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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031108
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/00 20060101AFI20240229BHJP
   H01H 50/02 20060101ALI20240229BHJP
   H01H 50/16 20060101ALI20240229BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01H50/00 F
H01H50/02 E
H01H50/16 Y
H01H50/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134448
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 彩太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(57)【要約】
【課題】電磁継電器において、接点への異物の付着を抑える。
【解決手段】電磁継電器は、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、ケースと、粘着材とを備える。可動接点は、固定接点と向かい合って配置される。可動接触片は、可動接点に接続される。可動接触片は、可動接点が固定接点と接触する閉位置と、可動接点が固定接点から離れる開位置との間で移動可能である。ケースは、固定接点と可動接点とを収容する。粘着材は、ケース内に配置される。粘着材は、ケース内において異物を捕集する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、
前記固定接点と向かい合って配置される可動接点と、
前記可動接点に接続され、前記可動接点が前記固定接点と接触する閉位置と、前記可動接点が前記固定接点から離れる開位置との間で移動可能な可動接触片と、
前記固定接点と前記可動接点とを収容するケースと、
前記ケース内に配置され、前記ケース内において異物を捕集する粘着材と、
を備える電磁継電器。
【請求項2】
前記ケース内に配置される可動部材をさらに備え、
前記粘着材は、前記可動部材と、前記固定接点又は前記可動接点との間に配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記ケースは、
第1ケースと、
前記第1ケースと別体であり、前記第1ケースに取り付けられる第2ケースと、
を含み、
前記粘着材は、前記第1ケースと前記第2ケースとの間の隙間と、前記固定接点又は前記可動接点との間に配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記粘着材は、凹凸のある表面を有する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記ケースの内面は、凹凸を含み、
前記粘着材は、前記凹凸上に取り付けられる、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記ケースの内面は、角部を含み、
前記粘着材は、前記角部に取り付けられる、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記可動接点と前記固定接点との間で発生するアークを誘導するための磁力を発生させる磁石と、
前記ケース内において前記粘着材に面して配置され、前記アークから前記粘着材を保護する壁部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器は、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、ケースとを備えている。可動接点は、固定接点と向かい合い、可動接触片に接続される。可動接触片は、閉位置と開位置との間で移動可能である。可動接触片が閉位置に位置している場合、可動接点は、固定接点に接触する。可動接触片が開位置に位置している場合、可動接点は、固定接点から離れている。固定接点と可動接点とは、ケース内に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-079109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁継電器では、可動接触片などの可動部材がケースなどの他の部材に対して摺動する。それにより、摩耗粉などの異物がケース内に発生することがある。或いは、ケースに隙間がある場合、電磁継電器の外部から隙間を通って異物がケース内に侵入することがある。可動接点、又は固定接点に異物が付着すると、可動接点と固定接点との接触の安定性が低下してしまう。本発明の目的は、電磁継電器において、接点への異物の付着を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、ケースと、粘着材とを備える。可動接点は、固定接点と向かい合って配置される。可動接触片は、可動接点に接続される。可動接触片は、可動接点が固定接点と接触する閉位置と、可動接点が固定接点から離れる開位置との間で移動可能である。ケースは、固定接点と可動接点とを収容する。粘着材は、ケース内に配置される。粘着材は、ケース内において異物を捕集する。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、異物がケース内で発生した場合、或いは、異物がケース内に侵入した場合に、異物が、粘着材によって捕集される。それにより、固定接点、或いは可動接点への異物の付着が抑えられる。
