IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-中間コネクタ 図1
  • 特開-中間コネクタ 図2
  • 特開-中間コネクタ 図3
  • 特開-中間コネクタ 図4
  • 特開-中間コネクタ 図5
  • 特開-中間コネクタ 図6
  • 特開-中間コネクタ 図7
  • 特開-中間コネクタ 図8
  • 特開-中間コネクタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031054
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】中間コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/00 20060101AFI20240229BHJP
   H01R 4/2429 20180101ALI20240229BHJP
【FI】
H01R31/00 A
H01R4/2429
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134350
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 慶紀
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012AA04
5E012AA41
(57)【要約】
【課題】拡張性や設計自由度に優れた中間コネクタを提供すること。
【解決手段】中間コネクタ1は、一対の端子22と、一対の端子22を繋ぐ導体21と、を有する接続体20と、接続体20を収容する収容空間13,14を有するホルダ10と、収容空間13,14に収容される接続体20を覆うようにホルダ10に取り付けられるカバー30と、を備える。カバー30は、収容空間13,14の中に配置され且つ導体21に押圧接触して導体21に電気的に接続される圧接構造を有する第1接点部35と、収容空間13,14の外に配置され且つ外部導体21に電気的に接続される第2接点部36と、が導通可能に繋がった圧接体33を有する。カバー30のホルダ10への取付時、一対の端子22の各々が配置され且つ相手側コネクタ40を嵌合可能な一対の嵌合部2が、カバー30及びホルダ10によって構成されるとともに、第1接点部35が導体21に圧接される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端子と、前記一対の前記端子を繋ぐ導体と、を有する接続体と、
前記接続体を収容する収容空間を有するホルダと、
前記収容空間に収容される前記接続体を覆うように前記ホルダに取り付けられるカバーと、を備える中間コネクタであって、
前記カバーは、
前記収容空間の中に配置され且つ前記導体に押圧接触して前記導体に電気的に接続される圧接構造を有する第1接点部と、前記収容空間の外に配置され且つ外部導体に電気的に接続されることになる第2接点部と、が導通可能に繋がった圧接体を有し、
前記カバーが前記ホルダに取り付けられるとき、
前記一対の前記端子の各々が配置されて相手側コネクタを嵌合可能な一対の嵌合部が前記カバー及び前記ホルダによって構成されるとともに、前記圧接体の前記第1接点部が前記導体に圧接される、
中間コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の中間コネクタにおいて、
前記圧接体の前記第2接点部は、
前記圧接構造を有し、前記外部導体に圧接されることになる、
中間コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の中間コネクタであって、
前記圧接体の前記第2接点部が圧接される前記外部導体と、前記外部導体に取り付けられる一対の外部端子と、を有する外部接続体と、
前記外部接続体を収容する外部ホルダと、
前記外部ホルダに収容される前記外部接続体を覆うように前記外部ホルダに取り付けられる外部カバーと、を更に備える、
