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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031215
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】測定装置、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20240229BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240229BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240229BHJP
   G01S 17/87 20200101ALI20240229BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/931
G01B11/00 H
G01S17/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134636
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
【テーマコード(参考)】
2F065
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065CC11
2F065DD02
2F065DD03
2F065EE00
2F065EE10
2F065FF12
2F065GG04
2F065GG15
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL15
2F065MM16
2F065QQ23
5J084AA04
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA38
5J084BA40
5J084BA49
5J084BB26
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】設置場所の制約を軽減すること。
【解決手段】本開示に係る測定装置は、受発光ユニットと、制御装置とを備える。受発光ユニットは、制御信号に応じて光を出射する発光部と、前記発光部が出射した光の反射光を受光して受光信号を出力する受光部と、補正データを記憶した記憶部と、有する。制御装置は、前記受発光ユニットが交換可能に接続され、前記受発光ユニットに前記制御信号を出力するとともに前記受発光ユニットから取得した前記受光信号に基づいて前記反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する。本開示に係る制御装置は、前記受発光ユニットが前記制御装置に接続されたときに、前記受発光ユニットの前記記憶部から前記補正データを読み取り、前記補正データに基づいて、前記座標を測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号に応じて光を出射する発光部と、前記発光部が出射した光の反射光を受光して受光信号を出力する受光部と、補正データを記憶した記憶部と、有する受発光ユニットと、
前記受発光ユニットが交換可能に接続され、前記受発光ユニットに前記制御信号を出力するとともに前記受発光ユニットから取得した前記受光信号に基づいて前記反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記受発光ユニットが前記制御装置に接続されたときに、前記受発光ユニットの前記記憶部から前記補正データを読み取り、
前記補正データに基づいて、前記座標を測定する、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御装置は、前記補正データに基づいて補正された前記制御信号を前記受発光ユニットに出力し、
前記受発光ユニットは、補正された前記制御信号に応じた光を前記発光部から出射する、
測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御装置は、前記補正データに基づいて前記受光信号を補正し、補正された前記受光信号に基づいて前記座標を測定する、測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御装置は、前記補正データに基づいて前記座標を補正する、測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の測定装置であって、
前記制御装置は、
複数の前記受発光ユニットを接続可能であり、
それぞれの前記受発光ユニットから前記受光信号を取得し、それぞれの前記受光信号に基づいて前記座標を測定する、
測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記制御装置は、
前記受発光ユニットを交換可能に接続するためのポートを複数備えており、
前記受発光ユニットが前記制御装置の前記ポートに接続されたときに、前記受発光ユニットが接続された前記ポートに対応付けて、前記受発光ユニットから読み取った前記補正データを記憶し、
前記ポートに応じた前記補正データに基づいて、前記ポートに接続された前記受発光ユニットを用いて前記座標を測定する、
測定装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載の測定装置であって、
前記記憶部は、暗号化された補正データを記憶しており、
前記制御装置は、前記受発光ユニットが前記制御装置に接続されたときに、前記受発光ユニットの前記記憶部から前記暗号化された補正データを読み取り、前記暗号化された補正データを復号することによって前記補正データを取得する、
測定装置。
【請求項8】
制御信号に応じて光を出射する発光部と、前記発光部が出射した光の反射光を受光して受光信号を出力する受光部と、識別番号を記憶した記憶部と、有する受発光ユニットと、
前記受発光ユニットが交換可能に接続され、前記受発光ユニットに前記制御信号を出力するとともに前記受発光ユニットから取得した前記受光信号に基づいて前記反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記受発光ユニットが前記制御装置に接続されたときに、前記受発光ユニットの前記記憶部から前記識別番号を読み取り、
