(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031154
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 13/00 20060101AFI20240229BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B41J13/00
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134528
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】西川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】谷口 慶充
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 康介
【テーマコード(参考)】
2C058
2C059
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF04
2C058AF51
2C058AF55
2C058AF63
2C058LA02
2C058LB06
2C058LC02
2C059AA01
2C059AA11
2C059AA26
2C059AA46
2C059AA55
2C059AA67
(57)【要約】
【課題】印刷媒体を切断することが可能な印刷装置を小型化しつつ、印刷部近傍へのアクセスを容易にする。
【解決手段】印刷装置(1)は、給紙トレイ(2)と、用紙(P)を第1搬送路(R1)に沿って搬送方向に搬送する搬送部(3)と、印刷部(5)と、分割部(6)と、を備える。搬送部(3)は、第1搬送路(R1)から分岐する第2搬送路(R2)を備え、印刷部(5)および分割部(6)は、給紙トレイ(2)の上方に位置し、かつ、分割部(6)および第1搬送路(R1)から第2搬送路(R2)への分岐部(36)は、印刷部(5)よりも搬送方向(D1)の上流側に位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を収容する収容部と、
第1搬送路を有し、前記収容部から取り出された前記印刷媒体を前記第1搬送路に沿って搬送方向に搬送する搬送部と、
前記第1搬送路を搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記第1搬送路を搬送される前記印刷媒体に分割加工を施す分割部と、を備え、
前記搬送部は、前記第1搬送路から分岐し、前記印刷部にて印刷された前記印刷媒体が搬送される第2搬送路を備え、
前記印刷部および前記分割部は、前記収容部の上方に位置し、かつ、
前記分割部および前記第1搬送路から前記第2搬送路への分岐部は、前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置している印刷装置。
【請求項2】
前記分割部は、前記印刷媒体を切断する切断部である請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記分割部は、前記印刷媒体の前記搬送方向の長さの半分よりも、前記第1搬送路における前記印刷部の印刷位置と前記分割部の分割加工位置との間の経路長が長くなる位置に位置している請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記分割部による前記印刷媒体の分割加工の完了後に、前記印刷媒体に対する印刷が開始されるように前記印刷部および前記搬送部を制御する制御部を備える請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記第1搬送路に沿って前記印刷媒体を搬送する複数のローラ対を備え、
前記分割部は、前記複数のローラ対におけるローラ対間に位置している請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置し、前記印刷媒体の端部検知を行う端部検知センサを備え、
前記分割部は、前記端部検知センサよりも前記搬送方向の上流側に位置している請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記分割部は、先端部が前記印刷部よりも前記搬送方向の下流側に位置している状態の前記印刷媒体に分割加工を施す位置、あるいは先端部が前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置している状態の前記印刷媒体に分割加工を施す位置、に位置している請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記搬送部は、前記印刷媒体を前記第2搬送路へ搬送する反転ローラ対を備え、
前記分割部は、前記反転ローラ対よりも前記搬送方向の上流側に位置している請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記搬送部は、前記第1搬送路に沿って前記印刷媒体を搬送する複数のローラ対を備え、
前記複数のローラ対の中の少なくとも1つのローラ対が、前記印刷部と前記分割部との間に位置している請求項1又は2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷のために搬送中であるシート(印刷媒体に相当)を切断する切断機構を備えた画像形成装置がある。特許文献1には、給紙トレイと、切断機構と、記録ヘッドとが水平方向に並んで配置された画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている画像形成装置では、給紙トレイと、切断機構と、記録ヘッドとが水平方向に並んで配置されているため、水平方向に画像形成装置が大型化するといった問題があった。
