所定の設置対象に設置されることになる第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングの外周壁のうち、前記設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する第1突起部と、
前記第2ハウジングの外周壁のうち、前記設置対象に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、突出する第2突起部と、
前記第1突起部及び前記第2突起部の何れにも係合可能な係合部を有して前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの一方に選択的に取付可能であり、前記一方を前記設置対象に保持可能な保持具と、を備える、
ハウジングセットであること。
【0010】
上述したハウジングセットと、
前記第1ハウジングに第1端子が収容される第1端子付き電線と、
前記第2ハウジングに第2端子が収容される第2端子付き電線と、を備える、
コネクタセット。
【発明の効果】
【0011】
本発明のハウジングユニット及びコネクタは、端子収容室を有するハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、その突起部を用いてハウジングに取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易にハウジングに取り付けることができるし、ハウジングから保持具が脱落することを防ぐことができる。したがって、本構成のハウジングユニット及びコネクタは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0012】
更に、本発明のハウジングセット及びコネクタセットは、端子収容室を有する第1,第2ハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、第1,第2ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、第1,第2ハウジングの一方に、その突起部を用いて取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易に第1,第2ハウジングに取り付けることができるし、保持具が取り付けられた第1,第2ハウジングの一方から保持具が脱落することを防ぐことができる。加えて、第1,第2ハウジングを嵌合するとき、第1,第2ハウジングの一方が保持具で設置対象に保持されていれば、その一方の位置ズレが抑制されるため、その一方に第1,第2ハウジングの他方を嵌合させる作業も容易になる。したがって、本構成のハウジングセット及びコネクタセットは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタセットが、家屋等の建造物の天井板の上面(天井裏)に固定された状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すコネクタセットを構成するオスハウジング及びメスハウジングの内部にある端子付き電線を示す透視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すコネクタセットを構成するオスハウジング、メスハウジング及びブラケットが互いに分離した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すコネクタセットにおけるオスハウジングの突起部とブラケットの貫通孔との係合箇所の周辺を示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5のB-B断面におけるオスハウジング及びブラケットを示す図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るコネクタセットにおけるオスハウジング及びブラケットを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、参考例に係るコネクタセットにおける
図3に対応する図である。
【
図10】
図10は、
図8に示すオスハウジングとメスハウジングとが嵌合した状態における
図9のC-C断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタセット1について説明する。
図1~
図3に示すように、コネクタセット1は、端子付き電線3と、端子付き電線3のオス端子16を収容するオスハウジング2と、端子付き電線5と、端子付き電線5のメス端子27を収容するメスハウジング4と、オスハウジング2及びメスハウジング4の一方に選択的に取付可能なブラケット6と、を備える。端子付き電線3が接続されたオスハウジング2と、端子付き電線5が接続されたメスハウジング4とが嵌合することで、