中間コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋等の建造物に設置された分電盤に繋がる入力側コネクタから供給される電力を、種々の電気製品等の負荷に繋がる複数の出力側コネクタに分配するための、中間コネクタが提案されている。この種の中間コネクタは、分岐ボックスとも称呼される(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-186071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の中間コネクタ(分岐ボックス)では、入力側コネクタから出力側コネクタへの分岐経路に対応した形状のバスバが、ハウジングの内部に格納されている。そして、入力側コネクタ及び出力側コネクタが中間コネクタに嵌合されると、このバスバを介して、入力側コネクタから出力側コネクタに電力が伝達されるようになっている。このような構造上、従来の中間コネクタでは、電力分配の仕様(換言すると、分岐経路の形状。例えば、一の入力に対する出力の数など)に応じた専用形状のバスバを、その仕様ごとに製造する必要がある。更に、従来の中間コネクタでは、バスバは、板状の形状を有するオス端子(いわゆる、タブ端子)として用いられており、相手側端子としてのメス端子(例えば、中空の箱状部の中にバネ状接点が設けられた端子)に、挿入されるようになっている。ここで、一般にバスバを複雑な形状に加工することは難しく、例えば、バスバを上述したメス端子の形状に加工することや、複雑な分岐経路に対応した枝分かれ形状に加工することは、容易ではない。このように、従来の中間コネクタには、拡張性や設計自由度の点で改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明の目的の一つは、拡張性や設計自由度に優れた中間コネクタの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る中間コネクタは、以下を特徴としている。
【0007】
一対の端子と、前記一対の前記端子を繋ぐ導体と、を有する接続体と、
前記接続体を収容する収容空間を有するホルダと、
前記収容空間に収容される前記接続体を覆うように前記ホルダに取り付けられるカバーと、を備える中間コネクタであって、
前記カバーは、
前記収容空間の中に配置され且つ前記導体に押圧接触して前記導体に電気的に接続される圧接構造を有する第1接点部と、前記収容空間の外に配置され且つ外部導体に電気的に接続されることになる第2接点部と、が導通可能に繋がった圧接体を有し、
前記カバーが前記ホルダに取り付けられるとき、
前記一対の前記端子の各々が配置されて相手側コネクタを嵌合可能な一対の嵌合部が前記カバー及び前記ホルダによって構成されるとともに、前記圧接体の前記第1接点部が前記導体に圧接される、
中間コネクタであること。
【発明の効果】
【0008】
本発明の中間コネクタによれば、カバーがホルダに取り付けられることで、カバーが有する圧接体の第1接点部が、ホルダの収容空間の中に収容された接続体の導体に圧接される。更に、カバー及びホルダにより、相手側コネクタを嵌合可能な一対の嵌合部(例えば、いわゆる間口)が構成される。一対の嵌合部の各々には、接続体に繋がる一対の端子の各々が配置される。これにより、例えば、一対の端子の一方に電力が入力された場合、一対の端子の他方、及び、収容空間の外にある圧接体の第2接点部に、電力を出力することができる。一方、圧接体の第2接点部に電力が入力された場合には、一対の端子の双方に電力を出力することができる。換言すると、中間コネクタを介した電力分配が可能である。更に、従来の中間コネクタで用いられるバスバに比べ、ホルダ内の接続体には、任意の構造の端子(例えば、上述したオス端子やメス端子)を用いることが可能であるし、柔軟な電線を導体として用いれば複雑な分岐経路の実現も容易である。即ち、中間コネクタの設計自由度を向上できる。更に、収容空間の外にある接続体の第2接点部に、例えば、同様のホルダに収容された同様の接続体の導体を接続すれば、複数のホルダに収容された接続体を圧接体を介して連続的に繋げることができる。即ち、中間コネクタの拡張性を向上できる。したがって、本構成の中間コネクタは、拡張性にも設計自由度にも優れている。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る中間コネクタと、中間コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す中間コネクタの斜視図である。
図3図3は、図1に示す中間コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、図3に示す接続体(外部接続体)の斜視図である。
図5図5は、図2のB-B断面図である。