【0005】
本開示は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、印刷媒体を切断することが可能な印刷装置を小型化しつつ、印刷部近傍へのアクセスを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の印刷装置は、印刷媒体を収容する収容部と、第1搬送路を有し、前記収容部から取り出された前記印刷媒体を前記第1搬送路に沿って搬送方向に搬送する搬送部と、前記第1搬送路を搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記第1搬送路を搬送される前記印刷媒体に分割加工を施す分割部と、を備え、前記搬送部は、前記第1搬送路から分岐し、前記印刷部にて印刷された前記印刷媒体が搬送される第2搬送路を備え、前記印刷部および前記分割部は、前記収容部の上方に位置し、かつ、前記分割部および前記第1搬送路から前記第2搬送路への分岐部は、前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置している。
【0007】
上記構成によれば、水平方向の装置サイズを小さくできるとともに、印刷部近傍へのアクセスを容易にし、メンテナンス性の向上が図れる。
【0008】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記分割部は、前記印刷媒体を切断する切断部であってもよい。
【0009】
上記構成によれば、縁なし印刷を行ったとしても、印刷媒体の残りの部分が無駄にならず、切断部の汚れに対する対策も必要ない。
【0010】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記分割部は、前記印刷媒体の前記搬送方向の長さの半分よりも、前記第1搬送路における前記印刷部の印刷位置と前記分割部の分割加工位置との間の経路長が長くなる位置に位置していてもよい。
【0011】
上記構成によれば、分割加工の負荷による印刷媒体の位置ずれに起因した印刷ずれを無くすることができる。
【0012】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記分割部による前記印刷媒体の分割加工の完了後に、前記印刷媒体に対する印刷が開始されるように前記印刷部および前記搬送部を制御する制御部を備えていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、分割加工の負荷による印刷媒体の位置ずれに起因した印刷ずれを無くすることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記搬送部は、前記第1搬送路に沿って前記印刷媒体を搬送する複数のローラ対を備え、前記分割部は、前記複数のローラ対におけるローラ対間に位置していてもよい。
【0015】
上記構成によれば、分割加工を安定して行うことができ、分割加工の精度が向上する。また、分割加工の負荷による印刷媒体の位置ずれに起因した印刷ずれを防止できる。
【0016】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置し、前記印刷媒体の端部検知を行う端部検知センサを備え、前記分割部は、前記端部検知センサよりも前記搬送方向の上流側に位置していてもよい。
【0017】
上記構成によれば、切断された後半分の印刷媒体への印刷においても正確に印刷領域を合わせることができる。
【0018】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記分割部は、先端部が前記印刷部よりも前記搬送方向の下流側に位置している状態の前記印刷媒体に分割加工を施す位置、あるいは先端部が前記印刷部よりも前記搬送方向の上流側に位置している状態の前記印刷媒体に分割加工を施す位置、に位置していてもよい。
【0019】
上記構成によれば、分割部でのジャム発生時にユーザが印刷媒体の先端部を把持しようとして印刷部に接触する可能性を低減することができる。
【0020】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記搬送部は、前記印刷媒体を前記第2搬送路へ搬送する反転ローラ対を備え、前記分割部は、前記反転ローラ対よりも前記搬送方向の上流側に位置していてもよい。
【0021】
上記構成によれば、切断された前半分の印刷媒体を安定して第2搬送路に搬送することができる。
【0022】
本開示の一態様に係る印刷装置において、前記搬送部は、前記第1搬送路に沿って前記印刷媒体を搬送する複数のローラ対を備え、前記複数のローラ対の中の少なくとも1つのローラ対が、前記印刷部と前記分割部との間に位置していてもよい。
【0023】
上記構成とすることで、分割部の加工時の負荷にて印刷媒体が上下方向に移動しても、印刷媒体が印刷部に接触することを防いで印刷部の印刷ヘッドの短命化を回避できる。
【発明の効果】
【0024】
上記構成によれば、印刷媒体を切断することが可能な印刷装置を小型化しつつ、印刷部近傍へのアクセスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の実施形態1に係る印刷装置の構造を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置の切断部による切断加工の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す印刷装置が備える制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す印刷装置における、用紙を前半用紙と後半用紙とに切断して印刷する場合の状態の遷移を説明する図である。
