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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031201
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】インナーパッド型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240229BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20240229BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61F13/56 100
A61F13/551 100
A61F13/53 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134616
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA11
3B200CA11
3B200DB11
3B200DC02
3B200DE02
3B200DE03
3B200DE05
3B200DE11
(57)【要約】
【課題】テープ止めタイプのアウター型吸収性物品に装着して使用する長時間装着に適した比較的大型なインナーパッド型吸収性物品の後身頃の端部めくれを抑制し、交換時の介護の負担を軽減する。
【解決手段】本開示に係るインナーパッド型吸収性物品10は、後身頃17の外端部17aから延出する基体部19と、基体部19の非肌側の面に設けられる固定部材20とをそれぞれ有する左右の延出固定部14を備え、インナーパッド型吸収性物品10の長手方向の長さL1は、450mm以上650mm以下であり、股下部18の幅L2は、150mm以上230mm以下であり、後身頃17の幅L3は、280mm以上380mm以下であり、左右の延出固定部14の延出量L5は、40mm以上であり、左右の延出固定部14の延出方向と交叉する方向の長さL6は、30mm以上であり、左右の延出固定部14の引張強度は、4.0kgf以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、を備え、前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に位置する股下部とに区分され、テープ止めタイプのアウター型吸収性物品の内部で補助パッドとして使用するインナーパッド型吸収性物品であって、
前記後身頃の幅方向の外端部から幅方向の外側へ延出する基体部と、前記基体部の非肌側の面に設けられて前記アウター型吸収性物品側へ固定可能な固定手段とをそれぞれ有する左右の延出固定部を備え、
前記インナーパッド型吸収性物品の長手方向の長さは、450mm以上650mm以下であり、
前記股下部の幅は、150mm以上230mm以下であり、
前記後身頃の幅は、280mm以上380mm以下であり、
前記後身頃の幅方向の外端部から幅方向の外側への前記左右の延出固定部の延出量は、40mm以上であり、
前記左右の延出固定部の延出方向と交叉する方向の長さは、30mm以上であり、
前記左右の延出固定部の延出方向の引張強度は、4.0kgf以上である
ことを特徴とするインナーパッド型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インナーパッド型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
介護現場等においては、紙おむつ等のテープ止めタイプのアウター型吸収性物品の内部にインナーパッド型吸収性物品を装着して使用する場合がある。
【0003】
昨今は、介護現場の人手不足からインナーパッド型吸収性物品を長時間交換できないことが常態化しており、長時間装着に対応するために吸収量化した大型のインナーパッド型吸収性物品が主流となってきている。高吸収量を確保するため、股部より後身頃(後部)を広く設けお尻をカバーするようなひょうたん型等の形状のインナーパッド型吸収性物品が多いが、長時間装着により装着時の体勢変化や吸収後の膨れによりズレが生じ、モレに至るケースがある。後身頃が幅広のインナーパッド型吸収性物品の場合は、幅広の端部が肌側にめくり上がることでズレを誘引する場合があり課題となっている。
【0004】
特許文献1には、使い捨ておむつの肌対向面上に取り外し可能に止着されて、使い捨ておむつと共に着用される吸収パッドが開示されている。この吸収パッドの左右両側には、一対のサイドフラップ部が設けられ、サイドフラップ部の止着部には、これらを別体の着用物品に取り外し可能に止着する止着材が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6712458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の吸収パッド(インナーパッド型吸収性物品)は、長時間向けの吸収量が多い大型のインナーパッド型吸収性物品に配慮されたものになっていない。
【0007】
また、大型のインナーパッド型吸収性物品は、大型である分、排尿による湿り気で皮膚に貼り付き易く、身体からの圧力もかかり易い。このため、介護現場において、使用後のインナーパッド型吸収性物品を取り外す際には、インナーパッド型吸収性物品に体圧がかかるとともに、インナーパッド型吸収性物品が皮膚に貼り付いているので、インナーパッド型吸収性物品を取り外し難く、介護者の負担が増大する。
【0008】
