(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003121
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】有色電気泳動ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20231228BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02F1/167
C09B67/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189967
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2021566201の分割
【原出願日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/846,342
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン ブズオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス アール. クラウンス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エル. マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ジヤン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー イェゼック
(57)【要約】
【課題】 電気泳動媒体を提供すること
【解決手段】 電気泳動媒体は、流体、第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子、ならびに第1、第2、および第3の粒子のセットであって、各々の粒子のセットが相互の粒子のセットと異なる色を有する、粒子のセットを含む。第1および第2の粒子は、第1の極性と反対の第2の極性を有する場合があり、第3の粒子のセットの移動度は、光散乱粒子、第1の帯電粒子のセット、および第2の帯電粒子のセットの移動度の半分未満である。本発明は、有色電気泳動ディスプレイ、より具体的には、複数の有色粒子を含む電気泳動材料の単層を使用して2色を超える色をレンダリングすることができる電気泳動ディスプレイに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本出願は、2019年5月10日出願の米国特許出願第62/846,342号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、有色電気泳動ディスプレイ、より具体的には、複数の有色粒子を含む電気泳動材料の単層を使用して2色を超える色をレンダリングすることができる電気泳動ディスプレイに関する。
【0003】
本明細書中で使用される色という用語には、黒色および白色が含まれる。白色粒子は、光散乱型の粒子が多い。
【0004】
グレー状態という用語、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、ピクセルの2つの極限光学的状態の中間の状態を指し、必ずしもこれらの2つの極限状態の間の黒色と白色との遷移を意味するわけではない。例えば、以下に言及したいくつかのE Inkの特許および公開された出願は、極限状態が白色および深青色であり、したがって、中間のグレー状態が実際には淡青色である電気泳動ディスプレイを記載している。実際に、既に述べたように、光学的状態が変化しても、色が全く変化しない場合がある。黒色および白色という用語を、以後、ディスプレイの2つの光学的な極限状態をいうために使用してよく、通常、厳密には黒色および白色ではない光学的な極限状態(例えば、上述の白色および深青色の状態)が含まれると理解すべきである。
【0005】
双安定および双安定性という用語は、本明細書中で当該分野におけるそれらの従来の意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指す。米国特許第7,170,670号では、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限の黒色状態および白色状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても安定しており、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにもこれが当てはまることが示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく、多安定性と呼ばれるが、便宜上、双安定性という用語が、本明細書中では、双安定性および多安定性のディスプレイの両方を対象とするために使用され得る。
【0006】
インパルスという用語は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用される場合、ディスプレイが駆動されている間の時間に関する印加電圧の積分を指すために本明細書中で使用される。
【0007】
広帯域または選択された波長のいずれかで光を吸収するか、散乱するか、反射する粒子を、本明細書中で、有色粒子または顔料粒子と称する。また、光を吸収するか反射する顔料(この用語は、厳密には不溶性の有色材料を意味する)以外の種々の材料(染料またはフォトニック結晶など)を、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイで使用してよい。
【0008】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、長年にわたる精力的な研究開発の主題であり続けている。かかるディスプレイでは、複数の帯電粒子(時折、顔料粒子と称される)は、電場の影響下で流体中を移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、そのことがこれらのディスプレイの使用可能寿命を不十分にしている。
【0009】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。ほとんどの先行技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産され得る(例えば、Kitamura,T.,et al.,Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectrically,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照のこと)。米国特許第7,321,459号および同第7,236,291号も参照のこと。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置される看板において、媒体がそのように沈降され得る配向で使用されるときに、液体ベースの電気泳動媒体と同じタイプの粒子沈降に起因する問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子がより高速に沈降され得る流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体の粘度が低いので、液体ベースの電気泳動媒体よりもガスベースの電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0010】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動媒体および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー結合剤内に保持されて、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明されるテクノロジーとしては、以下が挙げられる:
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物;例えば、米国特許第7,002,728号および同第7,679,814号;
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス;例えば、米国特許第6,922,276号および同第7,411,719号を参照のこと;
(c)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ;例えば、米国特許第6,982,178号および同第7,839,564号を参照のこと;
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法;例えば、米国特許第7,116,318号および同第7,535,624号を参照のこと;
(e)色形成および色調節;例えば、米国特許第6,017,584号;同第6,664,944号;同第6,864,875号;同第7,075,502号;同第7,167,155号;同第7,667,684号;同第7,791,789号;同第7,839,564号;同第7,956,841号;同第8,040,594号;同第8,054,526号;同第8,098,418号;同第8,213,076号;および同第8,363,299号;ならびに同第米国特許出願公開第2004/0263947号;同第2007/0223079号;同第2008/0023332号;同第2008/0043318号;同第2008/0048970号;同第2009/0004442号;同第200
9/0225398号;同第2010/0103502号;同第2010/0156780号;同第2011/0164307号;同第2011/0195629号;同第2011/0310461号;同第2012/0008188号;同第2012/0019898号;同第2012/0075687号;同第2012/0081779号;同第2012/0134009号;同第2012/0182597号;同第2012/0212462号;同第2012/0157269号;および同第2012/0326957号を参照のこと;
(f)ディスプレイの駆動方法;例えば、米国特許第5,930,026号;同第6,445,489号;同第6,504,524号;同第6,512,354号;同第6,531,997号;同第6,753,999号;同第6,825,970号;同第6,900,851号;同第6,995,550号;同第7,012,600号;同第7,023,420号;同第7,034,783号;同第7,116,466号;同第7,119,772号;同第7,193,625号;同第7,202,847号;同第7,259,744号;同第7,304,787号;同第7,312,794号;同第7,327,511号;同第7,453,445号;同第7,492,339号;同第7,528,822号;同第7,545,358号;同第7,583,251号;同第7,602,374号;同第7,612,760号;同第7,679,599号;同第7,688,297号;同第7,729,039号;同第7,733,311号;同第7,733,335号;同第7,787,169号;同第7,952,557号;同第7,956,841号;同第7,999,787号;同第8,077,141号;同第8,125,501号;同第8,139,050号;同第8,174,490号;同第8,289,250号;同第8,300,006号;同第8,305,341号;同第8,314,784号;同第8,384,658号;同第8,558,783号;および同第8,558,785号;ならびに同第米国特許出願公開第2003/0102858号;同第2005/0122284号;同第2005/0253777号;同第2007/0091418号;同第2007/0103427号;同第2008/0024429号;同第2008/0024482号;同第2008/0136774号;同第2008/0291129号;同第2009/0174651号;同第2009/0179923号;同第2009/0195568号;同第2009/0322721号;同第2010/0220121号;同第2010/0265561号;同第2011/0193840号;同第2011/0193841号;同第2011/0199671号;同第2011/0285754号;および2013/0194250号(これらの特許および特許出願は、以後、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動する方法)出願と呼ばれ得る)を参照のこと;
(g)ディスプレイの適用;例えば、米国特許第7,312,784号および同第8,009,348号を参照のこと;および
(h)非電気泳動ディスプレイ、米国特許第6,241,921号;同第6,950,220号;同第7,420,549号、および同第8,319,759号;ならびに米国特許出願公開第2012/0293858号に記載。
【0011】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを備え、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、離散カプセル膜が各個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照のこと。したがって、本願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0012】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆるマイクロセル電気泳動ディスプレイである。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、帯電粒子および流体は、マイクロカプセ
ル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される、複数の空洞内に留保される。例えば、米国特許第6,672,921号および同第6,788,449号(両方とも、Sipix Imaging,Incに譲渡されている)を参照のこと。
【0013】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である、いわゆる「遮蔽モード」で動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号;同第6,130,774号;同第6,144,361号;同第6,172,798号;同第6,271,823号;同第6,225,971号;および同第6,184,856号を参照のこと。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る;米国特許第4,418,346号を参照のこと。他のタイプの電気光学ディスプレイは、シャッターモードで作動させることも可能である。シャッターモードで作動する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのための多層構造で使用でき;そのような構造において、ディスプレイの画面に隣接した少なくとも1つの層は、シャッターモードで作動して画面からより離れた第2の層を曝露させる、または遮蔽する。
