(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031084
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】手用マッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A61H7/00 322F
A61H7/00 322A
A61H7/00 322D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134401
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】近本 健作
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100AD12
4C100BB05
4C100BC12
4C100BC13
4C100CA02
4C100DA09
4C100EA13
(57)【要約】
【課題】手のひらのマッサージ圧力を変化させることができる手用マッサージ器を提供する。
【解決手段】マッサージ器1は、手指を含む手が挿入される挿入空間S1を画定し、前記挿入空間S1に挿入された前記手の甲と対向する第1主壁部24と、前記挿入空間S1に挿入された前記手のひらと対向する第2主壁部25とを備える、ハウジング2と、前記第2主壁部25に配置された揉み部材60と、前記ハウジング2内に内蔵されて、前記揉み部材60を運動させる駆動機構65とを備える、揉み玉ユニット6と、少なくとも前記第1主壁部24と前記第2主壁部25の対向方向で、前記第2主壁部25に対して、前記揉み玉ユニット6を変位させる位置調整機構70とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指を含む手が挿入される挿入空間を画定し、前記挿入空間に挿入された前記手の甲と対向する第1主壁部と、前記挿入空間に挿入された前記手のひらと対向する第2主壁部とを備える、ハウジングと、
前記第2主壁部に配置された揉み部材と、前記ハウジング内に内蔵されて、前記揉み部材を運動させる駆動機構とを備える、揉み玉ユニットと、
少なくとも前記第1主壁部と前記第2主壁部の対向方向で、前記第2主壁部に対して、前記揉み玉ユニットを変位させる位置調整機構と
を備える、手用マッサージ器。
【請求項2】
前記位置調整機構は、空気圧式アクチュエータである請求項1に記載の手用マッサージ器。
【請求項3】
前記位置調整機構は、電気式アクチュエータである請求項1に記載の手用マッサージ器。
【請求項4】
前記駆動機構及び前記位置調整機構を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記揉み部材を運動させるように前記駆動機構を制御しつつ、前記揉み部材の位置を調整するように前記位置調整機構を制御する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の手用マッサージ器。
【請求項5】
前記位置調整機構は、手動式である請求項1に記載の手用マッサージ器。
【請求項6】
空気圧式アクチュエータは、
前記第2主壁部から離間して対向配置された固定部と、
前記揉み玉ユニットと前記固定部との間に配置され、前記揉み玉ユニットを第1押圧位置と、前記第1押圧位置よりも手のひら側に位置する第2押圧位置との間で変位させる位置調整エアバッグと、
前記揉み玉ユニットの前記第1押圧位置と前記第2押圧位置との間の摺動をガイドするガイド部と、
前記位置調整エアバッグと流体的に接続され、前記位置調整エアバッグが膨張及び収縮するように前記位置調整エアバッグにエアを供給するエア供給源と、
前記位置調整エアバッグと前記エア供給源との間に設けられた電磁弁と、
を有する、請求項2に記載の手用マッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手用マッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたマッサージ器は、手の甲用のエアバッグと、手のひら用のエアバッグと、手指用のエアバッグと、手のひら用揉み玉を備える。これらのエアバッグの膨張収縮、及び、揉み玉の回転運動により、使用者の手の甲と、手のひらと、手指とがマッサージされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手指を含む手のマッサージにおいて、手のひら、手の甲、及び、手指に適したマッサージ圧(押圧力)は、使用者によって異なる。しかしながら、特許文献1の手用マッサージ器では、特に、手のひらのマッサージ圧力を使用者毎に変化させにくい。
【0005】
本発明は、手のひらのマッサージ圧力を変化させることができる手用マッサージ器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、手指を含む手が挿入される挿入空間を画定し、前記挿入空間に挿入された前記手の甲と対向する第1主壁部と、前記挿入空間に挿入された前記手のひらと対向する第2主壁部とを備える、ハウジングと、前記第2主壁部に配置された揉み部材と、前記ハウジング内に内蔵されて、前記揉み部材を運動させる駆動機構とを備える、揉み玉ユニットと、少なくとも前記第1主壁部と前記第2主壁部の対向方向で、前記第2主壁部に対して、前記揉み玉ユニットを変位させる位置調整機構と、を備える、手用マッサージ器を提供する。
【0007】
本発明によれば、揉み部材の前記第2主壁部からの突出量を調整することができるので、第2主壁部に配置される手のひらに対する揉み部材の押圧力(マッサージ圧)を調整することができる。
【0008】
前記位置調整機構は、空気圧式アクチュエータであってもよい。
【0009】
本構成によれば、空気圧式アクチュエータを膨張収縮させるのみの簡素な構造で揉み玉ユニットの上下方向の位置を調整することができる。空気圧を制御することで、手用マッサージ器を使用した状態でも揉み玉ユニットの位置を変位させられる。例えば、手用マッサージ器が手指をマッサージするためのエアバッグを備える場合、このエアバッグへのエア供給源を用いて空気圧式アクチュエータを制御することができる。
【0010】
前記位置調整機構は、電気式アクチュエータであってもよい。
【0011】
本構成によれば、電気式アクチュエータによって、揉み玉ユニットの高さを無段階に調整できる。簡素な構造で揉み玉ユニットの上下方向の位置を調整することができる。モータの回転を制御することで、手用マッサージ器を使用した状態でも揉み玉ユニットの位置を変更できる。
【0012】
前記駆動機構及び前記位置調整機構を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記揉み部材を運動させるように前記駆動機構を制御しつつ、前記揉み部材の位置を調整するように前記位置調整機構を制御してもよい。
【0013】
本構成によれば、揉み部材を往復運動させつつ、揉み部材の第2主壁部からの突出量を調整できるので、マッサージ中においてもマッサージ圧力を変化させることができ、より使用者の好みに合ったマッサージを提供することができる。
【0014】
前記位置調整機構は、手動式であってもよい。
【0015】
本構成によれば、手動式の位置調整機構によって、揉み玉ユニットの高さを無段階に調整できる。空気圧発生用の機構やモータ回転を伝達するための動力伝達機構等が必要なく、簡素な構造で揉み玉ユニットの上下方向位置を調整することができる。
【0016】
空気圧式アクチュエータは、前記第2主壁部から離間して対向配置された固定部と、前記揉み玉ユニットと前記固定部との間に配置され、前記揉み玉ユニットを第1押圧位置と、前記第1押圧位置よりも手のひら側に位置する第2押圧位置との間で変位させる位置調整エアバッグと、前記揉み玉ユニットの前記第1押圧位置と前記第2押圧位置との間の摺動をガイドするガイド部と、前記位置調整エアバッグと流体的に接続され、前記位置調整エアバッグが膨張及び収縮するように前記位置調整エアバッグにエアを供給するエア供給源と、前記位置調整エアバッグと前記エア供給源との間に設けられた電磁弁と、を有してもよい。
【0017】
本構成によれば、空気圧シリンダ等を用いる場合に比べて簡素な構造で揉み玉ユニットの高さを調整できる。揉み玉ユニットの位置を第1押圧位置と第2押圧位置とに変位させることで、使用者の手のひらを異なるマッサージ圧力でマッサージすることができ、使用者の好みに応じてマッサージ圧力を変化することができる。
【0018】
また、位置調整エアバッグに供給する空気量を調整することで、例えば、位置調整エアバッグを最も収縮した第1押圧位置から位置調整エアバッグを最も膨張した第2押圧位置までの任意の位置に揉み玉ユニットを調整できる。より細かにマッサージ圧力を調整できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の手用マッサージ器によれば、手のひらのマッサージ圧力を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るマッサージ器の斜視図。
【
図2】カバー及びエアバッグユニットを取り外した状態の
