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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031060
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】タイヤ・リム組立体
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B60C5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134360
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松波 翔
(72)【発明者】
【氏名】湯川 直樹
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA20
3D131BB01
3D131BC02
3D131BC31
3D131BC44
3D131BC49
3D131CB03
3D131LA40
(57)【要約】
【課題】 ロードノイズを低減することができるタイヤ・リム組立体を提供する。
【解決手段】 タイヤ・リム組立体1である。タイヤ・リム組立体1は、リム2と、リム2に装着された空気入りタイヤ3と、リム2と空気入りタイヤ3とで囲まれるタイヤ内腔11内に配された環状の吸音材4とを含む。リム2は、タイヤ半径方向の内側に凹む環状のウエル7を含む。ウエル7は、タイヤ半径方向の外周面に、実質的にタイヤ軸方向と平行に延びる底面8を含む。吸音材4は、スポンジ材21を含む。吸音材4の少なくとも一部は、ウエル7の底面8に装着されている。吸音材4のタイヤ軸方向の最大幅W3は、底面8のタイヤ軸方向の最大幅W1の0.7倍以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ・リム組立体であって、
リムと、前記リムに装着された空気入りタイヤと、前記リムと前記空気入りタイヤとで囲まれるタイヤ内腔内に配された環状の吸音材とを含み、
前記リムは、タイヤ半径方向の内側に凹む環状のウエルを含み、
前記ウエルは、タイヤ半径方向の外周面に、実質的にタイヤ軸方向と平行に延びる底面を含み、
前記吸音材は、スポンジ材を含み、
前記吸音材の少なくとも一部は、前記ウエルの前記底面に装着されており、
前記吸音材のタイヤ軸方向の最大幅は、前記底面のタイヤ軸方向の最大幅の0.7倍以上である、
タイヤ・リム組立体。
【請求項2】
前記吸音材の前記最大幅は、前記リムのタイヤ軸方向の最大幅から60mmを減じた幅、及び、前記底面の前記最大幅のうち、大きい方の幅以下である、請求項1に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項3】
前記吸音材の前記底面から取り外された自由状態において、前記吸音材の内周長は、前記底面の外周長の0.8~1.2倍である、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項4】
前記吸音材は、前記空気入りタイヤ及び前記リムのいずれにも接着されていない、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項5】
前記タイヤ・リム組立体の横断面において、前記吸音材の断面積は、前記タイヤ内腔の断面積の5%~25%である、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項6】
前記吸音材は、100%~600%の伸びを有する、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項7】
前記吸音材は、50~300kPaの引張強度を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項8】
前記吸音材は、10~40kg/m3の密度を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項9】
前記吸音材は、一対の端部を有する棒状体を環状に湾曲させ、かつ、前記一対の端部が接続された環状体である、請求項1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項10】
前記一対の端部は、接着剤、粘着剤及び両面テープの少なくとも1つを用いて接続されている、請求項9に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項11】
前記棒状体は、湾曲させる前の状態において、長手方向に延び、かつ、前記底面に接触する内面と、長手方向に延び、かつ、前記内面とは反対側の外面と、前記内面と前記外面とを直交する端面とを有する、請求項9に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項12】
前記棒状体は、湾曲させる前の状態において、長手方向に延び、かつ、前記底面に接触する内面と、長手方向に延び、かつ、前記内面とは反対側の外面と、前記外面と鋭角に交わる斜面とを有する、請求項9に記載のタイヤ・リム組立体。
【請求項13】
前記外面の長手方向の長さと、前記内面の長手方向の長さとの差dは、下記の式を満たす、請求項12に記載のタイヤ・リム組立体。