【0014】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、伝統的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な可撓性および剛性のある基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(印刷という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照のこと)、ならびに他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0015】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に十分適合した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法について記載している。本質的には、この特許は、光透過性導電層;導電層と電気接触する固体電気光学媒体の層;接着剤層;および剥離シートを順序正しく含む、いわゆるフロントプレーン積層体(FPL)について記載する。典型的には、光透過性導電層は、好ましくは、基板を、恒久的な変形なしで、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラム周囲に手で巻き付けることができるという意味で好ましく可撓性の光透過性基板上に担持されるであろう。光透過性という用語は、この特許および本明細書において、このように指定された層が、十分な光を透過して、観察者が、通常、導電層および隣接した基板(存在する場合)を通して見える電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を、この層を通して見て観察できるようにすることを意味するように使用される;電気光学媒体が非可視波長の反射率における変化を表示する場合、光透過性という用語は、もちろん関連する非可視波長の透過を指すと解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマー薄膜であり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは約2~約10ミル(51~254μm)の範囲の厚さを有するであろう。導電層は、好都合に、薄い金属もしくは金属酸化物層、例えば、アルミニウムもしくはインジウムスズ酸化物(ITO)の薄層であるか、また
は伝導性ポリマーであってよい。アルミニウムまたはITOでコーティングされているポリ(エチレンテレフタレート)(PET)薄膜は、例えばアルミナ化Mylar(Mylarは登録商標である)として、E.I.du Pont de Nemours&Company,Wilmington DEから市販されており、そのような商用材料はフロントプレーン積層体で使用でき、良好な結果が得られている。
【0016】
そのようなフロントプレーン積層体を使用した電気光学ディスプレイの組立ては、フロントプレーン積層体から剥離シートを除去すること、接着剤層をバックプレーンに接着させるのに有効な条件下で、接着剤層とバックプレーンを接触させて、それにより接着剤層、電気光学媒体の層および導電層をバックプレーンに固定することにより達成され得る。フロントプレーン積層体は、典型的にはロールトゥロールコーティング技術を使用して大量生産され、次いで、特定のバックプレーンに使用するために必要な任意の大きさの片に切ることができるので、このプロセスは、大量生産に十分適合している。
【0017】
米国特許第7,561,324号は、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーン積層体を、本質的に単純化したバージョンであるいわゆる二重剥離シートについて記載している。二重剥離シートのある形態は、2つの接着剤層の間に挟まれた固体電気光学媒体の層を含み、接着剤層の一方または両方は、剥離シートにより覆われる。別の形態の二重剥離シートは、2枚の剥離シートの間に挟まれた固体電気光学媒体の層を含む。二重剥離フィルムのいずれの形態も、既に記載されているフロントプレーン積層体から電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するが、2つの別々の積層を伴うプロセスにおける使用を意図されており;典型的には、第1の積層において、二重剥離シートをフロント電極に積層して、フロントサブアセンブリを形成し、次いで、第2の積層において、フロントサブアセンブリをバックプレーンに積層して、最終的なディスプレイを形成するが、これらの2つの積層の順序は必要に応じて逆にすることができる。
【0018】
米国特許第7,839,564号は、前述の米国特許第6,982,178号に記載されているフロントプレーン積層体の変形であるいわゆる逆フロントプレーン積層体について記載している。この逆フロントプレーン積層体は、少なくとも1つの光透過性保護層および光透過性導電層;接着剤層;固体電気光学媒体の層;ならびに剥離シートを順序正しく含む。この逆フロントプレーン積層体は、電気光学層とフロント電極またはフロント基板の間の積層接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され;第2の、典型的には接着剤の薄層は、電気光学層とバックプレーンの間に存在してもしなくてもよい。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能を組み合わせることができる。
【0019】
上で指し示されているように、最も単純な従来技術の電気泳動媒体は、本質的には、2つの色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第1の色を有する単一のタイプの電気泳動粒子を、第2の異なる色(この場合、第1の色は、粒子がディスプレイの画面に隣接して位置する場合に表示され、第2の色は、粒子が画面から距離を置く場合に表示される)を有する有色流体中で使用するか、または異なる第1および第2の色を有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子を、無色流体中(この場合、第1の色は、第1のタイプの粒子がディスプレイの画面に隣接して位置する場合に表示され、第2の色は、第2のタイプの粒子が画面に隣接して位置する場合に表示される)で使用する。典型的には、2つの色は黒および白である。フルカラーディスプレイが望ましい場合は、モノクロ(黒および白)ディスプレイの画面上にカラーフィルタアレイを蒸着してよい。カラーフィルタアレイを有するディスプレイは、色刺激を作り出す領域共有およびカラーブレンディングに依存する。利用できるディスプレイ領域は、3つまたは4つの原色、例えば赤/緑/青(RGB)または赤/緑/青/白(RGBW)の間で共有され、フィルタは、一次元(スト
ライプ)または二次元(2×2)反復パターンで配列できる。他の原色の選択または3つを上回る原色も当該分野で公知である。(RGBディスプレイの場合)3つ、または(RGBWディスプレイの場合)4つのサブピクセルが、意図されている視距離で、視覚的にブレンドしあって均一な色刺激を有する単一のピクセルになるように十分小さく選択される(「カラーブレンディング」)。領域共有に固有の欠点は、着色剤が常に存在し、モノクロディスプレイの下に位置する対応するピクセルを白または黒に切り替えること(対応する原色をオンまたはオフに切り替えること)によってしか色を調節できないことである。例えば、理想的なRGBWディスプレイでは、赤、緑、青および白のそれぞれの原色は、ディスプレイ領域の4分の1(4つのサブピクセルのうち1つ)を占め、白サブピクセルは、基となるモノクロディスプレイの白と同等の輝度であり、有色サブピクセルのそれぞれが、モノクロディスプレイの白の3分の1よりは明るくない。全体としてのディスプレイにより示されている白色の輝度は、白サブピクセルの輝度の2分の1を上回ることはあり得ない(ディスプレイの白領域は、各4つのサブピクセルのうち1つの白サブピクセルと、白サブピクセルの3分の1に相当する有色形態としての各有色サブピクセルを表示することにより生成され、その結果、組み合わせた3つの有色サブピクセルは、1つの白サブピクセルに寄与するにすぎない)。色の輝度および飽和は、黒に切り替えたカラーピクセルを有する領域共有により低下する。領域共有することは、黄色を混合した場合に、輝度が等しい他の任意の色よりも明るくなり、飽和した黄色が白とほぼ同等の輝度であるため、とりわけ問題になる。青ピクセル(ディスプレイ領域の4分の1)から黒へと切り替えると、黄色は暗くなりすぎる。
【0020】
多層の積層電気泳動ディスプレイが当該分野で公知である;例えば、J.Heikenfeld,P.Drzaic,J-S Yeo and T.Koch,Journal
of the SID,19(2),2011,pp.129-156を参照のこと。かかるディスプレイでは、減色混合の三原色の各々において、周辺光が画像を通過し、これは、従来のカラー印刷に非常に類似している。米国特許第6,727,873号は、3層の切替可能なセルが反射バックグラウンド上に配置された積層電気泳動ディスプレイを記載している。有色粒子が、面方向に移動するか(国際出願番号WO2008/065605を参照のこと)、垂直移動および面方向の移動の組み合わせを使用してマイクロピットに隔離された類似のディスプレイが公知である。どちらの場合も、各層には有色粒子を集合させるか分散させるように機能する電極がピクセルごとに備えられているため、3層の各々には薄膜トランジスタ(TFT)層(3層のTFTのうちの2層は、実質的に透明でなければならない)および光透過性対電極が必要である。このような電極の複雑な配置は、製造コストがかかり、従来技術では、特に数層の電極を介してディスプレイの白色状態を目視しなければならない場合、適切に透明な画素電極面を提供することが困難である。また、多層ディスプレイは、積層ディスプレイの厚みがピクセルサイズに近づくか、超えた場合に、視差の問題に見舞われる。
【0021】
米国特許出願公開第2012/0008188号および同第2012/0134009号は、独立してアドレス指定可能なピクセル電極、および共通の、光透過性フロント電極を含む単一のバックプレーンを有する多色電気泳動ディスプレイについて記載している。複数の電気泳動層が配置されるのは、バックプレーンとフロント電極の間である。これらの出願で記載されているディスプレイは、原色(赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄色、白および黒)のいずれかを、任意のピクセル位置においてレンダリングすることが可能である。しかし、単一セットのアドレス電極の間に設置された複数の電気泳動層の使用には欠点がある。特定の層において粒子が受ける電界は、同一の電圧に対してアドレス指定された単一の電気泳動層に対してのケースより弱いであろう。さらに、画面に最も近い電気泳動層における光学的損失(例えば、光散乱または望ましくない吸収によって引き起こされる)は、電気泳動層の下で形成された画像の外観に影響を与え得る。
【0022】
単一の電気泳動層を使用して、フルカラー電気泳動ディスプレイを得ようとする試みが行われている。例えば、米国特許出願公開第2013/0208338号は、透き通った、無色または有色の溶媒に分散した1つまたは2つのタイプの顔料粒子を含む電気泳動流体を含み、この電気泳動流体が共通電極と複数の駆動電極の間に挟まれているカラーディスプレイについて記載している。駆動電極は、背景層を曝露させるために一定の距離で保持される。米国特許出願公開第2014/0177031号は、反対の電荷極性を保有し、2つのコントラスト色の2つのタイプの荷電粒子を含む電気泳動流体で満たしたディスプレイセルを駆動させるための方法について記載している。2つのタイプの顔料粒子は、有色溶媒、または荷電していない、もしくはわずかに荷電した有色粒子が分散した溶媒に分散させる。この方法は、ディスプレイセルを駆動させて、フル駆動電圧の約1から約20%の駆動電圧をかけることにより、溶媒の色、または荷電していない、もしくはわずかに荷電した有色粒子の色を表示するステップを含む。米国特許出願公開第2014/0092465号および同第2014/0092466号は、電気泳動流体および電気泳動ディスプレイを駆動するための方法について記載している。流体は、第1、第2および第3のタイプの顔料粒子を含み、そのいずれも、溶媒または溶媒混合物中に分散させる。第1および第2のタイプの顔料粒子は、反対の電荷極性を保有し、第3のタイプの顔料粒子は、第1または第2のタイプの電荷レベルの約50%未満の電荷レベルを有する。3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの閾値電圧、または異なるレベルの移動度、またはその両方を有する。これらの特許出願のうちには、フルカラーディスプレイを開示するものは、この用語が以下で使用されるという意味において、存在しない。
【0023】
米国特許出願公開第2007/0031031号は、各ピクセルが白色、黒色、および1つの他の色を表示することができる、ディスプレイ媒体上に画像を表示するために画像データを処理するための画像処理デバイスを記載している。米国特許出願公開第2008/0151355号;同第2010/0188732号;および同第2011/0279885号は、可動粒子が多孔質構造を進行するカラーディスプレイを記載している。米国特許出願公開第2008/0303779号および同第2010/0020384号は、異なる色の第1、第2、および第3の粒子を含むディスプレイ媒体を記載している。第1および第2の粒子は凝集体を形成することができ、より小さな第3の粒子は凝集した第1と第2の粒子との間に残存する開口部を移動することができる。米国特許出願公開第2011/0134506号は、ディスプレイデバイスであって、一対の基板の間に封入された複数の粒子型の粒子を含む電気泳動表示要素であって、基板のうちの少なくとも1つが半透明であり、複数の粒子型の粒子の各々は、同一の極性に帯電しており、光学的性質が異なり、移動速度および/または移動のための電場の閾値のいずれかが異なる、電気泳動表示要素、半透明の基板が配置されている基板側に設けられた半透明の表示側電極、他方の基板側に設けられた、前述の表示側電極に対向する第1の背後電極、および他方の基板側に設けられた、前述の表示側電極に対向する第2の背後電極;ならびに電圧制御部であって、前述の表示側電極、前述の第1の背後電極、および前述の第2の背後電極に印加された電圧を制御し、その結果、複数の粒子型の粒子由来の移動速度が最速の粒子型の粒子、または複数の粒子型の粒子由来の閾値が最低の粒子型の粒子は、順番に、異なる粒子型の各粒子が前述の第1の背後電極または前述の第2の背後電極に移動し、次いで、前述の第1の背後電極に移動した粒子が前述の表示側電極に移動する、電圧制御部を含むディスプレイデバイスを記載している。米国特許出願公開第2011/0175939号;同第2011/0298835号;同第2012/0327504号;および同第2012/0139966号は、複数の粒子の凝集および閾値電圧に依存するカラーディスプレイを記載している。米国特許出願公開第2013/0222884号は、荷電基含有ポリマーおよび着色剤を含む有色粒子、ならびに前述の有色粒子に付着し、共重合成分として、反応性単量体および特定の単量体群から選択される少なくとも1つの単量体を含む分岐シリコーン系ポリマーを含む電気泳動粒子を記載している。米国特許出願公開第2013/0222885号は、電気泳動ディスプレイ用の分散液であって、分散媒、前述の分散媒に