図6図6は、図1のA-A断面における中間コネクタの嵌合部と相手側コネクタとの嵌合箇所の周辺を示す図である。
図7図7は、図1に示す中間コネクタに接続される相手側コネクタの内部にある端子付き電線を示す透視図である。
図8図8は、家屋等の建造物の配線に中間コネクタが用いられている例を示す図である。
図9図9は、変形例に係る中間コネクタと、中間コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を示す、図6に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る中間コネクタ1について説明する。図1及び図2に示す中間コネクタ1は、典型的には、図8に示すように、家屋等の建造物に設置されたコンセント60(アウトレット)の裏側の空間に配置される。中間コネクタ1は、建造物に設置された分電盤50に繋がる入力側コネクタ40A(図1参照)、及び、コンセント60(即ち、コンセント60に接続される種々の電気製品等の負荷)に繋がる出力側コネクタ40B(図1参照)が嵌合された状態で使用されて、入力側コネクタ40Aから供給される電力を出力側コネクタ40Bに分配する機能を果たす。以下、入力側コネクタ40A及び出力側コネクタ40Bを区別する必要がない場合には、入力側コネクタ40A及び出力側コネクタ40Bの各々を、「相手側コネクタ40」と呼ぶこともある。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1図6に示すように、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」を定義する。「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」は、互いに直交している。前後方向は、中間コネクタ1の嵌合部2(図1参照)と相手側コネクタ40との嵌合方向と一致している。以下、中間コネクタを構成する各部品について順に説明する。
【0013】
中間コネクタ1は、図3に示すように、ホルダ10と、ホルダ10に収容される接続体20と、ホルダ10に取り付けられるカバー30と、カバー30の上側に積層配置される外部ホルダ10Aと、外部ホルダ10Aに収容される外部接続体20Aと、外部ホルダ10Aに取り付けられる外部カバー30Aと、を備える。以下、中間コネクタ1を構成する各部材について順に説明する。
【0014】
まず、ホルダ10について説明する。ホルダ10は、樹脂成形体であり、図3に示すように、上方に開口し且つ前後方向に延びる細長の略矩形箱状の形状を有している。ホルダ10は、電線収容部11と、電線収容部11の前後に位置する前後一対の端子収容部12とを、一体に有している。電線収容部11には、3つの電線収容空間13が、左右方向に間隔を空けて並ぶように区画形成されている。各電線収容空間13は、下方に窪み上方に開口し且つ前後方向に延びる空間である。前後一対の端子収容部12の各々には、3つの電線収容空間13に対応して、3つの端子収容空間14が、左右方向に間隔を空けて並ぶように区画形成されている。各端子収容空間14は、下方に窪み上方に開口し且つ前後方向に延びる空間である。各端子収容空間14において、その前後方向内側は対応する電線収容空間13と前後方向に連通し、その前後方向外側は外部と連通するように開口している。即ち、いわゆる間口が形成されている。前後一対の端子収容部12の各々の電線収容部11との境界近傍箇所の上面には、左右一対の下方に窪む係止孔15が形成されている。
【0015】
次いで、接続体20について説明する。本例では、接続体20は、図4に示すように、電線21と、電線21の両端末に接続された一対のメス端子22と、で構成される。メス端子22は、中空の箱状部26の中にバネ状接点が設けられた構造を有している。但し、メス端子22に代えて、オス端子(いわゆる、タブ端子。上述したメス端子の箱状部26の中に挿入されてバネ状接点に接触する矩形板状の接点部を有する端子)が用いられもよい。例えば、図9に示す例のように、分電盤50に繋がる入力側コネクタ40Aにメス端子22を収容し、不用意にメス端子22が外部に露出して作業者の指先等が端子に触れること(いわゆる、触指)を防ぐ観点から、相手側端子であるオス端子42のタブ部45を受け入れる開口部(いわゆる、間口。図2に示す開口3も参照)を除き、メス端子22の周辺を取り囲んで収容する場合がある。この例の場合、外部接続体20Aには、オス端子42が用いられることになる。
