(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031153
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】多層型固形状クレンジング化粧料及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240229BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240229BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240229BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240229BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/10
A61K8/45
A61K8/92
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/60
A61K8/63
A61K8/25
A61K8/23
A61K8/19
A61K8/64
A61K8/9789
A61K8/40
A61K8/67
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134526
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】507281937
【氏名又は名称】株式会社コスモビューティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 智也
(72)【発明者】
【氏名】中條 明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA161
4C083AB111
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB171
4C083AB291
4C083AB321
4C083AB331
4C083AB361
4C083AB362
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC172
4C083AC251
4C083AC301
4C083AC311
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC621
4C083AC641
4C083AC681
4C083AC682
4C083AC841
4C083AD041
4C083AD111
4C083AD191
4C083AD211
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD631
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB47
4C083BB48
4C083BB51
4C083CC23
4C083DD05
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE10
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】新たな固形状クレンジング化粧料及びその使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】以下の特徴を有する、第1層及び第2層を含む多層型固形状クレンジング化粧料:該第1層が、(1A)融点40~120℃の固形油を3~13質量%、(1B)液状油を10~80質量%、(1C)ノニオン界面活性剤を10~30質量%、ならびに(1D)角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.05~5質量%含有する第1固形状クレンジング用組成物からなり、該第2層が、(2A)融点40~120℃の固形油を1~10質量%、(2B)液状油を10~86質量%、(2C)ノニオン界面活性剤を5~20質量%、ならびに(2D)抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.01~1質量%含有する第2固形状クレンジング用組成物からなり、該第1層と該第2層とが混合されることなく使用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴を有する、第1層及び第2層を含む多層型固形状クレンジング化粧料:
該第1層が、(1A)融点40~120℃の固形油を3~13質量%、(1B)液状油を10~80質量%、(1C)ノニオン界面活性剤を10~30質量%、ならびに(1D)角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.05~5質量%含有する第1固形状クレンジング用組成物からなり、
該第2層が、(2A)融点40~120℃の固形油を1~10質量%、(2B)液状油を10~86質量%、(2C)ノニオン界面活性剤を5~20質量%、ならびに(2D)抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.01~1質量%含有する第2固形状クレンジング用組成物からなり、
該第1層と該第2層とが混合されることなく使用される。
【請求項2】
前記成分(1D)が、角質除去作用、角栓除去作用及び角質柔軟作用からなる群より選択される少なくとも1種の作用を有する、有機酸、有機酸のラクトン誘導体、粘土鉱物、無機酸化物、無機塩、硫黄類、炭粉末、植物抽出物、はちみつ発酵物、酵素及び窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記成分(1C)及び(2C)が、同一または異なって、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルからなる群より選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤である、請求項1に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記成分(1D)が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、サリチル酸、カプロイルサリチル酸、ラクトビオン酸、グルコノラクトン、リボノラクトン、タルク、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、天然クレイ、海泥、活性白土、火山土、流紋岩末、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、無水ケイ酸、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫黄、活性炭、薬用炭、竹炭、泥炭、ブロッコリー抽出物、ベニノキ種子抽出物、アーチチョーク葉抽出物、ローズはちみつ発酵物、リパーゼ、パパイン及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分(2D)に記載する抗炎症成分が、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、これらの誘導体、これらの塩、カンゾウ葉抽出物、カンゾウ根抽出物、ニコチン酸アミド、トラネキサム酸、アラトイン及びツボクサ抽出物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項5】
前記成分(2D)に記載する抗酸化成分がアスタキサンチン、ビタミンE類、ビタミンC類、フラーレン及びレスベラトロールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項6】
前記成分(2D)に記載するしわ改善成分及び/又はたるみ改善成分が、バクチオール、ビタミンA類、プラセンタ、幹細胞培養液、ペプチド類、ビタミンE類、炭酸及びマンナンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項7】
前記成分(2D)に記載する美白成分が、トラネキサム酸、その誘導体、これらの塩、アルブチン、ビタミンC類、ハイドロキノン、プラセンタ、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、ビタミンA類、フェニルエチルレゾルシノール及びフェルラ酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項8】
前記成分(2D)に記載する保湿成分が、異性化糖、ヘパリン類似物質及びセラミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項9】
前記成分(2D)に記載する殺菌成分が、イソプロメチルフェノール、サリチル酸、ビタミンC類及びビタミンB類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項10】
2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる、請求項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
【請求項11】
請求項1又は2に記載する多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法であって、
該多層型固形状クレンジング化粧料は、2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる化粧料であり、
(1)第1層のみを2~40日間使用後、第2層のみを2~40日間使用する、又は、
(2)第2層のみを2~40日間使用後、第1層のみを2~40日間使用する、
該多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法。
【請求項12】
前記工程(1)において、第1層の全量を使用したのちに第2層の使用を開始する、又は、
前記工程(2)において、第2層の全量を使用したのちに第1層の使用を開始する、
請求項11に記載のクレンジング化粧料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多層型固形状クレンジング化粧料及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、消費者の嗜好等を考慮した様々なクレンジング化粧料が販売されている。このため、消費者の多くは、様々なクレンジング化粧料の中から、好みや期待する効果に応じてクレンジング化粧料を選択し使用している。
【0003】
また、従来、様々な機能性成分が知られており、目的に応じて機能性成分が使い分けられている。例えば、特許文献1には、ポリヒドロキシ酸、抗炎症複合体及び天然保湿因子を含む皮膚角質除去用化粧料組成物が報告されており、該組成物によれば、ポリヒドロキシ酸の角質除去効果を通じて皮膚のバリア機能を回復できると共に、天然保湿因子と抗炎症複合体の組み合わせによりで角質除去により誘発されうる根本的な皮膚神経刺激を緩和できることが報告されている。特許文献1には、角質除去作用を有するポリヒドロキシ酸は皮膚刺激の原因となる成分であり、ポリヒドロキシ酸を含むものの抗炎症複合体及び天然保湿因子を含まない組成物では皮膚刺激が生じたこと、組成物中のポリヒドロキシ酸の含有量が3重量%未満では角質除去効果を十分に発揮できないことが報告されている。特許文献1には特に3重量%以上(好ましくは3~30質量%)のポリヒドロキシ酸と共に抗炎症複合体及び天然保湿因子を配合することにより、角質除去効果を備えると共に皮膚刺激が緩和された組成物が得られたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、クレンジング化粧料について長年研究を行っており、新たな固形状クレンジング化粧料及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は例えば下記に代表される発明を包含する。
項1.以下の特徴を有する、第1層及び第2層を含む多層型固形状クレンジング化粧料:
該第1層が、(1A)融点40~120℃の固形油を3~13質量%、(1B)液状油を10~80質量%、(1C)ノニオン界面活性剤を10~30質量%、ならびに(1D)角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.05~5質量%含有する第1固形状クレンジング用組成物からなり、
該第2層が、(2A)融点40~120℃の固形油を1~10質量%、(2B)液状油を10~86質量%、(2C)ノニオン界面活性剤を5~20質量%、ならびに(2D)抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.01~1質量%含有する第2固形状クレンジング用組成物からなり、
該第1層と該第2層とが混合されることなく使用される。
