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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031155
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134529
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 優
(72)【発明者】
【氏名】菅原 徳起
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA02
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA37
2C056HA52
(57)【要約】
【課題】液体噴射ヘッドの視認性およびアクセス性を向上して、液体噴射ヘッドのメンテナンス作業を容易に行うことができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射方向へ噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持する支持体と、前記支持体を支持するベース部とを有する支持ユニットと、を備え、前記支持体は、前記ベース部に対して、前記噴射方向に直交する方向に延在する回転軸回りに回転可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射方向へ噴射する第1液体噴射ヘッドを含む複数の液体噴射ヘッドと、
前記第1液体噴射ヘッドを支持する第1支持体と、前記第1支持体を支持するベース部とを有する支持ユニットと、
を備え、
前記第1支持体は、前記ベース部に対して、前記噴射方向に直交する第1方向に延在する回転軸回りに回転可能である、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記複数の液体噴射ヘッドは、液体を前記噴射方向に噴射する第2液体噴射ヘッドを含み、
前記支持ユニットは、前記ベース部に支持されるとともに前記第2液体噴射ヘッドを支持する第2支持体をさらに有し、
前記第2支持体は、前記ベース部に対して前記第1方向に延在する回転軸回りに回転可能であり、
前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記ベース部に対して独立して回転可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドを含む複数の前記液体噴射ヘッドを支持し、
前記第2支持体は、前記第2液体噴射ヘッドを含む複数の前記液体噴射ヘッドを支持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1支持体と前記第2支持体とは、前記噴射方向に見て、前記第1方向に並ぶ、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記支持ユニットは、前記第1方向に延在する回転軸部材を有し、
前記第1支持体および前記第2支持体は、前記ベース部に対して共通の前記回転軸部材を中心に回転可能である、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記噴射方向に見て、前記第1方向に直交する第2方向に長尺であり、
前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、
前記回転軸は、前記ベース部の前記第2方向に関する中心に対して前記第2方向に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記第1支持体と前記第2支持体とは、前記噴射方向に見て、前記第1方向に直交する第2方向に並び、
前記支持ユニットは、前記第1方向に延在する第1回転軸部材と、前記第1方向に延在する第2回転軸部材とを有し、
前記第1支持体は、前記第1回転軸部材を中心に回転可能であり、
前記第2支持体は、前記第2回転軸部材を中心に回転可能である、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記噴射方向に見て、前記第1方向に長尺である、
ことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、
前記第1支持体は、前記第2支持体に対して前記第2方向に配置され、
前記第1回転軸部材は、前記第1支持体の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置され、
前記第2回転軸部材は、前記第2支持体の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置され、
前記液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体および前記第2支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記第1支持体および前記第2支持体が回転した姿勢である傾斜姿勢でそれぞれの回転を規制する保持機構を具備し、
前記保持機構による前記第2支持体の前記印刷姿勢に対する前記傾斜姿勢の傾斜角度は、前記第1支持体の前記印刷姿勢に対する前記傾斜姿勢の傾斜角度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記第1支持体は、1個の前記第1液体噴射ヘッドを支持し、
前記第2支持体は、1個の前記第2液体噴射ヘッドを支持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記複数の液体噴射ヘッドの全ては、前記第1支持体に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
前記第1支持体は、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向に長尺である、
ことを特徴とする請求項11に記載の液体噴射装置。
【請求項13】
前記複数の液体噴射ヘッドのうち、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向に並ぶ前記液体噴射ヘッドの数をm(m:2以上の自然数)とし、前記第1方向に並ぶ前記液体噴射ヘッドの数をn(n:1以上の自然数)とした場合、
m>nである、
ことを特徴とする請求項11に記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、
前記回転軸は、前記ベース部の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置されている、
ことを特徴とする請求項12または13に記載の液体噴射装置。
【請求項15】
前記支持ユニットは、前記第1支持体に支持された副支持体をさらに有し、
前記複数の液体噴射ヘッドは、前記第1支持体に直接的に支持された1又は複数の前記液体噴射ヘッドと、前記副支持体に直接的に支持されることで前記副支持体を介して前記第1支持体に間接的に支持された1又は複数の前記液体噴射ヘッドと、を含み、
前記副支持体は、前記第1支持体に対して前記第1方向に延在する回転軸回りに回転可能であり、且つ、前記第1支持体の前記第2方向に関する中心に対して前記第2方向とは反対方向に配置される、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体噴射装置。
【請求項16】
前記複数の液体噴射ヘッドのうち前記第1液体噴射ヘッドを除く少なくとも1つは、前記ベース部に直接的に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項17】
前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記回転軸回りに、順方向及び逆方向の双方に回転可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項18】
前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記噴射方向とは反対方向への回転をプラスとすると、+15度以上、+75度の範囲および-15度以下、-75度以上の範囲の少なくとも一方の前記範囲で回転した姿勢を保持可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項19】
前記第1液体噴射ヘッドは、前記噴射方向とは反対方向を向く上面を有し、
前記ベース部は、前記第1液体噴射ヘッドをメンテナンスする作業者に対して、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向とは反対方向に配置され、
作業者が前記メンテナンスを行う際の前記第1支持体の姿勢は、前記第1液体噴射ヘッドの前記上面が前記メンテナンスを行う作業者の方を向く姿勢である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項20】
前記ベース部に対して前記第1支持体が前記回転軸回りに回転することを規制する規制部材をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な複数の液体噴射ヘッドを具備する。例えば、特許文献1には、複数の液体噴射ヘッドが、液滴の噴射方向に見て二次元的に配置された液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-109398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、支持ユニットに複数の液体噴射ヘッドが支持されている構成では、各液体噴射ヘッドへの視認性やアクセス性が悪く、液体噴射ヘッドのメンテナンス作業を行い難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射方向へ噴射する第1液体噴射ヘッドを含む複数の液体噴射ヘッドと、前記第1液体噴射ヘッドを支持する第1支持体と、前記第1支持体を支持するベース部とを有する支持ユニットと、を備え、前記第1支持体は、前記ベース部に対して、前記噴射方向に直交する第1方向に延在する回転軸回りに回転可能である、ことを特徴とする液体噴射装置にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る液体噴射装置の概略構成を示す図である。
図2】実施形態1に係る液体噴射装置の要部平面図である。
図3】実施形態1に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図4】実施形態1に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図5】実施形態1に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図6】実施形態1に係る第1支持体および液体噴射ヘッドの分解斜視図である。
図7】実施形態1に係る液体噴射ヘッドの平面図である。
図8】実施形態1に係る液体噴射装置の変形例1の要部平面図である。
図9】実施形態1に係る液体噴射装置の変形例1の要部断面図である。
図10】実施形態1に係る液体噴射装置の変形例1の要部断面図である。
図11】実施形態1に係る液体噴射装置の変形例1の要部断面図である。
図12】実施形態1に係る液体噴射装置の変形例2の要部平面図である。
図13】実施形態2に係る液体噴射装置の要部平面図である。
図14】実施形態2に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図15】実施形態2に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図16】実施形態2に係る液体噴射装置の側面図である。
図17】実施形態2に係る液体噴射装置の変形例1の要部平面図である。
図18】実施形態2に係る液体噴射装置の変形例2の要部平面図である。
図19】実施形態3に係る液体噴射装置の要部平面図である。
図20】実施形態3に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図21】実施形態3に係る液体噴射装置の変形例1の要部平面図である。
図22】実施形態4に係る液体噴射装置の要部平面図である。
図23】実施形態4に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図24】実施形態4に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図25】実施形態4に係る液体噴射装置の変形例1の要部平面図である。
図26】実施形態4に係る液体噴射装置の変形例1の要部断面図である。
図27】実施形態5に係る液体噴射装置の要部平面図である。
図28】実施形態5に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図29】実施形態5に係る液体噴射装置の要部断面図である。
図30】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部平面図である。
図31】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図32】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図33】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図34】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図35】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図36】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図37】規制機構の変形例を示す液体噴射装置の要部断面図である。
図38】保持機構を説明する液体噴射装置の要部平面図である。
図39】保持機構を説明する液体噴射装置の要部断面図である。
図40】実施形態2の液体噴射装置の変形例の要部断面図である。
図41】他の実施形態に係る液体噴射装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、およびZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、正方向および負方向を限定しない3つの空間軸の方向については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置1の概略構成を示す図である。図2は、図1の要部を拡大した図である。なお、本実施形態では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0009】