そこで、本開示は、テープ止めタイプのアウター型吸収性物品に装着して使用する長時間装着に適した比較的大型なインナーパッド型吸収性物品の後身頃の端部めくれを抑制し、交換時の介護の負担を軽減することが可能なインナーパッド型吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、を備え、前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に位置する股下部とに区分され、テープ止めタイプのアウター型吸収性物品の内部で補助パッドとして使用するインナーパッド型吸収性物品であって、前記後身頃の幅方向の外端部から幅方向の外側へ延出する基体部と、前記基体部の非肌側の面に設けられて前記アウター型吸収性物品側へ固定可能な固定手段とをそれぞれ有する左右の延出固定部を備え、前記インナーパッド型吸収性物品の長手方向の長さは、450mm以上650mm以下であり、前記股下部の幅は、150mm以上230mm以下であり、前記後身頃の幅は、280mm以上380mm以下であり、前記後身頃の幅方向の外端部から幅方向の外側への前記左右の延出固定部の延出量は、40mm以上であり、前記左右の延出固定部の延出方向と交叉する方向の長さは、30mm以上であり、前記左右の延出固定部の延出方向の引張強度は、4.0kgf以上である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、テープ止めタイプのアウター型吸収性物品に装着して使用する長時間装着に適した比較的大型なインナーパッド型吸収性物品の後身頃の端部めくれを抑制し、交換時の介護の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るインナーパッド型吸収性物品を紙おむつに装着した状態を示す肌側からの平面図である。
図2図1のインナーパッド型吸収性物品の平面図である。
図3図2のIII-III矢視断面図である。
図4】紙おむつに装着した状態のインナーパッド型吸収性物品及び紙おむつの断面図である。
図5】インナーパッド型吸収性物品の廃棄時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」ともいう)を、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、例示の目的で掲げたものであり、これらの実施形態に本発明を限定するものではない。また、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0013】
本明細書において、インナーパッド型吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、インナーパッド型吸収性物品を装着した状態のテープ止めタイプのアウター型吸収性物品(紙おむつ等)を着用者が装着した状態をいう。インナーパッド型吸収性物品において、長手方向とは、インナーパッド型吸収性物品を着用したときに着用者の股間部を介して着用者の身体の前後に亘る方向であり、図中、符号Xで示す方向である。また、インナーパッド型吸収性物品において、幅方向とは、長手方向に対して直交する方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、インナーパッド型吸収性物品において、厚み方向とは、各構成部材を積層する方向であり、図中、符号Zで示す方向である。肌側とは、インナーパッド型吸収性物品の着用時において、着用者の肌側の方向を意味し、非肌側とは、肌側とは反対側の方向を意味する。体液とは、尿、汗、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0014】
<インナーパッド型吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインナーパッド型吸収性物品を紙おむつに装着した状態を示す肌側からの平面図である。図2は、図1のインナーパッド型吸収性物品の平面図である。図3は、図2のIII-III矢視断面図である。図4は、紙おむつに装着した状態のインナーパッド型吸収性物品及び紙おむつの断面図である。図5は、インナーパッド型吸収性物品の廃棄時の説明図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のインナーパッド型吸収性物品10は、例えば、テープ止めタイプの紙おむつ(アウター型吸収性物品)1の内部で補助パッドとして使用されるインナーパッド型吸収性物品10である。インナーパッド型吸収性物品10としては、例えば、使い捨て尿とりパッド、軽失禁パッド等が挙げられる。インナーパッド型吸収性物品10は、紙おむつ1の肌側のシート(紙おむつ1のトップシート)上に載置されて、紙おむつ1に対して装着されて使用される。
【0016】
図1図4に示すように、インナーパッド型吸収性物品10は、液透過性の肌側のトップシート11と、液不透過性の非肌側のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間の吸収体13と、左右の延出固定部14とを備える。本実施形態では、インナーパッド型吸収性物品10は、さらに、立体ギャザー15を備える。
【0017】
インナーパッド型吸収性物品10は、着用した状態で、着用者の腹側に位置する前身頃16と、着用者の背側に位置する後身頃17と、前身頃16と後身頃17との間に位置して、着用者の股下に位置する股下部18とに区分される。
【0018】
インナーパッド型吸収性物品10の長手方向(X方向)の長さL1は、50mm以上650mm以下である。
【0019】
股下部18の最短部の幅方向(Y方向)の長さ(幅)L2は、150mm以上230mm以下である。後身頃17の最長部の幅方向の長さ(幅)L3は、280mm以上380mm以下である。前身頃16の最長部の幅方向の長さ(幅)L4は、股下部18の幅L2よりも長く、かつ後身頃17の幅L3よりも短く設定される。このように、本実施形態のインナーパッド型吸収性物品10は、後身頃17の幅L3が広く設定された高吸収量のインナーパッド型吸収性物品10であり、長時間装着が可能なインナーパッド型吸収性物品10である。
