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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031117
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240229BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20240229BHJP
   G01B 11/04 20060101ALI20240229BHJP
   G01B 11/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01J1/02 P
G01B11/26 Z
G01B11/04 Z
G01B11/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134461
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】植村 公輔
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】高阪 幸司
【テーマコード(参考)】
2F065
2G065
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065AA30
2F065AA37
2F065BB13
2F065CC02
2F065DD02
2F065FF02
2F065GG07
2F065GG16
2F065HH05
2F065HH13
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065JJ15
2F065MM03
2G065AA04
2G065AB28
2G065BA09
2G065BB02
2G065BC16
2G065BC28
2G065CA25
2G065CA27
2G065CA29
2G065DA01
2G065DA15
(57)【要約】
【課題】複数のアナログ出力を備え、さらに当該アナログ出力を適切に補正することにより、計測対象物を高精度に計測可能な光電センサを提供することである。
【解決手段】光電センサ100は、計測対象に対して光を投光する複数の投光部110A,110Bと、複数の投光部に対応するように配置され、投光された光を受光する複数の受光部120A,120Bと、受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部130A,130Bと、デジタル信号に基づく各データを処理しつつ、受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う制御部140と、各データ及び制御部によって処理された結果のうち、少なくとも2つ以上をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換部150と、少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データを出力可能な複数のアナログ出力部160と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象に対して光を投光する複数の投光部と、
前記複数の投光部に対応するように配置され、前記複数の投光部によって投光された光を受光する複数の受光部と、
前記複数の受光部それぞれによって受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、
前記デジタル信号に基づく各データを処理しつつ、前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う制御部と、
前記各データ及び前記制御部によって処理された結果のうち、少なくとも2つ以上をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換部と、
前記少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データを出力可能な複数のアナログ出力部と、を備える、
光電センサ。
【請求項2】
前記補正処理は、前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量と当該受光量に基づいて算出される結果とに基づいて、当該受光量又は当該受光量に基づくデータの補正を含む、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量を減算処理することにより、前記計測対象の傾き又は厚みを計測する、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量を加算処理することにより、前記計測対象の長さ又は幅を計測する、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項5】
前記複数のアナログ出力部によって出力されるアナログ出力のうち、少なくとも1つは、前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量のセンシング値又は当該センシング値に基づくデータを含む、
請求項1に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のセンサ装置を用いて、それぞれのセンサ装置によって検知されたデータに基づいて、例えば、巻き取り装置におけるシートの蛇行量等を検知するシステムが知られている。