d=2×π×t
ここで、
t:棒状体の外面と内面との間の厚さ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・リム組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、タイヤの制音具が記載されている。この制音具は、リムと、このリムに装着される空気入りタイヤとがなすタイヤ内腔に装着されており、リムの内腔面と接触しながらタイヤ周方向に一周する内周面を有する環状基体を具えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4312114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の静粛性能の向上に伴い、タイヤのロードノイズについてさらなる改善が求められている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ロードノイズをさらに低減することができるタイヤ・リム組立体を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤ・リム組立体であって、リムと、前記リムに装着された空気入りタイヤと、前記リムと前記空気入りタイヤとで囲まれるタイヤ内腔内に配された環状の吸音材とを含み、前記リムは、タイヤ半径方向の内側に凹む環状のウエルを含み、前記ウエルは、タイヤ半径方向の外周面に、実質的にタイヤ軸方向と平行に延びる底面を含み、前記吸音材は、スポンジ材を含み、前記吸音材の少なくとも一部は、前記ウエルの前記底面に装着されており、前記吸音材のタイヤ軸方向の最大幅は、前記底面のタイヤ軸方向の最大幅の0.7倍以上である、タイヤ・リム組立体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤ・リム組立体は、上記の構成を採用することにより、ロードノイズをさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のタイヤ・リム組立体の断面図である。
図2図1の拡大図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】(a)は、棒状体を示す斜視図、(b)は、(a)の棒状体を湾曲させた環状体からなる吸音材を示す側面図である。
図5】吸音材の装着方法を説明する断面図である。
図6】本発明の他の実施形態のタイヤ・リム組立体の断面図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態のタイヤ・リム組立体の断面図である。
図8】(a)は、本発明の他の実施形態の棒状体を示す斜視図、(b)は、(a)の棒状体を湾曲させた環状体からなる吸音材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[タイヤ・リム組立体(第1実施形態)]
図1は、本実施形態のタイヤ・リム組立体(以下、単に「組立体」ということがある。)1の断面図である。図2は、図1の拡大図である。図3は、図1のA-A断面図である。
【0011】
本実施形態の組立体1は、リム2と、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)3と、吸音材4とを含んで構成されている。本実施形態では、乗用車用のタイヤ3を含む組立体1が例示されるが、このような態様に限定されない。組立体1は、例えば、自動二輪車用や重荷重用等のタイヤを含む組立体(図示省略)であってもよい。
【0012】
本明細書において、特に断りがない限り、タイヤ3等の各部の寸法等は、タイヤ3が正規リム(リム2)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態(正規状態)で測定される値とする。なお、寸法等は、製造上のやむを得ない通常の寸法誤差(公差)が許容されるものとする。
【0013】
「正規リム」とは、タイヤ3が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムである。したがって、正規リムは、例えば、JATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば"Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0014】
「正規内圧」とは、タイヤ3が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧である。したがって、正規内圧は、例えば、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0015】
[リム]
本実施形態のリム2は、従来的な金属製のホイールリムであり、上述の正規リムが好適に採用される。リム2は、リム本体2Aと、ディスク部2Bとを含んで構成されている。
【0016】
リム本体2Aは、タイヤ3のビード部3c、3cを装着するためのものである。図2に示されるように、本実施形態のリム本体2Aは、一対のリムシート5、5と、一対のリムフランジ6、6と、ウエル7とを含んで構成されている。
【0017】
