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特開2024-31152情報処理装置、情報処理システム、および危険情報通知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031152
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、および危険情報通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240229BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240229BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240229BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240229BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G16Y20/20
G16Y10/40
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134525
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】土肥 実久
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD07
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB01
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】危険情報を通知すべき車両を選別すること。
【解決手段】情報処理装置101は、複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信する。情報処理装置101は、複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、危険検知情報に基づいて、対象物が到達する将来の位置範囲を算出する。情報処理装置101は、受信した各車両の車両情報に基づいて、各車両が到達する将来の位置を算出する。情報処理装置101は、算出した各車両の将来の位置と対象物の将来の位置範囲とに基づいて、複数の車両から、対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、
前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、
受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、
算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記各車両が前記対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、
前記複数の車両から、前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両を、前記通知先となる車両に決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記各車両の周囲の環境を特定可能な環境情報を取得し、
前記各車両の将来の位置と、前記対象物の将来の位置範囲と、取得した前記環境情報とに基づいて、前記複数の車両から、前記通知先となる車両を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記各車両の将来の位置と、前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記各車両が前記対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、
取得した前記環境情報に基づいて、前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の制動距離を算出し、
前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の中から、当該車両が前記対象物に遭遇するまでの距離と、算出した前記制動距離とに基づいて、前記通知先となる車両を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記各車両の車両情報は、前記各車両の重量および積載量を特定可能な情報を含み、
前記制御部は、
前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の車両情報と前記環境情報とに基づいて、前記制動距離を算出する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
決定した前記通知先となる車両に搭載された端末装置に前記危険情報を出力する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の車両の各車両に搭載された端末装置と、
前記各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する情報処理装置と、
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、
前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、
受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、
算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする危険情報通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、および危険情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コネクテッドカーと呼ばれるICT(Information and Communication Technology)端末としての機能を有する自動車が普及しつつある。コネクテッドにおける各車の情報を利用することで、例えば、ある車両で検知された危険の兆候を示す情報を、他の車両のドライバーに通知することができる。
【0003】
先行技術としては、危険物情報を受信すると、車両情報が示す各車両の現在地、進路から、危険箇所を通過する警告車両を抽出するとともに、危険物情報が示す危険箇所の画像と警告車両の車幅に基づき、警告車両が危険箇所を通過する際の危険度を判定し、危険度に応じて各警告車両に対応する警告情報を生成し、各警告車両の車載システムに配信するものがある。
【0004】
また、対象の配信エリアを移動している複数の移動体に基地局を介して情報を配信するための技術がある。また、所定の送信範囲内に位置する車両のうち、移動速度がゼロを含む所定速度以下である車両を特定し、特定される車両の移動速度が所定速度以下であるときに、車両の車載通信装置へ無線通信によりデータを送信する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-122714号公報
【特許文献2】特開2020-202591号公報
【特許文献3】特開2021-072031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、ある車両において検知された、危険を及ぼす可能性がある人や自動車などに関する危険情報を通知すべき車両を判断することが難しい。
【0007】
一つの側面では、本発明は、危険情報を通知すべき車両を選別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、危険情報を通知すべき車両を選別することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態にかかる危険情報通知方法の一実施例を示す説明図である。
図2図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
図3図3は、危険情報通知装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4図4は、端末Tiのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5図5は、車両情報DB220の記憶内容の一例を示す説明図である。
図6図6は、危険情報DB230の記憶内容の一例を示す説明図である。
図7図7は、環境情報DB240の記憶内容の一例を示す説明図である。
図8図8は、危険情報通知装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
図9図9は、情報処理システム200の動作例を示す説明図である。
図10図10は、通知先となる車両の決定例を示す説明図(その1)である。
図11図11は、危険情報の通知例を示す説明図(その1)である。
図12図12は、危険情報の表示例を示す説明図(その1)である。
図13図13は、通知先となる車両の決定例を示す説明図(その2)である。
図14図14は、危険情報の通知例を示す説明図(その2)である。
図15図15は、危険情報の表示例を示す説明図(その2)である。
図16図16は、危険情報通知装置201の車両情報収集処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、危険情報通知装置201の環境情報収集処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、危険情報通知装置201の危険情報通知処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、危険情報通知装置201の通知先決定処理の具体的手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明にかかる情報処理装置、情報処理システム、および危険情報通知方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる危険情報通知方法の一実施例を示す説明図である。図1において、情報処理装置101は、複数の車両から、危険情報の通知先となる車両を決定するコンピュータである。車両は、例えば、乗用車、トラック、オートバイなどの自動車である。危険情報は、危険を及ぼす可能性がある対象物に関する情報である。
【0013】