【0016】
図4に示すように、電線21は、導体芯線23と、導体芯線23の外周を覆う被覆24とで構成されており、容易に屈曲可能な柔軟性を有している。金属製のメス端子22は、電線21の端末部にて被覆24が除去されて露出した導体芯線23に圧着された電線接続部25と、箱状部26とを一体に有している。箱状部26は、相手側コネクタ40に属する後述するオス端子42のタブ部45(図6参照)が挿入可能な形状を有している。以上に説明した接続体20と、外部接続体20A(図3参照)とは、同じ構造(電線21の両端末に一対のメス端子22が接続された構造)を有しているので、以下、外部接続体20Aの説明は省略する。
【0017】
3本の接続体20の各々は、図3に示すように、電線21が対応する電線収容空間13に収容され、且つ、前後一対のメス端子22が前後一対の対応する端子収容空間14に収容されるように、ホルダ10に収容される。
【0018】
次いで、カバー30について説明する。カバー30は、樹脂成形体であり、図3に示すように、前後方向に延びる細長の略矩板状の形状を有している。カバー30は、中央カバー部31と、中央カバー部31の前後に位置する前後一対の端部カバー部32と、を一体に有している。中央カバー部31は、ホルダ10の電線収容部11の上開口を覆い、前後一対の端部カバー部32は、前後一対の端子収容部12の上開口を覆う機能を果たす。中央カバー部31には、ホルダ10に収容されている3本の電線21に対応して、3対(6つ)の金属製の圧接体33が圧入又はインサート成形等によって一体化されている。このため、中央カバー部31は、前後一対の端部カバー部32と比べて、板厚が大きく且つ上端面が上方に位置している。
【0019】
中央カバー部31に一体化されている各圧接体33は、図3図5及び図6に示すように、中央カバー部31に埋設されている連結部34と、連結部34の下側に位置して中央カバー部31の下方にて外部に露出している前後一対の圧接部35と、連結部34の上側に位置して中央カバー部31の上方にて外部に露出している前後一対の圧接部36と、を一体に備える。複数の圧接体33は、各圧接体33の左右方向位置が、ホルダ10(及び外部ホルダ10A)に収容された3本の電線21のうち対応する電線21の左右方向位置と一致するように、中央カバー部31に配置され固定されている。
【0020】
前後一対の端部カバー部32の各々の中央カバー部31との境界近傍箇所の下面には、ホルダ10の左右一対の係止孔15に対応して、左右一対の下方に突出する係止突起37が形成されている。中央カバー部31の上面の四隅部には、下方に窪む係止孔38が形成されている。
【0021】
カバー30は、中央カバー部31がホルダ10の電線収容部11の上開口を覆い、前後一対の端部カバー部32が前後一対の端子収容部12の上開口を覆い、且つ、カバー30の複数(4つ)の係止突起37がホルダ10の複数(4つ)の係止孔15にそれぞれ挿入されるように、ホルダ10に取り付けられる。カバー30がホルダ10に取り付けられるとき、カバー30の下方に露出している複数の圧接部35の各々がホルダ10に収容されている3本の電線21のうち対応する電線21に圧接される(図5及び図6参照)。この圧接は、圧接部35が有する左右一対の圧接刃35a(図5参照)が電線21の被覆24を切り裂いて電線21の導体芯線23に押圧接触することで達成される(図5参照)。この圧接により、カバー30に一体化されている複数の圧接体33の各々が、ホルダ10に収容されている対応する接続体20と導通接続される。カバー30のホルダ10への取付完了状態では、図示しない周知のロック構造によってカバー30のホルダ10からの上方への分離が防止される。例えば、この種のロック構造として、ホルダ10の外壁に設けられた係止爪と、カバー30の外壁に設けられた係止孔と、を互いに係合させるロック構造が挙げられる。
【0022】
カバー30のホルダ10への取付完了状態では、ホルダ10の前後一対の端子収容部12と、カバー30の前後一対の端部カバー部32とが組み合わされることで、図2に示すように、前後一対の前後方向に延びる略矩形筒状の嵌合部2(開口3を含む)が構成される。各嵌合部2について、その内部には、3本の接続体20のメス端子22が左右方向に並ぶように配置されており、その延出端(前後方向外側端)には、3つのメス端子22の各々に連通する3つの開口3が左右方向に並ぶように画成されている。嵌合部2は、相手側コネクタ40に属する後述するオスハウジング41のフード部44(図1及び図6参照)に挿入可能な形状を有している。
