(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031090
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
B65D 90/02 20190101AFI20240229BHJP
【FI】
B65D90/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134413
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】506356612
【氏名又は名称】大和物産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522339983
【氏名又は名称】大和エコシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】児玉 寛太郎
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA02
3E170AB02
3E170AB08
3E170DA01
3E170PA04
3E170PA06
3E170RA09
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】開放作業が容易であり、雨水や塵埃の躯体本体内部への進入を防止することができる蓋体を提供すること。
【解決手段】蓋体3は、開口部2eの縁辺に前後端が載置される複数の蓋板10からなり、該複数の蓋板10の長手方向の端面10a,10a同士が当接または近接するように左右方向に並べられることで開口部2eを閉塞可能とされ、蓋板10の表面における少なくとも端面10aから上面10bにかけて連続する第1領域30a、第3領域30c及び第2領域30bに、撥水性を有する撥水層30が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体本体における平面視略矩形状の上面開口を閉塞するための蓋体であって、
前記上面開口の縁辺に両端が載置される複数の板状部材からなり、該複数の板状部材の長手方向の端面同士が当接または近接するように横方向に並べられることで前記上面開口を閉塞可能とされ、
前記複数の板状部材各々の表面における少なくとも前記長手方向の端面から上面にかけて連続する領域に、撥水性を有する撥水層が設けられていることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記長手方向の端面に設けられた前記撥水層の表面は、プラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面となっていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記長手方向の端面は、互いに平坦面であることを特徴とする請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記複数の板状部材は、長手方向に移動可能に載置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記長手方向の端面は、互いに傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記長手方向の端面は、互いに凹凸嵌合することを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外に設置され、配水管に設けられるポンプ等の機械を収容する収容室や、貯水槽及び配水槽などの躯体本体の上面開口を閉塞するための蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上面が開口する躯体本体として、例えば、農業用水、工業用水、及び飲料水等の水を貯蔵するための水槽等がある。この種の水槽は、設備規模や設置場所などに応じて密封式や開放式のものがあるが、上面が開口する開放式の水槽として、安全上や衛生上の観点から蓋体により閉塞されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-196339号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されている開放式の水槽の場合、上面開口を大型の蓋体により閉塞するには高い強度が必要となるとともに重量が増大するため、水槽内部の点検作業を行う際において蓋体の開放作業が困難となる。
【0005】
そこで、複数の板状部材により蓋体を構成し、これら各板状部材を並べることで上面開口を閉塞することが考えられるが、上面に堆積した雨水や塵埃が隣り合う板状部材の端面間に形成された隙間から落下し、貯留されている水が汚れてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、開放作業が容易であり、雨水や塵埃の躯体本体内部への進入を防止することができる蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の蓋体は、