【0003】
このようなシステムでは、複数のセンサ装置は、ネットワークを介して、PLC(Programmable Logic Controller)やPC(Personal Computer)に、各センサ装置で検知したデータを送信する。そして、当該PLCやPCは、複数のセンサ装置によって検知されたデータを演算することにより巻き取り装置におけるシートの蛇行量等を検知している。
【0004】
また、特許文献1では、2つのチャンネルを有するファイバ型光電センサに関する技術が開示されている。特許文献1に開示されているファイバ型光電センサでは、2つのチャンネルの検出動作を時分割で行う単一のCPUと、2つのチャンネルに対応する2本の出力線とを備えて、2つのチャンネルでの検出結果やそれらの論理演算結果を出力可能としている。
【0005】
さらに、特許文献2では、半導体レーザを適用した光源素子及び受光検知素子を備えた位置寸法測定装置において、高精度な測定を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-138363号公報
【特許文献2】特開2008-275505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているファイバ型光電センサでは、1つのセンサ装置において、複数のチャンネルでの検出結果やそれらの論理演算結果を出力可能としているものの、さらに高精度な計測が求められている。また、特許文献2に開示されている位置寸法測定装置のように半導体レーザを適用して高精度な測定を実現しようとすると高コストになってしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、複数のアナログ出力を備え、さらに当該アナログ出力を適切に補正することにより、計測対象物を高精度に計測可能な光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る光電センサは、計測対象に対して光を投光する複数の投光部と、複数の投光部に対応するように配置され、複数の投光部によって投光された光を受光する複数の受光部と、複数の受光部それぞれによって受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、デジタル信号に基づく各データを処理しつつ、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う制御部と、各データ及び制御部によって処理された結果のうち、少なくとも2つ以上をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換部と、少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データを出力可能な複数のアナログ出力部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、制御部は、複数の受光部それぞれによって受光された光に基づく各データを処理しつつ、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う。そして、複数のアナログ出力部は、少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データを出力可能としている。その結果、光電センサは、適切に補正された複数の出力により、計測対象物を高精度に計測することができる。
【0011】
上記態様において、補正処理は、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量と当該受光量に基づいて算出される結果とに基づいて、当該受光量又は当該受光量に基づくデータの補正を含んでもよい。
【0012】
この態様によれば、補正処理は、受光量又は当該受光量に基づくデータの補正を含んでいるため、複数のアナログ出力部は、適切に補正された各データをアナログ出力し、その結果、光電センサは、より適切に、計測対象物を高精度に計測することができる。
【0013】
上記態様において、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量を減算処理することにより、計測対象の傾き又は厚みを計測してもよい。
【0014】
この態様によれば、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量に基づいて、適切に、計測対象の傾き又は厚みを計測することができる。
【0015】
上記態様において、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量を加算処理することにより、計測対象の長さ又は幅を計測してもよい。
【0016】
この態様によれば、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量に基づいて、適切に、計測対象の長さ又は幅を計測することができる。
【0017】
上記態様において、複数のアナログ出力部によって出力されるアナログ出力のうち、少なくとも1つは、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量のセンシング値又は当該センシング値に基づくデータを含んでもよい。
【0018】