【0023】
次いで、外部ホルダ10Aについて説明する。図3に示す外部ホルダ10Aは、カバー30の4つの係止孔38に対応して電線収容部11の下面に4つの下方に突出する係止突起16が形成されている点、並びに、カバー30の上方に露出している複数の圧接部36を挿入するためのスリット(図示省略)が電線収容部11の下面に形成されている点を除いて、ホルダ10と同じ構造を有している。外部ホルダ10Aには、3本の接続体20がホルダ10に収容されるのと同様に、図3に示すように、3本の外部接続体20Aが左右方向に並ぶように収容される。
【0024】
外部ホルダ10Aは、外部ホルダ10Aの電線収容部11がカバー30の中央カバー部31の上面に載置されるように、且つ、外部ホルダ10Aの複数(4つ)の係止突起16がカバー30の複数(4つ)の係止孔38にそれぞれ挿入されるように、カバー30の上側に積層配置される。外部ホルダ10Aがカバー30の上側に積層配置されるとき、カバー30の上方に露出している複数の圧接部36の各々が上記スリットを挿通して外部ホルダ10Aに収容されている3本の外部接続体20Aの電線21のうち対応する電線21に圧接される(図5及び図6参照)。この圧接は、圧接部36が有する左右一対の圧接刃36a(図5参照)が電線21の被覆24を切り裂いて電線21の導体芯線23に押圧接触することで達成される(図5参照)。この圧接により、カバー30に一体化されている複数の圧接体33の各々が、外部ホルダ10Aに収容されている対応する外部接続体20Aと導通接続される。外部ホルダ10Aのカバー30への積層完了状態では、上記同様の図示しない周知のロック構造によって外部ホルダ10Aのカバー30からの上方への分離が防止される。このように、ホルダ10に取り付けられたカバー30の上側に外部ホルダ10Aが積層配置された状態では、ホルダ10に収容されている3本の接続体20の各々が、対応する圧接体33を介して、外部ホルダ10Aに収容されている3つの外部接続体20Aのうち対応する外部接続体20Aと導通接続されている。
【0025】
次いで、外部カバー30Aについて説明する。図3に示す外部カバー30Aは、中央カバー部31に代えて中央カバー部39が採用されている点を除いて、カバー30と同じ構造を有している。中央カバー部31とは異なり、中央カバー部39には、複数の圧接体33が一体化されていない。このため、中央カバー部39の板厚は、中央カバー部39の前後に位置する前後一対の端部カバー部32の板厚と同等になっている。
【0026】
外部カバー30Aは、外部カバー30Aの中央カバー部39が外部ホルダ10Aの電線収容部11の上開口を覆い、外部カバー30Aの前後一対の端部カバー部32が外部ホルダ10Aの前後一対の端子収容部12の上開口を覆い、且つ、外部カバー30Aの複数(4つ)の係止突起37が外部ホルダ10Aの複数(4つ)の係止孔15にそれぞれ挿入されるように、外部ホルダ10Aに取り付けられる。外部カバー30Aの外部ホルダ10Aへの取付完了状態では、上記同様の図示しない周知のロック構造によって外部カバー30Aの外部ホルダ10Aからの上方への分離が防止される。
【0027】
外部カバー30Aの外部ホルダ10Aへの取付完了状態では、外部ホルダ10Aの前後一対の端子収容部12と、外部カバー30Aの前後一対の端部カバー部32とが組み合わされることで、図2に示すように、前後一対の前後方向に延びる略矩形筒状の嵌合部2が構成される。このように外部ホルダ10A及び外部カバー30Aの組み合わせにより構成される嵌合部2は、ホルダ10及びカバー30の組み合わせにより構成される上述した嵌合部2と同じ構造を有している。即ち、各嵌合部2について、その内部には、3本の外部接続体20Aのメス端子22が左右方向に並ぶように配置されており、その延出端(前後方向外側端)には、3つのメス端子22の各々に連通する3つの開口3が左右方向に並ぶように画成されている。以上、中間コネクタ1を構成する各部品について説明した。
【0028】
以上により、図2に示す中間コネクタ1が完成する。図2に示す中間コネクタ1は、上下方向の2箇所にて前後一対の前後方向に延びる嵌合部2(即ち、合計4つの嵌合部2)を有している。中間コネクタ1が有する全ての(4つの)嵌合部2の内部に配置されている対応するメス端子22同士は、互いに導通接続されている。中間コネクタ1が有する各々の嵌合部2には、相手側コネクタ40が嵌合可能となっている。