【0020】
なお、本実施形態では、トップシート11を、吸収体13の肌側の面(以下、「肌側面」という。)、及び幅方向の両端面を覆うように設け、バックシート12を、吸収体13の非肌側の面(以下、「非肌側面」という。)を覆うように設けているが、これに限定されず、公知のインナーパッド型吸収性物品、特に尿取りパッドにおけるトップシート11、及びバックシート12の配置をいずれも採用できる。
【0021】
また、本実施形態では、吸収体13を、トップシート11とバックシート12とで覆っているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸収体13が高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう)粒子を含有する液吸収性シートである場合には、SAP粒子の漏洩防止や吸収体13の形状安定化の観点から、吸収体13を1又は2以上のキャリアシート(不図示)で包んでもよい。この場合、キャリアシートとしては、親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布が挙げられる。吸収体13がキャリアシートを複数備える場合には、キャリアシートを構成する基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。SAPの詳細は後述する。
【0022】
立体ギャザー15は、本実施形態では、トップシート11と、吸収体13と、バックシート12との積層体に対し、バックシート12の幅方向の両端部からトップシート11側に向けて、該積層体の幅方向の両端面を覆うように立設され、例えば、吸収体13からの体液漏れを防止する機能を有している。なお、図3及び図4では、立体ギャザー15のトップシート11側の先端部がトップシート11を臨んで折り曲がるように図示されているが、これは立体ギャザー15が折り曲げ自在であることを示すものであり、立体ギャザー15の形状を限定するものではない。立体ギャザー15は、本実施形態に限定されず、バックシート12の幅方向の両端部、吸収体13の幅方向の両端部など、該積層体のいずれの個所に固定されていてもよい。なお、立体ギャザー15としては、従来から公知の材料及び構造を用いて、従来と同様にして該積層体に固定することができる。また、本実施形態では、立体ギャザー15をインナーパッド型吸収性物品10に設けたが、立体ギャザー15を設けなくてもよく、トップシート11で吸収体13の肌側面の全域を覆ってもよい。
【0023】
次に、トップシート11、吸収体13、バックシート12、及び左右の延出固定部14について詳細に説明する。
【0024】
(トップシート)
本実施形態のトップシート11は、体液が吸収体13へと移動する液透過性を備えた基材から構成される。このような基材としては、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等からなる発泡フィルム、これらの2種以上の積層体である複合シート等が挙げられる。
【0025】
トップシート11は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましく、エンボス加工や穿孔加工は、従来公知の方法により実施することができる。トップシート11の肌への刺激を低減させるために、トップシート11にローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。
【0026】
トップシート11の坪量は特に限定されないが、強度及び加工性の観点から、好ましくは14g/m以上40g/m以下である。14g/mより小さい場合、インナーパッド型吸収性物品10の製造時に破損しやすくなる傾向があり、40g/mより大きい場合、肌に当たる際に硬さが感じられてしまう傾向がある。トップシート11の形状は、特に制限されるものではないが、体液を漏れがないように吸収体13へと誘導するため、吸収体13の肌側面の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0027】
(吸収体)
吸収体13は、例えば、体液を吸収、及び保持する機能を有するものであり、トップシート11の非肌側に配置される。吸収体13の具体例としては、液吸収性シート、SAPからなるシート、SAPを含有する液吸収性シート等が挙げられる。これらの中でも、SAPを含有する液吸収性シートが好ましい。
【0028】
液吸収性シートの基材としては、この分野で生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。これら材料の中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものが挙げられる。これらのフラッフパルプは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
SAPとしては、体液を吸収し、かつ、体液の逆流を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の、カルボキシル基含有モノマーを含む重合体が挙げられる。SAPは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらSAPの中でも、重量当たりの体液吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
【0030】