【0007】
電磁継電器は、ケース内に配置される可動部材をさらに備えてもよい。粘着材は、可動部材と、固定接点又は可動接点との間に配置されてもよい。この場合、可動部材が動作することで摩耗粉などの異物がケース内で発生しても、異物が、固定接点又は可動接点に到達する前に、粘着材によって捕集される。
【0008】
ケースは、第1ケースと第2ケースとを含んでもよい。第2ケースは、第1ケースと別体であってもよい。第2ケースは、第1ケースに取り付けられてもよい。粘着材は、第1ケースと第2ケースとの間の隙間と、固定接点又は可動接点との間に配置されてもよい。この場合、ケースの隙間を通って異物がケース内に侵入しても、異物が、固定接点又は可動接点に到達する前に、粘着材によって捕集される。
【0009】
粘着材は、凹凸のある表面を有する。この場合、凹凸によって粘着材の表面積が増大する。それにより、粘着材によって異物が効果的に捕集される。
【0010】
ケースの内面は、凹凸を含んでもよい。粘着材は、凹凸上に取り付けられてもよい。この場合、ケースの凹凸によって、粘着材の表面に凹凸が形成される。それにより、粘着材の表面積が増大することで、粘着材によって異物が効果的に捕集される。
【0011】
ケースの内面は、角部を含んでもよい。粘着材は、角部に取り付けられてもよい。この場合、ケースの角部に集まる異物が、粘着材によって効果的に捕集される。
【0012】
電磁継電器は、磁石と壁部とをさらに備えてもよい。磁石は、可動接点と固定接点との間で発生するアークを誘導するための磁力を発生させてもよい。壁部は、ケース内において粘着材に面して配置されてもよい。壁部は、アークから粘着材を保護してもよい。この場合、アークによる粘着材の劣化が、壁部によって抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁継電器において、接点への異物の付着が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る開状態の電磁継電器の断面図である。
図2】閉状態の電磁継電器の断面図である。
図3】ケース及び接点装置の拡大図である。
図4】第2実施形態に係る電磁継電器を示す図である。
図5】第1変形例に係る粘着材を示す図である。
図6】第2変形例に係る粘着材を示す図である。
図7】第3変形例に係る接点装置及びケースを示す図である。
図8】第4変形例に係る接点装置及びケースを示す図である。
図9図8におけるIX-IX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る電磁継電器について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る電磁継電器1Aの断面図である。図1に示すように、電磁継電器1Aは、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ケース2は、樹脂、或いはセラミックなどの絶縁材で形成されている。ケース2内には、接点装置3が収容されている。接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、可動機構9と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とを含む。
【0016】
なお、以下の説明において、第1固定接点10と第1可動接点12とが互いに向かい合う方向が、移動方向(Z1,Z2)と定義される。移動方向(Z1,Z2)は、接触方向(Z1)と開離方向(Z2)とを含む。可動接点12,13が固定接点10,11に近づく方向が、接触方向(Z1)と定義される。可動接点12,13が固定接点10,11から離れる方向が、開離方向(Z2)と定義される。
【0017】
可動接触片8が延びる方向が、長手方向(X1,X2)と定義される。長手方向(X1,X2)は、移動方向(Z1,Z2)に対して垂直な方向である。長手方向(X1,X2)は、第1長手方向(X1)と第2長手方向(X2)とを含む。第2長手方向(X2)は、第1長手方向(X1)と反対の方向である。第2固定接点11から第1固定接点10へ向かう方向が、第1長手方向(X1)と定義される。第1固定接点10から第2固定接点11へ向かう方向が、第2長手方向(X2)と定義される。
【0018】
第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、導電性を有する材料で形成されている。例えば、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8とは、銅系金属などの端子材として公知の金属材料製である。ただし、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8とは、これらと異なる材料製であってもよい。第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、銅系金属、或いは銀系金属などの接点材として公知の金属材料製である。