項2.前記成分(1D)が、角質除去作用、角栓除去作用及び角質柔軟作用からなる群より選択される少なくとも1種の作用を有する、有機酸、有機酸のラクトン誘導体、粘土鉱物、無機酸化物、無機塩、硫黄類、炭粉末、植物抽出物、はちみつ発酵物、酵素及び窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記成分(1C)及び(2C)が、同一または異なって、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルからなる群より選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤である、項1に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項3.前記成分(1D)が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、サリチル酸、カプロイルサリチル酸、ラクトビオン酸、グルコノラクトン、リボノラクトン、タルク、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、天然クレイ、海泥、活性白土、火山土、流紋岩末、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、無水ケイ酸、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫黄、活性炭、薬用炭、竹炭、泥炭、ブロッコリー抽出物、ベニノキ種子抽出物、アーチチョーク葉抽出物、ローズはちみつ発酵物、リパーゼ、パパイン及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項4.前記成分(2D)に記載する抗炎症成分が、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、これらの誘導体、これらの塩、カンゾウ葉抽出物、カンゾウ根抽出物、ニコチン酸アミド、トラネキサム酸、アラトイン及びツボクサ抽出物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~3のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項5.前記成分(2D)に記載する抗酸化成分がアスタキサンチン、ビタミンE類、ビタミンC類、フラーレン及びレスベラトロールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項6.前記成分(2D)に記載するしわ改善成分及び/又はたるみ改善成分が、バクチオール、ビタミンA類、プラセンタ、幹細胞培養液、ペプチド類、ビタミンE類、炭酸及びマンナンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~5のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項7.前記成分(2D)に記載する美白成分が、トラネキサム酸、その誘導体、これらの塩、アルブチン、ビタミンC類、ハイドロキノン、プラセンタ、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、ビタミンA類、フェニルエチルレゾルシノール及びフェルラ酸からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~6のいずれかに記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項8.前記成分(2D)に記載する保湿成分が、異性化糖、ヘパリン類似物質及びセラミドからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~7のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項9.前記成分(2D)に記載する殺菌成分が、イソプロメチルフェノール、サリチル酸、ビタミンC類及びビタミンB類からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~8のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項10.2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる、項1~9のいずれか一項に記載の多層型固形状クレンジング化粧料。
項11.項1~10のいずれか一項に記載する多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法であって、
該多層型固形状クレンジング化粧料は、2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる化粧料であり、
(1)第1層のみを2~40日間使用後、第2層のみを2~40日間使用する、又は、
(2)第2層のみを2~40日間使用後、第1層のみを2~40日間使用する、
該多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法。
項12.前記工程(1)において、第1層の全量を使用したのちに第2層の使用を開始する、又は、
前記工程(2)において、第2層の全量を使用したのちに第1層の使用を開始する、
項11に記載のクレンジング化粧料の使用方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む第1層と、抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層とを少なくとも備え、該第1層と該第2層とを混合することなく使用される、多層型固形状クレンジング化粧料を提供することができる。
【0008】
更に、本開示によれば、角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む第1層と、抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層とを少なくとも備えており、該第1層と該第2層とを混合することなく使用する、多層型固形状クレンジング化粧料であって、角質除去効果、角栓除去効果及び/又は角質柔軟効果と、抗炎症効果、抗酸化効果、しわ改善効果、たるみ改善効果、美白効果、保湿効果及び/又は殺菌効果とに優れた多層型固形状クレンジング化粧料を提供することができる。
【0009】
更に、本開示によれば、該多層型固形状クレンジング化粧料において、(1)第1層のみを2~40日間使用後、第2層のみを2~40日間使用する、又は、(2)第2層のみを2~40日間使用後、第1層のみを2~40日間使用する、該多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の多層型固形状クレンジング化粧料の一例を示す。
【
図2】本開示の多層型固形状クレンジング化粧料の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に包含される実施形態について更に詳細に説明する。なお、本開示において「含有する」、「含む」は、「実質的にからなる」、「からなる」という意味も包含する。
【0012】
本開示は、以下の特徴を有する、第1層及び第2層を含む多層型固形状クレンジング化粧料を包含する。
該第1層が、(1A)融点40~120℃の固形油を3~13質量%、(1B)液状油を10~80質量%、(1C)ノニオン界面活性剤を10~30質量%、ならびに(1D)角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.05~5質量%含有する第1固形状クレンジング用組成物からなり、
該第2層が、(2A)融点40~120℃の固形油を1~10質量%、(2B)液状油を10~86質量%、(2C)ノニオン界面活性剤を5~20質量%、ならびに(2D)抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分を総量で0.01~1質量%含有する第2固形状クレンジング用組成物からなり、
該第1層と該第2層とが混合されることなく使用される。
【0013】
第1固形状クレンジング用組成物
本開示の多層型固形状クレンジング化粧料は、第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層を備える。第1固形状クレンジング用組成物は、(1A)融点40~120℃の固形油を3~13質量%、(1B)液状油を10~80質量%、(1C)ノニオン界面活性剤を10~30質量%、ならびに(1D)角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.05~5質量%含有する。
【0014】
成分(1A)
(1A)融点40~120℃の固形油は、本分野において公知であり特に制限されないが、成分(1A)の融点として、好ましくは融点50~110℃、更に好ましくは融点60~100℃、特に好ましくは70~90℃が例示される。
【0015】
成分(1A)は、この限りにおいて制限されないが、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックス等のホモポリマーや(エチレン/プロピレン)コポリマーワックス等のコポリマー等の合成ワックス;モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂;カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ等のロウ類;ベヘニルアルコール、セタノール、バチルアルコール等の高級アルコール;シリコンワックス等が例示される。成分(1A)として、より好ましくは合成ワックスが例示され、より好ましくはポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が例示される。
【0016】
成分(1A)は公知であり、商業的に入手可能である。成分(1A)の一例として合成ワックスを例示すると、フィッシャートロプシュワックスとして商品名TITANEL(日興リカ株式会社製)、商品名VB-8070(日本ワックス株式会社製)、商品名SASOLWAX C80(SASOL社製)等、ポリエチレンワックスとして商品名マイクロポリ4039(Micro Powders製)、商品名PERFORMALENE 400 POLYETHYLENE(日光ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
【0017】
成分(1A)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
第1固形状クレンジング用組成物中、成分(1A)の含有量は3~13質量%である。第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは4~12質量%、より好ましくは5~11質量%、更に好ましくは5~10質量%等が例示される。また、本開示を制限するものではないが、該範囲での上限値として7質量%、8質量%、9質量%等が例示される。
【0019】
成分(1B)
(1B)液状油は、常温(25℃)で液状の油を意味する。成分(1B)は、本分野において公知であり、特に制限されないが、エステル油、炭化水素油、動植物油、シリコーン油、高級アルコール等が例示され、好ましくはエステル油、炭化水素油、動植物油が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
このような液状油として、本開示を制限するものではないが、パルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソパルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等のエステル油;ミネラルオイル、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマーポリブデン、ワセリン等の炭化水素油;オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、ミンク油等の動植物油;ジメチルポリシロキサン、ジメチコン等のシリコーン油(鎖状シリコーン、環状シリコーン、変性シリコーン等);ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等が例示される。
【0021】
成分(1B)として、より好ましくはパルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、エチルヘキサン酸セチル、ドデカン、イソパルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が例示される。
【0022】
成分(1B)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
第1固形状クレンジング用組成物中、成分(1B)の含有量は10~80質量%である。第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは20~78質量%、より好ましくは30~75質量%、更に好ましくは40~73.5質量%等が例示される。また、本開示を制限するものではないが、該範囲内での下限値として50質量%、55質量%、58質量%等が例示される。
【0024】
成分(1C)
(1C)ノニオン界面活性剤は従来公知の界面活性剤であり、特に制限されないが、ノニオン界面活性剤として、HLB値が4~14であるものが好ましく例示され、より好ましくはHLB値が5~13、更に好ましくはHLB値が6~12、特に好ましくはHLB値が7~12が例示される。HLB(Hydrophile Lypophile Balance)値は、親水性と親油性のバランスを知る公知の指標であり、HLB値0~20のうち、HLB値が小さいほど親油性が強く、HLB値が大きいほど親水性が強いことを示す。本開示においてHLBは、通常、Griffin式に従う。
【0025】