躯体本体における平面視略矩形状の上面開口を閉塞するための蓋体であって、
前記上面開口の縁辺に両端が載置される複数の板状部材からなり、該複数の板状部材の長手方向の端面同士が当接または近接するように横方向に並べられることで前記上面開口を閉塞可能とされ、
前記複数の板状部材各々の表面における少なくとも前記長手方向の端面から上面にかけて連続する領域に、撥水性を有する撥水層が設けられていることを特徴としている。
これによれば、複数の板状部材により蓋体を構成することで開放作業が容易になり、また、隣り合う板状部材の長手方向の端面は撥水層同士が対向しているとともに、これら長手方向の端面から上面にかけて連続する領域に撥水層が形成されていることで、雨水や塵埃が、撥水作用により上面における端面付近に滞留しにくくなるとともに、隣り合う板状部材の端面間に進入しにくくなるので、雨水や塵埃の躯体本体内部への進入を防止することができる。
【0008】
前記長手方向の端面に設けられた前記撥水層の表面は、プラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面となっていてもよい。
これによれば、隣り合う端面にはそれぞれプラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面が表面に形成されることによって、雨水や塵埃の端面間への進入がより効果的に防止される。
【0009】
前記長手方向の端面は、互いに平坦面であってもよい。
これによれば、隣り合う端面同士を長手方向に亘って当接または近接させやすく、雨水や塵埃の端面間への進入を防止できる。
【0010】
前記複数の板状部材は、長手方向に移動可能に載置されていればよい。
これによれば、板状部材が長手方向に移動することで、隣り合う端面同士の摺動により生じる摩擦により端面に設けられた撥水層はプラスの電荷が維持されやすくなるため、雨水や塵埃の端面間への進入を長期にわたり防止できる。
【0011】
前記長手方向の端面は、互いに傾斜面であればよい。
これによれば、下側の端面に上側の端面が圧接されることで止水効果が高まるとともに、端面の表面積、つまり、撥水層の表面積が広いため、雨水や塵埃が端面間により進入しにくくなる。
【0012】
前記長手方向の端面同士は、互いに凹凸嵌合すればよい。
これによれば、凹凸嵌合により止水効果が高まるとともに、長手方向の端面の表面積、つまり、撥水層の表面積が増大するため、雨水や塵埃が端面間により進入しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例としての収容室の躯体本体及び蓋体を示す斜視図である。
【
図2】
図1の躯体本体及び蓋体を示す平面図である。
【
図3】(a)は
図2のA-A断面図、(b)は
図2のB-B断面図である。
【
図4】(a)は
図2(a)の要部拡大図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は雨水と表面との接触角度を説明する図、(d)は撥水作用を説明するための図である。
【
図6】本発明の変形例1としての蓋板を示す図である。
【
図7】本発明の変形例2としての蓋板を示す図である。
【
図8】本発明の変形例3としての蓋板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る蓋体を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。尚、以下の説明において、
図1の斜め右下側を収容室の躯体本体の正面側、斜め左上側を収容室の躯体本体の後面側として説明する。
【実施例0015】
図1及び
図2に示されるように、収容室1は、例えば、農地またはその周辺などの屋外に主に設置され、各農地へ配水する送水管に設けられるポンプ(図示略)などの機械が収容される収容室である。
【0016】
収容室1は、アルミ複合パネルからなる前壁2a、後壁2b、左側壁2c、右側壁2d及び底壁(図示略)により、上面に平面視略矩形状の開口部2eを有する箱状に形成された躯体本体2と、開口部2eを閉塞する蓋体3と、から構成されている。躯体本体2の下部は地中に埋設され、上部のみが地上に露呈されているが、開口部2eが地上に露呈していれば、躯体本体2の全体が地中に埋設されていてもよいし、全体が地上に設置されていてもよい。また、躯体本体2は合成樹脂材、ステンレスパネルにより形成されていてもよい。
【0017】
図2~
図4に示されるように、蓋体3は、複数(例えば、11枚など)の蓋板10からなる。各蓋板10は、所定の板厚寸法L1(例えば、約3~10mmなど)を有し、左右寸法L2よりも前後寸法L3の方が長寸の縦長長方形状をなす板状部材からなり、前後寸法L3は、開口部2eの前後の縁辺、つまり、前壁2aの上面と後壁2bの上面とに前後端を載置可能な長さとされている。尚、左側に配置される蓋板10は、前後端の他に、左側辺部が左側壁2cの上面に載置され、右側に配置される蓋板10は、右側辺部が右側壁2dの上面に載置される。