複数の車両は、インターネットなどを介して情報処理装置101と通信可能な端末装置を搭載した車両である。複数の車両の各車両は、例えば、ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーである。各車両は、例えば、車外を撮像可能なカメラ(例えば、後述の図4に示すカメラ403)を有し、カメラからの情報をもとに危険を及ぼす可能性がある対象物を検知する機能を有する。対象物の認識は、例えば、機械学習による学習モデルを用いて行われる。
【0014】
ここで、車両の死角の情報を他車のカメラからの情報をもとに補完することで、安全運転を支援することが考えられる。例えば、車両の後方からすり抜けて接近中のバイクの存在をドライバーに通知して注意喚起したり、車両の前方で遊んでいる子供の存在をドライバーに通知して注意喚起したりすることが考えられる。
【0015】
しかしながら、従来技術では、ある車両において検知された危険を及ぼす可能性がある対象物が移動する場合、対象物に関する危険情報を通知すべき車両を判断することが難しい。例えば、危険を及ぼす可能性がある対象物が検知された地点から所定の範囲内に存在するすべての車両を、通知先の車両とすることが考えられる。
【0016】
ところが、所定の範囲を広げすぎると、対象物と遭遇する可能性が低い車両にまで危険情報が送信されて、過剰なアラームとなるおそれがある。一方で、所定の範囲を狭めすぎると、対象物と遭遇する車両に危険情報を送信することができず、ドライバーに注意喚起することができない場合がある。
【0017】
そこで、本実施の形態では、対象物が到達する可能性がある将来の位置範囲を考慮して、複数の車両から危険情報を通知すべき車両を選別する危険情報通知方法について説明する。ここで、情報処理装置101の処理例について説明する。
【0018】
(1)情報処理装置101は、複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、各車両の車両情報を受信する。ここで、各車両の車両情報は、各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む。
【0019】
各車両の位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、ある時刻の各車両の位置、速度、加速度および移動方向を示す情報である。また、各車両の位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、所定期間(直近数秒程度の期間)の各時刻(1秒ごとの時刻)の各車両の位置を示す時系列データであってもよい。
【0020】
図1の例では、複数の車両を「車両102,103,104」とし、各車両に搭載された端末装置を「端末装置102a,103b,104c」とする。この場合、情報処理装置101は、各端末装置102a,103b,104cから、各車両102,103,104の車両情報110,120,130を受信する。
【0021】
(2)情報処理装置101は、複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険検知情報を受信した場合、危険検知情報に基づいて、危険を及ぼす可能性がある対象物が到達する将来の位置範囲を算出する。ここで、危険検知情報は、危険を及ぼす可能性がある対象物が検知されたことを示す情報である。
【0022】
危険検知情報は、対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む。対象物の位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、ある時刻の対象物の位置、速度、加速度および移動方向を示す情報である。また、対象物の位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、所定期間(直近数秒程度の期間)の各時刻(1秒ごとの時刻)の対象物の位置を示す時系列データであってもよい。
【0023】
対象物の将来の位置範囲は、例えば、所定時間内に対象物が到達する可能性がある位置範囲を表す。対象物の将来の位置範囲は、例えば、対象物の移動方向に沿って広がる幅を持った範囲である。幅は、任意に設定可能であり、例えば、道路の幅程度の長さに設定される。所定時間は、任意に設定可能であり、例えば、数秒~数十秒程度の時間に設定される。
【0024】
対象物の将来の位置範囲は、例えば、所定の位置予測関数を用いて算出される。位置予測関数は、例えば、ある時刻の対象物の位置、速度、加速度および移動方向を入力として、各時刻の対象物の位置(予測位置)を出力する関数である。
【0025】
図1の例では、車両102に搭載された端末装置102aから、危険検知情報140を受信した場合を想定する。この場合、情報処理装置101は、危険検知情報140に基づいて、危険を及ぼす可能性がある対象物が到達する将来の位置範囲を算出する。ここでは、対象物105の将来の位置範囲150が算出された場合を想定する。将来の位置範囲150は、各時刻(時刻t0,t1,t2,…)の対象物105の位置を表す幅を持った範囲である。
【0026】
(3)情報処理装置101は、受信した各車両の車両情報に基づいて、各車両が到達する将来の位置を算出する。各車両の将来の位置は、例えば、所定時間内に各車両が到達する可能性がある位置を表す。各車両の将来の位置は、例えば、位置予測関数を用いて算出される。
【0027】
図1の例では、情報処理装置101は、各車両102,103,104の車両情報110,120,130に基づいて、各車両102,103,104が到達する将来の位置を算出する。
【0028】
(4)情報処理装置101は、算出した各車両の将来の位置と対象物の将来の位置範囲とに基づいて、複数の車両から、対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する。具体的には、例えば、情報処理装置101は、各車両の将来の位置と、対象物の将来の位置範囲とに基づいて、各車両が対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定する。
【0029】
例えば、情報処理装置101は、車両の将来の位置と、対象物の将来の位置範囲とを比較して、同じ時刻に同じ位置に車両と対象物とが存在する場合に、車両が対象物と遭遇する可能性があると判定する。ただし、情報処理装置101は、同じ位置かどうかを判断するにあたり、数メートル程度の誤差は許容してもよい。そして、情報処理装置101は、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両を、通知先となる車両に決定する。
【0030】
図1の例では、車両104の将来の位置と、対象物の将来の位置範囲150とに基づいて、車両104が対象物105と遭遇する可能性があると判定された場合を想定する。この場合、情報処理装置101は、車両104を、危険情報の通知先となる車両に決定する。危険情報は、例えば、対象物105の存在を知らせるための情報である。
【0031】
このように、情報処理装置101によれば、危険を及ぼす可能性がある対象物が移動することによる、対象物が到達する将来の位置範囲を考慮して、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。
【0032】
図1の例では、対象物105が到達する可能性がある将来の位置範囲150を考慮して、対象物105と遭遇する可能性がある車両104が、危険情報の通知先となる車両に決定される。これにより、情報処理装置101は、危険情報を受信すべき車両104に対して、当該危険情報を適切に中継することが可能となる。車両104は、対象物105と遭遇する可能性があり、危険情報を受信すべき車両であるといえる。
【0033】
(情報処理システム200のシステム構成例)
つぎに、図1に示した情報処理装置101を含む情報処理システム200のシステム構成例について説明する。ここでは、図1に示した情報処理装置101を、情報処理システム200内の危険情報通知装置201に適用した場合を例に挙げて説明する。情報処理システム200は、例えば、Pub/Sub型のメッセージ通信機構を利用して、ドライバーの安全運転を支援するサービスに適用される。
【0034】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。図2において、情報処理システム200は、危険情報通知装置201と、端末T1~Tn(n:2以上の自然数)と、を含む。情報処理システム200において、危険情報通知装置201および端末T1~Tnは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信網などである。
【0035】
以下の説明では、端末T1~Tnのうちの任意の端末を「端末Ti」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。また、端末Tiが搭載された車両Cを「車両Ci」と表記する場合がある。図1に示した車両102~104は、例えば、車両C1~Cnに対応する。また、図1に示した端末装置102a,103b,104cは、例えば、端末T1~Tnに対応する。
【0036】
危険情報通知装置201は、車両情報DB(Database)220、危険情報DB230および環境情報DB240を有し、危険情報を通知するコンピュータである。危険情報は、危険を及ぼす可能性がある対象物の存在を知らせるための情報である。危険情報通知装置201は、例えば、サーバである。
【0037】
なお、車両情報DB220、危険情報DB230および環境情報DB240の記憶内容については、図5図7を用いて説明する。
【0038】
端末Tiは、車両Ciに搭載された、通信機能を有するコンピュータ(車載機)である。端末Tiは、後述の図4に示すカメラ403によって撮像された画像情報に基づいて、危険を及ぼす可能性がある対象物を検知する機能を有する。対象物は、例えば、道路付近で遊んでいる子供、すり抜け走行しているバイクや自転車、スピード違反の車両、逆走している車両などである。
【0039】
具体的には、例えば、端末Tiは、カメラ403からの画像データ(動画像)が入力されると、動画像を静止画に変換し、静止画から物体を認識する。そして、端末Tiは、認識した物体のメタ情報を抽出し、メタ情報を参照して、危険を及ぼす可能性がある対象物を検知する。物体認識やメタ情報抽出は、例えば、機械学習を利用して行われる。
【0040】
なお、図2の例では、危険情報通知装置201を1台のみ表記したが、これに限らない。例えば、情報処理システム200において、危険情報通知装置201は、複数のエリアのそれぞれのエリアごとに設けられてもよい。エリアは、例えば、都道府県や市区町村などである。
【0041】
(危険情報通知装置201のハードウェア構成例)
つぎに、危険情報通知装置201のハードウェア構成例について説明する。
【0042】
