IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アロン化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-逆流抑止継手 図1
  • 特開-逆流抑止継手 図2
  • 特開-逆流抑止継手 図3
  • 特開-逆流抑止継手 図4
  • 特開-逆流抑止継手 図5
  • 特開-逆流抑止継手 図6
  • 特開-逆流抑止継手 図7a
  • 特開-逆流抑止継手 図7b
  • 特開-逆流抑止継手 図7c
  • 特開-逆流抑止継手 図7d
  • 特開-逆流抑止継手 図8
  • 特開-逆流抑止継手 図9
  • 特開-逆流抑止継手 図10
  • 特開-逆流抑止継手 図11
  • 特開-逆流抑止継手 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031186
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】逆流抑止継手
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/04 20060101AFI20240229BHJP
   F16K 15/03 20060101ALI20240229BHJP
   F16K 1/20 20060101ALI20240229BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E03F7/04
F16K15/03 E
F16K1/20 Z
E03C1/12 E
E03C1/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134588
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
【テーマコード(参考)】
2D061
3H052
3H058
【Fターム(参考)】
2D061AA05
2D061AB04
2D061AC00
2D061AC07
2D061AD01
2D061AD06
3H052AA01
3H052BA25
3H052CC01
3H052EA02
3H058AA07
3H058BB22
3H058BB37
3H058CC08
3H058EE02
(57)【要約】
【課題】高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に取り付けることができ、それでいて逆止弁としての機能を有し内部の点検等も容易に行うことができる逆流抑止継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水平方向に延びた第1の中心軸を有する流入口と、鉛直方向に延びた第2の中心軸を有する流出口と、流入口と流出口とを連結する胴部と、胴部の内部に形成された弁座部と、弁座部に対して開閉可能に支持されている弁体と、胴部から延出し、流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた第3の中心軸を有する点検口と、そして点検口に着脱自在に取り付けられる蓋部とを備えている逆流抑止継手が提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びた第1の中心軸を有する流入口と、
鉛直方向に延びた第2の中心軸を有する流出口と、
前記流入口と前記流出口とを連結する胴部と、
前記胴部の内部に形成された弁座部と、
前記弁座部に対して開閉可能に支持されている弁体と、
前記胴部から延出し、前記流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた第3の中心軸を有する点検口と、そして
前記点検口に着脱自在に取り付けられる蓋部と
を備えている逆流抑止継手。
【請求項2】
前記点検口の口径は、前記流出口の口径と同一であることを特徴とする請求項1に記載の逆流抑止継手。
【請求項3】
前記流出口の口径は、前記流入口の口径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の逆流抑止継手。
【請求項4】
前記弁体は、前記蓋部に回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の逆流抑止継手。
【請求項5】
前記蓋部は、前記点検口に対して周方向に回転不能に取り付けられるキャップ部と、
前記キャップ部の上で、前記点検口に対して周方向に回転可能に取り付けられる蓋部本体とから構成され、そして
前記弁体は、前記キャップ部に支持されていることを特徴とする請求項4に記載の逆流抑止継手。
【請求項6】
前記点検口の内周面には、前記キャップ部を前記点検口に対して周方向に回動不能に固定する第1の係合部が設けられ、そして
前記キャップ部には、前記第1の係合部と係合する第2の係合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の逆流抑止継手。
【請求項7】
前記胴部内の水または空気の圧力の上昇により、前記蓋部が前記点検口から離脱するのを防ぐロック手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載の逆流抑止継手。