図1のマッサージ器の斜視図。
【
図3】
図2におけるIII-III線に沿った断面。
【
図6】マッサージ器の下蓋部を非表示にした分解斜視図。
【
図7】マッサージ器の下蓋部を非表示にした底面図。
【
図8】
図3におけるVIII-VIII線に沿った断面。
【
図10A】ベース部展開状態のエアバッグ本体の平面図。
【
図10B】ベース部展開状態のエアバッグ本体の底面図。
【
図11】本発明の実施形態におけるマッサージ器のブロック図。
【
図12】マッサージ器の動作パターン時の各種要素の動作推移の一例を示すタイムチャート。
【
図13】位置調整機構の変形例を示す
図3の部分拡大図。
【
図14】位置調整機構の他の変形例を示す
図3の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、手用マッサージ器に関するものである。このマッサージ器の構成の説明に先立ち、
図1を参照しながら、使用時におけるマッサージ器と手指を含む手との関係について概略を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る手指を含む手用のマッサージ器1の外観斜視図である。
図1に示すマッサージ器1では、右手または左手の手のひらを下に向けた状態で手指を含む手(以下、単に「手」ともいう)が、マッサージ器1の前端に設けられた手挿入口11から挿入される。
【0023】
以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、使用者の手の甲側を「上」、手のひら側を「下」、手首側を「前」、指先側を「後」、とした場合におけるマッサージ器1の各方向を指すものとする。
【0024】
図1に示すように、マッサージ器1に左手が挿入される場合、左手の親指がマッサージ器1の右側に設けられた左手親指挿入部2cに挿入される。マッサージ器1に右手が挿入される場合、右手の親指がマッサージ器1の左側に設けられた右手親指挿入部2dに挿入される。
【0025】
マッサージ器1に挿入された手の手の甲は、マッサージ器1の前側で、かつ、手の甲側に配置された、後述する手の甲用エアバッグ31,32,33,34(
図5参照)によってマッサージされる。マッサージ器1に挿入された手の手のひらは、マッサージ器1の前側で、かつ、手のひら側に配置された揉み部材60(
図2参照)によってマッサージされる。マッサージ器1に挿入された側の手の親指は、マッサージ器1の左または右手親指挿通部2c,2d内に配置された、後述する左または右手親指用エアバッグ35,36(
図5参照)によってマッサージされる。マッサージ器1に挿入された手のその他の手指は、マッサージ器1の後側に配置された、後述するその他指用エアバッグ37,38,39,40(
図5参照)によってマッサージされる。
【0026】
マッサージ器1の上面には、後に詳述する操作部8が備えられている。使用者が、操作部8を操作することで、エアバッグ31~40と、揉み部材60とによって、使用者の手指を含む手のマッサージが実行される。
【0027】
上述のエアバッグ31~40、及び、揉み部材60は、例えば、布材等で成るカバー部材14によって覆われている。手指を含む手には、カバー部材14を介して、エアバッグ31~40及び揉み部材60からの押圧力が作用するようになっている。カバー部材14と、エアバッグ31~40及び揉み部材60との間には、例えば、ポリウレタン等の緩衝材を配置させてもよい。
【0028】
次に、本発明の実施形態に係るマッサージ器1の構成について説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る手指を含む手用のマッサージ器1のカバー部材14とエアバッグ31~42を取り除いた状態の外観斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5は、
図3のV-V線に沿った断面図である。
図1~
図5に示すように、マッサージ器1は、ハウジング2と、エアバッグユニットと、揉み玉ユニット6とを備えている。
【0030】
図2を参照すると、ハウジング2は、樹脂で作られている。ハウジング2は、手指を含む手を挿入する前側開口部2aを備えている。ハウジング2は、上蓋部21と、下蓋部22と、上蓋部21と下蓋部22との間に配置されて内部に手を挿入する挿入空間S1を備えた本体部23と、を有している。
【0031】
図3及び
図4に示すように、上蓋部21は、上面部21aと、右側壁部21bと、左側壁部21cとを有する。上面部21aは、左右方向の中央部が上方に凸状となる緩やかな曲線状に形成されている。上面部21aは、前縁部21dが後縁部21eよりも上方に位置する。右側壁部21b及び左側壁部21cは、上面部21aの幅方向両側部から下方に向かって幅方向外側に拡がるように延びている。上面部21aと、右側壁部21b及び左側壁部21cとは、曲線状に連続している。
【0032】
図2及び
図3に示すように、右側壁部21bの下縁部21fにおける前後方向の中間部には、上方に向かって切り欠かれた半円状の右側切欠き部21gが設けられている。右側切欠き部21gと、後述の下蓋部22の右側切欠き部22gとによって、ハウジング2の右側壁部をそれぞれ貫通する左手親指挿入部2cが形成される。
【0033】
左側壁部21cにも、右側壁部21b同様に、下縁部21fを上方に行き欠いた左側切欠き部21gと、下蓋部22の左側切欠き部22gとによって、ハウジング2の左側壁部を貫通する右手親指挿入部2dが形成されている。右手親指挿入部2dについては、右側壁部21bと同様の構成を有するため図示を省略する。
【0034】
図3及び
図4に示すように、下蓋部22は、下面部22aと、右側壁部22bと、左側壁部22cとを有する。下面部22aは、前後方向に水平状に延びている。右側壁部22b及び左側壁部22cは、下面部22aの幅方向両側部から上方に向かって幅方向外側に拡がるように延びている。下面部22aと、右側壁部22b及び左側壁部22cとは、曲線状に連続している。下蓋部22の左右方向の寸法は、上蓋部21の左右方向の寸法と一致する。
【0035】
図2及び
図3に示すように、右側壁部22bの上縁部22gにおける前後方向の中間部には、下方に向かって切り欠かれた半円状の右側切欠き部22gが設けられている。左側壁部22c左側切欠き部22gについては、右側切欠き部22gと同様の構成を有するため図示を省略する。下蓋部22の左側切欠き部22gは、上蓋部21の左側切欠き部21gと前後方向位置が一致するように設けられ、下蓋部22の右側切欠き部22gは、上蓋部21の右側切欠き部21gと前後方向位置が一致するように設けられている。
【0036】
図3及び
図5を参照すると、上蓋部21の後縁部21eと、下蓋部22の後縁部22eとの前後方向位置を略一致させるとともに、上蓋部21の両側壁部21b,21cの下縁部21f,21fと、下蓋部22の両側壁部22b,22cの上縁部22f,22fとを当接させた状態で、上蓋部21と下蓋部22が結合されている。上蓋部21及び下蓋部22は、例えば、それぞれに設けられた複数の係合部21h、22hによって係合されている。
【0037】
上蓋部21と下蓋部22とが結合されると、ハウジング2の前端部には、手を挿入するための前側開口部2aが形成される。ハウジング2の後端部には、その他の指を臨む後側開口部2bが形成される。前述のように、ハウジング2の右側壁部には、右側壁部を貫通する左手親指挿通部2cが形成され、左側壁部には、右手親指挿通部2dが形成されている。
【0038】
図2及び
図3に示すように、ハウジング2は、前側リング部材28と、後側リング部材29とを有する。前側リング部材28は、前側開口部2a(上蓋部21と下蓋部22の前縁部21d,22d)に対応する楕円状を有している。前側リング部材28は、上蓋部21の前縁部21dと本体部23の前縁部とを連続させると共に、前縁部21dを前側から覆っている。前側リング部材28には、操作部8が一体的に設けられている。
【0039】
図1及び
図3に示すように、上面部21aの前縁部21dには、上面部21aが前方に開口するU字状に切り欠かれた上面切欠き部21hが設けられている。上面切欠き部21hには、操作部8が嵌め込まれている。操作部8は、上面切欠き部21hに相補的な半長楕円状を有し、上面切欠き部21hを覆うように配置されている。操作部8は、マッサージ器1を動作させるための複数のスイッチを有する。複数のスイッチは、例えば、電源スイッチ81、オフスイッチ82、モード選択スイッチ83等を有する。本実施形態において、複数のスイッチは、いわゆるタッチパネルによって構成されている。複数のスイッチは、機械式のスイッチによって構成されてもよい。操作部8として、全機能を停止(OFF)するための全停止ボタンを設けてもよい。
【0040】
図3に示すように、後側リング部材29は、後側開口部2b(上蓋部21と下蓋部22の後縁部21e,22e)に対応する楕円形状を有している。後側リング部材29は、上蓋部21及び下蓋部22の後縁部21e,22eと、本体部23の後縁部とを連続させると共に、後縁部21e,22eを後側から覆っている。後側リング部材29の下蓋部22に対向する部分には、上方向に向かって前方に傾斜して立ち上がる縦壁部29aが設けられている。縦壁部29aの上縁部29bは、後述の本体部23の後拡大部23bに対向する位置まで延びている。前側リング部材28及び後側リング部材29は、それぞれに設けられた係合部28a,29cによって、上蓋部21及び下蓋部22に取り付けられている。
