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特開2024-31239梁構造、梁構造を備える屋根構造体及び梁構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031239
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】梁構造、梁構造を備える屋根構造体及び梁構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240229BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20240229BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20240229BHJP
   E04B 7/00 20060101ALI20240229BHJP
   E04D 3/36 20060101ALI20240229BHJP
   E04F 19/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04F13/08 101R
E04B1/343 U
E04H6/02 A
E04B7/00 Z
E04D3/36 S
E04F19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134666
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 通博
(72)【発明者】
【氏名】林 正一郎
【テーマコード(参考)】
2E108
2E110
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AS03
2E108BB04
2E108BN08
2E108CC05
2E108DD03
2E108EE01
2E108FF17
2E110AA57
2E110AB02
2E110AB18
2E110AB22
2E110AB23
2E110CA07
2E110CA08
2E110DA02
2E110DA09
2E110DB03
2E110DB21
2E110DC01
2E110DC12
2E110GB06W
(57)【要約】
【課題】梁の下面に梁カバーを容易に取り付けることができる梁構造を提供すること。
【解決手段】梁構造30は、所定方向に延びる梁本体31と、梁本体31の下部において梁本体31の幅方向Wの外側に突出する下部突出板34と、を有する梁3と、梁3の下部に取り付けられる梁カバー35と、を備え、梁カバー35は、梁本体31に篏合により固定される篏合固定部352と、下部突出板34にネジ固定されるネジ固定部353と、を有し、篏合固定部352は、梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部突出板34側への梁カバー35の移動を規制して位置決めする位置決め部352aと、梁本体31に篏合される篏合部352bと、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びる梁本体と、前記梁本体の下部において前記梁本体の幅方向の外側に突出する下部突出板と、を有する梁と、
前記梁の下部に取り付けられる梁カバーと、を備え、
前記梁カバーは、前記梁本体に篏合により固定される篏合固定部と、前記下部突出板にネジ固定されるネジ固定部と、を有し、
前記篏合固定部は、前記梁カバーが前記梁本体に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で前記下部突出板側への前記梁カバーの移動を規制して位置決めする位置決め部と、前記梁本体に篏合される篏合部と、を有する、梁構造。
【請求項2】
前記梁本体は、梁構成部と、前記梁構成部に固定されるアタッチメント部と、を有し、
前記アタッチメント部には、前記梁カバーの前記篏合部に篏合される被篏合部が設けられる、請求項1に記載の梁構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梁構造と、
前記梁の下方に前記梁に吊られて配置される屋根体と、を備える屋根構造体。
【請求項4】
前記屋根体の下面と前記梁カバーの下面とは、同一平面上又は略同一平面上に配置される、請求項3に記載の屋根構造体。
【請求項5】
梁に梁カバーを取り付ける梁構造の施工方法であって、
前記梁は、所定方向に延びる梁本体と、前記梁本体の下部において前記梁本体の幅方向の外側に突出する下部突出板と、を有し、
前記梁カバーは、前記梁の下部に取り付けられ、前記梁本体に篏合により固定され位置決め部及び篏合部を有する篏合固定部と、前記下部突出板にネジ固定されるネジ固定部と、を有し、
前記梁の幅方向の一端側において、前記梁カバーの前記ネジ固定部を前記下部突出板に引っ掛ける引っ掛け工程と、
前記引っ掛け工程の後に、前記梁の幅方向の他端側において、前記梁カバーの前記位置決め部により前記梁カバーが前記梁本体に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で前記下部突出板側への前記梁カバーの移動を規制して位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程の後に、前記梁カバーの前記篏合部を前記梁本体に篏合させる篏合工程と、