【請求項8】
前記ロック手段は、前記蓋部を前記点検口に対して周方向に回転させることにより、前記蓋部が前記点検口と係合するバヨネット機構であることを特徴とする請求項7に記載の逆流抑止継手。
【請求項9】
前記胴部には、前記流入口と連通し前記胴部の内部へ突出するように弁管が設けられ、そして
前記弁座部は、前記弁管の開口端に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の逆流抑止継手。
【請求項10】
前記開口端は、上部から下部へ向かうにつれて前記流入口へ近づくように傾斜していることを特徴とする請求項9に記載の逆流抑止継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に逆止弁(弁体)を備え、水平方向に延びた排水管と鉛直方向に延びた排水管とを接続する逆流抑止継手に関し、特に水平方向に延びた流入口と鉛直方向に延びた流出口とを連結する胴部を備え、該胴部は流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた点検口を有している逆止弁付きの逆流抑止継手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に住宅などのトイレや風呂場、台所等の排水設備から排出される排水は、各排水設備に接続された排水管を経由して宅地内に設置された排水ますに集められ、そして該排水ますに集められた排水は公共ますやマンホールを経由して下水道本管へ流出される。
【0003】
また、下水道本管などの下流側排水設備で発生した逆流水の宅内への侵入を防止するため、例えば特開2020-153508号公報(特許文献1)に記載されているように、排水ます等の流入口に取り付ける逆流防止装置が広く知られている。
【0004】
一方、近年では、地球温暖化等に伴う異常気象の発生より大量の雨水が短時間の間に下水道本管内に流入するケースが多発していることから、雨水等の逆流をより効果的に阻止するため、例えば特開2021-169701号公報(特許文献2)に記載されているように、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に排水ますや鉛直管を設け、その上流側の排水管出口に特許文献1に記載されているような逆流防止装置を取り付けるケースも増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-153508号公報
【特許文献2】特開2021-169701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との接続場所に特許文献1に記載されているような逆流防止装置を取り付けようとすると、その場所に該逆流防止装置を取り付けるための排水ますや鉛直管を設置しなければならず、構成が複雑となり、工事も大掛かりなものになるという問題があった。
【0007】
また、排水ますや鉛直管を設けて、特許文献1に記載されているような逆流防止装置を取り付けようとすると、逆止弁の可動スペースを確保するために、排水ますや鉛直管を排水流量から決まる大きさ以上に大型化しなければならないという問題があり、さらに、逆流防止装置は一般に排水ますや鉛直管の壁面付近に取り付けられるので、それらの上部に点検口等を設けても容易にアクセスすることができず(特許文献2の図2参照)、メンテナンス等において支障を生じるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、排水ますや鉛直管を設置することなく、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間においても簡単に取り付けることができ、それでいて逆止弁としての機能を有し、内部の点検や掃除等のメンテナンスも容易に行うことができる逆流抑止継手(逆流防止装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との接続箇所に逆流抑止継手(逆流防止装置)を取り付ける場合の配管レイアウトや逆止弁(弁体)の構造などについて鋭意検討を重ねた。その結果、上流側の上部排水管と接続するために水平方向に開口した流入口と、下流側の下部排水配管と接続するために鉛直方向に開口した流出口とを備える継手を利用してその途中に逆止弁(弁体)を設け、さらに点検口を斜めに配置すれば、排水ますや鉛直管の設置を必要とせず、逆流抑止継手を不必要に大型化することなく、逆止弁(弁体)の可動スペースを確保し上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、水平方向に延びた第1の中心軸を有する流入口と、鉛直方向に延びた第2の中心軸を有する流出口と、流入口と流出口とを連結する胴部と、胴部の内部に形成された弁座部と、弁座部に対して開閉可能に支持されている弁体と、胴部から延出し、流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた第3の中心軸を有する点検口と、そして点検口に着脱自在に取り付けられる蓋部とを備えている逆流抑止継手が提供される。
【0011】