外部サーバーから前記識別番号に応じた補正データを取得し、
前記補正データに基づいて、前記座標を測定する、
測定装置。
【請求項9】
発光部及び受光部を有する受発光ユニットを接続可能な制御装置であって、
前記発光部から光を出射させるための制御信号を前記受発光ユニットに出力する発光制御部と、
前記受発光ユニットから前記受光部の受光信号を取得する信号取得部と、
前記受光信号に基づいて、反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する測定部と、
前記受発光ユニットが接続されたときに、前記受発光ユニットに対応する補正データを取得するとともに、前記補正データに基づいて前記発光制御部、前記信号取得部及び前記測定部の少なくとも1つを補正する補正部と
を有する、
制御装置。
【請求項10】
発光部及び受光部を有する受発光ユニットを接続可能な制御装置に、
前記発光部から光を出射させるための制御信号を前記受発光ユニットに出力する発光制御機能と、
前記受発光ユニットから前記受光部の受光信号を取得する信号取得機能と、
前記受光信号に基づいて、反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する測定機能と、
前記受発光ユニットが接続されたときに、前記受発光ユニットに対応する補正データを取得するとともに、前記補正データに基づいて、前記発光制御機能、前記信号取得機能及び前記測定機能の少なくとも1つを補正する補正機能と
を実現させるためのプログラム。
【請求項11】
制御信号に応じて光を出射する発光部と、前記発光部が出射した光の反射光を受光して受光信号を出力する受光部と、記憶部と、有する受発光ユニットと、
前記受発光ユニットが交換可能に接続され、前記受発光ユニットに前記制御信号を出力するとともに、前記受発光ユニットから取得した前記受光信号に基づく測定結果を生成する制御装置と、
を備え、
前記記憶部に第1データが記憶された状態を第1状態とし、前記記憶部に前記第1データとは異なる第2データが記憶された状態を第2状態とするとき、
所定条件下において所定の前記制御信号が前記受発光ユニットに入力される場合には、前記第1状態と前記第2状態とで前記受発光ユニットから出力される前記受光信号は変化せず、
前記所定条件下において前記受発光ユニットが前記制御装置に接続された場合には、前記第1状態と前記第2状態とで前記制御信号及び前記測定結果の少なくとも一方が変化する、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測定エリアに向かって測定光を照射するとともに、反射光(測定光が測定エリア内の対象物に反射した反射光)を受光することによって、測定エリア内の3次元形状を検出する測定装置として、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-500554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の測定装置では、測定エリアに向かって測定光を照射する発光部と、測定エリアからの反射光を受光する受光部と、発光部を制御するとともに受光部の受光信号に基づいて測定エリア内の対象物の座標を算出する制御部とが、一体的に構成されていた。この結果、設置場所の制約が多い車両などに測定装置を搭載することが困難であった。
【0005】
本発明は、設置場所の制約を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一形態は、制御信号に応じて光を出射する発光部と、前記発光部が出射した光の反射光を受光して受光信号を出力する受光部と、補正データを記憶した記憶部と、有する受発光ユニットと、前記受発光ユニットが交換可能に接続され、前記受発光ユニットに前記制御信号を出力するとともに前記受発光ユニットから取得した前記受光信号に基づいて前記反射光を生じさせた反射ポイントの座標を測定する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記受発光ユニットが前記制御装置に接続されたときに、前記受発光ユニットの前記記憶部から前記補正データを読み取り、前記補正データに基づいて、前記座標を測定する、測定装置である。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置場所の制約を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A及び図1Bは、第1実施形態の測定装置1の説明図である。
図2図2は、受発光ユニット10の発光部21及び受光部31の説明図である。
図3図3は、測定方法の説明図である。
図4図4は、補正部54の参照テーブルの説明図である。
図5図5Aは、発光補正データの取得方法の説明図である。図5Bは、受光補正データの取得方法の説明図である。図5Cは、座標補正データの取得方法の説明図である。
図6図6A及び図6Bは、制御装置50が受発光ユニット10から補正データを取得するときの処理の説明図である。
図7図7A及び図7Bは、第2実施形態の説明図である。
図8図8A及び図8Bは、第3実施形態の説明図である。
図9図9A及び図9Bは、所定条件下での動作説明図である。
図10図10は、比較例の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0011】
===第1実施形態===
<構成>
図1A及び図1Bは、第1実施形態の測定装置1の説明図である。
【0012】
測定装置1は、測定エリア91内の対象物を測定する装置である。図1Aには、車両の前方、後方及び側方にそれぞれ測定エリア91が設定されていることが示されている。測定装置1は、測定エリア91に向かって測定光を照射し、測定エリア91からの反射光を受光することによって、測定エリア91内の対象物を測定する。測定装置1は、ライダー装置(LiDAR;Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と呼ばれることもある。ここでは、測定装置1は、反射光を生じさせた反射ポイントの3次元座標(X座標、Y座標及びZ座標)を測定する。但し、測定装置1は、反射ポイントまでの距離(Z座標)を測定するだけでも良い。若しくは、測定装置1は、多数の反射ポイントの3次元座標を測定することによって点群データを測定しても良いし、更に点群データを解析して対象物の属性等を判別しても良い。