一対のリムシート5、5は、各ビード部3c、3cのタイヤ半径方向内側の底面をそれぞれ受ける(着座させる)ためのものである。一対のリムフランジ6、6は、各リムシート5、5のタイヤ軸方向外端に連なって、タイヤ半径方向外側に延びている。これらのリムフランジ6、6により、各ビード部3c、3cのタイヤ軸方向の外面がそれぞれ支持されうる。
【0018】
ウエル7は、一対のリムシート5、5の間において、タイヤ半径方向の内側に凹んでおり、環状に形成されている。本実施形態のウエル7は、そのタイヤ半径方向の外周面に、底面8と、一対の側面9、9とを含んで構成されている。
【0019】
本実施形態の底面8は、実質的にタイヤ軸方向と平行に延びている。ここで「実質的にタイヤ軸方向と平行に延びている」は、上述の公差を考慮したものである。本実施形態では、タイヤ軸方向と底面8とがなす角度が±3°の範囲にあれば、実質的にタイヤ軸方向と平行の延びているものとする。
【0020】
底面8のタイヤ軸方向の最大幅W1は、リム2のサイズに応じて適宜設定される。本実施形態の最大幅W1は、リム2のタイヤ軸方向の最大幅W2の10%~30%に設定される。本実施形態において、リム2の最大幅W2は、一対のリムフランジ6、6間のタイヤ軸方向の最大幅(リム2全体の最大幅)として定義される。
【0021】
一対の側面9、9は、底面8のタイヤ軸方向の両端と、一対のリムシート5、5との間を連結しており、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びている。本実施形態の一対の側面9、9は、円弧面10、10を介して、底面8の両端にそれぞれ接続されている。
【0022】
一対の側面9、9のタイヤ軸方向に対する角度(図示省略)が、例えば、45~70°に設定されている。一対の側面9、9のうち、一方の側面9には、タイヤ内腔11に空気を充填するための空気バルブ12が設けられている。
【0023】
図1に示されるように、ディスク部2Bは、リム本体2Aを保持するためのものである。このディスク部2Bには、車軸18が固定されている。
【0024】
[空気入りタイヤ]
タイヤ3は、リム2に装着される。図2に示されるように、本実施形態のタイヤ3は、トレッド部3aからサイドウォール部3bを経てビード部3cのビードコア15に至るカーカス16と、カーカス16のタイヤ半径方向外側に配されるベルト層17とを含んで構成されている。
【0025】
カーカス16は、少なくとも1枚(本例では1枚)のカーカスプライ16Aを含んで構成されている。カーカスプライ16Aは、例えば、タイヤ赤道Cに対して80度~90度の角度で配列されたカーカスコード(図示省略)が設けられている。
【0026】
ベルト層17は、カーカス16のタイヤ半径方向外側、かつ、トレッド部3aの内部に配されている。ベルト層17は、少なくとも1枚(本例では2枚)のベルトプライ17A、17Bを含んで構成されている。これらのベルトプライ17A、17Bは、例えば、タイヤ周方向に対して10~35度の角度で配列されたベルトコード(図示省略)が、互いに交差する向きに重ね合わされている。
【0027】
[吸音体]
吸音材4は、リム2とタイヤ3とで囲まれるタイヤ内腔11内に配されている。本実施形態の吸音材4は、スポンジ材21を含んで構成されている。
【0028】
スポンジ材21は、海綿状の多孔構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有するいわゆるスポンジそのものの他、動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したウエブ状のものが含まれる。また「多孔構造体」には、連続気泡を有するものだけでなく、独立気泡を有するものが含まれる。このようなスポンジ材21を含む吸音材4は、吸音性や防振性に優れる。
【0029】
スポンジ材21には、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジなどの合成樹脂スポンジが好適に用いられる。また、スポンジ材21には、クロロプレンゴムスポンジ(CRスポンジ)、エチレンプロピレンゴムスポンジ(EDPMスポンジ)、ニトリルゴムスポンジ(NBRスポンジ)などのゴムスポンジが好適に用いられる。とりわけ、吸音性、軽量性、発泡の調節可能性、及び、耐久性等の観点から、エーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系又はポリエチレン系等のスポンジが好ましい。
【0030】
図3に示されるように、本実施形態の吸音材4は、環状に形成されており、タイヤ周方向に連続して延びている。図2及び図3に示されるように、吸音材4の少なくとも一部(本例では、全体)は、ウエル7の底面8に装着されている。本実施形態の吸音材4は、タイヤ3の内腔面3sに接触することなく、タイヤ内腔11内に配されている。
【0031】
図4(a)は、棒状体22を示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)の棒状体22を湾曲させた環状体24からなる吸音材4を示す側面図である。図4(b)において、棒状体22の一対の端部23、23が接続された状態が二点鎖線で示されている。
【0032】
図4(a)に示されるように、本実施形態では、吸音材4が底面8(図2及び図3に示す)に装着される前において、吸音材4が、一対の端部23、23を有する棒状体22に形成されている。一対の端部23、23は、棒状体22の長手方向の両端にそれぞれ設けられている。本実施形態では、長手方向に継ぎ目のない棒状体22が例示されているが、このような態様に限定されない。例えば、複数の小片(図示省略)が長手方向に接続されて、少なくとも1つの継ぎ目が設けられた棒状体22であってもよい。