図2に示すように、端子付き電線3のオス端子16と端子付き電線5のメス端子27とが互いに接触して、オス端子16とメス端子27とが電気的に接続することになる。
【0016】
コネクタセット1は、典型的には、家屋等の建造物の天井板の上面や、柱や壁等の造営材に設置される。これらを設置対象7と総称する。ここで、
図1には、ブラケット6を有するコネクタセット1を設置対象7に一対のボルト8で固定する例が示されている。但し、天井板の上面のように、コネクタセット1を載せ置くだけでコネクタセット1の過度な位置ズレが生じ難い場合、ブラケット6を用いずに(いわゆる、転がし配線の状態で)コネクタセット1を設置してもよい。
【0017】
家屋等の建造物での配線にコネクタセット1が用いられる場合、通常、メスハウジング4から延出する端子付き電線5の電線は、分電盤に接続され、オスハウジング2から延出する端子付き電線3の電線は、室内壁面のコンセント(換言すると、アウトレット)に接続される。分電盤に繋がる端子付き電線5のメス端子27が、不用意に外部に露出して作業者の指先等が端子に触れること(いわゆる、触指)を防ぐ観点から、メスハウジング2の電線収容部22は、相手側端子であるオス端子16を受け入れる開口部(いわゆる、間口)を除き、メス端子27の周辺を取り囲んで収容するようになっている。
【0018】
コネクタセット1において、オスハウジング2及びブラケット6、並びに、メスハウジング4及びブラケット6が、本発明の「ハウジングユニット」に対応し、オスハウジング2、メスハウジング4及びブラケット6が、本発明の「ハウジングセット」に対応し、端子付き電線3、オスハウジング2及びブラケット6、並びに、端子付き電線5、メスハウジング4及びブラケット6が、本発明の「コネクタ」に対応している。
【0019】
以下、説明の便宜上、
図1~
図10に示すように、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」を定義する。「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」は、互いに直交している。前後方向は、オスハウジング2とメスハウジング4との嵌合方向、並びに、端子付き電線3のオス端子16と端子付き電線5のメス端子27との接続方向と、一致している。オスハウジング2及びメスハウジング4の各々について、相手側ハウジングとの嵌合の進行側及び退行側をそれぞれ「前」側及び「後」側とする。よって、オスハウジング2についての「前」及び「後」と、メスハウジング4についての「前」及び「後」とは、互いに逆になっている。
図1~
図10では、メスハウジング4についての「前」及び「後」を主に示し、オスハウジング2についての「前」及び「後」はカッコ書きで示す。以下、コネクタセット1を構成する各部品について順に説明する。
【0020】
まず、端子付き電線3及び端子付き電線5について説明する。端子付き電線3は、
図2に示すように、左右方向に一列に並ぶように配置された3本の電線の外周を一括してシース3aが覆う平型の3芯ケーブル(いわゆる、VVFケーブル)と、そのケーブルの端末部においてシース3aが除去されて露出した3本の電線の端末3bにそれぞれに接続された3本のオス端子16と、で構成されている。同様に、端子付き電線5は、幅方向に一列に並ぶように配置された3本の電線の外周を一括してシース5aが覆う平型の3芯ケーブル(いわゆる、VVFケーブル)と、そのケーブルの端末部においてシース5aが除去されて露出した3本の電線5bの端末にそれぞれに接続された3本のメス端子27と、で構成されている。
【0021】
次いで、オスハウジング2について説明する。オスハウジング2は、樹脂成形体であり、
図3に示すように、前後方向に延びる略直方体状の端子収容部11と、端子収容部11の前側に位置し且つ前方に開口する略矩形筒状のフード部12と、を一体に有する。端子収容部11には、
図2及び
図6に示すように、3つの端子収容室13が左右方向に並ぶように設けられている。3つの端子収容室13には、後側から、端子付き電線3の3つのオス端子16がそれぞれ挿入され収容される。各々のオス端子16は、各々の端子収容室13に設けられたランス17に係止されて、各々の端子収容室13内に保持される。端子収容室13に端子付き電線3のオス端子16が収容された状態では、オス端子16の先端部(タブ部16a。図示省略)がフード部12の中空部に位置している。
【0022】
フード部12を構成する上壁の内壁面(下面)には、左右一対の被ロック部14が設けられている(
図3、
図6及び
