(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031088
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】配管、半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240229BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134410
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】松原 雄也
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030BA01
4K030BA14
4K030BA26
4K030BA27
4K030BA29
4K030BA36
4K030BA39
4K030BA42
4K030EA12
4K030KA45
4K030KA46
4K030KA47
5F045AA08
5F045AC07
5F045AC19
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB08
5F045EB12
5F045EE13
5F045EG08
5F045EG09
(57)【要約】
【課題】プロセスガスの排気管の閉塞を抑制することができる配管、半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による配管は、半導体製造装置の処理チャンバからプロセスガスを排気する。第1管部の第1端部は、処理チャンバに接続され、第2端部が他の配管に接続されている。第2管部は、第1端部と第2端部との間において第1管部に接続され、第1管部内に水素ガスまたは水素ラジカルを供給する。バルブは、第2管部と第2端部との間に設けられ、第1管部内を開閉可能である。金属膜が第1管部の内壁に被覆されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置の処理チャンバからプロセスガスを排気する配管であって、
第1端部が前記処理チャンバに接続され、第2端部が他の配管に接続された第1管部と、
前記第1端部と前記第2端部との間において前記第1管部に接続され、前記第1管部内に水素ガスまたは水素ラジカルを供給する第2管部と、
前記第2管部と前記第2端部との間に設けられ、前記第1管部内を開閉可能なバルブと、
前記第1管部の内壁に被覆された金属膜と、を備える配管。
【請求項2】
前記金属膜には、ルテニウム(Rh)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)のいずれかの単層または2種以上の積層膜が用いられる、請求項1に記載の配管。
【請求項3】
前記金属膜は、ラジカルを水素化する材料で構成されている、請求項1に記載の配管。
【請求項4】
基板をプロセスガスで処理する処理チャンバと、
第1端部が前記処理チャンバに接続され、第2端部が他の配管に接続され、前記処理チャンバからプロセスガスを排気する第1管部と、
前記第1端部と前記第2端部との間において前記第1管部に接続され、前記第1管部内に水素ガスを供給する第2管部と、
前記第2管部と前記第2端部との間に設けられ、前記第1管部内を開閉可能なバルブと、
前記第1管部の内壁に被覆された金属膜と、を備える半導体製造装置。
【請求項5】
基板をプロセスガスで処理する処理チャンバと、
第1端部が前記処理チャンバに接続され、第2端部が他の配管に接続され、前記処理チャンバからプロセスガスを排気する第1管部と、
前記第1端部と前記第2端部との間において前記第1管部に接続され、前記第1管部内に水素ガスを供給する第2管部と、
前記第2管部と前記第2端部との間に設けられ、前記第1管部内を開閉可能なバルブと、
前記第2管部に接続され水素ガスから水素ラジカルを生成するラジカル生成器と、を備える半導体製造装置。
【請求項6】
前記金属膜には、ルテニウム(Rh)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)のいずれかの単層または2種以上の積層膜が用いられる、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記金属膜は、ラジカルを水素化する材料で構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第2管部から供給される水素ガスの流量は、前記プロセスガスの流量よりも多い、請求項4または請求項5に記載の装置。