分散され、電場を移動する有色電気泳動粒子群、移動せず、前述の電気泳動粒子群とは異なる色の非電気泳動粒子群、ならびに中立極性基および疎水性基を有し、前述の分散媒中に全分散液に対して約0.01~約1質量%の比で含まれる化合物を含む分散液を記載している。米国特許出願公開第2013/0222886号は、着色剤および親水性樹脂を含むコア粒子;ならびに前述のコア粒子の各々の表面を被覆し、かつ7.95(J/cm3)1/2またはそれを超える異なる溶解度パラメーターが異なる疎水性樹脂を含むシェルを含む浮遊粒子を含むディスプレイ用分散液を記載している。米国特許出願公開第2013/0222887号および同第2013/0222888号は、特定の化学組成を有する電気泳動粒子を記載している。最後に、米国特許出願公開第2014/0104675号は、電場に反応して移動する第1および第2の有色粒子、ならびに分散媒を含む粒子分散物であって、前述の第2の有色粒子の直径が前述の第1の有色粒子より大きく、帯電特性が前述の第1のカラー粒子の帯電特性と同一であり、ディスプレイの単位面積あたりの前述の第1の有色粒子の電荷量Csの、前述の第2の有色粒子の電荷量Clに対する比(Cs/Cl)が5またはそれ未満である、粒子分散物を記載している。前述のディスプレイのうちのいくつかは、フルカラーではあるが、実現するための方法は長時間を要し、かつ煩雑である。
【0024】
米国特許出願公開第2012/0314273号および同第2014/0002889号は、電気泳動デバイスであって、絶縁液体中に含まれる複数の第1および第2の電気泳動粒子を含み、前述の第1および第2の粒子が相互に異なる帯電特性を有し;前述の絶縁液体中に含まれ、かつ繊維構造を呈する多孔質層をさらに含む、電気泳動デバイスを記載している。これらの特許出願は、用語が以下で使用されている意味でのフルカラーディスプレイではない。
米国特許出願公開第2011/0134506号および米国特許第9,697,778号も参照のこと。後者は、有色流体中に3つの異なる粒子型の粒子を使用したフルカラーディスプレを記載しているが、有色流体が存在することで、ディスプレイによって達成することができる白色状態の品質が制限される。
要約すると、従来技術では、フルカラーディスプレイは、典型期には、切替速度の遅さ(数秒間もの長さ)、アドレス指定電圧が高さなどの欠点があるか、色品質に欠点がある。したがって、フルカラー電気泳動ディスプレイの改良が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第7,170,670号明細書
【特許文献2】米国特許第7,321,459号明細書
【特許文献3】米国特許第7,236,291号明細書
【特許文献4】米国特許第7,002,728号明細書
【特許文献5】米国特許第7,679,814号明細書
【特許文献6】米国特許第6,922,276号明細書
【特許文献7】米国特許第7,411,719号明細書
【特許文献8】米国特許第6,982,178号明細書
【特許文献9】米国特許第7,839,564号明細書
【特許文献10】米国特許第7,116,318号明細書
【特許文献11】米国特許第7,535,624号明細書
【特許文献12】米国特許第6,017,584号明細書
【特許文献13】米国特許第6,664,944号明細書
【特許文献14】米国特許第6,864,875号明細書
【特許文献15】米国特許第7,075,502号明細書
【特許文献16】米国特許第7,167,155号明細書
【特許文献17】米国特許第7,667,684号明細書
【特許文献18】米国特許第7,791,789号明細書
【特許文献19】米国特許第7,839,564号明細書
【特許文献20】米国特許第7,956,841号明細書
【特許文献21】米国特許第8,040,594号明細書
【特許文献22】米国特許第8,054,526号明細書
【特許文献23】米国特許第8,098,418号明細書
【特許文献24】米国特許第8,213,076号明細書
【特許文献25】米国特許第8,363,299号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2004/0263947号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2007/0223079号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0023332号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2008/0043318号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2008/0048970号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2009/0004442号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2009/0225398号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2010/0103502号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2010/0156780号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2011/0164307号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2011/0195629号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2011/0310461号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2012/0008188号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2012/0019898号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2012/0075687号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2012/0081779号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2012/0134009号明細書
【特許文献43】米国特許出願公開第2012/0182597号明細書
【特許文献44】米国特許出願公開第2012/0212462号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2012/0157269号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2012/0326957号明細書
【特許文献47】米国特許第5,930,026号明細書
【特許文献48】米国特許第6,445,489号明細書
【特許文献49】米国特許第6,504,524号明細書
【特許文献50】米国特許第6,512,354号明細書
【特許文献51】米国特許第6,531,997号明細書
【特許文献52】米国特許第6,753,999号明細書
【特許文献53】米国特許第6,825,970号明細書
【特許文献54】米国特許第6,900,851号明細書
【特許文献55】米国特許第6,995,550号明細書
【特許文献56】米国特許第7,012,600号明細書
【特許文献57】米国特許第7,023,420号明細書
【特許文献58】米国特許第7,034,783号明細書
【特許文献59】米国特許第7,116,466号明細書
【特許文献60】米国特許第7,119,772号明細書
【特許文献61】米国特許第7,193,625号明細書
【特許文献62】米国特許第7,202,847号明細書
【特許文献63】米国特許第7,259,744号明細書
【特許文献64】米国特許第7,304,787号明細書
【特許文献65】米国特許第7,312,794号明細書
【特許文献66】米国特許第7,327,511号明細書
【特許文献67】米国特許第7,453,445号明細書
【特許文献68】米国特許第7,492,339号明細書
【特許文献69】米国特許第7,528,822号明細書
【特許文献70】米国特許第7,545,358号明細書
【特許文献71】米国特許第7,583,251号明細書
【特許文献72】米国特許第7,602,374号明細書
【特許文献73】米国特許第7,612,760号明細書
【特許文献74】米国特許第7,679,599号明細書
【特許文献75】米国特許第7,688,297号明細書
【特許文献76】米国特許第7,729,039号明細書
【特許文献77】米国特許第7,733,311号明細書
【特許文献78】米国特許第7,733,335号明細書
【特許文献79】米国特許第7,787,169号明細書
【特許文献80】米国特許第7,952,557号明細書
【特許文献81】米国特許第7,956,841号明細書
【特許文献82】米国特許第7,999,787号明細書
【特許文献83】米国特許第8,077,141号明細書
【特許文献84】米国特許第8,125,501号明細書
【特許文献85】米国特許第8,139,050号明細書
【特許文献86】米国特許第8,174,490号明細書
【特許文献87】米国特許第8,289,250号明細書
【特許文献88】米国特許第8,300,006号明細書
【特許文献89】米国特許第8,305,341号明細書
【特許文献90】米国特許第8,314,784号明細書
【特許文献91】米国特許第8,384,658号明細書
【特許文献92】米国特許第8,558,783号明細書
【特許文献93】米国特許第8,558,785号明細書
【特許文献94】米国特許出願公開第2003/0102858号明細書
【特許文献95】米国特許出願公開第2005/0122284号明細書
【特許文献96】米国特許出願公開第2005/0253777号明細書
【特許文献97】米国特許出願公開第2007/0091418号明細書
【特許文献98】米国特許出願公開第2007/0103427号明細書
【特許文献99】米国特許出願公開第2008/0024429号明細書
【特許文献100】米国特許出願公開第2008/0024482号明細書
【特許文献101】米国特許出願公開第2008/0136774号明細書
【特許文献102】米国特許出願公開第2008/0291129号明細書
【特許文献103】米国特許出願公開第2009/0174651号明細書
【特許文献104】米国特許出願公開第2009/0179923号明細書
【特許文献105】米国特許出願公開第2009/0195568号明細書
【特許文献106】米国特許出願公開第2009/0322721号明細書
【特許文献107】米国特許出願公開第2010/0220121号明細書
【特許文献108】米国特許出願公開第2010/0265561号明細書
【特許文献109】米国特許出願公開第2011/0193840号明細書
【特許文献110】米国特許出願公開第2011/0193841号明細書
【特許文献111】米国特許出願公開第2011/0199671号明細書
【特許文献112】米国特許出願公開第2011/0285754号明細書
【特許文献113】米国特許出願公開2013/0194250号明細書
【特許文献114】米国特許第7,312,784号明細書
【特許文献115】米国特許第8,009,348号明細書
【特許文献116】米国特許第6,241,921号明細書
【特許文献117】米国特許第6,950,220号明細書
【特許文献118】米国特許第7,420,549号明細書
【特許文献119】米国特許第8,319,759号明細書
【特許文献120】米国特許出願公開第2012/0293858号明細書
【特許文献121】米国特許第6,866,760号明細書
【特許文献122】米国特許第6,672,921号明細書
【特許文献123】米国特許第6,788,449号明細書
【特許文献124】米国特許第5,872,552号明細書
【特許文献125】米国特許第6,130,774号明細書
【特許文献126】米国特許第6,144,361号明細書
【特許文献127】米国特許第6,172,798号明細書
【特許文献128】米国特許第6,271,823号明細書
【特許文献129】米国特許第6,225,971号明細書
【特許文献130】米国特許第6,184,856号明細書
【特許文献131】米国特許第7,339,715号明細書
【特許文献132】米国特許第7,561,324号明細書
【特許文献133】米国特許第7,839,564号明細書
【特許文献134】米国特許出願公開第2012/0008188号明細書
【特許文献135】米国特許出願公開第2012/0134009号明細書
【特許文献136】米国特許出願公開第2013/0208338号明細書
【特許文献137】米国特許出願公開第2014/0177031号明細書
【特許文献138】米国特許出願公開第2014/0092465号明細書
【特許文献139】米国特許出願公開第2014/0092466号明細書
【特許文献140】米国特許出願公開第2007/0031031号明細書
【特許文献141】米国特許出願公開第2008/0151355号明細書
【特許文献142】米国特許出願公開第2010/0188732号明細書
【特許文献143】米国特許出願公開第2011/0279885号明細書
【特許文献144】米国特許出願公開第2008/0303779号明細書
【特許文献145】米国特許出願公開第2010/0020384号明細書
【特許文献146】米国特許出願公開第2011/0134506号明細書
【特許文献147】米国特許出願公開第2011/0175939号明細書
【特許文献148】米国特許出願公開第2011/0298835号明細書
【特許文献149】米国特許出願公開第2012/0327504号明細書
【特許文献150】米国特許出願公開第2012/0139966号明細書
【特許文献151】米国特許出願公開第2013/0222884号明細書
【特許文献152】米国特許出願公開第2013/0222885号明細書
【特許文献153】米国特許出願公開第2013/0222886号明細書
【特許文献154】米国特許出願公開第2013/0222887号明細書
【特許文献155】米国特許出願公開第2013/0222888号明細書
【特許文献156】米国特許出願公開第2014/0104675号明細書
【特許文献157】米国特許出願公開第2012/0314273号明細書
【特許文献158】米国特許出願公開第2014/0002889号明細書
【特許文献159】米国特許出願公開第2011/0134506号明細書