【0013】
測定装置1は、受発光ユニット10と、制御装置50とを有する。ここでは、測定装置1は、4台の受発光ユニット10を有する。但し、測定装置1の受発光ユニット10の数は、4台に限られるものではなく、1台でも良いし、4台以外の複数台でも良い。本実施形態では、受発光ユニット10は、制御装置50とは独立したユニットとして構成されており、制御装置50に対して、受発光ユニット10を交換可能に取り付けることができる。ここでは、車両の前方、後方及び側方にそれぞれ測定エリア91を設定するように4台の受発光ユニット10が車両に配置されている。
【0014】
受発光ユニット10は、測定エリア91に向かって測定光を照射し、測定エリア91からの反射光を受光する。受発光ユニット10は、発光部21と、受光部31と、記憶部41とを有する。
【0015】
図2は、受発光ユニット10の発光部21及び受光部31の説明図である。図中の受発光ユニット10は、発光部21及び受光部31を有するとともに、投光用光学系22及び受光用光学系32を有している。発光部21及び投光用光学系22により照射ユニットが構成され、受光部31及び受光用光学系32により受光ユニットが構成されている。
【0016】
発光部21は、測定光を出射する。発光部21は、1個又は複数個の発光素子211により構成される。発光素子211は、電気信号を光信号に変換する素子であり、レーザー光を出射する素子である。ここでは、発光部21は、複数の発光素子211がX方向及びY方向に沿って2次元配置されることによって、構成されている。発光部21は、制御装置50からの制御信号に応じて光を出射する。発光部21は、それぞれの発光素子211を個別に発光しても良いし、複数の発光素子211を一括して発光しても良い。投光用光学系22は、発光部21から出射した光を測定エリア91に照射する光学系である。或る発光素子211から出射した光は、投光用光学系22を介して、測定エリア91の対応する領域に照射されることになる。なお、投光用光学系22が回転ミラー(例えばポリゴンミラー)を備え、発光部21(発光素子211)が出射した光を回転ミラーによって測定エリア91に走査させても良い。
【0017】
受光部31は、反射光を受光して受光信号を出力する。受光部31は、1個又は複数個の受光素子311により構成されている。受光素子311は、光信号を電気信号に変換する素子である。ここでは、受光部31は、複数の受光素子311がX方向及びY方向に沿って2次元配置されることによって、構成されている。受光部31は、受光量に応じた受光信号を出力する。ここでは、受光部31のそれぞれの受光素子311が受光量に応じた受光信号を出力することになる。受光用光学系32は、測定エリア91からの反射光を受光部31に受光させる光学系である。受光部31のそれぞれの受光素子311は、受光用光学系32を介して、測定エリア91の所定の領域に対応付けられており、対応する領域からの光(反射光)を受光することになる。
【0018】
受光部31のそれぞれの受光素子311は、発光部21の所定の発光素子211と対応付けられている。或る発光素子211から出射した光は、投光用光学系22及び受光用光学系32を介して、対応する受光素子311に受光されることになる。このため、発光部21と受光部31は、一体的に構成されており、位置関係が保持されている。つまり、受発光ユニット10では、発光部21と受光部31との位置関係が保持されるように、共通の筐体(不図示)に発光部21と受光部31が固定されている。
【0019】
なお、受発光ユニット10には、発光部21の発光タイミング等を制御する制御部は設けられていない。受発光ユニット10の発光部21は、制御装置50から入力される制御信号に従って駆動されることになる。また、受発光ユニット10には、受光部31の受光信号(受光量に応じて受光素子311が出力する信号)に基づいて演算処理する処理部は設けられていない。受発光ユニット10は、受光部31の受光信号を制御装置50に出力し、制御装置50が、受光信号に基づく演算処理(例えば座標を算出するための演算処理)を行うことになる。ここでは、受発光ユニット10は、受光信号に相当するアナログ信号を制御装置50に出力する。但し、受光部31(受光素子311)が受光信号としてデジタル信号を出力するように構成され、受発光ユニット10が制御装置50に受光信号としてデジタル信号を出力するように構成されても良い。
【0020】
記憶部41(図1B参照)は、データを記憶する部材で構成されている。ここでは、記憶部41はROMにより構成されている。第1実施形態では、記憶部41には補正データが記憶されている。
【0021】
補正データは、測定処理の補正を行うためのデータである。補正データは、キャリブレーションデータと呼ばれることもある。補正データには、例えば、発光部21の補正を行うための発光補正データ、受光部31の補正を行うための受光補正データ、受光信号に基づく演算処理(例えば座標を算出するための演算処理)の補正を行うための演算補正データ(例えば座標補正データ)などが含まれる。例えば、発光補正データは、発光素子211が出射する光の強度バラツキを補正するためのデータである(言い換えると、発光素子211が出射する光の強度バラツキを示すデータである)。また、例えば、受光補正データは、受光素子311が出力する受光信号の受光量に対するバラツキを補正するためのデータである(言い換えると、受光素子311が出力する受光信号の信号値のバラツキを示すデータである)。また、例えば、演算補正データは、反射ポイントの座標の位置ズレを補正するためのデータ(座標補正データ)である。なお、補正データは、発光補正データ、受光補正データ及び演算補正データ(座標補正データ)のうちの少なくとも1つを備えていれば良く、全てを備えていなくても良い。
【0022】
受発光ユニット10には、記憶部41に記憶されているデータ(ここでは補正データ)に基づいて演算処理を行う処理部は設けられていない。後述するように、記憶部41に記憶されているデータは、制御装置50によって読み出されることになり、制御装置50が、当該データに基づく演算処理(ここでは補正データに基づく補正処理)を行うことになる。
【0023】