【請求項9】
基板をプロセスガスで処理する半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
処理チャンバにプロセスガスを導入して前記基板を処理し、
前記処理チャンバからプロセスガスを排気する第1管部において、前記第1管部に接続される第2管部から前記第1管部内に水素ガスまたは水素ラジカルを供給し、前記プロセスガスを水素化することを具備する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、配管、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置等の半導体製造装置において、プロセスガスの排気管が閉塞する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-324096号公報
【特許文献2】特開2022-050230号公報
【特許文献3】特開2019-057530号公報
【特許文献4】特開2017-088916号公報
【特許文献5】特開2015-214746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスガスの排気管の閉塞を抑制することができる配管、半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による配管は、半導体製造装置の処理チャンバからプロセスガスを排気する。第1管部の第1端部は、処理チャンバに接続され、第2端部が他の配管に接続されている。第2管部は、第1端部と第2端部との間において第1管部に接続され、第1管部内に水素ガスまたは水素ラジカルを供給する。バルブは、第2管部と第2端部との間に設けられ、第1管部内を開閉可能である。金属膜が第1管部の内壁に被覆されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による半導体製造装置の構成例を示す概略図。
【
図2】配管の構成および機能の一例を示す概略断面図。
【
図3】配管の構成および機能の一例を示す概略断面図。
【
図4】第2実施形態による半導体製造装置の構成の一例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体製造装置1の構成例を示す概略図である。半導体製造装置1は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)等のように、プロセスガスをプラズマ化して電離させて半導体基板を処理する成膜装置でよい。尚、半導体製造装置1は、プラズマCVD装置以外の半導体製造装置にも適用可能である。
【0009】
半導体製造装置1は、処理チャンバ10と、ステージ20と、配管30とを備えている。
【0010】
処理チャンバ10は、半導体基板(以下、単に、ウェハともいう)Wを収容し、内部に導入されたプロセスガスをプラズマ化させ、ウェハW上に材料膜を成膜するために用いられる。ステージ20は、処理チャンバ10内に設けられており、ウェハWを載置することができる。図示しないが、処理チャンバ10には、プロセスガスおよびパージガス等のガスを導入するための配管が接続されている。
【0011】
配管30は、処理チャンバ10に接続されており、処理チャンバ10内においてウェハWの処理に使用されたプロセスガスを処理チャンバ10から外部へ排気するために設けられている。配管30の一端は、処理チャンバ10に接続されており、その他端は、他の配管31に接続されている。尚、配管30の構成および機能については、後述する。
【0012】
配管30には、水素供給管40およびバルブ50が設けられている。水素供給管40は、配管30の一端とその他端との間に接続されている。水素供給管40は、その一端が配管30に接続されており、配管30内に水素ガスを供給するために設けられている。水素供給管40は、その他端が水素供給部90に接続されており、水素ガスを水素供給部90から配管30へ導入する。水素供給管40は、チャンバ10とバルブ50との間の配管30に接続されている。配管30は、水素供給管40からの水素ガスを水素ラジカルにして、処理チャンバ10から排気されるプロセスガスを水素化する。
【0013】