【
図7】本開示の実施形態2に係る印刷装置における分割部の分割加工位置と印刷部の印刷位置との位置関係を示す説明図である。
【
図8】本開示の実施形態3に係る本実施形態の印刷装置における、分割部で分割加工を行う場合に制御部が行う制御フローの一部を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態4に係る印刷装置における分割部と印刷部との位置関係を示す説明図である。
【
図10】印刷装置における内部部品へのアクセスの仕方を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
(印刷装置の構造)
以下、本開示の実施形態における印刷装置1について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る印刷装置1の構造を示す断面図である。
図1に示す印刷装置1は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファックス機能等の複数の機能を備えたMFP(Multi-Function Peripheral)である。なお、説明の便宜上、
図1の矢印に示されるように、印刷装置1の上下方向、及び前後方向を定義する。
【0027】
印刷装置1は、印刷ジョブにより指定される印刷データを、例えばインクを吐出することにより、印刷媒体である用紙Pに記録するインクジェット方式のプリント機能を有する。なお、印刷の方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式であってもよい。また、用紙Pに印刷される画像は、カラー印刷が可能であってもよいし、モノクロ印刷専用であってもよい。また、用紙Pは、紙媒体に限らず、他にも、例えばOHPシートのような樹脂媒体であってもよい。
【0028】
図1に示すように、印刷装置1は、筐体22の内部に、収容部である給紙トレイ2と、搬送部3と、印刷部5と、分割部6の一例である切断部6Aと、排紙トレイ7と、を備えている。筐体22の上部には、スキャナユニット21が搭載されている。スキャナユニット21は、筐体22における上面部に対して開閉可能に設けられている。
【0029】
給紙トレイ2は、複数枚の用紙Pを収容するトレイであり、上面が開放している。排紙トレイ7は、印刷装置1から排出される用紙Pを収容するトレイであり、上面が開放している。給紙トレイ2は、規定サイズ、例えばA4の用紙Pを収容する。印刷装置1は、複数の給紙トレイ2を備えていてもよい。給紙トレイ2は、収容している用紙Pのサイズを設定として保持している。
【0030】
排紙トレイ7は、給紙トレイ2の上方に配置されている。給紙トレイ2および排紙トレイ7は、印刷装置1に対して着脱可能に設けられており、印刷装置1の前面側から着脱される。
【0031】
また、図示してはいないが、印刷装置1の前面には、表示画面を有する操作部が設けられている。操作部は、例えばタッチパネルからなり、ユーザのタッチ操作により、印刷装置1の印刷に関する各種の設定、及び入力情報の入力を行うことが可能な構成となっている。
【0032】
なお、印刷装置において前面、つまり装置前方とは、給紙トレイが抜去される方向、若しくは、用紙が装置外へ排紙される方向のいずれかであってよい。本実施形態の印刷装置1においては、給紙トレイ2が抜去される方向と用紙が排紙される方向とは同じ方向であるものとして説明している。
【0033】
また、装置前方とは、ユーザにて操作される操作部が配置される方向であってもよい。本実施形態の印刷装置1においては、給紙トレイ2が抜去される方向、用紙が排紙される方向、および操作部が配置されている方向が同じ方向であるものとして説明している。
【0034】
搬送部3は、図中一点鎖線で示す第1搬送路R1を有し、給紙トレイ2から取り出された用紙Pを第1搬送路R1に沿って、矢印D1にて示す搬送方向に搬送する。なお、以下、単に搬送方向D1と記載する。また、搬送部3は、第1搬送路R1から分岐され、印刷部5にて印刷された用紙Pが搬送される、図中二点鎖線で示す第2搬送路R2を備える。第2搬送路R2には、印刷部5にて印刷された用紙Pの前後を逆にして搬送される。
【0035】
印刷部5は、搬送部3にて第1搬送路R1に沿って搬送される用紙Pに画像を印刷する。切断部6Aは、搬送部3にて第1搬送路R1に沿って搬送される用紙Pに対して切断加工を施す。
【0036】
具体的には、搬送部3は、第1搬送路R1と、第2搬送路R2と、給紙ローラ30と、第1~第4搬送ローラ対31~34と、フラップ35と、複数のガイド部材40~45と、を備えている。
【0037】
給紙ローラ30は、給紙トレイ2に収容された用紙Pを第1搬送路R1へ給送する。給紙ローラ30は、給紙モータ17(
図3参照)にて駆動される。
【0038】
第1搬送路R1は、給紙トレイ2の後端部から上方に延び、湾曲して印刷部5に至り、印刷部5を通って排紙トレイ7に至る経路である。第1搬送路R1には、用紙Pの搬送を案内するガイド部材として、ガイド部材40~43が配置されている。ガイド部材40は給紙トレイ2の後端部から上方に延び、ガイド部材41,42はガイド部材40の上端部から印刷部5までを湾曲して繋ぐ。ガイド部材43は印刷部5から排紙トレイ7までを直線で繋ぐ。
【0039】
第2搬送路R2は、印刷部5よりも搬送方向D1の上流側において第1搬送路R1から分岐され、ガイド部材40とガイド部材41,42との間で、第1搬送路R1に合流する経路である。以下、第1搬送路R1から第2搬送路R2が分岐している部分を分岐部36と称し、また、第1搬送路R1に第2搬送路R2が合流する部分を合流部37と称する。第2搬送路R2には、分岐部36から合流部37を繋ぐガイド部材44,45が配置されている。