【0018】
これら複数の蓋板10は、各蓋板10の長手方向の端面、つまり、左右側の端面10a,10a同士が当接するように左右方向に並べられることで開口部2eを閉塞可能とされている。尚、各蓋板10の左右側の端面10a,10a同士は必ずしも当接していなくてもよく、近接しているものでもよい。また、左右側の端面10a,10aは平坦面にて形成されている。
【0019】
蓋板10の下面には、金属材からなる補強部材11、12が固着されている。補強部材11、12は、蓋板10の下面に取付けられる取付板と、該取付板から下方に垂下する垂下板と、から縦断面略L字形に形成されている。
【0020】
補強部材11は、左右の端面10aに沿って延設され、補強部材12は、前壁2aと後壁2bの内面に沿って左右方向に延設されており、蓋板10の撓み等が防止されている。尚、左側に配置される蓋板10の左側の補強部材11aは、端面10aよりも内側(右側)に配置され、右側に配置される蓋板10の右側の補強部材11aは、端面10aよりも内側(左側)に配置される。
【0021】
また、左右の補強部材11a,11aの外側には、縦断面略L字形をなす金属材からなる規制部材13が固着されており、前後の補強部材12,12の外側には、縦断面略L字形をなす金属材からなる規制部材14が固着されている。規制部材13、14は、蓋板10の下面に取付けられる取付板と、該取付板から下方に垂下する垂下板と、から縦断面略L字形に形成されている。
【0022】
これら前後左右に配置された規制部材13,14により、蓋板10の下面には四角筒状の規制部が垂下されるため、蓋板10の前後端を開口部2eの縁辺に載置したときに、蓋板10の前後方向及び左右方向への過度なスライド移動、つまり、位置ずれが規制されるようになっている。
【0023】
また、これら規制部材13,14の垂下板と各壁部との間には隙間S1,S2が設けられていることで、各蓋板10の規制部材13,14を開口部2eに嵌めやすくしているとともに、蓋板10は前後左右方向へ僅かにスライド移動可能となっている。
【0024】
尚、本実施例では、蓋板10の下面に補強部材11、12及び規制部材13,14が取付けられていたが、これらは必ずしも取付けられていなくてもよい。
【0025】
蓋板10の前後側には、下向きコ字形の取手16が縦向きに取付けられており、上方に引き出すことで使用可能となり、使用しないときには自重により下方に退避するようになっている。
【0026】
左側壁2c及び右側壁2dの前後側にはリングボルト17が固定されており、これら左右のリングボルト17,17にはチェーン18が掛け渡されている。チェーン18は、各蓋板10の取手16に挿通された状態で上面10bに載置されていることで、蓋板10が強風で捲れたり、躯体本体2から簡単に取外すことができないようになっている。
【0027】
図4(a)、(b)に示されるように、蓋板10は、アルミニウム材からなる表面材20a及び裏面材20bと、表面材20aと裏面材20bとの間に配置されるポリエチレン材からなる芯材20cと、により構成され、高剛性及び平滑性を有する。また、蓋板10の端面10aは、蓋板10を切断することにより形成される切断面とされていることで、蓋板10を構成する表面材20a、裏面材20b及び芯材20c各々の端面がそれぞれ露出している。
【0028】
尚、本実施例では、蓋板10は表面材20a、裏面材20b及び芯材20cからなる3層構造の板状部材からなる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1枚の金属板や合成樹脂板にて構成されていてもよい。
【0029】
また、各蓋板10の表面における端面10aから上面10bにかけて連続する断面略L字形の領域には撥水層30が設けられている。詳しくは、撥水層30は、各蓋板10の端面10aに対応する第1領域30aと、上面10bにおける左右側辺近傍に対応する第2領域30bと、端面10aと上面10bとの角部に対応する第3領域30cとを有し、蓋板10の前後方向に延設されている。
【0030】
撥水層30は、ナノプラズマコート(特殊なプラズマ成分を配合)を用いてコーティングした、シリコーンコーティング被膜からなる。詳しくは、ナノプラズマコートを母材としての蓋板10の表面に塗布することで、
図5に示されるように、コーティング表面、つまり、撥水層30の表面には、プラスの電荷層が面状に形成されている。つまり、撥水層30の表面は、プラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面となっている。塵埃Y2は、プラス電荷同士の反発作用によって、撥水層30の表面に付着したり堆積したりしにくくなっている。さらに、汚れ付着防止効果・撥水効果があるシリコーンコーティング被膜層の効果も加わることで、雨水Y1や塵埃Y2は表面に付着しにくくなっている。