本発明の逆流抑止継手は、水平方向に開口した流入口と鉛直方向に開口した流出口とを有しているので、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に直接的にまたはエルボ管などを介して簡単に接続することができる。しかも、本発明の逆流抑止継手は、その中に逆止弁として機能する弁体と弁座部とを備えているので、上流側の排水管と下流側の排水管との間に接続すれば同時に逆流抑止装置としての機能も得られる。
【0012】
このように、本発明の逆流抑止継手は、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に簡単に取り付けることができるので、高低差がある分、従来の高低差を有さず、略同じレベルの上流側および下流側の排水管の間に取り付ける逆流防止装置よりも排水の逆流、逆流水の上昇をより効果的に阻止することができる。
【0013】
さらに、本発明の逆流抑止継手は、継手本体の途中で胴部から延出し流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた点検口を備えているので、逆流抑止継手を不必要に大型化することなく逆止弁の可動スペースを確保することができると共に、点検口を介して弁体や弁座部等に容易にアクセスできるので、メンテナンス等を簡単に実施することができるようになる。
【0014】
なお、本明細書では、「水平」は、厳密な意味での水平方向のみを意味するものではなく、排水を水平方向に流す際に設けられる程度の勾配を含む範囲で用いられている。また、「鉛直」は、厳密な意味での鉛直方向のみを意味するものではなく、継手の製作や据付時に生じる程度の誤差を含む範囲で用いられている。
【0015】
本発明では、継手本体が不必要に大きくなるのを抑止し、弁体の下流側には弁体可動スペースを確保する観点から、点検口の口径は流出口の口径と同一であることが好ましい。また、流出口の口径は流入口の口径と同一であってもよいが、流入口の口径よりも大きいことが好ましい。従って、流出口の口径が点検口の口径と同一であるときは、点検口の口径も流入口の口径よりも大きくなる。
【0016】
なお、本明細書において口径の「同一」とは、口径が完全に同一であることのみ意味するものではなく、製作誤差を含めて、一方の内径と他方の外径または一方の外径と他方の内径とが略同じであるような範囲を含めて用いられている。
【0017】
本発明では、弁体は点検口の蓋部に回動自在に支持されていることが好ましい。弁体を蓋部に取り付けると、蓋部を取り外せば弁体も一緒に取り外され、弁体を取り外した後の継手内部を実質的に空洞状態にすることができるので、継手内部の点検や掃除等のメンテナンスが容易になる。
【0018】
本発明では、蓋部は、点検口に対して周方向に回転不能に取り付けられるキャップ部と、キャップ部の上で点検口に対して周方向に回転可能に取り付けられる蓋部本体とから構成され、そして弁体はキャップ部に支持されていることが好ましい。
【0019】
また、上述のように蓋部を蓋部本体とキャップ部とから構成する場合、弁体を容易に所定の位置にセットできるように、点検口の内周面には、キャップ部を点検口に対して周方向に回動不能に固定する第1の係合部が設け、そしてキャップ部には、第1の係合部と係合する第2の係合部が設けることが好ましい。
【0020】
さらに、弁体を蓋部に取り付けた場合、蓋部が何らかの要因で点検口から離脱してしまうと、弁体も一緒に外れて排水の逆流を抑止することができなくなる。このため、本発明では、継手内部の水又は空気の圧力の上昇により蓋部が点検口から離脱するのを防ぐため、ロック手段を有していることが好ましい。ロック手段は、例えば蓋部を点検口に対して周方向に回転させることにより、蓋部と点検口との係合および係合解除を任意に選択することができるバヨネット機構とすることができる。
【0021】
また、蓋部のロック手段としてバヨネット機構を用いると、蓋部の意図しない離脱を防止できるだけでなく、キャップ部を蓋部本体と点検口との間に挟み込んで固定することができるので、ガタ付きを生じることなく、キャップ部に支持された弁体も所定の位置に正確にセットすることができる。
【0022】
本発明では、流出口は流入口に対して直交するように配置されるので、継手内部において流入口から水平方向に流入した排水を確実且つ円滑に下向きに偏向させるため、逆流抑止継手には流入口と連通し胴部の内部へ突出するように弁管を設け、そして弁座部は弁管の開口端に形成することが好ましい。なお、弁管は、その周方向の全部または一部が胴部の内部へ突出するように設けられていればよい。
【0023】
また、弁体は、平常時、少し開いた状態を保持することにより、排水量が少ない時でも順フロー排水の流れを許容することで異物などによる排水詰まりを防ぐことができることから、弁管の開口端は上部から下部へ向かうにつれて流入口へ近づくように傾斜していることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、水平方向に延びた第1の中心軸を有する流入口と、鉛直方向に延びた第2の中心軸を有する流出口と、流入口と流出口とを連結する胴部と、胴部の内部に形成された弁座部と、弁座部に対して開閉可能に支持されている弁体と、胴部から延出し、流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた第3の中心軸を有する点検口と、そして点検口に着脱自在に取り付けられる蓋部とを備えている逆流抑止継手が提供される。