【0040】
フラップ35は、合流部37に設けられている。フラップ35は、閉じることで第2搬送路R2の一部を構成して、第2搬送路R2を第1搬送路R1に合流させる。第2搬送路R2から第1搬送路R1に用紙Pを搬送する際にフラップ35が閉じられ、第2搬送路R2から第1搬送路R1への用紙Pの搬送が可能になる。
【0041】
第1~第4搬送ローラ対31~34は、第1搬送路R1に配設されている。第1~第4搬送ローラ対31~34は、対を成すローラ間でニップを形成して用紙Pを挟持して搬送する。第1~第4搬送ローラ対31~34が第1搬送路R1に沿って用紙Pを搬送する複数のローラ対に相当する。第1~第4搬送ローラ対31~34は、第1搬送路R1において搬送方向D1の上流側から下流側に向かって順に配置されている。以下、特に断らない限り、上流側は搬送方向D1の上流側であり、下流側は搬送方向D1の下流側である。
【0042】
第1搬送ローラ対31は、ガイド部材41,42の上流側の端部である合流部37に配置されている。第2搬送ローラ対32は、ガイド部材41,42の途中の位置に配置されている。第1搬送ローラ対31および第2搬送ローラ対32は、給紙ローラ30と同じ給紙モータ17(
図3参照)によって駆動される。
【0043】
第3搬送ローラ対33は、ガイド部材41,42の下流側の端部である印刷部5よりも上流側で、かつ、分岐部36よりも搬送方向D1の下流側に配置されている。第3搬送ローラ対33は、正回転および逆回転が可能なローラ対である。第3搬送ローラ対33が正回転することにより、用紙Pが搬送方向D1に搬送される。第3搬送ローラ対33が逆回転することにより、用紙Pが搬送方向D1とは逆方向の矢印D2で示す方向に搬送され、分岐部36から第2搬送路R2へ搬送される。第3搬送ローラ対33は、用紙Pを第2搬送路R2に搬送する反転ローラ対に相当する。
【0044】
図1に示す構成例では設けていないが、第2搬送路R2への用紙Pの搬送時に分岐部36から上流側の第1搬送路R1を塞ぐフラップを分岐部36に設けてもよい。
【0045】
第4搬送ローラ対34は、ガイド部材43の下流端が位置する排紙トレイ7の上流側に配置されている。第4搬送ローラ対34は、正回転および逆回転が可能なローラ対である。第4搬送ローラ対34が正回転することにより、用紙Pが搬送方向D1に搬送され、排紙トレイ7に排出される。第4搬送ローラ対34は、用紙Pを排紙トレイ7に排出する排紙ローラに相当する。第4搬送ローラ対34は、第2搬送路R2へ搬送する際、第3搬送ローラ対33と共に逆回転される。第3搬送ローラ対33および第4搬送ローラ対34は、搬送モータ18(
図3参照)によって駆動される。
【0046】
なお、
図1に示す構成例では、第1搬送路R1に沿って用紙Pを搬送する複数のローラ対として、第1~第4搬送ローラ対31~34を例示したが、ローラ対の数および配置位置はこれに限定されるものではない。
【0047】
印刷部5は、第1搬送路R1において第3搬送ローラ対33と第4搬送ローラ対34との間に位置している。印刷部5は、用紙Pに画像を記録する、つまり印刷を行う。印刷部5は、キャリッジ51と、記録ヘッド52と、プラテン53とを有している。
【0048】
記録ヘッド52の下面には、複数のノズル(不図示)が設けられている。記録ヘッド52は、ノズルからインク滴を吐出する。記録ヘッド52の動作は制御部10(
図3参照)にて制御される。プラテン53は、用紙Pが載置される矩形板状の部材である。キャリッジ51は記録ヘッド52を搭載させて、記録ヘッド52を搬送方向D1と直交する方向に往復移動させる。プラテン53に支持された用紙Pに対して、キャリッジ51が移動する過程において、記録ヘッド52からインク滴を選択的に吐出することによって、用紙Pに画像が記録される。
【0049】
キャリッジ51は、キャリッジモータ19(
図3参照)によって駆動される。用紙Pへの画像記録において、制御部10は、用紙Pの搬送が停止している状態でキャリッジ51を用紙Pの幅方向に移動させながらノズルからインク滴を吐出させ、1行分の画像を用紙Pに記録させる記録処理と、第3搬送ローラ対33及び第4搬送ローラ対34を駆動させて用紙Pを所定の改行量だけ搬送する改行処理とを繰り返す。
【0050】
切断部6Aは、第1搬送路R1において印刷部5よりも上流側に配置されている。
図1に例示する構成では、切断部6Aは、第2搬送ローラ対32と第3搬送ローラ33との間で、かつ、後述するレジセンサ38の上流側に配置されている。
【0051】
切断部6Aは、周知のカッター機構を有し、用紙Pを切断する。具体的には、切断部6Aは、第1搬送ローラ対31と第2搬送ローラ対32とで挟持されている用紙Pに対して、カッター刃(図示せず)を用紙Pの幅方向(搬送方向D1と直交する方向)に移動させることで用紙Pを切断する。用紙Pを切断する用紙P上の位置を分割位置C(
図2参照)と称する。切断部6Aの動作は制御部10にて制御される。
【0052】
図2は、
図1に示す印刷装置1の切断部6Aによる切断加工の一例を示す図である。
図2に示すように、分割位置Cが、用紙Pの先端から用紙Pの搬送方向D1の長さの半分の位置に設定されている場合、用紙Pは下流側の前半用紙P1と、上流側の後半用紙P2とに切断される。
【0053】
本実施形態において切断部6Aは、切断部6Aの加工位置から記録ヘッド52のノズルと対向する印刷位置までの第1搬送路R1上の距離(経路長)が、用紙Pの半分の長さよりも短くなる位置に設置されている。
【0054】
図1に示すように、これら印刷部5および切断部6Aは、給紙トレイ2の上方に位置し、かつ、切断部6Aおよび分岐部36は、印刷部よりも上流側に位置している。