図3は、危険情報通知装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、危険情報通知装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、通信I/F(Interface)305と、可搬型記録媒体I/F306と、可搬型記録媒体307と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
【0043】
ここで、CPU301は、危険情報通知装置201の全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOSのプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0044】
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
【0045】
通信I/F305は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示した端末T1~Tn)に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。通信I/F305には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0046】
可搬型記録媒体I/F306は、CPU301の制御に従って可搬型記録媒体307に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体307は、可搬型記録媒体I/F306の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体307としては、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが挙げられる。
【0047】
なお、危険情報通知装置201は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイなどを有してもよい。また、危険情報通知装置201は、上述した構成部のうち、例えば、可搬型記録媒体I/F306、可搬型記録媒体307を有さなくてもよい。
【0048】
(端末Tiのハードウェア構成例)
つぎに、端末Tiのハードウェア構成例について説明する。
【0049】
図4は、端末Tiのハードウェア構成例を示すブロック図である。図4において、端末Tiは、CPU401と、メモリ402と、カメラ403と、通信I/F404と、GPS(Global Positioning System)ユニット405と、各種センサ406と、可搬型記録媒体I/F407と、可搬型記録媒体408と、を有する。また、各構成部はバス400によってそれぞれ接続される。
【0050】
ここで、CPU401は、端末Tiの全体の制御を司る。CPU401は、複数のコアを有していてもよい。メモリ402は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する記憶部である。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
【0051】
カメラ403は、画像(静止画または動画)を撮像して画像データを出力する撮像装置である。カメラ403は、車外を撮像可能な位置に設置される。より具体的には、例えば、カメラ403は、車体前部、車体上部、車体側部などの車両Ciの周囲を撮像可能な位置に設置される。また、カメラ403は、2台以上のカメラにより実現されることにしてもよい。
【0052】
通信I/F404は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示した危険情報通知装置201)に接続される。そして、通信I/F404は、ネットワーク210と自装置内部とのインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0053】
GPSユニット405は、GPS衛星からの電波を受信し、端末Tiの位置情報を出力する。端末Tiの位置情報は、例えば、緯度、経度、高度などの地球上の1点を特定する情報である。また、情報処理装置101は、DGPS(Differential GPS)により、GPSユニット405から出力される位置情報を補正することにしてもよい。また、衛星として、例えば、準天頂衛星システムの衛星を用いることにしてもよい。
【0054】
各種センサ406は、自車の状態や挙動、周囲の状況などを検出する。各種センサ406は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、ミリ波レーダ、超音波センサ、タイヤセンサ、重量センサ、マイクロフォンなどである。可搬型記録媒体I/F407は、CPU401の制御に従って可搬型記録媒体408に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体408は、可搬型記録媒体I/F407の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0055】
なお、端末Tiは、上述した構成部のほかに、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD、ディスプレイ、入力装置などを有してもよい。
【0056】
(各種DB220,230,240の記憶内容)
つぎに、図5図7を用いて、危険情報通知装置201が有する各種DB220,230,240の記憶内容について説明する。各種DB220,230,240は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
【0057】
図5は、車両情報DB220の記憶内容の一例を示す説明図である。図5において、車両情報DB220は、車両ID、時刻、位置、速度、加速度、重量/積載量、タイヤ状態/空気圧および車両寸法のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、車両情報(例えば、車両情報500-1~500-3)をレコードとして記憶する。
【0058】
ここで、車両IDは、車両Ciを一意に識別する識別子である。時刻は、各値が測定された時刻を示す。位置は、車両Ciの位置である。車両Ciの位置は、例えば、(緯度、経度、高度)によって表される。速度は、車両Ciの速度である。車両Ciの速度は、例えば、(vx,vy,vz)によって表される。vx,vyは、速度の水平成分である。vzは、速度の垂直成分である。
【0059】
加速度は、車両Ciの加速度である。車両Ciの加速度は、例えば、(ax,ay,az)によって表される。ax,ayは、加速度の水平成分である。azは、加速度の垂直成分である。重量/積載量は、車両Ciの重量と積載量とを示す。タイヤ状態/空気圧は、車両Ciのタイヤの摩耗状態と空気圧とを示す。車両寸法は、車両Ciの寸法を示す。車両Ciの寸法は、例えば、(幅×奥行×高さ)によって表される。
【0060】
車両情報には、例えば、車両Ciの移動方向が含まれていてもよい。ただし、車両Ciの移動方向は、例えば、車両Ciの位置、速度、加速度などをもとに特定されてもよい。また、車両Ciの移動方向は、例えば、車両Ciの位置を示す時系列データから特定されてもよい。また、車両Ciの移動方向は、例えば、車両Ciの位置と地図データをもとに、車両Ciが位置する道路の進行方向から特定されてもよい。
【0061】
図6は、危険情報DB230の記憶内容の一例を示す説明図である。図6において、危険情報DB230は、危険情報種別、時刻、位置、速度、加速度および情報内容のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、危険情報(例えば、危険情報600-1~600-3)をレコードとして記憶する。
【0062】
ここで、危険情報種別は、危険情報を分類する種別である。危険情報種別としては、例えば、歩行者、自動車、バイク、自転車などがある。例えば、危険情報種別「歩行者」は、危険を及ぼす可能性がある対象物が「歩行者」である危険情報を分類するための種別である。
【0063】
時刻は、危険を及ぼす可能性がある対象物が検知された時刻を示す。位置は、対象物の位置である。対象物の位置は、例えば、(緯度、経度、高度)によって表される。速度は、対象物の速度である。対象物の速度は、例えば、(vxc,vyc,vzc)によって表される。vxc,vycは、速度の水平成分である。vzcは、速度の垂直成分である。
【0064】
加速度は、対象物の加速度である。対象物の加速度は、例えば、(axc,ayc,azc)によって表される。axc,aycは、加速度の水平成分である。azcは、加速度の垂直成分である。情報内容は、危険の内容を示す。情報内容としては、例えば、「遊んでいる子供」、「すり抜け走行中のバイク」などが挙げられる。
【0065】
危険情報には、例えば、対象物の移動方向が含まれていてもよい。ただし、対象物の移動方向は、例えば、対象物の位置、速度、加速度などをもとに特定されてもよい。また、対象物の移動方向は、例えば、対象物の位置を示す時系列データから特定されてもよい。
【0066】
図7は、環境情報DB240の記憶内容の一例を示す説明図である。図7において、環境情報DB240は、環境情報種別、時刻、位置、範囲および情報内容のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、環境情報(例えば、環境情報700-1~700-3)をレコードとして記憶する。
【0067】
ここで、環境情報種別は、環境情報を分類する種別である。環境情報種別としては、例えば、気象情報、渋滞情報、事故情報などがある。時刻は、環境情報が取得された時刻を示す。位置は、環境情報の測定地点の位置である。測定地点の位置は、例えば、(緯度、経度、高度)によって表される。
【0068】
範囲は、環境情報が適用される範囲である。環境情報種別「気象情報」の場合、市町村などが範囲に設定される。環境情報種別「渋滞情報」の場合、渋滞エリアが範囲に設定される。情報内容は、環境情報の内容を示す。環境情報種別「気象情報」の場合、情報内容は、例えば、(天気、気温、湿度)によって表される。環境情報種別「渋滞情報」の場合、情報内容は、例えば、(道路名、方向、渋滞距離)によって表される。
【0069】
(危険情報通知装置201の機能的構成例)
つぎに、危険情報通知装置201の機能的構成例について説明する。
【0070】
図8は、危険情報通知装置201の機能的構成例を示すブロック図である。図8において、危険情報通知装置201は、取得部801と、第1の算出部802と、第2の算出部803と、決定部804と、出力部805とを含む。取得部801~出力部805は制御部800となる機能であり、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302、ディスク304、可搬型記録媒体307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、通信I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶される。