この態様によれば、複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量のセンシング値又は当該センシング値に基づくデータをアナログ出力するため、光電センサの汚れ、経時変化、経年劣化、及びその他異常発生等を監視することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のアナログ出力を備え、さらに当該アナログ出力を適切に補正することにより、計測対象物を高精度に計測可能な光電センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る光電センサ100の構成を示す概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係る光電センサ100における各機能を示す機能ブロック図である。
図3】巻き取り装置によって巻き取られるシートを、本発明の一実施形態に係る光電センサ100を用いて計測する様子を示す図である。
図4】(CH1受光量-CH2受光量)及び(CH1受光量+CH2受光量)がアナログ出力された様子を示す図である。
図5】アナログ出力のリニアリティ補正について説明するための図である。
図6】アナログ出力部160においてアナログ出力される項目の具体例を示す図である。
図7】CH1及びCH2の受光量(センシング値)又はそれらに基づくデータがアナログ出力された様子を示す図である。
図8】光電センサ100の適用例について説明するための図である。
図9】回転する計測対象物の偏心を、光電センサ100を用いて計測する様子を示す図である。
図10】(CH1受光量-CH2受光量)、CH1受光量及びCH2受光量がアナログ出力された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0022】
<一実施形態>
[光電センサの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る光電センサ100の構成を示す概要図である。図1に示されるように、光電センサ100は、第1投光器11Aと第1受光器12A、第2投光器11Bと第2受光器12B、及びアンプ20を備える。
【0023】
光電センサ100は、第1投光器11Aと第1受光器12Aとにより第1検出チャンネルを構成し、第2投光器11Bと第2受光器12Bとにより第2検出チャンネルを構成しており、それぞれ光ファイバを介してアンプ20に接続されている。
【0024】
光電センサ100は、1つのセンサ装置において複数の検出チャンネルを構成するマルチチャンネル光電センサである。例えば、第1投光器11Aから投光された光を第1受光器12Aで受光し、第2投光器11Bから投光された光を第2受光器12Bで受光し、アンプ20は、それらの受光量に基づいて、計測対象物を計測する。より具体的には、光電センサ100は、第1投光器11Aと第1受光器12Aとの間、及び/又は第2投光器11Bと第2受光器12Bとの間に配置されている計測対象物による遮光(具合)に応じて、当該計測対象物の状態(傾き、幅、長さ、厚み、蛇行及び偏心等)を計測したり、監視したりする。
【0025】
なお、本実施形態では、光電センサ100は、2つの検出チャンネルを構成しているが、これに限定されるものではなく、計測対象、計測用途、監視対象及び目的等に応じて、3つ以上の検出チャンネルを構成してもよい。
【0026】
[光電センサの各機能ブロック]
図2は、本発明の一実施形態に係る光電センサ100における各機能を示す機能ブロック図である。図2に示されるように、光電センサ100は、第1投光部110Aと、第1受光部120Aと、第1アナログデジタル(A/D)変換部130Aと、第2投光部110Bと、第2受光部120Bと、第2アナログデジタル(A/D)変換部130Bと、制御部140と、デジタルアナログ(D/A)変換部150と、アナログ出力部160と、表示部170と、操作部180と、入力部190と、出力部200とを備える。なお、第1投光部110Aと、第1受光部120Aと、第1アナログデジタル(A/D)変換部130Aとで第1検出チャンネル(1CH)を構成し、第2投光部110Bと、第2受光部120Bと、第2アナログデジタル(A/D)変換部130Bとで第2検出チャンネル(2CH)を構成している。
【0027】
第1投光部110Aは、計測対象に対して光を投光する。例えば、第1投光部110Aは、投光回路及び当該投光回路によって駆動される発光素子(LED等)を有する。そして、第1投光部110Aは、制御部140からの指示信号に基づいて、投光回路によって発光素子を駆動させて光を発光し、投光用ファイバを介して、ファイバヘッドから計測対象に対して光を投光する。
【0028】
第1受光部120Aは、第1投光部110Aに対応するように配置され、当該第1投光部110Aによって投光された光を受光する。例えば、第1受光部120Aは、受光素子(フォトダイオード等)及び当該受光素子によって取得された信号を増幅する増幅回路を有する。第1受光部120Aは、第1投光部110Aによって投光された光を、受光用ファイバを介して受光素子で受光し、受光量に応じた電気信号に変換するとともに増幅回路で増幅する。
【0029】
第1アナログデジタル変換部130Aは、第1受光部120Aによって受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部140に送信する。
【0030】
同様に、第2投光部110Bは、計測対象に対して光を投光し、第2受光部120Bは、第2投光部110Bに対応するように配置され、当該第2投光部110Bによって投光された光を受光し、受光量に応じた電気信号に変換するとともに増幅回路で増幅する。そして、第2アナログデジタル変換部130Bは、第2受光部120Bによって受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部140に送信する。