【0055】
また、第1搬送路R1における第3搬送ローラ33の上流側、つまり印刷部5よりも上流側には、第1搬送路R1を搬送される用紙Pの端部検知を行う端部検知センサとしてのレジセンサ38が設けられている。レジセンサ38は、用紙Pの先端および後端の通過を検知する。用紙Pが前半用紙P1と後半用紙P2とに切断され、前半用紙P1に対して画像を記録する場合、レジセンサ38は、前半用紙P1の先端および後端の通過を検知する。レジセンサ38は、印刷部5における印刷開始のタイミングを決定し、用紙上の設定位置に画像を記録するために必要なセンサである。
【0056】
レジセンサ38としては、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジセンサ38は、用紙Pがレジセンサ38の位置を通過している状態でオン信号を出力し、用紙Pがレジセンサ38の位置を通過していない状態でオフ信号を出力する。即ち、用紙Pの先端がレジセンサ38の位置に到達したタイミングから用紙Pの後端がレジセンサ38の位置を通過するまでの間はオン信号を出力し、それ以外の間はオフ信号を出力する。レジセンサ38による検知信号は、制御部10へ出力される。
【0057】
(印刷装置の制御系の構成)
図3は、
図1に示す印刷装置1が備える制御系の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、印刷装置1は、上述した各部に加え、給紙モータ17と、搬送モータ18と、キャリッジモータ19と、制御部10と、USBインターフェース(I/F)110と、LANインターフェース(I/F)111と、通信インターフェース(I/F)112とを備えている。
【0058】
制御部10は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている、制御部10には、給紙モータ17、搬送モータ18、キャリッジモータ19、記録ヘッド52、切断部6A、およびレジセンサ38が接続されている。
【0059】
制御部10は、給紙モータ17を介して、給紙ローラ30、第1および第2搬送ローラ対31,32の動作を制御する。給紙ローラ30は、第1および第2搬送ローラ対31,32と同一の給紙モータ17により駆動されるが、給紙の必要のないとき、給紙モータ17から給紙ローラ30への駆動伝達を切断できるように構成されている。給紙モータ17から給紙ローラ30への駆動伝達は、キャリッジ51の位置に連動して、接続・切断ができるように構成されている。
【0060】
制御部10は、搬送モータ18を介して第3および第4搬送ローラ対33,34の動作を制御する。制御部10は、キャリッジモータ19を介してキャリッジ51の動作を制御する。図示してはいないが、制御部10はフラップ35の動作についても制御する。
【0061】
また、制御部10は、記録ヘッド52および切断部6Aの動作を制御する。制御部10は、給紙トレイ2に収容されている用紙Pが例えばA4で、記録ヘッド52に用紙Pに記録する画像サイズがA5の場合、切断部6Aを制御して、用紙Pを搬送方向に半分に切断する。これにより、A4サイズの用紙Pは、A5サイズの前半用紙P1と後半用紙P2の2枚の用紙となる(
図2参照)。
【0062】
制御部10には、その他、印刷装置1を複合機とするために、USBインターフェース(I/F)110、LANインターフェース(I/F)111、および通信インターフェース(I/F)112が接続されている。
【0063】
(印刷装置の動作)
制御部10は、印刷部5による画像記録の指示を受けると、給紙モータ17および搬送モータ18の駆動伝達にて、給紙ローラ30、第1~第4搬送ローラ対31~34が正回転する。これにより、給紙トレイ2から用紙Pが1枚給紙され、用紙Pが第1搬送路R1に沿って搬送される。用紙Pを給紙すると、給紙ローラ30への駆動伝達は、次に用紙Pの給紙まで切断される。
【0064】
制御部10は、レジセンサ38にて用紙Pの先端通過が検知され、用紙Pの先端が第3搬送ローラ対33に到達すると、印刷部5の記録ヘッド52とタイミングを合わせて第3搬送ローラ対33の回転を開始し、印刷条件にて決定される所定の位置よりインク吐出を開始して用紙Pに画像を記録する。
【0065】
片面印刷の場合、画像が記録された用紙Pは、第1~第4搬送ローラ対31~34の正回転にて搬送され、排紙トレイ7へ排出される。次の印刷が有る場合は、給紙ローラ30へ駆動伝達が成され、次の用紙Pが給紙される。
【0066】
両面印刷の場合は、画像が記録された用紙Pは、第1および第2搬送ローラ対31、32を通過後、後端が第3搬送ローラ対33を通過する前に、第3および第4搬送ローラ対33,34を逆回転させる。これにより、用紙Pは、後端から第2搬送路R2に搬送される。第2搬送路R2に搬送された紙Pの後端が合流部37に到達すると、用紙Pは、第1および第2搬送ローラ対31、32の正回転にて第1搬送路R1を搬送される。
【0067】
用紙Pの前端が、第3搬送ローラ対33の直前に到達すると、第3および第4搬送ローラ対33,34を正回転に戻す。用紙Pは、第1~第4搬送ローラ対31~34の正回転により搬送され、印刷部5を2回目に通過する際に他方の面にも画像が記録された後、排紙トレイ7へ排出される。次の印刷が有る場合は、給紙ローラ30へ駆動伝達が成され、次の用紙Pが給紙される。
【0068】
制御部10が用紙Pの切断を切断部6Aに指示すると、切断部6Aは、第1~第4搬送ローラ対31~34の正回転により搬送される用紙Pに対して切断加工を行う。分割位置Cが、例えば用紙Pを搬送方向D1に半分に切断する位置である場合、切断部6Aは用紙Pを前半用紙P1と後半用紙P2とに分割する。
【0069】
以下、
図4~