【0071】
取得部801は、車両C1~Cnの各車両Ciに搭載された端末Tiから、各車両Ciの車両情報を取得する。ここで、車両情報は、車両Ciの位置の時間変化を特定可能な情報を含む。車両Ciの位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、ある時刻の車両Ciの位置、速度、加速度および移動方向を示す情報である。
【0072】
なお、端末Tiにおいて、車両Ciの位置は、例えば、図4に示した端末TiのGPSユニット405によって測定される。また、端末Tiにおいて、車両Ciの速度、加速度、移動方向は、例えば、図4に示した端末Tiの各種センサ406によって検出される。また、端末Tiにおいて、車両Ciの速度、加速度、移動方向は、例えば、車両CiのECU(Electronic Control Unit)から取得されてもよい。
【0073】
また、車両情報には、車両Ciの重量および積載量を特定可能な情報が含まれていてもよい。車両Ciの重量は、例えば、車体本体の重量に、ガソリン(満タン状態)、エンジンオイル、冷却水、バッテリーなどを含めた重量である。車両Ciの積載量は、車両に積み込まれた貨物の重量である。
【0074】
なお、端末Tiにおいて、車両Ciの重量は、例えば、図4に示した端末Tiのメモリ402に記憶されている。また、端末Tiにおいて、車両Ciの積載量は、例えば、端末Tiの各種センサ406によって検出される。また、端末Tiにおいて、車両Ciの重量、積載量は、例えば、車両CiのECUから取得されてもよい。
【0075】
また、車両情報には、車両Ciのタイヤの状態を特定可能な情報が含まれていてもよい。タイヤの状態は、例えば、タイヤの摩耗状態(溝の深さ)および空気圧によって表される。また、車両情報には、車両Ciの寸法を特定可能な情報が含まれていてもよい。車両Ciの寸法は、例えば、(幅×奥行×高さ)によって表される。
【0076】
なお、端末Tiにおいて、車両Ciのタイヤの状態(摩耗状態、空気圧)は、例えば、端末Tiの各種センサ406によって検出される。また、端末Tiにおいて、車両Ciの寸法は、例えば、端末Tiのメモリ402に記憶されている。また、端末Tiにおいて、車両Ciの寸法、タイヤの状態は、例えば、車両CiのECUから取得されてもよい。
【0077】
具体的には、例えば、取得部801は、各端末Tiから受信することにより、各車両Ciの車両情報を取得する。取得された車両Ciの車両情報は、例えば、車両Ciの車両IDと対応付けて、図5に示したような車両情報DB220に記憶される。
【0078】
なお、各車両Ciの車両情報の取得間隔は、任意に設定可能である。例えば、取得部801は、各車両Ciの車両情報を1秒ごとに取得してもよい。また、取得部801は、各車両Ciの数秒分の車両情報を一括して取得してもよい。また、取得部801は、車両C1~Cnのうち自装置の担当エリア内の車両Ciの車両情報のみを取得してもよい。危険情報通知装置201の担当エリア内の車両Ciは、例えば、車両情報に含まれる車両Ciの位置から特定される。
【0079】
また、取得部801は、車両C1~Cnのいずれかの車両Ciに搭載された端末Tiから、危険検知情報を取得する。ここで、危険検知情報は、危険を及ぼす可能性がある対象物が検知されたことを示す情報である。危険検知情報は、対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む。対象物の位置の時間変化を特定可能な情報は、例えば、ある時刻の対象物の位置、速度、加速度および移動方向を示す情報である。
【0080】
危険検知情報には、例えば、危険の内容を特定可能な情報が含まれる。危険の内容を特定可能な情報は、例えば、「遊んでいる子供」、「すり抜け走行中のバイク」などである。具体的には、例えば、取得部801は、端末Tiから受信することにより、危険検知情報を取得する。
【0081】
例えば、取得部801は、危険検知情報を取得した場合、危険検知情報に対応する危険情報を、危険情報種別と対応付けて、図6に示したような危険情報DB230に記憶する。危険情報種別は、例えば、危険の内容から判断される。また、危険情報種別は、危険検知情報に含まれていてもよい。危険検知情報に対応する危険情報とは、例えば、危険検知情報から特定される、ある時刻の対象物の位置、速度、加速度、移動方向および危険の内容を示す情報である。
【0082】
また、取得部801は、各車両Ciの周囲の環境を特定可能な環境情報を取得する。ここで、環境情報は、例えば、各車両Ciの周囲の気象を表す情報である。各車両Ciの周囲の気象とは、例えば、天気(天候)、気温、湿度、降水量、風速などである。
【0083】
具体的には、例えば、取得部801は、各端末Tiから受信することにより、各車両Ciの周囲の気象を表す環境情報(気象情報)を取得してもよい。端末Tiにおいて、車両Ciの周囲の気象(天気、気温、湿度、降水量、風速など)は、例えば、端末Tiの各種センサ406によって検出されてもよく、また、車両CiのECUから取得されてもよい。
【0084】
また、取得部801は、例えば、ネットワーク210(図2参照)を介して接続される気象情報配信システム(不図示)から、各車両Ciの周囲の環境を特定可能な環境情報を取得してもよい。気象情報配信システムは、各エリアの気象情報を配信する。より詳細に説明すると、例えば、取得部801は、気象情報配信システムから、各車両Ciの位置に対応するエリアの気象情報を取得することにより、各車両Ciの周囲の気象を表す環境情報(気象情報)を取得してもよい。
【0085】
また、環境情報は、例えば、各車両Ciの周囲の渋滞状況を表す情報であってもよい。また、環境情報は、例えば、各車両Ciの周囲の事故状況を表す情報であってもよい。具体的には、例えば、取得部801は、例えば、ネットワーク210を介して接続される交通情報配信システム(不図示)から、各車両Ciの周囲の渋滞状況や事故状況を表す環境情報(渋滞情報、事故情報)を取得してもよい。
【0086】
交通情報配信システムは、各エリアの気象情報を配信する。より詳細に説明すると、例えば、取得部801は、交通情報配信システムから、各車両Ciの位置に対応するエリアの交通情報を取得することにより、各車両Ciの周囲の渋滞状況や事故状況を表す環境情報(渋滞情報、事故情報)を取得してもよい。
【0087】
取得された環境情報は、例えば、環境情報種別と対応付けて、図7に示したような環境情報DB240に記憶される。環境情報種別は、例えば、情報の内容から判断される。また、環境情報種別は、環境情報に含まれていてもよい。
【0088】
第1の算出部802は、装置Tiから危険検知情報が取得された場合、危険検知情報に基づいて、対象物の将来位置範囲を算出する。ここで、対象物の将来位置範囲は、対象物が到達する可能性がある将来の位置範囲である。対象物の将来位置範囲は、例えば、対象物の移動方向に沿って広がる所定の幅を持った範囲である。幅は、例えば、道路の幅程度の長さに設定される。
【0089】
対象物の将来位置範囲は、例えば、位置予測関数P(t)を用いて算出される。位置予測関数P(t)は、例えば、時刻t0の対象物の位置、速度、加速度および移動方向を入力として、時刻t0以降の各時刻(t1,t2,…)の対象物の位置(予測位置)を出力する関数である。時刻t0は、例えば、危険情報(危険検知情報に対応する危険情報)に含まれる時刻に対応する。
【0090】
具体的には、例えば、第1の算出部802は、危険情報DB230内の危険情報(危険検知情報に対応する危険情報)を参照して、時刻t0の対象物の位置、速度、加速度および移動方向を特定する。つぎに、第1の算出部802は、位置予測関数P(t)を用いて、特定した時刻t0の対象物の位置、速度、加速度および移動方向から、所定時間T内に対象物が到達する可能性がある位置を算出する。所定時間Tは、任意に設定可能であり、例えば、数秒~数十秒程度の時間に設定される。そして、第1の算出部802は、算出した位置をつなぐ幅を持った範囲を、対象物の将来位置範囲として算出する。
【0091】
これにより、第1の算出部802は、各時刻(時刻t0,t1,t2,…)の対象物の位置を表す幅を持った将来位置範囲を算出することができる。なお、対象物の将来位置範囲は、例えば、各時刻(時刻t0,t1,t2,…)の対象物の位置を中心とする所定の領域を組み合わせたものであってもよい。所定の領域は、例えば、対象物の位置を中心とする半径数m程度の円形領域である。
【0092】
第2の算出部803は、取得された各車両Ciの車両情報に基づいて、各車両Ciの将来位置を算出する。ここで、車両Ciの将来位置は、車両Ciが到達する可能性がある将来の位置である。第2の算出部803の処理は、例えば、取得部801によって危険検知情報が取得された場合に実行されてもよく、また、第1の算出部802によって対象物の将来位置範囲が算出された場合に実行されてもよい。
【0093】
車両Ciの将来位置は、例えば、位置予測関数Q(t)を用いて算出される。位置予測関数Q(t)は、例えば、時刻t0の車両Ciの位置、速度、加速度および移動方向を入力として、時刻t0以降の各時刻(t1,t2,…)の車両Ciの位置(予測位置)を出力する関数である。位置予測関数Q(t)は、例えば、位置予測関数P(t)と同一の関数であってもよい。
【0094】
具体的には、例えば、第2の算出部803は、車両情報DB220内の各車両Ciの車両情報(最新の車両情報)を参照して、時刻t0の各車両Ciの位置、速度、加速度および移動方向を特定する。そして、第2の算出部803は、位置予測関数Q(t)を用いて、特定した時刻t0の各車両Ciの位置、速度、加速度および移動方向から、所定時間T内に各車両Ciが到達する可能性がある位置を算出する。
【0095】
これにより、第2の算出部803は、各時刻(時刻t0,t1,t2,…)の各車両Ciの位置を表す将来位置を算出することができる。
【0096】
なお、処理対象とする車両Ciは、例えば、車両C1~Cnのうち、対象物の位置から所定範囲内に存在する車両としてもよい。所定範囲は、任意に設定可能であり、例えば、対象物の位置を中心とする半径数百m~数kmの範囲である。対象物の位置は、危険情報(危険検知情報)から特定される。
【0097】
決定部804は、算出された各車両Ciの将来位置と対象物の将来位置範囲とに基づいて、車両C1~Cnから、対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する。具体的には、例えば、決定部804は、各車両Ciの将来位置と、対象物の将来位置範囲とに基づいて、各車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定する。