図示するように、液体噴射装置1は、液体の一種であるインクを印刷用の媒体Sに噴射・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行うインクジェット式記録装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
【0010】
液体噴射装置1は、複数の液体噴射ヘッド2と、液体貯留部3と、制御部である制御ユニット4と、媒体Sを送り出す搬送機構5と、移動機構6と、支持ユニット7と、これらが内部に設けられた筐体8と、を具備する。
【0011】
液体噴射ヘッド2は、インクを貯留する液体貯留部3から供給されるインクをインク滴として+Z方向に向かって噴射して印刷を行う。つまり、液体噴射ヘッド2のインク滴の「噴射方向」とは、印刷動作を行う際における方向のことを言う。本実施形態では、+Z方向は重力方向である。したがって、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向は、水平面に沿う方向となる。このような液体噴射ヘッド2は、本実施形態では、複数設けられている。なお、液体噴射装置1に設けられる液体噴射ヘッド2は、1個であってもよく、その数は特に限定されるものではない。
【0012】
支持ユニット7は、全ての液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7の詳細は、後述する。支持ユニット7は、所謂キャリッジであり、筐体8に固定されたキャリッジ軸9の軸方向に移動可能に設けられている。キャリッジ軸9は、軸方向がY軸方向となるように配置されており、支持ユニット7は、Y軸方向に往復移動可能となっている。
【0013】
液体貯留部3は、液体噴射ヘッド2から噴射される複数種類、例えば、複数色のインクを個別に貯留する。液体貯留部3としては、例えば、液体噴射装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。なお、液体貯留部3には、例えば、色や成分等が異なる複数種類のインクが貯留されている。また、液体貯留部3は、メインタンクとサブタンクとで分かれていてもよい。サブタンクが液体噴射ヘッド2に接続され、液体噴射ヘッド2からインク滴を噴射することで消費したインクをメインタンクからサブタンクに補充する構成であってもよい。
【0014】
制御ユニット4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と、半導体メモリー等の記憶装置と、を備えている。制御ユニット4は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することで液体噴射装置1の各要素、すなわち、液体噴射ヘッド2、搬送機構5、移動機構6等を統括的に制御する。
【0015】
搬送機構5は、媒体SをX軸方向に搬送するものであり、搬送ローラー5aを有する。すなわち搬送機構5は、搬送ローラー5aが回転することで媒体SをX軸方向に搬送する。搬送ローラー5aは、図示しない搬送モーターの駆動により回転する。制御ユニット4は、媒体搬送モーターの駆動を制御することで、媒体Sの搬送を制御する。なお、媒体Sを搬送する搬送機構5は、搬送ローラー5aを備えるものに限られず、例えば、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
【0016】
移動機構6は、液体噴射ヘッド2をY軸方向に往復させるための機構であり、支持ユニット7のベース部20に固定される搬送ベルト6aを具備する。搬送ベルト6aは、Y軸方向に沿って架設された無端ベルトである。搬送ベルト6aは、図示しない搬送モーターの駆動によって回転する。制御ユニット4は、搬送モーターの駆動を制御することで搬送ベルト6aを回転させて、液体噴射ヘッド2を支持ユニット7と共にY軸方向で往復移動させる。なお、支持ユニット7は、液体噴射ヘッド2と共に液体貯留部3を搭載する構成であってもよい。
【0017】
液体噴射ヘッド2は、制御ユニット4による制御のもとで、液体貯留部3から供給されたインクを複数のノズルN(図7参照)のそれぞれからインク滴として+Z方向に噴射する噴射動作を実行する。この液体噴射ヘッド2によるインク滴の噴射動作が、搬送機構5による媒体Sの搬送や移動機構6による液体噴射ヘッド2の往復移動と並行して行われることにより、媒体Sの表面にインクによる画像が形成される、いわゆる印刷動作が行われる。本実施形態では、液体噴射装置1の媒体Sに印刷を行う領域を印刷領域PAと称する。
【0018】
筐体8は、内部に液体噴射ヘッド2、制御ユニット4、搬送機構5、移動機構6、支持ユニット7、キャリッジ軸9等を収容する中空の箱形状を有する。
【0019】
筐体8は、開口部8aと、開口部8aを開閉する蓋部材8bと、を具備する。開口部8aは、液体噴射装置1の印刷領域PAよりも-Y方向に位置するメンテナンス領域MAに+X方向で対向する位置に設けられている。つまり、開口部8aは、メンテナンス領域MAの+X方向に位置する。なお、メンテナンス領域MAには、特に図示していないが、液体噴射ヘッド2のノズル面2aを払拭する払拭手段や、液体噴射ヘッド2のノズル面2aを覆うキャップ部材、キャップ部材を介して液体噴射ヘッド2内のインク等を吸引する吸引手段等を設けるようにしてもよい。また、これら払拭手段、キャップ部材、吸引手段等は、印刷領域PAとメンテナンス領域MAとの間に設けられていてもよい。
【0020】
蓋部材8bは、開口部8aを開放および閉塞するものであり、一端部が筐体8に回転可能に支持されている。
【0021】
このような液体噴射装置1では、作業者100が液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う場合には、作業者100は、蓋部材8bによって開口部8aを開放し、開口部8aの+X方向に位置する作業位置Pに立って、開口部8aを介して筐体8内のメンテナンス領域MAに位置する液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う。つまり、本実施形態では、作業者100とメンテナンス領域MAとは、X軸方向で対向する位置となっている。
【0022】
図3は、図2のA-A′線断面図である。図4は、図2のB-B′線断面図であり、支持体10の印刷姿勢を示す図である。図5は、図2のB-B′線断面図であり、支持体10の傾斜姿勢を示す図である。図6は、液体噴射ヘッド2および支持体10の一部を分解した斜視図である。図7は、液体噴射ヘッド2を-Z方向に見た平面図である。
【0023】
図7に示すように、液体噴射ヘッド2は、+Z方向の面にノズルNが開口するノズル面2aを有する。ノズル面2aは、ノズルNが開口する部材、所謂、ノズルプレート110の表面のみを含むものであってもよく、また、ノズルNが開口するノズルプレート110の表面と、ノズルプレート110の周囲に設けられた板状のヘッドカバー111の表面とを含むものであってもよい。
【0024】
液体噴射ヘッド2の図示しない内部には、ノズルNに連通する流路と、流路内にインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段とが設けられている。圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさせてノズルNからインク滴を吐出させるものを使用することができる。また、その他の圧力発生手段としては、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルNからインク滴を吐出させるものや、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルNからインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0025】
また、図6に示すように、液体噴射ヘッド2の-Z方向を向く上面2bには、内部の流路に連通する2つの流路接続部112と、内部の圧力発生手段と電気的に接続される電気接続部113と、が設けられている。液体貯留部3からのインクは、液体噴射ヘッド2の外部に設けられた不図示の流路部材を介して流路接続部112から供給される。当該流路部材は、内部にインクが流動可能なチューブ等を含み、流路接続部112と液体貯留部3とを接続する。つまり、当該流路部材の一端は流路接続部112に着脱可能に接続され、当該流路部材の他端は液体貯留部3に接続される。なお、一方の流路接続部112は、液体貯留部3から内部にインクを供給する供給口とし、他方の流路接続部112は、ノズルNから噴射されなかったインクを液体貯留部3等の外部に排出する排出口としてもよい。また、電気接続部113は、液体噴射ヘッド2の外部に設けられた不図示の電気配線部材に着脱可能に接続される。当該電気配線部材は、フレキシブル基板等を含み、電気接続部113と制御ユニット4とを電気的に接続する。
【0026】
このような液体噴射ヘッド2は、図7に示すように、-Z方向に見て、第1部分P1(ハッチングで示す部分)と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備える。
【0027】
液体噴射ヘッド2を+Z方向に平面視した際に、液体噴射ヘッド2を内包する最小面積の長方形をRとしたとき、長方形Rの長辺E1は液体噴射ヘッド2の外周の+X方向に沿う辺に重なり、長方形Rの短辺E2は液体噴射ヘッド2の外周の+Y方向に沿う辺に重なる。このような仮想的な長方形Rの長辺E1に平行な中心線をLCとする。
【0028】
第1部分P1は、中心線LCが通過する矩形状の部分である。第2部分P2は、第1部分P1から-X方向に突出する矩形状の部分である。第3部分P3は、第1部分P1から+X方向に突出する矩形状の部分である。つまり、第2部分P2と第1部分P1と第3部分P3とは、この順に+X方向に向かって配列する。
【0029】
第2部分P2と第3部分P3とは、Y軸に関して中心線LCを挟んで反対の方向に位置する。そして、互いに隣り合うようにX軸方向に配列された2つの液体噴射ヘッド2のうち一方の液体噴射ヘッド2の第2部分P2と他方の液体噴射ヘッド2の第3部分P3とが、Y軸方向で対向するように、複数の液体噴射ヘッド2がX軸方向に沿って配列される。このように、一方の液体噴射ヘッド2の第2部分P2と、他方の液体噴射ヘッド2の第3部分P3とがY軸方向で対向するように配置することで、X軸方向に沿って互いに隣り合う液体噴射ヘッド2のノズルNをX軸方向で部分的に重複させて、X軸方向に亘って連続したノズルNの列を形成することができる。なお、第2部分P2と第3部分P3とは、Y軸方向の幅が、中心線LCを通らない幅を有する。このため、複数の液体噴射ヘッド2をX軸方向に沿って配列した際に、複数の液体噴射ヘッド2が占有するY軸方向の幅をさらに狭くすることができる。
【0030】
このような液体噴射ヘッド2が支持ユニット7に支持されている。図2図6に示すように、支持ユニット7は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個、+X方向に4個並んで配置された、合計12個からなる。
【0031】
このような支持ユニット7は、支持体10と、ベース部20と、回転軸部材30と、を具備する。
【0032】
支持体10は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する板状部材である。支持体10は、各液体噴射ヘッド2を保持するための保持孔11を有する。保持孔11は、支持体10をZ軸方向に貫通して設けられている。また、保持孔11は、液体噴射ヘッド2毎に独立して設けられている。もちろん、保持孔11は、複数の液体噴射ヘッド2に亘って連続して設けてもよい。
【0033】
液体噴射ヘッド2は、+Z方向に向かって保持孔11に挿通され、液体噴射ヘッド2のフランジ部114が保持孔11の周縁部に支持される。支持体10に支持された液体噴射ヘッド2は、ノズル面2aが支持体10の+Z方向を向く面から突出する。なお、支持体10に支持された液体噴射ヘッド2のノズル面2aは、支持体10の+Z方向を向く面から突出していなくても構わない。
【0034】
各液体噴射ヘッド2は、+X方向および-X方向の両端部から突出するフランジ部114と、フランジ部114に設けられてZ軸方向に貫通する第1固定孔115と、を具備する。
【0035】
支持体10には、各液体噴射ヘッド2を固定する固定部材であるネジ116が螺合する雌ネジとなる第2固定孔12が設けられている。液体噴射ヘッド2の支持体10への固定は、ネジ116を液体噴射ヘッド2の第1固定孔115に挿入し、ネジ116を支持体10の第2固定孔12に螺合させることで行われる。つまり、液体噴射ヘッド2は、支持体10の-Z方向を向く面にネジ116の螺合によって固定される。このため、液体噴射ヘッド2の支持体10からの着脱は、支持体10の-Z方向を向く面側で行われる。もちろん、液体噴射ヘッド2の支持体10への固定は、支持体10の+Z方向を向く面にネジ116を螺合させることで行ってもよい。つまり液体噴射ヘッド2の支持体10への固定は、支持体10の+Z方向を向く面側で行うようにしてもよい。また、液体噴射ヘッド2の支持体10への固定方法は、ネジ116による固定に限定されず、例えば、クランプ等によって支持体10と液体噴射ヘッド2とを挟み込むことで行う固定であってもよい。ただし、液体噴射ヘッド2の支持体10への固定は、印刷時に位置ズレすることなく確実に固定することができると共にメンテナンス時に容易に着脱することができる構成が好ましく、ネジ116による固定が好適である。
【0036】
本実施形態の支持体10は、全ての液体噴射ヘッド2を支持する。本実施形態では、液体噴射ヘッド2は、+X方向に4個並設された列が、+Y方向に3列並べて設けられている。つまり、複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に4個並び、+Y方向に3個並んで配置される。このため+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは2以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは1以上の自然数)とした場合、m>nの関係を満たす。なお、+X方向に液体噴射ヘッド2が並ぶとは、+Y方向に見て、+X方向に隣り合って並ぶ液体噴射ヘッド2同士が完全に重なっていない場合を含む。また、+X方向に液体噴射ヘッド2が並ぶとは、+Y方向に見て、+X方向に隣り合って並ぶ液体噴射ヘッド2の一部が互いに重なっている場合を含む。つまり、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数であるmは、X軸方向に関して異なる位置にある液体噴射ヘッド2の数と換言できる。同様に+Y方向に液体噴射ヘッド2が並ぶとは、+X方向に見て、+Y方向に隣り合って並ぶ液体噴射ヘッド2同士が完全に重なっていない場合を含む。また、+Y方向に液体噴射ヘッド2が並ぶとは、+X方向に見て、+Y方向に隣り合って並ぶ液体噴射ヘッド2の一部が互いに重なっている場合を含む。つまり、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数であるnは、Y軸方向に関して異なる位置にある液体噴射ヘッド2の数と換言できる。これら液体噴射ヘッド2の+X方向および+Y方向の並びの規定は、以降において同様である。