本開示を制限するものではないが、成分(1C)として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、セスキオレイン酸ソルビタン等が例示され、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが例示され、より好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルが例示される。
【0026】
本開示を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、好ましくは平均重合度が2以上(整数)のグリセリンと脂肪酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、グリセリンの平均重合度は好ましくは2~10の整数、更に好ましくは4~10の整数が例示される。
【0027】
本開示を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは10~18、より好ましくは12~18が例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状、分岐鎖状を問わず、また、飽和、不飽和を問わない。このような脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸等が例示される。脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本開示を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、より好ましくは平均重合度2以上のグリセリンと炭素数10~18の脂肪酸とのエステル、更に好ましくは平均重合度2~12のグリセリンと炭素数10~18の脂肪酸とのエステル等が例示される。本開示を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、より好ましくはポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンジ脂肪酸エステル等が例示される。
【0029】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、本開示を制限するものではないが、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。本開示においてポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
また、本開示を制限するものではないが、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として好ましくは炭素数8~22の脂肪酸が例示され、より好ましくは炭素数10~20の脂肪酸が例示される。該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合、炭素間の二重結合数は制限されず、例えば1~4、好ましく1~3、より好ましくは1又は2が例示される。また、該脂肪酸は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0031】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として、本開示を制限するものではないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸等、また、ヤシ油脂肪酸やパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成するポリオキシエチレンとして、本開示を制限するものではないが、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が好ましくは5~60程度、より好ましくは10~40程度、15~25程度が例示される。
【0033】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、本開示を制限するものではないが、前述のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を有する、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンジイソラウリン酸グリセリル等が好ましく例示され、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-10グリセリル等がより好ましく例示される。本開示においてポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
成分(1C)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
第1固形状クレンジング用組成物中、成分(1C)の含有量は10~30質量%である。第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは13~28質量%、より好ましくは15~25質量%、更に好ましくは18~22質量%等が例示される。
【0036】
成分(1D)
(1D)は、角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種である。これらの成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、角質除去作用、角栓除去作用及び角質柔軟作用からなる群より選択される少なくとも1種の作用を有する有機酸、有機酸のラクトン誘導体、粘土鉱物、無機酸化物、無機塩、硫黄類、炭粉末、植物抽出物、はちみつ発酵物、酵素、窒素化合物等が例示される。これらの各成分には、角質除去作用、角栓除去作用又は/及び角質柔軟作用を有することが従前より知られている公知の機能性成分が含まれる。また、角質除去作用、角栓除去作用又は/及び角質柔軟作用の有無は、公知の評価方法で判断することができる。
【0037】
これらの成分について一例を説明すると、本開示を制限するものではないが、有機酸及び有機酸のラクトン誘導体として、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸及びポリヒドロキシ酸のラクトン誘導体等が例示される。
【0038】
アルファヒドロキシ酸は、AHAとも記載される本分野において公知の成分であり、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸等が例示される。
【0039】
ベータヒドロキシ酸は、BHAとも記載される本分野において公知の成分であり、サリチル酸、カプロイルサリチル酸等が例示される。
【0040】
ポリヒドロキシ酸は、PHAとも記載される本分野において公知の成分であり、ラクトビオン酸、グルコン酸等が例示される。
【0041】
ポリヒドロキシ酸のラクトン誘導体としては、グルコノラクトン、リボノラクトン等が例示される。
【0042】
有機酸及び有機酸のラクトン誘導体として、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、サリチル酸、カプロイルサリチル酸、ラクトビオン酸、グルコノラクトン、リボノラクトンが好ましく例示される。
【0043】
粘土鉱物として、タルク、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、天然クレイ、海泥、活性白土、火山土、流紋岩末等が例示される。
【0044】
粘土鉱物は公知であり、一例を説明すると、例えば、海泥は、海洋由来の天然無機物質であり、含硫ケイ酸アルミニウムを主成分とし、各種ミネラルを含む腐食泥として知られている。採掘された海泥は必要に応じて乾燥や粉砕等の処理を行い用いることができる。市販品として、ミロネクトン、ミロネクトンR(いずれも大日本化成株式会社)、マリンシルトFP(株式会社アンコール・アン)等が挙げられる。また、火山土又は流紋岩末の市販品として、マテラパウダー(株式会社マテラ製)等が例示される。このように粘土鉱物は商業的に入手可能である。
【0045】
無機酸化物として、無水ケイ酸(シリカ)、酸化マグネシウム等が例示される。
【0046】
無機塩として、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、塩化ナトリウム等が例示される。
【0047】
硫黄類として、硫黄(S)等が例示される。
【0048】
炭粉末として、活性炭、薬用炭、竹炭、泥炭等が例示される。
【0049】
炭粉末の粒子径は制限されず、0.05~200μm程度が例示される。また、該粒子径の下限値は制限されないが、好ましくは0.1μm以上、0.5μm以上、0.9μm以上、1μm以上、2μm以上、5μm以上等が例示される。また、該粒子径の上限値は制限されないが、好ましくは150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、1μm以下等が例示される。このように炭粉末は、好ましくはこれらの範囲におけるいずれの値であってもよい。炭粉末の形状も制限されない。また、粒子径の異なる炭粉末を組み合わせて用いてもよい。なお、本開示において粒子径の値は体積平均粒子径に基づく値であり、レーザー回折・散乱法により測定される値である。より具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して湿式粒度分布測定により測定される値であり、また、一次粒子径を示すものではない。
【0050】
植物抽出物として、ブロッコリーエキス、ベニノキ種子エキス、アーチチョーク葉エキス等が例示される。
【0051】
植物抽出物の製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、ブロッコリーエキスを例に挙げると、ブロッコリーエキスはブロッコリーを原料とする抽出物であり、ブロッコリーの使用部位(花蕾、茎、花、葉、新芽(ブロッコリースプラウト)、全体等)をそのまま、必要に応じて乾燥、粉砕、裁断等したのち、搾取又は溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、本分野において公知の方法を採用すればよく、例えば水(温水、熱水を含む)抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
【0052】
溶媒抽出を行う場合、溶媒として、水;炭素数1~5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール等)や、炭素数2~5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)といったアルコール類(無水、含水の別を問わない);アセトン等のケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が例示される。抽出時の溶媒温度は制限されないが、溶媒の温度として、好ましくは40~100℃、より好ましくは60~100℃が例示される。これらの溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
このように溶媒抽出を経て得た抽出物を溶媒抽出物と称することができる。更に、本開示を制限するものではないが、例えば溶媒として水を用いた場合は水抽出物、低級アルコール類を用いた場合は低級アルコール抽出物等と称することができる。
【0054】
得られた抽出物は、そのままの状態で使用してもよく、乾燥させて粉末状や顆粒状等の固形の状態で使用してもよい。また、必要に応じて、得られた抽出物に精製、濃縮処理、高活性画分の分離処理等を施してもよい。本開示を制限するものではないが、精製処理としては、濾過、イオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理が挙げられる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。また、高活性画分の分離処理としては、ゲル濾過、吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC(High performance liquid chromatography)等の公知の分離処理を利用できる。
【0055】
また、得られた抽出物(又はその乾燥物、精製処理物、濃縮処理物、高活性画分等)を、凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、スプレードライ処理により粉末化する方法等の従来公知の方法に従って粉末化し、本開示で用いる抽出物としてもよい。本開示において植物抽出物は市販品でもよく、市販品に対して更に乾燥等の処理を適宜施したものでもよい。
【0056】
ベニノキ種子エキスやアーチチョーク葉エキスについても同様に説明される。
【0057】
なお、このように本開示において植物抽出物は、第1固形状クレンジング用組成物の固形状に影響を与えないことを限度として、液状、半固形状、固形状のいずれの形態で配合されてもよい。成分(1D)として植物抽出物を用いる場合、後述する説明において植物抽出物の含有量は乾燥物換算における値である。
【0058】
はちみつ発酵物としては、はちみつを酢酸菌(例えば桃の花から抽出した酢酸菌)等の菌類(細菌、酵母等の発酵菌)によって発酵させたはちみつ発酵物等が例示される。はちみつ発酵物は商業的に入手可能であり、市販品として発酵ローズはちみつ(片倉コープアグリ株式会社)等が挙げられる。該発酵ローズはちみつは、ローズはちみつを発酵させたはちみつ発酵物である。
【0059】
酵素としては、リパーゼ、パパイン等が例示される。