【0041】
図3及び
図4に示すように、本体部23は、手指を含む手が挿入される挿入空間S1を画定する扁平な筒状で形成されている。本体部23は、使用状態において、手の甲に対向する第1主壁部24と、手のひらに対向する第2主壁部25と、第1主壁部24と、第2主壁部25とを連結する右側連結部26と、左側連結部27とを備えている。第1主壁部24と第2主壁部25とは、互いに対向配置されている。本体部23には、前拡大部23aと後拡大部23bとが設けられている。
【0042】
図3及び
図5を参照すると、本体部23の右側連結部26の前後方向における中間部(左手親指が配置される部位)には、右外側に突出する右側ボス部26aが設けられている。右側ボス部26aは、右側連結部26を左右方向に貫通するように形成されている。右側ボス部26aの外径は、左手親指挿通部2cの内径よりも小さく形成されている。
【0043】
本体部23の左側連結部27の前後方向における中間部(右手親指が配置される部位)には、左外側に突出する左側ボス部27aが設けられている。左側ボス部27aは、左側連結部27を左右方向に貫通するように形成されている。左側ボス部27aの外径は、右手親指挿通部2dの内径よりも小さく形成されている。
【0044】
本体部23は、ハウジング2の上蓋部21と下蓋部22との間に配置されている。右側ボス部26aは、左手親指挿通部2cの内側に配置されている。左側ボス部27aは、右手親指挿通部2dの内側に配置されている。
【0045】
図3に示すように、前拡大部23aは、本体部23の前端から次第に径方向に拡がりながら前方側に向けて延びる傾斜面部で構成されている。前拡大部23aは、上蓋部21及び下蓋部22の前縁部21d,22d近傍まで延びている。後拡大部23bは、本体部23の後端から次第に径方向に拡がりながら後方に向かって延びる傾斜面部で構成されている。後拡大部23bは、上蓋部21の後縁部21e及び後側リング部材29の上縁部29b近傍まで延びている。
【0046】
図3に示すように、第1主壁部24は、前側から後側に向かって下方に傾斜している。第2主壁部25は、前側から後側に向かって上方に傾斜している。これにより、前側よりも後側の挿入空間S1の上下方向寸法が狭くなっている。
【0047】
図3及び
図5を参照すると、本実施形態において、本体部23は、上下方向に2分割されている。より詳しくは、本体部23は、第1主壁部24を備える上本体部23cと、第2主壁部25を備える下本体部23dとを有する。上本体部23cと下本体部23dとは、幅方向外側に突出すると共に互いに係合するように設けられた複数の係合部23e,23fを備えている。これらの係合部23e,23fによって、上本体部23cと下本体部23dとが結合されて一体となっている。下本体部23dには、さらに幅方向外側に突出する係合部23gが設けられており、上本体部23cと一体となった状態で、係合部23gによって上蓋部21に取りけられている。
【0048】
図3及び
図5に示すように、第2主壁部25の前側の部位(手のひらの手首側の部位が配置される部位)には、第2主壁部25を上下に貫通する揉み玉用開口部25aが形成されている。揉み玉用開口部25aには、開口縁部に沿って上方に立ち上がって、揉み玉用開口部25aを取り囲む揉み玉ガイド部25bが設けられている。後述の位置調整機構によって、第2主壁部25に対して揉み部材60を上下方向に変位させる際に、揉み玉ガイド部25bが揉み部材60の変位をガイドするようになっている。
【0049】
図3及び
図4に示すように、揉み玉ユニット6は、手のひらをマッサージするための揉み部材60と、揉み部材60を回動させる駆動機構65とを有する。揉み部材60は、第2主壁部25に上方突出状に配置されている。駆動機構65は、第2主壁部25と下蓋部22との間に配置されている。
【0050】
図5を参照すると、揉み部材60は、軟質樹脂製又は硬質樹脂製、或いは、ゴム製である。揉み部材60は、円盤状の回転台部61と、回転台部61から上方に突出する略半球形状の大径部62、および、大径部62より径の小さな略半球形状の小径部63とを有する。
【0051】
図4に示すように、回転台部61は、周縁部から下方に向かって延びる周壁部61bを有する。周壁部61bは、後述の位置調整機構によって、第2主壁部25に対して揉み部材60を上下方向に変位させる際に、揉み部材60が揉み玉ガイド部25bから離脱されることを防止できるようになっている。より詳しくは、
図9に示すように、揉み部材60が第2主壁部25に対して最も上方に配置された状態においても、周壁部61bの少なくとも一部が、上下方向において揉み玉ガイド部25bとオーバラップするようになっている。
【0052】
図5に示すように、大径部62と小径部63とは、前後方向に並べて配置されている。大径部62と、小径部63とは、回転台部61上において、前後方向に延びるそれぞれの中心軸の左右位置を一致させて配置されている。本実施形態においては、大径部62と小径部63とは、連続するように形成されている。大径部62と小径部63とは、平面視において大径部62の前側の部位と、小径部63の後側の部位とがオーバラップして一体的に(平面視瓢箪状に)形成されている。大径部62は、駆動時に手のひらの手首側の部位に対応する位置を通るように配置されている。大径部62は、後述の第4甲用エアバッグ34側に配置されている。
【0053】
大径部62と小径部63との中央部(回転台部61の中心)には、下側に突出するボス部61aが設けられている。ボス部61aには、後述するモータ本体65aの出力軸65bが圧入されている。
【0054】
図3を参照すると、駆動機構65は、揉み部材60を回動動作させるためのモータで構成されている。モータ65は、軸が上下に延びるように配置されている。モータ65は、モータ本体65aから上方に出力軸65bが突出するように配置されている。モータ65の出力軸65bには、揉み部材60のボス部61aが嵌合されている。出力軸65bの上部側には、例えば、ボルト用の溝部が形成されている。ボス部61aと溝部とにボルトを挿通させて螺合することで、出力軸65bと揉み部材60とが結合されてもよい。
【0055】
図3、
図4及び
図6に示すように、モータ本体65aの外周部には、フランジ部66と、回り止め部67とが設けられている。フランジ部66は、モータ65の上側の部分(揉み部材60側の部分)から、モータ65の径方向外側に向かって円筒状に膨出している。言い換えると、フランジ部66は、モータ本体65aよりも大きい径を有する。モータ65は、後述のモータ保持部74のモータ係合部74b内にモータ本体65aが挿通されると共に、フランジ部66がモータ保持部74の上面74hに載置されるようになっている。
【0056】
回り止め部67は、フランジ部66の下面から下方に向かって柱状に延びている。本実施形態において、回り止め部67は、モータ本体65aの外周に周方向に一定間隔で3箇所設けられている。各回り止め部67の内部には、ねじ孔が設けられており、後述のモータ保持部74のモータ固定部74gに図示しないボルト等で取り付けられている。
【0057】
本実施形態においては、モータ65の出力軸65bが揉み部材60に直結されている例について説明したが、モータ65と揉み部材60との間には、ギヤ等の減速機構が備えられてもよい。
【0058】
図3、4、6、及び7を参照すると、マッサージ器1は、揉み玉ユニット6の上下方向の位置を調整する位置調整機構70を備えている。本実施形態において、位置調整機構は、空気圧式アクチュエータで構成されている。空気圧式アクチュエータ70は、支持部71と、ガイド部72と、固定部73と、モータ保持部74と、位置調整エアバッグ75(
図3と
図4に於いて図示省略)と、エア供給源76と、位置調整電磁弁77とを備えている。空気圧式アクチュエータ70の概要を説明した後に各構成要素の詳細について後述する。
【0059】
図3及び
図6に示すように、支持部71は、第2主壁部25から下方に向かって延び(第2主壁部25から垂下状に設けられ)、下端部には固定部73が取り付けられている。言い換えると、固定部73は、支持部71に取り付けられることで、第2主壁部25のから所定の位置に離間した下方に対向配置される。
【0060】
モータ保持部74は、第2主壁部25と固定部73との間で、固定部73に対向配置された板状の被ガイド部74a(以下、板部74aと呼ぶ場合もある)と、揉み玉ユニット6を保持するモータ係合部74bとを有する。モータ保持部74は、固定部73と第2主壁部25との間で、支持部71と平行に設けられたガイド部72に沿って摺動可能である。モータ保持部74の摺動によって、揉み部材60が上下方向に変位できるようになっている。
【0061】
図6及び
図7を参照すると、位置調整エアバッグ75は、板部74aと固定部73との間に配置されている。位置調整エアバッグ75には、位置調整電磁弁77及びエア供給管56(
図11参照)を介してエア供給源76が流体的に接続されている。位置調整エアバッグ75は、エア供給源76により吸排気され、膨張・収縮する。