バルブ50は、水素供給管40と配管30の他端との間に、即ち、水素供給管40より下流側に設けられ、配管30の内部を開閉することができる。例えば、バルブ50が開いているときには、配管30は開放され、処理チャンバ10からのガスはバルブ50から下流へ流れる。従って、処理チャンバ10からのガスが配管30を介して排気され得る。バルブ50が閉じているときには、配管30は閉塞され、処理チャンバ10からのガスはバルブ50より下流へ流れない。従って、処理チャンバ10からのガスが配管30を介して排気されない。バルブ50は、バルブ制御部51に接続されており、バルブ制御部51の制御を受けて配管30の内部を開閉する。尚、下流はガスの流れる方向を示し、上流はガスの流れる方向とは逆方向を示す。
【0014】
バルブ50は、その開閉の度合い(配管30の開口の度合い)によって処理チャンバ10内の圧力を調整することができる。例えば、バルブ50が僅かに開いている場合(配管30の開口度合いが小さい場合)、処理チャンバ10内の圧力は上昇する。一方、バルブ50が大きく開いている場合(配管30の開口度合いが大きい場合)、処理チャンバ10内の圧力は低下する。
【0015】
配管30は、処理チャンバ10と配管31との間に接続されている。配管31は、配管30とプロセスガス回収器60との間に接続されている。配管32は、プロセスガス回収器60と真空ポンプ70との間に接続されている。配管33は、真空ポンプ70と除害装置80との間に接続されている。
【0016】
処理チャンバ10から排気されるプロセスガスは、配管30内で水素ラジカルによって水素化され、その後、配管31を通ってプロセスガス回収器60において冷却される。プロセスガス回収器60は、例えば、液体窒素等を用いて水素化されたプロセスガスを冷却し、液化する。液化されたプロセスガスは、ウェハWの処理に再利用するために回収される。
【0017】
プロセスガス回収器60を通過したガスは、配管32を通って真空ポンプ70で除害装置80へ送られる。真空ポンプ70は、配管30~32を介して処理チャンバ10に連通しており、処理チャンバ10内を減圧する。
【0018】
真空ポンプ70を通過したガスは、除害装置80において加熱され無害化され、外部へ排出される。
【0019】
水素供給部90は、水素を貯留しており、水素供給管40を介して配管30内へ水素ガスを供給する。
【0020】
半導体製造装置1は、処理チャンバ10と、配管30とを備えているが、配管30は、処理チャンバ10から取り外し可能となっており、交換することができる。従って、半導体製造装置1は少なくとも処理チャンバ10を備えるが、配管30~33、プロセスガス回収器60、真空ポンプ70、除害装置80、水素供給部90等の配管30よりも下流の構成は、別構成として半導体製造装置1に対して外付けされてもよい。
【0021】
図2および
図3は、配管30の構成および機能の一例を示す概略断面図である。
図2は、水素ガスが配管30内に供給されている様子を示している。
図3は、プロセスガスが水素化されている様子を示している。
【0022】
配管30は、管部30aと、水素供給管40と、バルブ50と、金属膜30bとを備えている。管部30aは、端部E1が処理チャンバ10に接続されており、端部E2が他の配管31に接続されている。管部30aには、例えば、Fe、Ni等を含むステンレス(SUS)等の耐腐食性材料が用いられる。
【0023】
水素供給管40は、端部E1と端部E2との間の配管30の途中に接続され、配管30内に水素ガスを供給することができる。水素供給管40には、管部30aと同様に、例えば、Fe、Ni等を含むステンレス(SUS)等の耐腐食性材料が用いられる。
【0024】
バルブ50は、水素供給管40と端部E2との間に設けられており、配管30を開きまたは閉じることができるように構成されている。バルブ50は、矢印A1方向に移動させることによって、配管30を閉じ、矢印A1とは逆方向に移動させることによって、配管30を開く。
図2では、バルブ50は、配管30を開いている状態を示している。バルブ50にも、管部30aと同様に、例えば、Fe、Ni等を含むステンレス(SUS)等の耐腐食性材料が用いられる。
【0025】
金属膜30bは、管部30aの内壁を被覆している。金属膜30bは、例えば、炭化水素ラジカルを水素化して炭酸水素ガスに変換する材料で構成されている。金属膜30bには、例えば、ルテニウム(Rh)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)のいずれかの単層または2種以上の積層膜が用いられる。金属膜30bは、プロセスガスを水素化するための金属触媒として機能する。
【0026】
例えば、プロセスガスとして炭化水素ガスCmHnを用いた場合、炭化水素ガスCmHnが電離してラジカル化したラジカルガスCmHn-p(以下、CmHn
*とも表示する)が発生する。尚、m、nは正整数、pはn以下の正整数である。また、ラジカルガスCmHn