【0060】
窒素化合物としては、尿素等が例示される。
【0061】
成分(1D)は、第1固形状クレンジング用組成物の固形状に影響を与えないことを限度として、液状、半固形状、固形状のいずれの形態で配合されてもよく、成分(1D)の種類に応じて後述の含有量の範囲内で適宜決定すればよい。また、例えば成分(1D)が固形状で配合される場合、その大きさは制限されないが、その大きさとして、好ましくは前述の炭粉末について説明した粒径と同様の粒径が例示される。また、成分(1D)はいずれも市販品を用いてもよい。
【0062】
また、成分(1D)はいずれも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
第1固形状クレンジング用組成物中、成分(1D)の含有量は0.05~5質量%である。第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは0.08~4.5質量%、より好ましくは0.1~4質量%等が例示される。
【0064】
第1固形状クレンジング用組成物は、本開示の効果を妨げないことを限度として、薬学的又は香粧学的に許容可能な任意の他の成分を含有してもよい。他の成分の一例として、一般的なクレンジング剤(洗浄剤を含む)等に使用可能な各種成分が挙げられる。該成分として清涼化剤、香料、着色料、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、動物抽出物、ビタミン類、アミノ酸類、血行促進成分、保湿成分、キレート剤、ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤(カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等)等が例示される。これらは、目的等に応じて適宜選択すればよく、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その配合量も適宜決定すればよい。
【0065】
第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、他の成分として例えば水を含んでもよい。該組成物中の水の含有量は制限されないが、0~11質量%が例示され、好ましくは0.01~11質量%が例示され、より好ましくは0.1~11質量%が例示され、更に好ましくは0.5~10質量%が例示される。但し、第1固形状クレンジング用組成物中に水が含まれている場合、保存期間又は使用期間にわたって、第1固形状クレンジング用組成物が固形状を呈し、かつ離水等の不都合な現象が生じないことが好ましい。例えば、後述の実施例に示す化粧料は、このような不都合な現象が生じないといえる。
【0066】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば防腐剤(例えばフェノキシエタノール)を含んでもよい。防腐剤を含有する場合、該組成物中の防腐剤の含有量は制限されないが、好ましくは0.01~0.5質量%が例示され、より好ましくは0.05~0.4質量%が例示され、更に好ましくは0.1~0.3質量%が例示される。
【0067】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば抗炎症成分を含んでもよい。抗炎症成分は後述と同様に説明される。抗炎症成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中の抗炎症成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくは抗炎症成分を含まない。
【0068】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば抗酸化成分を含んでもよい。抗酸化成分は後述と同様に説明される。抗酸化成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中の抗酸化成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくは抗酸化成分を含まない。
【0069】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えばしわ改善成分を含んでもよい。しわ改善成分は後述と同様に説明される。しわ改善成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中のしわ改善成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくはしわ改善成分を含まない。
【0070】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えばたるみ改善成分を含んでもよい。たるみ改善成分は後述と同様に説明される。たるみ改善成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中のたるみ改善成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくはたるみ改善成分を含まない。
【0071】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば美白成分を含んでもよい。美白成分は後述と同様に説明される。美白成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中の抗酸化成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくは美白成分を含まない。
【0072】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば保湿成分を含んでもよい。保湿成分は後述と同様に説明される。保湿成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中の保湿成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくは保湿成分を含まない。
【0073】
本開示を制限するものではないが、第1固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば殺菌成分を含んでもよい。殺菌成分は後述と同様に説明される。殺菌成分を含有する場合、第1固形状クレンジング用組成物中の殺菌成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.01質量%未満である。また、第1固形状クレンジング用組成物は好ましくは殺菌成分を含まない。
【0074】
第1固形状クレンジング用組成物は、本分野において従来公知の方法に従い、前記成分(1A)~(1D)を前記含有量で、また、必要に応じて任意の他の成分を混合し、固化することにより製造できる。第1固形状クレンジング用組成物は、固形状であり、すなわち、常圧(1気圧)、25℃で流動性がない。この限りにおいて制限されないが、該組成物として、より好ましくは常圧、35℃で流動性がない。ここで、流動性がないとは、後述の実施例と同様にして組成物を構成する成分の混合物を溶融状態のまま容器(例えば直径(内径)6cmの円柱状容器、ポリプロピレン樹脂製)に45g充填後、室温(25℃)で8時間放冷、固化し、このようにして固化させた組成物を収容した容器を、平板上に置いた状態から15度の傾斜角度で傾けたときに、常圧、前記温度において3時間以内に、目視で該組成物の形状変化が認められないことを意味する。
【0075】
第1固形状クレンジング用組成物は、更に一定の硬度を有していることが好ましい。具体的には、第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層の上に、第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層を積層した場合に、第1層内に第2層が陥入又は埋設せず、また、第2層の上に第1層を積層した場合も同様に、第2層内に第1層が陥入又は埋設しない程度の硬度を有していることが好ましい。かかる硬度としては、150以上を例示することができる。硬度として好ましくは200~600が例示される。本開示において硬度は、レオメーター(FUDOH レオメーター RTC-3002D、株式会社レオック製)を用いて、平型10φ(直径)のアダプターを使用し、テーブルスピード30cm/min、侵入深度5mm、レンジ2k、測定温度25℃で測定した値である(レオメーター硬度)。
【0076】
第1固形状クレンジング用組成物中、成分(1A)~(1D)の含有量は前述の限りにおいて制限されないが、該組成物中、成分(1A)~(1D)の合計量として、好ましくは60質量%以上が例示され、より好ましくは75~100質量%が例示され、更に好ましくは80~99.8質量%、特に好ましくは85~99.5質量%が例示される。
【0077】
第2固形状クレンジング用組成物
本開示の多層型固形状クレンジング化粧料は、第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層を備える。第2固形状クレンジング用組成物は、(2A)融点40~120℃の固形油を1~10質量%、(2B)液状油を10~86質量%、(2C)ノニオン界面活性剤を5~20質量%、ならびに(2D)抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種を総量で0.01~1質量%含有する。
【0078】
成分(2A)
(2A)融点40~120℃の固形油は、前記成分(1A)と同様に説明される。成分(2A)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
第2固形状クレンジング用組成物中、成分(2A)の含有量は1~10質量%である。第2固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは2~9質量%、より好ましくは3~8質量%等が例示される。また、本開示を制限するものではないが、該範囲内での上限値として5質量%、6質量%、7質量%等が例示される。
【0080】
成分(2B)
(2B)液状油は、前記成分(1B)と同様に説明される。成分(2B)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0081】
第2固形状クレンジング用組成物中、成分(2B)の含有量は10~86質量%である。第2固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは20~86質量%、より好ましくは30~86質量%等が例示される。また、本開示を制限するものではないが、該範囲内での下限値として40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、75質量%、80質量%等が例示される。
【0082】
成分(2C)
(2C)ノニオン界面活性剤は、前記成分(1C)と同様に説明される。この限りにおいて制限されないが、成分(2C)として、好ましくはポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが例示され、より好ましくはポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが例示される。成分(2C)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
第2固形状クレンジング用組成物中、成分(2C)の含有量は5~20質量%である。第2固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは8~18質量%、より好ましくは9~15質量%等が例示される。また、本開示を制限するものではないが、該範囲内での上限値として11質量%、12質量%、13質量%%等が例示される。
【0084】
成分(2D)
(2D)は、抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0085】
これらの成分は、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、抗炎症成分として、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、これらの誘導体、これらの塩;カンゾウ抽出物;ニコチン酸アミド;トラネキサム酸、その誘導体、これらの塩;アラトイン;ツボクサ抽出物等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0086】
抗炎症成分について一例を説明すると、本開示を制限するものではないが、グリチルリチン酸及びその誘導体として、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル等が例示される。グリチルレチン酸及びその誘導体として、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド等が挙げられる。グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びこれらの誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容される塩であれば制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。このように誘導体又は塩は、特に制限されないが、好ましくはグリチルリチン酸ステアリル、グリチルリチン酸ジカリウム等が例示される。