制御装置50は、受発光ユニット10を制御する装置である。制御装置50は、受発光ユニット10に制御信号を出力することによって、受発光ユニット10の発光部21を制御する(発光部21に光を出射させる)。また、制御装置50は、受発光ユニット10から受光信号を取得し、受光信号に基づいて反射ポイントの座標を算出する。制御装置50は、不図示の演算装置及び記憶装置を有する。演算装置は、例えばCPU、GPUなどの演算処理装置である。演算装置の一部がアナログ演算回路で構成されても良い。記憶装置は、主記憶装置と補助記憶装置とにより構成され、プログラムやデータを記憶する装置である。記憶装置に記憶されているプログラムを演算装置が実行することにより、各種処理が実行される。ここでは、制御装置50は、自動車に搭載されているECU(Electronic Control Unit)で構成されている。
【0024】
制御装置50は、発光制御部51と、信号取得部52と、測定部53と、補正部54とを有する。なお、自動車のECU(制御装置50に相当)にプログラムを導入し、ECUが当該プログラムを実行することにより、ECU(制御装置50)が、発光制御機能(発光制御部51)と、信号取得機能(信号取得部52)と、測定機能(測定部53)と、補正機能(補正部54)とを実現することになる。
【0025】
発光制御部51は、発光部21を制御するための制御信号を生成し、受発光ユニット10に出力する(発光制御機能)。発光制御部51は、発光部21から光を出射するタイミングや、発光部21から出射する光の強度などを制御するための制御信号を受発光ユニット10に出力することになる。
【0026】
信号取得部52は、受発光ユニット10から受光信号を取得する(信号取得機能)。例えば、信号取得部52は、アナログ信号である受光信号をデジタル値に変換する。信号取得部52は、受発光ユニット10から取得した受光信号を測定部53(及び補正部54)に受け渡す。
【0027】
測定部53は、信号取得部52の取得した受光信号に基づいて、反射ポイントの座標を測定する(測定機能)。ここでは、測定部53は、受光信号に基づいて、反射ポイントまでの距離(Z座標)を算出する。
【0028】
図3は、測定方法の説明図である。
図中の上側には、制御信号が示されている。制御信号に含まれるパルスのタイミングで発光部21(発光素子211)から測定光が出射されることになる。発光部21から出射した光は投光用光学系22を介して測定エリア91に照射される。測定エリア91内の対象物の表面(反射ポイント)で反射した光は、受光用光学系32を介して受光部31(受光素子311)に受光される。受光素子311は、パルス状の反射光を受光することになる。図中の下側には、受光信号が示されている。受光部31(受光素子311)は、受光量に応じた受光信号を出力することになる。測定部53は、受光信号に基づいて、反射光の到達タイミングを検出する。また、測定部53は、制御信号のパルスのタイミング(光の出射タイミング)と、光の到達タイミングとに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間Tfを検出する。時間Tfは、測定装置1と反射ポイントとの間を光が往復する時間に相当する。そして、測定部53は、時間Tfに基づいて、反射ポイントまでの距離(反射ポイントのZ座標)を算出する。なお、光を照射してから反射光が到達するまでの時間をTfとし、光の速度をCとしたとき、距離Lは、L=C×Tf/2となる。
【0029】
測定部53は、反射ポイントまでの距離(反射ポイントのZ座標)を測定するだけでなく、反射ポイントの3次元座標(X座標、Y座標及びZ座標)を測定しても良い。なお、測定部53は、発光部21や受光部31に対応する測定エリア91上の領域の位置に基づいて、反射ポイントのX座標及びY座標を算出することになる。また、測定装置1は、多数の反射ポイントの3次元座標を測定することによって点群データを測定しても良いし、更に点群データを解析して対象物の属性等を判別しても良い。
【0030】
補正部54は、受発光ユニット10の記憶部41からデータを取得する。第1実施形態では、補正部54は、受発光ユニット10の記憶部41から補正データを取得することになる。補正部54は、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視し、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から補正データを読み取る。
【0031】
補正部54は、補正データに基づく補正処理を行う(補正機能)。ここでは、補正部54は、補正データに基づいて、発光制御部51、信号取得部52及び測定部53が行う処理のうちの少なくとも1つを補正する。
例えば、補正部54は、発光補正データに基づいて、発光制御部51が出力する制御信号を補正し、発光部21の発光素子211が出射する光の強度バラツキを補正する。例えば、補正部54は、基準よりも強い強度の光を出射する発光素子211に対して、光を弱めて出射するように制御信号を補正する。また、補正部54は、基準よりも弱い強度の光を出射する発光素子211に対しては光を強めて出射するように制御信号を補正する。このように、補正部54は、各発光素子211が所定の強度(基準の強度)の光を出射するように、発光制御部51の出力する制御信号を発光補正データに基づいて補正する。制御信号が補正されることによって、図3に示す制御信号のパルスの高さ(電流値又は電圧値)が補正されることになる。発光制御部51が発光補正データに基づいて補正された制御信号を受発光ユニット10に出力し、受発光ユニット10が、補正された制御信号に応じた光を発光部21から出射することによって、発光部21から所定の強度(補正された強度;基準の強度)の光が出射されることになる。
また、補正部54は、受光補正データに基づいて、受光信号を補正し、受光部31の受光素子311が出力する受光信号の信号値のバラツキを補正する。例えば、補正部54は、基準よりも多い受光量を示す受光信号を出力する受光素子311に対して、受光信号の示す受光量が少なくなるように受光信号を補正する。また、補正部54は、基準よりも少ない受光量を示す受光信号を出力する受光素子311に対して、受光信号の示す受光量が多くなるように受光信号を補正する。このように、補正部54は、基準となる受光量に対して受光信号が所定の受光量を示すように、受光部31の出力する受光信号を受光補正データに基づいて補正する。なお、受信信号が補正されることによって、図3に示す受光信号のパルスの高さが補正されることになる。