【0029】
相手側コネクタ40は、図1図6及び図7に示すように、樹脂製のオスハウジング41と、オスハウジング41に収容される3本のオス端子42と、3本のオス端子42に接続されるケーブル43と、で構成されている。3本のオス端子42は、嵌合部2の左右方向に並ぶ3つの開口3に対応して、左右方向に並ぶようにオスハウジング41に収容されている。3本のオス端子42のタブ部45(矩形平板状の先端部)は、オスハウジング41のフード部44内に位置している。ケーブル43は、図7に示すように、左右方向に一列に並ぶように配置された3本の電線43bの外周を一括してシース43aが覆う平型のケーブル(いわゆるVVFケーブル)である。ケーブル43の端末部においてシース43aが除去されて露出した3本の電線43bの端末の各々にオス端子42が接続されている。オス端子42の前端部には、タブ部45が設けられている。なお、図9に示すように、嵌合部2にオス端子42が配置される場合には、相手側コネクタ40には、メス端子22が収容されることになる。
【0030】
相手側コネクタ40は、オスハウジング41のフード部44の内部に嵌合部2を挿入することで、嵌合部2と嵌合される(図6参照)。相手側コネクタ40と嵌合部2とが嵌合された状態では、相手側コネクタ40に属する各オス端子42のタブ部45が、嵌合部2の対応する開口3を介して対応するメス端子22の箱状部26に挿入されることで、対応するオス端子42(即ち、ケーブル43)及びメス端子22同士が導通接続される。より具体的には、オス端子42のタブ部45がメス端子22の箱状部26の中に挿入され、タブ部45が箱状部26内に設けられたバネ状接点(図示省略)に押圧接触することで、オス端子42とメス端子22とが導通接続される。更に、嵌合部2の上面に設けられたロック突起51と、オスハウジング41に設けられた被ロック部(図示省略)と、が係合して、相手側コネクタ40が嵌合部2に嵌合された状態が維持される。
【0031】
図1に示す例では、4つの嵌合部2のうち、前側且つ下側の嵌合部2に、建造物に設置された分電盤50に繋がる入力側コネクタ40Aが嵌合され、前側且つ上側の嵌合部2に、当該建造物に設置されたコンセント60(即ち、コンセント60に接続される種々の電気製品等の負荷)に繋がる出力側コネクタ40Bが嵌合されている。これにより、中間コネクタ1は、入力側コネクタ40Aから供給される分電盤50からの電力を出力側コネクタ40Bに分配する機能を果たす。なお、図1に示す例において、更に、後側の2つの嵌合部2の一方又は両方に相手側コネクタ40が嵌合されてもよい。これにより、中間コネクタ1は、入力側コネクタ40Aから供給される分電盤50からの電力を、出力側コネクタ40Bに加えて、1つ又は2つの相手側コネクタ40にも分配する機能を果たす。
【0032】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る中間コネクタ1によれば、カバー30がホルダ10に取り付けられることで、カバー30が有する圧接体33の圧接部35が、ホルダ10の収容空間(電線収容空間13及び端子収容空間14)の中に収容された接続体20の電線21に圧接される。更に、カバー30とホルダ10とにより、相手側コネクタ40を嵌合可能な一対の嵌合部2が構成される。一対の嵌合部2の各々には、接続体20に繋がる一対のメス端子22の各々が配置される。これにより、例えば、一対のメス端子22の一方に電力が入力された場合、一対のメス端子22の他方、及び、収容空間の外にある圧接体33の圧接部36に、電力を出力することができる。圧接体33の圧接部36に電力が入力された場合も、同様に、一対のメス端子22の双方に電力を出力することができる。換言すると、中間コネクタ1を介した電力分配が可能である。更に、上述した中間コネクタで用いられるバスバに比べ、ホルダ10内の接続体20には、任意の構造の端子(例えば、上述したオス端子・メス端子)を適用できるし、柔軟な電線21を導体として用いれば複雑な電力分配も容易である。即ち、設計自由度に優れる。更に、収容空間の外にある圧接体33の圧接部36に、本実施形態のように、外部ホルダ10Aに収容された外部接続体20Aの電線21を接続することで、複数の外部ホルダ10,10Aに収容された外部接続体20,20Aを連続的に繋げることができる。即ち、拡張性に優れる。したがって、本実施形態に係る中間コネクタ1は、拡張性にも設計自由度にも優れている。