【0062】
図3を参照すると、位置調整エアバッグ75が収縮した収縮状態(エアが供給されていない状態)では、板部74aと固定部73が最も近づく。位置調整エアバッグ75が膨張した膨張状態(エアが供給された状態)では、位置調整エアバッグ75によって板部74aが固定部73に対して上方に離間され、板部74aと固定部73との間の隙間が最も大きくなる。
【0063】
図9に二点鎖線で示すように、位置調整エアバッグ75の収縮状態では、揉み玉ユニット6(揉み部材60)は、第2主壁部25からの突出量H1が12mmとなる第1押圧位置P1に位置する。一方、
図9の実線で示すように、位置調整エアバッグ75の膨張状態では、揉み部材60の第2主壁部25からの突出量H2が第1押圧位置P1よりも5mm大きい第2押圧位置P2に位置し、手のひら側に近づくようになっている。なお、突出変位可能量(寸法)ΔHは4mm以上10mm以下に設定するのが好ましい。4mm未満ではもみ感(体感)の変化が得られず、10mmを超えると圧迫感が強くなりすぎる。
【0064】
言い換えると、位置調整エアバッグ75は、揉み部材60を第1押圧位置P1と、第1押圧位置P1よりも手のひら側に位置する第2押圧位置P2との間で変位させる。ガイド部72は、揉み玉ユニット6の第1押圧位置P1と第2押圧位置P2との間の摺動をガイドしている。
【0065】
図3,4及び6~9を参照しながら、空気圧式アクチュエータ70の各構成要素について詳細に説明する。
【0066】
図6及び
図7に示すように、支持部71は、第2主壁部25の下面側(挿入空間S1と反対側の面)から下方に向かって円柱状に延びている。支持部71は、左右一対の前側支持部71aと、左右一対の後側支持部71bとを有する。各前側支持部71aは、前後方向において揉み部材60の中心(出力軸65b)に対応する位置で、揉み部材60の幅方向外側に位置している。各後側支持部71bは、前後方向において、各親指貫通孔よりも後方で、各前側支持部71aに対向する位置に設けられている。各支持部71a,71bの下端には、各支持部71a,71bよりも径が小さく、内部にねじ山を有する先端部71c,71dが設けられている。
【0067】
ガイド部72は、第2主壁部25の下面側から下方に向かって円柱状に延びている。ガイド部72は、支持部71の先端部71c,71dよりも下方まで延びている。ガイド部72は、各前側支持部71aと各後側支持部71bとの間に前側ガイド部72aと後側ガイド部72bとがそれぞれ設けられている。前側ガイド部72aの少なくとも一部は、モータ65と前後方向位置がオーバラップするように設けられている。前側ガイド部72aと前側支持部71aとの前後方向の離間距離と、後側ガイド部72bと後側支持部71bとの前後方向の離間距離は概ね一致するように設定されている。
【0068】
図3,
図6及び
図8に示すように、各ガイド部72の外周側には、それぞれ、周壁部72d及びリターンスプリング72cが設けられている。各周壁部72dは、各ガイド部72を取り囲むように設けられている。各周壁部72dは、第2主壁部25の下面側から下方に向かって延び、各ガイド部72よりも上方(第2主壁部25側)で終端している。
【0069】
より詳しくは、
図9に実線で示す位置調整エアバッグ75が膨張した膨張状態(エアが供給された状態)で、位置調整エアバッグ75によって板部74aを固定部73に対して上方に離間されと、板部74aのストッパ当接部74iが周壁部72dの下端に当接するようになっている。言い換えると、周壁部72dの下端を、モータ保持部74の上昇を所定位置で規制するストッパ部としている。
【0070】
図4及び
図8に示すように、周壁部72dの径は、モータ保持部74のガイド部72を貫通させるためのガイド部貫通孔74dよりも大きく設定されている。本実施形態において、板部74aは、上面74hから上側に突出するリブが格子状に設けられているので、実質的には、
図8に明瞭に示されるように、周壁部72dの下端は、リブの上端であるストッパ当接部74iに当接する。なお、板部74aにリブが設けられていない場合は、板部74aの上面74hが周壁部72dの下端に当接するストッパ当接部とされてもよいし、ストッパ当接部がリブとは別に設けられていてもよい。
【0071】
図3,
図6及び
図8に示すように、前側支持部71aと後側支持部71bとの間には、第2主壁部25の下面から下方に延びて、前側支持部71aと後側支持部71bとを接続する側壁部72eが設けられている。左右一対の後側支持部71b間には、第2主壁部25の下面から下方に延びて、左右一対の後支持部71b間を接続する後壁部72fが設けられている。側壁部72eと後壁部72fの下端が、周壁部72dの下端と一致する。つまり、側壁部72eの下端と後壁部72fの下端は、モータ保持部74の上昇を所定位置で規制するストッパ部としている。
【0072】
図8に示すように、リターンスプリング72cは、ガイド部72に装着されると共に、周壁部72dの径方向内側に配置されている。リターンスプリング72cは、第2主壁部25の下面と板部74aの上面との間に圧縮された状態で配置されている。言い換えると、リターンスプリング72cは、板部74aを第2主壁部25から離間させる方向(下方)に向かって弾発付勢している。位置調整エアバッグ75の膨張によって固定部73に対して上方に離間された板部74aは、位置調整エアバッグ75を収縮させると、リターンスプリング72cの下方弾発付勢力によって固定部73側(下方)へ移動するようになっている。
【0073】
図6及び
図7に示すように、固定部73は、平面視で四角形状のプレート部材である。固定部73は、4つの孔73aと、4つの切欠き73bと、モータ用逃がし部73eを有する。各孔73aは、平面視で四隅において、支持部71に対応する位置に上下方向に貫設している。孔73aは、先端部71c,71dよりも大きく前側支持部71a及び後側支持部71bよりも径が小さく設定されている。孔73aに先端部71c,71dが貫通され、先端部71c,71dに図示しないねじ等が螺合されることで固定部73を支持部71に取り付けられる。これにより、固定部73は、支持部71に取り付けられることで、第2主壁部25から所定の位置に離間して対向配置される。
【0074】
各切欠き部73bは、固定部73の幅方向の両側を切り欠くように設けられている。各切欠き部73bは、ガイド部72に対応する位置に設けられて、各切欠き部73bの内側においてガイド部72が上下方向に貫通するように配置されている。各切欠き部73bは、ガイド部72の径よりも大きく設定されている。
【0075】
モータ用逃がし部73eは、固定部73の前縁部をU字状に切り欠いた部分である。モータ用逃がし部73eは、一対の前側の孔73aの間に設けられている。モータ用逃がし部73eは、平面視において、モータ本体65aの一部と前後方向にオーバラップする位置に設けられている。モータ用逃がし部73eは、平面視においてモータ本体65aの後側の部分を取り囲んでいる。モータ用逃がし部73eとモータ65(より詳しくは、フランジ部66)との間には隙間が設けられて、モータ本体65aは、モータ用逃がし部73e内を上下方向に摺動可能となっている。なお、モータ用逃がし部73eは切り欠き形状にかぎらず円形等の孔形状とするも良い。
【0076】
図6及び
図7に示すように、モータ保持部74は、板部74aと、モータ係合部74bとを有する。板部74aは、平面視で四角形状を有する。板部74aは、4つの支持部貫通孔74cと、4つのガイド部貫通孔74dと、モータ用切欠き部74eを有する。各支持部貫通孔74cは、平面視で四隅において、支持部71に対応する位置に上下方向に貫設している。板部74aは、固定部73と第2主壁部25との間で、固定部73と第2主壁部25に対向配置されている。
【0077】
モータ用切欠き部74eは、板部74aの前縁部をU字状に切り欠いた部分である。モータ用切欠き部74eは、一対の前側の支持部貫通孔74cの間に設けられている。モータ用切欠き部74eは、平面視において、モータ65の一部と前後方向にオーバラップする位置に設けられている。モータ用切欠き部74eは、平面視においてモータ本体65aの後側の部分を取り囲んでいる。モータ用切欠き部74eは、固定部73のモータ用逃がし部73eに対応する位置に設けられている。モータ用切欠き部74eは、モータ65のフランジ部66よりも小さい径を有する。
【0078】
図3及び
図6に示すように、板部74aと固定部73との間には、スペーサ73fが配置されている。スペーサ73fはリング状を有し、各支持部71に挿通されている。スペーサ73fの厚さは、板部74aと固定部73との間に配置される位置調整エアバッグ75の収縮状態での厚さと概ね一致するように設定されている。
【0079】
図4及び
図8を参照すると、板部74aは、スペーサ73fと、ストッパ部(周壁部72dの下端)との間で上下方向に摺動可能である。より詳しくは、位置調整エアバッグ75の収縮状態では、板部74aがスペーサ73fの上端に当接し、板部74aのストッパ当接面74iとストッパ部(周壁部72dの下端)との間の隙間gが最も大きく、本実施形態においては、5mmに設定されている。隙間gは、これに限られるものではなく、4mm以上10mm以下であればよい。板部74aの変位に伴って、モータ係合部74bに係合されるモータ65も変位する。これにより、モータ65に取り付けられている揉み部材60が上下方向に変位される。言い換えると、隙間gは、揉み部材60の第2主壁部25からの突出変位可能量(