【0031】
なお、ここでは、第1検出チャンネル及び第2検出チャンネルにおいて、第1アナログデジタル変換部130A及び第2アナログデジタル変換部130Bをそれぞれ備えているが、共通で1つのアナログデジタル変換部を備える構成でもよい。共通で1つのアナログデジタル変換部を備える場合には、各検出チャンネルにおける受光部によって受光された光に基づくアナログ信号を、順次、デジタル信号に変換すればよい。
【0032】
制御部140は、光電センサ100の各部の動作を制御する。例えば、制御部140は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、メモリ等の記憶部に記憶されているプログラムに従って、第1投光部110A及び第2投光部110Bの動作を制御しながら、さらに、第1受光部120A及び第2受光部120Bで受光された光の受光量に基づく各データを処理する。具体的には、制御部140は、計測対象物の状態を把握するために、第1受光部120A及び第2受光部120Bで受光された光の受光量に基づく各データを閾値と比較したり、加算したり、減算したりしてもよい。さらに、制御部140は、これらの比較や演算に限定されるものではなく、例えば、受光量に基づく各データに基づいて、乗算したり、除算したりしてもよい。
【0033】
また、制御部140は、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う。例えば、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量は、センサヘッドの種類、設置環境、センサヘッドに接続されるファイバ(投光用及び受光用)とアンプ20との接続部分の状態(差し込み口への差し込み量や回転角等)、センサヘッドの汚れ、経時変化、経年劣化、及びその他異常発生時等に応じて変動する場合がある。このため、制御部140は、これらの状況に応じた補正処理を行ってもよい。
【0034】
なお、制御部140による各データの処理及び補正処理の具体例について、詳細は後述する。
【0035】
デジタルアナログ変換部150は、各データ及び制御部140によって処理された結果のうち、少なくとも2つ以上をアナログ信号に変換する。例えば、デジタルアナログ変換部150は、第1検出チャンネル及び第2検出チャンネルで検出された各データ及び/又はそれらの各データを処理してそれぞれアナログ信号に変換したり、それらの各データを演算することによって得られた演算結果をアナログ信号に変換したりする。
【0036】
アナログ出力部160は、少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データをアナログ出力する。例えば、アナログ出力部160は、複数の出力チャンネルを有し、デジタルアナログ変換部150によってアナログ信号に変換された各データ及び/又は演算結果をアナログ出力する。なお、アナログ出力は、例えば、受光量に基づいて示される電流値や電圧値等である。
【0037】
表示部170は、例えば、表示灯や液晶画面等で構成され、各種情報を表示する。具体的には、表示部170は、電源のオンオフ、エラー、警告、計測結果、閾値及び設定値等を表示してもよい。なお、表示部170は、アナログ出力部160及び出力部200によって出力される内容を表示してもよい。
【0038】
操作部180は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネル、キーボード等で構成され、ユーザによって光電センサ100を操作するためのものである。具体的には、ユーザは、操作部180を介して、電源のオンオフ、処理の開始/終了、各種モードの切り替え、初期設定、設定変更、及びその他調整等を行うとよい。
【0039】
入力部190は、外部からの命令を受け付ける。例えば、入力部190は、PLCや押しボタンスイッチ等の外部機器からのオンオフの電気信号を受け付けて制御部140に通知する。これにより、光電センサ100は、例えば、各チャンネルに対する投光の開始/終了(停止)や閾値の切り替えなど、外部機器からの動作制御を可能としている。
【0040】
出力部200は、制御部140によって処理された結果を出力する。例えば、第1検出チャンネルにおいて計測対象物を検出した場合にはオン出力し、計測対象物を検出していない場合にはオフ出力する。さらに、出力部200は、検出チャンネル毎に結果を出力するように構成されていてもよいし、エラー、警告、計測結果、閾値及び設置値等、ユーザに通知する必要がある情報を出力するようにしてもよい。
【0041】
[アナログ出力の具体例]
次に、制御部140によって演算された結果がアナログ出力部160によってアナログ出力される具体例について詳しく説明する。
【0042】
図3は、巻き取り装置によって巻き取られるシートを、本発明の一実施形態に係る光電センサ100を用いて計測する様子を示す図である。図3に示されるように、巻き取り装置によって巻き取られるシートSの幅方向における両端に、第1検出チャンネル(第1投光器11Aと第1受光器12A)と第2検出チャンネル(第2投光器11Bと第2受光器12B)とが配置されている。
【0043】
第1投光器11Aから投光された光は、その一部がシートSの端部により遮光されて第1受光器12Aで受光され、同様に、第2投光器11Bから投光された光は、その一部がシートSの端部により遮光されて第2受光器12Bで受光される。
【0044】