【0025】
本発明の逆流抑止継手は、水平方向に延びた流入口と鉛直方向に延びた流出口とを有しているので、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に簡単に接続することができる。しかも、本発明の逆流抑止継手は、その中に逆止弁として機能する弁体と弁座部とを備えているので、上流側の排水管と下流側の排水管との間に接続すれば同時に逆流抑止装置としての機能も得られる。
【0026】
このように、本発明の逆流抑止継手は、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に簡単に取り付けることができるので、高低差がある分、従来の高低差を有さず、略同じレベルの上流側および下流側の排水管の間に取り付ける逆流防止装置よりも排水の逆流、逆流水の上昇をより効果的に阻止することができる。
【0027】
さらに、本発明の逆流抑止継手は、継手本体の途中で胴部から延出し流入口から離れるように上向き斜め方向に延びた点検口を備えているので、逆流抑止継手を不必要に大型化することなく逆止弁の可動スペースを確保することができると共に、点検口を介して弁体や弁座部等に容易にアクセスできるので、メンテナンス等を簡単に実施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手を点検口側から観た斜視図である。
図2図1に示される逆流抑止継手を流入口側から観た斜視図である。
図3図1,2に示される逆流抑止継手の側面図である。
図4図1,2に示される逆流抑止継手の正面図である。
図5図1,2に示される逆流抑止継手の背面図である。
図6図1,2に示される逆流抑止継手の平面図である。
図7a図6に示される逆流抑止継手をA-A断面で切り取った断面図である。
図7b図7aに示される逆流抑止継手の他の応用例の断面図である。
図7c図7aに示される逆流抑止継手の他の応用例の断面図である。
図7d図7aに示される逆流抑止継手の他の応用例の断面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る逆流抑止継手の蓋部及び弁体を上側から観た斜視図である。
図9図8に示される蓋部及び弁体を下側から観た斜視図である。
図10図8,9に示される蓋部及び弁体の正面図である。
図11図8,9に示される蓋部及び弁体の側面図である。
図12図8,9に示される蓋部及び弁体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0030】
図1には、本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手1を点検口7側から観た斜視図が示されており、図2には、図1に表された逆流抑止継手1を流入口2側から観た斜視図が示されている。図3には、図1に表された逆流抑止継手1の側面図が示されており、図4には、図1に表された逆流抑止継手1の正面図が示されており、図5には、図1に表された逆流抑止継手1の背面図が示されており、そして図6には、図1に表された逆流抑止継手1の平面図が示されている。また、図7aには、図6に表された逆流抑止継手1をA-A断面で切り取った断面図が示されている。
【0031】
図1~6及び図7aに示されるように、本実施形態の逆流抑止継手1は、流入口2と、流出口3と、流入口2と流出口3とを連結する胴部4と、そして胴部4に設けられた点検口7とから構成される継手本体10と、点検口7に着脱自在に取り付けられる蓋部8とを備えている。また、胴部4には、流入口2と連通し胴部4の内部へ突出するように弁管5が設けられ、弁管5の開口端には弁座部50が形成され、そして、胴部4の中には弁座部50に対して開閉可能に弁体6が支持されている。以下、本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手1を継手本体10、蓋部8そして弁体6に分けて詳しく説明する。
【0032】
<継手本体>
本実施形態において、継手本体10は、水平方向に開口し、水平方向に延びた第1の中心軸aを有する流入口2と、鉛直方向に開口し、鉛直方向に延びた第2の中心軸bを有する流出口3とを備えている。本実施形態では流入口2は受口形状を有し、流出口3は差口形状を有している。そのため、流入口2の内部には、接続される排水管の先端部が当接することによりストッパーとして機能する受口段差部20が形成されている。なお、本実施形態では流入口2は受口形状を有し流出口3は差口形状を有しているが、流入口2および流出口3の形状はこの組み合わせに限られるものではなく、いずれも受口形状であっても差口形状であってもよい。
【0033】
このように、本実施形態の逆流抑止継手1は、水平方向に開口した流入口2と鉛直方向に開口した流出口3とを備えているので、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管(図示せず)であってもその間に簡単に接続することができる。例えば、上流側の排水管が水平方向に延びており、下流側の排水管が鉛直方向に延びていれば、その間に直接的に逆流抑止継手1を接続することができ、上流側の排水管も下流側の排水管も高低差を有しながら水平方向に延びていれば、流出口3にエルボ管などを取り付けることによりその間に逆流抑止継手1を接続することができる。