【0037】
このような液体噴射ヘッド2の配置によって支持体10は、液体噴射ヘッド2の並ぶ数が多い+X方向に長尺で、+Y方向に短尺となっている。ここで、支持体10が+X方向に長尺であるとは、本実施形態の支持体10は+Z方向に見て矩形状を有するため、+X方向に沿った辺が長辺、+Y方向に沿った方向が短辺となる形状である。もちろん、支持体10の形状は特に限定されず、+Z方向に見て多角形状であってもよく、楕円形状、長方形状を基本として長手方向の両端部を半円形状とした、いわゆる、角丸長方形状(別名、トラック形状とも言う)であってもよい。
【0038】
ベース部20は、-Z方向の端部がキャリッジ軸9に支持されている。ベース部20は、支持体10を支持して支持体10に支持された液体噴射ヘッド2のノズル面2aを+Z方向に露出するための支持孔21を有する。支持孔21は、+Z方向に見て矩形状を有し、ベース部20をZ軸方向に貫通して設けられている。
【0039】
回転軸部材30は、支持孔21内を横断するようにベース部20に保持されている。本実施形態では、回転軸部材30は、支持孔21内において、+X方向の端部に、+Y方向が軸方向となるように配置されている。回転軸部材30は、ベース部20と一体的に設けられたものであってもよく、別体をベース部20に固定したものであってもよい。また、回転軸部材30は、ベース部20に対して回転可能に保持されたものであってもよく、ベース部20に対して回転しないように固定されたものであってもよい。
【0040】
このようなベース部20に固定された回転軸部材30に支持体10が支持されている。支持体10は、+X方向の端部に、+Y方向に亘って貫通する貫通孔13を有する。支持体10の貫通孔13内に回転軸部材30が挿入されている。そして、支持体10は、回転軸部材30を中心として回転可能となっている。すなわち、支持体10は、+Y方向に延在する仮想的な「回転軸」回りに回転可能になっており、本実施形態では、支持体10が回転可能な「回転軸」は、回転軸部材30と一致する。
【0041】
ベース部20の支持孔21を画定する-X方向側の端部には、支持体10の-X方向の端部が当接して、支持体10の端部がベース部20よりも+Z方向に回転移動するのを規制する規制機構22が設けられている。本実施形態では、規制機構22は、支持孔21の-X方向の端部の端部から、+X方向に向かって突出する凸部23を有する。この凸部23の-Z方向を向く面に、支持体10の-X方向の端部の+Z方向を向く面が当接することで、支持体10の-X方向の端部が+Z方向に回転移動するのが規制される。つまり、支持体10は、-X方向の端部が凸部23に当接した状態から、-X方向の端部の-Z方向への回転移動のみが許可される。
【0042】
なお、回転軸部材30は、支持体10に固定され、支持体10が回転軸部材30と一体的にベース部20に対して回転可能に設けられていてもよい。このように支持体10に回転軸部材30が固定されている場合にも、支持体10は、回転軸部材30と軸方向が一致する仮想的な「回転軸」回りに回転可能になっていることに含まれる。
【0043】
もちろん、回転軸部材30は、ベース部20に回転可能に支持され、回転軸部材30に対して支持体10が回転可能に支持されていてもよい。つまり、回転軸部材30は、ベース部20および支持体10の両方に固定されずに回転可能であってもよい。
【0044】
このように支持体10は、ベース部20に対して回転軸部材30と一致する+Y方向に延在する「回転軸」回りに回転可能に設けられている。つまり、本実施形態の支持体10は、「第1支持体」に相当する。また、本実施形態では、全ての液体噴射ヘッド2が支持体10に支持されている。そのため、支持体10に支持されている複数の液体噴射ヘッド2のうち何れかが、「第1液体噴射ヘッド」に相当する。
【0045】
ここで、印刷動作のために液体噴射ヘッド2からインク滴を噴射する場合には、図4に示すように、支持体10は、液体噴射ヘッド2のノズル面2aがX軸とY軸とで規定されるXY平面に沿う、言い換えると、支持体10の液体噴射ヘッド2を保持する面がXY平面に沿う水平姿勢となる。この図4に示す支持体10の姿勢を印刷姿勢と称する。これに対して、液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う際には、図5に示すように、支持体10は、ベース部20に対して+Y方向に延在する回転軸、本実施形態では、回転軸部材30回りに回転させる。これにより、支持体10の液体噴射ヘッド2を保持する面が、XY平面に対して+Y方向に沿った回転軸を中心として傾斜させた傾斜姿勢とする。本実施形態の傾斜姿勢は、ベース部20に対して支持体10の-X方向の端部が-Z方向に位置する姿勢である。言い換えると、ベース部20は、液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う作業者100に対して-X方向に配置され、本実施形態の回転軸部材30と一致する回転軸は、ベース部20の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置されている。つまり、ベース部20は、作業者100に対して-X方向に配置され、傾斜姿勢は、液体噴射ヘッド2の上面2bが作業者100を向く姿勢となっている。さらに言い換えると、ベース部20は、開口部8aに対して-X方向に配置され、傾斜姿勢は、液体噴射ヘッド2の上面2bが開口部8aを向く姿勢となっている。なお、液体噴射ヘッド2のメンテナンスとは、例えば、液体噴射ヘッド2の交換作業や、ノズル面2aの清掃作業などを言う。また、液体噴射ヘッド2の交換作業は、例えば、支持体10に対する液体噴射ヘッド2の着脱作業、液体噴射ヘッド2の流路接続部112への図示しない前述の流路部材や、電気接続部113への図示しない前述の電気配線部材の着脱作業、ネジ116による締結作業などを含むものである。また、以降は、支持体10をベース部20に対して-Z方向に回転させる回転方向を「順方向」と称し、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転させる回転方向を「逆方向」と称する。本実施形態では、支持体10を順方向に回転した傾斜姿勢となっている。
【0046】
メンテナンスを行う作業者100は、筐体8の開口部8aの+X方向の作業位置Pに立ち、開口部8aから上半身または腕を筐体8の内部に入れて、傾斜姿勢で支持された液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う。このように液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う際に、支持体10は、ベース部20の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置された+Y方向に延在する回転軸回りに回転した傾斜姿勢となっていることから、作業者100と-X方向の端に配置された液体噴射ヘッド2との距離Lが、印刷姿勢での作業者100と-X方向の端に配置された液体噴射ヘッド2との距離Lに比べて短くなり、メンテナンス作業を容易に行うことができる。また、傾斜姿勢では、支持体10は、作業者100にX軸方向で相対向する方向に傾斜するため、作業者100が-X方向の液体噴射ヘッド2を特に視認し易く、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を容易に行うことができる。ちなみに作業者100が印刷姿勢の液体噴射ヘッド2をメンテナンスする場合、作業者100と-X方向に位置する液体噴射ヘッド2との距離Lが遠いことから作業し難い。また、印刷姿勢では、作業者100から見て、-X方向に位置する液体噴射ヘッド2は、これよりも+X方向に位置する液体噴射ヘッド2に隠れてしまい、ネジ116等が視認し難く、メンテナンス作業を行い難い。
【0047】
特に、本実施形態では、傾斜姿勢は、液体噴射ヘッド2の上面2bが、作業者100、つまりは開口部8aを向く姿勢となっているため、液体噴射ヘッド2の上面2b側のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、支持体10は、全ての液体噴射ヘッド2を支持するため、複数の液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う際に、支持体10を回転させる回転動作の頻度を低減して、メンテナンスに必要な時間を短縮することができる。
【0049】
(変形例1)
図8は、実施形態1の液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。図9は、図8のC-C′線断面図である。図10は、図8のD-D′線断面図であり、支持体10の印刷姿勢を示す図である。図11は、図8のD-D′線断面図であり、支持体10の傾斜姿勢を示す図である。本変形例においても、支持体10が「第1支持体」に相当し、支持体10に支持される全ての液体噴射ヘッド2のうち何れかが「第1液体噴射ヘッド」に相当する。また、本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0050】
図示するように、支持体10の回転軸は、ベース部20の+X方向の中央部に設けられている。ベース部20の+X方向の中央部とは、ベース部20を+X方向に3分割した際の中央領域である。具体的には、支持体10の+Y方向および-Y方向の側面からY軸方向に延在する回転軸部材30が設けられている。回転軸部材30は、+X方向において支持体10の中央部に配置されている。このような回転軸部材30は、支持体10と一体的に設けられたものであってもよく、別体を互いに固定したものであってもよい。なお、支持体10のY軸方向の両側に設けられた2つの回転軸部材30は同軸となるように配置されている。
【0051】
ベース部20には、支持孔21の内面に開口して、回転軸部材30がそれぞれ挿入される軸受孔24が2個設けられている。支持体10は、回転軸部材30が軸受孔24に挿入されることで、ベース部20に対して回転軸部材30と同じ仮想的な「回転軸」回りに回転可能に設けられている。つまり、支持体10は、ベース部20に対して、+X方向の中央部に位置し、+Y方向に延在する回転軸を中心として回転可能に設けられている。
【0052】
このように支持体10のベース部20に対する回転軸が、+X方向の中央部に位置する構成であっても、上述した実施形態1と同様に、支持体10は、図10に示す印刷姿勢と、図11に示す傾斜姿勢と、を取ることができる。図11に示すように、支持体10が傾斜姿勢では、作業者100と-X方向に配置された液体噴射ヘッド2との距離Lが、印刷姿勢の距離Lに比べて短くなる。したがって、液体噴射ヘッド2の視認性を向上することができると共にメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、変形例1のように、支持体10の回転軸を+X方向の中央部に設けることで、図11に示すように、支持体10を回転させて傾斜姿勢とした場合に、支持体10の-X方向の端部は、-Z方向に移動し、+X方向の端部は+Z方向に移動する。このため、支持体10を回転させるための-Z方向のスペースを小さくすることができ、液体噴射装置1のZ軸方向の小型化を図ることができる。
【0054】
なお、支持体10の回転軸は、ベース部20の+X方向の中央部に設けられていなくてもよく、ベース部20の-X方向の端部に設けられていてもよい。
【0055】
(変形例2)
図12は、実施形態1の液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。本変形例においても、支持体10が「第1支持体」に相当し、支持体10に支持される全ての液体噴射ヘッド2のうち何れかが「第1液体噴射ヘッド」に相当する。また、本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0056】
図12に示すように、支持体10には、+X方向に液体噴射ヘッド2が3個並ぶ列が、+Y方向に9列設けられている。つまり、複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数が3個、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数が9個となるように配置されている。すなわち、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(m:1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(n:2以上の自然数)とした場合、m<nの関係を満たす。
【0057】
このように+Z方向に見て+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数mと、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数nとが、m<nを満たす場合、支持体10は、液体噴射ヘッド2の並ぶ数が多い+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。つまり、支持体10の+Y方向の幅は、+X方向の幅よりも大きくなる。このように支持体10が、+X方向に短尺なため、作業者100から最も遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2までの距離を短くすることができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0058】
(実施形態2)
【0059】
図13は、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置1の要部を+Z方向に見た平面図である。図14は、図13のE-E′線断面図である。図15は、図13のF-F′線断面図であり、第1支持体10Aの傾斜姿勢を示す図である。図16は、支持ユニット7を-Y方向に見た側面図であり、第2支持体10Bの傾斜姿勢を示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0060】
図示するように、本実施形態の支持ユニット7は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個、+X方向に4個並んで配置された、合計12個からなる。
【0061】
支持ユニット7は、複数の支持体10と、ベース部20と、回転軸部材30と、を具備する。
【0062】