第1受光器12A及び第2受光器12Bで受光された光の受光量に基づいて、シートSの傾き(蛇行状態)を監視し、当該シートSの幅を計測する。具体的には、第1検出チャンネルで検出されたCH1受光量と第2検出チャンネルで検出されたCH2受光量とを加算処理及び減算処理して、それらをアナログ出力する。
【0045】
図4は、(CH1受光量-CH2受光量)及び(CH1受光量+CH2受光量)がアナログ出力された様子を示す図である。図4(A)に示されるように、(CH1受光量-CH2受光量)によれば、シートSの両端を透過する光(シートSによって遮光される光)の光量のバランスが変位しており、巻き取り装置によって巻き取られるシートSが傾いて蛇行している可能性があることが把握できる。
【0046】
また、図4(B)に示されるように、(CH1受光量+CH2受光量)によれば、シートSの両端を透過する光(シートSによって遮光される光)の光量が変位しており、巻き取り装置によって巻き取られるシートSの幅(サイズ)が一定でないことが把握できる。
【0047】
アナログ出力部160は、例えば、上述したような、(CH1受光量-CH2受光量)の演算結果、及び(CH1受光量+CH2受光量)の演算結果をアナログ出力すると、巻き取り装置によって巻き取られるシートSの傾き(蛇行状態)を監視し、当該シートSの幅を計測することができる。
【0048】
[アナログ出力のリニアリティ補正]
ここで、アナログ出力のリニアリティ補正について説明する。上述したように、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量は、種々の要因により変動する場合があり、制御部140においてそれを考慮して補正処理を行う。
【0049】
例えば、図3及び図4で示されたように、制御部140は、第1検出チャンネル及び第2検出チャンネルで検出された受光量に基づいて、シートの傾きを監視したり、シートの幅を計測したりする。ここでは、分かり易いように、シートによって遮光される遮光幅と、受光量に基づく出力値(電流値や電圧値等で示されるアナログ出力)との関係を例に挙げて説明する。
【0050】
図5は、アナログ出力のリニアリティ補正について説明するための図である。図5(A)に示されるように、投光器11から投光された光は、均一ではなく、例えば、中央に発光素子が配置されている場合には、中央から離れるに従って光量が小さくなるような光量分布となる。
【0051】
図5(B)では、投光器11と受光器12との間で、投光器11から投光された光が遮光されている部分があり、その遮光幅に応じて受光器12によって受光される光の光量が変化していることを示す。
【0052】
具体的には、遮光幅が大きくなれば、投光器11から投光された光のうち、受光器12で受光する光の光量は小さくなり、遮光幅が小さくなれば、投光器11から投光された光のうち、受光器12で受光する光の光量は大きくなる。ここで、遮光幅と、受光量及び当該受光量に基づく出力値とは、概ねリニアな関係ではあるものの、実際には、投光器11から投光された光は、均一ではなく、周辺環境やセンサヘッドの種類に応じて異なるため、誤差やズレ等が生じている。
【0053】
図5(C)では、受光器12によって受光される光の受光量について、周辺環境やセンサヘッドの種類に応じて変動する分(例えば、誤差やズレ等)を考慮して、遮光幅と、受光量及び当該受光量に基づく出力値とが理想的なリニアな関係となるように、リニアリティ補正を行っている。例えば、受光器12によって受光される光の受光量を、図5(C)に示された理想的なリニア関係に基づいて補正したり、当該受光量に基づいて、例えば、遮光幅やシート幅、シートの傾き等を計測した場合、その計測結果を図5(C)に示された理想的なリニア関係に基づいて補正したりすればよい。
【0054】
なお、図5(C)に示されたようなリニアリティ補正は、例えば、実環境、及び/又は、センサヘッドの種類に応じて推測される図5(A)に示された光量分布を考慮して、設定されるとよい。
【0055】
ここでは、制御部140による補正処理としてリニアリティ補正を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、受光器12によって受光される光の受光量や当該受光量に基づいて算出される結果に基づいて、当該受光量又は当該受光量に基づくデータを適切に補正できるのであれば、その他の補正手段(所定の計算、関数、ルックアップテーブル等)を用いてもよい。
【0056】
以上のように、本発明の一実施形態に係る光電センサ100によれば、制御部140は、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光された光に基づく各データを処理しつつ、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量の変動に対応したリニアリティ補正を行う。そして、アナログ出力部160は、制御部140によってリニアリティ補正された各データに基づくアナログ出力を行い、例えば、(CH1受光量-CH2受光量)及び(CH1受光量+CH2受光量)をアナログ出力する。これにより、巻き取り装置によって巻き取られるシートSが傾いて蛇行しているかを監視し、シートSの幅(サイズ)も計測することができる。すなわち、光電センサ100は、適切に補正された複数のアナログ出力により、計測対象物を高精度に計測することができる。
【0057】
また、図5(A)に示されたように、投光器11から投光された光は、均一ではなく、周辺環境やセンサヘッドの種類に応じて、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量の変動する分(誤差やズレ等)を考慮して、リニアリティ補正を行うことにより、半導体レーザを適用しない光電センサであっても、低コストで高精度な計測を実現することができる。