【0033】
更に、収容空間の外にある圧接体33 の圧接部36が、圧接部35と同様の圧接構造を有し、外部接続体20Aの電線21に圧接される。よって、圧接部36への外部接続体20Aの電線21の接続を容易に行うことができる。
【0034】
更に、ホルダ10に接続体20を収容し、外部ホルダ10Aに外部接続体20Aを収容し、カバー30に設けた圧接体33で接続体20と外部接続体20Aとを接続することができる。これにより、部品点数を過度に増やすことなく、中間コネクタ1を拡張することができる。
【0035】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0036】
例えば、上記実施形態においては、ホルダ10(外部ホルダ10A)に収容される接続体20(外部接続体20A)にメス端子22が設けられ、相手側コネクタ40にはオス端子42が設けられている。これに対し、図9に示すように、ホルダ10(外部ホルダ10A)に収容される接続体20(外部接続体20A)にオス端子42が設けられ、相手側コネクタ40にメス端子22が設けられてもよい。より具体的には、図9における前側且つ上側の嵌合部2に、相手側コネクタ40が嵌合される。相手側コネクタ40には、3本のメス端子22が、嵌合部2の左右方向に並ぶ3本のオス端子42に対応して、左右方向に並ぶように収容されている。3本のオス端子42のタブ部45は、嵌合部2のフード部44内に位置している。相手側コネクタ40は、嵌合部2のフード部44の内部に挿入されることで、嵌合部2と嵌合される。相手側コネクタ40と嵌合部2とが嵌合された状態では、相手側コネクタ40に属する各メス端子22の箱状部26に、嵌合部2の対応するオス端子42のタブ部45が挿入されることで、対応するオス端子42とメス端子22とが導通接続される。更に、相手側コネクタ40の上面に設けられたロック突起51と、嵌合部2に設けられた被ロック部(図示省略)と、が係合し、相手側コネクタ40が嵌合部2に嵌合された状態が維持される。なお、図9に示す例では、前側且つ上側の嵌合部2にオス端子42が設けられているが、他の嵌合部2(例えば、前側且つ下側の嵌合部2)にオス端子42が設けられてもよい。
【0037】
更に、上記実施形態では、最下位置のホルダ10と、最上位置の外部カバー30Aとの間に、カバー30及びカバー30の上側に積層配置される外部ホルダ10Aからなる「積層体」が1つだけ配置されることで、上下方向の2箇所にて前後一対の前後方向に延びる嵌合部2を有し、且つ、全ての(4つの)嵌合部2の内部に配置されている対応するメス端子22同士が互いに導通接続された、中間コネクタ1が形成されている。これに対し、最下位置のホルダ10と、最上位置の外部カバー30Aとの間に、N個(N:2以上の整数)の「積層体」が上下方向に積層配置されてもよい。この場合、上下方向の(N+1)箇所にて前後一対の前後方向に延びる嵌合部2を有し、且つ、全ての(2×(N+1)個の)嵌合部2の内部に配置されている対応するメス端子22同士が互いに導通接続された、中間コネクタ1が形成される。更に、ホルダ10とカバー30とによるユニットが、左右方向に複数並ぶように、中間コネクタ1が形成されてもよい。即ち、中間コネクタ1による電力の分配数を増やすことができる。なお、2以上の「積層体」が上下方向に積層配置される場合、上下に隣接配置されるカバー30に固定された圧接体33同士の干渉を避けるため、上下に隣接配置されるカバー30同士について圧接体33を固定する前後方向位置を互いに異ならせる必要がある。
【0038】
更に、上記実施形態では、ホルダ10(外部ホルダ10A)内において、接続体20(外部接続体20A)の電線21が前後方向に直線状に延びることに起因して、接続体20の前後一対のメス端子22(即ち、前後一対の嵌合部2)も前後方向に延びるように配置されている。これに対し、ホルダ10(外部ホルダ10A)内において、接続体20(外部接続体20A)の電線21をL字状に屈曲させることで、接続体20の一対のメス端子22(即ち、一対の嵌合部2)の一方が左右方向に延びるように、中間コネクタ1を構成することもできる。
【0039】
ここで、上述した本発明に係る中間コネクタ1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0040】
[1]
一対の端子(22)と、前記一対の前記端子(22)を繋ぐ導体(21)と、を有する接続体(20)と、