【特許文献160】米国特許第9,697,778号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Kitamura,T.,et al.,Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1
【非特許文献2】Yamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectrically,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4
【非特許文献3】J.Heikenfeld,P.Drzaic,J-S Yeo and T.Koch,Journal of the SID,19(2),2011,pp.129-156
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の概要
第1の態様では、新規の電気泳動媒体であって、流体;第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;ならびに第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセットを含み、ここで、前述の第1および第2の粒子は、前述の第1の極性と反対の第2の極性を有し、前述の第3の粒子は、コア顔料およびポリマーシェルを含む複合粒子であり、ここで、(a)前述のポリマーシェルの前述の複合粒子に対する質量分率は、少なくとも20重量%~多くとも50重量%であり;(b)前述のポリマーシェルが、(I)式(1):
CH2=C(R1a)C(O)R2
(1)
の第1の前駆体に由来する第1の単量体単位であって、
式中、R1aは、-Hまたは-CH3であり;R2は、-OR3、-NHR3、または-NR3
2であり;R3は、C1~6アルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C6~14アリール、C5~14ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前述の基の各々が、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4は、C1~6アルキル、-OH、C1~6アルコキシ、-NH2、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)2、
C1~6ハロアルキル、またはC1~6ハロアルコキシである、第1の単量体単位、(II)式(2):
CH2=C(R1b)C(O)R5
(2)
の第2の前駆体に由来する第2の単量体単位であって、
式中、R1bは、-Hまたは-CH3であり;R5は、-OR6、-NHR6、または-NR6
2であり;R6は、C1~6アルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C6~14アリール、C5~14ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前述の基の各々が、R7から独立して選択される1または複数の基に置換されており;R7は、ハロゲン、-CN、-NO2、-S(O)-、または-S(O)2-である、第2の単量体単位を含む、電気泳動媒体を提供する。1つの実施形態では、R3は、C1~6アルキル、C6~14アリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前述の基の各々が、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4は、C1~6アルキル、またはC1~6アルコキシである。別の実施形態では、R2は-OR3であり、R3は、C1~6アルキルまたはC6~14アリールであり、前述のC6~14アリールは、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4はC1~6アルコキシである。さらなる実施形態では、R6はC1~6アルキルであり、R7はハロゲンである。R5は-OR6であり、R6は、少なくとも3つのR7に置換されたC1~6アルキルであり、R7は-Fである実施形態も提供する。第1の前駆体は、メチルメタクリラート、メトキシフェニルメタクリラート、およびN,N-ジ-イソプロピルアクリルアミドからなる群から選択され得る。第2の前駆体は、トリフルオロエチルメタクリラート(TFEM)であり得る。第3の粒子では、ポリマーシェルの複合粒子に対する質量分率は、少なくとも25重量%~多くとも40重量%であり得る。ポリマーシェルの複合粒子
に対する質量分率は、熱重量分析(TGA)によって測定され得る。流体は、誘電率が5またはそれ未満の液体であり得る。電気泳動媒体は、電荷制御剤をさらに含み得る。第1、第2、および第3の帯電粒子のセットの各色は、赤色、緑色、青色、マゼンタ、シアン、および黄色からなる群から独立して選択され得る。第1、第2、および第3の帯電粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性であり得る。1つの実施形態では、光散乱帯電粒子は白色であり、第1、第2、および第3の粒子のセットは非光散乱性である。さらなる実施形態では、光散乱帯電粒子は負に帯電しており、第1および第2の粒子のセットは正に帯電している。流体は、数平均分子量が約20,000を超えており、粒子上に本質的に吸収しないポリマーが溶解または分散されていてよい。
【0028】
第2の態様では、電気泳動媒体であって、流体;第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;ならびに第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセットを含み、ここで、前述の第1および第2の粒子は、前述の第1の極性と反対の第2の極性を有し、前述の第3の粒子のセットの電気泳動移動度の規模は、前述の光散乱粒子、前述の第1の帯電粒子のセット、および前述の第2の帯電粒子のセットの電気泳動移動度の規模の半分未満である、電気泳動媒体を提供する。流体は、誘電率が5またはそれ未満の液体であり得る。電気泳動媒体は、電荷制御剤をさらに含み得る。電気泳動移動度は、粒子ゼータ電位から測定され得る。1つの実施形態では、第3の粒子のセットのゼータ電位は、-20mVまたはそれを超え、かつ20mVまたはそれ未満である。また、電気泳動移動度は、粒子電荷質量比または粒子分散物の伝導率から測定され得る。1つの実施形態では、第1、第2、および第3の帯電粒子のセットの各色は、赤色、緑色、青色、マゼンタ、シアン、および黄色からなる群から独立して選択される。第1、第2、および第3の帯電粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性であり得る。例えば、光散乱帯電粒子は白色であり得、第1、第2、および第3の粒子のセットは非光散乱性であり得る。1つの非限定的な実施形態では、光散乱帯電粒子は負に帯電しており、第1および第2の粒子のセットは正に帯電している。流体は、数平均分子量が約20,000を超えており、粒子上に本質的に吸収しないポリマーが溶解または分散されていてよい。
【0029】
第3の態様では、電気泳動媒体であって、流体;第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;ならびに第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセットを含み、ここで、前述の第1および第2の粒子は、前述の第1の極性と反対の第2の極性を有し、前述の第3の粒子は、コア顔料およびポリマーシェルを含む複合粒子であり、ここで、(a)前述のポリマーシェルの前述の複合粒子に対する質量分率は、少なくとも20重量%~多くとも50重量%であり;(b)前述のポリマーシェルは、(I)式(1):
CH2=C(R1a)C(O)R2
(1)
【0030】
の第1の前駆体に由来する第1の単量体単位であって、
式中、R1aは、-Hまたは-CH3であり;R2は、-OR3、-NHR3、または-NR3
2であり;R3は、C1~6アルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C6~14アリール、C5~14ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前述の基の各々が、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4は、C1~6アルキル、-OH、C1~6アルコキシ、-NH2、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)2、C1~6ハロアルキル、またはC1~6ハロアルコキシである、第1の単量体単位;(II)C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)2、およびハロゲンから独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されたスチレンに由来する第2の単量体単位を含む、電気
泳動媒体を提供する。1つの実施形態では、R3は、C1~6アルキル、C6~14アリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前述の基の各々が、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4は、C1~6アルキル、またはC1~6アルコキシである。別の実施形態では、R2は-OR3であり、R3は、C1~6アルキルまたはC6~14アリールであり、前述のC6~14アリールは、R4から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R4はC1~6アルコキシである。第3の粒子では、ポリマーシェルの複合粒子に対する質量分率は、少なくとも25重量%~多くとも40重量%である。ポリマーシェルの複合粒子に対する質量分率は、熱重量分析(TGA)によって測定され得る。流体は、誘電率が5またはそれ未満の液体であり得る。電気泳動媒体は、電荷制御剤をさらに含み得る。第1、第2、および第3の帯電粒子のセットの各色は、赤色、緑色、青色、マゼンタ、シアン、および黄色からなる群から独立して選択される。第1、第2、および第3の帯電粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性であり得る。1つの実施形態では、光散乱帯電粒子は白色であり、第1、第2、および第3の粒子のセットは非光散乱性である。別の非限定的な実施形態では、光散乱帯電粒子は負に帯電しており、第1および第2の粒子のセットは正に帯電している。流体は、数平均分子量が約20,000を超えており、粒子上に本質的に吸収しないポリマーが溶解または分散されていてよい。
【0031】
本発明の電気泳動媒体は、上記で考察した形態のうちのいずれかであり得る。したがって、電気泳動媒体は、カプセル化されていないか、カプセル壁に囲まれた個別のカプセル中にカプセル化され得るか、ポリマー分散媒体またはマイクロセル媒体の形態であり得る。
【0032】
本発明は、本発明の電気泳動媒体を含むフロントプレーン積層体、二重剥離シート、反転フロントプレーン積層体、または電気泳動ディスプレイにまで及ぶ。本発明のディスプレイは、従来技術の電気光学ディスプレイが使用されている任意の用途で使用され得る。したがって、例えば、本発明のディスプレイは、電子ブックリーダー、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、書架案内、およびフラッシュドライブで使用され得る。
【0033】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の説明を考慮して明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、表面にコポリマーが付着している顔料粒子の概略図である。
【0035】
【
図2】
図2は、本発明の種々の実施形態のいくつかの異なる複合顔料粒子についての予測ゼータ電位および測定されたゼータ電位のグラフである。
【0036】
【
図3】
図3は、本発明の種々の実施形態の分散物を含むディスプレイサンプルを駆動するために使用される波形を示す。
【0037】
【
図4】
図4は、本発明の種々の実施形態の分散物を含むディスプレイサンプルを駆動するために使用される別の波形を示す。
【0038】
【
図5】
図5は、本発明の種々の実施形態に従って作製したディスプレイ中に含まれる顔料のゼータ電位の関数としての
図3の波形の印加によって得たシアンの品質を示すグラフである。
【0039】
【
図6】
図6は、本発明の種々の実施形態に従って作製したディスプレイ中に含まれる顔料のゼータ電位の関数としての
図4の波形の印加によって得た全色域を示すグラフである。
【0040】
【
図7】
図7は、本発明の種々の実施形態に従って作製したディスプレイについての、
図4の波形の印加によって得た全色域に対する
図3の波形の印加によって得たシアンの品質を示すグラフである。
【0041】
【
図8】
図8は、黒色、白色、減色混合の三原色、および加色混合の三原色を表示したときの電気泳動媒体中の種々の粒子の位置を示す模式的な断面図である。
【0042】
【発明を実施するための形態】
【0043】
定義
以下の用語および句は、本明細書中に別段の提供がない限り、以下に示す意味を有する。本開示は、本明細書中に明確に定義していない他の用語および句を使用してもよい。かかる他の用語および句は、当業者への本開示の文脈の範囲内にあると考えられる意味を有するものとする。いくつかの例では、用語または句を、単数または複数で定義してよい。このような例において、反対の指示が明確にない限り、単数形の任意の用語には複数形が含まれてよく、その逆もまた同じであると理解される。
【0044】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上そうでないと明確に示されない限り、複数の指示対象が含まれる。例えば、「置換基(a substituent)」という用語は、単一の置換基および2またはそれを超える置換などを含む。
【0045】
本明細書中で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「~など(such as)」、または「~が含まれる(including)」は、より一般的な主題をさらに明確にする例を導入することを意味する。別段の明確な指示がない限り、かかる例は、本開示で示された実施形態の理解を助けることのみを目的として提供され、いかなる場合にも制限されることを意味しない。これらの句は、いかなる場合にも開示の実施形態を優先することもない。
【0046】
本明細書中で使用される用語「ポリマー」は、同一のタイプまたは2またはそれを超えるタイプの単量体を重合することによって調製された高分子化合物を指す。したがって、一般名としてのポリマーは、本明細書中の以下に定義された用語「ホモポリマー」および用語「インターポリマー」を含むことが意図される。ポリマー構造中および/またはポリマー構造内に微量の夾雑物が組み込まれている場合がある。
【0047】