前記篏合工程の後に、前記ネジ固定部を前記下部突出板にネジ固定する固定工程と、を含む梁構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、梁構造、梁構造を備える屋根構造体及び梁構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梁を備え、梁の下面に屋根体を取り付ける梁構造が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の梁構造は、梁の下面に屋根体などの部材を取り付けるために、梁本体の下部において梁本体の幅方向の外側に突出するフィン(下部突出板)が設けられている。屋根体は、梁の下面に取り付ける際に、梁のフィンに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の梁構造において、梁の下面の長手方向において、一部に屋根体などの部材を取り付け、その他の部分において屋根体などの部材を取り付けないことがある。この場合、梁の下面における屋根体などの部材を取り付けない部分において、梁の下面がフィンとともに下方に露出することになる。このような場合、意匠性の観点から、梁の下面に梁カバーを取り付けて、梁の下方側からフィンを梁カバーで隠すことが好ましい。梁の下面に梁カバーを取り付ける際に、梁の下面に梁カバーを容易に取り付けることできることが望まれる。
【0005】
本開示は、梁の下面に梁カバーを容易に取り付けることができる梁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、所定方向に延びる梁本体と、前記梁本体の下部において前記梁本体の幅方向の外側に突出する下部突出板と、を有する梁と、前記梁の下部に取り付けられる梁カバーと、を備え、前記梁カバーは、前記梁本体に篏合により固定される篏合固定部と、前記下部突出板にネジ固定されるネジ固定部と、を有し、前記篏合固定部は、前記梁カバーが前記梁本体に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で前記下部突出板側への前記梁カバーの移動を規制して位置決めする位置決め部と、前記梁本体に篏合される篏合部と、を有する、梁構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るカーポートを斜め上方側から見た斜視図である。
図2】一実施形態に係るカーポートを斜め下方側から見た斜視図である。
図3】一実施形態に係るカーポートの平面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】梁に梁カバーが取り付けられた状態を斜め上方側から見た斜視図である。
図6】梁に梁カバーが取り付けられた状態を斜め下方側から見た斜視図である。
図7図5のB-B線断面図である。
図8A】梁に梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、梁の下部突出板に梁カバーのネジ固定部を引っ掛ける状態を示す図である。
図8B】梁に梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、位置決め部が下部突出板側への梁カバーの移動を規制して位置決めする状態を示す図である。
図8C】梁に梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、梁カバーの篏合部を梁本体の梁側篏合部に篏合させた状態を示す図である。
図8D】梁に梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、梁カバー35の篏合部と梁本体の梁側篏合部の篏合部分を中心に回転させながら、ネジ固定部を梁の下部突出板の上面に配置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の梁構造を含む屋根構造体の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明する。カーポート1は、屋根体4の下方に、1台又は複数台の自動車の駐車スペースが確保されている。なお、本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明するが、これに限定されない。また、屋根構造体を、カーポート以外の構造物、例えば、駐輪場、シェルター、休憩所、テラス、バス停などの構造物に適用してもよい。
【0009】
なお、本実施形態の説明においては、カーポート1の梁3が延びる方向であって、長尺形材(長尺材)41が延びる方向に直交する方向を左右方向X(長尺形材41の長手方向に交差する方向)ともいう。また、梁3が延びる左右方向Xにおいて、一方側(図1における左手前)をX1側ともいい、他方側(図1における右奥側)をX2側ともいう。カーポート1の屋根体4を構成する複数の長尺形材(長尺材)41が延びる方向を前後方向Y(長尺形材41の長手方向)ともいう。また、図1の前後方向Yにおいて、カーポート1の右手前側を前側ともいい、カーポート1の左奥側を奥側ともいう。