また、補正部54は、測定部53が受光信号に基づいて反射ポイントの座標を算出した後、座標補正データに基づいて、測定部53が算出した座標を補正する。例えば、測定部53が算出した座標に素子(発光素子211及び受光素子311)の取付誤差や光学系(投光用光学系22及び受光用光学系32)の収差などに起因する誤差が含まれる場合に、補正部54は、座標補正データに基づいて、誤差の影響を抑制するように、測定部53が算出した座標を補正する。
【0032】
図4は、補正部54の参照テーブルの説明図である。
制御装置50は、受発光ユニット10を接続するためのポート501を複数備えている(図1B参照)。ここでは、制御装置50は、4個のポート501を備えている。参照テーブルには、ポート番号と、補正データとが対応付けられている。例えば、1番ポートには補正データAが対応付けられており、2番ポートには補正データBが対応付けられている。
【0033】
制御装置50(補正部54)は、ポート501に応じた補正データに基づいて、当該ポート501に接続された受発光ユニット10を用いて座標を測定することになる。例えば、制御装置50は、1番ポートに接続された受発光ユニット10を用いて座標を測定する場合には、補正データAに基づいて、1番ポートに接続された受発光ユニット10に制御信号を補正したり、1番ポートを介して受発光ユニット10から取得した受光信号を補正したり、1番ポートを介して取得した受光信号に基づいて算出した座標を補正したりすることになる。これにより、それぞれの受発光ユニット10の特性に応じた補正を行うことができる。なお、参照テーブルの設定方法については、後述する。
【0034】
<補正データの生成について>
受発光ユニット10の出荷前の検査工程において、受発光ユニット10の特性(個体差)が検査され、受発光ユニット10の特性に応じた補正データの生成が行われる。検査工程では、受発光ユニット10は、上記の制御装置50とは異なる検査用制御装置60に接続されることになる。
【0035】
図5Aは、発光補正データの取得方法の説明図である。検査用制御装置60は、受発光ユニット10の発光部21の各発光素子211に、基準となる制御信号を出力する。受発光ユニット10は、基準となる制御信号に応じて、各発光素子211から光を出射する。但し、それぞれの発光素子211が出射する光の強度にはバラツキがある。発光検査装置61は、各発光素子211から出射された光の強度を検査し、検査結果を検査用制御装置60に出力する。検査用制御装置60は、各発光素子211から出射された光の強度に基づいて、発光素子211ごとに補正データ(発光補正データ)を生成し、補正データを記憶部41に記憶する。
【0036】
図5Bは、受光補正データの取得方法の説明図である。基準光照射装置62は、基準となる強度の光(基準光)を照射する。受発光ユニット10の受光部31の各受光素子311は、基準光を受光して受光信号を出力する。但し、それぞれの受光素子311が出力する受光信号の示す受光量にはバラツキがある。検査用制御装置60は、受光信号の示す受光量に基づいて、受光素子311ごとに補正データ(受光補正データ)を生成し、補正データを記憶部41に記憶する。
【0037】
なお、ここでは、発光補正データ及び受光補正データをそれぞれ取得しているが、これに限られるものではない。例えば、所定の反射率の反射板を受発光ユニット10に対向して配置した上で、検査用制御装置60は、受発光ユニット10の発光部21の各発光素子211に基準となる制御信号を出力するとともに、受光部31の各受光素子311に反射光を受光させて、各受光素子311の受光信号を取得する。そして、検査用制御装置60は、受光信号の示す受光量に基づいて、受光素子311ごとに補正データ(受光補正データ)を生成し、補正データを記憶部41に記憶する。このように、受光補正データのみが記憶部41に記憶され、発光補正データは記憶部41に記憶されていなくても良い。
【0038】
図5Cは、座標補正データの取得方法の説明図である。基準位置を示すターゲットを有するターゲット板63を受発光ユニット10に対して所定の位置関係になるように配置した上で、検査用制御装置60は、受発光ユニット10の発光部21の各発光素子211に制御信号を出力するとともに、受光部31に反射光を受光させて受光部31から受光信号を取得し、受光信号に基づいて反射ポイントの座標を算出する。そして、検査用制御装置60は、受発光ユニット10に対して所定の位置関係で配置されたターゲット板63のターゲットの位置(座標)と、反射ポイントの座標から求められたターゲットの位置(座標)との差に基づいて、反射ポイントの座標を補正するための補正データ(座標補正データ)を生成し、補正データを記憶部41に記憶する。
【0039】
<補正データの取得について>
図6A及び図6Bは、制御装置50が受発光ユニット10から補正データを取得するときの処理の説明図である。
【0040】
既に説明した通り、受発光ユニット10は、制御装置50に交換可能に構成されている。制御装置50に新たな受発光ユニット10が接続されたとき(図6A参照)、制御装置50は、受発光ユニット10の記憶部41から補正データを読み取る(図6B)。なお、制御装置50の補正部54は、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視しており、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から補正データを読み取ることになる。補正データには、例えば発光補正データ、受光補正データ及び座標補正データが含まれており、制御装置50(補正部54)は、発光補正データに基づいて発光制御部51から出力する制御信号を補正したり、受光補正データに基づいて受光部31の出力する受光信号を補正したり、受光信号に基づいて算出した反射ポイントの座標を座標補正データに基づいて補正したりすることによって、補正データに基づいて座標を測定することになる。
【0041】