【0019】
第1固定端子6と第2固定端子7とは、長手方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、ケース2内からケース2の外方へ突出している。第1固定端子6には、第1固定接点10が接続されている。第2固定端子7には、第2固定接点11が接続されている。第1固定接点10と第2固定接点11とは、ケース2内に配置されている。
【0020】
可動接触片8と第1可動接点12と第2可動接点13とは、ケース2内に配置されている。第1可動接点12と第2可動接点13とは、可動接触片8に接続されている。第1可動接点12は、第1固定接点10に向かい合っている。第2可動接点13は、第2固定接点11に向かい合っている。第1可動接点12は、第2可動接点13から、長手方向(X1,X2)に離れて配置されている。
【0021】
可動接触片8は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。可動接触片8は、図1に示す開位置と、図2に示す閉位置とに移動可能である。図1に示すように、可動接触片8が開位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11から離れている。図2に示すように、可動接触片8が閉位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11に接触している。
【0022】
可動機構9は、可動接触片8を支持する。可動機構9は、駆動軸15と接点バネ16とを含む。駆動軸15は、可動接触片8に連結される。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に延びており、可動接触片8の孔14を通って、可動接触片8を移動方向(Z1,Z2)に貫通している。駆動軸15は、可動接触片8に対して相対的に移動可能である。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能に設けられる。接点バネ16は、可動接触片8を接触方向(Z1)へ向けて付勢する。
【0023】
図1及び図2に示すように、駆動装置4は、駆動軸15を移動方向(Z1,Z2)に移動させる。駆動装置4は、コイル21と、スプール22と、可動鉄心23と、固定鉄心24と、ヨーク25と、復帰バネ26とを含む。駆動装置4は、電磁力によって、可動機構9を介して、可動接触片8を開位置と閉位置とに移動させる。コイル21は、スプール22に巻回されている。可動鉄心23と、固定鉄心24とは、スプール22内に配置されている。可動鉄心23は、駆動軸15に接続されている。可動鉄心23は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。固定鉄心24は、可動鉄心23と向かい合って配置されている。復帰バネ26は、可動鉄心23を開離方向(Z2)に付勢している。
【0024】
電磁継電器1Aでは、コイル21が通電されると、コイル21による磁力によって、可動鉄心23が固定鉄心24に吸引される。それにより、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力に抗して、接触方向(Z1)に移動する。それにより、可動接触片8が、図2に示す閉位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11に接触する。
【0025】
なお、可動接点12,13が固定接点10,11に接触を開始した後、駆動軸15がさらに接触方向(Z1)へ移動することによって、接点バネ16が圧縮される。可動接点12,13が固定接点10,11に接触を開始したときの位置から接触方向(Z1)に駆動軸15がさらに移動した距離が、接点フォローとして定義される。
【0026】
コイル21への通電がオフにされると、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力によって、開離方向(Z2)へ移動する。それにより、可動接触片8が図1に示す開位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11から離れる。
【0027】
図3は、ケース2及び接点装置の拡大図である。図3に示すように、ケース2は、インナーケース31とアウターケース32とを含む。インナーケース31は、アウターケース32内に配置されている。接点装置3は、インナーケース31内に配置されている。インナーケース31は、第1インナーケース33と第2インナーケース34とを含む。第1インナーケース33と第2インナーケース34とは、互いに別体である。第2インナーケース34は、第1インナーケース33に取り付けられている。
【0028】
アウターケース32は、第1アウターケース35と第2アウターケース36とを含む。第1アウターケース35と第2アウターケース36とは、互いに別体である。第2アウターケース36は、第1アウターケース35に取り付けられている。