【0098】
より詳細に説明すると、例えば、決定部804は、ある時刻tにおける車両Ciの将来位置が、同時刻tにおける対象物の将来位置範囲内に存在する場合に、車両Ciが対象物と遭遇する可能性があると判定する。そして、決定部804は、車両C1~Cnから、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciを、通知先となる車両に決定してもよい。
【0099】
ここで、対象物の将来位置範囲が幅を持った範囲の場合、時刻tにおける対象物の将来位置範囲は、例えば、時刻tにおける対象物の位置の前後数m程度の矩形領域である。また、時刻tにおける対象物の将来位置範囲は、例えば、時刻(t-α)から時刻tまでの対象物の位置を表す範囲であってもよい。また、時刻tにおける対象物の将来位置範囲は、例えば、時刻tから時刻(t+α)までの対象物の位置を表す範囲であってもよい。αは、任意に設定可能であり、1~3程度の時間に設定される。
【0100】
また、決定部804は、各車両Ciの将来位置と、対象物の将来位置範囲と、取得された環境情報とに基づいて、車両C1~Cnから、対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定してもよい。具体的には、例えば、まず、決定部804は、各車両Ciの将来位置と、対象物の将来位置範囲とに基づいて、各車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定する。
【0101】
つぎに、決定部804は、取得された環境情報に基づいて、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciの制動距離を算出する。ここで、制動距離とは、ブレーキをかけてから完全に停止するまでの距離である。制動距離は、路面が濡れていたり、氷結したりしていると、長くなる傾向がある。
【0102】
このため、決定部804は、例えば、環境情報から特定される車両Ciの周囲の天気が「雨」または「雪」の場合、それ以外の天気の場合に比べて長くなるように、車両Ciの制動距離を算出する。また、決定部804は、車両Ciの周囲の降水量が所定量以上の場合、降水量が所定量未満の場合に比べて長くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。所定量は、任意に設定可能である。
【0103】
また、決定部804は、車両Ciの周囲の気温が0度未満の場合、気温が0度以上の場合に比べて長くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。なお、車両Ciの周囲の気象を表す環境情報(気象情報)は、環境情報DB240から特定される。例えば、環境情報DB240内の環境情報種別「気象情報」の環境情報のうち、車両Ciの位置が範囲に含まれる最新の環境情報である。
【0104】
また、渋滞中は不規則に速度が変化するものの、速度があまり高くならない傾向がある。このため、決定部804は、例えば、環境情報から車両Ciの周囲で渋滞が発生していると判断した場合、車両Ciの制動距離を予め決められた距離(例えば、5m)としてもよい。
【0105】
また、決定部804は、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciについて、車両Ciの車両情報と環境情報とに基づいて、車両Ciの制動距離を算出してもよい。ここで、制動距離は、車両Ciの重量や積載量が重いほど、長くなる傾向がある。このため、決定部804は、車両Ciの重量および積載量の合計量が重いほど長くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。車両Ciの重量および積載量は、車両Ciの車両情報から特定される。
【0106】
また、制動距離は、車両Ciのタイヤの摩耗状態や空気圧によって変化する。例えば、制動距離は、車両Ciのタイヤの摩耗状態がよいほど、短くなる傾向がある。また、制動距離は、車両Ciのタイヤの空気圧が高いほど、短くなる傾向がある。このため、決定部804は、車両Ciのタイヤの摩耗状態がよいほど短くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。また、車両Ciのタイヤの空気圧が高いほど短くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。車両Ciのタイヤの摩耗状態および空気圧は、車両Ciの車両情報から特定される。
【0107】
また、制動距離は、車両Ciの速度が高いほど、長くなる傾向がある。このため、決定部804は、車両Ciの速度が高いほど長くなるように、車両Ciの制動距離を算出してもよい。車両Ciの速度は、車両Ciの車両情報から特定される。
【0108】
より詳細に説明すると、例えば、決定部804は、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciの車両情報(重量、積載量、タイヤの摩耗状態、空気圧、速度など)と環境情報(天気、気温、降水量など)とに基づいて、車両Ciのブレーキ性能を算出する。ブレーキ性能は、所定の速度でブレーキを作動させた際に停止するまでに進む距離に相当する。そして、決定部804は、算出したブレーキ性能に基づいて、車両Ciの制動距離を算出する。
【0109】
そして、決定部804は、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciの中から、当該車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離と、算出した制動距離とに基づいて、通知先となる車両を決定してもよい。車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離は、車両Ciの位置と、車両Ciが対象物と遭遇する位置との距離である。
【0110】
車両Ciの位置は、車両Ciの車両情報から特定される。例えば、ある時刻tにおける車両Ciの将来位置が、時刻tにおける対象物の将来位置範囲内に存在するとする。この場合、車両Ciが対象物と遭遇する位置は、例えば、時刻tにおける車両Ciの将来位置である。
【0111】
例えば、決定部804は、車両Ciの制動距離を、車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離で除算した値に基づいて、危険度を算出してもよい。また、決定部804は、車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離から、車両Ciの制動距離を減算した値に基づいて、危険度を算出してもよい。危険度は、値が大きいほど、危険度合いが高いことを示す。
【0112】
そして、決定部804は、算出した危険度が閾値以上の車両Ciを、通知先となる車両に決定してもよい。閾値は、任意に設定可能である。例えば、車両Ciの制動距離を、車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離で除算した値を危険度としたとする。この場合、閾値は、例えば、0.3程度の値に設定される。
【0113】
また、危険度は、対象物に関する危険情報を分類する種別にさらに基づいて算出されてもよい。例えば、決定部804は、危険情報の危険情報種別に応じて、危険度に重み付けしてもよい。具体的には、例えば、決定部804は、危険情報種別が「歩行者」の場合、他の危険情報種別よりも高くなるように、1よりも大きい係数を乗算するなどして、危険度に重み付けしてもよい。
【0114】
ただし、車両Ciが対象物に近すぎると、危険情報によるアラートが間に合わないなどの理由により、危険情報の通知効果が得られない場合がある。このため、決定部804は、対象物に遭遇するまでの距離が所定の距離以下の車両Ciについては、通知先となる車両に決定しないことにしてもよい。所定の距離は、任意に設定可能であり、例えば、数m程度の距離に設定される。
【0115】
出力部805は、決定された通知先となる車両Ciに搭載された端末Tiに危険情報を出力する。ここで、危険情報は、危険を及ぼす可能性がある対象物に関する情報である。危険情報は、例えば、危険情報種別、時刻、位置、速度、加速度および情報内容を含む(例えば、図6参照)。
【0116】
危険情報種別は、危険情報を分類する種別である。時刻は、対象物が検知された時刻を示す。位置は、対象物の位置である。速度は、対象物の速度である。加速度は、対象物の加速度である。情報内容は、危険の内容を示す。また、危険情報には、対象物の移動方向が含まれていてもよい。
【0117】
具体的には、例えば、出力部805は、決定された通知先となる車両Ciに搭載された端末Tiに危険情報を送信する。端末Tiは、危険情報通知装置201から危険情報を受信すると、受信した危険情報を表示部(不図示)に表示してもよい。表示部は、例えば、ナビゲーション装置のディスプレイであってもよく、また、コンソールパネルのディスプレイであってもよい。危険情報の表示例については、図12および図15を用いて後述する。
【0118】
また、端末Tiは、危険情報通知装置201から危険情報を受信すると、受信した危険情報に基づいて、スピーカ(不図示)からアラートメッセージを音声出力してもよい。アラートメッセージは、例えば、「すり抜け走行しているバイクが接近しております。注意してください。」、「遊んでいる子供がいます。注意してください。」などである。
【0119】
なお、危険情報通知装置201は、車両Ciに搭載された端末Tiから、複数のカテゴリのうちの少なくともいずれかのカテゴリの指定を受け付けることにしてもよい。カテゴリは、危険情報を分類するためのものである。カテゴリは、例えば、歩行者、自動車、バイク、自転車などがある。
【0120】
また、危険情報通知装置201は、端末Tiからカテゴリの指定を受け付けた場合、指定されたカテゴリに属する危険情報のみを端末Tiに出力してもよい。ただし、端末Tiは、通知先となる車両Ciに搭載された端末Tiである。例えば、端末Tiからカテゴリ「歩行者」が指定されたとする。この場合、危険情報通知装置201は、危険情報種別が「歩行者」の危険情報のみを端末Tiに出力してもよい。
【0121】
これにより、危険情報通知装置201は、車両Ciのドライバーが所望するカテゴリの危険情報のみを通知することができる。
【0122】
また、決定部804は、例えば、環境情報に基づいて、車両Ciの周囲で渋滞が発生していると判断した場合、その車両Ciを、通知先となる車両に決定しないことにしてもよい。これにより、危険情報通知装置201は、例えば、車両Ciの近くで遊んでいる子供がいた場合などに、渋滞中で進まない車両Ciのドライバーに対して同じ情報が複数回通知されるのを防ぐことができる。
【0123】