図6を用いて、切断部6Aを用いて用紙Pを前半用紙P1と後半用紙P2とに分割して印刷する場合の状態の遷移を説明する。
図4は、
図1に示す印刷装置1における、用紙Pを前半用紙P1と後半用紙P2とに切断して印刷する場合の状態の遷移を説明する図である。
図5は
図4の続きを示す図である。
図6は
図5の続きを示す図である。
【0070】
図4の(A)に示すように、給紙ローラ30、第1~第4搬送ローラ対31~34を正回転させて、給紙トレイ2から用紙Pを給紙し、第1搬送路R1を切断部6Aの加工位置に分断位置C(
図2参照)が到達するまで搬送し、切断加工を行う。これにより、用紙Pは、太線で示される前半用紙P1と、ハーフトーンの太線で示される後半用紙P2とに分割される。
【0071】
前述したように、本実施形態において切断部6Aは、切断部6Aの加工位置から記録ヘッド52のノズルと対向する印刷位置までの第1搬送路R1上の距離(経路長)が、用紙Pの半分の長さよりも短くなる位置に設置されている。したがって、用紙Pを切断する位置で、前半用紙P1の先端は、記録ヘッド52のノズルと対向する位置に到達している。そのため、前半用紙P1の先頭部分への印刷も行われる。
【0072】
図4の(A)の状態から、
図4の(B)の状態になるまで、前半用紙P1の間欠搬送と印刷とを繰り返し、前半用紙P1の先頭部分より後の印刷を行う。この時の間欠搬送では、第1~第4の搬送ローラ対31~34はすべて正回転される。
図4の(B)は、後半用紙P2の先端が分岐部36と第2搬送ローラ対32との間にあり、後半用紙P2の後端が第1搬送ローラ対31よりも下流側に位置する状態である。
【0073】
図4の(B)の状態となると、第1および第2搬送ローラ対31、32の回転を停止する。これにより、後半用紙P2の搬送が停止される。このとき、前半用紙P1の後端部分はまだ印刷できていないので、第3および第4搬送ローラ対33、34だけを正回転させて間欠搬送を繰り返しながら、前半用紙P1の残りの部分の印刷を完遂する。
図4の(C)は、前半用紙P1の印刷が完了した状態を示している。
【0074】
図示してはいないが、片面印刷の場合、画像が記録された前半用紙P1は、第3および第4搬送ローラ対33,34の正回転により搬送され、排紙トレイ7へ排出される。次の印刷がある場合、第1~第4搬送ローラ対31~34の正回転を再開し、間欠搬送と印刷とを繰り返し、後半用紙P2に対しても画像を印刷し、その後、排紙トレイ7へ排出する。さらに続く印刷が有る場合は、給紙ローラ30へ駆動伝達が成され、次の用紙Pが給紙される。
【0075】
両面印刷の場合も片面印刷と同様に、
図4の(A)の状態から、
図4の(B)の状態になるまで、前半用紙P1の間欠搬送と印刷とを繰り返し、前半用紙P1の先頭部分より後の印刷を行う。そして、
図4の(B)の状態となると、第1および第2搬送ローラ対31、32の回転を停止し、第3および第4搬送ローラ対33,34だけを正回転で間欠搬送を繰り返しながら、
図4の(C)に示すように、前半用紙P1の残りの部分の印刷を完遂する。
【0076】
両面印刷の場合は、
図4の(C)の状態から、第3および第4搬送ローラ対33、34を逆回転させて、片面に印刷が成された前半用紙P1を第2搬送路R2に前半用紙P1を導く。そして、次に、
図5の(A)に示すように、前半用紙P1の後端部分(搬送方向D2では先端部分)が合流部37に位置する第1搬送ローラ対31の近傍にくるまで、第3および第4搬送ローラ対33、34を逆回転させる。
図5の(A)は、前半用紙P1の後端が、第1搬送ローラ対31の近傍にある状態を示している。このとき、第1および第2搬送ローラ対31,32は停止させた状態を維持している。
【0077】
図5の(A)に示す位置まで、前半用紙P1が搬送されると、前半用紙P1の先端(搬送方向D2では後端)が、第3搬送ローラ対33を抜けるまで、第1および第2搬送ローラ対31,32を正回転させ始める。このとき、第3および第4搬送ローラ対33、34は逆回転を維持する。このようにして、
図5の(B)に示す状態まで、前半用紙P1および後半用紙P2を搬送する。
図5の(B)は、前半用紙P1の先端が第3搬送ローラ対33を抜け、後半用紙P2の先端が第3搬送ローラ対33に到達する直前の状態を示している。前半用紙P1および後半用紙P2が、
図5の(B)に示す状態となると、このタイミングで第3および第4搬送ローラ対33、34を正回転に戻す。
【0078】
この後、
図5の(C)に示すように、後半用紙P2の先端が記録ヘッド52のノズルに対向する位置まで搬送し、後半用紙P2の先頭部分への印刷を行う。そして、
図4の(B)~
図5の(C)で示した状態と同じような状態を繰り返し、
図6の(A)に示すように、後半用紙P2も第2搬送路R2を用いて反転させる。その後、
図6の(B)に示すように、さらなる印刷が有る場合は、後半用紙P2の先端が第1搬送ローラ対31を抜けると、給紙ローラ30へ駆動伝達が成され、次の用紙Pが給紙される。
【0079】
(印刷装置の効果)
以上のような構成の印刷装置1において、
図1に示すように、印刷部5および切断部6Aは、給紙トレイ2の上方に位置し、かつ、切断部6Aおよび第1搬送路R1の第2搬送路R2への分岐部36は、印刷部5よりも搬送方向D1の上流側に位置している。
【0080】
上記構成によれば、印刷部5および切断部6Aを給紙トレイ2の上方に配置しているので、第1搬送路R1は下方から上方へと上下方向に延在する部分を有する。これにより、印刷部5、切断部6Aおよび給紙トレイ2が水平方向に並んで配置された構成に比べて、水平方向の印刷装置1のサイズを小さくできる。
【0081】