【0058】
さらに、1つの光電センサ100において、複数の検出チャンネルを備えているため、複数のセンサ装置を用いてPLCやPC等の上位設備で演算させるセンサシステムと比べて、シンプルなシステム構成とすることができる。システム全体として、負荷の軽減、小型化、低コスト化、部品点数の削減、配線工数の低減、処理の高速化及び省電力化に繋がる。
【0059】
なお、本実施形態では、図4に示されたように、アナログ出力部160によって、(CH1受光量-CH2受光量)及び(CH1受光量+CH2受光量)がアナログ出力されていたが、アナログ出力される項目は、これらに限定されるものではない。例えば、計測対象、計測用途、監視対象及び目的等に応じて、CH1受光量、CH2受光量、CH1余裕度及びCH2余裕度等、その他の項目をアナログ出力するようにしてもよいし、これらのうち、いずれかの組み合わせでアナログ出力するようにしてもよい。
【0060】
このように、アナログ出力部160は、複数のアナログ出力を可能としているため、計測対象、計測用途、監視対象及び目的等に応じて、種々のアナログ出力及びそれらの組み合わせを選択することができるため、様々な場面で有用であり、汎用性が高い。
【0061】
[アナログ出力の具体例]
図6は、アナログ出力部160においてアナログ出力される項目の具体例を示す図である。図6に示されるように、アナログ出力される項目として、図4で示された(CH1受光量-CH2受光量)及び(CH1受光量+CH2受光量)の他に、CH1及びCH2の受光量(センシング値)、受光量(補正値・表示値)及び余裕度等がある。
【0062】
(CH1受光量-CH2受光量)をアナログ出力することにより、図3及び図4で説明したように、シートの傾き(蛇行状態)を監視することができる。その他の用途として、シートの厚みを計測したり、偏心を計測したりすることもできる。
【0063】
(CH1受光量+CH2受光量)をアナログ出力することにより、図3及び図4で説明したように、シート幅を計測することができる。その他の用途として、シートの長さ計測することもできる。
【0064】
CH1及びCH2の受光量(センシング値)は、それぞれ第1受光部120A及び第2受光部120Bによって受光された測定値そのもの、又は受光量に基づいて測定値そのものを示すデータであって、制御部140によって種々の補正処理がなされていない値である。
【0065】
光電センサ100では、通常、チューニング補正等の補正処理がなされて、その補正された補正値(表示値)が表示部170に表示される。ここで、チューニング補正とは、例えば、光電センサ100を使用する環境や使用モード(高速モードや高精度モード等)に応じて、異なる光量の光が投光されたり、受光される光の受光量が異なったりする。このように、光電センサ100を使用する毎に、表示部170に表示される受光量や当該受光量に基づく各データの値がバラバラであれば、ユーザに違和感を抱かせる可能性がある。このため、それぞれ第1受光部120A及び第2受光部120Bによって受光される受光量(センシング値)の範囲と表示部170に表示される範囲とをチューニングする。
【0066】
CH1及びCH2の受光量(補正値・表示値)は、上述したCH1及びCH2の受光量(センシング値)をチューニング補正することにより、表示部170に表示される値である。
【0067】
CH1及びCH2の余裕度は、光電センサが安定した動作状態にあるか否かを示す値であって、例えば、予め設定された閾値に対するCH1及びCH2の受光量(センシング値)の割合や予め設定された閾値とCH1及びCH2の受光量(センシング値)との差に基づいて算出される。予め設定された閾値とは、例えば、計測対象物の存在の有無を判定するための値(受光量)であり、当該閾値に対するCH1及びCH2の受光量(センシング値)の割合、及び当該閾値とCH1及びCH2の受光量(センシング値)との差が大きいと、余裕度は大きくなり、光電センサが安定した動作状態であることを示す。一方で、余裕度が小さくなってくると、光電センサが安定した動作状態でなくなっていることを示し、センサヘッドの汚れ、経時変化、経年劣化、及びその他異常発生を把握して、メンテナンス時期を推測又は判断することができる。
【0068】
図7は、CH1及びCH2の受光量(センシング値)又はそれらに基づくデータがアナログ出力された様子を示す図である。図7(A)に示されるように、CH1受光量(センシング値)とCH1受光量(補正値・表示値)とを比較することにより、CH1の劣化を監視することができる。両者の差が大きい場合には、第1受光部120Aによって受光される光の受光量(CH1受光量(センシング値))が低下しており、センサヘッドの汚れ、劣化及びその他異常が発生している可能性がある。
【0069】
また、図7(B)に示されるように、CH1余裕度とCH2余裕度とを比較することにより、各検出チャンネルの劣化を監視することができる。両者の差に変化がある場合には、一方の検出チャンネルが安定した動作状態でなくなっている可能性がある。ここでは、CH2余裕度が低下しており、例えば、第2検出チャンネルのセンサヘッドに、汚れ、劣化及びその他異常が発生している可能性がある。
【0070】
このように、第1受光部120A及び第2受光部120Bそれぞれによって受光される光の受光量のセンシング値又は当該センシング値に基づくデータをアナログ出力するため、光電センサ100及び/又は各検出チャンネルのセンサヘッドの汚れ、経時変化、経年劣化、及びその他異常発生等を監視することができる。その結果、メンテナンス時期を把握することができ、光電センサの動作の安定性を確保することができる。