図10参照)。オスハウジング2とメスハウジング4との嵌合時、左右一対の被ロック部14は、メスハウジング4の後述する左右一対のロック突起24(
図3参照)と係合することになる。
【0023】
フード部12を構成する左右側壁の外壁面(前後方向及び上下方向に延びる平面)には、
図3に示すように、左右一対の突起部15が設けられている。左右一対の突起部15は、必要に応じてブラケット6をオスハウジング2に取り付ける際に、ブラケット6の後述する左右一対の貫通孔34(
図3等参照)と係合する機能を果たす(
図5参照)。
【0024】
各突起部15は、
図4に示すように、突起部15の前後端を画成する前後一対の側壁15aと、突起部15の下端を画成する側壁15bと、突起部15の上端を画成する側壁15cと、を備える。一対の側壁15aの各々は、フード部12の外壁面からほぼ垂直に立ち上がると共に上下方向に延びている。側壁15bは、フード部12の外壁面からほぼ垂直に立ち上がると共に前後方向に延びている。側壁15cは、フード部12の外壁面から下方に向かうについて左右方向外側に移動する向きに斜めに立ち上がるとともに前後方向に延びている。よって、側壁15a,15bの各々とフード部12の外壁面とがなす角度(=ほぼ直角)は、側壁15cとフード部12の外壁面とがなす角度(=鈍角)よりも小さい。突起部15がこのような形状を有するため、フード部12の側壁の外壁面に突起部15を設けても、オスハウジング2の成形時にて前後方向に成形型を外す際に、アンダーカットが生じない。換言すると、突起部15は、アンダーカット部を有さない形状を有している。なお、アンダーカットとは、成型用の金型内でオスハウジング2やメスハウジング4のような成形品を成型(例えば、射出成型)した後、成形品を金型から取り出すために金型を分離方向に動かす(即ち、金型を開く)とき、分離方向において金型の内壁等が成形品に引っ掛かるような干渉が生じることで、金型を分離方向に移動できない現象を表す。また、アンダーカット部とは、上述したように金型の内壁等に干渉することになる成形品の突起部分等を表す。本例では、例えば、突起部15の側壁15aに相当する位置において一対の金型を前後方向に突き合わせた状態で(即ち、側壁15aに相当する位置に、いわゆる金型の割面が位置するように)、オスハウジング2を成型することが考えられる。オスハウジング2の成型後、一対の金型を前後方向に分離すれば、前後方向において突起部15の形状が一様であるため、アンダーカットが生じないことになる。
【0025】
次いで、メスハウジング4について説明する。メスハウジング4は、樹脂成形体であり、
図3に示すように、前後方向に延びる略直方体状の端子収容部21と、端子収容部21の後側に位置し且つ後方に開口する略矩形筒状の電線収容部22と、を一体に有する。オスハウジング2とメスハウジング4との嵌合時、端子収容部21は、オスハウジング2のフード部12の中空部に挿入されることになる。端子収容部21と電線収容部22との境界部の上端部及び下端部の各々には、
図3に示すように、前方を向いて左右方向に延びる段差面28を有する段差部が形成されている(
図5も参照)。
【0026】
端子収容部21には、オスハウジング2と同様、3つの端子収容室23が左右方向に並ぶように設けられている(
図3及び
図10参照)。3つの端子収容室23には、後側から、端子付き電線5の3つのメス端子27がそれぞれ挿入され収容される。各々のメス端子27は、オス端子16と同様、各々の端子収容室23に設けられたランス(図示省略)に係止されて、各々の端子収容室23内に保持される。端子収容室23に端子付き電線5のメス端子27が収容された状態では、メス端子27から後方へ延びる端子付き電線5の電線が、電線収容部22の中空部を介して後方へ延出している。
【0027】
端子収容部21の上端面(前後方向及び左右方向に延びる面)には、オスハウジング2の左右一対の被ロック部14に対応して、左右一対のロック突起24が設けられている(
図3及び
図10参照)。端子収容部21の上端面には、前後方向に延びる凸部及び凹部が左右方向に交互に並ぶ凹凸部26が構成されている(
図3参照)。
【0028】
電線収容部22を構成する左右側壁の外壁面(前後方向及び上下方向に延びる平面)には、
図3に示すように、左右一対の突起部25が設けられている。左右一対の突起部25は、オスハウジング2の突起部15と同様、必要に応じてブラケット6をメスハウジング4に取り付ける際に、ブラケット6の後述する左右一対の貫通孔34(