本明細書中で使用される用語「インターポリマー」は、少なくとの2つの異なる単量体の重合によって調製されたポリマーを指す。一般名インターポリマーには、コポリマー(2つの異なるタイプの単量体から調製されたポリマーを指すために使用される)および2つを超える異なるタイプの単量体から調製されたポリマーが含まれる。それ故に、「1またはそれを超える単量体由来のポリマー」は、単量体が1種の場合のホモポリマー、単量体が2種の場合のコポリマー、および例えば単量体が3種またはそれを超える場合の他のタイプのインターポリマーを指す。
【0048】
用語「単量体単位」、「モノマー単位」、「モノマー残基」、または「単量体残基」は、対応する単量体の重合に起因する残基を意味すると理解される。例えば、スチレン単量体の重合に由来するポリマーは、反復スチレン単量体単位(すなわち、「-CH(C6H
5)CH2-」)を含む重合体セグメントを提供するであろう。
【0049】
本明細書中で使用される用語「官能基」は、分子実体内の連結した原子群または単一の原子を指し、ここで、分子実体は、個別に識別可能な実体として同定可能な任意の構造または同位体が異なる原子、分子、イオン、イオン対、ラジカル、ラジカルイオン、錯体、配座異性体などである。別段の記載がない限り、特定の化学変換「によって形成された」基という記載は、この化学変換が基を含む分子実体の作製に関与することを意味しない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、示した種々の官能基は、ハイフンまたはダッシュ(-)またはアスタリスク(*)を有する官能基に結合点を有すると理解されるであろう。換言すれば、-CH2CH2CH3の場合、結合点は左端のCH2基であると理解されるであろう。基がアスタリスクやダッシュを伴わずに列挙される場合、結合点は、列挙された基の明白かつ通常の意味を示す。
【0051】
本明細書中で使用される場合、多原子の二価官能基は、左から右に読むものとする。例えば、明細書または特許請求の範囲がA-D-Eを列挙し、かつDを-OC(O)-と定義する場合、Dが置換された基は、A-C(O)O-EではなくA-OC(O)-Eである。
【0052】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、1~30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を指し、これは、本明細書中でさらに説明されるように必要に応じて置換されてよく、複数の置換度が許容される。「アルキル」の例には、本明細書中で使用される場合、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、および2-エチルヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。アルキル基内の炭素原子数は、句「Cx~yアルキル」で表され、この句は、x~y個(両端の値を含む)の炭素原子を含む本明細書中に定義のアルキル基を指す。したがって、「C1~6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル鎖を表し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、「アルキル」基は、二価である可能性があり、この場合、この基は、代わりに「アルキレン」基と呼んでよい。また、いくつかの例では、アルキル基またはアルキレン基内の1またはそれを超える炭素原子を、ヘテロ原子(例えば、実現可能な場合、窒素、酸素、または硫黄(実施可能な場合、窒素酸化物、硫黄酸化物、および二酸化硫黄が含まれる)から選択される)に置換することができ、これは、「ヘテロアルキル」基または「ヘテロアルキレン」基と呼ばれる。
【0053】
本明細書中で使用される場合、「シクロアルキル」は、3~24員の環状炭化水素を指し、これは、本明細書中でさらに説明されるように必要に応じて置換されてよく、複数の置換度が許容される。かかる「シクロアルキル」基は、単環または多環である。用語「シクロアルキル」には、本明細書中で使用される場合、芳香環を含む環系は含まれないが、不飽和度が1またはそれを超え得る環系は含まれる。「シクロアルキル」基の例には、本明細書中で使用される場合、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-ノルボルニル、2-ノルボルニル、7-ノルボルニル、1-アダマンチル、および2-アダマンチルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、「シクロアルキル」基は、二価である可能性があり、この場合、この基は、代わりに「シクロアルキレン」基と呼ぶことができる。また、いくつかの例では、シクロアルキル基またはシクロアルキレン基内の1またはそれを超える炭素原子を、ヘテロ原子(例えば、実現可能な場合、窒素、酸素、または硫黄(可能な場合、窒素酸化物、硫黄酸化物、および二酸化硫黄が含まれる)から選択される)に置換することができ、これは、
「ヘテロシクロアルキル」基または「ヘテロシクロアルキレン」基と呼ばれる。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「アリール」は、6~30員の環状芳香族炭化水素を指し、これは、本明細書中でさらに説明されるように必要に応じて置換されてよく、複数の置換度が許容される。本明細書中で使用される「アリール」基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「アリール」には、フェニル基またはナフチル基が1~3つの非芳香族の飽和または不飽和の炭素環と必要に応じて縮合した環系も含まれる。例えば、「アリール」は、芳香環または非芳香環(単数または複数)のいずれかに付着することが可能なインデンなどの環系が含まれるであろう。いくつかの例では、「アリール」基は、二価である可能性があり、この場合、この基は、代わりに「アリーレン」基と呼ぶことができる。また、本明細書中で使用される場合、「アリールアルキル」は、1またはそれを超える(例えば、1~3つの)アリール基(本明細書中で定義)にさらに置換されたアルキル置換基(上記で定義)を指す。同様に、「アルキルアリール」は、1またはそれを超える(例えば、1~5つの)アルキル基にさらに置換されたアリール置換基を指す。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環を含み、1またはそれを超えるヘテロ原子も含む5~30員の単環系または多環系を指す。かかる「ヘテロアリール」基は、本明細書中でさらに説明されるように必要に応じて置換されてよく、複数の置換度が許容される。少なくとも1つの芳香環および少なくとも1つの非芳香環を含む多環式「ヘテロアリール」基では、芳香環(単数または複数)は、ヘテロ原子を含む必要はない。したがって、例えば、「ヘテロアリール」には、本明細書中で使用される場合、インドリニルが含まれるであろう。さらに、結合点は、結合点を含む環が芳香族であることや、ヘテロ原子を含むことと無関係に環系内の任意の環に存在し得る。したがって、例えば、「ヘテロアリール」には、本明細書中で使用される場合、インドリン-1-イル、インドリン-3-イル、およびインドリン-5-イルが含まれるであろう。ヘテロ原子の例には、実現可能な場合、窒素、酸素、または硫黄の各原子(窒素酸化物、硫黄酸化物、および二酸化硫黄が含まれる。「ヘテロアリール」基の例には、本明細書中で使用される場合、フリル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プテリジニル、およびフェナジニル(付着が化学的に実現可能な限り、前述の環上の任意の位置で付着することができる)が含まれるが、これらに限定されない。したがって、例えば、「チアゾリル」は、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、およびチアゾール(thiaz)-5-イルを指す。いくつかの例では、「ヘテロアリール」基は、二価である可能性があり、この場合、この基は、代わりに「ヘテロアリーレン」基と呼ぶことができる。また、本明細書中で使用される場合、「ヘテロアリールアルキル」は、1またはそれを超える(例えば、1~3つの)ヘテロアリール基(本明細書中で定義)にさらに置換されたアルキル置換基(上記で定義)を指す。同様に、「アルキルヘテロアリール」は、1またはそれを超える(例えば、1~5つの)アルキル基にさらに置換されたアリール置換基を指す。
【0056】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」は、-ORを指し、ここで、Rはアルキル基(上記で定義)である。アルキル基内の炭素原子数は、句「Cx~yアルコキシ」で表され、この句は、x~y個(両端の値を含む)の炭素原子を含む本明細書中に定義のアルキル基を有するアルコキシ基を指す。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素を指す。いくつかの実施形態では、これらの用語は、フッ素および/または塩素を指す。本明細書中で使用される場合、「ハロアルキル」または「ハロアル
コキシ」は、それぞれ、1またはそれを超えるハロゲン原子に置換されたアルキル基またはアルコキシ基を指す。用語「ペルフルオロアルキル」または「ペルフルオロアルコキシ」は、それぞれ、あらゆる利用可能な水素がフッ素に置換されたアルキル基およびアルコキシ基を指す。
【0058】
いくつかの例では、本開示は、ある特定の複数の基の「1つの組み合わせ(combination)」または「複数の組み合わせ(combinations)」を指す場合があり、これは、2またはそれを超える前述の基を組み合わせて新規の基を形成することができることを意味する。例えば、句「Rは、アルキレン、アリーレン、またはその組み合わせである」は、Rがアルキレン(alkykene)基およびアリーレン基の両方を含む基(-(アルキレン)-(アリーレン)-、-(アリーレン)-(アルキレン)-、および-(アルキレン)(アリーレン)(アルキレン)-など)である可能性があることを意味する。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「置換された」は、指定した部分の1またはそれを超える水素の、指定の置換基への置換を指し、別段の記載がない限り、複数の置換度が許容されるが、但し、置換しても安定な化合物または化学的に実現可能な化合物が得られることを条件とする。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、約-80℃~約+40℃にて水分または化学的に反応性の高い条件の非存在下で少なくとも1週間維持した場合に化学構造が実質的に変化しない化合物、または電気泳動への適用に有用であるのに十分な期間にわたって完全性が維持される化合物である。本明細書中で使用される場合、句「1またはそれを超える~と置換された」または「~と1またはそれを超える回数置換された」は、利用可能な結合部位の数に基づいて1つから可能な置換基の最大数までに等しい置換基の数を指すが、但し、上記の安定性および化学的実現性の条件が満たされることを条件とする。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「必要に応じて」は、その後に記載されている事象(単数または複数)が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。いくつかの実施形態では、必要に応じた事象は起こらない。いくつかの他の実施形態では、必要に応じた事象は1回またはそれをこえる回数で起こる。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」または「~構成される(comprised of)」は、非制限の群を指し、群が明確に列挙した構成要素に加えてさらなる構成要素を含むことができることを意味している。例えば、句「Aを含む(comprises A)」は、Aは存在しなければならないが、他の構成要素も存在することができることを意味する。用語「~を含む(include)」、「~を有する(have)」、および「~構成される(composed of)」、ならびにこれらの文法的な異型は、同一の意味を有する。対照的に、「~からなる(consist of)」または「~からなる(consists of)」または「~からなる(consisting of)」は、制限された群を指す。例えば、句「Aからなる(consists of A)」は、Aのみが存在することを意味する。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「または」は、最も広義かつ妥当に解釈されるものとし、二者択一の状況に制限されないものとする。したがって、句「AまたはBを含む(comprising A or B)」は、Aが存在することができるがBはできないこと、Bは存在するがAは存在しないこと、またはAおよびBの両方が存在することを意味する。さらに、Aが、例えば、複数の構成要素(例えば、A1およびA2)を有することができるクラスを定義する場合、クラスの1またはそれを超える構成要素は同時に存在することができる。
【0063】
本明細書中で使用される場合、「重量%」は、項目の所与の構成要素の質量を基準にした百分率の略語である。これは、無次元のサイズの混合物または生成物の組成を表す1つの方法であり;モル分率(モルを基準にした百分率、モル%)および体積分率(体積を基準にした百分率、体積%)は他の方法である。
【0064】
詳細な説明
上述のように、本発明は、1つの態様では、1つの光散乱粒子(典型的には、白色)および3つの他の粒子(典型的には、減色混合の三原色を提供する)を含む電気泳動媒体を提供する。減色混合の三原色の有色粒子のうちの1つの移動度(例えば、ゼータ電位を単位として測定した場合)が電気泳動媒体中の他の粒子の移動度の半分またはそれ未満である場合、全色域を犠牲にすることなく切替時間が改良される。
【0065】
減色混合の三原色を提供する3つの粒子は、実質的に非光散乱性(「SNLS」)であり得る。SNLS粒子を使用すると、混色され、同数の散乱粒子を使用して達成することができる結果よりも多くの色を得ることが可能である。前述の米国特許出願公開第2012/0327504号は、減色混合の原色を有する粒子を使用しているが、非白色粒子を独立してアドレス指定するために2つの異なる電圧閾値を必要とする(すなわち、ディスプレイは、3つの正電圧および3つの負電圧を用いてアドレス指定される)。これらの閾値はクロストークを回避するために十分に離れていなければならず、この分離には、いくつかの色について高いアドレス指定電圧が必要である。さらに、最高の閾値を用いて有色粒子をアドレス指定すると全ての他の有色粒子も移動し、これらの他の粒子をその後により低い電圧で望ましい位置に切り替えなければならない。このような段階的な色アドレス指定スキームにより、望ましくない色が発光し、遷移時間が長くなる。本発明のある特定の実施形態は、このような段階的波形を使用する必要がなく、たった2つの正電圧および2つの負電圧を使用して全ての色をアドレス指定することができる(すなわち、5つの異なる電圧、つまり、2つの異なる電圧、2つの正電圧、2つの負電圧、およびゼロしかディスプレイに必要でないが、他の実施形態では、ディスプレイをアドレス指定するためにより多くの異なる電圧を使用することが好ましい場合がある)。