しかも、切断部6Aおよび第1搬送路R1から第2搬送路R2への分岐部36の両方を、印刷部5よりも搬送方向D1の上流側に位置させている。したがって、切断部6Aおよび分岐部36の有る側を印刷装置1の後方に配置することで、印刷部5を印刷装置1の前側に近づけることができる。これにより、印刷部5近傍へのアクセスが容易になり、ヘッド交換、印刷部近傍で停止した用紙Pを除去するジャム処理が容易となり、メンテナンス性が向上する。印刷部5近傍へのアクセスは、具体的には、
図1に示すスキャナユニット21を開き、筐体22の上面前側に形成されている開口23より行う。
【0082】
なお、
図1の例では、スキャナユニット21を開いて上面前側に形成された開口23よりアクセスする構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば、
図10の(A)に示すように、筐体22の前面と上面の角部を含むように開口23が設けられており、該開口23を塞ぐL字形状の扉24を開けてアクセスする構成であってもよい。あるいは、
図10の(B)に示すように、筐体22の前面上部に開口23が設けられ、該開口23を塞ぐ前面の扉25を開けてアクセスする構成であってもよい。
図10は、印刷装置における内部部品へのアクセスの仕方を示す説明図である。なお、
図10の(A)(B)における符号26は、扉24,25を開閉自在に支持するヒンジである。
【0083】
(印刷装置1のその他の注目すべき構成)
なお、本実施形態では、分割部6として切断部6Aを例示したが、分割部6としては、前述した分割位置Cに、ミシン目加工を実行するミシン目加工部、あるいは折り目加工を実行する折り目加工部であってもよい。
【0084】
ミシン目加工の場合、分割部6は、切断部6Aのカッター刃に代えて、円盤の円周上に等間隔に刃が形成されたミシン目カッターを備えることとなる。折り目加工の場合、分割部6は、切断部6Aのカッター刃に代えて、用紙Pを切断しない程度に型押しする丸刃を備えこととなる。
【0085】
但し、印刷部5の上流側に配置する分割部6を切断部6Aとした場合、効果的な縁なし印刷が可能になるといった効果を奏する。つまり、縁なし印刷では、用紙Pからはみ出すように画像を記録する必要がある。そのため、印刷後に用紙Pを切断する構成では、切断した残りの部分が無駄になる。また、画像の有る部分を切断するため、切断部6Aにインク等が付着する恐れがあり、その対策も必要となる。上記構成によれば、印刷前に用紙Pを切断するため、縁なし印刷を行ったとしても、用紙Pの残りの部分が無駄にならず、かつ、切断部6Aの汚れに対する対策も必要ない。
【0086】
ところで、
図1に例示した構成では、分割部6を第1搬送ローラ対31と第2搬送ローラ対32との間に配置しているが、分割部6の配置位置はこれに限定されるものではない。
図1に、符号X1~X3を付して分割部6の配置位置の例を示す。例えば、位置X1、X2に示すように、第2搬送ローラ対32と第3搬送ローラ対33との間に配置してもよい。その場合も、符号X1に示すように、レジセンサ38よりも下流側に分割部6を配置してもよいし、符号X2に示すように、レジセンサ38よりも上流側に分割部6を配置してもよい。また、位置X3に示すように、第1搬送ローラ対31の直前に分割部6を配置してもよい。
【0087】
但し、分割部6の配置位置としては、第1搬送ローラ対31の直前である位置X3よりも、ローラ対間となる、
図1に例示する分割部6(切断部6A)の位置、あるいは位置X1、X2が好ましい。
【0088】
上記構成によれば、分割部6が第1~第3搬送ローラ対31~33といったローラ対間に配置されているので、前後がローラ対で挟持された張りの有る状態の用紙Pに対して分割加工を行うことができる。これにより、分割加工を安定して行うことができ、分割加工の精度が向上する。また、分割加工の負荷による印刷媒体の位置ずれに起因した印刷ずれを防止できる。
【0089】
また、分割部6が切断部6Aである場合、切断部6Aの位置は、レジセンサ38よりも上流側であることが好ましい。つまり、第2搬送ローラ対32と第3搬送ローラ対33との間に配置する場合は、レジセンサ38よりも下流側の位置X1ではなく、レジセンサ38よりも上流側の位置X2が好ましい。
【0090】
切断部6Aが印刷部5とレジセンサ38との間に位置している、つまりレジセンサ38よりも下流側(位置X1)に位置する構成では、切断された後半用紙P2の先端はレジセンサ38よりも下流側にあるため検知することができない。その結果、後半用紙P2への印刷において印刷領域のバラツキが発生する。これに対し、切断部6Aをレジセンサ38よりも上流側に位置させることで、後半用紙P2の先端もレジセンサ38にて検知できる。これにより、後半用紙P2への印刷においても正確に印刷領域を合わせることができる。
【0091】
また、分割部6が切断部6Aである場合、切断部6Aは、
図1に例示する分割部6の各位置のように、反転ローラ対に相当する第3搬送ローラ対33よりも上流側に位置する構成とすることが好ましい。
【0092】
切断部6Aが第3搬送ローラ対33よりも下流側に位置している構成では、切断された前半用紙P1を第2搬送路R2に搬送する際に、第3搬送ローラ対33でニップをやり直す必要がある。ニップのやり直しは搬送のバラツキの原因となるため好ましくない。上記構成によれば、切断された前半用紙P1の第3搬送ローラ対33でのニップが維持されるので、前半用紙P1を安定して第2搬送路R2に搬送することができる。
【0093】
また、
図1に例示する第3搬送ローラ対33のように、印刷部5と分割部6との間にローラ対が位置する構成とすることが好ましい。
【0094】
印刷部5と分割部6との間にローラ対が存在しない構成では、分割部6の分割加工時の負荷にて用紙Pが上下方向に移動して印刷部5に接触する恐れがある。インクジェット方式の印刷部5の場合、記録ヘッド52が擦過する恐れがある。
【0095】