【0087】
カンゾウ抽出物は、マメ科の多年草のカンゾウ(例えばGlycyrrhiza glabra、Glycyrrhiza uralensis)を原料とする抽出物であり、カンゾウの使用部位(葉、根、茎、花、植物全体等)をそのまま、必要に応じて乾燥、粉砕、裁断等したのち、搾取又は溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、本分野において公知の方法を採用すればよく、前述と同様に説明される。使用する溶媒、溶媒温度等もいずれも前述と同様に説明される。また、得られた抽出物は、そのままの状態で使用してもよく、乾燥させて粉末状や顆粒状等の固形の状態で使用してもよく、必要に応じて、得られた抽出物に精製処理等を施してもよく、粉末化等の処理を行ってもよく、前述と同様に説明される。カンゾウ抽出物として好ましくは、葉を原料としたカンゾウ葉抽出物、根を原料としたカンゾウ根抽出物が例示される。
【0088】
なお、成分(2D)についても抽出物は、第2固形状クレンジング用組成物の形状に影響を与えないことを限度として、液状、半固形状、固形状のいずれの形態で配合されてもよいが、成分(2D)として抽出物を用いる場合、後述する説明において抽出物の含有量は乾燥物換算における値である。
【0089】
ニコチン酸アミドは、ニコチン酸のアミドであり、ナイアシンアミドとも称される従来公知の成分である。
【0090】
トラネキサム酸、その誘導体、これらの塩として、トラネキサム酸は抗炎症成分として知られている従来公知の成分である。トラネキサム酸の誘導体としては、薬学的又は香粧学的に許容できることを限度として特に制限されないが、トラネキサム酸二量体、トラネキサム酸エステル、トラネキサム酸フェニルエステル、トラネキサム酸ビタミンエステル、トラネキサム酸アルキルアミド等が例示される。トラネキサム酸エステルとしては、炭素数1~30のアルキルエステル、炭素数1~30のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基等が置換していてもよいフェニルエステル等が例示される。トラネキサム酸アルキルアミドとしては、トラネキサム酸メチルアミド、トラネキサム酸エチルアミド等が例示される。トラネキサム酸及びその誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容される塩である限り特に制限されないが、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩;アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0091】
アラトインは、化学式C4H6N4O3で表される公知の化合物である。
【0092】
ツボクサ抽出物は、セリ科植物ツボクサ (Centella asiatica)を原料とする抽出物であり、ツボクサの使用部位(葉、根、茎、花、植物全体等)をそのまま、必要に応じて乾燥、粉砕、裁断等したのち、搾取又は溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法や使用する溶媒等の抽出物の説明は、前述と同様である。ツボクサ抽出物として好ましくは、葉及び/又は茎を原料としたツボクサ抽出物が例示される。
【0093】
また、抗酸化成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、一例を説明すると、アスタキサンチン、ビタミンE類、ビタミンC類、フラーレン、レスベラトロール等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0094】
アスタキサンチンは従来公知の成分である。アスタキサンチンの由来は制限されず、魚類(鮭、鱒等)、甲殻類(オキアミ等)、藻類(ヘマトコッカス藻等)、植物類(フクジュソウ等)、酵母などの微生物等の天然由来であってもよく、合成により製造されたものであってもよい。アスタキサンチンは、IUPAC名3,3’-ジヒドロキシ-β,β-カロテン-4,4’-ジオン(化学式C40H52O4)として知られており、3位、3’位のヒドロキシ基の位置により、(3R,3R’)体、(3S,3R’)体(meso体)、(3S,3S’)体の3種の光学異性体が存在することが知られており、更に、分子中央の共役二重結合のcis-、trans-による幾何異性体も存在することが知られている。また、アスタキサンチンとして、これらのモノエステル体、ジエステル体等も従来知られている。本開示においてアスタキサンチンはいずれいのものも使用できる。
【0095】
ビタミンE類として、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、トコフェロール、トコトリエノール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール等のトコフェロール有機酸エステル等が挙げられる。これらはそれぞれα-、β-、γ-又はδ-のいずれであってもよく、また、d体又はdl体のいずれであってもよい。酢酸d-α-トコフェロールは、天然型ビタミンEと称されることでも知られている。
【0096】
ビタミンC類として、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等)、アスコルビン酸のリン酸エステル及びその塩(リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム等)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル及びその塩(ジパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム等)、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩等が例示される。
【0097】
フラーレンは、炭素原子から構成される球殻状の分子の総称であり、従来、抗酸化作用を有する成分として公知である。本開示において使用されるフラーレンは制限されず、例えば、炭素原子数(C)に応じて、C32フラーレン、C44フラーレン、C50フラーレン、C58フラーレン、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C96フラーレン等が例示される。
【0098】
レスベラトロールは、抗酸化作用を有する成分として公知である。レスベラトロールは、トランス型、シス型が知られており、本開示においてレスベラトロールとして好ましくはトランス型が例示される。
【0099】
また、しわ改善成分及び/又はたるみ改善成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、一例を説明すると、バクチオール、ビタミンA類、プラセンタ、幹細胞培養液(幹細胞培養上清液)、ペプチド類、ビタミンE類、炭酸、マンナン等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0100】
バクチオールは、CAS番号10309-37-2で知られている公知の化合物である。
【0101】
ビタミンA類としては、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、プロピオン酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、リノレン酸レチノール等のレチノール有機酸エステル等、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール等、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリル、レチノエート、3-デヒドロレチノール、3-デヒドロレチナール、3-デヒドロレチノイン酸等が例示される。ビタミンA類として、好ましくはレチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールが例示される。ビタミンA類は、ビタミンA油に含まれているものであってもよく、ビタミンA油として従来公知のものを使用できる。
【0102】
プラセンタは、動物(ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヒト等)胎盤から得られる水溶性抽出物であり、アミノ酸、ペプチド及び/又は核酸塩基等を含む。プラセンタはプラセンタエキスとも称され、その抽出方法は従来公知である。本開示においてプラセンタは、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、市販品を用いてもよい。
【0103】
幹細胞培養液は従来公知であり、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されない。幹細胞培養液は商業的に入手可能であり、市販品を用いてもよく、例えばRS Liposome 1.0(REMYBIO社)、Lipo-Stem-Cell(Cellinbio社)、サイタイ血幹細胞培養液(株式会社ホルス)等が挙げられる。
【0104】
ペプチド類は、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、アセチルテトラペプチド-2、オリゴペプチド-1、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド、パルミトイルトリペプチド-5等が例示される。
【0105】
ビタミンE類は、前述と同様にして説明される。
【0106】
炭酸は、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が例示される。
【0107】
マンナンは、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、グルコマンナン等が例示される。
【0108】
また、美白成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、一例を説明すると、トラネキサム酸、その誘導体、これらの塩、アルブチン、ビタミンC類、ハイドロキノン、プラセンタ、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、ビタミンA類、フェニルエチルレゾルシノール、フェルラ酸等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0109】
トラネキサム酸、その誘導体及びこれらの塩は、前述と同様にして説明される。
【0110】
アルブチンは、従来公知の成分であり、天然型フェノール性配糖体として知られている。
【0111】
ビタミンC類は、前述と同様にして説明される。
【0112】
ハイドロキノンは、公知の成分であり、本分野において従来使用されている。
【0113】
プラセンタは、前述と同様にして説明される。
【0114】
コウジ酸は、麹から発見された化合物であり、従来公知の成分である。
【0115】
リノール酸は、従来公知の脂肪酸ある。
【0116】
ニコチン酸アミドは、前述と同様にして説明される。
【0117】
ビタミンA類は、前述と同様にして説明される。
【0118】
フェニルエチルレゾルシノールは、IUPAC名4-(1-フェニルエチル)-1,3-ベンゼンジオールとして知られている従来公知の成分である。
【0119】
フェルラ酸は、植物の細胞壁等に存在する有機化合物として知られている公知の成分である。
【0120】
また、保湿成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、一例を説明すると、異性化糖、ヘパリン類似物質、セラミド等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0121】
異性化糖は、塩基触媒作用により糖類混合物を再配列して作られる炭水化物複合体あり、公知の成分である。
【0122】
ヘパリン類似物質は、従来公知の成分であり、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、ムコ多糖を硫酸化することにより得られたもの、ウシ、ブタ等の動物(例えばブタの気管軟骨を含む肺臓)から抽出、精製等により得られたものなど、その由来は問わない。ヘパリン類似物質として、市販品を用いてもよく、好ましくは日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質が例示される。
【0123】
セラミドは、セラミドはスフィンゴ脂質の一種であり、セラミドEOP、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAP、セラミドAG等が例示され、いずれも公知である。
【0124】
また、殺菌成分として、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、一例を説明すると、イソプロメチルフェノール、サリチル酸、ビタミンC類、ビタミンB類等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0125】
イソプロメチルフェノールは、化粧品表示名称o-シメン-5-オールとして知られている、公知の成分である。
【0126】
サリチル酸は、従来、医薬部外品等において使用されている公知の成分である。
【0127】
ビタミンC類は、前述と同様にして説明される。
【0128】
ビタミンB類は、従来公知であり、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB3類、ビタミンB5類、ビタミンB6類、ビタミンB7類、ビタミンB9類、ビタミンB12類が例示される。