【0034】
また、本実施形態の逆流抑止継手1は、高低差を有する上流側の排水管と下流側の排水管との間に簡単に取り付けることができるので、高低差がある分、従来の高低差を有さず、略同じレベルの上流側および下流側の排水管の間に取り付ける逆流防止装置よりも排水の逆流、逆流水の上昇をより効果的に阻止することができる。
【0035】
本実施形態では、点検口7は、上方へ向かうにつれて流入口2から離れるように上向き斜め方向に延びた第3の中心軸cを有し、胴部4から上向き斜め方向に延びるように延出し開口している。点検口7の上部は受口の形状を有しており、後述する蓋部8を着脱自在に支持するための段差部70が形成されている。また、点検口7の内周面には、蓋部8を下から支持し、周方向には回転不能に固定するための凹状の第1の係合部71が設けられている(図2,3,5参照)。
【0036】
上述のように、本実施形態では、点検口7は上向き斜め方向に配置されるので、従来の横型の逆流防止装置とは異なり、蓋部8を開けても継手内部の排水が簡単に溢れ出ることがなく、また、蓋部8を取り外せば継手本体10の内部へ容易にアクセスできるので、メンテナンス等を簡単に実施することもできる。また、点検口7を、後述する弁体6の可動領域として有効利用することができるので、逆流抑止継手1を不必要に大型化することなく弁体6の可動スペースを確保することができる。
【0037】
このため、本実施形態では、点検口7の口径は流出口3のオリジナルの口径と同一であることが好ましい。特に点検口7の口径を流出口3のオリジナルの口径と同一にすると、点検口7を利用して弁体6の下流側(開く側)に弁体6の可動スペースを形成することができるので、弁体6の可動のために余分なスペースを設ける必要がなくなり、流出口3の横幅と継手本体10の横幅とが略同一となった無駄のない大きさにすることができる。なお、「オリジナルの口径」とは、流入口2や流出口3の受口や差口にそれらの口径を調整するためのアダプター等を装着していない状態の口径をいう。
【0038】
一方、流出口3のオリジナルの口径は流入口2のオリジナルの口径と同一であってもよいが、通常、上流側の排水管と下流側の排水管の口径は互いに同一であるか、下流側の排水管の口径の方が上流側の排水管の口径よりも大きくなるので、口径を調整するためのアダプター等を用いれば、流出口3のオリジナルの口径を流入口2のオリジナルの口径よりも大きくすることで、逆流抑止継手1の適用範囲を拡大することができる。なお、上述したように流出口3のオリジナルの口径が点検口7の口径と同一であるときは、点検口7の口径も流入口2の口径よりも大きくなる。
【0039】
図7aには、流出口3にのみ、その口径を流入口2の口径と同一に縮径するための第1の異径インクリーザー30が取り付けられた逆流抑止継手1の断面図が示されている。図7bには、図7aに示される逆流抑止継手1の第1の応用例として、流入口2にはその口径を縮径するための異径ソケット21が取り付けられ、流出口3にはその口径を、縮径された前記流入口2の口径と同一に調整(縮径)するための第2の異径インクリーザー31が取り付けられた逆流抑止継手1の断面図が示されている。
【0040】
図7a,7bに示されるように、本実施形態の逆流抑止継手1は流出口3のオリジナルの口径が流入口2のオリジナルの口径よりも大きい。そのため、本実施形態の逆流抑止継手1を、下流端の口径が流入口2のオリジナルの口径と同一で水平方向に開口した上流側の排水管(図示せず)と、上流端が垂直方向に開口した下流側排の水管(図示せず)との間に取り付けるときは、流入口2をそのまま上流側の排水管に接続し、流出口3にのみ、そのオリジナルの口径を下流側の排水管の口径、別言すれば流入口2のオリジナルの口径と同一に調整(縮径)するための第1の異径インクリーザー30を取り付けて下流側の排水管を接続すればよい(図7a)。また、流出口3をそのまま下流側の排水管に接続することができる場合は、第1の異径インクリーザー30を用いる必要はない。
【0041】
また、図7aのケースと同じレイアウトの上流側の排水管(図示せず)および下流側の排水管(図示せず)であって、いずれの排水管の口径も流入口2のオリジナルの口径および流出口3のオリジナルの口径よりも小さい場合、流入口2には、そのオリジナルの口径を上流側の排水管の口径と同一に調整(縮径)するための異径ソケット21を取り付けて上流側の排水管に接続し、流出口3には、そのオリジナルの口径を下流側の排水管の口径、別言すれば異径ソケット21により縮径された前記流入口2の口径と同一に調整(縮径)するための第2の異径インクリーザー31を取り付けて下流側の排水管を接続すればよい(図7b)。また、流出口3をそのまま下流側の排水管に接続することができる場合は、第2の異径インクリーザー31を用いる必要はない。
【0042】
図7cには、図7aに示される逆流抑止継手1の第3の応用例として、流出口3にのみ、その口径を縮径し且つ流出方向を変換するための第1の異径45°エルボ32が取り付けられた逆流抑止継手1の断面図が示されている。図7dには、図7aに示される逆流抑止継手の第4の応用例として、流入口2にはその口径を縮径するための異径ソケット21が取り付けられ、流出口3にはその口径を縮径し且つ流出方向を変換するための第2の異径45°エルボ33が取り付けられた逆流抑止継手1の断面図が示されている。