図3等参照)と係合する機能を果たす。突起部25の全体形状は、電線収容部22の左右側壁の左右方向の間隔がフード部12の左右側壁の左右方向の間隔より小さいことに起因して突起部25の突出高さが突起部15の突出高さより大きい点を除いて、突起部15の全体形状と同じである。よって、オスハウジング2に設けられた突起部15の場合と同様、電線収容部22の側壁の外壁面に突起部25を設けても、メスハウジング4の成形時にて前後方向に成形型を外す際に、アンダーカットが生じない。換言すると、突起部25は、アンダーカット部を有さない形状を有している。なお、電線収容部22の左右側壁の左右方向の間隔がフード部12の左右側壁の左右方向の間隔より小さいことから、ブラケット6をメスハウジング4に取り付けると、ブラケット6と電線収容部22の左右側壁との間に多少の隙間が生じ得る。しかし、上述したように突起部25の突出高さが定められていることで、このような隙間が生じても、ブラケット6の貫通孔34と突起部25の係合状態が意図せず解除されることはない。
【0029】
次いで、ブラケット6について説明する。ブラケット6は、必要に応じて、オスハウジング2及びメスハウジング4の一方に選択的に取り付けられて、コネクタセット1を設置対象7の上面(例えば、天井裏)に固定する機能を果たす。ブラケット6は、樹脂製又は金属製の帯状(板状)の形状を有する弾性部材であり、
図3に示すように、左右方向に延びる上壁部31と、上壁部31の左右方向両端部から下方に向けて延びる左右一対の側壁部32と、左右一対の側壁部32の下端部から左右方向外側に延びる左右一対の取付部33と、で構成されている。左右一対の側壁部32の左右方向の間隔は、オスハウジング2のフード部12の左右側壁の左右方向の間隔に対応し、側壁部32の上下方向の長さは、フード部12の高さ(上下方向の長さ)に対応している。各側壁部32には、板厚方向(左右方向)に貫通する矩形状の貫通孔34が設けられており、各取付部33には、板厚方向(上下方向)に貫通する貫通孔35が設けられている。以上、コネクタセット1を構成する各部品について説明した。
【0030】
次いで、コネクタセット1の組付手順について説明する。まず、ブラケット6が、必要に応じて、端子付き電線3が接続されたオスハウジング2、及び、端子付き電線5が接続されたメスハウジング4の一方に、選択的に取り付けられる。ブラケット6がオスハウジング2及びメスハウジング4の何れに取り付けられるかは、設置対象7の形状や設置作業を行うスペースの大小に応じて決定される。
【0031】
ブラケット6がオスハウジング2に取り付けられる場合、ブラケット6は、上方から、フード部12の上面及び左右側面を覆うように、且つ、左右一対の貫通孔34が左右一対の突起部15と係合するように、フード部12に取り付けられる。この取り付けは、左右一対の側壁部32が左右一対の突起部15を乗り越える際に左右方向外側への一時的な弾性変形を経て左右方向内側へ弾性復帰することで、左右一対の突起部15が左右一対の貫通孔34にそれぞれ収容されることで、完了する(
図5参照)。側壁部32は、突起部15の側壁15c及び突起部15の頂部を経て突起部15を乗り越える。ここで、側壁15cが上述したようにフード部12の外壁面から斜めに立ち上がっていることにより、側壁部32は、側壁15cから突起部15を容易に乗り越えることができる。
図6に示すように、突起部15のフード部12の外壁面からの突出高さは、貫通孔34の貫通方向(左右方向)における孔長さよりも小さい。よって、オスハウジング2にブラケット6を取り付けるときには突起部15と貫通孔34とを適正に嵌合でき、オスハウジング2にブラケット6を取り付けずにオスハウジング2のみを用いる場合でも、突起部15が設置作業の妨げになり難い。
【0032】
ブラケット6のオスハウジング2への取付完了状態では、
図5に示すように、突起部15の前後一対の側壁15aが貫通孔34の前後一対の上下方向に延びる孔縁部34aと向かい合い、突起部15の側壁15bが貫通孔34の下側の前後方向に延びる孔縁部34bと向かい合っている。加えて、側壁15a及び側壁15bは、フード部12の外壁面から垂直に立ち上がっている。このため、前後一対の側壁15aと貫通孔34の前後一対の孔縁部との係合により、オスハウジング2に対するブラケット6の前後方向の相対移動が規制され、側壁15bと貫通孔34の下側の孔縁部との係合により、オスハウジング2に対するブラケット6の上方への相対移動が規制される。オスハウジング2に対するブラケット6の下方への相対移動は、ブラケット6の上壁部31とフード部12の上壁とが当接することで規制される。これにより、オスハウジング2からのブラケット6の分離(脱落)が防止される。
【0033】
次いで、オスハウジング2のフード部12にメスハウジング4の端子収容部21が挿入されることで、端子付き電線3が接続され且つブラケット6が取り付けられたオスハウジング2と、端子付き電線5が接続されたメスハウジング4とが嵌合される(
図1参照)。これにより、