【0129】
ビタミンB1類としては、チアミン、その誘導体及びそれらの塩が含まれる。ビタミンB1類として、具体的には、チアミン、ビスチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、これらの塩等が例示される。チアミン及びその誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、塩酸塩、硝酸塩、セチル硫酸塩等が例示される。また、ビタミンB1類は溶媒和物の形態であってもよく、溶媒は、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、水等が例示される。
【0130】
ビタミンB2類としては、リボフラビン、リボフラビン誘導体及びそれらの塩が含まれる。ビタミンB2類として、具体的には、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酢酸エステル、リボフラビン酪酸エステル等のリボフラビンエステル、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等、これらの塩が例示される。リボフラビン及びリボフラビン誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩(リボフラビンリン酸エステルナトリウム等)等が例示される。
【0131】
ビタミンB3類としては、ナイアシン、ナイアシン誘導体及びそれらの塩が含まれる。ビタミンB3類として、具体的には、ナイアシン、ニコチン酸アミド等が例示される。
【0132】
ビタミンB5類としては、パントテン酸、パントテン酸誘導体及びそれらの塩が含まれる。具体的には、パントテン酸、パンテノール、パンテニルエチル等が例示される。
【0133】
ビタミンB6類としては、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、それらの誘導体及びそれらの塩が含まれる。具体的には、ジカプリル酸ピリドキシン、ピリドキシンHCl(塩酸ピリドキシン)、リン酸ピリドキサール等が例示される。
【0134】
ビタミンB7類としては、ビオチン等が例示される。
【0135】
ビタミンB9類としては、葉酸等が例示される。
【0136】
ビタミンB12類としては、コバラミン、その誘導体及びそれらの塩が含まれる。ビタミビタミンB12類として、具体的にはコバラミン、コバラミンのコバルトイオンが置換されたもの、それらの誘導体が例示され、例えば、メチルコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、スルフィトコバラミン、アデノシルコバラミン等が挙げられる。コバラミン及びその誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。ビタミンB12類は、溶媒和物の形態であってもよく、溶媒は、薬学的又は香粧学的に許容される限り制限されず、水、エタノール、グリセロール、酢酸等が例示される
【0137】
成分(2D)も、第2固形状クレンジング用組成物の形状に影響を与えないことを限度として、液状、半固形状、固形状のいずれの形態で配合されてもよく、成分(2D)の種類に応じて後述の含有量の範囲内で適宜決定すればよい。また、例えば成分(2D)が固形状で配合される場合、その大きさは制限されないが、その大きさとして、好ましくは前述の炭粉末について説明した粒径と同様の粒径が例示される。また、成分(2D)はいずれも市販品を用いてもよい。
【0138】
成分(2D)はいずれも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0139】
第2固形状クレンジング用組成物中、成分(2D)の含有量は0.01~1質量%である。第2固形状クレンジング用組成物が固形状を呈することを限度として、この範囲内において下限値及び上限値はいずれも制限されず、好ましくは0.01~0.8質量%等が例示される。
【0140】
第2固形状クレンジング用組成物は、本開示の効果を妨げないことを限度として、薬学的又は香粧学的に許容可能な任意の他の成分を含有してもよい。他の成分の一例として、一般的なクレンジング剤(洗浄剤を含む)等に使用可能な各種成分が挙げられる。該成分として清涼化剤、香料、着色料、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、酵素、動物抽出物、植物抽出物等の抽出物(成分(2D)に示す抽出物以外の抽出物)、ビタミン類(ビタミンA類、B類、C類、E類以外のビタミン類)、アミノ酸類、血行促進成分、キレート剤、ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤(カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等)等が例示される。これらは、目的等に応じて適宜選択すればよく、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その配合量も適宜決定すればよい。
【0141】
本開示を制限するものではないが、第2固形状クレンジング用組成物は、固形状を呈することを限度として、他の成分として例えば水を配合してよい。該組成物中の水の含有量は制限されないが、好ましくは0~5質量%が例示され、より好ましくは0~2質量%が例示される。但し、第2固形状クレンジング用組成物中に水が含まれている場合、保存期間または使用期間にわたって、第2固形状クレンジング用組成物が固形状を呈し、かつ離水などの不都合な現象が生じないことが好ましい。更に好ましくは第2固形状クレンジング用組成物は水を含まない。
【0142】
本開示を制限するものではないが、第2固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば防腐剤(例えばフェノキシエタノール)を含んでもよい。該組成物中の防腐剤の含有量は制限されないが、好ましくは0~0.5質量%が例示され、より好ましくは0.01~0.4質量%が例示され、更に好ましくは0.1~0.3質量%が例示される。
【0143】
本開示を制限するものではないが、第2固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば角質除去成分を含んでもよい。角質除去成分は前述と同様に説明される。角質除去成分を含む場合、第2固形状クレンジング用組成物中の角質除去成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.05質量%未満である。また、第2固形状クレンジング用組成物は好ましくは角質除去成分を含まない。
【0144】
本開示を制限するものではないが、第2固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば角栓除去成分を含んでもよい。角栓除去成分は前述と同様に説明される。角栓除去成分分を含む場合、第2固形状クレンジング用組成物中の角栓除去成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.05質量%未満である。また、第2固形状クレンジング用組成物は好ましくは角栓除去成分を含まない。
【0145】
本開示を制限するものではないが、第2固形状クレンジング用組成物は、その形状と作用を妨げないことを限度として、他の成分として例えば、角質柔軟成分を含んでもよい。角質除去成分は前述と同様に説明される。角質柔軟成分を含む場合、第2固形状クレンジング用組成物中の角質柔軟成分の含有量は制限されないが、該組成物中、好ましくは0.05質量%未満である。また、第2固形状クレンジング用組成物は好ましくは角質柔軟成分を含まない。
【0146】
本開示において、第2固形状クレンジング用組成物の組成は、第1固形状クレンジング用組成物の組成とは異なる。
【0147】
第2固形状クレンジング用組成物は、本分野において従来公知の方法に従い、前記成分(2A)~(2D)を前記含有量で、また、必要に応じて任意の他の成分を混合し、固化することにより製造できる。第2固形状クレンジング用組成物は、固形状であり、すなわち、常温(25℃)、常圧(1気圧)で流動性がない。この限りにおいて制限されないが、該組成物として、より好ましくは常圧、35℃で流動性がない。ここで、流動性がないとは前述と同様にして説明される。
【0148】
第2固形状クレンジング用組成物は、更に一定の硬度を有していることが好ましい。具体的には、第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層の上に、第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層を積層した場合に、第2層内に第1層が陥入又は埋設せず、また前記第1層の上に前記第2層を積層した場合も同様に、第2層内に第1層が陥入又は埋設しない程度の硬度を有していることが好ましい。かかる硬度としては、50以上を例示することができる。硬度として好ましくは80~400が例示される。硬度は、前述と同様にして説明される。
【0149】
第2固形状クレンジング用組成物中、成分(2A)~(2D)の含有量は前述の限りにおいて制限されないが、該組成物中、成分(2A)~(2D)の合計量として、好ましくは60質量%以上が例示され、より好ましくは70~100質量%が例示され、更に好ましくは80~99.9質量%が例示され、特に好ましくは90~99.8質量%が例示される。
【0150】
多層型固形状クレンジング化粧料
本開示の多層型固形状クレンジング化粧料は、第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とを少なくとも含む。
【0151】
該化粧料は、第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層(以下、単に第1層と記載する場合がある)と、第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層(以下、単に第2層と記載する場合がある)とを、それぞれ1層ずつ含むものでもよく、それぞれ複数層ずつ含むものであってもよく、第1層を1層と第2層を複数層含むものでもよく、第1層を複数層と第2層を1層含むものでもよく、それぞれの層数は制限されない。該化粧料として、好ましくは、第1層と第2層とをそれぞれ同数層含む。このことから、該化粧料は、第1層と第2層をそれぞれ1層以上有する化粧料であり、好ましくはそれぞれ1~6層、より好ましくはそれぞれ1~5層、1~4層、1~3層、1又は2層有する化粧料が例示される。但し、
図1及び2に示す通り、通常、同じ層は隣り合って存在しない。
【0152】
該化粧料の一例を説明すると、第1層と第2層とが互いに一層ずつ積層されて二層を形成してなるものであってもよく、また、第1層、第2層及び第1層、又は第2層、第1層及び第2層の順番で積層されて三層を形成してなるものであってもよい。更に、二以上の複数の各層がそれぞれ交互に積層されてなる多層を形成してなるものであってもよい。
【0153】
該化粧料は、通常、容器に収容され、各層はいかなる向きで配置されていてもよい。例えば、第1層の上に第2層が積層されてもよく、第2層の上に第1層が積層されてもよい(例えば
図1の製品例1~3)。また、例えば、第1層と第2層とが左右に隣り合って配置されてもよい(例えば
図1の製品例4)。また、これらの第1層と第2層とが上下かつ左右に配置されたものであってもよい(例えば
図1の製品例5)。
【0154】
該化粧料は、第1層及び第2層のみから二層以上の多層構造が形成されてなるものであってもよいが、第1層及び第2層以外に、これらの各層を構成する組成物とは異なる固形状組成物からなる任意の他の層(他の層)を含んでいてもよい。固形状という形状であって、本開示の効果を妨げない範囲で、該他の層の層数や含まれる成分の種類や含有量、その配置も制限されない(例えば
図1の製品例6~8)。他の層として1種の層(例えば第3層)のみ使用してもよく、2種以上の層(例えば第3層、第4層等)を使用してもよい(例えば第3、4層を用いる場合、第3層と第4層を構成する組成物は互いに異なる)。該他の層も固形状であり、すなわち、常温(25℃)、常圧(1気圧)で流動性がなく、好ましくは常圧、35℃で流動性がない。流動性がないとは前述と同様にして説明される。また第1層及び第2層と同じく、所望の硬度を有することが好ましい。
【0155】
該化粧料における層数は制限されず適宜設定すればよいが、合計層数として、該化粧料中、好ましくは2~8層、より好ましくは2~6層、2~5層、2~4層、2又は3層等が例示される。この限りにおいて制限されないが、該化粧料として好ましくは第1層及び第2層からなる化粧料が例示され、より好ましくは第1層と第2層とがそれぞれ2層(合計層数4)からなるもの、第1層と第2層がそれぞれ1層(合計層数2)からなるものが例示される。本開示の多層型固形状クレンジング化粧料において、例えば合計4層からなる化粧料を4層型固形状クレンジング化粧料と、合計2層からなる化粧料を2層型固形状クレンジング化粧料ということができる。
【0156】
このように、本開示の化粧料に含まれる各層は流動性を有さず、各層の成分が実質的に混じりあわないという利点を有する。このことから、本開示の組成物では、層と層との境界部分にセパーレーター(仕切り材)を設置することは必須ではなく、セパーレーターを設置しないことが好ましい。
【0157】