【0033】
図4(b)に示されるように、図4(a)に示した棒状体22を環状に湾曲させ、かつ、一対の端部23、23が接続(二点鎖線で示す)されることで、図3に示した環状体24(すなわち、環状の吸音材4)に形成される。このように、本実施形態の吸音材4は、棒状体22から形成されるため、例えば、継ぎ目のない環状の吸音材(図示省略)を、スポンジ基材(図示省略)から切り出す場合に比べて、スポンジ基材の切れ端(廃棄分)が少なくなり、製造コストが低減する。
【0034】
一対の端部23、23は、適宜接続されうる。本実施形態では、接着剤、粘着剤及び両面テープの少なくとも1つ(図示省略)を用いて、一対の端部23、23が接続されている。これにより、一対の端部23、23が、容易かつ低コストで接続されうる。本実施形態では、一対の端部23、23を強固に接続するために、図4(b)において二点鎖線で示されるように、これらの端部23、23を密着させるのが好ましい。
【0035】
図4(a)、(b)に示されるように、本実施形態の棒状体22(吸音材4)は、長手方向(タイヤ周方向)の各位置で、実質的に同じ断面形状を有している。図4(a)に示されるように、この断面形状は、タイヤ軸方向の幅(最大幅W3)に対して、タイヤ半径方向の高さ(最大高さH3)を小とした横長矩形状に設定されているが、特に限定されない。
【0036】
本実施形態の棒状体22は、湾曲させる前の状態において、内面25と、外面26と、端面27、27とを含んで構成されている。さらに、棒状体22には、側面28、28が含まれる。
【0037】
内面25は、長手方向に延びており、かつ、図2及び図3に示したウエル7への装着時において、底面8に接触する。外面26は、長手方向に延び、かつ、内面25とは反対側に形成されている。
【0038】
本実施形態の端面27、27は、一対の端部23、23に設けられている。これらの端面27、27は、内面25と外面26とを直交している。これにより、例えば、棒状体22の製造時において、スポンジ基材(図示省略)から棒状体22を切り出す際に、内面25と外面26とが直交する方向に切断して、端面27、27を形成することができる。したがって、棒状体22の製造に複雑な切断加工を必要とせず、また、スポンジ基材の切れ端(廃棄分)を少なくできるため、製造コストが低減する。
【0039】
本実施形態の棒状体22は、内面25と外面26とを直交する端面27、27により、外面26の長手方向の長さL1と、内面25の長手方向の長さL2とが同一となる。このような棒状体22を環状に湾曲させると、図4(b)に示されるように、端面27、27間のタイヤ周方向の距離(図示省略)が、タイヤ半径方向外側に向かって漸増する。本実施形態の棒状体22は、変形容易なスポンジ材21で形成されるため、一対の端部23、23をタイヤ周方向に伸長又は圧縮させることで、一対の端部23、23を容易に接続する(密着させる)ことができる。
【0040】
図4(a)に示されるように、側面28、28は、長手方向に延びている。本実施形態の側面28、28は、内面25と外面26とを直交している。これにより、例えば、棒状体22の製造時において、スポンジ基材(図示省略)から棒状体22を切り出す際に、内面25と外面26とが直交する方向に切断して、側面28、28を形成することができるため、製造コストが低減する。
【0041】
図5は、吸音材4の装着方法を説明する断面図である。本実施形態では、タイヤ3の一対のビード部3c、3cのうち、一方のビード部3cをリム2に組み付けた後に、図4(b)に示した環状体24の吸音材4が、ウエル7の底面8に装着される。そして、他方のビード部3cがリム2に組み付けられることにより、図1及び図2に示した組立体1が形成される。
【0042】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の組立体1は、スポンジ材21を含む吸音材4が、タイヤ内腔11内に配されることにより、走行中にタイヤ内腔11内で生じた音エネルギーが効果的に吸収され、共鳴振動が抑制される。これにより、ロードノイズが低減されうる。また、吸音材4は、収縮や屈曲等の変形が容易なスポンジ材21を含むため、吸音材4の装着作業性が向上する。
【0043】
本実施形態の吸音材4は、タイヤ3の内腔面3sに接触することなく、タイヤ内腔11内に配されるため、タイヤ3と吸音材4との間で熱的負荷が作用するのを防ぐことができる。これにより、吸音材4の耐久性が向上する。さらに、吸音材4は、走行中のタイヤ3の変形に干渉しないため、転がり抵抗や、タイヤユニフォミティの低下が抑制されうる。
【0044】
本実施形態の吸音材4は、横長矩形の断面形状に形成されるため、タイヤ軸方向の広範囲に亘って、タイヤ内腔11での空洞共鳴(ロードノイズ)が低減されうる。さらに、吸音材4は、タイヤ軸方向の幅(最大幅W3)に比べて、タイヤ半径方向の高さ(最大高さH3)が小さい。このため、例えば、図5に示されるように、リムフランジ6とタイヤ3のビード部3cとの間の狭い隙間30から吸音材4を挿入して、タイヤ内腔11に吸音材4を配置することができる。したがって、吸音材4の装着作業性が向上する。このような観点より、図4(a)に示されるように、吸音材4の最大高さH3は、最大幅W3の0.6~0.9倍に設定されるのが好ましい。