図2に示すように、端子付き電線3(のオス端子16)と端子付き電線5(のメス端子27)とが電気的に接続される。より具体的には、オス端子16のタブ部16aがメス端子27の箱部27aの中に挿入され、タブ部16aが、箱部27a内に設けられたバネ状接点(図示省略)に押圧接触する。嵌合完了状態では、オスハウジング2の被ロック部14とメスハウジング4のロック突起24とが互いに係合することで、オスハウジング2とメスハウジング4との分離が防止される。
【0034】
ブラケット6がメスハウジング4に取り付けられる場合も、ブラケット6がオスハウジング2に取り付けられる場合と同様である。即ち、ブラケット6は、上方から、電線収容部22の上面及び左右側面を覆うように、且つ、左右一対の貫通孔34が左右一対の突起部25と係合するように、電線収容部22に取り付けられる。次いで、端子付き電線3が接続されたオスハウジング2と、端子付き電線5が接続され且つブラケット6が取り付けられたメスハウジング4とが嵌合される。これにより、端子付き電線3(のオス端子16)と端子付き電線5(のメス端子27)とが電気的に接続される。
【0035】
以上のように、端子付き電線3が接続されたオスハウジング2及び端子付き電線5が接続されたメスハウジング4の一方にブラケット6が取り付けられ、且つ、オスハウジング2とメスハウジング4とが嵌合されることで、コネクタセット1が完成する。完成したコネクタセット1は、
図1に示す例では、ブラケット6の左右一対の貫通孔35に上側から挿通された左右一対のボルト8(
図1参照)を利用してブラケット6を設置対象7の上面(天井裏)に締結することで、設置対象7の上面(天井裏)に固定される。なお、以上の説明では、オスハウジング2とメスハウジング4とが嵌合された後にブラケット6の設置対象7への締結が行われているが、ブラケット6の設置対象7への締結が行われた後にオスハウジング2とメスハウジング4とが嵌合されてもよい。
【0036】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るコネクタセット1(ハウジングユニット及びコネクタ)によれば、端子収容室13,23を有するハウジング2,4の外周壁に突起部15,25が設けられ、ハウジング2,4を設置対象7に保持するためのブラケット6を、必要に応じてその突起部15,25を用いてハウジング2,4に取付可能である。そのため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、ブラケット6を容易にハウジング2,4に取り付けることができる。更に、ハウジング2,4からブラケット6が脱落することを防ぐことができる。したがって、本実施形態に係るハウジングユニット及びコネクタは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0037】
更に、本実施形態に係るコネクタセット1(ハウジングユニット)によれば、ブラケット6に突起部15,25が収容される貫通孔34が設けられ、突起部15,25がこの貫通孔34に係合する。突起部15,25は、ハウジング2,4を相手側ハウジング4,2に嵌合する際の嵌合方向(前後方向)において貫通孔34の孔縁部と向かい合う第1側壁(側壁15a)と、嵌合方向に交差する方向(上下方向)において孔縁部と向かい合う第2側壁(側壁15c)と、を有する。そして、第1側壁と外周壁とがなす角度は、第2側壁と外周壁がなす角度よりも小さい。よって、ブラケット6を取り付けたハウジング2,4に相手側ハウジング4,2を嵌合するとき、突起部15,25の第1側壁とブラケット6の貫通孔34の孔縁部とが係合することで、ハウジング2,4の位置ズレを抑制できる。更に、ハウジング2,4にブラケット6を取り付ける際、上記交差する方向からブラケット6を取り付けることで、ブラケット6が第2側壁から突起部15,25を容易に乗り越えて、貫通孔34に突起部15,25を収容できる。
【0038】
更に、本実施形態に係るコネクタセット1(ハウジングユニット)によれば、突起部15,25の外周壁からの突出高さは、貫通孔34の貫通方向における孔長さよりも小さい。よって、ハウジング2,4にブラケット6を取り付けるときには突起部15,25と貫通孔34とを適正に嵌合でき、ハウジング2,4にブラケット6を取り付けずにハウジング2,4のみを用いる場合でも、突起部15,25が設置作業の妨げになり難い。
【0039】