*を、以下、プロセスガスとも呼ぶ場合がある。
【0027】
ラジカルガスCmHn
*は、ウェハWの処理に使用されるが、使用されずに排気されるものもある。この場合、ラジカルガスCmHn
*は、配管30へ流れてくる。
【0028】
もし、金属膜30bが管部30aの内壁に設けられていない場合、ラジカルガスCmHn
*が管部30aの内壁に吸着して安定化する。これを繰り返すと、ラジカルガスCmHn
*に由来する堆積物(炭化水素)が管部30aを閉塞するおそれがある。
【0029】
特に、バルブ50の近傍では、プロセスガスの流れが変化し、プロセスガスの流速が変化し易い。例えば、バルブ50が僅かに開いている場合、バルブ50の下流側の直近の位置では、バルブ50を通過したプロセスガスの流速は急激に早くなっている。この場合、バルブ50の下流側の直近の位置において、プロセスガスに由来する堆積物が管部30aの内壁に付着し易く、閉塞し易い。
【0030】
これに対し、本実施形態によれば、ラジカルガスC
mH
n
*を水素化する触媒として機能する金属膜30bが管部30aの内壁に設けられている。金属膜30bは、水素供給管40からの水素ガスをラジカル化して水素ラジカルを生成する。ラジカルガスC
mH
n
*は、水素ラジカルと反応し、炭化水素ガスC
mH
nへ水素化される。炭化水素ガスは、比較的安定しており、配管30内に蓄積されず、下流へ流れる。例えば、
図3に示すように、ラジカルガスC
2H
*が配管30に流れてきた場合、金属膜30bが触媒として機能し、ラジカルガスC
2H
*を水素ラジカルで水素化する。これにより、ラジカルガスC
2H
*は、炭化水素ガスC
2H
2となり、配管30内に堆積することなく、ガス状態のまま下流へ流れる。
【0031】
金属膜30bには、炭化水素のラジカルを水素化する触媒が用いられる。金属膜30bは、例えば、ルテニウム(Rh)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)のいずれかの単層または2種以上の積層膜が用いられる。
【0032】
また、プロセスガスの一例として、炭化水素ガスCmHnを挙げたが、水素化してガスになる材料であれば、プロセスガスとして用いることができる。例えば、プロセスガスの主成分は、ホウ素(B)、炭素(C)、シリコン(Si)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)のいずれであってもよい。
【0033】
例えば、プロセスガスがボロン(B)を含むガス(B2H6、BF3、BCl3)等の場合、窒化ボロン(BN)、炭化ボロン(BC)、ボロンを含むBドープドSiO2等が副生成物として堆積し易い。しかし、本実施形態によれば、金属膜30bがこれらのプロセスガスや副生成物を水素化することによって、プロセスガスB2H6等となって排出される。
【0034】
プロセスガスがカーボン(C)を含むガス(CH4、C2H6、C3H8、C4H10、C2H4、C3H6、C4H8、C2H2、C3H4、C4H6、CF4、C4F6、C4F8)である場合、カーボン、CxFy(x、yは正整数)等が副生成物として堆積し易い。しかし、本実施形態によれば、金属膜30bがこれらのプロセスガスや副生成物を水素化することによって、プロセスガスCH4、C2H6、C3H8、C4H10、C2H4、C3H6、C4H8、C2H2、C3H4、C4H6等となって排出される。
【0035】
プロセスガスがシリコン(Si)を含むガスSiH4、Si2H6、SiF4である場合、シリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物等が副生成物として堆積し易い。しかし、本実施形態によれば、金属膜30bがこれらのプロセスガスや副生成物を水素化することによって、プロセスガスSiH4、Si2H6等となって排出される。
【0036】
プロセスガスがリン(P)を含むガスPH3である場合、PドープドSi、あるいは、PドープドSiO2等が副生成物として堆積し易い。しかし、本実施形態によれば、金属膜30bがこれらのプロセスガスや副生成物を水素化することによって、プロセスガスPH3等となって排出される。
【0037】
プロセスガスがヒ素(As)を含むガスAsH3である場合、AsドープドSi、あるいは、AsドープドSiO2等が副生成物として堆積し易い。しかし、本実施形態によれば、金属膜30bがこれらのプロセスガスや副生成物を水素化することによって、プロセスガスAsH3等となって排出される。
【0038】