なお、上述した説明では、車両Ciの将来位置と対象物の将来位置範囲とに基づいて、車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定することにしたが、これに限らない。例えば、車両Ciの将来位置範囲と対象物の将来位置とに基づいて、車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定してもよい。
【0124】
具体的には、例えば、第1の算出部802は、位置予測関数P(t)を用いて、時刻t0の対象物の位置、速度、加速度および移動方向から、所定時間T内に対象物が到達する可能性がある位置を算出する。これにより、第1の算出部802は、各時刻(時刻t0,t1,t2,…)の対象物の位置を表す将来位置を算出する。
【0125】
また、第2の算出部803は、位置予測関数Q(t)を用いて、時刻t0の各車両Ciの位置、速度、加速度および移動方向から、所定時間T内に各車両Ciが到達する可能性がある位置を算出する。そして、第2の算出部803は、算出した位置をつなぐ幅を持った範囲を、各車両Ciの将来位置範囲として算出する。
【0126】
この場合、決定部804は、例えば、ある時刻tにおける対象物の将来位置が、同時刻tにおける車両Ciの将来位置範囲内に存在する場合に、車両Ciが対象物と遭遇する可能性があると判定してもよい。
【0127】
(情報処理システム200の動作例)
つぎに、情報処理システム200の動作例について説明する。
【0128】
図9は、情報処理システム200の動作例を示す説明図である。図9において、端末T1は、車両C1に搭載され、危険検知情報を送信する車載機(送信側)とする。端末T1は、カメラ403によって撮像された画像900に基づいて、学習モデルMを用いて、危険を及ぼす可能性がある対象物を検知する。
【0129】
学習モデルMは、物体認識モデルとメタ情報抽出モデルを含む。物体認識モデルは、静止画から危険を及ぼす可能性がある物体を認識するためのものである。メタ情報抽出モデルは、物体のメタ情報(例えば、物体の位置、速度、加速度、危険の内容など)を抽出するためのものである。
【0130】
端末T1は、危険を及ぼす可能性がある対象物901を検知した場合、危険検知情報910を危険情報通知装置201に送信する。危険情報通知装置201は、危険検知情報910を受信した場合、例えば、各車両Tiの車両情報(例えば、車両C2の車両情報920)、危険検知情報910および環境情報930に基づいて、危険情報940の通知先となる車両を決定する。
【0131】
危険情報940は、車両C1の端末T1において検知された対象物901に関する情報である。例えば、車両C2が通知先となる車両に決定されたとする。この場合、危険情報通知装置201は、危険情報940を車両C2に搭載された端末T2に送信する。端末T2は、危険情報940を受信すると、例えば、ドライバーに対して対象物901の存在を通知する。
【0132】
なお、学習モデルMは、例えば、既存の機械学習(例えば、教師あり学習)により生成される。学習モデルMの生成処理(学習フェーズ)は、例えば、危険情報通知装置201において行われる。危険情報通知装置201は、生成した学習モデルMを各端末Tiに送信する。これにより、各端末Tiにおいて、学習モデルMを用いて対象物を検知可能(推論フェーズ)となり、端末Tiからの画像をもとに危険情報通知装置201で対象物を検知する場合に比べて遅延を減らすことができる。
【0133】
(危険情報の第1の通知例)
ここで、危険を及ぼす可能性がある対象物として、「すり抜け走行しているバイク」を例に挙げて、危険情報の第1の通知例について説明する。まず、図10を用いて、危険情報の通知先となる車両の決定例について説明する。
【0134】
図10は、通知先となる車両の決定例を示す説明図(その1)である。図10において、対象物1001は、危険を及ぼす可能性がある物体を示す。対象物1001は、すり抜け走行しているバイクである。また、各車両C1~C9は、道路上を走行している車両を示す。対象物1001および各車両C1~C9は、矢印記号の向きにそれぞれ移動する。
【0135】
ここで、将来位置範囲1010は、対象物1001が到達する将来の位置範囲を示す。この場合、危険情報通知装置201は、各車両C1~C9の将来位置と、対象物1001の将来位置範囲1010とに基づいて、各車両C1~C9が対象物1001と遭遇する可能性があるか否かを判定する。
【0136】
ここでは、車両C1~C9のうち、車両C1~C3が対象物1001と遭遇する可能性があると判定されたとする。この場合、危険情報通知装置201は、例えば、車両C1~C9から、車両C1~C3を、対象物1001に関する危険情報の通知先となる車両(通知対象)に決定する。車両C4~C9は、通知対象外となる。
【0137】
つぎに、図11を用いて、危険情報の通知例について説明する。
【0138】
図11は、危険情報の通知例を示す説明図(その1)である。図11の(11-1)において、道路を走行中の車両C1,C2が示されている。各車両C1,C2には、端末T1,T2がそれぞれ搭載されている。ただし、図11では、端末T1,T2は不図示である。
【0139】
(11-2)において、車両C1において、カメラ403によって撮像された画像から、危険を及ぼす可能性がある対象物1101が検知されたとする。また、対象物1101に関する危険情報の通知先として、車両C2が決定されたとする。対象物1101は、すり抜け走行して車両C1,C2の後方から接近中のバイクである。
【0140】
この場合、危険情報通知装置201は、車両C2(端末T2)に、対象物1101に関する危険情報を送信する。車両C2(端末T2)において、危険情報通知装置201からの危険情報を受信すると、図12に示すような危険情報が出力される。
【0141】
図12は、危険情報の表示例を示す説明図(その1)である。図12において、車両C2の表示部1200に、危険情報1210が表示されている。危険情報1210は、車両C2のドライバーに対して、危険を及ぼす可能性がある物体の存在を知らせるアラート情報の一例である。
【0142】
危険情報1210によれば、車両C2のドライバーは、すり抜け走行しているバイクが接近中であることを事前に把握することができる。この結果、車両C2のドライバーは、図11の(11-3)に示すように、後方からすり抜け走行してバイクが近づいてきても、慌てることなく運転に集中することができる。
【0143】
(危険情報の第2の通知例)
つぎに、危険を及ぼす可能性がある対象物として、「遊んでいる子供」を例に挙げて、危険情報の第2の通知例について説明する。まず、図13を用いて、危険情報の通知先となる車両の決定例について説明する。
【0144】
図13は、通知先となる車両の決定例を示す説明図(その2)である。図13において、対象物1301は、危険を及ぼす可能性がある物体を示す。対象物1301は、遊んでいる子供である。また、各車両C1~C10は、道路上を走行している車両を示す。各車両C1~C10は、矢印記号の向きにそれぞれ移動する。
【0145】
ここで、将来位置範囲1310は、対象物1301が到達する将来の位置範囲を示す。この場合、危険情報通知装置201は、各車両C1~C10の将来位置と、対象物1301の将来位置範囲1310とに基づいて、各車両C1~C10が対象物1301と遭遇する可能性があるか否かを判定する。
【0146】
ここでは、車両C1~C10のうち、車両C1~C4が対象物1301と遭遇する可能性があると判定されたとする。この場合、危険情報通知装置201は、例えば、対象物1301と遭遇する可能性があると判定した各車両C1~C4について、各車両C1~C4の車両情報と環境情報とに基づいて、危険度を算出する。
【0147】
そして、危険情報通知装置201は、算出した危険度が閾値以上の車両Ciを、対象物1301に関する危険情報の通知先となる車両に決定する。ここでは、対象物1301と遭遇する可能性があると判定された車両C1~C4のうち、車両C2,C4が通知先となる車両に決定された場合を想定する。
【0148】
例えば、車両C2は、対象物1301に遭遇するまでの距離は比較的長いものの重量車のため通知先の車両に決定される。また、車両C4は、対象物1301に遭遇するまでの距離が短いため通知先の車両に決定される。車両C1,C3,C5~C10は、通知対象外となる。例えば、車両C3は、対象物1301に遭遇するまでの距離が車両C2よりも短いものの、軽量車のため通知対象外となる。
【0149】
つぎに、図14を用いて、危険情報の通知例について説明する。
【0150】
図14は、危険情報の通知例を示す説明図(その2)である。図14の(14-1)において、道路を走行中の車両C1,C5が示されている。各車両C1,C5には、端末T1,T5がそれぞれ搭載されている。ただし、図14では、端末T1,T5は不図示である。
【0151】
(14-2)において、車両C5において、カメラ403によって撮像された画像から、危険を及ぼす可能性がある対象物1401が検知されたとする。また、対象物1401に関する危険情報の通知先として、車両C1が決定されたとする。対象物1401は、車両C1の前方で遊んでいる子供である。
【0152】
この場合、危険情報通知装置201は、車両C1(端末T1)に、対象物1401に関する危険情報を送信する。車両C1(端末T1)において、危険情報通知装置201からの危険情報を受信すると、図15に示すような危険情報が出力される。
【0153】
図15は、危険情報の表示例を示す説明図(その2)である。図15において、車両C1の表示部1500に、危険情報1510が表示されている。危険情報1510は、車両C1のドライバーに対して、危険を及ぼす可能性がある物体の存在を知らせるアラート情報の一例である。
【0154】
危険情報1510によれば、車両C1のドライバーは、遊んでいる子供がいることを事前に把握することができる。この結果、車両C1のドライバーは、図14の(14-3)に示すように、前方に遊んでいる子供がいたとしても、慌てることなく運転に集中することができる。
【0155】
(危険情報通知装置201の各種処理手順)
つぎに、危険情報通知装置201の各種処理手順について説明する。まず、図16を用いて、危険情報通知装置201の車両情報収集処理手順について説明する。
【0156】
図16は、危険情報通知装置201の車両情報収集処理手順の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいて、まず、危険情報通知装置201は、車両Ciに搭載された端末Tiから、車両Ciの車両情報を受信したか否かを判断する(ステップS1601)。
【0157】
ここで、危険情報通知装置201は、車両Ciの車両情報を受信するのを待つ(ステップS1601:No)。そして、危険情報通知装置201は、車両Ciの車両情報を受信した場合(ステップS1601:Yes)、車両情報DB220から、受信した車両情報と車両IDが同一の車両情報を検索する(ステップS1602)。
【0158】