【0045】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の吸音材4は、タイヤ3及びリム2のいずれにも接着されていない。本実施形態では、ウエル7の側面9、9によって、吸音材4のタイヤ軸方向の両側(側面28、28)が保持(タイヤ軸方向の位置ズレが抑制)される。
【0046】
このように、吸音材4は、タイヤ3に接着されないため、タイヤ3との間の熱的負荷の作用や、タイヤ3の変形への干渉が抑制され、組立体1(吸音材4)の耐久性が向上し、転がり抵抗やタイヤユニフォミティの低下を抑制しうる。さらに、吸音材4は、リム2への接着が不要となるため、吸音材4の装着作業性が向上する。
【0047】
そして、本実施形態の吸音材4は、図2に示されるように、タイヤ軸方向の最大幅W3が、ウエル7の底面8のタイヤ軸方向の最大幅W1の0.7倍以上に設定される。これにより、本実施形態の組立体1では、タイヤ内腔11内において、タイヤ軸方向の広範囲に亘って、吸音材4が配置されるため、タイヤ内腔11での空洞共鳴、ひいては、ロードノイズが低減する。さらに、吸音材4は、底面8に安定して装着されうる。このような作用を効果的に発揮させるために、吸音材4の最大幅W3は、好ましくは、ウエル7の底面8の最大幅W1の0.75倍以上であり、より好ましくは、0.80倍以上である。
【0048】
一方、吸音材4の最大幅W3が必要以上に大きくなると、リム2の側面9に設けられた空気バルブ12に吸音材4が接触し、吸音材4を安定して装着できないおそれがある。このため、吸音材4の最大幅W3は、底面8の最大幅W1以下に設定されるのが好ましい。また、吸音材4と空気バルブ12との接触による影響が小さくても、吸音材4の最大幅W3が必要以上に大きい場合には、ウエル7の底面8への装着が困難になるおそれがある。さらに、組立体1の走行時において、吸音材4とタイヤ3とが接触し、走行時の吸音材4の損傷等を十分に抑制できないおそれがある。このため、リム2の最大幅W2から60mmを減じた幅(図示省略)、及び、底面8の最大幅W1のうち、大きい方の幅以下に、吸音材4の最大幅W3が設定されるのが好ましい。なお、最大幅W2から60mmを減じた幅以下に設定されれば、リム組み時の作業性の低下が抑制されうる。
【0049】
ウエル7の底面8から取り外された吸音材4の自由状態(図4(b)に示す)において、吸音材4の内周長L3(内面25の長手方向の長さL2)は、図3に示した底面8の外周長L4(図示省略)の0.8~1.2倍に設定されるのが好ましい。
【0050】
吸音材4の内周長L3が、底面8の外周長L4(図示省略)に対して0.8倍以上に設定されることで、図5に示した吸音材4の装着時において、リムフランジ6を乗り越えさせるために必要な吸音材4の引き伸ばし(拡径の大きさ)を小さくすることができる。これにより、吸音材4の装着作業性が向上する。さらに、吸音材4のタイヤ周方向の歪みが小さくなり、組立体1の走行時において、吸音材4の損傷等が抑制されうる。
【0051】
また、吸音材4の内周長L3が、底面8の外周長L4(図示省略)に対して1.2倍以下に設定されることで、図2に示したウエル7の側面28、28間に、吸音材4を安定して保持させることができ、ウエル7の底面8への吸音材4の装着が容易となる。さらに、組立体1の走行時において、吸音材4のタイヤ軸方向の位置ズレが抑制される。これにより、吸音材4の損傷等が抑制されるため、組立体1(吸音材4)の耐久性が向上する。このような観点より、吸音材4の内周長L3は、好ましくは、底面8の外周長L4の0.9倍以上であり、また、好ましくは、1.1倍以下である。
【0052】
図2に示した組立体1の横断面において、吸音材4の断面積は、タイヤ内腔11(吸音材4を除く)の断面積の5%以上に設定されるのが好ましい。これらの断面積は、例えば、正規状態のタイヤ内腔11をCTスキャニング等して取得されうる。
【0053】
吸音材4の断面積がタイヤ内腔11の断面積の5%以上に設定されることで、タイヤ内腔11に多くの吸音材4が配されるため、ロードノイズが低減されうる。このような観点より、吸音材4の断面積は、好ましくは、タイヤ内腔11の断面積の10%以上である。
【0054】
一方、吸音材4の断面積が必要以上に大きくても、断面積の増大に対するロードノイズの低減効果(費用対効果)を十分に得ることができない場合がある。さらに、走行中の吸音材4の動きが大きくなり、組立体1(吸音材4)の耐久性の低下を招くおそれがある。このような観点より、吸音材4の断面積は、好ましくは、タイヤ内腔11の断面積の25%以下であり、より好ましくは、20%以下である。
【0055】
吸音材4は、100%~600%の伸びを有するのが好ましい。本明細書において、吸音材4の伸びは、JIS K6400-5:2012の第5項「引張強さ及び伸び」に準じて測定される。
【0056】
伸びが100%以上に設定されることで、図5に示したウエル7の底面8への装着時において、吸音材4の伸びや変形が許容されるため、吸音材4の装着作業性が向上する。一方、伸びが600%以下に設定されることで、図1に示した組立体1の走行時の遠心力によって吸音材4が大きく伸張するのが抑制される。これにより、吸音材4の位置ズレや、吸音材4の変形による振動が抑制され、吸音材4の耐久性が維持されうる。このような観点より、伸びは、好ましくは、200%以上であり、また、好ましくは500%以下である。