【0043】
本実施形態の逆流抑止継手1を、下流端の口径が流入口2のオリジナルの口径と同一で水平方向に開口した上流側の排水管(図示せず)と、上流端が斜め上方向に開口した下流側排の水管(図示せず)との間に取り付けるときは、流入口2をそのまま上流側の排水管に接続し、流出口3にのみ、そのオリジナルの口径を縮径し且つ流出方向を変換するための第1の異径45°エルボ32を取り付けて下流側の排水管を接続すればよい(図7c)。
【0044】
また、図7cのケースと同じレイアウトの上流側の排水管(図示せず)および下流側の排水管(図示せず)であって、いずれの排水管の口径も流入口2のオリジナルの口径および流出口3のオリジナルの口径よりも小さい場合、流入口2には、そのオリジナルの口径を上流側の排水管の口径と同一に調整(縮径)するための異径ソケット21を取り付けて上流側の排水管を接続し、流出口3には、そのオリジナルの口径を下流側の排水管の口径、別言すれば異径ソケット21により縮径された流入口2の口径と同一に調整(縮径)し且つ流出方向を変換するための第2の異径45°エルボ33を取り付けて下流側の排水管を接続すればよい(図7d)。
【0045】
図7a~7dを参照して理解されるように、本実施形態の逆流抑止継手1は必要に応じて流入口2へ上流側の排水管の口径に適合した異径ソケット21などを取り付け、必要に応じて流出口3へ下流側の排水管の口径や傾きに適合した異径インクリーザー30,31や異径エルボ32,33などを取り付けることにより、高低差を有し、さらに各種の口径や傾きを有する上流側の排水管および下流側の排水管であっても、その間に簡単に取り付けることができる。なお、本実施形態において、図7a~7dに示される異径ソケット21、異径インクリーザー30,31、異径45°エルボ32,33の組合せ例は一例示に過ぎず、上流側および下流側の排水管の口径や傾きに応じてあらゆる組み合わせが可能であり、必要に応じて各種のアダプターを取り付けることができる。
【0046】
本実施形態の逆流抑止継手1は、流入口2と連通し、胴部4の壁面を貫通するように流入口2から胴部4の内部へ向けて湾曲するように下向きに突出した弁管5を備えている(図7a~7d)。弁管5は、必ずしも周方向の全部が胴部4の内部へ突出している必要はなく、例えば周方向の上側半分など弁管5の一部が胴部4の内部へ突出していてもよい。弁管5の突出部分は、胴部4と一体的に形成されていてもよく、或いは胴部4とは分離可能な別部品として構成されていてもよい。
【0047】
また、弁管5の開口端には、上部から下部へ向かうにつれて流入口2へ近づくように傾斜している弁座部50が形成されている。弁座部50は、後述する弁体6が当接することにより該弁体6と協働して排水の逆流を阻止するために機能する。
【0048】
本実施形態では、弁管5を設けることにより、流入口2から胴部4の内部へ水平方向に流入した排水を確実且つ円滑に下向きに偏向させることができる。また、弁管5は円筒形であるため、弁管5の管軸に対して直交する面で切り取った開口面を開口端の弁座部50とすると該弁座部50は略円形に形成され、弁座部50に当接させる弁体6の形状も略円形とすることができるので設計および成形が容易になる。
【0049】
また、弁座部50は、上述したように上部から下部へ向かうにつれて突出部が減少するように傾斜しているので、弁座部50に対して開閉可能に懸架された弁体6は、平常時、弁座部50との間に隙間を形成することで順フロー排水の円滑な流れを保証すると共に、異常時(逆流水発生時)は逆フロー排水の圧力により弁体6が弁座部50へ当接し、排水の逆流を効果的に抑止することができる。
【0050】
本実施形態では、継手本体10はプラスチック材料により一体的に形成されている。継手本体10に用いられる材料に特に限定はなく、主としてプラスチック等の公知の材料を用いることができ、高い強度、耐水性を有し、成形が容易である等の観点から塩化ビニル樹脂を用いることが好ましい。
【0051】
<蓋部>
図8には、本実施形態に係る逆流抑止継手1の蓋部8及び弁体6を上側から観た斜視図が示されており、図9には、図8に示された蓋部8及び弁体6を下側から観た斜視図が示されている。また、図10には、図8,9に示された蓋部8及び弁体6の正面図が示されており、図11には、図8,9に示された蓋部8及び弁体6の側面図が示されており、そして図12には、図8,9に示された蓋部8及び弁体6の分解図が示されている。
【0052】
図7a~7d及び図8~12に示されるように、蓋部8は厚肉の略円盤状の形状を有しており、その下面には、下方へ延びた懸架アーム82を介して弁体6を回動自在に軸支している。また、蓋部8の上面には、蓋部8を掴んだり回転させるための平面がおむすび形状の一対の把手800が形成されている。蓋部8、弁体6の材料としてはいずれも塩化ビニル樹脂が用いられているが、使用される材料に特に限定はなく、主としてプラスチック等の公知の材料を用いることができる。
【0053】