図9に示されている第2押圧位置P2における第2主壁部25からの突出量H2と第1押圧位置P1における第2主壁部25からの突出量H1との差ΔH)と一致する。
【0080】
図3,
図6及び
図7に示すように、モータ係合部74bは、円形状の筒部74fと、モータ固定部74gとを有する。筒部74fは、モータ用切欠き74eの縁部から下方に向かって突出する筒状の部分である。筒部74fの内側には、モータ本体65aが配置され、筒部74fの上端には、フランジ部66が載置される。言い換えると、筒部74fの内径は、モータ本体65aと概ね一致し、フランジ部66よりも小さく設定されている。
【0081】
モータ固定部74gは、筒部74fから径方向外側に向かって膨出すると共に、平面視で半円筒状を有する。モータ固定部74gは、周方向に一定間隔で3箇所、回り止め部67に対応する位置に設けられている。モータ固定部74gの下端部には、筒部74fの径方向内側に突出する突出部74jが設けられている。突出部74jの上面には、回り止め部67の下端が載置されて図示しないボルト等で固定される。
【0082】
図6,
図7及び
図9に示すように、位置調整エアバッグ75は、固定部73とモータ保持部74との間に配置されている。本実施形態において、位置調整エアバッグ75は、矩形状を有しモータ65に対して前後方向位置をオフセットさせて配置されている。位置調整エアバッグ75は、固定部73に対応するU字状に形成されていてもよい。位置調整エアバッグ75は、固定部73とモータ保持部74とのうち少なくとも一方に固定されていてもよいし、例えば、位置調整エアバッグ75にフランジ部を設けてフランジ部を支持部71に挿通させて固定してもよい。
【0083】
図9に示すように、位置調整エアバッグ75は、モータ保持部74側に設けられた上面部(対向面部)75aと、反対向面部側に設けられて固定部73に固定される下面部(被固定面部)75bとを備えている。上面部75aと、下面部75bは、例えば、周縁部が互いに熱圧着されることで一体化されて、袋状のエアバッグが形成されている。位置調整エアバッグ75には、エア供給部(図示せず)が設けられている。位置調整エアバッグ75は、エア供給部を介して固定部73に固定されていてもよい。エア供給部には、後述のエア供給源76から供給されるエアを取り入れるためのエア供給管56(
図11参照)が接続されている。位置調整エアバッグ75は、エア供給源76により吸排気され、膨張・収縮する。
【0084】
図9に示すように、位置調整エアバッグ75は、収縮状態では、スペーサ73f以下の厚さに設定され、膨張状態では、固定部73上面から周壁部72d下端(ストッパ部)の間の隙間g1から板部74aの厚さT2を除いた厚さg2になるように設定されている。言い換えると、位置調整エアバッグ75の膨張によって、板部74aは、スペーサ73fの上端から上方に向かって周壁部72dの下端に当接するまで変位する。本実施形態では、位置調整エアバッグ75の収縮状態から膨張状態では、スペーサ73fの厚さT1分、揉み部材60変位可能量ΔHよりも大きく設定されている。
【0085】
図3と
図7を参照すると、エア供給源76は、例えば、エアポンプ51であって、第2主壁部25と下蓋部22との間で、幅方向中央かつモータ65の前側に配置されている。エア供給源76は、第2主壁部25の下面に取付部を介して固定されている。
【0086】
位置調整電磁弁77は、位置調整エアバッグ75に対するエアの吸排気を制御する。位置調整電磁弁77は、エア供給源76と、位置調整エアバッグ75にそれぞれエア供給管を介して接続されている。本実施形態では位置調整電磁弁77、は、第2主壁部25と下蓋部22との間で、エア供給源76の側方に配置されている。
【0087】
マッサージ器1は、揉み玉ユニットに加えて、手指を含む手をマッサージするエアバッグユニットを備えている。以下、
図3,5,10及び11を参照しながらエアバッグユニットの構成について説明する。
【0088】
図3、
図5、
図10A、
図10B、及び
図11を参照すると、エアバッグユニットは、エアバッグ本体30と、エアバッグ本体30と流体的に接続されてエアバッグ本体30にエアを供給するエア供給手段50とを有する。エアバッグ本体30は、ハウジング2の本体部23の挿入空間S1内に配置されている。
【0089】
図3~
図5に示すように、本体部23には、エアバッグユニットにエアを供給するための複数の開口部が設けられている。
【0090】
図3及び
図4に示すように、第1主壁部24の中間部には、第1主壁部24を上下に貫通する第1開口部24aが形成されている。第1開口部24aよりも前側かつ右側に第2開口部24bが形成され、第1開口部24aよりも前側かつ左側に第3開口部24cが形成されている。言い換えると、第1開口部24aは、手指の付けの部位(指尖球)が配置される部位に設けられている。第2及び第3開口部24b,24cは、親指の付け根から手首にかけての部位(母指球)と小指の付け根から手首にかけての部位(小指球)が配置される部位に設けられている。第1主壁部24において右側のボス部26aに対応した部位(左手親指が配置される部位)には、第1主壁部24を上下に貫通する第4開口部24cが形成されている。また、第1主壁部24において左側のボス部27aに対応した部位(右手親指が配置される部位)には、第1主壁部24を上下に貫通する第5開口部24dが形成されている。
【0091】
図5に示すように、第2主壁部25の後側の部位(各手指が配置される部位)には、第2主壁部25を上下に貫通する第6,7,8,9開口部25d,25e,25f,25gが、左右に略均等に並べて設けられている。第2主壁部25のもみ玉用開口部25aよりも手前側の部位には、第2主壁部25を上下に貫通する第10開口部25hが形成されている。
【0092】
図5,
図10A及び
図10Bを参照すると、エアバッグ本体30は、甲用エアバッグ31,32,33,34と、左手親指用エアバッグ35と、右手親指用エアバッグ36と、親指以外のその他指用のエアバッグ37,38,39,40と、ひら用エアバッグ41,42と、甲用エアバッグ31~34とひら用エアバッグ41とが一体となるように結合されるベース部43と、を備えている。エアバッグ本体30は、手のひら用エアバッグ41,42と、手の甲用エアバッグ31~34とが対面状となるように折り曲げられて配設される。エアバッグ本体30のベース部43は、ハウジング2の本体部23の第1主壁部24に沿って固定されている。両親指用エアバッグ35,36、その他指用エアバッグ37~40、及び、手のひら用エアバッグ42は、第2主壁部25に沿って固定されている。なお、その他指用とは、言い換えると、人差し指、中指、薬指、小指の4本指用である。
【0093】
甲用エアバッグ31,32,33,34は、第1甲用(手の甲側指の付け根用)エアバッグ31と、第2甲用(右側用)エアバッグ32と、第3甲用(左側用)エアバッグ33と、第4甲用(手の甲側手首用)エアバッグ34とを有する。第1甲用エアバッグ31は、手指の付け根の部位に対向するように配置されている。第2甲用エアバッグ32は、手の甲の左手親指(または右手小指)の付け根の部位(左母指球または右小指球)と、手の甲の左右中間部とにまたがる領域に対向するように配置されている。第3甲用エアバッグ33は、手の甲の右手親指(または左手小指)の付け根の部位(右母指球または左小指球)と、手の甲の左右中間部とにまたがる領域に対向するように配置されている。第4甲用エアバッグ34は、手の甲側の手首に対向するように配置されている。言い換えると第4甲用エアバッグ34は、手の甲側の手首側の部位から手首の手の甲側を押圧するように設けられている。
【0094】
第1甲用エアバッグ31は、手の甲に対向する側に設けられた対向面部31aと、反対向面部側に設けられてベース部43に固定される被固定面部(図示せず)とを備えている。対向面部31aと、被固定面部は、例えば、周縁部が互いに熱圧着されることで一体化されて、袋状のエアバッグが形成されている。第2甲用エアバッグ32、第3甲用エアバッグ33、第4甲用エアバッグ34も、第1甲用エアバッグ31同様に、対向面部32a,33a,34aと、被固定面部(図示せず)を備えている。
【0095】
手のひら用エアバッグ41,42は、第1ひら用(手のひら側指の付け根用)エアバッグ41と、第2ひら用(手のひら側手首用)エアバッグ42とを有する。第1ひら用エアバッグ42は、手指の付け根の部位に対向するように配置されている。第1ひら用エアバッグ42と、第1甲用エアバッグ31とは、対向配置されている。第2ひら用エアバッグ42は、手のひらの手首側の部位(手の付け根に対応する部位)に対向するように配置されている。言い換えると、第2ひら用エアバッグ34は、手のひら側の手首を押圧するように設けられている。第2ひら用エアバッグ42と、第4甲用エアバッグ34とは、対向配置されている。第1ひら用エアバッグ41は、後述する揉み部材60よりも指側に配置されており、第2ひら用エアバッグ42は、揉み部材60よりも手首側に配置されている。言い換えると、第1ひら用エアバッグ41と第2ひら用エアバッグ42とは、後述する揉み部材60を挟んで前後方向に離間して配置されている。