制御装置50は複数のポート501を備えており、補正部54は、ポート501ごとに、新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視している。或るポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、補正部54は、ポート番号(例えば1番ポート)と、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から読み取った補正データ(例えば補正データA)とを対応付けて、図4に示す参照テーブルを生成することになる(言い換えると、参照テーブルの情報を更新することになる)。
【0042】
<比較例について>
図10は、比較例の構成の説明図である。
【0043】
比較例の測定装置1’は、発光部21と、受光部31と、受光信号に基づいて座標を算出する制御部50’とが一体的に構成されている。比較例では、測定装置1’で座標が測定され、その測定結果がECUに出力される(このため、比較例では、ECUは座標を測定しない)。比較例の測定装置1’は、前述の受発光ユニット10と比べると、制御部50’を含むため、筐体が大型化してしまい、設置場所の制約が多い車両などに測定装置を搭載することが困難になるおそれがある。また、比較例の測定装置1’は、前述の受発光ユニット10と比べると、制御部50’を含むため高価である。このため、比較例では、発光部21や受光部31が故障したときに、制御部50’を含む測定装置1’全体を交換する必要があり、コストがかかってしまう。
これに対し、本実施形態の受発光ユニット10は比較例の測定装置1’と比べると、制御部50’を含まないため、小型化を図ることができる。また、本実施形態では、受発光ユニット10は交換可能に制御装置50に接続されるので、発光部21や受光部31が故障した場合には、故障した受発光ユニット10を交換するだけでよいので、低コストで故障に対応することができる。
【0044】
ところで、受発光ユニット10と制御装置50とが独立した構造になると、補正データの記憶場所が問題となる。これに対し、第1実施形態では、受発光ユニット10の記憶部41に補正データが記憶されている。これにより、発光部21及び受光部31と、発光部21及び受光部31の特性に応じた補正データを記憶した記憶部41とを一体にできる。また、第1実施形態では、制御装置50は、受発光ユニット10が制御装置50に接続されたときに、受発光ユニット10の記憶部41から補正データを読み取るように、構成されている。これにより、制御装置50とは独立した受発光ユニット10に補正データが記憶されていても、制御装置50は、補正データに基づいて座標を測定することが可能になる。
【0045】
また、比較例では、複数の測定エリア91を測定する場合には、制御部50’を備えた測定装置1’を複数台用意する必要があるため、設置場所の制約が多い車両などに複数台の測定装置を搭載することが困難になるおそれがある。また、比較例では、複数の測定エリア91を測定する場合には、制御部50’を備えた測定装置1’を複数台用意する必要があるため、コストがかかってしまう。これに対し、本実施形態では、1台の制御装置50に複数台の受発光ユニット10を接続することが可能であり、受発光ユニット10は比較例の測定装置1’と比べて小型化を図ることができるので、設置場所の制約が多い車両であっても複数の受発光ユニット10を設置し易くなる。また、本実施形態の受発光ユニット10は比較例の測定装置1’と比べて安価であるため、低コストで複数箇所の測定エリア91を測定することが可能である。
【0046】
===第2実施形態===
第1実施形態では、補正データは、受発光ユニット10の記憶部41に記憶されている。但し、補正データの記憶場所は、これに限られるものではない。第2実施形態では、補正データは、測定装置1の外部に記憶されている。
【0047】
図7A及び図7Bは、第2実施形態の説明図である。
【0048】
受発光ユニット10には識別番号が付与されており、受発光ユニット10の記憶部41には識別番号が記憶されている。受発光ユニット10の出荷前の検査工程において補正データが生成されたときに(図5A図5C参照)、検査対象の受発光ユニット10の識別番号と、その受発光ユニット10の補正データとを対応付けたデータセットが外部サーバー70のデータベースに登録される。外部サーバー70のデータベースには、工場で製造された受発光ユニット10のそれぞれに対応する補正データが、当該受発光ユニット10の識別番号に対応付けられて登録されることになる。なお、外部サーバー70は、例えば、受発光ユニット10の製造メーカーが管理するサーバーでも良いし、測定装置1を搭載する自動車の製造メーカーが管理するサーバーでも良いし、クラウド上のサーバーでも良い。
【0049】
第1実施形態と同様に、受発光ユニット10は、制御装置50に交換可能に構成されている。制御装置50に新たな受発光ユニット10が接続されたとき(図7A参照)、制御装置50(補正部54)は、受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を読み取る(図7B参照)。なお、制御装置50(補正部54)は、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視しており、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を読み取る。
【0050】
第2実施形態の受発光ユニット10は、外部サーバー70と通信可能な通信部(不図示)を備えており、補正部54は、受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を取得した後、その識別番号を通信部を介して外部サーバー70に送信し、補正データを要求する(図7B参照)。外部サーバー70は、制御装置50から識別番号を受信すると、その識別番号に基づいてデータベースを参照し、その識別番号に対応する補正データを制御装置50に送信する(図7B参照)。制御装置50は、外部サーバー70から補正データを受信すると、補正部54にその補正データを受け渡す。補正データには、補正データには、例えば発光補正データ、受光補正データ及び座標補正データが含まれており、制御装置50(補正部54)は、発光補正データに基づいて発光制御部51から出力する制御信号を補正したり、受光補正データに基づいて受光部31の出力する受光信号を補正したり、受光信号に基づいて算出した反射ポイントの座標を座標補正データに基づいて補正したりすることによって、補正データに基づいて座標を測定することになる。
【0051】