【0057】
吸音材4は、50~300kPaの引張強度(引張強さ)を有するのが好ましい。本明細書において、吸音材4の引張強度(引張強さ)は、JIS K6400-5:2012の第5項「引張強さ及び伸び」に準じて測定される。
【0058】
引張強度(引張強さ)が50kPa以上に設定されることで、図1に示した組立体1の走行時の遠心力による吸音材4の伸張等が抑制され、吸音材4の耐久性が維持されうる。一方、引張強度が300kPa以下に設定されることで、図5に示したウエル7の底面8への装着時において、吸音材4の伸びや変形が許容され、吸音材4の装着作業性が向上する。このような観点より、引張強度は、好ましくは100kPa以上であり、また、好ましくは、200kPa以下である。
【0059】
吸音材4は、10~40kg/m3の密度を有するのが好ましい。密度が10kg/m3以上に設定されることで、タイヤ内腔11内で生じた音エネルギーが吸収され、ロードノイズが低減されうる。一方、密度が40kg/m3以下に設定されることで、図1に示した組立体1の走行時の吸音材4の変形や振動等が吸収され、耐久性が向上する。このような観点より、密度は、好ましくは、20kg/m3以上であり、また、好ましくは、30kg/m3以下である。
【0060】
吸音材4の伸び、引張強度及び密度は、例えば、公知の手順に基づき、多孔質材料の原料の配合、反応温度、及び、反応時間等が変更されることで、適宜調整されうる。
【0061】
[タイヤ・リム組立体(第2実施形態)]
図2に示されるように、これまでの実施形態の吸音材4の断面形状は、内面25から外面26に向かって、タイヤ軸方向の幅が同一となる横長矩形状に形成されたが、このような態様に限定されない。図6は、本発明の他の実施形態の組立体1の断面図である。
【0062】
この実施形態の吸音材4の断面形状は、内面25から外面26に向かって、タイヤ軸方向の幅が漸減する台形状に形成されている。このような吸音材4により、側面28、28と、リム2の一対の側面9、9との間のタイヤ軸方向の距離が、タイヤ半径方向外側に向かって漸増し、吸音材4と、リム2の側面9に設けられた空気バルブ12との接触が抑制される。これにより、吸音材4が、ウエル7の底面8に安定して装着されうる。
【0063】
[タイヤ・リム組立体(第3実施形態)]
これまでの実施形態の吸音材4の断面形状は、横長矩形状(図2に示す)や、内面25から外面26に向かってタイヤ軸方向の幅が漸減する台形状(図6に示す)に形成されたが、このような態様に限定されない。図7は、本発明のさらに他の実施形態の組立体1の断面図である。
【0064】
この実施形態の吸音材の断面形状は、内面25から外面26に向かって、タイヤ軸方向の幅が漸増する逆台形状に形成されている。このような吸音材4により、リム2の底面8側に比べて、タイヤ3側(タイヤ内腔11側)のタイヤ軸方向の幅を相対的に大きくできるため、タイヤ内腔11での空洞共鳴、ひいては、ロードノイズが低減する。
【0065】
ロードノイズを効果的に低減させるために、外面26の幅W5は、好ましくは、内面25の幅W6の1.2倍以上であり、さらに好ましくは、1.5倍以上である。一方、外面26の幅W5が大きくても、幅W5の増大に対するロードノイズの低減効果(費用対効果)を十分に得ることができない場合がある。このため、外面26の幅W5は、好ましくは、内面25の幅W6の2.0倍以上であり、さらに好ましくは、1.8倍以上である。
【0066】
この実施形態のように、吸音材4が逆台形状に形成される場合において、ウエル7の底面8の最大幅W1との関係で特定される吸音材4の最大幅W3は、ウエル7の底面8に接触する内面25において特定されるものとする。なお、内面25に凹凸等が形成される場合には、内面25と、この内面25からタイヤ半径方向外側に10mm離れた位置との間において、タイヤ軸方向の幅が最大となる部分で特定されるものとする。
【0067】
この実施形態において、吸音材4の最大幅W3が、ウエル7の底面8の最大幅W1の0.7倍以上に設定されることで、これまでの実施形態と同様に、ロードノイズが低減する。さらに、吸音材4の最大幅W3が、リム2の最大幅W2から60mmを減じた幅(図示省略)、及び、底面8の最大幅W1のうち、大きい方の幅以下に設定されることにより、吸音材4の装着作業性が維持される。
【0068】
[タイヤ・リム組立体(第4実施形態)]
これまでの実施形態では、図4(a)に示されるように、棒状体22を湾曲させる前の状態において、内面25と外面26とを直交する端面27、27を有する棒状体22が例示されたが、このような態様に限定されない。棒状体22は、端面27、27に代えて、外面26と鋭角に交わる斜面を有してもよい。図8(a)は、本発明の他の実施形態の棒状体22を示す斜視図である。図8(b)は、図8(a)の棒状体22を湾曲させた環状体24からなる吸音材4を示す側面図である。
【0069】
図8(a)に示されるように、この実施形態では、外面26と鋭角に交わる斜面31、31により、内面25の長手方向の長さL2に比べて、外面26の長手方向の長さL1が大きくなる。これにより、図8(b)に示されるように、棒状体22を環状に湾曲させることで、一対の端部23、23の密着が容易となる。したがって、この実施形態では、図4(b)に示した端面27、27を有するこれまでの実施形態に比べて、これらの端部23、23の変形(タイヤ周方向に伸長又は圧縮)を小さくできるため、吸音材4の歪が小さくなり、吸音材4の耐久性が向上する。