本開示の化粧料は、本分野において従来公知の手順に従い製造できる。本開示を制限するものではないが、例えば、第1層を1層のみと第2層を1層のみからなる二層型固形状クレンジング化粧料の製造手順の一例を説明すると、第2固形状クレンジング用組成物(第2層)を構成する成分の混合物を溶融状態のまま容器に充填後、放冷、固化し、このようにして固化させた組成物(第2層)の上に、溶融状態の第1固形状クレンジング用組成物(第1層)を構成する成分の混合物を流し入れ、放冷、固化することにより、第2層の上に第1層が隣接して積層された二層型固形状クレンジング化粧料を製造できる。これらの組成物の充填順を逆にすることにより、第1層の上に第2層が隣接して積層された二層型固形状クレンジング化粧料を製造できる。また、固化させた第1固形状クレンジング用組成物(第1層)と固化させた第2固形状クレンジング用組成物(第2層)とをそれぞれ予め作成し、所望の配置となるように各組成物を重ねるなどして本開示の化粧料を製造してもよい。2層以上を用いる場合、また、他の層を用いる場合も、従来公知の手順に従い適宜製造できる。
【0158】
該化粧料において第1層と第2層の使用順序は制限されない。第1層の使用後に第2層を使用してもよく、第2層の使用後に第1層を使用してもよく、好ましくは第1層の使用後に第2層が使用される。本開示の化粧料中、目的とする使用順序に応じて各層を配置すればよい。
【0159】
ここで、第1層の使用後に第2層を使用するとは次の通り説明される。本開示の化粧料が、第1層を1層と第2層を1層の合計2層のみから構成される場合を例に挙げると(例えば
図1の製品例1)、これらのうち第1層のみを一定期間使用し、該一定期間後、第2層のみが使用される。この場合、より簡便な点からは、第1層全量を使用し終えたのちに第2層が使用される。
【0160】
また、合計3層以上の場合も同様に説明される。例えば、本開示の化粧料が、第1層と第2層を交互に2層ずつ合計4層のみから構成される場合(例えば
図1の製品例3)、第1層の1層目のみを使用し、第1層の1層目を全て使用し終えたのちに第2層の1層目のみを使用し、第2層の1層目を全て使用し終えたのちに第1層の2層目のみを使用し、第1層の2層目を全て使用し終えたのちに第2層の2層目のみを使用する方法が用いられる。
【0161】
但し、これに限られない。例えば次の方法で使用することもできる。第1層の1層目のみを、(第1層の)該1層目を使い切らない一定期間使用し、その後、第2層の1層目のみを、(第2層の)該1層目を使い切らない一定期間使用する。その後に、再び、第1層の1層目の残存部分を一定期間使用し、その後、第2層の1層目の残存部分を一定期間使用し、第1層の1層と第2層の1層がなくなるまでこのサイクルを繰り返す。また、各1層目を使え終えたのちに、1層目と同様にして、第1層の2層目のみ、第2層の2層目のみを同様にしてそれぞれ使用する。
【0162】
第2層の使用後に第1層を使用する場合は、第1と第2層とを逆の順で使用する以外は同様に説明される。前述の一定期間や1層全てを使用し終える期間は、通常、後述の通り、2日間以上、好ましくは3日間~1か月間程度等が例示される。容器における開口部の場所等に応じて各層の配置を決定すればよく、通常、容器の上部が開口部(蓋が設けられる部分)であることが多いため、上部から順に使用することが使い勝手がよい。他の層は本開示の効果を妨げない範囲で配置、使用すればよい。好ましくは第1層と第2層とが連続して使用される。
【0163】
該化粧料は、第1層と第2層とを混合することなく使用するものであり、より好ましくは他の層を含む場合であっても該化粧料を構成するいずれの層も混合することなく使用する。なお、例えば、層の境界部分を取るときに、1層だけでなく隣接する別の層もやむをえず同時に取ってしまう場合があるが、本開示においてこれは混合を意味しない。
【0164】
本開示の化粧料は、皮膚(頭皮、粘膜等を含む)に適用可能である限り制限されない。該化粧料は、皮脂、汗、ほこり、毛穴の汚れ、ファンデーション、口紅、日焼け止め剤等をはじめとする皮膚の汚れを落とすために使用されるクレンジング化粧料として使用でき、特に、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料の洗浄にも使用できる。
【0165】
本開示の化粧料は、従来公知のクレンジング化粧料と同様にして皮膚に適用すればよい。一例として、該化粧料の適量を掬い取り、そのままで又は必要に応じて水等の液体と接触させて、これを皮膚上で滑らせることにより使用すればよい。該化粧料の適用量や使用回数は、特に制限されず、例えば、従来公知の皮膚用のクレンジング化粧料等と同様にして使用すればよい。また、本開示の化粧料は、皮膚への適用後、水で洗い流してもよく、コットン等を用いてふき取って使用されるものであってもよく、制限されない。本開示の化粧料の1日あたりの使用回数も制限されず、通常、1~3回、1又は2回が例示される。該化粧料のpHは、皮膚に適用可能なpHを備えている限り、その値は制限されない。
【0166】
該化粧料中、第1層と第2層の含有量は制限されず、前述の通り、本開示の組成物は従来のクレンジング化粧料と同様に皮膚に使用できることから、皮膚への適用量、期待する効果等に応じて決定すればよい。該化粧料中、好ましくは第1固形状クレンジング用組成物1質量部に対して第2固形状クレンジング用組成物が0.5~2質量部であり、より好ましくは0.8~1.5質量部、0.8~1.2質量部であり、更に好ましくは第1固形状クレンジング用組成物と第2固形状クレンジング用組成物の含有量(質量)が同じ(1:1)である。該含有量は、化粧料の合計量、層の数等に応じて適宜決定すればよく、例えば、1層あたり5~90g程度、10~90g程度、好ましくは20~75g程度が例示される。また、例えば、1層あたり2日間~1か月間程度(例えば2層で合計4日間~2か月間)で使い切るように使用される含有量が例示され、より好ましくは1層あたり3~40日間程度、3~30日間程度、3~20日間程度、4~20日間程度、5~15日間程度で使い切るように使用される含有量が例示される。また、1層の使用後に次の層を使用するにあたり、次の層は該1層使用終了日と同日に使用を開始してもよく、使用終了日の次の日以降(例えば1層終了日後1~3日間)に使用してもよい。好ましくは、1層終了日と同日又は次の日に次の層の使用が開始される。
【0167】
また、該化粧料において層の境界部分が、目視等で識別可能なように配置されていることが好ましい。目視又は手触り等で境界が分かるように層の境界部分にセパレーターを設けてもよいが、例えば、含有される成分に起因する各組成物の色の相違、光沢感の相違等により、層の境界部分の目視による識別が可能であることが好ましい。後述の実施例では、各組成物に着色料を配合していないが、組成物の色の相違により第1層と第2層との目視による識別が可能であった。
【0168】
前述の通り、該化粧料は通常容器に収容される。容器は、ガラス製、ポリプロピレン製等のいずれも問わない。容器の形状、外観も制限されないが、好ましくは容器の少なくとも一部に透明部分を有するものが例示される。例えば、透明部分を有する場合、層の境界が目視で確認しやすくなる、層の残量が分かりやすい等の利点を更に有する。また、各層の色や光沢感等が異なる場合は、その相違を楽しむことができる。該化粧料は、通常、容器の開口部分に、開閉可能な蓋が取り付けられ、密閉された状態で保管、流通等される。
【0169】
このことから、本開示の化粧料として、2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる、多層型固形状クレンジング化粧料が好ましく例示される。
【0170】
本開示によれば、角質除去成分、角栓除去成分及び角質柔軟成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む第1層と、抗炎症成分、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び殺菌成分からなる群より選択される少なくとも1種からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層とを少なくとも備え、該第1層と該第2層とを混合することなく使用される、多層型固形状クレンジング化粧料を提供することができる。
【0171】
また、本開示によれば、該多層型固形状クレンジング化粧料であって、角質除去効果、角栓除去効果及び角質柔軟効果のうち少なくともいずれか1つの効果と、抗炎症効果、抗酸化効果、しわ改善効果、たるみ改善効果、美白効果、保湿効果及び殺菌効果のうち少なくともいずれか1つの効果とに優れた多層型固形状クレンジング化粧料を提供することができる。従来、角質除去成分等を含有する組成物、抗炎症成分等を含有する組成物、また、これらの成分を含有する組成物は知られているが、本発明者らは、前記成分(1D)を含む第1層と、前記成分(2D)を含む第2層とを、混合することなく順に使用することにより、所望の角質除去効果、角栓除去効果及び/又は角質柔軟効果だけでなく、所望の抗炎症効果、抗酸化成分、しわ改善成分、たるみ改善成分、美白成分、保湿成分及び/または殺菌成分も得られることに気付いた。
【0172】
また、本開示を制限するものではないが、例えば後述の試験例に示す通り、驚くべきことに、第1固形状クレンジング用組成物(第1層)と第2固形状クレンジング用組成物(第2層)とを別々に使用した場合、角質除去成分と抗炎症成分の両方を含有する組成物を用いた場合よりも良好に角質除去効果及び抗炎症効果が得られた。本開示はこのように優れた多層型固形状クレンジング化粧料も提供する。
【0173】
更に、本開示の化粧料は、前述の通り、第1層と該第2層とを混合することなく使用されることから、本開示はまた、前記多層型固形状クレンジング化粧料の使用方法であって、一例として、前記多層型固形状クレンジング化粧料は、2~40日用量分の第1固形状クレンジング用組成物からなる第1層と、2~40日用量分の第2固形状クレンジング用組成物からなる第2層とが、交互に2層以上に配置された状態で容器内に収納されてなる化粧料であり、(1)第1層のみを2~40日間使用後、第2層のみを2~40日間使用する、又は、(2)第2層のみ2~40日間使用後、第1層のみを2~40日間使用する、前記化粧料の使用方法も提供する。
【0174】
例えば一層簡便に使用可能である点から、前記工程(1)において、第1層の全量を使用したのちに第2層の使用を開始する、又は、前記工程(2)において、第2層の全量を使用したのちに第1層の使用を開始する、前記化粧料の使用方法がより好ましく例示される。
【0175】
該使用方法においても、多層型固形状クレンジング化粧料は、前述と同様に説明される。また、その使用順や使用期間等についても前述と同様に説明される。
【実施例0176】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。
【0177】
試験例
1.多層型固形状クレンジング化粧料等の調製手順
次の手順に従い、第1固形状クレンジング用組成物(第1層)、第2固形状クレンジング用組成物(第2層)をそれぞれ調製した(組成物例1-1~1-3、組成物例2-1~2-3)。また、第1固形状クレンジング用組成物(第1層)及び第2固形状クレンジング用組成物(第2層)を備える多層型固形状クレンジング化粧料を調製した(実施例1及び2)。
【0178】
なお、本試験例では、成分(1D)としてラクトビオン酸、成分(2D)としてグリチルリチン酸ステアリルを用いた。また、本試験例において用いた合成ワックスはフィッシャートロプシュワックスである。以下同様である。
1-1.第1固形状クレンジング用組成物(第1層)の調製(組成物例1-1~1-3、比較例1~4)
次の表1に従い、第1固形状クレンジング用組成物を調製した。具体的には、次の手順に従い第1固形状クレンジング用組成物を調製した(組成物例1-1~1-3)。
1)表1に示す成分(1A)、(1B)及び(1C)を約90℃に加熱しながら均一に混合して、混合物を得た。
2)表1に示す成分(1D)と水とを混合して得た混合物を、前記1)で得た混合物に添加し、約90℃に保ちながらで均一になるように混合して、混合物を得た。
3)前記2)で得た混合物に、表1に示すフェノキシエタノールを添加し、約90℃に保ちながらで均一になるように混合して、混合物を得た。
4)前記3)で得た混合物45gを、溶融状態のまま80℃でジャー容器(直径(内径)6cmの円柱状容器、ポリプロピレン樹脂製)に充填後、室温(25℃)で放冷して、ジャー容器に収容された第1固形状クレンジング用組成物を調製した。
【0179】
同様にして、比較例1~4の固形状クレンジング用組成物(比較固形状クレンジング用組成物)を調製した。
【0180】
1-2.第2固形状クレンジング用組成物(第2層)の調製(組成物例2-1~2-3、比較例5及び6)
次の表2に従い、第2固形状クレンジング用組成物を調製した。具体的には、次の手順に従い第2固形状クレンジング用組成物を調製した(組成物例2-1~2-3)。
1)表1に示す成分(2A)、(2B)及び(2C)を約90℃に加熱しながら均一に混合して、混合物を得た。
2)表1に示す成分(2D)、前記1)で得た混合物に添加し、約90℃に保ちながらで均一になるように混合して、混合物を得た。
3)前記2)で得た混合物に、表1に示すフェノキシエタノールを添加し、約90℃に保ちながらで均一になるように混合して、混合物を得た。
4)前記3)で得た混合物45gを、溶融状態のまま80℃でジャー容器(前述と同じ)に充填後、室温(25℃)で放冷して、ジャー容器に収容された第2固形状クレンジング用組成物を調製した。
【0181】
同様にして、比較例5及び6の固形状クレンジング用組成物(比較固形状クレンジング用組成物)を調製した。
【0182】
1-3.第1層及び第2層を備える多層型固形状クレンジング化粧料の調製(実施例1及び2)