【0066】
添付の図面の
図8は、黒色、白色、減色混合の三原色、および加色混合の三原色を表示する場合の米国特許9,921,451号に記載のカラーディスプレイの電気泳動媒体中の種々の粒子の位置を示す模式的な断面図である。
図8では、ディスプレイの画面が上にあり(図示するように)(すなわち、使用者はディスプレイをこの方向から見る)、この方向から光が入射すると仮定する。既に言及したように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体で使用される4つの粒子のうちのたった1つが実質的に光を散乱し、
図8では、この粒子は、白色顔料であると仮定する。基本的には、この光散乱白色粒子は白色反射物を形成し、白色粒子上部の任意の粒子(
図8に図示)が見える。ディスプレイの画面に入った光はこれらの粒子を通過し、白色粒子から反射され、これらの粒子を再度通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白色粒子上部の粒子は種々の色を吸収する場合があり、使用者に対して出現した色は白色粒子上部の粒子の組み合わせから生じたものである。白色粒子の下部(使用者の視点の裏側)に配置された任意の粒子は、白色粒子によって遮蔽され、表示される色に影響を及ぼさない。第2、第3、第4の粒子が実質的に非光散乱性であるので、これらの粒子の相互に対する順序または配置は重要ではないが、既に述べた理由にために、白色(光散乱)粒子に対するその順序または配置は重要である。
【0067】
より具体的には、シアン、マゼンタ、および黄色の粒子が白色粒子の下部にある場合(
図8中の状態[A])、白色粒子の上部に粒子は存在せず、ピクセルは単純に白色を表示する。単一の粒子が白色粒子の上部に存在する場合、その単一の粒子の色が表示される(
それぞれ、
図8中の状況[B]、[D]、および[F]における黄色、マゼンタ、およびシアン)。2つの粒子が白色粒子の上部に存在する場合、表示される色は、これら2つの粒子の色の組み合わせである;
図8において、状況[C]では、マゼンタおよび黄色の粒子は赤色を表示し、状況[E]では、シアンおよびマゼンタの粒子が青色を表示し、状況[G]では、黄色およびシアンの粒子が緑色を表示する。最後に、3つ全ての有色粒子が白色粒子の上部に存在する場合(
図8中の状況[H])、全ての入射光が減色混合の三原色の有色粒子に吸収され、ピクセルは黒色を表示する。
【0068】
光を散乱する粒子によって1つの減色混合の三原色がレンダリングされる可能性があり、その結果、ディスプレイは2つのタイプの光散乱粒子を含むと考えられ、そのうちの一方は白色であり、他方は有色であると考えられる。しかしながら、この場合、光散乱有色粒子の、白色粒子を覆う他の有色粒子に対する位置は重要であろう。例えば、黒色(3つ全ての有色粒子が白色粒子の上部に存在する場合)にレンダリングする場合、散乱有色粒子は非散乱有色粒子上に存在することができない(そうでなければ、非散乱有色粒子が散乱粒子の背後に部分的または完全に隠れ、レンダリングされる色は散乱有色粒子の色であり、黒色ではないであろう)。
【0069】
1つを超えるタイプの有色粒子が光を散乱する場合、黒色をレンダリングすることは容易ではないであろう。
【0070】
図8は、色汚れしていない理想化された状況を示す(すなわち、光散乱白色粒子がこの白色粒子の背後に存在する任意の粒子を完全に遮蔽する)。実際には、白色粒子による遮蔽は不完全であり得るため、理想的には完全に遮蔽される光が粒子によっていくらかわずかに吸収され得る。かかる色汚れは、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方が低下する。本発明の電気泳動媒体では、かかる色汚れは、形成された色が演色についての業界標準に準拠する点まで最小限にされるはずである。特に好ましい標準は、SNAP(新聞広告制作のための標準)であって、これは、上記で言及した8つの各原色についてL
*値、a
*値、およびb
*値を規定するものである(以後、「原色」は、
図8に示すように、8つの色、すなわち、黒、白、減色混合の三原色、および加色混合の三原色を指すために使用されるであろう)。
【0071】
図8に示されるように、複数の異なる着色粒子を「層」内に電気泳動的に配列するための方法は、従来技術に説明されている。そのような方法の最も単純なものは、異なる電気泳動移動性を有する顔料を「レーシング」することを伴う;例えば、米国特許第8,040,594号を参照のこと。そのようなレースは、帯電顔料自体の運動が、電気泳動流体内で局所的に被られる電場を変化させるために、最初に理解され得るよりも複雑である。例えば、正に帯電された粒子がカソードに向かって移動し、負に帯電された粒子がアノードに向かって移動するにつれて、その電荷は、2つの電極間の中間の帯電粒子によって被られる電場を遮る。顔料レーシングは、本発明の電気泳動内に伴われるが、
図8に図示される粒子の配列の要因である唯一の現象ではないと考えられる。
【0072】
カラーディスプレイ(米国特許第9,921,451号に記載のカラーディスプレイなど)では、有色顔料のうちの1つは、白色顔料と同一の電荷極性を有する(典型的には負に帯電している)。負に帯電した有色顔料および白色顔料の両方は、電場を同一の方向で移動するため、純粋な白色および黄色の状態を得るには、これらの顔料のうちの一方の他方に対する運動を選択的に遅延させるか促進させるいくつかの手段を必要とする。実際には、色汚れしていない白色状態が得られるような程度を超えるまで観察者に対して白色顔料が負に帯電した有色顔料を確実に覆うために複雑な波形が使用される。かかる複雑な波形は、別の色から白色状態へ迅速に移行できない場合がある。例えば、いくつかのディスプレイについて、かかる移行は、約5~10秒もの長さであり得る。米国特許9,921
,451号に記載のように、白色および黄色が負に帯電し、シアンおよびマゼンタが正に帯電している場合、およびシアン顔料がマゼンタ顔料より黄色と弱い凝集体を形成する場合、シアン色は前の白色状態から形成され、その後に第2相でシアン顔料が画面に戻らなければならない。したがって、別の色からのシアン色の形成には、白色状態の形成よりも遥かに長い更新時間が必要である。しかしながら、フルカラー電気泳動ディスプレイの多くの適用条件では、画像移行時間がさらにより短い(約3秒またはそれ未満)ことが好ましいであろう。
【0073】
予想通り、減色混合の三原色の有色粒子のうちの1つの移動度が電気泳動媒体中の他の粒子の移動度の半分またはそれ未満である場合、切替時間を改良することが可能であり得ることが本発明で見出された。広義では、移動度は、
【数1】
と表すことができ、式中、νは電気泳動速度であり、
【数2】
は印加電界である。有色粒子移動度の尺度を、いくつかの方法のうちの1つにおいて得ることができる。移動度を直接測定することができるが、非極性媒体については直接測定することは簡単ではない場合がある。例えば、移動度を、粒子のゼータ電位(ζ)もしくは電荷質量比(Q/M)の測定値または分散物の伝導率(λ)およびその漿液の伝導率(λ
0)の相違の測定値から計算することができる。移動度のゼータ電位、電荷質量比、および伝導率との関係は、Morrison,I.D.and Tarnawskyj,C.J.,Langmuir 1991,7,2358で考察されている。
【0074】
1つの例では、電気泳動媒体は、低誘電率の溶媒、シラン表面処理され、ポリマーコーティングを有する、ゼータ電位が-60mV未満の白色顔料、ポリマーコーティングを含み、ゼータ電位が30mVを超える第1の有色顔料、ポリマーコーティングを含んでも含まなくてもよく、ゼータ電位が20mVを超える第2の有色顔料(このポリマーコーティングは、第1および第3の有色顔料のポリマーコーティングよりも立体安定性が低い)、およびゼータ電位が-20mV~+20mVの範囲の第3の有色粒子を含み得る。より一般的には、本発明の種々の実施形態の調合物は、ポリマーコーティングを含み、かつ第1の極性を有する散乱白色顔料、第1の極性と反対の第2の極性を有する2つの有色顔料であって、これら2つの顔料のうちの少なくとも1つがポリマーコーティングを有する、2つの有色顔料、およびポリマーコーティグを含む第3の有色顔料を含み得、ここで、第3の有色顔料の移動度は、任意の他の顔料の移動度の半分未満である。第3の有色顔料のポリマーコーティングは、好ましくは、電気泳動溶媒に不溶であるが、より極性の高い溶媒によって除去され得る。いくつかの調合物では、白色顔料、第2の極性を有する2つの有色顔料、および第3の有色顔料は全て、ポリマーコーティングを含む。各コーティングは、全ての他のコーティングと組成が異なり得る。あるいは、2またはそれを超える顔料は、同一のコーティングを特徴とし得る。
【0075】
粒子を含むコア顔料がおよそ同一のサイズであり、各々の非コーティング粒子のゼータ電位がおよそ同一であると仮定すると、複合粒子のゼータ電位の規模は、各コア顔料を取り囲むポリマーシェルに依存する。本発明の種々の実施形態の電気泳動媒体中に含まれる顔料粒子の1つの作製法によれば、分散物の重合手順を、コア顔料粒子上にポリマーコーティングを施すために使用してよい。好ましい方法では、重合開始剤も含む溶媒中に適切な単量体を含む溶液中に含まれるコア顔料粒子の分散物が得られる。少なくとも1つの単量体から形成されたホモポリマーは溶媒に可溶であるのに対して、少なくとも別の単量体
から形成されたホモポリマーは分子量が十分に高く、不溶である。単量体混合物の重合が進むにつれてコポリマーが生成され、その分子量が増加するにつれて溶媒に不溶になると、コア顔料粒子上にポリマーが堆積し始める。しかしながら、溶媒に可溶なコポリマー部分を得るのに十分な量のより可溶性の高い単量体が存在する。これらのセグメントは、コーティングされたコア顔料粒子に立体安定性をもたらす。
【0076】
ポリマーコーティングされた顔料粒子の略図を
図1に示す。コア顔料粒子102は、溶媒に可溶なセグメント106含むより小さなポリマー粒子104で修飾されている。より多くのポリマー粒子がコア粒子上に堆積するにつれて、その表面は次第に全て被覆されるようになる。理論に拘束されることを望まないが、この過程の簡潔なモデルをここに記載するであろう。このモデルには多くの前提が存在するが、しかしながら、このモデルは、本発明の種々の実施形態を理解するためのいくらかの価値がある。
【0077】
ポリマー粒子104が既に修飾された顔料粒子102の表面上の無作為な位置に融合しており、かつ、ポリマー粒子が、接着した時点で、粒子表面上に広がっていないと仮定すると、さらなるポリマー粒子が依然としてポリマーで被覆されていないコア顔料粒子102の部分に衝突する確率は、ポリマーの既存量に依存する。このことから、前述のタイプのポリマーによって被覆された顔料粒子表面の比率Pについての式:
P=1-exp(-kQ)(1)
が得られ、ここで、Qは、顔料粒子に付加されたポリマー粒子の相対質量であり、kは、前述のポリマーおよび顔料粒子の半径ならびにその相対密度に依存する定数である。
【0078】
修飾された粒子のゼータ電位が、被覆されていない顔料表面およびポリマーの表面積平均ゼータ電位であり、ポリマーのゼータ電位が、各構成要素の単量体から作製された純粋なポリマーのゼータ電位の質量比平均であるとさらに仮定すると、複合粒子のゼータ電位は、
【数3】
によって得られ、ここで、m
iは、ポリマー粒子を含むポリマー中の単量体iの相対質量であり、ζ
iは、単量体iから作製された純粋なポリマーから作製された粒子のゼータ電位であり、ζ
pigは、未修飾の顔料粒子のゼータ電位である。式(2)により、特定の複合粒子のゼータ電位をその組成を考慮して大まかに予測可能である。
【0079】
図2は、本発明のいくつかの異なる複合顔料粒子(全て同一の基本顔料粒子の誘導体である)のゼータ電位の予測値と測定値の比較を示す(Pigment Yellow155)。顔料粒子の調製(以下の実施例1に詳述した実施形態など)において、重合反応物に添加した単量体の質量のうちのたった約1/3しか実際に単離した顔料粒子表面上に堆積しないことに留意のこと。結果として、堆積したポリマーの組成は、反応容器に添加した単量体の組成と必ずしも同一でない。したがって、式(2)から推定されるゼータ電位は、近似値でしかない。
【0080】
典型的には、本発明の種々の実施形態の電気泳動媒体に組み込まれる粒子を調製するために使用される単量体は、重合溶媒に可溶でなければならない。単量体のうちの少なくとも1つは、ポリマーを形成し、重合が進行するにつれて不溶にならなければならない。
【0081】
生成物であるポリマーにさらなる正電荷を付与する単量体は、式(1)などのビニル酸のエステルおよびアミドを含む:
CH2=C(R1a)C(O)R2 式(1)
【0082】
官能基R1aは、通常、-Hまたは-CH3である。1つの実施形態では、R2基は、式-OR3であり、アクリラートまたはメタクリラートを形成する。R2基が式-NHR3である場合、単量体はアクリルアミドである。R2が式-NR3
2である実施形態も含まれ、この場合、単量体はN,N-ジアクリルアミドである。非限定的な実施形態では、R3基は、C1~6アルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C6~14アリール、C5~14ヘテロアリールのうちの1つまたは組み合わせであり得る。さらに、R3基は、R4から独立して選択される1または複数の基に置換され得る。代表的な実施形態では、R4は、C1~6アルキル、-OH、C1~6アルコキシ、-NH2、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)2、C1~6ハロアルキル、またはC1~6ハロアルコキシであり得る。式(1)の代表的な個別の単量体には、メチルメタクリラート(MMA)、メトキシフェニルメチルメタクリラート、およびN,N-ジ-イソプロピルアクリルアミドが含まれる。
【0083】
さらなる負電荷を付与する単量体は、スチレンおよび置換スチレンを含む。置換スチレンの非限定的な例には、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)2、およびハロゲンから独立して選択される1または複数の基に置換されたスチレンが含まれる。さらなる負電荷を付与する別のクラスの単量体は、式(2)の分子によって提供される:
CH2=C(R1b)C(O)R5 式(2)
【0084】
官能基R1bは、通常、-Hまたは-CH3である。1つの実施形態では、R5基は、式-OR6であり、アクリラートまたはメタクリラートを形成する。R5基が式-NHR6である場合、単量体はアクリルアミドである。R5が、単量体がN,N-ジアクリルアミドとなる式-NR6