なお、第2実施形態においても、制御装置50は、複数のポート501を備えていても良い。この場合、補正部54は、ポート501ごとに、新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視し、或るポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、補正部54は、ポート番号と、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から読み取った識別番号とを取得する。補正部54は、識別番号を外部サーバー70に送信して補正データを要求し、外部サーバー70から識別番号に対応する補正データを取得し、ポート番号と補正データとを対応付けて、図4に示す参照テーブルを生成することになる(言い換えると、参照テーブルの情報を更新することになる)。そして、制御装置50(補正部54)は、ポート501に応じた補正データに基づいて、当該ポート501に接続された受発光ユニット10を用いて座標を測定することになる。
【0052】
===第3実施形態===
図8A及び図8Bは、第3実施形態の説明図である。
【0053】
受発光ユニット10には識別番号が付与されている。受発光ユニット10の出荷前の検査工程において補正データが生成されたときに(図5A図5C参照)、検査対象の受発光ユニット10の記憶部41に、その受発光ユニット10の識別番号と、その受発光ユニット10の補正データとが記憶される。このときに受発光ユニット10の記憶部41に記憶される補正データは、暗号化されている。暗号化された補正データを復号するための復号キーは、外部サーバー70のデータベースに識別番号と対応付けて登録される。つまり、第3実施形態では、受発光ユニット10の出荷前の検査工程において補正データが生成されたときに(図5A図5C参照)、検査対象の受発光ユニット10の識別番号と、その受発光ユニット10の記憶部41に記憶され暗号化された補正データの復号キーとを対応付けたデータセットが外部サーバー70のデータベースに登録される。
【0054】
第3実施形態においても、受発光ユニット10は、制御装置50に交換可能に構成されている。第3実施形態では、制御装置50に新たな受発光ユニット10が接続されたとき(図8A参照)、制御装置50(補正部54)は、受発光ユニット10の記憶部41から識別番号と、暗号化された補正データとを読み取る(図8B参照)。なお、制御装置50(補正部54)は、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視しており、制御装置50のポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を読み取る。
【0055】
第3実施形態では、補正部54は、受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を取得した後、その識別番号を通信部(不図示)を介して外部サーバー70に送信し、復号キーを要求する(図8B参照)。外部サーバー70は、制御装置50から識別番号を受信すると、その識別番号に基づいてデータベースを参照し、その識別番号に対応する復号キーを制御装置50に送信する(図8B参照)。制御装置50は、外部サーバー70から復号キーを受信すると、補正部54にその復号キーを受け渡す。補正部54は、暗号化された補正データを復号キーで復号することによって、補正データを取得する。
【0056】
第3実施形態によれば、受発光ユニット10の模倣品が用いられることを抑制できる。なお、本実施形態では受発光ユニット10には制御部50’が設けられないため、比較例の測定装置1’と比べて受発光ユニット10の構造が簡易になるため、受発光ユニット10の模倣を回避することは有効である。特に、図1Aに示すように自動車に測定装置1が搭載される場合、粗悪な模倣品の使用を回避することは重要である。
【0057】
なお、第3実施形態においても、制御装置50は、複数のポート501を備えていても良い。この場合、補正部54は、ポート501ごとに、新たな受発光ユニット10が接続されたか否かを監視し、或るポート501に新たな受発光ユニット10が接続されたことを検出した場合には、補正部54は、ポート番号と、そのポート501を介して受発光ユニット10の記憶部41から読み取った識別番号と暗号化された補正データとを取得する。補正部54は、識別番号を外部サーバー70に送信して復号キーを要求し、識別番号に対応する復号キーを外部サーバー70から取得して補正データを復号するとともに、ポート番号と補正データとを対応付けて、図4に示す参照テーブルを生成することになる(言い換えると、参照テーブルの情報を更新することになる)。そして、制御装置50(補正部54)は、ポート501に応じた補正データに基づいて、当該ポート501に接続された受発光ユニット10を用いて座標を測定することになる。
【0058】
===小括===
上記の測定装置1は、受発光ユニット10と、制御装置50とを備えている。受発光ユニット10は、発光部21と、受光部31と、記憶部41とを有する。制御装置50は、受発光ユニット10に制御信号を出力するとともに、受発光ユニット10から取得した受光信号に基づいて反射ポイントの座標を測定する。制御装置50には、受発光ユニット10が交換可能に接続される。受発光ユニット10は、比較例(図10参照)の測定装置1’と比べて小型化を図ることができるため、本実施形態の測定装置1は、設置場所の制約を軽減することができる。
【0059】
第1実施形態及び第3実施形態では、受発光ユニット10の記憶部41に補正データが記憶されている。これにより、発光部21及び受光部31と、発光部21及び受光部31の特性に応じた補正データを記憶した記憶部41とを一体にできる。また、第1実施形態及び第3実施形態では、制御装置50は、受発光ユニット10が制御装置50に接続されたときに、受発光ユニット10の記憶部41から補正データを読み取るように、構成されている。これにより、制御装置50とは独立した受発光ユニット10に補正データが記憶されていても、制御装置50は、補正データに基づいて座標を測定することが可能になる。