更に、本実施形態に係るコネクタセット1(ハウジングセット)によれば、ブラケット6が、オスハウジング2及びメスハウジング4の何れにも取付可能な構造を有し、オスハウジング2及びメスハウジング4の一方に選択的に取付可能である。よって、設置対象7の形状や設置作業を行うスペースの大小に応じて、設置に適したオスハウジング2及びメスハウジング4の一方を選択して、ブラケット6を取り付けることが可能である。したがって、本実施形態に係るハウジングセットは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0040】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、ブラケット6が、上壁部31と、左右一対の側壁部32と、左右一対の取付部33とで構成されている(
図3等参照)。これに対し、
図7に示すブラケット6が採用されてもよい。
図7に示すブラケット6は、
図3に示すブラケット6において、右側の取付部33に代えて、右側の側壁部32の下端部から左方に延びる底壁部36を設けることで、得られる。底壁部36は、フード部12の下面を覆うように、左側の取付部33の下側まで延びている。即ち、
図7に示すブラケット6は、フード部12の外周を全周に亘って覆う環状の形状を有している。底壁部36の先端部は左側の取付部33の下側に重なるように配置されており、底壁部36の先端部に設けられた貫通孔(図示省略)と左側の取付部33の貫通孔35とが上下方向に連通して「一連の貫通孔」を構成している。この「一連の貫通孔」に挿通されたボルト8(
図1参照)を利用して、ブラケット6が設置対象に締結固定される。
【0042】
更に、上記実施形態では、オスハウジング2及びメスハウジング4の双方に、ブラケット6の貫通孔34と係合する「突起部」が設けられている。これに対し、オスハウジング2及びメスハウジング4の何れか一方にのみ、ブラケット6の貫通孔34と係合する「突起部」が設けられてもよい。
【0043】
以下、
図8~
図10を参照しながら、参考例に係るコネクタセット1について説明する。参考例に係るコネクタセット1は、オスハウジング2及びメスハウジング4の何れにも「突起部」が設けられていない点、並びに、ブラケット6の構造が異なる点を除いて、上記実施形態に係るコネクタセット1と同じである。
【0044】
参考例に係るブラケット6は、ゴム製であり、
図8に示すように、矩形枠状の本体部41と、本体部41の下端部の左右端に連結された左右一対の固定部42と、で構成されている。各固定部42には貫通孔43が形成されている。本体部41は、メスハウジング4の端子収容部21の(前方からみた)外周形状(矩形状)に対応する矩形枠状の形状を有しており、端子収容部21に外挿可能(端子収容部21の外周に装着可能)となっている(
図9及び
図10参照)。本体部41の左右方向に延びる上側枠部の枠内面(下面)には、端子収容部21の上端面に形成された凹凸部26と嵌め合い可能な凹凸形状を有する凹凸部44が形成されている。
【0045】
参考例に係るコネクタセット1では、必要に応じて、
図9に示すように、本体部41が端子収容部21に外挿されることで、ブラケット6がメスハウジング4に取り付けられる。ブラケット6がメスハウジング4に取り付けられた状態(
図9参照)では、本体部41の凹凸部44とメスハウジング4の凹凸部26とが互いに嵌め合った状態になっている。次いで、オスハウジング2のフード部12にメスハウジング4の端子収容部21が挿入されることで、端子付き電線3が接続され且つブラケット6が取り付けられたオスハウジング2と、端子付き電線5が接続されたメスハウジング4とが嵌合される(
図10参照)。このように嵌合されることで、上述した実施形態と同様、オス端子16とメス端子27とが電気的に接続されることになる。
【0046】
嵌合完了状態(オスハウジング2の被ロック部14とメスハウジング4のロック突起24とが互いに係合した状態)では、
図10に示すように、ブラケット6の本体部41の左右方向に延びる上側枠部及び下側枠部の双方が、オスハウジング2のフード部12の先端面とメスハウジング4の上下の段差面28とによって前後方向に押し潰されている。このように、本体部41が前後方向に押し潰されること、並びに、本体部41の凹凸部44とメスハウジング4の凹凸部26とが互いに嵌め合った状態にあることで、ブラケット6は、オスハウジング2とメスハウジング4との嵌合部への外部からの水の侵入を防止するシール機能を発揮する。なお、嵌合が不完全な状態(オスハウジング2の被ロック部14とメスハウジング4のロック突起24とが互いに係合していない状態)では、前後方向に押し潰されていたブラケット6の本体部41の弾性回復力によって、オスハウジング2とメスハウジング4が互いに分離する向きに押し返される。これにより、オスハウジング2のフード部12の先端面とメスハウジング4の上下の段差面28との間の隙間が大きくなることで、嵌合が不完全な状態であることが目視にて確認し易くなる。
【0047】
以上のように、メスハウジング4に取り付けられたブラケット6は、ブラケット6の左右一対の貫通孔43に上側から挿通された左右一対のボルト8(