前記組成物例2-1と同様にして混合物45gを溶融状態のまま80℃でジャー容器(前述と同じ)に充填後、室温(25℃)で放冷して、ジャー容器に収容された第2固形状クレンジング用組成物を調製した。これにより得た層を第2層とした。次いで、組成物例1-1と同様にして混合物45gを溶融状態のまま第2層の上に流し込み、室温(25℃)で放冷、固化し、第1固形状クレンジング用組成物を得た。これにより得た層を第1層とした。このようにして、ジャー容器内に、第2固形状クレンジング用組成物からなる層(第2層)上に、第1固形状クレンジング用組成物からなる層(第1層)が積層された、二層型固形状クレンジング化粧料(実施例1)を得た。なお、第1層の積層時に第2層は溶融せず、第1層と第2層とが混じることがなかった。また、第1層は薄い桃色、第2層は薄い黄色であり、これの層の境界が目視で明確に把握できた。
【0183】
組成物例2-1に代えて組成物例2-2を用い、組成物例1-1を組成物例1-2に代える以外は実施例1と同様にして、組成物例2-2の第2固形状クレンジング用組成物からなる層(第2層)上に、組成物例1-2の第1固形状クレンジング用組成物からなる層(第1層)が積層された、二層型固形状クレンジング化粧料(実施例2)を得た。この場合も同報に、第1層と第2層とが混じることがなく、層の色の違いにより層の境界が目視で明確に把握できた。
【0184】
1-4.混合物の調製(比較例7)
前記「1-1.第1固形状クレンジング用組成物(第1層)の調製(組成物例1-1~1-3、比較例1~4)」に示す手順1)~3)に従い、表1に示す組成物例1-2の混合物を得た。また、前記「1-2.第2固形状クレンジング用組成物(第2層)の調製(組成物例2-1~2-3、比較例5及び6)」に示す手順1)~3)に従い、表2に示す組成物例2-2の混合物を得た。次いで、約90℃に保った組成物例1-2の混合物22.5gと、約90℃に保った組成物例2-2の混合物22.5gとを十分に混合し、得られた混合物45gを、前記4)と同様にして溶融状態のまま80℃でジャー容器(前述と同じ)に充填後、室温(25℃)で放冷して、ジャー容器に収容された固形状の混合物を得た(比較例7)。
【0185】
このように、比較例7の混合物は、表1の組成物例1-2に示す成分と、表2の組成物例2-2に示す成分とが共に混合されている(角質除去成分と抗炎症成分とを共に含有する)。これに対して、前記実施例2の二層型固形状クレンジング化粧料は、主に、表1の組成物例1-2に示す成分(組成物)と、表2の組成物例2-2に示す成分(組成物)とが混合されることなく独立して配置されている点で、比較例7の混合物とは異なる。
【0186】
2.評価手順
前述のようにして得た組成物、化粧料及び混合物について、次の手順に従い、角質除去(透明感)、赤み(抗炎症)、刺激について評価した。
【0187】
角質除去評価(透明感)
組成物例1-1~1-3、組成物例2-1~2-3、比較例1~6の固形状クレンジング用組成物について、組成物3gを指で取り、専門パネラー5名の皮膚(2.5cm×2.5cm)の上で伸ばし、水道水(20℃)による流水で洗浄後(いずれも洗浄に要する水量、時間は同じとした)、皮膚の角質除去(透明感)について評価した。比較例2の組成物を用いた場合の角質除去(基準Aとする)と比較して、次の基準に従い評価した。なお、角質除去の程度は目視で確認し、パネラー間で予め照らし合わせて基準の統一化を図った。また、1日1回15日間連続して洗浄を行い、試験開始日を1日目とし、15日目の洗浄直後の皮膚について評価を行った。
【0188】
<角質除去の評価基準>
3点:基準Aよりも角質が除去されている(透明感が優れる)
2点:基準Aと角質の除去程度が同じ(同等の透明感)
1点:基準Aよりも角質が除去されていない(透明感が劣る)
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1以上1.6未満の場合を×、1.6以上2.4未満の場合を△、2.4以上3の場合を○とした。なお、判断を容易にするために、表1中、比較例2のクレンジング用組成物を用いた場合の結果を「△(基準A)」と示した。
【0189】
赤み評価
組成物例1-1~1-3、組成物例2-1~2-3、比較例1~6の固形状クレンジング用組成物について、角質除去の評価と同様にして組成物3gを指で取り、皮膚上で伸ばし、洗浄後、皮膚の赤みについて評価した。比較例6の組成物を用いた場合の赤み(基準Bとする)と比較して、次の基準に従い評価した。なお、赤みの程度は目視で確認し、パネラー間で予め照らし合わせて基準の統一化を図った。該評価も、1日1回15日間連続して洗浄を行い、試験開始日を1日目とし、15日目の洗浄直後の皮膚について評価を行った。
【0190】
<赤み抑制(抗炎症)の評価基準>
3点:基準Bよりも赤みが抑制されている(赤みが薄い、赤みの範囲が狭い又は赤みが認められない)
2点:基準Bと同程度の赤みが認められる
1点:基準Bよりも赤みが認められる(赤みが濃い又は赤みの範囲が広い)
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1以上1.6未満の場合を×、1.6以上2.4未満の場合を△、2.4以上3の場合を○とした。なお、判断を容易にするために、表2中、比較例6のクレンジング用組成物を用いた場合を「△(基準B)」と示した。
【0191】
刺激評価
組成物例1-1~1-3、組成物例2-1~2-3、比較例1~6の固形状クレンジング用組成物について、角質除去の評価と同様にして組成物3gを指で取り、皮膚上で伸ばし、洗浄後、皮膚に感じる刺激について評価した。比較例3の組成物を用いた場合の刺激(基準Cとする)と比較して、次の基準に従い評価した。なお、刺激の程度はパネラー間で予め照らし合わせて基準の統一化を図った。該評価も、1日1回15日間連続して洗浄を行い、試験開始日を1日目とし、15日目の洗浄直後の皮膚について評価を行った。
【0192】
<刺激の評価基準>
3点:基準Cよりも刺激を感じない
2点:基準Cと同程度の刺激を感じる
1点:基準Cよりも強く刺激を感じる
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1以上1.6未満の場合を×、1.6以上2.4未満の場合を△、2.4以上3の場合を○とした。なお、判断を容易にするために、表1中、比較例3のクレンジング用組成物を用いた場合を「△(基準C)」と示した。
【0193】
組成物例1-1~1-3(第1固形状クレンジング用組成物)及び比較例1~4の比較固形状クレンジング用組成物の評価結果を表1に示す。組成物例2-1~2-3(第2固形状クレンジング用組成物)及び比較例5及び6の比較固形状クレンジング用組成物用組成物の評価結果を表2に示す。
【0194】
また、実施例1及び2(二層型固形状クレンジング化粧料)については、各化粧料において、第1層から使用し、第1層を使い終えた次の日から第2層の使用を開始した。該評価は、1日1回15日間連続して第1層を用いて洗浄を行い、続いて、1日1回15日間連続して第2層を用いて洗浄し、第1層使用開始日から30日目の洗浄直後の皮膚について、前述と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0195】
比較例7(第1固形状クレンジング用組成物と第2固形状クレンジング用組成物との混合物)については、前記組成物例1-1の組成物を比較例7の混合物に代える以外は、前記組成物例1-1の組成物と同様にして1日1回15日間連続して洗浄を行い、試験開始日を1日目とし、15日目の洗浄直後の皮膚について評価を行った。結果を表3に示す。
【0196】
3.結果
結果を表1~3に示す。
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
表1に示す通り、比較例1及び2に示す組成物では、刺激の評価結果が○であったものの、角質除去の評価結果は×又は△であり、赤み(抗炎症)の評価結果は×であった。また、比較例3及び4に示す組成物では、角質除去の評価結果が○であったものの、赤みの評価結果は×であり、刺激の評価結果は△又は×であった。
【0201】
一方、表1に示す通り、組成物例1-1~1~3に示す第1固形状クレンジング用組成物では、角質除去の評価結果が○であり望ましい角質除去効果が認められ、また、刺激の評価結果も○であった。しかし、これらの組成物例では、いまだ赤みの評価結果が×であった。このことから、組成物例1-1~1~3に示す第1固形状クレンジング用組成物は、所望の角質除去効果且つ赤み抑制効果が得られるものではなかった。
【0202】
また、表2に示す通り、比較例5及び6に示す組成物では、刺激の評価結果が○であったものの、角質除去の評価結果が共に×であり、赤みの評価結果も×又は△であり、所望の角質除去効果及び赤み抑制効果が認められなかった。
【0203】
一方、表2に示す通り、組成物例2-1~2-3に示す第2固形状クレンジング用組成物では、赤みの評価結果が○であり、刺激の評価結果も○であった。しかし、これらの組成物では、角質除去の評価結果が×であった。このことから、組成物例2-1~2-3に示す第2固形状クレンジング用組成物も、所望の角質除去効果且つ赤み抑制効果が得られるものではなかった。
【0204】
このような状況において、表3に示す通り、実施例1及び2の多層型固形状クレンジング化粧料では、第1固形状クレンジング用組成物(第1層)と第2固形状クレンジング用組成物(第2層)とを混合することなく順に使用したにもかかわらず、角質除去評価、赤み評価、刺激評価の全ての結果が○であり、刺激が抑制されており、且つ、所望の角質除去効果及び赤み抑制効果が認められた。
【0205】
なお、前述の通り、組成物例1-1~1~3に示す第1固形状クレンジング用組成物は所望の角質除去効果を有するといえ、組成物例2-1~2-3に示す第2固形状クレンジング用組成物は所望の赤みの抑制効果を有するといえた。このことから、比較例7の混合物(組成物例1-2と組成物例2~2との混合物)では、所望の角質除去効果と所望の赤みの抑制効果とが共に得られることが予想された。しかし、この予想とは異なって、表3に示す通り、比較例7の混合物では、刺激抑制評価は○であったものの、角質除去評価が△、赤み抑制効果が×にとどまった。
【0206】
特に、比較例7の混合物には、角質除去成分が0.5質量%含まれており且つ抗炎症成分が0.025質量%含まれている。これらの各成分の含有量は、実施例1の多層型化粧料における含有量よりも多いことから(実施例1では、第1層において角質除去成分が0.1質量%のみ含まれており、第2層において抗炎症成分が0.01質量%のみ含まれている)、比較例7では実施例1よりも優れた角質除去効果と赤みの抑制効果とが得られることが予想された。しかし、この予想とも異なって、実施例1では角質除去評価と赤みの抑制評価が共に○であり、所望の角質除去効果と所望の赤みの抑制効果とが認められたのに対して、比較例7では前述の通り、角質除去評価が△、赤み抑制効果が×であり、実施例1の効果を明らかに下回った。
【0207】
また、表3には、実施例1、2の化粧料において各層を15日間ずつ使用した結果を示すが、それぞれの化粧料において各層を2日間ずつ使用した場合も同様に良好な結果が得られた。また、実施例1、2のそれぞれの化粧料において各層を7日間ずつ使用した場合も同様に良好な結果が得られた。
【0208】
なお、組成物例1-1~1~3及び組成物例2-1~2~3において、各組成物の容器への充填量を90gとした場合も(すなわち、1日1回30日間連続して洗浄を行い、試験開始日を1日目とし、30日目の洗浄直後の皮膚について評価を行った)、その結果は前記15日間の試験結果と同様であった。
【0209】
このことから理解できる通り、本開示の多層型固形状クレンジング化粧料は、固形状でありありながらも多層型であるというユニークな形態を備えるクレンジング化粧料である。また、このように本開示は、角質除去成分(第1層)と抗炎症成分(第2層)とを混合することなく、また、これらの成分の使用時期をずらして使用しているにもかかわらず、刺激が抑制され、且つ、所望の角質除去効果及び抗炎症効果が認められる、多層型固形状クレンジング化粧料を提供するものである。
【0210】
結果には示さないが、実施例1、2の化粧料をクレンジング剤として使用したところ、皮脂、汗、ほこり、毛穴の汚れ、ファンデーション、口紅、日焼け止め剤等の汚れを十分に洗浄できた。
【0211】
処方例
本開示の多層型固形状クレンジング化粧料の一例を以下に示す。表4に示す組成物例1-4の第1固形状クレンジング用組成物を上層、表5に示す組成物例2-4の第2固形状クレンジング用組成物を下層になるよう、前記試験例と同様にして1層ずつ積層させることにより、多層型固形状クレンジング化粧料を作製した。これにより、成分(1D)を含有する第1層と、成分(2D)を含有する第2層とを備え、第1層と該第2層とが混合されることなく使用される、良好な多層型固形状クレンジング化粧料を得ることができた。
【0212】
第1固形状クレンジング用組成物として、組成物例1-4に代えて組成物例1-5~1-9のいずれかの組成物を用いた場合や、第2固形状クレンジング用組成物として、組成物例2-4に代えて組成物例2-5又は2-6のいずれかの組成物を用いた場合も、前述同様に、成分(1D)を含有する第1層と、成分(2D)を含有する第2層とを備え、第1層と該第2層とが混合されることなく使用される、良好な多層型固形状クレンジング化粧料を得ることができた。
【0213】
このようにして得た多層型固形状クレンジング化粧料について、成分(1D)を含有する第1層と、成分(2D)を含有する第2層とを、前記試験例と同様にして、両層を混合することなく順に使用することにより、該化粧料の使用終了時に、成分(1D)に起因する有用作用と、成分(2D)に起因する有用作用とを得ることができる。
【0214】
【0215】