【0070】
端部23、23の変形をより小さくするために、外面26の長手方向の長さL1と、内面25の長手方向の長さL2との差d(図示省略)は、下記の式を満たすのが好ましい。これにより、棒状体22を環状に湾曲させて、一対の端部23、23を接続する際に、斜面31、31をタイヤ半径方向と平行に揃えて密着させることができる。したがって、一対の端部23、23を接続する際に、これらの端部23、23の変形が最小限に抑えられる。
d=2×π×t
ここで、
t:棒状体の外面と内面との間の厚さ
【0071】
斜面31、31と外面26とがなす各角度θ1、θ2(図8(a)に示す)は、同一に設定されるのが好ましい。これにより、棒状体22を環状に湾曲させることで、斜面31、31がタイヤ半径方向と平行に揃えられるため、端部23、23の変形がより小さくなる。
【0072】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0073】
[実施例A]
図1及び図2に示した組立体が、表1の仕様に基づいて試作された(実施例1~実施例4及び比較例)。各試作タイヤについて、吸音性能(耐ロードノイズ性能)、吸音材の装着作業性、及び、耐久性が評価された。各タイヤの仕様は、表1に記載の構成を除いて同一であり、タイヤサイズ等は以下のとおりである。また、テスト方法は下記のとおりである。テストの結果が表1に示される。
タイヤサイズ:215/55R17
リムサイズ:17×7J
内圧:200kPa
リム:
最大幅W2:202mm
ウエルの底面:
最大幅W1:70mm
外周長L4:1230mm
最大幅W2-60mm>最大幅W1
吸音材:
スポンジ材:エーテル系ポリウレタンスポンジ(丸鈴(株)製「E16」)
吸音材の内周長L3/ウエルの底面の外周長L4:1.0倍
伸び:300%
引張強度:150kPa
密度:20kg/m3
【0074】
<吸音性能(耐ロードノイズ性能)>
空気入りタイヤに上記内圧が充填された組立体を、車両(2000cc、FF車)の全輪に装着し、ロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を時速60km/hで走行したときの車内騒音が、運転席窓側耳許位置に設置したマイクロホンで採取された。そして、狭帯域220Hz付近の空洞共鳴音のピーク値の音圧レベルが測定された。評価には、吸音材を装着していない組立体を基準として、音圧レベルの減少値が表示されている。-(マイナス)表示は、ロードノイズが低減していることを意味する。
【0075】
<吸音材の装着作業性>
吸音材の装着のしやすさが、作業者の官能により、5点法で評価された。数値が大きいほど、吸音材の装着作業性に優れている。
【0076】
<吸音材の耐久性>
空気入りタイヤに上記内圧が充填された組立体を、下記の条件にてドラム試験機で走行させ、走行距離1000kmごとに、吸音材の損傷の有無が肉眼で確認され、損傷が発生するまでの距離が測定された。数値が大きいほど良好である。なお、「20000km」と表示されている実施例は、20000kmの時点で、吸音材の損傷が発生していないことを示している。
荷重:4.6kN
走行速度:100km/h
ドラム直径:1.7m
【0077】
【表1】
【0078】
テストの結果、実施例1~4は、比較例とは異なり、吸音材の最大幅W3が、ウエルの底面の最大幅W1の0.7倍以上に設定されるため、空洞共鳴音のピーク値の音圧レベルが減少し、ロードノイズが低減した。さらに、実施例1~3は、吸音材の最大幅W3が、リムの最大幅W2から60mmを減じた幅(>ウエルの底面の最大幅W1)以下に設定されるため、これらの幅よりも大きい実施例4に比べて、吸音材の装着作業性が向上した。
【0079】
[実施例B]
図1及び図2に示した組立体が、表2の仕様に基づいて試作された(実施例2、実施例5~10)。各試作タイヤについて、吸音性能(耐ロードノイズ性能)、吸音材の装着作業性、及び、耐久性が評価された。各タイヤの仕様は、表2に記載の構成を除いて同一であり、タイヤサイズ等は、以下の記載を除いて、実施例Aと同一である。また、テスト方法は実施例Aと同一である。テストの結果が表2に示される。
吸音材:
最大幅W3:底面の最大幅W1の0.9倍
吸音材の断面積/タイヤ内腔の断面積:15%
【0080】
【表2】
【0081】
テストの結果、吸音材の内周長と底面の外周長との比L3/L4が好ましい範囲内(0.8~1.2倍)に設定された実施例2及び実施例6~9は、好ましい範囲外の実施例5、10に比べて、吸音材の装着作業性及び耐久性が向上した。
【0082】
[実施例C]
図1及び図2に示した組立体が、表3の仕様に基づいて試作された(実施例2、実施例11~16)。各試作タイヤについて、吸音性能(耐ロードノイズ性能)、吸音材の装着作業性、及び、耐久性が評価された。各タイヤの仕様は、表3に記載の構成を除いて同一であり、タイヤサイズ等は、以下の記載を除いて、実施例Aと同一である。また、テスト方法は実施例Aと同一である。テストの結果が表3に示される。
吸音材:
最大幅W3:底面の最大幅W1の0.9倍
【0083】
【表3】
【0084】