【0071】
また、ここで例示したアナログ出力の項目以外にも、各検出チャンネルで検出された受光量、当該受光量から種々の補正処理(例えば、チューニング補正やリニアリティ補正等も含む)により得られた各データ、それらを演算することにより得られた各データやその結果等を、アナログ出力してもよい。計測対象、計測用途、監視対象及び目的等に応じて、どのような項目をアナログ出力するか、又はどのような組み合わせでアナログ出力するかを選択すればよい。
【0072】
[光電センサのその他の適用例]
上述した実施形態では、巻き取り装置によって巻き取られるシートの幅方向における両端に、第1検出チャンネル(第1投光器11Aと第1受光器12A)と第2検出チャンネル(第2投光器11Bと第2受光器12B)とを配置するようにして、光電センサ100を用いていたが、以下に、当該光電センサ100のその他の適用例について説明する。
【0073】
図8は、光電センサ100の適用例について説明するための図である。図8(A)では、シートSの幅方向における両端に、第1検出チャンネル(第1投光器11Aと第1受光器12A)と第2検出チャンネル(第2投光器11Bと第2受光器12B)とを配置している。図8(B)では、シートSの長さ方向における両端に、第1検出チャンネルと第2検出チャンネルとを配置している。これらでは、第1検出チャンネルで検出された受光量と、第2検出チャンネルで検出された受光量とを加算処理することにより、シートSの幅及び長さを計測することができる。
【0074】
図8(C)では、シートSの幅方向の一方側に、第1検出チャンネルと第2検出チャンネルとを配置している。これにより、第1検出チャンネルで検出された受光量と、第2検出チャンネルで検出された受光量とを減算処理することにより、シートSの傾きを計測することができる。
【0075】
図8(D)では、シートSを巻き取る又は搬送するローラの上方に、当該ローラと平行に遮光部材S’を配置している。そして、当該ローラと遮光部材S’との間に第1投光器11Aから光を投光し、その透過光を第1受光器12Aで受光する(第1検出チャンネル)。同様に、第2投光器11Bから光を投光し、その透過光を第2受光器12Bで受光する(第2検出チャンネル)。これにより、第1検出チャンネルで検出された受光量と、第2検出チャンネルで検出された受光量とを減算処理することにより、シートSの厚み差を計測することができる。
【0076】
図9は、回転する計測対象物の偏心を、光電センサ100を用いて計測する様子を示す図である。図9に示されるように、回転する計測対象物Dの外周に、第1検出チャンネル(第1投光器11Aと第1受光器12A)と第2検出チャンネル(第2投光器11Bと第2受光器12B)とを配置している。
【0077】
第1投光器11Aから投光された光は、その一部が計測対象物Dの周縁部により遮光されて第1受光器12Aで受光され、同様に、第2投光器11Bから投光された光は、その一部が計測対象物Dの周縁部により遮光されて第2受光器12Bで受光される。
【0078】
第1受光器12A及び第2受光器12Bで受光された光の受光量に基づいて、計測対象物Dの偏心を監視する。具体的には、第1検出チャンネルで検出されたCH1受光量と第2検出チャンネルで検出されたCH2受光量とを減算処理して、それらをアナログ出力する。
【0079】
図10は、(CH1受光量-CH2受光量)、CH1受光量及びCH2受光量がアナログ出力された様子を示す図である。図10に示されるように、(CH1受光量-CH2受光量)によれば、計測対象物Dの周縁部を透過する光(計測対象物Dによって遮光される光)の光量のバランスが変位しており、計測対象物Dが偏心している可能性があることが把握できる。
【0080】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0081】
[附記]
計測対象に対して光を投光する複数の投光部(110A,110B)と、
前記複数の投光部に対応するように配置され、前記複数の投光部によって投光された光を受光する複数の受光部(120A,120B)と、
前記複数の受光部それぞれによって受光された光に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部(130A,130B)と、
前記デジタル信号に基づく各データを処理しつつ、前記複数の受光部それぞれによって受光される光の受光量の変動に対応した補正処理を行う制御部(140)と、
前記各データ及び前記制御部によって処理された結果のうち、少なくとも2つ以上をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換部(150)と、
前記少なくとも2つ以上のアナログ信号に基づく各データを出力可能な複数のアナログ出力部(160)と、を備える、
光電センサ(100)。
【符号の説明】
【0082】
11,11A,11B…投光器、12,12A,12B…受光器、20…アンプ、100…光電センサ、110A,110B…投光部、120A,120B…受光部、130A,130B…アナログデジタル(A/D)変換部、140…制御部、150…デジタルアナログ(D/A)変換部、160…アナログ出力部、170…表示部、180…操作部、190…入力部、200…出力部、D…計測対象物、S…シート、S’…遮光部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10