【0029】
電磁継電器1Aは、粘着材41-46を備えている。粘着材41-46は、ケース2内に配置されている。粘着材41は、粘着性を有する粘着面41Aを含む。粘着材41は、粘着面41Aをケース2内の空間に露出して配置されている。他の粘着材42-46も、粘着材41と同様に、粘着面を含み、粘着面をケース2内の空間に露出して配置されている。粘着材41-46は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤、或いはゴム系粘着剤を含む。粘着材41-46は、粘着テープであってもよい。粘着材41-46は、ケース2内において異物を捕集する。
【0030】
粘着材41-44は、インナーケース31内に配置されている。粘着材41,42は、インナーケース31の底面に取り付けられている。粘着材41,42は、駆動軸15とインナーケース31とが接触する位置に面して配置されている。粘着材41は、駆動軸15とインナーケース31とが接触する位置と、第1固定接点10又は第1可動接点12との間の経路に配置されている。粘着材42は、駆動軸15とインナーケース31とが接触する位置と、第2固定接点11又は第2可動接点13との間の経路に配置される。
【0031】
粘着材43,44は、インナーケース31の側面に取り付けられている。粘着材43は、第1インナーケース33と第2インナーケース34との間の隙間G1と、第1固定接点10又は第1可動接点12との間に配置されている。粘着材43は、第1固定接点10又は第1可動接点12に面して配置されている。粘着材44は、第1インナーケース33と第2インナーケース34との間の隙間G2と、第2固定接点11又は第2可動接点13との間に配置されている。粘着材44は、第2固定接点11又は第2可動接点13に面して配置されている。
【0032】
粘着材45,46は、アウターケース32の側面に取り付けられている。粘着材45は、第1アウターケース35と第2アウターケース36との間の隙間G3と、第1固定接点10又は第1可動接点12との間に配置されている。粘着材45は、第1アウターケース35と第2アウターケース36との間の隙間G3に面して配置されている。粘着材46は、第1アウターケース35と第2アウターケース36との間の隙間G4と、第2固定接点11又は第2可動接点13との間に配置されている。粘着材46は、第1アウターケース35と第2アウターケース36との間の隙間G4に面して配置されている。
【0033】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1Aでは、異物がケース2内で発生した場合、或いは、異物がケース2内に侵入した場合に、異物が、粘着材41-46によって捕集される。それにより、固定接点10,11、或いは可動接点12,13への異物の付着が抑えられる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
駆動装置4の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、駆動装置4は、接点装置3の開離方向(Z2)に配置されている。しかし、駆動装置4は、接点装置3に対して、長手方向(X1,X2)、或いは、移動方向(Z1,Z2)と長手方向(X1,X2)とに垂直な横方向に配置されておよい。開離方向(Z2)と接触方向(Z1)とは、上記の実施形態と逆の方向であってもよい。
【0036】
接点装置3の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、第1固定接点10は、第1固定端子6と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点11は、第2固定端子7と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点12は、可動接触片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点13は、可動接触片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。固定接点の数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは2つより多くてもよい。可動接点の数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは2つより多くてもよい。
【0037】
上記の実施形態に係る電磁継電器1Aは、いわゆるプランジャ型の電磁継電器である。しかし、電磁継電器は、プランジャ型に限らず、ヒンジ型などの他のタイプのものであってもよい。
【0038】
例えば、図4は、第2実施形態に係る電磁継電器1Bを示す図である。電磁継電器1Bは、ヒンジ型の電磁継電器である。図4に示すように、電磁継電器1Bは、ケース81と、接点装置82と、駆動装置83とを備えている。接点装置82と、駆動装置83とは、ケース81内に配置されている。接点装置82は、固定端子84と、可動接触片85と、固定接点86と、可動接点87とを含む。駆動装置83は、コイル88と、スプール89と、鉄心90と、接極子91と、ヨーク92と、復帰バネ93と、カード94とを含む。
【0039】