図1参照)を利用して、設置対象7の上面(天井裏)に締結される。なお、上記の説明では、参考例に係るブラケット6は、その全体がゴムで構成されているが、参考例に係るブラケット6は、その全体が金属又は樹脂で構成され、且つ、本体部41におけるフード部12の先端面とメスハウジング4の上下の段差面28とにより挟持される挟持面に、ゴム製のパッキン等の弾性部材が貼り付けられていてもよい。
【0048】
ここで、上述した本発明に係るハウジングユニット、コネクタ、ハウジングセット、及び、コネクタセットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
【0049】
[1]
端子付き電線(3,5)の端子を収容可能な端子収容室(13,23)を有するハウジング(2,4)と、
前記ハウジング(2,4)の外周壁のうち、前記ハウジング(2,4)を設置する設置対象(7)に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、前記外周壁から突出する突起部(15,25)と、
前記突起部(15,25)に係合可能な係合部(34)を有して前記ハウジング(2,4)に取付可能であり、前記ハウジング(2,4)を前記設置対象(7)に保持可能な保持具(6)と、を備える、
ハウジングユニット。
【0050】
上記[1]の構成のハウジングユニットによれば、端子収容室を有するハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、その突起部を用いてハウジングに取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易にハウジングに取り付けることができるし、ハウジングから保持具が脱落することを防ぐことができる。したがって、本構成のハウジングユニットは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0051】
[2]
上記[1]に記載のハウジングユニットにおいて、
前記突起部(15,25)は、
アンダーカット部を有さない形状を有する、
ハウジングユニット。
【0052】
上記[2]の構成のハウジングユニットによれば、ハウジングに設けられる突起部が、アンダーカット部を有さない形状を有する。そのため、金型を用いてハウジングを成型する際、アンダーカット部を成型するためのスライドコア等を要しないため、ハウジングの製造コストの低減等を図ることができる。
【0053】
[3]
上記[1]に記載のハウジングユニットにおいて、
前記保持具(6)は、
板状の形状を有し、前記突起部(15,25)が嵌まる形状の貫通孔(34)を前記係合部として有し、
前記突起部(15,25)は、
前記ハウジング(2,4)と相手側ハウジング(4,2)との嵌合方向において前記貫通孔(34)の孔縁部と向かい合う第1側壁(15a)と、前記嵌合方向に交差する方向において前記孔縁部と向かい合う第2側壁(15c)と、を有し、
前記第1側壁(15a)と前記外周壁とがなす角度は、前記第2側壁(15c)と前記外周壁がなす角度よりも小さい、
ハウジングユニット。
【0054】
上記[3]の構成のハウジングユニットによれば、保持具に突起部が嵌まる形状の貫通孔が設けられ、突起部がこの貫通孔に係合する。突起部は、ハウジング同士の嵌合方向において貫通孔の孔縁部と向かい合う第1側壁と、嵌合方向に交差する方向において孔縁部と向かい合う第2側壁と、を有する。そして、第1側壁と外周壁とがなす角度は、第2側壁と外周壁がなす角度よりも小さい。よって、ハウジングに保持具を取り付ける際、上記交差する方向から保持具を取り付けることで、保持具が第2側壁から突起部を容易に乗り越えて、貫通孔に突起部を嵌め込むことができる。更に、保持具を取り付けたハウジングに相手側ハウジングを嵌合するとき、突起部の第1側壁と保持具の貫通孔の孔縁部とが係合することで、ハウジングの位置ズレを抑制できる。
【0055】
[4]
上記[3]に記載のハウジングユニットにおいて、
前記突起部(15,25)の前記外周壁からの突出高さは、前記貫通孔(34)の貫通方向における孔長さよりも小さい、
ハウジングユニット。
【0056】
上記[4]の構成のハウジングユニットによれば、突起部の外周壁からの突出高さは、貫通孔の孔長さよりも小さい。よって、ハウジングに保持具を取り付けるときには突起部と貫通孔とを適正に嵌合でき、且つ、ハウジングに保持具を取り付けずにハウジングのみを用いるときには突起部が設置作業の妨げになり難い。
【0057】
[5]
上記[1]~上記[4]の何れか一つに記載のハウジングユニットと、
前記ハウジング(2,4)の前記端子収容室(13,23)に端子が収容される端子付き電線(3,5)と、備える、
コネクタ。