【0031】
また、
図4(a)、(b)に示されるように、各蓋板10の左右側の端面10a,10a同士が当接するように左右方向に並べられた状態において、隣り合う蓋板10,10の上面10bにおける境目Tの左右側に、摩擦抵抗が小さい撥水層30の第2領域30bが広がっていることで、隣り合う蓋板10,10の境目Tに雨水Y1や塵埃Y2が滞留しにくくなっている。
【0032】
また、
図4(b)に示されるように、端面10aと上面10bとの角部に対応する第3領域30cから、端面10aに対応する第1領域30aにかけて撥水層30が設けられていることで、左右の蓋板10,10双方の撥水層30の撥水作用により、境目Tに雨水Y1や塵埃Y2等が進入しにくくなる。
【0033】
詳しくは、
図4(c)に示されるように、蓋板10の表面に撥水層30が形成されている場合、例えば、蓋板10の表面に対する雨水Y1の接触角度θが大きくなり(例えば、接触角度θ=90度以上など)、雨水Y1がはじかれやすくなるので、雨水Y1が薄く広がることなく水玉のような状態で維持される。
【0034】
よって、例えば、
図4(d)に示されるように、境目Tにおける左右の端面10a,10a間に微細な隙間が生じている場合でも、雨水Y1が撥水作用により隙間よりも幅広の水玉のような塊で維持されることで、雨水Y1が境目Tに落下しにくくなり、境目Tから端面10a,10aの間を通過して躯体本体2の内部に落下することが防止される。また、雨水Y1とともに塵埃Y2が境目Tに落下することも防止される。
【0035】
以上説明したように、本発明の実施例としての蓋体3は、開口部2eの縁辺に前後端が載置される複数の蓋板10からなり、該複数の蓋板10の長手方向の端面10a,10a同士が当接または近接するように左右方向に並べられることで開口部2eを閉塞可能とされ、各蓋板10各々の表面における少なくとも端面10aから上面10bにかけて連続する第1領域30a、第3領域30c及び第2領域30bに、撥水性を有する撥水層30が設けられている。
【0036】
これによれば、複数の蓋板10により蓋体3を構成することで、1枚の大型の蓋体を開放するよりも蓋体3の開放作業が容易になる。また、隣り合う蓋板10の端面10a,10aは撥水層30,30同士が対向しているとともに、これら端面10aから上面10bにかけて連続する領域に撥水層30が形成されていることで、雨水Y1や塵埃Y2が、撥水作用により上面10bにおける左右の端面10a付近に滞留しにくくなるとともに、隣り合う蓋板10の端面10a,10a間に進入しにくくなるので、雨水Y1や塵埃Y2の躯体本体2の内部への進入を防止することができる。
【0037】
よって、隣り合う蓋板10,10の左右端縁部を上下に重ねて並べなくても、端面10a,10a同士を当接または近接させて並べるだけで、撥水作用により境目Tからの雨水Y1や塵埃Y2の落下を防止できるため、各蓋板10の左右寸法L2を短寸化できるとともに、複数の蓋板10を全て開放しなくても、一部の蓋体のみを部分的に開放することができるので、躯体本体2の内部に収容された機械などの確認作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、端面10aに対応する第1領域30aに設けられた撥水層30の表面は、プラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面となっていることで、隣り合う端面10a,10aにはそれぞれプラスイオン電荷面とシリコーン撥水面の複合面が表面に形成されることによって、プラス電荷が帯電した雨水Y1や塵埃Y2の端面10a,10a間への進入がより効果的に防止される。
【0039】
また、長期の使用により撥水層30の表面のプラス電荷が減少して表面にプラス電荷とマイナス電荷が混在しプラス電場の効果が低下した場合、撥水層30に付着した汚れを拭き取るだけで、摩擦により撥水層30の表面にプラスの電荷が
図5に示されるように面状に存在するように復活し、十分なプラス電場が形成されてプラス電荷の反発作用が再び増加するため、簡単な作業で撥水効果が維持される。
【0040】
また、端面10a,10aは、互いに平坦面にて構成されていることで、隣り合う端面10a,10a同士を長手方向に亘って当接または近接させやすく、雨水Y1や塵埃Y2の端面10a,10a間への進入を防止できる。また、端面10a,10a同士が摺動しやすくなるため、例えば、風により蓋板10が煽られたり、車両の通行などにより躯体本体2に振動が生じたときに、端面10a,10a同士の摺動により摩擦が生じ、この摩擦により上述と同様に第1領域30aのプラス電荷が面状に復活し、プラスの電場が維持されやすくなるため、雨水Y1や塵埃Y2の端面10a,10a間への進入を長期にわたり防止できる。
【0041】