【0096】
第1ひら用エアバッグ41及び第2ひら用エアバッグ42は、第1甲用エアバッグ31同様に、手のひらに対向する側に設けられた対向面部41a、42aと、被固定面部(図示せず)を備えている。本実施形態においては、第1甲用エアバッグ31と、第1ひら用エアバッグ41とは、一体的に形成されている。具体的には、第1甲用エアバッグ31の対向面部31aと第1ひら用エアバッグ41の対向面部41aとは、連続する帯状に形成されている。第1甲用エアバッグ31と、第1ひら用エアバッグ41とは、本体部23内に収納される際に、断面C字状に折り曲げられて配置される。
【0097】
エアバッグ本体30は、第1、2、3、4甲用エアバッグ及び第1、第2ひら用エアバッグ31,32,33,34,41,42にエアを供給するための第1、2、3、4エア供給部31b,32b,33b,42bを有する。第1、2、3、4エア供給部31b,32b,33b,42bは、第1、2、3甲用エアバッグ31~33及び第2ひら用エアバッグ42に対応する位置に配置されている。本実施形態においては、第1甲用エアバッグ31は、第4甲用エアバッグ34及び第1ひら用エアバッグ41と連通している。これにより、第1エア供給部31bによって、第1、第4甲用エアバッグ31,34及び第1ひら用エアバッグ41にエアが供給される。第1甲用エアバッグ31と第4甲用エアバッグ34を連通させる流路部は図示を省略している。
【0098】
第1、2、3エア供給部31b,32b,33bは、エアバッグ本体30をハウジング2の本体部23に固定するための固定部としての機能を備える。具体的には、第1、2、3エア供給部31b,32b,33bを、ハウジング2の本体部23の第1、2、3開口部24a,24b,24cにそれぞれ挿入する。第1、2、3エア供給部31b,32b,33bの本体部23の第1主壁部24の上面に突出した部位かつ内部流路非形成部に、例えば、抜け止め用の固定ピンを挿通する。これにより、エアバッグ本体30がハウジング2の本体部23の第1主壁部24に固定されて、エアバッグ本体30が、第1主壁部24から脱落することが防止されている。
【0099】
第4エア供給部42bは、第2ひら用エアバッグ42をハウジング2の本体部23に固定するための固定部としての機能を備える。具体的には、第4エア供給部42bを、ハウジング2の本体部23の第10開口部25hに挿入する。第4エア供給部42bの本体部23の第2主壁部25の下面に突出した部位かつ内部流路非形成部に、例えば、抜け止め用の固定ピンを挿通する。これにより、第2ひら用エアバッグ42がハウジング2の本体部23の第2主壁部25に固定されて、エアバッグ本体30が、第2主壁部25に位置決めされる。
【0100】
左手親指用エアバッグ35、右手親指用エアバッグ36、および、その他指用エアバッグとしての第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40は、それぞれの指を取り囲む筒状に形成されている。これらの第1~第4指用エアバッグ37~40は、一体的に形成されている。
【0101】
両親指用エアバッグ35,36、及び、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40において、第1主壁部24及び第2主壁部25に対面する側の部位には、エアを取り入れるための第5、6、7、8、9、10エア供給部35b,36b,37b,38b,39b,40bが設けられている。
【0102】
第5、6、7、8、9、10エア供給部35b,36b,37b,38b,39b,40bは、両親指用エアバッグ35,36、及び、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40をハウジング2の本体部23に位置決めするための固定部としての機能を備える。具体的には、第5、6、7、8、9、10エア供給部35b,36b,37b,38b,39b,40bを、ハウジング2の本体部23の第1主壁部24及び第2主壁部25の第4、5、6、7、8、9開口部24d,24f,25d,25e,25f,25gにそれぞれ挿入する。第5、6、7、8、9、10エア供給部35b,36b,37b,38b,39b,40bの本体部23の第1主壁部24の上面及び第2主壁部25の下面から突出した部位かつ内部流路非形成部に、例えば、抜け止め用の固定ピンを挿通する。これにより、第5、6、7、8、9、10エア供給部35b,36b,37b,38b,39b,40bが、第1主壁部24又は第2主壁部25に位置決めされている。
【0103】
各エア供給部31b~33b,35b~40b,42bには、後述のエア供給手段50から供給されるエアを取り入れるためのエア供給管56がそれぞれ接続されている。上述したエアバッグ本体30は、エア供給手段50により吸排気され、膨張・収縮する。
【0104】
図3及び
図11に示すように、エア供給手段50は、エアバッグに供給する空気を吸出または吐出するためのエア供給源としてのエアポンプ51と、エアポンプ51に接続されてエアポンプ51から供給されるエアの流止を制御する複数の電磁弁52,53,54,55と、複数の電磁弁52,53,54,55との複数のエアバッグのエア供給部31b~33b,35b~40b,42bとを接続する複数のエア供給管56とを有する。本実施形態において、エアポンプ51は、位置調整エアバッグ75にエアを供給するためのエア供給源76によって構成されている。複数の電磁弁52,53,54,55は、ハウジング2の後部で上蓋部22と本体部23の間に配置されている。なお、エアバッグ本体30にエアを供給するエアポンプ51は、位置調整エアバッグ75のエア供給源でもある。
【0105】
図11に示すように、第1電磁弁52は、エア供給管56を介して第1甲用エアバッグ31と、第2甲用エアバッグ32と、第3甲用エアバッグ33と、第4甲用エアバッグ34と、第1ひら用エアバッグ41とに接続されている。第2電磁弁53は、エア供給管56を介して第2ひら用エアバッグ42に接続されている。第3電磁弁54は、エア供給管56を介して左手親指用エアバッグ35と、右手親指用エアバッグ36に接続されている。第4電磁弁55は、エア供給管56を介して第1、2、3、4のその他指用エアバッグ37,38,39,40に接続されている。位置調整電磁弁77は、エア供給管56を介して位置調整エアバッグ75に接続されている。
【0106】
第1、2、3、4電磁弁52,53,54,55及び位置調整電磁弁77は、開閉することにより、第1、2、3、4電磁弁52,53,54,55及び位置調整電磁弁77にそれぞれ接続されている各エアバッグの膨張・収縮のタイミングを調整することができる。なお、第1、2、3、4電磁弁52,53,54,55及び位置調整電磁弁77は、全閉を含む開度が調整可能とするのが好ましい。第1、2、3、4電磁弁52,53,54,55及び位置調整電磁弁77の開度を調整することにより、第1、2、3、4電磁弁にそれぞれ接続されている各エアバッグの膨張・収縮のタイミング、及び、膨張量を調整することができる。
【0107】
マッサージ器1は、
図11に示すように、エアバッグ本体30及び位置調整エアバッグ75へのエアの供給と、揉み部材60の回動動作及び位置調整とを制御するための制御部9を有する。
【0108】
制御部9には、マッサージ器1の制御に用いられる操作部8からの信号が入力される。操作部8には、マッサージ器1の電源を入れるための電源スイッチ81と、マッサージ器1の動作を停止するためのオフスイッチ82と、マッサージ器1の動作モードを選択するモード選択スイッチ83と、揉み玉ユニット6(揉み部材60)を変位させるための揉み感強モードスイッチと、が備えられている。これらのスイッチ81,82,83の状態が制御部9へ入力信号として入力される。
【0109】
制御部9は、各種入力信号に基づき、エアポンプ76(51)と、第1~第4電磁弁52,53,54,55及び位置調整電磁弁77と、モータ65に制御信号を出力して、エアバッグ本体30、及び、揉み部材60を制御する。
【0110】
制御部9は、エアポンプ76によるエアの供給および排出と、各電磁弁52,53,54,55,77の開閉、及び、開弁度を独立して制御することができるように構成されている。したがって、各電磁弁52,53,54,55,77から各エアバッグ31~42,75へのエアの供排と、供給されるエアの流量とが独立して制御される。すなわち、制御部9は、各エアバッグ31~42,75の膨張タイミングと、膨張量とを制御することができる。また、制御部9は、エアバッグの膨縮のタイミングと、揉み部材60の円弧運動又は回転運動(平面上運動)のタイミングと、揉み部材60の変位運動(位置調整移動)のタイミングと、を個別に制御できる。
【0111】
制御部9は、モータ65を制御することによって、揉み部材60の回転方向や揉み部材60の動作を制御する。制御部9は、回転台部61の中心の出力軸65bを回転軸とした、揉み部材60の回転運動、及び、円弧運動を制御することができる。
【0112】