上記構成によれば、印刷部5と分割部6との間にローラ対、つまり、
図1の例示では第3搬送ローラ対33が存在している。したがって、分割部6の分割加工時の負荷にて用紙Pが上下方向に移動したとしても、用紙Pが記録ヘッド52に接触することを防いで、記録ヘッド52の短命化を回避できる。
【0096】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0097】
図7は、本実施形態の印刷装置における分割部6の分割加工位置と印刷部5の印刷位置との位置関係を示す説明図である。
図7に示すように、分割部6は、第1搬送路R1における印刷部5の印刷位置と分割部6の分割加工位置との間の経路長L1が、用紙Pの搬送方向D1の長さの半分の寸法L2よりも長くなる位置に配置されている。用紙Pの搬送方向D1の長さが、例えばA4サイズの長辺のサイズとすると、寸法L2はA5サイズの短辺のサイズとなる。インクジェット方式の印刷部5の場合、印刷位置は、最も下流側に位置するノズルの位置である。
【0098】
印刷部5での印刷が開始されている状態の用紙Pを分割加工すると、加工負荷にて用紙P体の位置がずれてしまい、これに起因した印刷ずれが起こる恐れがある。分割加工位置から印刷位置までの経路長L1が寸法L2よりも長くなる位置に分割部6を配置することで、必ず分割加工された後に用紙Pが印刷位置に到達するようになる。これにより、分割加工の負荷による用紙Pの位置ずれに起因した印刷ずれを無くすることができる。
【0099】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0100】
図8は、本実施形態の印刷装置における、分割部6で分割加工を行う場合に制御部10が行う制御フローの一部を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御部10は、分割部6で分割加工を行う場合、用紙Pの分割位置Cが分割部6の分割
加工位置に到達したかを判断する(S1)。制御部10は、用紙Pの分割位置Cが分割部6の分割加工位置に到達したと判断すると(S1でYES)、分割部6にて分割加工処理を実行させる(S2)。
【0101】
次に、制御部10は、分割部6で分割加工が完了したかを判断する(S3)。制御部10は、分割部6で分割加工が完了したと判断すると(S3でYES)、印刷部5および搬送部3に印刷処理を実行さする(S4)。
【0102】
以上のように、本実施形態の印刷装置では、制御部10が、分割部6による用紙Pの分割加工の完了後に、用紙Pに対する印刷が開始されるように印刷部5および搬送部3を制御する。
【0103】
このように、制御部10による制御により、用紙Pに対して分割加工された後に用紙Pへの印刷が開始されるようになる。これにより、実施形態2の印刷装置と同様に、分割加工の負荷による用紙Pの位置ずれに起因した印刷ずれを無くすることができる。
【0104】
〔実施形態4〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
図9は、本実施形態の印刷装置における分割部6と印刷部5との位置関係を示す説明図である。
図9の(A)に示すように、分割部6は、先端部が印刷部5よりも下流側に位置している状態の用紙Pに分割加工を施す位置に配置されている。あるいは、
図9の(B)に示すように、分割部6は、先端部が印刷部5よりも上流側に位置している状態の用紙Pに分割加工を施す位置に配置されている。
【0106】
具体的には、分割部6が用紙Pを前半用紙P1と後半用紙P2とに2分割する設定である場合、分割部6の位置は以下の2通りとなる。1)第1搬送路R1における印刷部5の下流側の端部から分割部6の分割加工位置までの経路長が、用紙Pの搬送方向D1の長さの半分の寸法L2よりも短くなる位置に分割部6が配置されている。2)第1搬送路R1における印刷部5の上流側の端部から分割部6の分割加工位置までの経路長が、用紙Pの搬送方向D1の長さの半分の寸法L2よりも長くなる位置に分割部6が配置されている。
【0107】
上記構成によれば、分割部6にて分割加工が施されている用紙Pの先端部は、印刷部5を既に通過している、あるいは印刷部5に入る前となる。したがって、分割部6でのジャム発生時にユーザが、停止している用紙Pの先端部を把持しようとして印刷部5に接触する可能性を低減することができる。
【0108】
また、上記構成によれば、用紙等の印刷媒体の無駄を低減できる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」等の達成にも貢献するものである。
【0109】
〔ソフトウェアによる実現例〕
印刷装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0110】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0111】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0112】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0113】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷装置
2 給紙トレイ(収容部)
3 搬送部
5 印刷部
6 分割部
6A 切断部
10 制御部
31 第1搬送ローラ対(搬送ローラ対)
32 第2搬送ローラ対(搬送ローラ対)
33 第3搬送ローラ対(搬送ローラ対、反転ローラ対)
34 第4搬送ローラ対(搬送ローラ対)
35 フラップ
36 分岐部
38 レジセンサ(端部検知センサ)
52 記録ヘッド
D1 搬送方向
P 用紙(印刷媒体)
R1 第1搬送路
R2 第2搬送路