より詳細には、図12に示されるように、蓋部8は、把手800を有し検口7を開閉するための蓋部本体80と、該蓋部本体80の下部に嵌め込まれるキャップ部81と、そしてキャップ部81に一体成形され、キャップ部81の下面から下方へ延びた懸架アーム82とから構成されている。すなわち、本実施形態では、蓋部本体80とキャップ部81とは分離独立した部品として構成されており、蓋部本体80およびキャップ部81は相互に周方向に回転可能である。
【0054】
また、キャップ部81の上面にはキャップ部81を掴むのを容易にするための一対の補助把手813(図12)が設けられており、キャップ部81の下面には、弁体6が不必要に点検口7側へ、すなわち弁体6が開く側へ回転し過ぎるのを規制するために、キャップ部81の上面とは傾斜角度が異なる平面状の膨出部810が形成されている。
【0055】
膨出部810の形状や構造は、弁体6の回転を一定の範囲内で規制できるものであれば特に限定はない。本実施形態では、膨出部810は点検口7の内部空間の大半を占有するように設けられ、その規制面811は下から上に向かうにつれて弁体6へ近づくように傾斜しているので(図7a~7d)、流出口3から上方に向けて上昇する逆流水は膨出部810の規制面811に衝突し、弁体6を下流側から閉ざす方向に押圧する流れに変換されるので、逆流水による弁体6を閉ざす動作をより確実なものとすることができる。また、膨出部810は、弁体6が当接するまで開いたとき、継手本体10の内部において弁管5の天井部分と連続するように下方へ向けて湾曲した流路を形成するので、流入口2から水平方向に流入する排水が大量であっても、該排水を確実且つ円滑に下向きに偏向させることができる。
【0056】
また、本実施形態において、キャップ部81の下面には上述した点検口7の内周面に設けられた凹状の第1の係合部71と嵌合することができ、膨出部810の側面を利用して互いに対向する位置に配置された凸状の第2の係合部812が設けられている。第2の係合部812の形状や構造は、凹状の第1の係合部71と嵌合できるものであれば特に限定はなく、例えばキャップ部81の裏面から単独で垂直に延びた突起物などであってもよい。
【0057】
本実施形態では、キャップ部81の側面(円周面)には溝部814(図12)が形成されており、該溝部814の中には、点検口7とのシール性を高めるためにエラストマー材料からなるパッキン83が嵌め込まれている(図7a~7d参照)。本実施形態では、蓋部8は、分離独立した部品として、蓋部本体80と懸架アーム82付きのキャップ部81とから構成されているが、これらは一体部品として形成されていてもよい。
【0058】
本実施形態において、蓋部8を用いて点検口7を閉じるとき、先ずキャップ部81に設けられた一対の凸状の第2の係合部812を点検口7の内部に設けられた一対の凹状の第1の係合部71に嵌合させる。弁体6を支持するキャップ部81は、点検口7の中の段差部70によって下方から支持されると共に、第2の係合部812と第1の係合部71との係合により点検口7に対して周方向に回転不能に固定される。
【0059】
次に、キャップ部81を点検口7の中にセットした後、さらに、蓋部本体80を点検口7の中のキャップ部81の上に載置することにより、キャップ部81は、蓋部本体80と点検口7の段差部70との間にガタ付き及び回転を生じないように挟み込まれるので、キャップ部81に支持された弁体6は所定の位置に正確にセットされ、継手本体10の中の弁座部50に正確に当接させることができる。
【0060】
なお、蓋部8を外して点検口7を開放するときは、上述した手順とは逆の手順により、蓋部本体80およびキャップ部81を点検口7から外せば弁体6も容易に取り外すことができる。また、蓋部本体80およびキャップ部81を一体的に形成した場合は、蓋部8を点検口7から外せば弁体6も一緒に取り外すことができる。
【0061】
図1~4,6,8,9に示されるように、本実施形態の逆流抑止継手1は、継手1の内部の水または空気の圧力の上昇などにより、蓋部8が点検口7から離脱するのを防止するためのロック手段9を備えている。本実施形態では、ロック手段9は蓋部本体80を点検口7に対して周方向に回転させることにより、蓋部8が点検口7から離脱するのを防ぐバヨネット機構が用いられている。より具体的には、ロック手段9は、蓋部本体80の側面(円周面)において互いに180°異なる対向した位置に設けられた一対のクランク形状の突起部90と、点検口7の受口において互いに180°異なる対向した位置に設けられた一対のクランク形状の切欠き部91とから構成されている。
【0062】
このため、蓋部8は、弁体6を支持するキャップ部81を点検口7の中へセットし、蓋部本体80を点検口7の受口に嵌め込んだ後、突起部90と切欠き部91とが係合する位置へ回転すればキャップ部81を回転させることなく着脱不能にロックされ、キャップ部81の意図しない点検口23からの離脱を防止することができる。なお、上述したバヨネット機構において、切欠き部91は必ずしもクランク形状の突起物である必要はなく、例えば単なる棒状の突起物等であってもよい。また、ロック手段9は必ずしもバヨネット機構である必要はなく、特に蓋部本体80およびキャップ部81を一体的に形成した場合などは、蓋部8を上部から係止するフック等を用いた公知の係合手段を用いることもできる。
【0063】
<弁体>