支持体10は、本実施形態では、3個設けられている。各支持体10は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。本実施形態では、各支持体10は、4個の液体噴射ヘッド2を支持する。各支持体10に支持された4個の液体噴射ヘッド2は、+X方向に並設されている。つまり、4個の液体噴射ヘッド2は、+Y方向の位置が同じ位置で+X方向に異なる位置に配置されている。すなわち、本実施形態の3個の支持体10は、実施形態1の支持体10を+Y方向に3個に分割した構成となっている。このため、支持体10は、+Z方向に見て+X方向の幅が、+Y方向の幅よりも大きい。つまり、支持体10は、+Z方向に見て+X方向に長尺である。このような3個の支持体10は、+X方向の位置が同じ位置で、+Y方向に並設されている。また、支持ユニット7全体では、液体噴射ヘッド2は、X軸方向に沿って4個並設された列が、Y軸方向に沿って3列設けられている。つまり、複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に4個並び、+Y方向に3個並ぶ。このため+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは2以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは1以上の自然数)とした場合、m>nの関係を満たす。
【0063】
ベース部20は、支持体10を支持して支持体10に支持された液体噴射ヘッド2のノズル面2aを+Z方向に露出するための支持孔21を有する。支持孔21は、ベース部20をZ軸方向に貫通して設けられている。支持孔21は、各支持体10に対応して独立して設けられていてもよく、複数の支持体10に対して共通して設けられていてもよい。本実施形態では、支持孔21は、3個の支持体10に共通して1個設けられている。
【0064】
回転軸部材30は、実施形態1と同様に、支持孔21の+X方向の端部内に+Y方向が軸方向となるように配置されている。
【0065】
回転軸部材30は、ベース部20と一体的に設けられたものであってもよく、別体をベース部20に固定したものであってもよい。また、回転軸部材30はベース部20に対して回転可能に保持されたものであってもよく、ベース部20に対して回転しないように固定されたものであってもよい。
【0066】
このようなベース部20に固定された回転軸部材30に支持体10が支持されている。支持体10は、+X方向の端部に、+Y方向に亘って貫通する貫通孔13を有する。支持体10の貫通孔13内に回転軸部材30が挿入されている。そして、支持体10は、回転軸部材30を中心として回転可能となっている。すなわち、支持体10は、+Y方向に延在する仮想的な「回転軸」回りに回転可能になっており、本実施形態では、支持体10が回転可能な「回転軸」は、回転軸部材30と一致する。
【0067】
また、本実施形態の3個の支持体10は、共通の回転軸部材30によって回転可能に設けられている。また、各支持体10は、ベース部20に対して独立して回転可能となっている。すなわち、支持体10は、複数の液体噴射ヘッド2が+X方向に並設されたヘッド群毎に分割して設けられており、各支持体10は、ベース部20に対してヘッド群毎に回転可能に設けられている。
【0068】
ベース部20の支持孔21を画定する-X方向側の端部には、各支持体10の-X方向の端部が当接して、各支持体10の端部がベース部20よりも+Z方向に回転移動するのを規制する規制機構22が設けられている。本実施形態では、規制機構22は、支持孔21の-X方向の端部の端部から、+X方向に向かって突出する凸部23を有する。この凸部23の-Z方向を向く面に、各支持体10の-X方向の端部の+Z方向を向く面が当接することで、各支持体10の-X方向の端部が+Z方向に回転移動するのが規制される。つまり、各支持体10は、-X方向の端部が凸部23に当接した状態から、-X方向の端部の-Z方向への回転移動のみが許可される。
【0069】
ここで、本実施形態では、複数の支持体10の何れか1つが「第1支持体10A」であり、第1支持体10Aが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第1液体噴射ヘッド2A」である。また、第1支持体10A以外の支持体10の何れか1つが「第2支持体10B」であり、第2支持体10Bが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第2液体噴射ヘッド2B」である。本実施形態では、3個の支持体10のうち、最も+Y方向に位置する支持体10を第1支持体10Aとし、+Y方向の中央の支持体10を第2支持体10Bとする。つまり、第1支持体10Aと第2支持体10Bとは、+Y方向に並んで配置されている。上述のように第1支持体10Aと第2支持体10Bとは同じ構成であるが、もちろん、第1支持体10Aと第2支持体10Bとで液体噴射ヘッド2を支持する数や、ベース部20に対する+X方向の位置が異なるものであってもよい。また、第1支持体10Aおよび第2支持体10B以外の支持体10は、第1支持体10Aであってもよく、第2支持体10Bであってもよく、その他の支持体であってもよい。
【0070】
このように、支持ユニット7に第1支持体10Aと第2支持体10Bとを設けることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることができる。例えば、図16に示すように、第2液体噴射ヘッド2Bのメンテナンスを行う際に、第2支持体10Bのみを回転させることで、第2液体噴射ヘッド2Bの+Y方向および-Y方向の両側のスペースを空けることができる。したがって、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることで、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッド2の+Y方向および-Y方向のスペースを確保することができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業をより実施し易くすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、各支持体10は、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の群毎に支持するため、複数の液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う際に、支持体が液体噴射ヘッド2単体を支持する場合に比べて、支持体10を回転させる回転動作の頻度を低減して、メンテナンスに必要な時間を短縮することができる。
【0072】
また、本実施形態では、複数の支持体10は、共通の回転軸部材30を中心に回転可能であるため、支持体10毎に異なる回転軸部材を設ける場合に比べて部品点数を減少させて、コストを低減することができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、支持体10は、+X方向に長尺であり、ベース部20は、液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う作業者100に対して-X方向に配置され、回転軸は、印刷姿勢におけるベース部20の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置されている。筐体8の開口部8aを基準とすると、ベース部20は、筐体8の開口部8aに対して-X方向に配置され、回転軸は、印刷姿勢におけるベース部20の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置されている。さらにキャリッジ軸9を基準とすると、ベース部20は、キャリッジ軸9に対して+X方向に配置され、回転軸は、印刷姿勢におけるベース部20の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置されている。このように支持体10が+X方向に長尺であるため、作業者100と作業者100から遠くに配置された液体噴射ヘッド2との距離が遠くなるが、回転軸が作業者100から見て手前側、つまり、+X方向側に配置されることで、作業者100から遠い液体噴射ヘッド2へのアクセスが良い。このため、作業者100から遠い液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0074】
本実施形態では、隣り合う支持体10のうち、一方の支持体10に支持される液体噴射ヘッド2と、他方の支持体10に支持される液体噴射ヘッド2とのY軸方向に関する隙間は、液体噴射ヘッド2のY軸方向に関する寸法よりも長いが、これに限られない。つまり、支持ユニット7に複数の液体噴射ヘッド2を密にレイアウトする為に、隣り合う支持体10のうち、一方の支持体10に支持される液体噴射ヘッド2と、他方の支持体10に支持される液体噴射ヘッド2とのY軸方向に関する隙間を、液体噴射ヘッド2のY軸方向に関する寸法よりも短くしてもよい。このような構成であっても、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることで、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッド2の+Y方向および-Y方向のスペースを確保することができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業をより実施し易くすることができる。
【0075】
(変形例1)
図17は、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0076】
図17に示すように、支持ユニット7は、複数の支持体10と、ベース部20と、回転軸部材30と、を具備する。
【0077】
各支持体10には、複数の液体噴射ヘッド2が支持されている。本変形例の液体噴射ヘッド2は、-Z方向に見て矩形状を有する以外は、特に図示していないが、上述した実施形態1の液体噴射ヘッド2と同様に、ノズルN、ノズル面2a、ノズルプレート110、ヘッドカバー111、流路接続部112、電気接続部113、フランジ部114、第1固定孔115を有するものである。もちろん、本変形例においても、上述した実施形態1の液体噴射ヘッド2を用いることもできる。
【0078】
各支持体10に支持された複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に沿って千鳥状に配置されている。ここで、複数の液体噴射ヘッド2が+X方向に沿って千鳥状に配置されているとは、+X方向に並設された液体噴射ヘッド2を交互にY軸方向にずらして配置することである。すなわち、+X方向に並設された液体噴射ヘッド2の列が、+Y方向に2列並設され、2列の液体噴射ヘッド2の列を+X方向に半ピッチずらして配置することである。このように複数の液体噴射ヘッド2を+X方向に沿って千鳥状に配置することで、2つの液体噴射ヘッド2のノズルNを+X方向で部分的に重複させて、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成できる。本変形例では、各支持体10に支持された複数の液体噴射ヘッド2は、X軸方向に4個、Y軸方向に2個並ぶ。このため、各支持体10は、+X方向に長尺で、+Y方向に短尺となっている。
【0079】
このような支持体10は、本変形例では、6個設けられている。6個の支持体10は、+X方向の位置が同じ位置で、+Y方向に並設されている。すなわち、本変形例の6個の支持体10は、実施形態1の支持体10を+Y方向に6個に分割した構成となっている。このような6個の支持体10によって支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に4個並び、+Y方向に12個並んで配置されるすなわち、支持ユニット7において+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは2以上の自然数)とすると、m<nの関係を満たす。このため、支持ユニット7全体は、+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。
【0080】
ベース部20には、上述した実施形態2と同様の支持孔21が設けられている。支持孔21の+X方向の端部には、+Y方向が軸方向となる回転軸部材30が設けられている。そして5個の支持体10は、上述した実施形態2と同様に、共通の回転軸部材30に回転可能に支持されている。
【0081】
ここで、図17においても、複数の支持体10の何れか1つが「第1支持体10A」であり、第1支持体10Aが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第1液体噴射ヘッド2A」である。また、第1支持体10A以外の支持体10の何れか1つが「第2支持体10B」であり、第2支持体10Bが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第2液体噴射ヘッド2B」である。本変形例では、6個の支持体10のうち、最も+Y方向に位置する支持体10を第1支持体10Aとし、第1支持体10Aの-Y方向に位置する支持体10を第2支持体10Bとする。上述のように第1支持体10Aと第2支持体10Bとは同じ構成であるが、もちろん、第1支持体10Aと第2支持体10Bとで液体噴射ヘッド2を支持する数や、ベース部20に対する+X方向の位置が異なるものであってもよい。また、第1支持体10Aおよび第2支持体10B以外の支持体10は、第1支持体10Aであってもよく、第2支持体10Bであってもよく、その他の支持体であってもよい。
【0082】
このように、支持ユニット7において、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数mと、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数nとして、m<nの関係を満たす場合、液体噴射ヘッド2が+Y方向に密集しているが、+Y方向に分割された複数の支持体10を設けることで、各支持体10を個別に回転させることができる。したがって、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2のY軸方向の両側に作業スペースを確保することができる。このため、液体噴射ヘッド2のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0083】
(変形例2)
図18は、実施形態2に係る液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0084】
図18に示すように、支持ユニット7は、複数の支持体10と、ベース部20と、複数の回転軸部材30と、を具備する。
【0085】