【0010】
まず、本実施形態のカーポート1の全体構造について説明する。本実施形態のカーポート1は、図1図3に示すように、屋根体4を左右方向Xの両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両持ち構造のカーポートである。また、本実施形態のカーポート1は、支柱2に接続された梁3の下部(下方)に、屋根体4が吊られて接続される吊構造で構成される。本実施形態のカーポート1は、屋根体4が配置された部分から、梁3の長さを延長した、いわゆる、梁延長のカーポートである。梁3の長手方向において、屋根体4が配置された部分から延長した部分の下部には、屋根体4が設けられておらず、梁カバー35が取り付けられている。
【0011】
図1図3に示すように、本実施形態のカーポート1は、地面11に立設される2組の一対の支柱2(柱材)と、支柱2の上端部から支柱2に交差する方向に延びる2つの梁3と、2つの梁3の下部に接続される屋根体4と、を備える。支柱2、梁3、及び屋根体4を構成する複数の長尺形材41は、アルミニウム材料の押出し形材で形成され、断面が中空状の中空部を有するホロー構造を有する。
【0012】
2組の支柱2(柱材)は、図1に示すように、一対の支柱2が前後方向Yに2組並んで配置される。一対の支柱2は、図3に示すように、カーポート1の左右方向Xの両側(X1側及びX2側)に屋根体4を挟んで対向して配置され、梁3の左右方向Xの両端部に接続される。
【0013】
2組の一対の支柱2は、図1に示すように、カーポート1の前後方向Yに離間して配置される。支柱2は、上下方向に延びて形成される。支柱2は、図4に示すように、横断面が角筒状に形成される中空状の支柱側ホロー部21と、支柱側ホロー部21の屋根体4側の側面から屋根体4側に突出すると共に上下方向に延びる一対のカバー取付壁22(図1参照)と、を有する。一対のカバー取付壁22には、支柱カバー部材23が取り付けられる。支柱2の上端部には、支柱2の上端部の開口を覆うように、支柱キャップ24が配置される。
【0014】
X2側に配置される支柱2と支柱カバー部材23との間には、図4に示すように、屋根体4の屋根体側樋構成部40(後述)から排出された水が流される。X2側に配置される支柱2と支柱カバー部材23との間には屋根体4の屋根体側樋構成部40(後述)から排出された水が流入して水が流れるため、支柱2及び支柱カバー部材23は支柱側樋構成部20(柱材側樋構造)として構成される。本実施形態においては、X2側に配置される支柱2と支柱カバー部材23との間に雨樋用のホースなどが配置されずに、支柱2及び支柱カバー部材23だけで、縦樋を構成する。支柱側樋構成部20は、支柱側ホロー部21の屋根体4側の側面が支柱カバー部材23に覆われるため、カーポート1の外部からは視認されない。そのため、支柱2が樋の機能を備えることが外部からは視認されず、意匠性を向上できる。
【0015】
2つの梁3は、図1に示すように、カーポート1の前後方向Yに離間して配置される。2つの梁3は、それぞれ、一対の支柱2の上端部同士を接続して、屋根体4の左右方向Xに延びる。2つの梁3は、図4に示すように、いずれも、左右方向Xにおいて、X2側の支柱2側が下る下り傾斜で形成される。2つの梁3の左右方向Xの両端部(X1側の端部及びX2側の端部)は、図4に示すように、L字状の接続部材25を介して、支柱2の上端部に接続される。一対の梁3の下部には、屋根体4が接続される。
【0016】
2つの梁3は、図1図3及び図5に示すように、それぞれ、断面が角筒状の中空部を有する梁本体31と、下部突出板34と、を有する。
【0017】
下部突出板34は、図3及び図4に示すように、梁側ホロー部32の下端部から、屋根体4における前後方向Yの中央側(一対の梁3のうち、当該梁3とは別の梁3側)の一方側(梁3の幅方向の一方側)に向けて突出すると共に、左右方向Xに延びる板状に形成される。下部突出板34は、前後方向Yに並んで配置される複数のネジ部材101により、下部突出板34において、屋根体4に固定される。なお、本実施形態においては、下部突出板34を、梁3の下端部において、梁3の幅方向の片方側(一方側のみ)に突出する構成としたが、これに限定されない。下部突出板34を、梁3の下端部において、梁3の幅方向の両方側に突出する構成としてもよい。
【0018】
屋根体4は、図1に示すように、屋根体4が2つの梁3の下部に吊られて配置される吊り下げ構造であって、2つの梁3の下部に取り付けられる(接続される)。屋根体4は、2つの梁3が延びる左右方向Xにおいて、X2側の大部分に配置されており、残りのX1側の部分に配置されていない。本実施形態においては、2つの梁3は、屋根体4よりも左右方向XのX1側に延出している。梁3の下部における屋根体4が配置されていないX2側の部分において、梁3の下部には、梁カバー35が取り付けられている。梁3の下部に梁カバー35が取り付けられる梁構造30の詳細については後述する。
【0019】