2である実施形態も含まれる。非限定的な実施形態では、R6基は、C1~6アルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C6~14アリール、C5~14ヘテロアリールのうちの1つまたは組み合わせであり得る。さらに、R6基は、R7から独立して選択される1または複数の基に置換される。代表的な実施形態では、R7は、ハロゲン、-CN、-NO2、-S(O)-、または-S(O)2-である。式(2)の代表的な個別の単量体には、ビニル酸のフッ素化されたエステルまたは部分フッ素化されたエステル(トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、モノフルオロエチルのアクリラートまたはメタクリラートなど)が含まれる。1つの例示的な実施形態では、式(2)の単量体はトリフルオロエチルメタクリラート(TFEM)である。
【0085】
可溶性ホモポリマーが得られる単量体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の誘導体(例えば、アクリラート末端ポリジメチルシロキサン、または長鎖または分岐鎖のアクリラートエステル(ラウリルメタクリラートまたは2-エチルヘキサ-1-イルメタクリラートなど))であり得る。
【0086】
前述のように、本発明の好ましい実施形態では、電気泳動媒体中の一連の複合粒子のゼータ電位は-20mV~+20mVの範囲である。当該分野で周知のように、顔料粒子集団は、一般に、集団内の粒子の分布に依存する移動度の範囲を示すであろう。したがって、ゼータ電位値は、粒子のセット全体の移動度の平均値を示す。
【0087】
ポリマーシェルの範囲を、熱重量分析(TGA)(粒子の乾燥試料の温度を上昇させ、熱分解に起因する質量損失を温度の関数として測定する技術)によって評価することが都合がよい。ポリマーコーティングが喪失するが、コア顔料が残存する条件を見出すことができる(これらの条件は、コア顔料粒子が正確に使用されているかに依存する)。TGA
を使用して、ポリマーである粒子の質量の比率(すなわち、複合粒子中のポリマーシェルの質量分率)を測定することができ、これをコア顔料およびコア顔料に付着したポリマーの既知密度を使用して体積分率に変換することができる。
【0088】
上記の顔料粒子のポリマー被覆度を重量測定法で評価する方法は、以下の実施例2にも提供している。この被覆度は、複合顔料粒子を調製するために使用した反応混合物中の単量体および粒子の質量比を変化させることによって調整することができる。1つの例示的な実施形態によれば、複合粒子中のポリマーシェルの質量分率は、少なくとも25重量%~多くとも75重量%である。さらなる実施形態では、質量分率は、少なくとも25重量%~多くとも70重量%、少なくとも25重量%~多くとも60重量%、少なくとも25重量%~多くとも50重量%、または少なくとも25重量%~多くとも40重量%である。さらなる実施形態では、質量分率は、少なくとも20重量%~多くとも70重量%、少なくとも20重量%~多くとも60重量%、少なくとも20重量%~多くとも50重量%、または少なくとも20重量%~多くとも40重量%である。
【0089】
多種多様の形態がコア顔料のために使用され得る:当該分野で周知のように、球体、針状体、または異方性の形態、より小さな粒子の凝集体(すなわち、「グレープクラスター」)、小型の顔料粒子または染料が結合剤に分散された複合粒子など。ポリマーシェルは、当該分野で周知のグラフティング過程または化学吸着によって作製された共有結合ポリマーであり得るか、粒子表面上に物理的に吸着し得る。
【0090】
この分析では、ポリマーシェルがコア顔料表面全体を均一にカプセル化すると仮定している。しかしながら、これは決して保証されていない(例えば、前述の米国特許第6,822,782号の
図6およびカラム16~17の関連する説明を参照のこと)。前述のポリマーの付着方法は結晶性のコア顔料の一方の表面を他方の表面より好み、それによりコア顔料の一部の領域がポリマーで被覆され、他の領域は全く被覆されないか非常にわずかしか被覆されない可能性がある。また、特に、ポリマーを顔料表面に付着させるためにグラフティング技術を使用する場合、ポリマーの成長がまばらである場合があり、グラフティングされるポリマーの質量が大きい場合でさえ、コア顔料の大きな領域が被覆されない。
【0091】
既に述べたように、1つの好ましい実施形態では、本発明は、典型的には白色の光散乱粒子、および3つの実質的に非光散乱性の粒子を使用する必要がある。完全に光散乱性の粒子や完全に非光散乱性の粒子というものは存在せず、本発明の電気泳動で使用される光散乱粒子の最小の光散乱度および実質的に非光散乱性の粒子で許容可能な光散乱の最大許容度は、顔料が正確に使用されているか、その色、および使用者または適用において理想とする所望の色からのいくらかの逸脱を許容できるかかどうかなどの要因に応じていくらか変動してよい。顔料の散乱特性および吸収特性は、適切なマトリックスまたは液体中に分散された顔料試料の、白色および暗色のバックグラウンドに対する拡散反射率の測定によって評価され得る。かかる測定由来の結果を、当該分野で周知のいくつかのモデル(例えば、一次元Kubelka-Munk処理)にしたがって解釈することができる。本発明では、1.55未満の屈折率の顔料および液体を含む厚さ1μmの層内に白色顔料が15体積%でおよそ等方的に分布する場合に、白色顔料は黒色バックグラウンドで測定した550nmでの拡散反射率が少なくとも5%であることが好ましい。黄色、マゼンタ、およびシアンの顔料は、好ましくは、黒色バックグラウンドで測定した650nm、650nm、および450nmの拡散反射率が、それぞれ、同一条件下で2.5%未満である(黄色、マゼンタ、およびシアンの顔料の測定のために上記で選択した波長は、これらの顔料による最小吸収のスペクトル領域に対応する)。これらの基準を満たす有色顔料を、以後、「非散乱性」または「実質的に非光散乱性」と呼ぶ。
【0092】
以下の表1は、本発明の電気泳動媒体で有用な好ましい黄色、マゼンタ、シアン、および白色の顔料(Y1、M1、C1、およびW1、以下により詳細に記載)の拡散反射率を、ポリ(イソブチレン)マトリックスに分散した場合のこれらの材料のKubelka-Munk分析にしたがった前述の顔料の吸収率および散乱係数とともに示す。
【0093】
【0094】
白色粒子で使用したコア顔料は、典型的には、電気泳動ディスプレイ分野で周知の屈折率が高い金属酸化物(チタニアなど)である。減色混合の三原色:シアン、マゼンタ、および黄色を得るために使用したコア顔料には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
適切な黄色コア顔料には、C.I.Pigment Yellow1、3、12、13、14、16、17、73、74、81、83、97、111、120、126、137、139、150、151、155、174、175、176、180、181、191、194、213、および214が含まれる。好ましい黄色コア顔料には、C.I.Pigment Yellow139、155、および180が含まれる。
【0096】
適切なマゼンタコア顔料には、C.I.Pigment Red12、14、48:2、48:3、48:4、57:1、112、122、146、147、176、184、185、209、257、および262、ならびにC.I.Pigment Violet19および32が含まれる。1つの好ましいマゼンタコア顔料は、C.I.Pigment Red122である。
【0097】
適切なシアンコア顔料には、C.I.Pigment Blues 15:1、15:2、15:3、15:4、および79、ならびにC.I.Solvent Blue70が含まれる。
【0098】
ディスプレイデバイスを、従来技術で公知のいくつかの方法において本発明の電気泳動流体を使用して構築してよい。電気泳動流体を、マイクロカプセルにカプセル化するか、マイクロセル構造体に組み込んでよく、その後にポリマー層でシールする。マイクロカプセル層またはマイクロセル層を、導電性材料で透明コーティングしたプラスチック製の基板または薄膜上にコーティングするかエンボス加工してよい。このアセンブリを、導電性接着剤を使用して画素電極を保有するバックプレーンに積層してよい。
【実施例0099】
実施例
実施例をここに示すが、これは、本発明の好ましい電気泳動媒体およびこれらの好ましい電気泳動媒体を駆動するための過程の詳細を示すための例示のみを目的とする。
【0100】
実施例1-黄色顔料の調製
【0101】
工程1:練り染料の調製。
【0102】
貯蔵タンクに、Pigment Yellow155(Clariant CorporationのInk Jet Yellow 4GCとして入手可能、1670g)とアイソパー-E(9440g)との混合物を入れた。混合物を、0.7~1.2mmの球状粉砕媒体(セリア安定化ジルコニア、Jyotiから入手可能、1840g)を添加したLabStar水平撹拌機Bead Mill(Netzsch Premier Technologies)で撹拌した。撹拌速度1000rpmで375分/kg顔料と同等の運転時間にわたって粉砕した。
【0103】
工程2:重合。
【0104】
250mlポリプロピレンボトルに、上記のように調製した練り染料(183.18g、顔料は25.04gで、アッセイに基づいた含有率は13.67%)を入れ、75分間超音波処理し、次いで、メカニカルスターラー、ゴム製セプタム、および表面下窒素送達用チューブを取り付けた500mLの3口丸底フラスコに移した。アイソパーE(27mL)を含む洗浄液を添加した。窒素をスパージしながら懸濁物を15分間迅速に撹拌し、その時点でモノメタクリルオキシプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)マクロマー(分子量約10,000、GelestからMCR-M22として入手可能(12.90g))、メチルメタクリラート(8.40g)、およびトリフルオロエチルメタクリラート(2.70g)の混合物を、さらなるアイソパーE洗浄液(5mL)と共に添加した。
【0105】
混合物を、継続的に窒素をスパージし、湯浴中で加熱(1時間後に55℃に到達する)しながら撹拌した。この時点で、窒素送達を表面上部に変更し、温度計をフラスコに導入し、アゾビスイソブチロニトリル(92mg)を含む酢酸エチル(0.72g)の溶液を、シリンジによって添加した。さらに75分後、バッチの温度は66℃であった。さらに15.5時間後、温度は63℃であり、加熱用の浴を外した。40℃に低下するまで撹拌し続け、その時点で、バッチをアイソパーE(60mL)で希釈し、33℃までゆっくり撹拌した。この時点で、内容物を2つの250mLポリプロピレンボトルに、十分なアイソパーE洗浄液と共に移し、それにより、分散物の総体積は500mLになった。バッチを、3500rpmで30分間遠心分離した。上清試料を保存した。固体をアイソパーEに懸濁して総体積250mLとし、ロールミルで4時間粉砕し、次いで、3440rpm
で30分間遠心分離した。上清を破棄し、固体をアイソパーEに再懸濁して総体積を250mLとし、30分間再度遠心分離した。この過程をさらに3回繰り返した(全部で5回の遠心分離)。この過程の終了時の湿ったケーキをヘキサンに懸濁して250mLとし、3500rpmで30分間遠心分離した。固体を3日間風乾し、次いで、50℃の真空オーブンに24時間入れて重量が34.42gの黄色固体を得た。
【0106】
工程3:複合顔料の分散物。
【0107】
125mLポリプロピレンボトルに、上記のように調製した乾燥顔料(10.00g)およびアイソパーE(40.00g)を添加した。混合物に90分間の超音波浴での処理を6日間にわたって8回行い、各回の間はロールミルによって回転させた。得られた分散物を200ミクロンのファブリックメッシュで濾過して流動性の分散物が得られ、固体は残存していなかった。秤量した試料をコンベクションオーブン中にて170°Fで一晩乾燥させ、20.26%が残存固体の重量であった。
【0108】
実施例2-複合粒子の重量に対する質量分率の評価
【0109】
シンチレーションバイアルに、試験顔料(0.5899g)、テトラヒドロフラン(7.05g)、および小型の磁気攪拌棒を添加した。バイアルに蓋をかぶせ、スターラー/ホットプレート上に置き、加熱しながら撹拌した。ドラフトから保護し、かつバイアルが破裂した場合の防護壁となるように、250mLガラスジャーを逆さにしてバイアルにかぶせた。ホットプレートの温度を、バッチ温度が60℃になるように調整した(高温計を用いて定期的に測定)。2時間後に加熱を中止し、内容物をさらに2時間撹拌し続け、次いで、15mLのNalgene遠心分離コーンに、約2mLのTHF洗浄液と共に移した。分散物を3070rpmで30分間遠心分離した。上清を風袋重量が14.0412gのシンチレーションバイアルに移し、170°Fのコンベクションオーブンに一晩静置した。翌日、遠心分離の沈降物にTHF(6.5g)を添加した。コーンに蓋をし、振盪し、分散物が得られるまで超音波処理し、次いで、3070rpmで30分間遠心分離した。上清を、第1の上清由来の残渣を含むバイアルに添加し、この溶液を、170°Fのコンベクションオーブン中で一晩再度乾燥させた。遠心分離由来の沈降物を一晩風乾し、次いで、両方の成分を真空中で70℃にて8時間乾燥させた。バイアルおよび内容物の総重量は14.1873gであり、正味のポリマー重量は0.1461gであった(元の試料重量の24.77%)。遠心分離コーン中の残存乾燥顔料をシンチレーションバイアルに移すと正味重量は0.4532gとなり(元の試料重量の76.83%)、したがって、物質収支は101.60%である。
【0110】
表2(
図9)は、上記の実施例1および2に記載のように調製および分析した顔料の物理的性質を示す。引用した粒径は溶液中で測定され、ポリマーシェル(存在する場合)は溶媒によって膨潤している。
【0111】
実施例3-調合物の電気光学的性能の測定
【0112】
工程1:例示的な電気泳動流体の調製
【0113】
流体(i):米国特許第9,921,451号の実施例12、パートAに記載のものに類似する白色粒子分散物(15.53g)を、米国特許第9,921,451号の実施例7に記載のように調製したものに類似するシアン粒子分散物(1.93g)、米国特許第9,921,451号の実施例5に記載のように調製したものに類似するマゼンタ粒子分散物(2.29g)、上記の実施例1の工程3に記載のものに類似する黄色顔料分散物(2.30g)、Lubrizol Corporation,Wickliffe,OH
から入手可能なSolsperse19000に類似する界面活性剤(アイソパーE中1.16gの50%w/w溶液)、および分子量850,000のポリ(イソブチレン)(アイソパーE中1.06gの15%w/w溶液)と組み合わせた。得られた混合物を一晩完全に混合し、90分間超音波処理して電気泳動流体を生成した。
【0114】
工程2:ディスプレイデバイスの調製
【0115】
透明導体(インジウムスズ酸化物、ITO)のコーティングを有するポリ(エチレンテレフタラート)薄膜上にエンボス加工された一連のマイクロセルに、上記の工程1に記載のように調製した電気泳動流体を充填した。マイクロセルは六角形であり、深さが14または17マイクロメートルであり、両端を測定した幅が130マイクロメートルであった。過剰な電気泳動流体をドクターブレードによってマイクロセルから除去し、マイクロセルを、米国特許第9,759,978号に記載のように複合ポリマーコーティングでシールした。このアセンブリを、厚さ3μmの米国特許第7,012,735号に実質的に記載のドーピングした熱伝導接着剤を使用してITO電極を有するガラスバックプレーンに積層して、ディスプレイデバイスを得た。