各支持体10には、複数の液体噴射ヘッド2が支持されている。各支持体10に支持された複数の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に沿って並設されている。つまり、複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に同じ位置で、+Y方向に異なる位置となるように各支持体10に配置されている。本変形例では、各支持体10において複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に1個、+Y方向に8個並ぶ。このため、支持体10は、+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。
【0086】
このような支持体10は、本変形例では、3個設けられている。3個の支持体10は、+X方向に並設されている。つまり、3個の支持体10は、+Y方向の位置が同じ位置で、+X方向に異なる位置に配置されている。このため、支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+X方向に3個並び、+Y方向に8個並んで配置される。つまり、支持ユニット7において+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは2以上の自然数)とすると、m<nの関係を満たす。このため、支持ユニット7全体は、+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。
【0087】
ベース部20には、支持体10を保持する支持孔21が設けられている。支持孔21は、支持体10毎に独立して設けられている。つまり、ベース部20には、3個の支持孔21が+X方向に並設されている。
【0088】
各支持孔21の+X方向の端部には、+Y方向が軸方向となる回転軸部材30がそれぞれ設けられている。各支持体10は、回転軸部材30によってそれぞれベース部20に対して回転可能に支持されている。つまり、各支持体10は、独立した回転軸部材30によってベース部20に対して回転可能となっている。
【0089】
ここで、本変形例では、上述した実施形態2と同様に、複数の支持体10の何れか1つが「第1支持体10A」であり、第1支持体10Aが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第1液体噴射ヘッド2A」である。また、第1支持体10A以外の支持体10の何れか1つが「第2支持体10B」であり、第2支持体10Bが支持する複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第2液体噴射ヘッド2B」である。本変形例では、3個の支持体のうち、最も+X方向に位置する支持体10を第1支持体10Aとし、第1支持体10Aの-X方向に位置する支持体10、つまり、+X方向に並ぶ支持体10のうち中央の支持体10を第2支持体10Bとした。すなわち、第1支持体10Aと第2支持体10Bとは、+X方向に並んで配置されている。上述のように第1支持体10Aと第2支持体10Bとは同じ構成であるが、もちろん、第1支持体10Aと第2支持体10Bとで液体噴射ヘッド2を支持する数や、ベース部20に対する+Y方向の位置が異なるものであってもよい。また、第1支持体10Aおよび第2支持体10B以外の支持体10は、第1支持体10Aであってもよく、第2支持体10Bであってもよく、その他の支持体10であってもよい。また、本変形例では、第1支持体10Aを回転可能に支持する回転軸部材30を「第1回転軸部材30A」と称し、第2支持体10Bを回転可能に支持する回転軸部材30を「第2回転軸部材30B」と称する。つまり、第1支持体10Aは、第1回転軸部材30Aを中心に回転可能であり、第2支持体10Bは、第2回転軸部材30Bを中心に回転可能である。
【0090】
このように、支持ユニット7に第1支持体10Aと第2支持体10Bとを設けることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることができる。このようにメンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることで、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッド2の-X方向にスペースを確保することができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業をより実施し易くすることができる。
【0091】
また、本変形例では、各支持体10は、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の群毎に支持するため、複数の液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う際に、支持体が液体噴射ヘッド2単体を支持する場合に比べて、支持体10を回転させる回転動作の頻度を低減して、メンテナンスに必要な時間を短縮することができる。
【0092】
また、支持体10は、+X方向に短尺であり、支持体10は、+X方向の端部を回転軸として回転する。このため、支持体10を回転させた際に、-X方向の端部がZ軸方向に移動する高さを低くすることができる。したがって、筐体8内に支持体10を回転させるスペースを確保する必要がなく、液体噴射装置1をZ軸方向に小型化することができる。
【0093】
また、支持ユニット7において+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは2以上の自然数)とすると、m<nの関係を満たす。このため、支持ユニット7全体は、+Y方向に長尺であり、+X方向に短尺となっている。このように支持ユニット7が、+X方向に短尺なため、作業者100から最も遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2までの距離を短くすることができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0094】
(実施形態3)
【0095】
図19は、本発明の実施形態3に係る液体噴射装置1の要部を+Z方向に見た平面図である。図20は、図19のG-G′線断面図であり、支持体の傾斜姿勢を示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0096】
図示するように、支持ユニット7は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7は、複数の支持体10と、ベース部20と、複数の回転軸部材30と、を具備する。
【0097】
支持体10は、それぞれ1個の液体噴射ヘッド2を支持する。本実施形態では、支持ユニット7は24個の支持体10を有し、24個の液体噴射ヘッド2を支持する。また、ベース部20には、各支持体10を保持する支持孔21が設けられている。支持孔21は、本実施形態では支持体10毎に独立して設けられている。また、支持孔21は、+X方向に千鳥状に4個並設された列が、+Y方向に6列並設されている。
【0098】
回転軸部材30は、実施形態1と同様に、支持孔21内を横断するようにベース部20に保持されている。本実施形態では、回転軸部材30は、支持孔21内において、+X方向の端部に、+Y方向が軸方向となるように配置されている。
【0099】
このようなベース部20に固定された回転軸部材30に支持体10が支持されている。支持体10は、+X方向の端部に、+Y方向に亘って貫通する貫通孔13を有する。支持体10の貫通孔13内に回転軸部材30が挿入されている。そして、支持体10は、回転軸部材30を中心として回転可能となっている。すなわち、支持体10は、+Y方向に延在する仮想的な「回転軸」回りに回転可能になっており、本実施形態では、支持体10が回転可能な「回転軸」は、回転軸部材30と一致する。
【0100】
また、支持ユニット7には、複数の液体噴射ヘッド2が、+X方向に4個並び、+Y方向に12個並んで配置されている。すなわち、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数m(mは1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数n(nは2以上の自然数)とした場合、m<nの関係を満たす。このため、支持ユニット7は、+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。
【0101】
ベース部20の支持孔21を画定する-X方向側の端部には、支持体10の-X方向の端部が当接して、支持体10の端部がベース部20よりも+Z方向に回転移動するのを規制する規制機構22が設けられている。本実施形態では、規制機構22は、支持孔21の-X方向の端部の端部から、+X方向に向かって突出する凸部23を有する。この凸部23の-Z方向を向く面に、支持体10の-X方向の端部の+Z方向を向く面が当接することで、支持体10の-X方向の端部が+Z方向に回転移動するのが規制される。つまり、支持体10は、-X方向の端部が凸部23に当接した状態から、-X方向の端部の-Z方向への回転移動のみが許可される。
【0102】
ここで、本実施形態では、複数の支持体10の何れか1つが「第1支持体10A」であり、第1支持体10Aが支持する液体噴射ヘッド2が「第1液体噴射ヘッド2A」である。また、第1支持体10A以外の支持体10の何れか1つが「第2支持体10B」であり、第2支持体10Bが支持する液体噴射ヘッド2が「第2液体噴射ヘッド2B」である。また、第1支持体10Aを回転可能に支持する回転軸部材30を「第1回転軸部材30A」と称し、第2支持体10Bを回転可能に支持する回転軸部材30を「第2回転軸部材30B」と称す。本実施形態では、+Y方向に位置する2つの支持体10のうち、+X方向の支持体10を第1支持体10Aとし、-X方向の支持体10を第2支持体10Bとした。上述のように第1支持体10Aと第2支持体10Bとは同じ構成である。また、第1支持体10Aおよび第2支持体10B以外の支持体は、第1支持体10Aであってもよく、第2支持体10Bであってもよく、その他の支持体10であってもよい。
【0103】
このように支持体10は、1つの液体噴射ヘッド2を支持するため、+Z方向に見た支持体10の+X方向および+Y方向の寸法が小さく、支持体10を回転させた際に、-X方向の端部がZ軸方向に移動する高さを低くすることができる。したがって、筐体8内に支持体10を回転させるスペースを確保する必要がなく、液体噴射装置1をZ軸方向に小型化することができる。
【0104】
また、液体噴射ヘッド2を個別に支持する支持体10が個別に回転するため、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることができる。このとき、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の周囲の支持体10を回転させない印刷姿勢とすることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の周囲に作業スペースを確保して、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を行い易い。つまり、メンテナンス作業を行う液体噴射ヘッド2の+Y方向および-Y方向の支持体10を回転させないことで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の+Y方向および-Y方向に作業スペースを確保することができる。また、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の+X方向および-X方向の支持体10を回転させないことで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の-X方向に作業スペースを確保することができると共に、+X方向が他の支持体10や液体噴射ヘッド2によって隠れず、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を行い易い。
【0105】
さらに、支持ユニット7は、+X方向に短尺であるため、作業者100から最も遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2までの距離を短くすることができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0106】
なお、本実施形態では、支持体10および液体噴射ヘッド2を含む複数の組は、+X方向および+Y方向の両方に並設された、所謂、二次元的に配置されるものとしたが、特にこれに限定されず、+X方向のみまたは+Y方向のみに並設された、所謂一次元的に配置されてもよい。
【0107】
(変形例1)
図21は、本発明の実施形態3に係る液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。また、本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0108】
図示するように、支持ユニット7は、複数の支持体10と、ベース部20と、複数の回転軸部材30と、を具備する。
【0109】
各支持体10は、それぞれ液体噴射ヘッド2を1個支持する。本変形例では、支持ユニットは24個の支持体10を有し、24個の液体噴射ヘッド2を支持する。また、ベース部20には、各支持体10を保持する支持孔21が設けられている。支持孔21は、+X方向に3個並設されている。
【0110】
回転軸部材30は、上述した実施形態3と同様に、支持孔21内において、+X方向の端部に、+Y方向が軸方向となるように配置されている。
【0111】
そして、各支持孔21には、8個の支持体10が支持されている。1つの支持孔21に支持される8個の支持体10は、+Y方向に並設される。この1つの支持孔21に支持される8個の支持体10は、共通の回転軸部材30に回転可能に支持される。
【0112】
つまり、支持ユニット7には、複数の液体噴射ヘッド2が、+X方向に3個並び、+Y方向に8個並んで配置されている。すなわち、+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数m(mは1以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数n(nは2以上の自然数)とした場合、m<nの関係を満たす。このため、支持ユニット7は、+Y方向に長尺で、+X方向に短尺となっている。
【0113】
ここで、本変形例では、複数の支持体10の何れか1つが「第1支持体10A」であり、第1支持体10Aが支持する液体噴射ヘッド2が「第1液体噴射ヘッド2A」である。また、第1支持体10A以外の支持体10の何れか1つが「第2支持体10B」であり、第2支持体10Bが支持する液体噴射ヘッド2が「第2液体噴射ヘッド2B」である。本変形例では、支持体10のうち最も+Y方向および+X方向に位置する支持体10を第1支持体10Aとし、第1支持体10Aの-X方向に位置する支持体10を第2支持体10Bとした。上述のように第1支持体10Aと第2支持体10Bとは同じ構成である。また、第1支持体10Aおよび第2支持体10B以外の支持体は、第1支持体10Aであってもよく、第2支持体10Bであってもよく、その他の支持体10であってもよい。また、本変形例では、第1支持体10Aを回転可能に支持する回転軸部材30を「第1回転軸部材30A」と称し、第2支持体10Bを回転可能に支持する回転軸部材30を「第2回転軸部材30B」と称する。つまり、第1支持体10Aは、第1回転軸部材30Aを中心に回転可能であり、第2支持体10Bは、第2回転軸部材30Bを中心に回転可能である。