ケース81は、第1ケース95と第2ケース96とを含む。第1ケース95と第2ケース96とは、互いに別体である。第2ケース96は、第1ケース95に取り付けられている。接点装置82と駆動装置83とは、第2ケース96上に配置されている。第1ケース95は、接点装置82と駆動装置83と第2ケース96とを上方から覆う。第1ケース95は、仕切り壁97を含む。仕切り壁97は、第1ケース95の天面から下方へ突出している。仕切り壁97は、ケース81内において第1空間S1と第2空間S2との間に配置される。第1空間S1には、接点装置82が配置される。第2空間S2には、駆動装置83が配置される。
【0040】
電磁継電器1Bでは、コイル88が通電されると、コイル88による磁力によって、接極子91が、鉄心90に吸引される。それにより、接極子91が、復帰バネ93の付勢力に抗して回動することで、カード94を介して、可動接触片85を押圧する。それにより、可動接触片85が弾性変形して、可動接点87が、接触方向(Z1)に移動する。それにより、可動接点87が固定接点86に接触する。
【0041】
コイル88への通電がオフにされると、接極子91が、復帰バネ93の付勢力によって、逆方向に回動する。それにより、カード94による可動接触片85への押圧が解除され、可動接触片85の弾性力によって、可動接点87が開離方向(Z2)へ移動する。それにより、可動接点87が、固定接点86から離れる。
【0042】
電磁継電器1Bは、粘着材47-50を備えている。粘着材47,48は、第2ケース96上に配置されている。粘着材47は、可動接触片85に面して配置されている。粘着材47は、可動接触片85と第2ケース96とが接触する位置と、可動接点87との間に配置されている。粘着材47は、可動接点87の下方に配置されている。粘着材48は、固定端子84に面して配置されている。粘着材48は、固定接点86の下方に配置されている。
【0043】
粘着材49,50は、第1ケース95に取り付けられている。粘着材49は、第1ケース95の内側面に取り付けられている。粘着材49は、第1ケース95と第2ケース96との隙間G5と、可動接点87及び固定接点86との間に配置されている。粘着材50は、仕切り壁97に取り付けられている。粘着材50は、接極子91と、可動接点87及び固定接点86との間に配置されている。粘着材50は、接極子91に向かい合って配置されている。
【0044】
第2実施形態に係る電磁継電器1Bにおいても、第1実施形態に係る電磁継電器1Aと同様に、異物がケース81内で発生した場合、或いは、異物がケース81内に侵入した場合に、異物が、粘着材47-50によって捕集される。それにより、固定接点86、或いは可動接点87への異物の付着が抑えられる。
【0045】
第1実施形態に係る電磁継電器1Aにおいて上述した粘着材41-46の一部のみが設けられてもよい。第2実施形態に係る電磁継電器1Bにおいて上述した粘着材47-50の一部のみが設けられてもよい。粘着材41-50の配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0046】
図5は、第1変形例に係る粘着材51を示す図である。図5に示すように、粘着材51は、凹凸51Aのある表面を有してもよい。図6は、第2変形例に係る粘着材52を示す図である。図6に示すように、ケース2の内面は、凹凸37を含んでもよい。粘着材52は、凹凸37上に取り付けられてもよい。この場合、粘着材52は、例えば柔軟なテープ状であってもよい。或いは、粘着材52は、液状、或いは、ゲル状であって、凹凸37上に塗布されていてもよい。
【0047】
図7は、第3変形例に係る接点装置3及びケース2を示す図である。図7に示すように、ケース2の内面は、角部38,39を含んでもよい。粘着材53,54は、角部38,39に取り付けられてもよい。
【0048】
図8は、第4変形例に係る接点装置3及びケース2を示す図である。図9は、図8におけるIX-IX断面図である。図9に示すように、接点装置3は、磁石27,29を含んでもよい。図8に示すように、磁石27,29は、可動接点12,13と固定接点10,11との間で発生するアークA1を誘導するための磁界H1を発生させる。アークA1は、磁界H1によるローレンツ力によって、ケース2の内側面に向けて伸延される。ケース2は、壁部28を含んでもよい。壁部28は、インナーケース31内において粘着材43に面して配置されてもよい。壁部28は、伸延されたアークA1と粘着材43との間に配置されてもよい。この場合、粘着材43は、壁部28によってアークA1から保護される。それにより、アークA1による粘着材43の劣化が抑えられる。なお、他の粘着材に対しても壁部が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、電磁継電器において、接点への異物の付着が抑えられる。
【符号の説明】
【0050】
2:ケース、 8:可動接触片、 10:第1固定接点、 12:第1可動接点、 27:磁石、 28:壁部、 33:第1インナーケース、 34:第2インナーケース、 35:第1アウターケース、 36:第2アウターケース、 37:凹凸、 38:角部、 41:粘着材
図1
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図9