SAPを含有する液吸収性シートとしては、特に限定されないが、液吸収性シート中にSAP粒子を混合したもの、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシート等が好ましい。それ以外にも、SAPを繊維の形態で含有する液吸収性シート等であってもよい。
【0031】
吸収体13の形状は、特に限定されるものではないが、高吸収量の観点から、インナーパッド型吸収性物品10に形状に合わせて股下部18よりも前身頃16及び後身頃17の幅が長い砂時計状であることが好ましい。
【0032】
(バックシート)
バックシート12は、吸収体13が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成され、吸収体13の非肌側に配置される。すなわち、吸収体13は、トップシート11とバックシート12との間に配置される。
【0033】
バックシート12は、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布の積層体である複合不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
【0034】
着用時の蒸れを防止するため、バックシート12には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート12に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート12に穿孔のためにエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0035】
なお、バックシート12の非肌側面に、着用時のズレ防止のための粘着層を設けてもよい。粘着層を構成する粘着剤については、公知の材料を用いることができる。例えば、粘着層は、バックシート12の非肌側の面にホットメルト接着剤を塗布することによって形成されてもよい。
【0036】
(補助シート)
本実施形態では、バックシート12と吸収体13との間に補助シート21が配置される。補助シート21は、スパンボンド不織布や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等で構成され、バックシート12と全面で貼り合わされる。補助シート21を設けることによって、インナーパッド型吸収性物品10の肌側面の手触りや質感を向上させることができる。また、補助シート21を設けることによって、バックシート12及び吸収体13に対する適度な摩擦抵抗が生じるので、紙おむつ1に対するインナーパッド型吸収性物品10のズレを抑制することができる。また、後述するように、延出固定部14の基体部19の基部をバックシート12と補助シート21で挟むことで、延出固定部14をインナーパッド型吸収性物品10に設けることも可能である。なお、補助シート21を設けることなく、延出固定部14をインナーパッド型吸収性物品10に設けてもよい。
【0037】
(左右の延出固定部)
左右の延出固定部14は、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1側へ固定してズレ止めをするための部材であって、インナーパッド型吸収性物品10の後身頃17の幅方向の両側に設けられる。左右の延出固定部14は、後身頃17の幅方向の外端部17aから幅方向の外側へ延出する基体部19と、基体部19の非肌側面に設けられて紙おむつ1側へ固定可能な固定部材(固定手段)20とをそれぞれ有する。
【0038】
左右の延出固定部14の基体部19は、後身頃17のうち最も幅が広い位置の幅方向の外端部17aから幅方向の外側へ突出する。本実施形態の基体部19は、幅方向に延びる帯状に形成される。基体部19の基端側(幅方向の内側)は、バックシート12と補助シート21との間に配置され、バックシート12及び補助シート21に対して固定される(図3参照)。なお、上述したように、補助シート21を設けることなく、延出固定部14をインナーパッド型吸収性物品10に設けてもよい。
【0039】
固定部材20は、基体部19の非肌側面に設けられる。固定部材20としては、例えば、粘着テープ、面ファスナーのフック部材等が挙げられる。また、他の固定手段としては、ホットメルト接着剤からなる接着層等が挙げられる。
【0040】
後身頃17の外端部17aから幅方向の外側への左右の延出固定部14の延出量L5は、40mm以上である。また、左右の延出固定部14の延出方向(Y方向)と交叉する方向(X方向)の長さL6は、30mm以上である。左右の延出固定部14の延出量L5及び左右の延出固定部14の延出方向と交叉する方向の長さL6を上記範囲に設定することによって、固定部材20を設ける領域を多く確保することができ、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1側へしっかりと固定することができる。また、左右の延出固定部14を把持し易くなるので、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1から取り外す際に、左右の延出固定部14を把持してインナーパッド型吸収性物品10を取り外すことができる。
【0041】
左右の延出固定部14の延出方向(Y方向)の引張強度は、4.0kgf以上である。左右の延出固定部14の延出方向の引張強度を上記範囲に設定することによって、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1から取り外す際に、左右の延出固定部14を把持して取り外すことが可能な強度を確保することができる。このため、左右の延出固定部14を把持してインナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1から取り外す際に、左右の延出固定部14が破れ難い。なお、左右の延出固定部14の延出方向の引張強度は、インナーパッド型吸収性物品10に設ける延出固定部14と同じ大きさの試料を、本体側(トップシート11、吸収体13、及びバックシート12側)を含む状態で作成し、テンシロン引張り試験機にセットして300mm/minの引張速度で引張り、試験体が破断する際の最大強度を引張強度として測定する。