【0116】
デバイスを、米国特許第9,921,451号の実施例11、パートDに記載の様式に類似の様式で電気光学的に試験した。使用した波形を、
図3および4に示す。
図3の波形は、米国特許第9,921,451号の
図7Bに示した波形に類似し、シアン色を得ることを意図している。
図3に示した電圧は、フロントプレーン(画面)に対するデバイスのバックプレーンを指す。
【0117】
図3の波形の印加後、ディスプレイデバイスの反射スペクトルを測定した。記録された光学濃度を「分析濃度」(すなわち、個別の有色顔料の観察された吸収スペクトルへの寄与)に変換した。分析濃度を、ディスプレイデバイスの光学的損失を相殺するためのベースライン補正後に決定した。次いで、シアン色の品質を、シアン顔料による光の吸収に対応する分析濃度-マゼンタ顔料および黄色顔料による光の吸収に対応する分析濃度のうちの大きい方として評価した。値が大きいほどより理想的なシアン色と見なした。
【0118】
図4の波形(フロントプレーンに対するバックプレーンに印加した電圧を再度示す)は、全色域(すなわち、デバイスによってアドレス指定可能な全ての色の体積)を探索することを意図する。波形は、「双極子」(すなわち、反極性のパルス対であり、その持続時間および規模は、図中の暗色の囲みによって示すように、系統的に変動する)から構築している。調査した電圧は、+/-3.5、6.1、9.4、13.4、18.2、23.7、および30Vであり、パルス長の持続時間は50、80、120、190、および300ミリ秒である。あらゆる電圧対(+、-)について、あらゆるパルス持続時間対が1回訪れる。これは、1つの双極子におけるパルス持続時間対が次の双極子で変化した正確に1つの値を有し、この値がパルス持続時間値の順序付きリストに隣接するような方法で行われる。電圧を類似の様式で調査する。この方法では、波形は、連続的な双極子が相互にできるだけ類似するという点で、その変動ができるだけ滑らかである。波形の(最後だけでなく)至る所の反射スペクトルを得、CIEL
*a
*b
*単位に変換する。三次元色空間におけるこの点のクラウドを取り囲む凸包の体積(単位はΔE
3)を、特定のディスプレイデバイスが利用可能な全色域とする。
【0119】
図5および6は、黄色顔料のゼータ電位の関数としての、
図3の波形の印加によって得たシアンの品質および
図4の波形の印加によって得た全色域を示す。前述のように、ゼータ電位-55mVに対応する点は、官能化されていない対照黄色顔料に由来する。
【0120】
図5において、黄色顔料のゼータ電位の規模が約20mV未満である場合に、優れたシ
アンの品質スコアを得ることができることがわかる。また、シアンの品質スコアは、厚型のマイクロカップ(17ミクロン)よりも薄型のマイクロカップ(14ミクロン)を使用すると高くなる。厚型のマイクロカップを使用すると、シアンの品質スコアは、黄色顔料のゼータ電位の規模が約20mVを超える場合に非常に低い。
【0121】
理論に拘束されることを望まないが、本発明の実施形態にしたがって作製した黄色顔料を用いたことによるシアンの品質スコアの改善がその移動度の低さに寄与すると考えられる。黄色顔料が正に荷電しており、かつ移動度が高い場合、黄色顔料はその性質がシアン顔料に非常に類似するようになる。結果として、いかなる波形を印加してもこれら2つの色を識別することは困難である。他方では、黄色顔料が負に荷電しており、かつ移動度が高い場合、少なくとも短い波形を印加すると白色顔料と区別することが困難になる。
【0122】
長い波形を使用した場合(
図4に示した波形など)に全ての黄色顔料で広い色域を得ることができることが
図6から明らかであり、おそらく高移動度の正に帯電した黄色顔料を使用した場合にわずかしか低下しない。
図7は、
図3の速い波形を使用すると
図4の波形を使用して測定した全色域を犠牲にすることなく高いシアンの品質スコアを得ることができることを示す。
【0123】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の本発明の具体的実施形態で行われ得ることが当業者に明白となるであろう。したがって、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証として解釈されるものである。
【0124】
本出願の電気泳動媒体は、例えば上述のE InkおよびMITの特許および特許出願に記載の伝統的な電気泳動媒体で使用される任意の添加剤を含み得る。したがって、例えば、本出願の電気泳動媒体は、典型的には、種々の粒子の電荷を制御するための少なくとも1つの電荷制御剤(CCA)を含み、流体は、例えば米国特許第7,170,670号に記載のように、数平均分子量が約20,000を超えており、かつディスプレイの双安定性を改善するために粒子上に本質的に吸収されないポリマーが溶解または分散されていてもよい。
【0125】
前述の特許および特許出願公開の全ては、その全体が本明細書中で参考として援用される。本出願の内容と本明細書中で参考として援用された任意の特許および出願とが一致しない事象において、かかる不一致を解決するために必要な範囲で、本出願の内容が優先されるものとする。
【0126】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
電気泳動媒体であって、
流体;
第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;および
第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセット
を含み、
ここで、前記第1および第2の粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性を有し、
前記第3の粒子は、コア顔料およびポリマーシェルを含む複合粒子であり、ここで、
(a)前記ポリマーシェルの前記複合粒子に対する質量分率は、少なくとも20重量%~多くとも50重量%であり;
(b)前記ポリマーシェルが、
(I)式(1):
CH
2
=C(R
1a
)C(O)R
2
(1)
の第1の前駆体に由来する第1の単量体単位であって、式中、R
1a
は、-Hまたは-CH
3
であり;R
2
は、-OR
3
、-NHR
3
、または-NR
3
2
であり;R
3
は、C
1~6
アルキル、C
1~6
ヘテロアルキル、C
3~10
シクロアルキル、C
3~10
ヘテロシクロアルキル、C
6~14
アリール、C
5~14
ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前記基の各々が、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;
R
4
は、C
1~6
アルキル、-OH、C
1~6
アルコキシ、-NH
2
、-NH(C
1~6
アルキル)、-N(C
1~6
アルキル)
2
、C
1~6
ハロアルキル、またはC
1~6
ハロアルコキシである、第1の単量体単位、
(II)式(2):
CH
2
=C(R
1b
)C(O)R
5
(2)
の第2の前駆体に由来する第2の単量体単位であって、
式中、R
1b
は、-Hまたは-CH
3
であり;R
5
は、-OR
6
、-NHR
6
、または-NR
6
2
であり;R
6
は、C
1~6
アルキル、C
1~6
ヘテロアルキル、C
3~10
シクロアルキル、C
3~10
ヘテロシクロアルキル、C
6~14
アリール、C
5~14
ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前記基の各々が、R
7
から独立して選択される1または複数の基に置換されており;R
7
は、ハロゲン、-CN、-NO
2
、-S(O)-、または-S(O)
2
-である、第2の単量体単位
を含む、電気泳動媒体。
(項2)
R
3
は、C
1~6
アルキル、C
6~14
アリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前記基の各々が、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R
4
は、C
1~6
アルキル、またはC
1~6
アルコキシである、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項3)
R
2
は-OR
3
であり、R
3
は、C
1~6
アルキルまたはC
6~14
アリールであり、前記C
6~14
アリールは、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R
4
はC
1~6
アルコキシである、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項4)
R
6
はC
1~6
アルキルであり、R
7
はハロゲンである、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項5)
R
5
は-OR
6
であり、R
6
は、少なくとも3つのR
7
に置換されたC
1~6
アルキルで
あり、R
7
は-Fである、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項6)
前記第1の前駆体は、メチルメタクリラート、メトキシフェニルメタクリラート、およびN,N-ジ-イソプロピルアクリルアミドからなる群から選択される、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項7)
前記第2の前駆体はトリフルオロエチルメタクリラート(TFEM)である、上記項1に記載の電気泳動媒体。
(項8)
上記項1に記載の電気泳動媒体を含むフロントプレーン積層体、二重剥離シート、反転フロントプレーン積層体、または電気泳動ディスプレイ。
(項9)
上記項8に記載の電気泳動ディスプレイを含む電子ブックリーダー、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、書架案内、またはフラッシュドライブ。
(項10)
電気泳動媒体であって、
流体;
第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;および
第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセット
を含み、
ここで、前記第1および第2の粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性を有し、前記第3の粒子のセットの電気泳動移動度の規模は、前記光散乱粒子、前記第1の帯電粒子のセット、および前記第2の帯電粒子のセットの電気泳動移動度の規模の半分未満である、電気泳動媒体。
(項11)
電気泳動移動度を粒子ゼータ電位から測定する、上記項10に記載の電気泳動媒体。
(項12)
前記第3の粒子のセットのゼータ電位が-20mVまたはそれを超え、かつ20mVまたはそれ未満である、上記項11に記載の電気泳動媒体。
(項13)
電気泳動移動度を粒子電荷質量比から測定する、上記項10に記載の電気泳動媒体。
(項14)
電気泳動移動度を粒子分散物の伝導率から測定する、上記項10に記載の電気泳動媒体。
(項15)
上記項10に記載の電気泳動媒体を含むフロントプレーン積層体、二重剥離シート、反転フロントプレーン積層体、または電気泳動ディスプレイ。
(項16)
上記項15に記載の電気泳動ディスプレイを含む電子ブックリーダー、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、書架案内、またはフラッシュドライブ。
(項17)
電気泳動媒体であって、
流体;
第1の極性を有する複数の光散乱帯電粒子;および
第1、第2、および第3の帯電粒子のセットであって、各々の帯電粒子のセットが相互の帯電粒子のセットと異なる色を有する、帯電粒子のセット
を含み、
ここで、前記第1および第2の粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性を有し、
前記第3の粒子は、コア顔料およびポリマーシェルを含む複合粒子であり、ここで、
(a)前記ポリマーシェルの前記複合粒子に対する質量分率は、少なくとも20重量%~多くとも50重量%であり;
(b)前記ポリマーシェルは、
(I)式(1):
CH
2
=C(R
1a
)C(O)R
2
(1)
の第1の前駆体に由来する第1の単量体単位であって、
式中、R
1a
は、-Hまたは-CH
3
であり;R
2
は、-OR
3
、-NHR
3
、または-NR
3
2
であり;R
3
は、C
1~6
アルキル、C
1~6
ヘテロアルキル、C
3~10
シクロアルキル、C
3~10
ヘテロシクロアルキル、C
6~14
アリール、C
5~14
ヘテロアリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前記基の各々が、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;
R
4
は、C
1~6
アルキル、-OH、C
1~6
アルコキシ、-NH
2
、-NH(C
1~6
アルキル)、-N(C
1~6
アルキル)
2
、C
1~6
ハロアルキル、またはC
1~6
ハロアルコキシである、第1の単量体単位
(II)C
1~6
アルキル、C
1~6
アルコキシ、-NH(C
1~6
アルキル)、-N(C
1~6
アルキル)
2
、およびハロゲンから独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されたスチレンに由来する第2の単量体単位
を含む、電気泳動媒体。
(項18)
R
3
は、C
1~6
アルキル、C
6~14
アリール、またはそれらの任意の組み合わせであり、前記基の各々が、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R
4
は、C
1~6
アルキル、またはC
1~6
アルコキシである、上記項17に記載の電気泳動媒体。
(項19)
R
2
は-OR
3
であり、R
3
は、C
1~6
アルキルまたはC
6~14
アリールであり、前記C
6~14
アリールは、R
4
から独立して選択される1または複数の基に必要に応じて置換されており;R
4
はC
1~6
アルコキシである、上記項17に記載の電気泳動媒体。
(項20)
第3の粒子において、前記ポリマーシェルの前記複合粒子に対する質量分率が、少なくとも25重量%~多くとも40重量%である、上記項17に記載の電気泳動媒体。
(項21)
前記ポリマーシェルの前記複合粒子に対する前記質量分率が熱重量分析(TGA)によって測定される、上記項17に記載の電気泳動媒体。
(項22)
上記項17に記載の電気泳動媒体を含むフロントプレーン積層体、二重剥離シート、反転フロントプレーン積層体、または電気泳動ディスプレイ。
(項23)
上記項22に記載の電気泳動ディスプレイを含む電子ブックリーダー、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、書架案内、またはフラッシュドライブ。