つぎに、危険情報通知装置201は、車両情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1603)。ここで、車両情報が検索されなかった場合(ステップS1603:No)、危険情報通知装置201は、受信した車両情報を車両情報DB220に登録して(ステップS1604)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0159】
一方、車両情報が検索された場合(ステップS1603:Yes)、危険情報通知装置201は、受信した車両情報に基づいて、車両情報DB220内の検索した車両情報を更新して(ステップS1605)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0160】
なお、車両情報の更新とは、例えば、車両情報DB220内の車両情報の内容(時刻、位置、速度、加速度、重量/積載量、タイヤ状態/空気圧など)を、受信された車両情報の内容で上書きすることである。ただし、車両Ciの各時刻における位置は蓄積されてもよい。
【0161】
これにより、危険情報通知装置201は、各車両Ciの車両情報を収集することができる。また、危険情報通知装置201は、最新の車両情報により車両情報DB220内の同一車両Ciの車両情報を更新することで、車両情報DB220の記憶容量の増大を抑制することができる。ただし、危険情報通知装置201は、各車両Ciから収集したすべての車両情報を車両情報DB220に蓄積してもよい。
【0162】
つぎに、図17を用いて、危険情報通知装置201の環境情報収集処理手順について説明する。ここでは、ネットワーク210を介して接続される情報配信システム(不図示)から、車両Ciの周囲の環境を特定可能な環境情報を受信する場合を例に挙げて説明する。情報配信システムは、例えば、気象情報配信システム、交通情報配信システムなどである。
【0163】
図17は、危険情報通知装置201の環境情報収集処理手順の一例を示すフローチャートである。図17のフローチャートにおいて、まず、危険情報通知装置201は、情報配信システムから、環境情報を受信したか否かを判断する(ステップS1701)。
【0164】
ここで、危険情報通知装置201は、環境情報を受信するのを待つ(ステップS1701:No)。そして、危険情報通知装置201は、環境情報を受信した場合(ステップS1701:Yes)、車両情報DB220から、受信した環境情報の環境情報種別を判定する(ステップS1702)。
【0165】
つぎに、危険情報通知装置201は、環境情報DB240から、受信した環境情報と環境情報種別およびエリアが同一の環境情報を検索する(ステップS1703)。そして、危険情報通知装置201は、環境情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1704)。
【0166】
ここで、環境情報が検索されなかった場合(ステップS1704:No)、危険情報通知装置201は、受信した環境情報を環境情報DB240に登録して(ステップS1705)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0167】
一方、環境情報が検索された場合(ステップS1704:Yes)、危険情報通知装置201は、受信した環境情報に基づいて、環境情報DB240内の検索した環境情報を更新して(ステップS1706)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0168】
なお、環境情報の更新とは、例えば、環境情報DB240内の環境情報の内容(時刻、位置、情報内容など)を、受信された環境情報の内容で上書きすることである。
【0169】
これにより、危険情報通知装置201は、各車両Ciの周囲の環境を特定可能な環境情報を収集することができる。また、危険情報通知装置201は、最新の環境情報により環境情報DB240内の同一情報種別、同一エリアの環境情報を更新することで、環境情報DB240の記憶容量の増大を抑制することができる。ただし、危険情報通知装置201は、情報配信システムから収集したすべての環境情報を環境情報DB240に蓄積してもよい。
【0170】
つぎに、図18を用いて、危険情報通知装置201の危険情報通知処理手順について説明する。
【0171】
図18は、危険情報通知装置201の危険情報通知処理手順の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートにおいて、まず、危険情報通知装置201は、車両C1~Cnのいずれかの車両Ciに搭載された端末Tiから、危険検知情報を受信したか否かを判断する(ステップS1801)。
【0172】
ここで、危険情報通知装置201は、危険検知情報を受信するのを待つ(ステップS1801:No)。危険情報通知装置201は、危険検知情報を受信した場合(ステップS1801:Yes)、受信した危険検知情報の危険情報種別を判定する(ステップS1802)。
【0173】
そして、危険情報通知装置201は、判定した危険情報種別と対応付けて、受信した危険検知情報に対応する危険情報を危険情報DB230に登録する(ステップS1803)。つぎに、危険情報通知装置201は、危険情報の通知先となる車両を決定する通知先決定処理を実行する(ステップS1804)。
【0174】
危険情報は、ステップS1801において受信された危険検知情報から登録される、危険を及ぼす可能性がある対象物に関する情報であり、例えば、ステップS1803において危険情報DB230に登録された危険情報であってもよい。通知先決定処理の具体的な処理手順については、図19を用いて後述する。
【0175】
そして、危険情報通知装置201は、決定した通知先となる各車両Ciに搭載された端末Tiに危険情報を送信して(ステップS1805)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0176】
これにより、危険情報通知装置201は、適切な通知先に危険情報を送信することができる。
【0177】
つぎに、図19を用いて、ステップS1804の通知先決定処理の具体的な手順について説明する。
【0178】
図19は、危険情報通知装置201の通知先決定処理の具体的手順の一例を示すフローチャートである。図19のフローチャートにおいて、まず、危険情報通知装置201は、ステップS1803において登録した危険情報を参照して、対象物の将来位置範囲を算出する(ステップS1901)。
【0179】
つぎに、危険情報通知装置201は、対象物の位置と各車両Ciの位置とに基づいて、車両C1~Cnから、対象物の所定範囲内に存在する車両を抽出する(ステップS1902)。そして、危険情報通知装置201は、抽出した車両のうち選択されていない未選択の車両Ciを選択する(ステップS1903)。
【0180】
つぎに、危険情報通知装置201は、選択した車両Ciの車両情報を参照して、車両Ciの将来位置を算出する(ステップS1904)。そして、危険情報通知装置201は、算出した車両Ciの将来位置と、算出した対象物の将来位置範囲とに基づいて、車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定する(ステップS1905)。
【0181】
ここで、対象物と遭遇する可能性がない場合(ステップS1905:No)、危険情報通知装置201は、ステップS1909に移行する。一方、対象物と遭遇する可能性がある場合(ステップS1905:Yes)、危険情報通知装置201は、車両Ciの車両情報と環境情報とに基づいて、車両Ciの危険度を算出する(ステップS1906)。
【0182】
具体的には、例えば、危険情報通知装置201は、車両Ciの車両情報と環境情報とに基づいて、車両Ciの制動距離を算出する。そして、危険情報通知装置201は、車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離と、算出した車両Ciの制動距離とに基づいて、車両Ciの危険度を算出する。この際、危険情報通知装置201は、危険情報種別に応じて、危険度の重み付けをしてもよい。
【0183】
そして、危険情報通知装置201は、算出した危険度が閾値以上か否かを判断する(ステップS1907)。ここで、危険度が閾値未満の場合(ステップS1907:No)、危険情報通知装置201は、ステップS1909に移行する。
【0184】
一方、危険度が閾値以上の場合(ステップS1907:Yes)、危険情報通知装置201は、選択した車両Ciを、危険情報の通知先となる車両に決定する(ステップS1908)。そして、危険情報通知装置201は、抽出した車両のうち選択されていない未選択の車両があるか否かを判断する(ステップS1909)。
【0185】
ここで、未選択の車両がある場合(ステップS1909:Yes)、危険情報通知装置201は、ステップS1903に戻る。一方、未選択の車両がない場合(ステップS1909:No)、危険情報通知装置201は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0186】
これにより、危険情報通知装置201は、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。
【0187】
以上説明したように、実施の形態にかかる危険情報通知装置201によれば、車両C1~Cnの各車両Ciに搭載された端末Tiから、各車両Ciの位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信することができる。また、危険情報通知装置201によれば、車両C1~Cnのいずれかの車両Ciに搭載された端末Tiから、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、危険検知情報に基づいて、対象物の将来位置範囲を算出することができる。そして、危険情報通知装置201によれば、各車両Ciの車両情報に基づいて、各車両Ciの将来位置を算出し、各車両Ciの将来位置と対象物の将来位置範囲とに基づいて、車両C1~Cnから、対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定することができる。
【0188】
これにより、危険情報通知装置201は、危険を及ぼす可能性がある対象物が移動することによる将来の位置範囲を考慮して、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。
【0189】
また、危険情報通知装置201によれば、各車両Ciの将来位置と対象物の将来位置範囲とに基づいて、各車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、車両C1~Cnから、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciを、通知先となる車両に決定することができる。