一方、第2実施形態では、外部サーバー70に補正データが記憶されており、受発光ユニット10の記憶部41に識別番号が記憶されている。第2実施形態では、制御装置50は、受発光ユニット10が制御装置50に接続されたときに、受発光ユニット10の記憶部41から識別番号を読み取り、外部サーバー70から識別番号に応じた補正データを取得するように、構成されている。これにより、制御装置50とは別の場所に補正データが管理されていても、制御装置50は、補正データに基づいて座標を測定することが可能になる。
【0060】
上記の制御装置50は、補正データ(発光補正データ)に基づいて補正された制御信号を受発光ユニット10に出力する。受発光ユニット10は、補正された制御信号に応じた光を発光部21から出射することになる。これにより、発光部21から出射される光のバラツキを補正することができ、座標の測定精度を高めることができる。
また、上記の制御装置50は、補正データ(受光補正データ)に基づいて受光信号を補正し、補正された受光信号に基づいて座標を測定する。これにより、受光部31から出力される受光信号のバラツキを補正することができ、座標の測定精度を高めることができる。
また、上記の制御装置50は、受光信号に基づいて算出した座標を補正データ(座標補正データ)に基づいて補正する。これにより、算出した座標に含まれる誤差の影響を抑制することができ、座標の測定精度を高めることができる。
【0061】
上記の制御装置50は、複数の受発光ユニット10が接続可能であり、それぞれの受発光ユニット10から受光信号を取得するとともに、それぞれの受光信号に基づいて座標を測定する。これにより、本実施形態の測定装置1は、比較例(図10参照)の測定装置1’と比べて、設置場所の制約を軽減することができる。
また、上記の制御装置50は、受発光ユニット10がポート501に接続されたときに、受発光ユニット10の接続されたポート501に対応付けて補正データを記憶し(図4参照)、ポート501に応じた補正データに基づいて、当該ポート501に接続された受発光ユニット10を用いて座標を測定する。これにより、制御装置50に接続された受発光ユニット10ごとに、それぞれの受発光ユニット10の特性に応じた座標の測定を行うことができる。
【0062】
第3実施形態では、受発光ユニット10の記憶部41には、暗号化された補正データが記憶されている。制御装置50は、受発光ユニット10が制御装置50に接続されたときに、暗号化された補正データを受発光ユニット10の記憶部41から読み取り、暗号化された補正データを復号することによって補正データを取得する。これにより、受発光ユニット10の模倣品が用いられることを抑制できる。
【0063】
第1~第3実施形態の制御装置50は、受発光ユニット10を接続可能に構成されているとともに、発光制御部51と、信号取得部52と、測定部53と、補正部54とを有する。補正部54は、受発光ユニット10が接続されたときに、当該受発光ユニット10に対応する補正データを取得するとともに、補正データに基づいて発光制御部51、信号取得部52及び測定部53の少なくとも1つを補正する。これにより、発光部21及び受光部31の特性に応じた補正データに基づいて座標を測定することができる。
また、第1~第3実施形態のプログラムは、制御装置50に、発光制御機能と、信号取得機能と、測定機能と、補正機能とを実現させている。これにより、発光部21及び受光部31の特性に応じた補正データに基づいて座標を測定することができる。なお、このようなプログラムを自動車のECU(制御装置50に相当)に導入するとともに、ECUに受発光ユニット10を接続することによって、前述の測定装置1を構成することが可能である。
【0064】
図9A及び図9Bは、所定条件下での動作説明図である。以下の説明では、受発光ユニット10と対象物との間に所定の距離をあけた状況を設定し、図中の点線に示す測定エリア91内を一定の条件下とする。また、以下の説明では、受発光ユニット10の記憶部41に第1データが記憶された状態を「第1状態」と呼び、記憶部41に第1データとは異なる第2データが記憶された状態を「第2状態」と呼ぶ。例えば、第1実施形態の受発光ユニット10の場合、第1状態では補正データAが記憶部41に記憶されており、第2状態では補正データBが記憶部41に記憶されることになる。また、第2実施形態の受発光ユニット10の場合、第1状態では識別番号Aが記憶部41に記憶されており、第2状態で識別番号Bが記憶部41に記憶されることになる。
図9Aは、受発光ユニット10を単体で動作させた場合の動作説明図である。測定エリア91内が所定条件下であれば、所定の制御信号が受発光ユニット10に入力された場合、第1状態及び第2状態のいずれの状態でも受発光ユニット10から所定の受光信号が出力され、第1状態と第2状態とで受発光ユニット10から出力される受光信号は変化しない。つまり、受発光ユニット10の記憶部41のデータが書き換えられても、受発光ユニット10の単体での動作は変化しておらず、受発光ユニット10は、単体では所定の動作を実行しているだけである。
図9Bは、図9Aの受発光ユニット10を制御装置50に接続した場合の動作説明図である。測定エリア91内が所定条件下において受発光ユニット10が制御装置50に接続された場合、第1状態と第2状態とで制御信号及び測定結果(対象物の座標)の少なくとも一方が変化する。つまり、第1状態と第2状態とで受発光ユニット10は所定の動作を実行するにもかかわらず(図9A参照)、第1状態と第2状態とで制御装置50の出力が変化することになる。図9A及び図9Bの状況を検証することによって、受発光ユニット10の記憶部41のデータが制御装置50の動作を変化させていること(制御装置50の動作を補正させていること)を検証することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態につき詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 測定装置、1’ 比較例の測定装置、
10 受発光ユニット、
21 発光部、211 発光素子、22 投光用光学系、
31 受光部、311 受光素子、32 受光用光学系、
41 記憶部、
50 制御装置、50’ 制御部、501 ポート、
51 発光制御部、52 信号取得部、
53 測定部、54 補正部、
60 検査用制御装置、
61 発光検査装置、62 基準光照射装置、63 ターゲット板、
70 外部サーバー、
91 測定エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10