【0114】
このような構成であっても、支持体10は、1つの液体噴射ヘッド2を支持するため、+Z方向に見た支持体10の+X方向および+Y方向の寸法が小さく、支持体10を回転させた際に、-X方向の端部がZ軸方向に移動する高さを低くすることができる。したがって、筐体8内に支持体10を回転させるスペースを確保する必要がなく、液体噴射装置1をZ軸方向に小型化することができる。
【0115】
また、液体噴射ヘッド2を個別に支持する支持体10が個別に回転するため、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する支持体10のみを回転させることができる。このとき、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の周囲の支持体10を回転させない印刷姿勢とすることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の周囲に作業スペースを確保して、液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を行い易い。
【0116】
また、支持ユニット7は、+X方向に短尺であるため、作業者100から最も遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2までの距離を短くすることができ、液体噴射ヘッド2のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0117】
さらに複数の支持体10に共通する回転軸部材30を設けたため、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0118】
(実施形態4)
【0119】
図22は、本発明の実施形態4に係る液体噴射装置1の要部を+Z方向に見た平面図である。図23は、図22のH-H′線断面図であり、印刷姿勢を示す図である。図24は、図22のH-H′線断面図であり、傾斜姿勢を示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0120】
図示するように、本実施形態の支持ユニット7は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個、+X方向に4個並んで配置された、合計12個からなる。
【0121】
このような支持ユニット7は、支持体10と、ベース部20と、回転軸部材30と、複数の副支持体40と、副回転軸部材50と、を具備する。
【0122】
支持体10、ベース部20および回転軸部材30は、上述した実施形態1と基本的な構成は同様であるため重複する説明は省略する。
【0123】
各副支持体40は、支持体10に対して+Y方向に延在する回転軸回りに回転可能である。また、各副支持体40は、支持体10の+X方向の中心に対して-X方向に配置される。
【0124】
各副支持体40は、1個の液体噴射ヘッド2を支持する。副支持体40は、+X方向に4個並ぶ液体噴射ヘッド2のうち、-X方向の2個の液体噴射ヘッド2に対して設けられている。つまり、-X方向の2個の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個並んで配置されているため、副支持体40は、合計6個の液体噴射ヘッド2に対して設けられている。
【0125】
また、支持体10には、+X方向に4個並ぶ液体噴射ヘッド2のうち、+X方向の2個の液体噴射ヘッド2が直接的に支持されている。つまり、+X方向の2個の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個並んで配置されているため、支持体10は、6個の液体噴射ヘッド2を支持する。すなわち、本実施形態では、支持体10に直接的に支持された複数の液体噴射ヘッド2と、支持体10に副支持体40を介して間接的に支持された複数の液体噴射ヘッド2と、を含む。したがって、全ての液体噴射ヘッド2を直接的又は間接的に支持する支持体10は、「第1支持体」に相当する。また、支持体10に直接的又は間接的に支持される複数の液体噴射ヘッド2の何れかが、「第1液体噴射ヘッド」に相当する。
【0126】
具体的には、支持体10には、各副支持体40を保持する副保持孔14がZ軸方向に貫通して設けられている。副保持孔14の+X方向の端部には、+Y方向を軸方向とする副回転軸部材50が保持されている。
【0127】
副支持体40の+X方向の端部には、+Y方向に亘って貫通する副貫通孔41が設けられている。副支持体40の副貫通孔41内に副回転軸部材50が挿入されている。そして、副支持体40は、副回転軸部材50の軸を中心として回転可能となっている。すなわち、副支持体40は、+Y方向に延在する仮想的な「回転軸」回りに回転可能になっており、本実施形態では、副支持体40が回転可能な「回転軸」は、副回転軸部材50の中心軸と一致する。
【0128】
支持体10の副保持孔14を画定する-X方向側の端部には、副支持体40の-X方向の端部が当接して、副支持体40の-X方向の端部が支持体10よりも+Z方向に回転移動するのを規制する副規制部42が設けられている。本実施形態では、副規制部42は、副保持孔14の開口縁部において、+X方向に向かって突出する凸部43を有する。この凸部43の-Z方向を向く面に、副支持体40の端部の+Z方向を向く面が当接することで、副支持体40の-X方向の端部が+Z方向に回転移動するのが規制される。まり、副支持体40は、-X方向の端部が副規制部42に当接した状態から、-X方向の端部の-Z方向への回転移動のみが許可される。
【0129】
なお、副回転軸部材50は、副支持体40に固定され、支持体10に対して回転可能に支持されていてもよい。このように副支持体40に副回転軸部材50が固定されている場合にも、副支持体40は、副回転軸部材50と一致する「回転軸」を中心として回転可能になっていることに含まれる。
【0130】
このような支持ユニット7が副支持体40を有する構成では、図23に示すように支持体10および副支持体40がノズル面2aをXY平面に沿った印刷姿勢と、図24に示すように支持体10がベース部20に対して回転して傾斜すると共に、副支持体40が支持体10に対して回転して傾斜した傾斜姿勢と、を取ることができる。つまり、図24に示すように、傾斜姿勢では、水平姿勢に対して傾斜した支持体10に対して、副支持体40をさらに傾斜させることができる。このため、特に作業者100からの距離が遠い-X方向の液体噴射ヘッド2を副支持体40に支持させて回転させた傾斜姿勢とすることで、作業者100から液体噴射ヘッド2を視認し易くすることができる。加えて、当該傾斜姿勢における作業者100と作業者100からの距離が遠い-X方向の副支持体40に支持された液体噴射ヘッド2との距離Lを、水平姿勢に対して傾斜した支持体10に対して副支持体40をさらに傾斜させない状態における作業者100と作業者100からの距離が遠い-X方向の液体噴射ヘッド2との距離Lに比べてさらに短くすることができる。したがって、作業者100から遠い液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を容易に行うことができる。もちろん、作業者100に近い+X方向に配置された液体噴射ヘッド2は、上述した実施形態1と同様に傾斜するため、+X方向に配置された液体噴射ヘッド2に対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0131】
また、本実施形態では、副支持体40は、1個の液体噴射ヘッド2を支持するため、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2を支持する副支持体40のみを回転させることで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッド2の周囲に作業スペースを確保することができる。このため、液体噴射ヘッド2のメンテナンスをさらに容易に行うことができる。
【0132】
(変形例1)
図25は、実施形態4に係る液体噴射装置1の変形例の要部を+Z方向に見た平面図である。図26は、図25のI-I′線断面図であり、傾斜姿勢を示す図である。本変形例では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。また、全ての液体噴射ヘッド2を直接的又は間接的に支持する支持体10は、「第1支持体」に相当する。さらに、支持体10に直接的又は間接的に支持される複数の液体噴射ヘッド2の何れかは、「第1液体噴射ヘッド」に相当する。
【0133】
図示するように、副支持体40は、+X方向に並ぶ2個の液体噴射ヘッド2の列を共通して支持する。このような構成であっても上述した実施形態4と同様の効果を奏する。
【0134】
なお、副支持体40は、+Y方向に並ぶ3個の液体噴射ヘッド2の列を共通して支持してもよい。また、副支持体40は、+X方向に2個並び、+Y方向に3個並ぶ、合計6個の液体噴射ヘッド2を共通して支持してもよい。つまり、副支持体40の数が、1つであってもよい。
【0135】
(実施形態5)
図27は、本発明の実施形態5に係る液体噴射装置1の要部を+Z方向に見た平面図である。図28は、図27のJ-J′線断面図であり、印刷姿勢を示す図である。図29は、図27のJ-J′線断面図であり、傾斜姿勢を示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0136】
図示するように、本実施形態の支持ユニット7は、複数の液体噴射ヘッド2を支持する。支持ユニット7に支持される複数の液体噴射ヘッド2は、+Y方向に3個、+X方向に4個並んで配置された、合計12個からなる。
【0137】
支持ユニット7は、支持体10と、ベース部20と、回転軸部材30と、を具備する。
【0138】
支持体10は、6個の液体噴射ヘッド2を支持する。支持体10に支持される6個の液体噴射ヘッド2は、支持体10に+X方向に2個並び、+Y方向に3個並んで配置されている。本実施形態では、6個の液体噴射ヘッド2を支持する支持体10が「第1支持体」に相当し、この支持体10に支持される6個の液体噴射ヘッド2の何れかが「第1液体噴射ヘッド」に相当する。
【0139】
支持体10は、ベース部20の+X方向に関する中心よりも-X方向に配置されている。つまり、ベース部20の支持孔21は、+X方向に関する中心よりも-X方向に配置されている。
【0140】
回転軸部材30は、支持孔21の+X方向の端部に、+Y方向が軸方向となるように固定されている。そして、支持体10の+X方向の端部には、+Y方向に亘って回転軸部材30が挿入される貫通孔13が設けられている。このため、支持体10は、+X方向の端部において、+Y方向に延在する回転軸を中心に回転可能に設けられている。つまり、ベース部20は、液体噴射ヘッド2のメンテナンスを行う作業者100に対して-X方向に配置され、回転軸は、印刷姿勢における支持体10の+X方向に関する中心よりも+X方向に配置されている。
【0141】
また、ベース部20には、支持体10に支持される液体噴射ヘッド2以外の少なくとも1つの液体噴射ヘッド2が直接的に支持されている。本実施形態では、6個の液体噴射ヘッド2がベース部20に直接的に支持されている。なお、液体噴射ヘッド2が、ベース部20に直接的に支持されているとは、液体噴射ヘッド2がベース部20に対して回転移動しない他の部材を介して固定されていることも含む。このようなベース部20に支持される6個の液体噴射ヘッド2は、ベース部20の第1支持体10よりも+X方向に位置する。ベース部20には、液体噴射ヘッド2を直接保持するため第2保持孔25が+Z方向に貫通して設けられている。第2保持孔25は、液体噴射ヘッド2毎に独立して設けられている。もちろん、第2保持孔25は、複数の液体噴射ヘッド2に共通して設けられていてもよい。また、ベース部20には、液体噴射ヘッド2の第1固定孔115を挿通したネジ116が螺合する雌ネジである第3固定孔26が設けられている。
【0142】
このような支持ユニット7は、印刷時には、図28に示すように、液体噴射ヘッド2のノズル面2aをXY平面に沿った方向とする印刷姿勢を取ることができる。また、支持ユニット7は、メンテナンス時には、図29に示すように、支持体10に支持された液体噴射ヘッド2のみを回転させた傾斜姿勢を取ることができる。印刷姿勢では、作業者100と-X方向に配置された液体噴射ヘッド2との距離Lが、印刷姿勢の距離Lに比べて近くなり、作業者100から遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、傾斜姿勢では、支持体10は、作業者100にX軸方向で相対向する方向に傾斜するため、作業者100が液体噴射ヘッド2を視認し易く、作業者100から遠い-X方向に位置する液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を容易に行うことができる。ちなみに、傾斜姿勢では、作業者100に近い+X方向に位置する液体噴射ヘッド2は傾斜しないが、作業者100と液体噴射ヘッド2との距離が近く、液体噴射ヘッド2を視認し易いため、作業者100から遠い液体噴射ヘッド2に比べて液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業を行い易い。
【0143】
また、本実施形態では、支持体10は、一部の液体噴射ヘッド2のみを支持して回転させるため、全ての液体噴射ヘッド2を支持する大きさが不要となり、小型化を図ることができる。したがって、支持体10を回転させるZ軸方向のスペースを比較的小さくすることができ、液体噴射装置1のZ軸方向の小型化を図ることができる。
【0144】
なお、本実施形態では、ベース部20に対して1つの支持体10が回転可能に設けられていたが、これには限られない。ベース部20に対して複数の支持体10が回転可能に設けられていてもよい。また、1つの支持体10が支持する液体噴射ヘッド2の数は、1個でもよい。
【0145】
(他の変形例)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0146】