このように、プロセスガスの主成分が、ホウ素(B)、炭素(C)、シリコン(Si)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)のいずれかであっても、金属膜30bは、プロセスガスを水素化してガスとして排出することができる。
【0039】
これにより、本実施形態では、プロセスガスが配管30の内壁に堆積せず、ガス状態のまま配管30およびバルブ50を通過して下流側へ流れていく。例えば、バルブ50の近傍でも、プロセスガスに由来する堆積物は付着せず、閉塞し難い。
【0040】
水素供給管40から供給される水素ガスの流量は、チャンバ10へ供給されるプロセスガスの流量よりも多いことが好ましい。これにより、排気されるプロセスガスは、充分に水素化され得る。
【0041】
尚、プロセスガス回収器60では、液体窒素が、水素化されたプロセスガスを冷却し、液化する。例えば、プロセスガスCH4、C3H6、C2H2、B2H6、SiH4、PH3、AsH4等は、窒素よりも沸点が高いので、プロセスガス回収器60において液化されて回収され得る。回収されたプロセスガスは、ウェハWの処理に再利用され得る。
【0042】
プロセスガス回収器60および真空ポンプ70を通過したガスは、除害装置80において燃焼され無害化され、外部へ排出される。
本実施形態において、金属膜30bは、配管30の内壁を被覆されている。しかし、金属膜30bは、他の配管31~33の内壁を被覆してもよい。これにより、配管31~33の閉塞も抑制される。また、配管31の内壁に金属膜30bを設けることによって、より多くのプロセスガスが水素化される。従って、プロセスガス回収器60がより多くのプロセスガスを回収することができる。
【0043】
(半導体装置の製造方法)
本実施形態による半導体製造装置1を用いた半導体装置の製造方法では、まず、処理チャンバ10内にウェハWを搬入してステージ20上にウェハWを載置する。
【0044】
次に、処理チャンバ10内にプロセスガスを導入してウェハWを処理する。これにより、例えば、ウェハWの表面に所望の材料膜が成膜される。
【0045】
ウェハWの処理後、使用済みのプロセスガスは、処理チャンバ10から配管30へ排気される。このとき、金属膜30bに吸着された水素が水素ラジカルとなりプロセスガスを水素化する。このとき、水素供給管40から供給される水素ガスの流量は、チャンバ10へ供給されるプロセスガスの流量よりも多いことが好ましい。これにより、排気されるプロセスガスは、充分に水素化され得る。
【0046】
その後、この水素化されたプロセスガスは、プロセスガス回収器60で回収されるか、あるいは、除害装置80において無害化されて外部へ排出される。
【0047】
これにより、プロセスガスは、配管30の内壁に堆積せず、水素化されてガス状態のまま配管30およびバルブ50を通過して下流へ流れていく。その結果、プロセスガスに由来する堆積物は配管30に付着せず、配管30の閉塞が抑制され得る。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態による半導体製造装置の構成の一例を示す概略断面図である。第2実施形態では、金属膜30bが設けられておらず、それに代えて、水素ラジカル生成器95が配管40に接続されている。水素ラジカル生成器95は、水素ガスH
2を水素供給部90から受けて、プラズマで電離して水素ラジカル30c(例えば、H
*)を生成する装置である。水素供給部90で生成された水素ラジカル30cは、配管40から配管30内へ供給される。水素ラジカル生成器95が水素ラジカルを配管30内へ供給するので、触媒として機能する金属膜30bは不要となる。
【0049】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。第2実施形態のように、水素ラジカル30cを配管30の外部で生成し、配管30内に供給してもよい。このようにしても、配管30へ排気されたプロセスガスは、水素化されてガス状態のまま配管30を通過して下流側へ流れていく。その結果、プロセスガスに由来する堆積物は配管30に付着せず、配管30の閉塞が抑制され得る。
【0050】
第2実施形態による半導体装置の製造方法は、配管30の外部で水素ラジカル生成器95が水素ラジカル30cを生成して配管30内へ供給する点で第1実施形態と異なる。しかし、第2実施形態のその他の工程は、第1実施形態の工程と同じでよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体製造装置、10 処理チャンバ、20 ステージ、30 配管、30a 管部、30b 金属膜、40 水素供給管、50 バルブ、95 水素ラジカル生成器