テストの結果、吸音材の断面積とタイヤ内腔の断面積との比が好ましい範囲内(5%~25%)に設定された実施例2、11は、好ましい範囲外の実施例12に比べて、耐久性が向上した。さらに、吸音材の伸びが好ましい範囲(100%~600%)内の実施例2、14、15は、好ましい範囲外の実施例13、16に比べて、吸音材の装着作業性及び耐久性が向上した。
【0085】
[実施例D]
図1及び図2に示した組立体が、表4の仕様に基づいて試作された(実施例2、実施例17~22)。各試作タイヤについて、吸音性能(耐ロードノイズ性能)、吸音材の装着作業性、及び、耐久性が評価された。各タイヤの仕様は、表4に記載の構成を除いて同一であり、タイヤサイズ等は、以下の記載を除いて、実施例Aと同一である。また、テスト方法は実施例Aと同一である。テストの結果が表4に示される。
吸音材:
最大幅W3:底面の最大幅W1の0.9倍
【0086】
【表4】
【0087】
テストの結果、吸音材の引張強度が好ましい範囲内(50~300kPa)に設定された実施例2、18、19は、好ましい範囲外の実施例17、20に比べて、吸音材の装着作業性及び耐久性が向上した。さらに、吸音材の密度が好ましい範囲(10~40kg/m3)内の実施例2、21は、好ましい範囲外の実施例22に比べて、吸音材の耐久性が向上した。
【0088】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0089】
[本発明1]
タイヤ・リム組立体であって、
リムと、前記リムに装着された空気入りタイヤと、前記リムと前記空気入りタイヤとで囲まれるタイヤ内腔内に配された環状の吸音材とを含み、
前記リムは、タイヤ半径方向の内側に凹む環状のウエルを含み、
前記ウエルは、タイヤ半径方向の外周面に、実質的にタイヤ軸方向と平行に延びる底面を含み、
前記吸音材は、スポンジ材を含み、
前記吸音材の少なくとも一部は、前記ウエルの前記底面に装着されており、
前記吸音材のタイヤ軸方向の最大幅は、前記底面のタイヤ軸方向の最大幅の0.7倍以上である、
タイヤ・リム組立体。
[本発明2]
前記吸音材の前記最大幅は、前記リムのタイヤ軸方向の最大幅から60mmを減じた幅、及び、前記底面の前記最大幅のうち、大きい方の幅以下である、本発明1に記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明3]
前記吸音材の前記底面から取り外された自由状態において、前記吸音材の内周長は、前記底面の外周長の0.8~1.2倍である、本発明1又は2に記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明4]
前記吸音材は、前記空気入りタイヤ及び前記リムのいずれにも接着されていない、本発明1ないし3のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明5]
前記タイヤ・リム組立体の横断面において、前記吸音材の断面積は、前記タイヤ内腔の断面積の5%~25%である、本発明1ないし4のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明6]
前記吸音材は、100%~600%の伸びを有する、本発明1ないし5のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明7]
前記吸音材は、50~300kPaの引張強度を有する、本発明1ないし6のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明8]
前記吸音材は、10~40kg/m3の密度を有する、本発明1ないし7のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明9]
前記吸音材は、一対の端部を有する棒状体を環状に湾曲させ、かつ、前記一対の端部が接続された環状体である、本発明1ないし8のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明10]
前記一対の端部は、接着剤、粘着剤及び両面テープの少なくとも1つを用いて接続されている、本発明9に記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明11]
前記棒状体は、湾曲させる前の状態において、長手方向に延び、かつ、前記底面に接触する内面と、長手方向に延び、かつ、前記内面とは反対側の外面と、前記内面と前記外面とを直交する端面とを有する、本発明9又は10に記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明12]
前記棒状体は、湾曲させる前の状態において、長手方向に延び、かつ、前記底面に接触する内面と、長手方向に延び、かつ、前記内面とは反対側の外面と、前記外面と鋭角に交わる斜面とを有する、本発明9又は10に記載のタイヤ・リム組立体。
[本発明13]
前記外面の長手方向の長さと、前記内面の長手方向の長さとの差dは、下記の式を満たす、本発明12に記載のタイヤ・リム組立体。
d=2×π×t
ここで、
t:棒状体の外面と内面との間の厚さ
【符号の説明】
【0090】
1 タイヤ・リム組立体
2 リム
3 空気入りタイヤ
4 吸音材
7 ウエル
8 底面
11 タイヤ内腔
21 スポンジ材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8