制御部9は、揉み部材60を回転運動又は円弧運動させるように駆動機構を制御し、かつ、揉み部材60を上昇させるように位置調整機構を制御可能である。例えば、制御部9は、揉み部材60を回転又は円弧運動させると共に、エアバッグ本体30のいずれか又はすべてのエアバッグ31~42を膨張させている際に、揉み玉強モードスイッチ84がON操作された信号又はプログラムによる命令信号に基づいて、揉み部材60を上昇させる(位置調整する)。このように構成することで、揉み部材60とエアバッグ本体30による所定のマッサージコースを実施中に、使用者の好みに応じて揉み部材60による押圧力(揉み感)を強くすることができる。
【0113】
以上の構成により、マッサージ器1は、エアバッグ本体30の動作と、揉み部材60の動作と、位置調整エアバッグ75による揉み部材60の位置の調整とを組み合わせた複数のマッサージパターンで手指を含む手のマッサージをすることができる。マッサージパターンは、予め割り当てられた複数の動作モードのうち、操作部8のモード選択スイッチによって選択された動作モードによって、エアバッグ本体30、位置調整エアバッグ75、及び、揉み部材60を動作させることができるように構成されている。
【0114】
図12に示すタイムチャートは、本実施形態に係るマッサージ器の第1動作パターン時の各種要素の立ち上がり時の動作推移の一例を示している。
【0115】
マッサージ器1を使用する場合、使用者は、電源スイッチ81を押下し、マッサージ器1を起動する。使用者によって電源スイッチ81がオン状態にされたときに選択モードスイッチ83が操作されない場合は、所定の動作パターンが選択されたものとみなされる。以下に、所定の動作パターンの一例について説明する。
【0116】
時点t0において、使用者によって電源スイッチ81がオン状態とされると、第3電磁弁54及び第4電磁弁55が開状態とされる。第3電磁弁54及び第4電磁弁55にそれぞれ接続されている左手親指エアバッグと35、右手親指エアバッグ36と、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40と、に所定流量のエアが供給されて、これらのエアバッグが膨張する。これにより、使用者の右または左手の親指と、その他の指とにマッサージ圧力が作用する。
【0117】
電源スイッチ81がオン状態にされた時点t0から所定時間Δt1経過した時点t1において、モータ65がオン状態とされて、揉み部材60が所定の回動動作を開始する。揉み部材60の所定の回動動作として、揉み部材60は、回転軸(出力軸65b)を中心に円弧状に回動が実行される。揉み部材60の大径部62は、手のひらの手首側の縁部に沿って円弧状に往復運動する(
図5の矢印X参照)。これにより、マッサージ効果の高い部位を効果的にマッサージすることができる。人によるマッサージを受けたような感覚が得られる。
【0118】
モータ65がオン状態とされた時点t1から所定時間Δt2経過した時点t2において、第1電磁弁52と、第2電磁弁53とが開状態とされて、第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34及び第1、2ひら用エアバッグ41,42に所定の流量のエアが供給される。これにより、マッサージ器1に挿入された手の甲が第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34の膨張によって押圧され、手のひら側は第1、2ひら用エアバッグ41,42の膨張、及び、揉み部材60によって押圧される。
【0119】
第1電磁弁52と、第2電磁弁53とが開状態とされた時点t2から所定時間Δt3経過した時点t3において、位置調整電磁弁77が開状態とされて、位置調整エアバッグ75に所定の流量のエアが供給される。これにより、揉み部材の前記第2主壁部からの突出量を調整することができるので、第2主壁部に配置される手のひらに対する揉み部材60の押圧力(マッサージ圧)を調整することができる。
【0120】
より詳しくは、
図9に示すように、揉み玉ユニット6の位置を第1押圧位置P1と第2押圧位置P2とに変位させることで、使用者の手のひらを異なるマッサージ圧力でマッサージすることができ、使用者の好みに応じてマッサージ圧力を変化させることができる。
【0121】
空気圧式アクチュエータ70を膨張収縮させるのみの簡素な構造で揉み玉ユニット6の上下方向の位置を調整することができる。空気圧を制御することで、手用マッサージ器1を使用した状態でも揉み玉ユニット6の位置を変位させることができる。
【0122】
位置調整エアバッグ75に供給する空気量を調整することで、例えば、位置調整エアバッグ75を最も収縮した第1押圧位置P1から位置調整エアバッグ75を最も膨張した第2押圧位置P2までの任意の位置に揉み玉ユニット6を調整できる(無段階に調整できる)。より細かにマッサージ圧力を調整できる。
【0123】
位置調整電磁弁77によって位置調整エアバッグ75に供給される空気量を調整することで、揉み部材60を往復運動させつつ、揉み部材60の第2主壁部25からの突出量を調整できるので、マッサージ中においてもマッサージ圧力を変化させることができ、より使用者の好みに合ったマッサージを提供することができる。
【0124】
手用マッサージ器1の使用時において、手が揉み部材60と甲用エアバッグ31~34との間に挟持された状態で、揉み玉ユニット6を変位させることで、手のひらのマッサージ圧力を高めることができる。例えば、手のひらのマッサージ圧力を高めるために、手のひらを第2主壁部25に近付ける必要がない。
【0125】
甲側手首用エアバッグ34と、ひら側手首用エアバッグ42とによって、手首が甲側及びひら側から挟持される。これにより、挿入された手首が、揉み部材60及び各エアバッグ31~42に対して、適切な位置に保持されて、マッサージ効果がより高められ得る。
【0126】
また、手用マッサージ器1の使用時において、膨張した甲側手首用エアバッグ34とひら側手首用エアバッグ42との間に手が挟持されると、手のひらが第2主壁部25から離間されやすく、揉み部材60からの押圧力が低下する傾向となる。これに対して、位置調整機構70によって、揉み玉ユニット60の上下位置を調整することで、手のひらが第2主壁部25から離間した場合においても、揉み部材60からの押圧力を得ることができる。
【0127】
手の甲は、第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34の膨張によって、押圧される一方、手のひらは、第1、2ひら用エアバッグ41,42に加え、揉み部材によって押圧されるので、手のひらには、手の甲よりも高い押圧力が作用する。これにより、手の甲及び手のひらそれぞれに適したマッサージ圧力で、使用者の手をマッサージすることができる。
【0128】
また、第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34に供給するエアの流量を調整することによって、手の甲及び手のひらに対するエアバッグ、及び、揉み部材の押圧力を無段階に調整するのが好ましい。これにより、使用者の好みに応じた押圧力によるマッサージを提供することができる。また、甲用エアバッグに供給するエアの流量を調整するだけで、手のひらを揉み部材60によって押圧することができるので、マッサージ器1の構造を簡素化することができる。
【0129】
挿入された側の手の親指、及び、親指以外の指を、親指用エアバッグ35,36、及び、その他指用エアバッグ37,38,39,40に挿入することによって、指の差し込みすぎが抑制される。これにより、手のひらを、揉み部材60に対してマッサージに適した位置に配置することができ、手のひらに対するマッサージ効果を高めることができる。
【0130】
特に、上述の所定の動作パターンのように、マッサージ器1の立ち上がり動作の最初に、親指用エアバッグ35,36、及び、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40によって各指が挟持された状態とすると、揉み部材60及びエアバッグに対する手のひら及び手の甲の前後左右方向の位置をマッサージに適した位置に位置決めすることができる。したがって、手のひらのマッサージ効果が得られやすい部位において揉み部材60を動作させることができる。
【0131】
第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40と、両親指用エアバッグ35,36とを備えているので、指を差し替えることなく親指を含めた5本の指全てを同時にマッサージすることができる。
【0132】
第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34、及び、第1ひら用エアバッグ41と、両親指用エアバッグ35,36と、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40と、第2ひら用エアバッグ42とを、それぞれを独立して動作させることができる。これにより、マッサージ動作を多様化させることが可能となり、マッサージ効果がより高められ得る。
【0133】