図7a~7d,8~12に示されるように、本実施形態において弁体6は、正面視において、円形の弁座部50と液密に当接できるように円形の形状を有しており(図10)、側面視において、逆フロー排水から受ける力(抵抗)が大きく、順フロー排水から受ける力(抵抗)は小さくなるように、下流側から上流側へ凹んだ凹部60を有している(図8,11)。
【0064】
弁体6は、弁座部50に対して開閉可能なように回動自在に支持されていれば特に支持位置や支持方法に限定はなく、例えば継手本体10の内壁、弁管5または蓋部8により支持されていてもよい。
【0065】
本実施形態では、弁体6はその上部に横向きL字形の支持アーム61を有しており、該支持アーム61を介して、ピンによりまたは直接に蓋部8の懸架アーム82へ回動自在に軸支されている。また、蓋部8を点検口7内の所定の位置にセットすると、弁体6は、弁座部50に対して開閉できるように、弁管5の上方且つ弁管5の開口端(弁座部50)よりも流入口2側へ偏位した位置(支点p)において回動自在に軸支されている。なお、弁体6の軸孔は、弁体6が滑らかに回動するようにピンの軸径よりも若干大きくなるように形成するのが好ましく、弁座部50とのシール性を向上させるため、弁体6が弁座部50へ当接したときにピンと間に遊びを生じないように長孔形状にしてもよい。
【0066】
このため、弁体6は、懸架された状態において、図7a~7dに示されるように上部から下部へ向かうにつれて流入口2へ近づくように傾斜して配置される。弁体6が上述のように傾斜して配置されると、流出口3から上方に向けて上昇する逆流水は、弁体6の上流側の面ではなく、下流側の凹んだ面に衝突することになるので、逆流水により弁体6を閉ざす動作をより確実なものとすることができる。
【0067】
また、上述したように、弁体6の支点pを弁座部50よりも流入口2側へ偏位した位置に配置すると、弁体6の下端の軌跡、すなわち支点pから最も遠い位置にある弁体6の部位の軌跡が流入口2および弁座部50へ近づくため、弁体6の開閉角度を変えることなく、弁管5の出口領域における弁体6の可動範囲のみを実質的に狭小化することができ、逆流抑止継手1をコンパクトにすることができる。
【0068】
より詳細には、弁体6は、図7aに示されるように弁管5の開口端(弁座部50)の外径をD(mm)、弁管5の開口端面から弁体6の支点pまでの距離をL(mm)としたとき、L/Dが好ましくは0.15以上0.45以下、より好ましくは0.20以上0.40以下となるように偏位した支点pにおいて軸支されることが望ましい。この場合、弁体6の重心は、弁体6を吊り下げたとき、弁体6における弁座部50と当接する当接面よりも下流側に配置されることになる。
【0069】
L/Dを0.15よりも小さくすると、流出口3から上方に向けて上昇する逆流水が最初に弁体6の下流側の面に衝突するように弁体6を十分に傾斜させることができなくなり、弁体6が開く方向へ動き易くなって逆流水の流れを十分に阻止できなくなる。また、逆流抑止継手1のコンパクト化に寄与させるほどに弁管5の出口領域における弁体6の可動範囲を狭小化することもできなくなる。一方、L/Dを0.45よりも大きくすると、長尺化された弁体6の支持アーム61の可動スペースを確保しなければならなくなり、継手本体10が不必要に大型になるという不都合を招くことになる。
【0070】
なお、本実施形態の逆流抑止継手1では、弁体6の支点pへ、弁体6が不必要に点検口7側へ、すなわち弁体6が開く側へ回転し過ぎるのを規制するためのストッパー(図示せず)を設けてもよい。上述のように弁体6の支点pにストッパーを設けた場合、同様の目的で蓋部8の下面に設けた膨出部810は省略することもできる。
【0071】
また、本実施形態の逆流抑止継手1では、弁体6の上流側であって弁体6の支点pを通る鉛直面よりも流入口2側に、水よりも小さな比重を有する浮力発生部(図示せず)を設けてもよい。このように浮力発生部を弁体6の上流側に偏心させて配置すると、逆流水発生時、浮力発生部は流出口3から上方に向けて上昇する逆流水により弁体6を閉じる方向に引き上げるので、弁体6の誤動作をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
1・・・・・逆流抑止継手
10・・・・継手本体
2・・・・・流入口
20・・・・受口段差部
21・・・・異径ソケット
3・・・・・流出口
30・・・・第1の異径インクリーザー
31・・・・第2の異径インクリーザー
32・・・・第1の異径45°エルボ
33・・・・第2の異径45°エルボ
4・・・・・胴部
5・・・・・弁管
50・・・・弁座部
6・・・・・弁体
60・・・・凹部
61・・・・支持アーム
7・・・・・点検口
70・・・・段差部
71・・・・第1の係合部
8・・・・・蓋部
80・・・・蓋部本体
800・・・把手
81・・・・キャップ部
810・・・膨出部
811・・・規制面
812・・・第2の係合部
813・・・補助把手
814・・・溝部
82・・・・懸架アーム
83・・・・パッキン
9・・・・・ロック手段
90・・・・突起部
91・・・・切欠き部
a・・・・・第1の中心軸
b・・・・・第2の中心軸
c・・・・・第3の中心軸
p・・・・・支点
D・・・・・開口端(弁座部)の外径(mm)
L・・・・・開口端面から弁体の支点までの距離(mm)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11
図12