上述した各実施形態では、規制機構22として凸部23を設け、支持体10の-X方向の端部が、+Z方向に移動しないようにしたが、規制機構22の構成は特にこれに限定されるものではない。規制機構22の変形例について、図30~37を参照して説明する。なお、図30は、規制機構22の変形例を説明する液体噴射装置1の要部を+Z方向に見た平面図である。図31は、図30のK-K′線断面図であり、規制機構22による規制状態を示す図である。図32は、図30のK-K′線断面図であり、規制機構22による非規制状態を示す図である。図33は、K-K′線に準じた支持ユニット7の断面図であり、規制状態を示す図である。図34は、K-K′線に準じた支持ユニット7の断面図であり、非規制状態への移行を示す図である。図35は、K-K′線に準じた支持ユニット7の断面図であり、非規制状態を示す図である。図36は、K-K′線に準じた支持ユニット7の断面図であり、規制状態を示す図である。図37は、K-K′線に準じた支持ユニット7の断面図であり、非規制状態を示す図である。図30~37に示す変形例において、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向である。
【0147】
図30図33に示すように、規制機構22は、ベース部20に設けられた開口部27と、開口部27内にX軸方向に沿って往復移動可能に設けられた規制部材28と、を具備する。
【0148】
規制部材28のY軸方向の両側面には、それぞれ板状のスライド突起28aが設けられている。開口部27のY軸方向の両側の内面には、スライド突起28aが挿入される溝部27aがX軸方向に沿って設けられている。規制部材28は、スライド突起28aを溝部27aに挿入することで、ベース部20に対してX軸方向への移動が規制された状態で、X軸方向に沿って往復移動することができる。
【0149】
規制部材28の+X方向の端部には、支持体10に嵌合する凹部28bが設けられている。規制部材28は、図31に示すように、ベース部20に対して+X方向に移動することで、凹部28bが支持体10の-X方向の端部に嵌合し、支持体10の-X方向の端部が+Z方向および-Z方向に回転移動するのを規制する。また、規制部材28は、図32に示すように、ベース部20に対して-X方向に移動することで、凹部28bが支持体10の-X方向の端部の嵌合を解除し、支持体10の-X方向の端部が+Z方向および-Z方向に回転移動することが許容される。
【0150】
このように印刷姿勢において、規制機構22が、支持体10の-X方向の端部の+Z方向および-Z方向の回転移動を規制することで、印刷時に支持体10が振動や衝撃で回転移動するのを抑制することができる。また、メンテナンス時には、規制機構22が、支持体10の回転移動の規制を解除することで、支持体10を傾斜姿勢とすることができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0151】
また、図33図35に示すように、規制機構22は、ベース部20に設けられて、支持孔21の-X方向の内面に開口する規制孔29と、規制孔29内にX軸方向に移動可能に設けられたピン60と、規制孔29内に設けられてピン60を+X方向に向かって付勢する圧縮バネ61と、を具備するようにしてもよい。
【0152】
支持体10には、ピン60に対向する位置に凹部15が設けられている。図33に示すように、印刷姿勢では、ピン60が支持体10の凹部15に挿入されることで、支持体10の-X方向の端部が+Z方向および-Z方向に移動するのを規制する。
【0153】
図34に示すように、支持体10を圧縮バネ61の付勢力に抗して回転移動させることで、ピン60を-X方向に移動する。これにより、図35に示すように、支持体10の-X方向の端部を-Z方向に移動することができる。なお、図34では、支持体10の-X方向の端部を-Z方向に回転移動させているが、+Z方向への回転移動も同様である。
【0154】
また、図36および図37に示すように、実施形態1で示した規制機構22の凸部23を、X軸方向に移動可能にしてもよい。印刷姿勢では、図36に示すように、凸部23が+X方向に移動することで、支持体10の-X方向の端部が+Z方向に回転移動するのを規制する。なお、実施形態1~5と同様に、図36に示す状態では、支持体10の-X方向の端部の-Z方向への回転移動は規制されない。また、図37に示すように、凸部23が-X方向に移動することで、支持体10の-X方向の端部の+Z方向および-Z方向への回転移動が許容される。
【0155】
これら図30図37の規制機構22は、実施形態1の規制機構22を変更したものであるが、もちろん、他の実施形態の規制機構22および副規制部42にも適用することができる。また、図30図37に示す規制機構22を設けることで、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転、すなわち、「逆方向」に回転することができる。つまり、支持体10を回転させるとは、ベース部20に対して-Z方向に回転させるものに限定されず、+Z方向に回転させるものも含まれる。言い換えると、支持体10の傾斜姿勢とは、液体噴射ヘッド2のノズル面2aが、作業者100、つまりは、開口部8aを向く姿勢であってもよい。ちなみに、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転させることで、作業者100は、ノズル面2a側にアクセスし易くなり、ノズル面2aの清掃などのノズル面2a側のメンテナンスを行うことができる。また、液体噴射ヘッド2は、印刷姿勢において、支持体10の+Z方向を向く面側で着脱される場合には、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転させることで、液体噴射ヘッド2の交換作業、ネジ116による締結作業などのメンテナンスを行うことができる。さらに、支持体10が、順方向および逆方向に回転可能に設けられることで、液体噴射ヘッド2と支持体10とを固定するネジ116が、支持体10の+Z方向を向く面または-Z方向を向く面の何れに設けられていたとしても、ネジ116の着脱作業を容易に行うことができる。また、液体噴射ヘッド2の流路接続部112および電気接続部113とノズル面2aとが異なる面に設けられていたとしても、流路部材および電気配線部材の着脱やノズル面2aの払拭作業等のメンテナンスを容易に行うことができる。同様に、副支持体40を回転させるとは、支持体10に対して-Z方向に回転させるものに限定されず、+Z方向に回転させるものも含まれる。
【0156】
また、上述した各実施形態の液体噴射装置1は、支持体10が回転した傾斜姿勢を保持する保持機構を有するものであってもよい。ここで、実施形態1の支持ユニット7に保持機構70を設けた構成を図38および図39を参照して説明する。なお、図38は、実施形態1の液体噴射装置1に保持機構70を設けた要部を+Z方向に見た平面図である。図39は、図38のL-L′線断面図であり、傾斜姿勢を示す図である。図38および図39において、「第1方向」は+Y方向であり、「第2方向」は+X方向であり、支持体10は「第1支持体」であり、支持体10に支持される複数の液体噴射ヘッド2の何れかが「第1液体噴射ヘッド」である。
【0157】
図示するように、保持機構70は、ベース部20に設けられた保持部材71と、支持体10から-Y方向に突出する突起部72と、突起部72の+Z方向の面に設けられて保持部材71の端部が挿入される凹部73と、を具備する。
【0158】
保持部材71は、棒状部材からなり、基端部がベース部20の-Z方向の面に回転可能に設けられている。
【0159】
このような保持部材71は、図39に示すように、支持体10がベース部20に対して回転した状態で、保持部材71をベース部20に対して回転させて、先端を突起部72の+Z方向の面に設けられた凹部73に挿入する。これにより、支持体10の-X方向の端部は、保持部材71によって+Z方向への回転移動が規制される。つまり、支持体10は、保持機構70によって傾斜した状態が維持される。つまり、保持機構70は、支持体10の回転軸回りの回転を規制する「規制部材」として機能する。
【0160】
なお、保持機構70による支持体10の印刷姿勢に対する傾斜姿勢の傾斜角度θは、支持体10がベース部20に対して-Z方向に回転移動をプラスで表すと、+15度以上、+75度以下であることが好ましい。また、傾斜角度θは、より好ましくは+30度以上、+60度以下であり、さらに好ましくは+40度以上、+50度以下である。
【0161】
傾斜姿勢の傾斜角度θを上記の範囲とすることで、液体噴射ヘッド2と支持体10との固定を解除した際に液体噴射ヘッド2が落下するのを抑制することができる。また、ノズル面2aを払拭する際に、ノズル面2aからインクが垂れるのを抑制することができる。また、傾斜角度θを上記の範囲とすることで、液体噴射ヘッド2がベース部20に対して高い位置および低い位置に配置されるのを抑制して、メンテナンス作業を行い易くすることができる。さらに傾斜角度θを上記の範囲とすることで、支持体10を大きな傾斜角度で回転させる必要がないため、支持体10を回転させるための+Z方向のスペースを小さくすることができる。また、傾斜角度θを上記の範囲とすることで、傾斜角度が低すぎることによるメンテナンス作業が行い難くなるのを抑制することができる。
【0162】
なお、保持機構70は、特にこれに限定されず、上述した図30図37に示す規制機構22と同様の構成であってもよい。つまり、適当な位置に図30図37に示す規制機構22を保持機構として設けることで、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転させた傾斜姿勢で保持することができる。なお、支持体10をベース部20に対して+Z方向に回転する傾斜角度θをマイナスで表すと、傾斜角度θは、-15度以下、-75度以上であることが好ましく、より好ましくは-30度以下、-60度以上であり、さらに好ましくは-40度以下、-50度以上である。マイナス方向への回転においても、上記と同様の効果を奏する。さらに、実施形態1以外の他の実施形態や変形例などの支持体10の傾斜角度や副支持体40の傾斜角度についても同様の範囲であることが好ましい。
【0163】
また、保持機構70を設けることで、上述した実施形態2の変形例2や実施形態3などの+X方向に並設された第1支持体10A、第2支持体10Bの夫々の保持機構70による傾斜角度を異ならせるようにしてもよい。さらに、保持機構70を設けることで、上述した実施形態4などの+X方向に並設された複数の副支持体40の夫々の保持機構70による傾斜角度を異ならせるようにしてもよい。
【0164】
ここで、実施形態2の変形例について図40を参照して説明する。なお、図40は、実施形態2の変形例2の変形例を示す要部断面図である。
【0165】
図40に示すように、第1支持体10Aおよび第2支持体10Bは、上述した実施形態2の変形例2と同様の配置となっている。つまり、+X方向に並設された3つの支持体10のうち、最も+X方向に位置する支持体10を「第1支持体10A」の一例とし、中央の支持体10を「第2支持体10B」の一例とした。また、図40に示す例では、最も-X方向に位置する支持体10も「第2支持体10B」の一例とした。そして、図40では図示していないが、第1支持体10Aおよび第2支持体10Bのそれぞれに保持機構70が設けられている。
【0166】
保持機構70が支持する第2支持体10Bの印刷姿勢に対する傾斜姿勢における傾斜角度θ2は、第1支持体10Aの印刷姿勢に対する傾斜姿勢における傾斜角度θよりも大きい。つまり、第2支持体10Bの傾斜角度θと第1支持体10Aの傾斜角度θとはθ>θの関係を満たす。このように、θ>θとすることで、作業者100から遠い第2支持体10Bをより作業者100に近づけることができると共に、第2支持体10Bに支持された液体噴射ヘッド2を作業者100によってより視認し易くすることができる。したがって、第2支持体10Bに支持された液体噴射ヘッド2のメンテナンスを容易に行うことができる。また、第1支持体10Aの傾斜角度θを第2支持体10Bの傾斜角度θよりも小さくすることで、第2支持体10Bに支持された液体噴射ヘッド2が、第1支持体10Aに隠れ難く、第2支持体10Bに支持された液体噴射ヘッド2の視認性を向上してメンテナンス作業を行い易い。もちろん、第1支持体10Aもベース部20に対して回転した傾斜姿勢となるため、第1支持体10Aに支持された液体噴射ヘッド2のメンテナンス作業も行い易い。なお、第1支持体10Aおよび第2支持体10Bをベース部20よりも+Z方向に回転移動させた場合にも同様である。もちろん、傾斜角度θ、θは、逆の関係であってもよい。つまり、第1支持体10Aの傾斜角度θは、第2支持体10Bの傾斜角度θよりも大きい、すなわち、θ>θの関係を満たす関係であってもよい。なお、ここで説明した構成は、実施形態3、実施形態4などにも適用可能である。
【0167】
また、上述した各実施形態では、開口部8aを筐体8の+X方向を向く面に配置したが、特にこれに限定されない。例えば、図41に示すように、開口部8aを筐体8の-Y方向を向く面に設けるようにしてもよい。この場合、作業者100は、筐体8の-Y方向を作業位置Pとして作業する。このため、支持体10は、ベース部20に対して+X方向に延在する回転軸部材30と一致する回転軸を中心に回転可能に設けられている。つまり、図41に示す構成では、「第1方向」は+X方向であり、「第2方向」は-Y方向となる。このような構成であっても、上述した実施形態1と同様の効果を奏する。
【0168】
また、上述した各本実施形態では、+Z方向は重力方向であり、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向は水平面に沿う方向であったが、これに限られない。例えば、+Z方向は、略重力方向であってもよい。ここで、略重力方向とは、重力方向との成す角度が15度以内であることを指す。つまり、Z軸方向に垂直なXY平面は、水平面に対して略平行であってもよい。換言すれば、支持体10やベース部20、副支持体40等の印刷姿勢は、略水平姿勢であってもよい。さらに、「噴射方向」は、+Z方向とは反対の方向、つまり-Z方向であってもよい。このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の効果を奏する。
【0169】
また、上述の各実施形態において、支持体10や副支持体40の印刷姿勢から傾斜姿勢への回転動作は、制御ユニット4によって制御される図示しない駆動源を駆動することによって実行するようにしてもよい。
【0170】
また、上述の各実施形態において、支持ユニット7において+X方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をm(mは2以上の自然数)、+Y方向に並ぶ液体噴射ヘッド2の数をn(nは2以上の自然数)としたとき、m=nの関係を満たしていてもよい。
【0171】
上述した各実施形態では、液体噴射ヘッド2を支持する支持ユニット7を往復させるシリアル方式の液体噴射装置1が例示されるが、複数のノズルNが媒体Sの全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置にも本発明を適用することが可能である。すなわち、液体噴射ヘッド2を保持する支持ユニット7は、シリアル方式の支持ユニット7に限定されず、ライン方式において液体噴射ヘッド2を支持する構造体でもよい。この場合、例えば、複数の液体噴射ヘッド2が媒体PMの幅方向に並んで配置され、当該複数の液体噴射ヘッド2が1つの支持ユニット7に保持される。