【0042】
次に、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1に取り付ける場合について説明する。
【0043】
図1に示すように、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1に取り付ける際には、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1の肌側面2上に載置する。そして、インナーパッド型吸収性物品10の左右の延出固定部14の固定部材20を、紙おむつ1の肌側面2に固定する。これにより、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1に取り付けた状態となる。また、図4に示すように、紙おむつ1の肌側に左右の立体ギャザー3がある場合には、紙おむつ1の左右の立体ギャザー3間の肌側面2上にインナーパッド型吸収性物品10を配置し、左右の延出固定部14の固定部材20を、紙おむつ1の左右の立体ギャザー3の幅方向の内側面に固定してもよい。なお、バックシート12の非肌側面に粘着層を設けている場合には、バックシート12の粘着層を紙おむつ1の肌側面2に接着してもよい。
【0044】
次に、介護者が被介護者の使用後のインナーパッド型吸収性物品10を廃棄する場合について説明する。図5は、インナーパッド型吸収性物品の廃棄時の説明図である。
【0045】
まず、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1から取り外す際には、介護者は、被介護者が着用している紙おむつ1の腰の左右の一方側のテープ4(図1参照)を外し、インナーパッド型吸収性物品10の上記一方側の延出固定部14を把持し、インナーパッド型吸収性物品10を引き抜く。そして、介護者は、図5に示すように、トップシート11が内側となるように、引き抜いたインナーパッド型吸収性物品10を2つ折りに折り畳み、左右の延出固定部14の固定部材20を、前身頃16側のバックシート12に固定する。これにより、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を衛生的に廃棄することができる。
【0046】
上記のように構成されたインナーパッド型吸収性物品10では、紙おむつ1側へ固定するための左右の延出固定部14を、後身頃17の幅方向の両側に設けているので、吸収量を多く確保するために後身頃17を幅方向に大きくした場合であっても、後身頃17の幅方向の外端部の捲り上がりを防止することができる。このため、後身頃17を展開した状態に保つことができ、後身頃17で有効に尿便等の体液を受け止めることができるので、本来の吸収性を活かすことができ、体液モレを抑制することができる。
【0047】
また、後身頃17の外端部17aから幅方向の外側への左右の延出固定部14の延出量L5を、40mm以上確保し、左右の延出固定部14の延出方向と交叉する方向の長さL6を30mm以上確保しているので、インナーパッド型吸収性物品10を紙おむつ1から取り外す際に、左右の延出固定部14を把持し易い。
【0048】
また、左右の延出固定部14の延出方向の引張強度を、4.0kgf以上確保しているので、使用後のインナーパッド型吸収性物品10が排尿による湿り気で皮膚に貼り付き、また、身体からの圧力によってインナーパッド型吸収性物品10を取り外し難い場合であっても、左右の延出固定部14を把持して使用後のインナーパッド型吸収性物品10を引き抜くことができる。また、左右の延出固定部14が後身頃17から幅方向の外側へ延出しているので、夜間等の暗所であっても、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を引き抜く際の把持部となる左右の延出固定部14を、触覚で認識し易い。このため、介護現場において、介護者の負担を低減することができる。
【0049】
また、左右の延出固定部14を後身頃17の幅方向の両側に設けているので、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を、トップシート11側を内側にして2つ折りに折り畳んだ後、左右の延出固定部14の固定部材20を前身頃16側のバックシート12に固定することができる。これにより、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を2つ折りに仮止めして、インナーパッド型吸収性物品10の展開を抑えることができるので、水様便などのモレを抑えることができ、使用後のインナーパッド型吸収性物品10を衛生的に廃棄することができる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、テープ止めタイプのアウター型吸収性物品(紙おむつ1)に装着して使用する長時間装着に適した比較的大型なインナーパッド型吸収性物品10の後身頃17の端部めくれを抑制し、交換時の介護の負担を軽減することができる。
【0051】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1:紙おむつ(アウター型吸収性物品)
10:インナーパッド型吸収性物品
11:トップシート
12:バックシート
13:吸収体
14:左右の延出固定部
16:前身頃
17:後身頃
18:股下部
19:基体部
20:固定部材(固定手段)
図1
図2
図3
図4
図5