前記接続体(20)を収容する収容空間(13,14)を有するホルダ(10)と、
前記収容空間(13,14)に収容される前記接続体(20)を覆うように前記ホルダ(10)に取り付けられるカバー(30)と、を備える中間コネクタ(1)であって、
前記カバー(30)は、
前記収容空間(13,14)の中に配置され且つ前記導体(21)に押圧接触して前記導体(21)に電気的に接続される圧接構造を有する第1接点部(35)と、前記収容空間(13,14)の外に配置され且つ外部導体(21)に電気的に接続されることになる第2接点部(36)と、が導通可能に繋がった圧接体(33)を有し、
前記カバー(30)が前記ホルダ(10)に取り付けられるとき、
前記一対の前記端子(22)の各々が配置されて相手側コネクタ(40)を嵌合可能な一対の嵌合部(2)が前記カバー(30)及び前記ホルダ(10)によって構成されるとともに、前記圧接体(33)の前記第1接点部(35)が前記導体(21)に圧接される、
中間コネクタ(1)。
【0041】
上記[1]の構成の中間コネクタによれば、カバーがホルダに取り付けられることで、カバーが有する圧接体の第1接点部が、ホルダの収容空間の中に収容された接続体の導体に圧接される。更に、カバー及びホルダにより、相手側コネクタを嵌合可能な一対の嵌合部(例えば、いわゆる間口)が構成される。一対の嵌合部の各々には、接続体に繋がる一対の端子の各々が配置される。これにより、例えば、一対の端子の一方に電力が入力された場合、一対の端子の他方、及び、収容空間の外にある圧接体の第2接点部に、電力を出力することができる。一方、圧接体の第2接点部に電力が入力された場合には、一対の端子の双方に電力を出力することができる。換言すると、中間コネクタを介した電力分配が可能である。更に、従来の中間コネクタで用いられるバスバに比べ、ホルダ内の接続体には、任意の構造の端子(例えば、上述したオス端子やメス端子)を用いることが可能であるし、柔軟な電線を導体として用いれば複雑な分岐経路の実現も容易である。即ち、中間コネクタの設計自由度を向上できる。更に、収容空間の外にある接続体の第2接点部に、例えば、同様のホルダに収容された同様の接続体の導体を接続すれば、複数のホルダに収容された接続体を圧接体を介して連続的に繋げることができる。即ち、中間コネクタの拡張性を向上できる。したがって、本構成の中間コネクタは、拡張性にも設計自由度にも優れている。
【0042】
[2]
上記[1]に記載の中間コネクタ(1)において、
前記圧接体(33)の前記第2接点部(36)は、
前記圧接構造を有し、前記外部導体(21)に圧接されることになる、
中間コネクタ(1)。
【0043】
上記[2]の構成の中間コネクタによれば、ホルダの収容空間の外にある圧接体の第2接点部が、第1接点部と同様の圧接構造を有し、外部導体に圧接される。よって、第2接点部への外部導体の接続を容易に行うことができる。
【0044】
[3]
上記[1]に記載の中間コネクタ(1)であって、
前記圧接体(33)の前記第2接点部(36)が圧接される前記外部導体(21)と、前記外部導体(21)に取り付けられる一対の外部端子(22)と、を有する外部接続体(20A)と、
前記外部接続体(20A)を収容する外部ホルダ(10A)と、
前記外部ホルダ(10A)に収容される前記外部接続体(20A)を覆うように前記外部ホルダ(10A)に取り付けられる外部カバー(30A)と、を更に備える、
中間コネクタ(1)。
【0045】
上記[3]の構成の中間コネクタによれば、接続体、ホルダ及びカバーによるユニットと、外部接続体、外部ホルダ及び外部カバーによるユニットとを、圧接体を介して電気的に接続することができる。これにより、中間コネクタを構成する部品の数を過度に増大させることも複雑化させることもなく、中間コネクタによる分岐経路を容易に拡張することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 中間コネクタ
2 嵌合部
10 ホルダ
10A 外部ホルダ
13 電線収容空間(収容空間)
14 端子収容空間(収容空間)
20 接続体
20A 外部接続体
21 電線(導体、外部導体)
22 メス端子(端子)
30 カバー
30A 外部カバー
33 圧接体
35 圧接部(第1接点部)
36 圧接部(第2接点部)
40 相手側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9