また、複数の蓋板10は、長手方向に移動可能に載置されていることで、上記したように、風により蓋板10が煽られたり、車両の通行などにより躯体本体2に振動が生じたときに、蓋板10が前後方向に移動することで、隣り合う端面10a,10a同士の摺動により生じる摩擦により端面10aに設けられた撥水層30はプラスの電荷が維持されやすくなるため、雨水や塵埃の端面間への進入を長期にわたり防止できる。端面10a,10a同士が摺動してより摩擦が生じやすくなるため、プラスの電場が維持されやすくなる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記実施例では、平面視略矩形状の上面開口を有する躯体本体の一例としてポンプ等の機械が収容される収容室を適用し、該収容室用の蓋体について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、躯体本体は上記収容室に限られず、例えば、平面視略矩形状の上面開口を有し、貯水が可能な水槽などの躯体本体であってもよい。
【0044】
また、前記実施例では、撥水層30の第2領域30bは、蓋板10の上面10bにおける左右側辺の近傍にのみ設けられている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図6に示されるように、撥水層30の第2領域30bは、蓋板10の上面10b全域にわたり設けられていてもよい。
【0045】
また、前記実施例では、隣り合う端面10a,10a同士は、上面10bに対し直角をなす垂直面とされる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図7に示される変形例1としての蓋板10Aのように、端面10a,10a同士は、垂直面に対し傾斜する傾斜面であってもよい。これによれば、下側の端面10aに上側の端面10aが上方から圧接されることで止水効果が高まるとともに、端面10aの表面積、つまり、端面10aが垂直面である場合に比べて撥水層30の表面積が広いため、雨水Y1や塵埃Y2が端面10a,10a間により進入しにくくなる。
【0046】
また、前記実施例では、隣り合う端面10a,10a同士が平坦面にて形成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図8に示される変形例2としての蓋板10Bのように、隣り合う端面10a,10a同士が互いに凹凸嵌合すればよい。
【0047】
具体的には、
図8に示されるように、右側の蓋板10Bの表面材20aの端面を、芯材20c及び裏面材20bの端面よりも左側方に突出させて端面10aに段部を形成する一方で、左側の蓋板10Bの芯材20c及び裏面材20bの端面を、表面材20aの端面よりも右側方に突出させて端面10aに段部を形成する。
【0048】
また、撥水層30は、第1領域30a、第2領域30b、第3領域30cに加え、右側の蓋板10Bの表面材20aにおける突出部の下面に対応する水平な第4領域30dと、左側の蓋板10Bの芯材20cにおける突出部の上面に対応する水平な第5領域30eにも設けられている。
【0049】
このように、隣り合う蓋板10の端面10a,10a同士が上下に凹凸嵌合することにより、右側の蓋板10Bの表面材20aにおける突出部の下面が左側の蓋板10Bの芯材20cにおける突出部の上面に圧接されるため、止水効果が高まるとともに、長手方向の端面10aの表面積、つまり、撥水層30の表面積が増大するため、雨水Y1や塵埃Y2が端面10a,10a間により進入しにくくなる。また、端面10a,10aが左右方向に蛇行することで、隣り合う表面材20aの端面間の下面が芯材20cの上面により塞がれるため、境目Tから雨水Y1や塵埃Y2が進入しても、躯体本体2の内部に落下することが防止される。
【0050】
また、前記実施例では、撥水層30は、シリコーンコーティングにより形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるワックスなどの油脂系コーティング、フッ素、ポリマー、ガラス系などの樹脂系コーティング、ガラスコーティングなど、他のコート材を用いて形成されたものでもよい。また、撥水層30は、プラズマコーティングにより形成されるものだけでなく、コート材を塗布することにより形成されたものや、撥水性を有するフィルム等を貼着することにより形成されていてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、躯体本体2の上面は略水平に設けられていたが、例えば、躯体本体2の上面に傾斜を設け、開口部2eを閉塞したときに蓋体3が一端側から他端側に向けて下方に傾斜するようにしてもよく、このようにすることで、蓋体3上に人が容易に登れなくなるので安全性が高まる。また、蓋板10が長手方向の一端側から他端側に向けて傾斜するように配置することで、端面10a,10a間に進入した雨水Y1や塵埃Y2が傾斜下位側に向けて誘導されることで、躯体本体2内部に落下しにくくなる。