【0058】
上記[5]の構成のコネクタによれば、ハウジングの端子収容室に端子付き電線の端子が収容され、そのハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、その突起部を用いてハウジングに取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易にハウジングに取り付けることができるし、ハウジングから保持具が脱落することを防ぐことができる。したがって、本構成のコネクタは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0059】
[6]
端子付き電線(3,5)の端子を収容可能な端子収容室(13,23)を有し、互いに嵌合可能であり、所定の設置対象(7)に設置されることになる第1ハウジング(2)及び第2ハウジング(4)と、
前記第1ハウジング(2)の外周壁のうち、前記設置対象(7)に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、前記外周壁から突出する第1突起部(15)と、
前記第2ハウジング(4)の外周壁のうち、前記設置対象(7)に向かい合うことになる箇所とは異なる箇所から、前記外周壁から突出する第2突起部(25)と、
前記第1突起部(15)及び前記第2突起部(25)の何れにも係合可能な係合部(34)を有して前記第1ハウジング(2)及び前記第2ハウジング(4)の一方に選択的に取付可能であり、前記一方を前記設置対象(7)に保持可能な保持具(6)と、を備える、
ハウジングセット。
【0060】
上記[6]の構成のハウジングセットによれば、端子収容室を有する第1,第2ハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、第1,第2ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、第1,第2ハウジングの一方に、その突起部を用いて取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易に第1,第2ハウジングに取り付けることができるし、保持具が取り付けられた第1,第2ハウジングの一方から保持具が脱落することを防ぐことができる。加えて、第1,第2ハウジングを嵌合するとき、第1,第2ハウジングの一方が保持具で設置対象に保持されていれば、その一方の位置ズレが抑制されるため、その一方に第1,第2ハウジングの他方を嵌合させる作業も容易になる。加えて、設置対象の形状や作業スペースの大小に応じて、設置に適した第1,第2ハウジングの一方を選択して、保持具を取り付けることができる。したがって、本構成のハウジングセットは、設置作業の作業性を向上可能である。
【0061】
[7]
上記[6]に記載のハウジングセットと、
前記第1ハウジング(2)に第1端子が収容される第1端子付き電線(3)と、
前記第2ハウジング(4)に第2端子が収容される第2端子付き電線(5)と、を備える、
コネクタセット(1)。
【0062】
上記[7]の構成のコネクタセットによれば、第1,第2ハウジングの端子収容室に端子付き電線の端子が収容され、それら第1,第2ハウジングの外周壁に突起部が設けられている。そして、第1,第2ハウジングを設置対象に保持可能な保持具を、必要に応じて、第1,第2ハウジングの一方に、その突起部を用いて取付可能である。そのため、上述した従来のコネクタのようにハウジングと保持具とをネジ止めする作業を要しないため、作業スペースを十分に確保できない場合でも、保持具を容易に第1,第2ハウジングに取り付けることができるし、保持具が取り付けられた第1,第2ハウジングの一方から保持具が脱落することを防ぐことができる。加えて、第1,第2ハウジングを嵌合するとき、第1,第2ハウジングの一方が保持具で設置対象に保持されていれば、その一方の位置ズレが抑制されるため、その一方に第1,第2ハウジングの他方を嵌合させる作業も容易になる。加えて、設置対象の形状や作業スペースの大小に応じて、設置に適した第1,第2ハウジングの一方を選択して、保持具を取り付けることができる。したがって、本構成のコネクタセットは、設置作業の作業性を向上可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 コネクタセット
2 オスハウジング(ハウジング、第1ハウジング)
3 端子付き電線
4 メスハウジング(ハウジング、第2ハウジング)
5 端子付き電線
6 ブラケット(保持具)
7 設置対象
13 端子収容室
15 突起部(第1突起部)
15a 側壁(第1側壁)
15c 側壁(第2側壁)
23 端子収容室
25 突起部(第2突起部)
34 貫通孔(係合部)