【0190】
これにより、危険情報通知装置201は、対象物との遭遇可能性を考慮して、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。
【0191】
また、危険情報通知装置201によれば、各車両Ciの周囲の環境を特定可能な環境情報を取得し、各車両Ciの将来位置と、対象物の将来位置範囲と、取得した環境情報とに基づいて、車両C1~Cnから、通知先となる車両を決定することができる。環境情報は、例えば、車両Ciの周囲の気象(天候、気温、湿度、降水量など)を特定可能な情報(気象情報)を含む。また、環境情報は、例えば、車両Ciの周囲の渋滞状況を特定可能な情報(渋滞情報)を含むものであってもよい。
【0192】
これにより、危険情報通知装置201は、対象物が到達する可能性がある将来の位置範囲だけでなく、車両Ciの周囲の天候、気温、湿度、降水量、渋滞状況などを考慮して、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。
【0193】
また、危険情報通知装置201によれば、各車両Ciの将来位置と、対象物の将来位置範囲とに基づいて、各車両Ciが対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、取得した環境情報に基づいて、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciの制動距離を算出し、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciの中から、当該車両Ciが対象物に遭遇するまでの距離と、車両Ciの制動距離とに基づいて、通知先となる車両を決定することができる。
【0194】
これにより、危険情報通知装置201は、対象物との遭遇可能性だけでなく、周囲の環境によって変動する車両Ciの制動距離を考慮して、危険情報を通知すべき車両を選別することができる。例えば、天候が悪く路面が濡れていたり、氷結したりしていると制動距離が長くなる傾向があることを考慮して、対象物から比較的離れた距離にある車両Ciを通知先となる車両に決定することができる。
【0195】
また、危険情報通知装置201によれば、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciについて、車両Ciの重量および積載量を特定可能な情報を含む車両情報と環境情報とに基づいて、車両Ciの制動距離を算出することができる。
【0196】
これにより、危険情報通知装置201は、車両Ciの重量や積載量が重いほど制動距離が長くなる傾向があることを考慮して、対象物から比較的離れた距離にある大型車(重量車)を通知先となる車両に決定することができる。
【0197】
また、危険情報通知装置201によれば、対象物と遭遇する可能性があると判定した車両Ciについて、車両Ciのタイヤの摩耗状態および空気圧を特定可能な情報を含む車両情報と環境情報とに基づいて、車両Ciの制動距離を算出することができる。
【0198】
これにより、危険情報通知装置201は、車両Ciのタイヤの摩耗状態が悪いほど、空気圧が低いほど、制動距離が長くなる傾向があることを考慮して、対象物から比較的離れた距離にある車両Ciを通知先となる車両に決定することができる。
【0199】
また、危険情報通知装置201によれば、決定した通知先となる車両Ciに搭載された端末Tiに危険情報を出力することができる。
【0200】
これにより、危険情報通知装置201は、車両Ciのドライバーに対して、危険を及ぼす可能性がある対象物の存在を知らせることができる。
【0201】
これらのことから、実施の形態にかかる情報処理システム200および危険情報通知装置201によれば、車両Ciの状態や天候などに応じて、危険情報を受信すべき車両Ciに対して、当該危険情報を適切に中継することが可能となる。これにより、情報処理システム200および危険情報通知装置201は、中継機となる危険情報通知装置201の処理帯域の浪費を減らしつつ、高精度なアラート通知を実現して安全運転につなげることができる。
【0202】
なお、本実施の形態で説明した危険情報通知方法は、予め用意されたプログラム(危険情報通知プログラム)をパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。危険情報通知プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、危険情報通知プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0203】
また、本実施の形態で説明した情報処理装置101(危険情報通知装置201)は、スタンダードセルやストラクチャードASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定用途向けICやFPGAなどのPLD(Programmable Logic Device)によっても実現することができる。
【0204】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0205】
(付記1)複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、
前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、
受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、
算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【0206】
(付記2)前記制御部は、
前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記各車両が前記対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、
前記複数の車両から、前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両を、前記通知先となる車両に決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0207】
(付記3)前記制御部は、
前記各車両の周囲の環境を特定可能な環境情報を取得し、
前記各車両の将来の位置と、前記対象物の将来の位置範囲と、取得した前記環境情報とに基づいて、前記複数の車両から、前記通知先となる車両を決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0208】
(付記4)前記制御部は、
前記各車両の将来の位置と、前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記各車両が前記対象物と遭遇する可能性があるか否かを判定し、
取得した前記環境情報に基づいて、前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の制動距離を算出し、
前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の中から、当該車両が前記対象物に遭遇するまでの距離と、算出した前記制動距離とに基づいて、前記通知先となる車両を決定する、
ことを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
【0209】
(付記5)前記環境情報は、前記各車両の周囲の気象を特定可能な情報を含む、ことを特徴とする付記4に記載の情報処理装置。
【0210】
(付記6)前記各車両の車両情報は、前記各車両の重量および積載量を特定可能な情報を含み、
前記制御部は、
前記対象物と遭遇する可能性があると判定した車両の車両情報と前記環境情報とに基づいて、前記制動距離を算出する、ことを特徴とする付記4または5に記載の情報処理装置。
【0211】
(付記7)前記各車両の車両情報は、前記各車両のタイヤの摩耗状態および空気圧を特定可能な情報を含む、ことを特徴とする付記4~6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【0212】
(付記8)前記制御部は、
決定した前記通知先となる車両に搭載された端末装置に前記危険情報を出力する、ことを特徴とする付記1~7のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【0213】
(付記9)複数の車両の各車両に搭載された端末装置と、
前記各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する情報処理装置と、
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【0214】
(付記10)複数の車両の各車両に搭載された端末装置から、前記各車両の位置の時間変化を特定可能な情報を含む車両情報を受信し、
前記複数の車両のいずれかの車両に搭載された端末装置から、危険を及ぼす可能性がある対象物の位置の時間変化を特定可能な情報を含む危険検知情報を受信した場合、前記危険検知情報に基づいて、前記対象物が到達する将来の位置範囲を算出し、
受信した前記各車両の車両情報に基づいて、前記各車両が到達する将来の位置を算出し、
算出した前記各車両の将来の位置と前記対象物の将来の位置範囲とに基づいて、前記複数の車両から、前記対象物に関する危険情報の通知先となる車両を決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする危険情報通知方法。
【符号の説明】
【0215】
101 情報処理装置
102a,103b,104c 端末装置
102,103,104,C1~Cn,Ci 車両
105,901,1001,1101,1301,1401 対象物
110,120,130,920 車両情報
140,910 危険検知情報
150 位置範囲
200 情報処理システム
201 危険情報通知装置
210 ネットワーク
220 車両情報DB
230 危険情報DB
240 環境情報DB
300,400 バス
301,401 CPU
302,402 メモリ
303 ディスクドライブ
304 ディスク
305,404 通信I/F
306,407 可搬型記録媒体I/F
307,408 可搬型記録媒体
403 カメラ
405 GPSユニット
406 各種センサ
800 制御部
801 取得部
802 第1の算出部
803 第2の算出部
804 決定部
805 出力部
900 画像
930 環境情報
940,1210,1510 危険情報
1010,1310 将来位置範囲
1200,1500 表示部
T1~Tn,Ti 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19