第4甲用(甲側手首用)エアバッグ34と、第2ひら用(ひら側手首用)エアバッグ42とによって、手首が甲側及びひら側から挟持されるので、挿入された手首が保持される。これにより、揉み部材60及び各エアバッグ31~42に対して、手が適切な位置に配置されて、マッサージ効果がより高められ得る。
【0134】
第1ひら用(ひら側指の付け根用)エアバッグ41によって、手のひら側の指の付け根を押圧することができるので、マッサージ動作を多様化させることができる。
【0135】
第1ひら用(ひら側指の付け根用)エアバッグ41と、第1甲用(甲側指の付け根用)エアバッグ31とによって、指の付け根をマッサージすることができる。両指の付け根用エアバッグ31,41によって、指の付け根が甲側及びひら側から挟持される。これにより、揉み部材60動作時において揉み部材60に対して、手が適切な位置に保持されて、マッサージ効果がより高められ得る。
【0136】
揉み部材60の回動動作は、回転運動でもよく、この場合、大径部62と小径部63とによって、一回転の動作中において手のひらの揉み部材60が当接する部位に対する押圧力を変化させることができる。
【0137】
マッサージ器1は、流量を調整用のスイッチを備えていてもよく、これにより、使用者にとって所望のマッサージ圧力となるように、エアバッグに供給されるエアの流量を調整することができる。
【0138】
第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34と、両親指用エアバッグ35,36と、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40と、第1、2ひら用エアバッグ41,42とに供給されるエアの流量は、徐々に増加するように制御されてもよい。
【0139】
第1、2、3、4甲用エアバッグ31,32,33,34と、両親指用エアバッグ35,36と、第1、2、3、4指用エアバッグ37,38,39,40と、第1、2ひら用エアバッグ41,42とに供給されるエアは、間欠的に給排を繰り返すように制御されてもよい。
【0140】
マッサージ器1の各エアバッグ及び揉み玉の動作の順番は、マッサージの目的に応じて適宜変更することができる。
【0141】
上記実施形態では、手の甲用エアバッグが、4つに分割されたものを例に説明したが、必要に応じて分割数を増減させてもよく、それぞれに電磁弁を設けてもよい。複数の手の甲用エアバッグを独立して制御することで、マッサージをさらに多様化させることができる。
【0142】
上記実施形態では、第1甲用エアバッグ31と、第4甲用エアバッグ34と、第1ひら用エアバッグ41とが連通する構成のものを例に説明したが、これらのエアバッグ31、34、41は、独立して形成されていてもよく、それぞれに電磁弁を設けてもよい。第1甲用エアバッグ31と、第4甲用エアバッグ34と、第1ひら用エアバッグ41とを独立して制御することで、マッサージをさらに多様化させることができる。
【0143】
上記実施形態では、親指用エアバッグ、及び、その他指用エアバッグは、各指を取り囲むように筒状に形成されたものを例に説明したが、これらの指用エアバッグは、上下に分割されていてもよいし、左右に分割されていてもよい。
【0144】
エアバッグ本体30は、
図5に仮想線で示すように、手の甲用エアバッグには、親指の軸線と人差し指の軸線とが交わる人差し指側の部位(合谷部対応部位)に対応する部位に、中空膨出状又は中実膨出状のマッサージ片91,91を備えてもよい。例えば、第2、3甲用エアバッグ32,33の親指エアバッグ側の部位に、マッサージ片91,91として弾性変形を許容する部材を設けてもよい。エアバッグの膨張収縮によって、マッサージ片91,91が手の甲の合谷部対応部位にマッサージ圧力を作用させることができ、より効果的なマッサージを実現することができる。
【0145】
マッサージ器1は、手のひらを温めるためのヒータ機能を有するヒータユニットを備えていてもよい。この場合、マッサージ器1は、ヒータ本体92と、ヒータ機能をオンオフするためのヒータスイッチとを備える。ヒータ本体92は、例えば、
図5の仮想線で示すように、本体部23の手のひら側の指の付け根の部分が位置する部位に設けられてもよい。ヒータスイッチからの入力信号は、制御部9に入力されて、入力信号に基づいてヒータ本体92を作動させる。ヒータユニットによって、手を温めながらマッサージをすることができるので、マッサージ効果をより高めることができる。なお、ヒータ本体92は、ヒータスイッチからの入力信号により、ヒータ本体92のオンオフを適宜切り替えるものについて説明したが、予め記憶された動作パターンでヒータ本体92のオンオフを制御してもよい。なお、ヒータ機能は、揉み部材60内に内蔵されていてもよい。
【0146】
本実施形態において、空気圧式アクチュエータ70が固定部73を有する構成について説明したが、固定部73は、下蓋部22によって構成されていてもよい。この場合、位置調整エアバッグ75を下蓋部22とモータ保持部74との間に配置し、支持部71及びガイド部72を下蓋部22まで延長し、モータ保持部74のモータ係合部74bを板部74aの上面から上方に突出する円筒部としてもよい。
【0147】
本実施形態において、モータ65と、固定部73及びモータ保持部74とが前後方向にオフセットする構成について説明したが、モータ65の前後方向位置と、固定部73及びモータ保持部74の前後方向位置が全体として重複していてもよい。この場合、支持部71及びガイド部72間にモータ65を配置すると共に、固定部73及びモータ保持部74の幅方向及び前後方向の中心部にモータ65を貫通させるための開口部を設けてもよい。
【0148】
本実施形態において、モータ保持部74は、位置調整エアバッグ75の膨張及び収縮によって、固定部73に対して平行な状態で上下方向に変位する構成について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図13に示すように、モータ保持部74は、位置調整エアバッグ75が収縮した初期状態では、板部74aの後端よりもモータ係合部74b側が下に位置するように傾斜して配置されて、位置調整エアバッグ75が膨張する際、
図13の矢印X2に示すように、モータ係合部74b側が扇状に変位(昇降)するように構成されていてもよい。例えば、後側支持部71bのスペーサ173fの厚さT3を位置調整エアバッグ75が最も膨張した状態の厚さg2と一致させることで、初期状態において、モータ保持部74を傾斜して配置させることができる。
【0149】
モータ保持部74を扇状に変位させる場合、モータ係合部74bに係合されている揉み部材60は上下方向に加え、前後方向にも変位する。揉み部材60の上下方向及び前後方向の変位を許容するために、揉み玉用開口部25aの径を揉み部材60よりも大きく設定し、前側支持部71a、後側支持部71b、前側ガイド部72a及び後側ガイド部72bが貫通するモータ保持部74の支持部貫通孔74c及びガイド部貫通孔74dを前後方向に長い長孔で形成してもよい。
【0150】
モータ保持部74を扇状に変位させることで、4本の支持部71及び4本のガイド部72に対してモータ保持部74を平行に変位させる場合に比べて、モータ保持部74の各支持部71及びガイド部72に対してこじれが抑制しやすい。
【0151】
本実施形態では、位置調整機構が空気圧式アクチュエータ70である構成について説明したが、これに限られるものではなく、空気圧式アクチュエータ70に代えて、電気式アクチュエータ170であってもよい。例えば、
図14に示すように、固定部73及び位置調整エアバッグ75に代えて、下蓋部22に固定されるとともに、出力軸175aが上方に伸びる位置調整モータ175を設けてもよい。具体的には、例えば、モータ保持部74の板部74aに、位置調整モータ175の出力軸175aに螺合するネジ穴を設け、位置調整モータ175の回転によって、モータ出力軸175aと板部74aとの螺合位置を変化させ、モータ保持部74の上下位置を変化させるようにしてもよい。
【0152】
本実施形態では、位置調整機構が空気圧式アクチュエータ70である構成について説明したが、これに限られるものではなく、空気圧式アクチュエータ70に代えて、手動式270であってもよい。例えば、
図14に示す位置調整モータ175に代えて、手動式ハンドル275を設け、手動式ハンドルを手動で回転させることで、軸275aと板部74aとの螺合位置を変化させ、モータ保持部74の上下位置を変化させるようにしてもよい。
【0153】
なお、本発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0154】
1 手用マッサージ器
2 ハウジング
6 揉み玉ユニット
9 制御部
24 第1主壁部
25 第2主壁部
31 甲側指の付け根用エアバッグ(甲用エアバッグ)
32 第2甲用エアバッグ(甲用エアバッグ)
33 第3甲用エアバッグ(甲用エアバッグ)
34 甲側手首用エアバッグ(甲用エアバッグ)
41 ひら側指の付け根用エアバッグ
42 ひら側手首用エアバッグ
51 エア供給源
60 揉み部材
65 駆動機構
70 空気圧式アクチュエータ(位置調整機構)
72 ガイド部
73 固定部
75 位置調整エアバッグ
76 エア供給源
77 位置調整電磁弁(電磁弁)
170 電気式アクチュエータ(位置調整機構)
P1 第1押圧位置
P2 第2押圧位置
S1 挿入空間