【0172】
さらに、本発明は、液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置の全般を対象としたものであり、インクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッドの他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を備える液体噴射装置にも適用することができる。
【0173】
(付記)
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0174】
好適な態様である態様1に係る液体噴射装置は、液体を噴射方向へ噴射する第1液体噴射ヘッドを含む複数の液体噴射ヘッドと、前記第1液体噴射ヘッドを支持する第1支持体と、前記第1支持体を支持するベース部とを有する支持ユニットと、を備え、前記第1支持体は、前記ベース部に対して、前記噴射方向に直交する第1方向に延在する回転軸回りに回転可能である。このように第1支持体をベース部に対して回転させることで、作業者が液体噴射ヘッドを視認し易くなる。また、第1支持体をベース部に対して回転させることで、液体噴射ヘッドへのアクセスが向上し、メンテナンス作業が容易になる。
【0175】
態様1の具体例である態様2において、前記複数の液体噴射ヘッドは、液体を前記噴射方向に噴射する第2液体噴射ヘッドを含み、前記支持ユニットは、前記ベース部に支持されるとともに前記第2液体噴射ヘッドを支持する第2支持体をさらに有し、前記第2支持体は、前記ベース部に対して前記第1方向に延在する回転軸回りに回転可能であり、前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記ベース部に対して独立して回転可能である。このように第1支持体および第2支持体が独立して回転可能であるため、メンテナンス対象となる液体噴射ヘッドを支持する支持体のみを回転させることができる。このようにメンテナンス対象となる液体噴射ヘッドを支持する支持体のみを回転させることで、メンテナンス対象の液体噴射ヘッドの周囲にメンテナンス作業を行うスペースを確保することができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0176】
態様2の具体例である態様3において、前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドを含む複数の前記液体噴射ヘッドを支持し、前記第2支持体は、前記第2液体噴射ヘッドを含む複数の前記液体噴射ヘッドを支持する。このように、第1支持体および第2支持体のそれぞれが複数の液体噴射ヘッドを支持することで、複数の液体噴射ヘッドをメンテナンスする際に、第1支持体および第2支持体が液体噴射ヘッドを単体で支持する場合に比べて、回転動作の頻度を低減して、メンテナンス時間の短縮が図れる。
【0177】
態様3の具体例である態様4において、前記第1支持体と前記第2支持体とは、前記噴射方向に見て、前記第1方向に並んで配置される。このように第1支持体と第2支持体とが第1方向に並ぶことで、メンテナンスを行う液体噴射ヘッドを支持する支持体のみを回転させることで、液体噴射ヘッドの第1方向の両側のスペースを確保することができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0178】
態様4の具体例である態様5において、前記支持ユニットは、前記第1方向に延在する回転軸部材を有し、前記第1支持体および前記第2支持体は、前記ベース部に対して共通の前記回転軸部材を中心に回転可能である。このように第1支持体および第2支持体は、共通の回転軸部材に回転可能に設けられることで、第1支持体および第2支持体のそれぞれに異なる回転軸部材を設ける場合に比べて、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0179】
態様4の具体例である態様6において、前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記噴射方向に見て、前記第1方向に直交する第2方向に長尺であり、前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、前記回転軸は、前記ベース部の前記第2方向に関する中心に対して前記第2方向に配置されている。このように、第1支持体および第2支持体は、第2方向に長尺とすることで、作業者と作業者から遠くに配置された液体噴射ヘッドとの距離が遠くなるが、回転軸が作業者から見て手前側に配置されるため、第1支持体および第2支持体を回転させることで、作業者から遠い液体噴射ヘッドとの距離を短くして、液体噴射ヘッドのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0180】
態様3の具体例である態様7において、前記第1支持体と前記第2支持体とは、前記噴射方向に見て、前記第1方向に直交する第2方向に並び、前記支持ユニットは、前記第1方向に延在する第1回転軸部材と、前記第1方向に延在する第2回転軸部材とを有し、前記第1支持体は、前記第1回転軸部材を中心に回転可能であり、前記第2支持体は、前記第2回転軸部材を中心に回転可能である。このように第1支持体は第1回転軸部材に回転可能とし、第2支持体は第2回転軸部材に回転可能とすることで、第1支持体および第2支持体が回転するために必要なスペースを小さくすることができる。したがって、液体噴射装置を小型化することができる。
【0181】
態様7の具体例である態様8において、前記第1支持体および前記第2支持体の夫々は、前記噴射方向に見て、前記第1方向に長尺である。このように、第1支持体および第2支持体は、第2方向に短尺なため、作業者から第1方向とは反対方向で最も遠い液体噴射ヘッドまでの距離を短くすることができ、液体噴射ヘッドのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0182】
態様7の具体例である態様9において、前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、前記第1支持体は、前記第2支持体に対して前記第2方向に配置され、前記第1回転軸部材は、前記第1支持体の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置され、前記第2回転軸部材は、前記第2支持体の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置され、前記液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体および前記第2支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記第1支持体および前記第2支持体が回転した姿勢である傾斜姿勢でそれぞれの回転を規制する保持機構を具備し、前記保持機構による前記第2支持体の前記印刷姿勢に対する前記傾斜姿勢の傾斜角度は、前記第1支持体の前記印刷姿勢に対する前記傾斜姿勢の傾斜角度よりも大きい。このように、第2支持体の傾斜角度を第1支持体の傾斜角度よりも大きくすることで、第2支持体の支持された液体噴射ヘッドの作業者からの視認性を向上することができる。また、第2支持体に支持された液体噴射ヘッドと作業者との距離を短くして、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0183】
態様2の具体例である態様10において、前記第1支持体は、1個の前記第1液体噴射ヘッドを支持し、前記第2支持体は、1個の前記第2液体噴射ヘッドを支持する。このように第1支持体は第1液体噴射ヘッドを単体で支持し、第2支持体は、第2液体噴射ヘッドを単体で支持するため、メンテナンス対象の液体噴射ヘッドを支持する支持体のみを回転させて、液体噴射ヘッドの周囲に作業スペースを確保することができる。したがって、液体噴射ヘッドのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0184】
態様1の具体例である態様11において、前記複数の液体噴射ヘッドの全ては、前記第1支持体に支持されている。このように、第1支持体は、複数の液体噴射ヘッドの全てを支持することで、複数の液体噴射ヘッドをメンテナンスする際に、第1支持体を回転させる頻度を低減して、メンテナンス時間を短縮することができる。
【0185】
態様11の具体例である態様12において、前記第1支持体は、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向に長尺である。
【0186】
態様11の具体例である態様13において、前記複数の液体噴射ヘッドのうち、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向に並ぶ前記液体噴射ヘッドの数をm(m:2以上の自然数)とし、前記第1方向に並ぶ前記液体噴射ヘッドの数をn(n:1以上の自然数)とした場合、m>nである。
【0187】
態様12または13の具体例である態様14において、前記ベース部は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行う作業者に対して、前記第2方向とは反対方向に配置され、前記回転軸は、前記ベース部の前記第2方向に関する中心よりも前記第2方向に配置されている。これによれば、第1支持体を回転させることで、作業者と、作業者から遠い液体噴射ヘッドとの距離を短くすることができると共に、作業者に液体噴射ヘッドを対面させるように傾斜させることができるため、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0188】
態様14の具体例である態様15において、前記支持ユニットは、前記第1支持体に支持された副支持体をさらに有し、前記複数の液体噴射ヘッドは、前記第1支持体に直接的に支持された1又は複数の前記液体噴射ヘッドと、前記副支持体に直接的に支持されることで前記副支持体を介して前記第1支持体に間接的に支持された1又は複数の前記液体噴射ヘッドと、を含み、前記副支持体は、前記第1支持体に対して前記第1方向に延在する回転軸回りに回転可能であり、且つ、前記第1支持体の前記第2方向に関する中心に対して前記第2方向とは反対方向に配置される。このように作業者から遠い液体噴射ヘッドを回転させる副支持体を設けることで、作業者と、作業者から遠い液体噴射ヘッドとの距離をさらに短くすることができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0189】
態様1の具体例である態様16において、前記複数の液体噴射ヘッドのうち前記第1液体噴射ヘッドを除く少なくとも1つは、前記ベース部に直接的に支持されている。このように、複数の液体噴射ヘッドの一部をベース部に直接的に固定することで、第1支持体を小型化することができる。したがって、第1支持体が回転するためのスペースを省スペースにすることができるため、液体噴射装置の小型化を図ることができる。
【0190】
態様1の具体例である態様17において、前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記回転軸回りに、順方向及び逆方向の双方に回転可能である。これによれば、液体噴射ヘッドと第1支持体とを固定する固定部材が、第1支持体の噴射方向を向く面または噴射方向と逆方向を向く面との何れに設けられていたとしても、固定部材の着脱作業を容易に行うことができる。また、液体噴射ヘッドの流路接続部および電気接続部とノズル面とが異なる面に設けられていたとしても、流路部材および電気部材の着脱やノズル面の払拭作業等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0191】
態様1の具体例である態様18において、前記第1支持体は、前記第1液体噴射ヘッドから液体を媒体に向かって噴射する印刷動作を行う際の前記第1支持体の姿勢である印刷姿勢に対して、前記噴射方向とは反対方向への回転をプラスとすると、+15度以上、+75度の範囲および-15度以下、-75度以上の範囲の少なくとも一方の前記範囲で回転した姿勢を保持可能である。このような範囲の傾斜角度とすることで、液体噴射ヘッドと第1支持体との固定を解除した際に液体噴射ヘッドが落下するのを抑制することができる。また、液体噴射ヘッドが著しく低い位置または著しく高い位置に配置されるのを抑制して、メンテナンス作業が行い難くなるのを抑制することができる。さらに第1支持体を回転させるスペースを小型化して、液体噴射装置の小型化を図ることができる。
【0192】
態様1の具体例である態様19において、前記第1液体噴射ヘッドは、前記噴射方向とは反対方向を向く上面を有し、前記ベース部は、前記第1液体噴射ヘッドをメンテナンスする作業者に対して、前記第1方向及び前記噴射方向の双方に直交する第2方向とは反対方向に配置され、作業者が前記メンテナンスを行う際の前記第1支持体の姿勢は、前記第1液体噴射ヘッドの前記上面が前記メンテナンスを行う作業者の方を向く姿勢である。これによれば、液体噴射ヘッドの上面のメンテナンスを行い易い。
【0193】
態様1の具体例である態様20において、前記ベース部に対して前記第1支持体が前記回転軸回りに回転することを規制する規制部材をさらに備える。これによれば、意図しないタイミングで第1支持体がベース部に対して回転するのを抑制することができる。印刷時であれば、印刷時に回転して液滴の媒体への着弾位置ズレを抑制できる。メンテナンス時であれば、メンテナンス時に回転してメンテナンス作業が行い難くなるのを抑制できる。
【符号の説明】
【0194】
1…液体噴射装置、2…液体噴射ヘッド、2a…ノズル面、2A…第1液体噴射ヘッド、2b…上面、2B…第2液体噴射ヘッド、3…液体貯留部、4…制御ユニット、5…搬送機構、5a…搬送ローラー、6…移動機構、6a…搬送ベルト、7…支持ユニット、8…筐体、8a…開口部、8b…蓋部材、9…キャリッジ軸、10…支持体、10A…第1支持体、10B…第2支持体、11…保持孔、12…第2固定孔、13…貫通孔、14…副保持孔、15…凹部、20…ベース部、21…支持孔、22…規制機構、23…凸部、24…軸受孔、25…第2保持孔、26…第3固定孔、27…開口部、27a…溝部、28…規制部材、28a…スライド突起、28b…凹部、29…規制孔、30…回転軸部材、30A…第1回転軸部材、30B…第2回転軸部材、40…副支持体、41…副貫通孔、42…副規制部、43…凸部、50…副回転軸部材、60…ピン、61…圧縮バネ、70…保持機構、71…保持部材、72…突起部、73…凹部、100…作業者、110…ノズルプレート、114…フランジ部、115…第1固定孔、116…ネジ、MA…メンテナンス領域、N…ノズル、P…作業位置、PA…印刷領域、S…媒体
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