屋根体4は、図4に示すように、複数の長尺形材(長尺材)41が、梁3が延びる方向に並んで連設されて互いが嵌合して連結されて構成される。複数の長尺形材41は、それぞれ、カーポート1の前後方向Y(梁3が延びる方向に直交する方向)に延びており、所定の厚さを有する。複数の長尺形材41は、それぞれ、アルミニウム材料の押出し形材で形成され、断面が中空状に形成される中空部を有するホロー構造を有する。屋根体4は、上面4a及び下面4bがフラット(平面状)に形成される。
【0020】
屋根体4は、X1側の支柱2側が下る下り傾斜に配置されており、上面4a及び下面4bは、カーポート1の左右方向X(梁3が延びる方向)において、X2側の支柱2側が下る下り傾斜に形成される。屋根体4は、アルミニウム材料の押出し形材で形成された複数の長尺形材41を連結して屋根体4を構成することで、複数の長尺形材41を、屋根体4の面材として使用できると共に、屋根体4の強度を確保することができる。また、屋根体4を構成する複数の長尺形材41を、中空部を有する形材で構成することで、屋根体4自体を強度部材として使用でき、屋根体4の強度を出すための部材を別に設ける必要がない。よって、屋根体4を構成する部材の部品点数を低減できる。
【0021】
屋根体4を構成する複数の長尺形材41は、図4に示すように、左右方向Xにおいて、最もX1側に配置されるX1側端部形材42と、最もX2側に配置される樋構成形材44と、X1側端部形材42と樋構成形材44との間に配置される複数の中間形材43と、を備えて構成される。
【0022】
複数の長尺形材41は、隣り合う長尺形材41同士が篏合により取り付けられると共に、複数の長尺形材41は、それぞれ、ネジ部材101により、梁3に直接固定されて接続される。詳細には、上方側から移動されたネジ部材101により、梁3の下部突出板34と長尺形材41(X1側端部形材42、中間形材43)の上面とが固定される。
【0023】
樋構成形材44は、図4に示すように、屋根体4において、複数の長尺形材41が並ぶ左右方向XのX2側の端部に並列に並んで配置され、上部側が上方側に向けて開口する長尺形材により形成される。本実施形態においては、樋構成形材44は、中空部を有さないソリッド材により形成され、上部側が開口する断面U字形状に形成される。
【0024】
樋構成形材44は、屋根体4の左右方向XのX2側の端部において、屋根体4の上面4aをX1側からX2側に流れてX1側の端部に達した水を受け止めて流通させる屋根体側樋構成部40を構成する。屋根体側樋構成部40は、長尺形材41の長手方向に延びて形成される。屋根体側樋構成部40は、図4に示すように、長尺形材41の長手方向の途中において、誘導部材26を介して、X2側の支柱2と支柱カバー部材23との間の支柱側樋構成部20(柱材側樋構造)に接続される。誘導部材26は、屋根体側樋構成部40に流れ込んで滞留した水を、支柱側樋構成部20に誘導する。
【0025】
屋根体側樋構成部40は、上部側が開口しているため、屋根体側樋構成部40を屋根体4の下方から見た場合に、長尺形材41のフラットな(平面状の)下面が見えるだけで、屋根体4の上面4a側に樋が存在することを認識させずに樋を構成でき、意匠性を向上できる。
【0026】
次に、梁3の下部に梁カバー35が取り付けられる梁構造30の詳細について説明する。本実施形態においては、梁構造30の説明において、図5図7に示すように、梁3の長手方向に直交する幅の方向を幅方向Wという。幅方向Wにおいて一方側を一方側W1(図7における左側)といい、幅方向Wにおいて他方側を他方側W2(図7における右側)という。図5及び図6に示すように、梁構造30は、梁3と、梁カバー35と、を備える。梁カバー35は、梁3の長手方向において屋根体4が配置されていない部分の下部に取り付けられている。
【0027】
図5図7に示すように、梁3は、所定方向に延びる長尺の梁本体31と、梁本体31の下部において梁本体31の幅方向Wの他方側W2の外側に突出する下部突出板34と、を有する。
【0028】
梁本体31は、図7に示すように、断面が角筒状の梁側ホロー部32(梁構成部)と、梁側ホロー部32の下面に固定される梁アタッチメント部33(アタッチメント部)と、梁側ホロー部32の長手方向の両端部に配置される2つの端部キャップ37(図5及び図6参照)と、を有する。梁側ホロー部32は、中空部を有する中空枠321と、位置決め突起322(梁側位置決め部)と、を有する。位置決め突起322は、中空枠321の幅方向Wの一方側W1の端部側の部分から、下方に突出する。
【0029】
梁アタッチメント部33は、梁側ホロー部32の長手方向に延びる。なお、梁アタッチメント部33は、梁側ホロー部32の長手方向に延びる1つの部材により構成してもよいし、梁側ホロー部32の長手方向の長さが所定長さで形成される複数のピース状のアタッチメント部材により構成してもよい。
【0030】
梁アタッチメント部33は、図7に示すように、幅方向Wに延びる板状に形成され梁側ホロー部32の下面にネジ331aにより固定される固定板331と、固定板331の幅方向Wの一方側W1の端部から下方に延出する下方延出板332と、下方延出板332の先端(下端)に設けられる梁側篏合部333(被篏合部)と、下方延出板332の上下方向の途中の上側寄りの部分から幅方向Wの一方側W1に突出すると共に下方に向けて開放するL字状突起334と、を有する。梁側篏合部333は、梁カバー35の篏合固定部352の篏合部352b(後述)に篏合される。L字状突起334の先端側の下方に突出する突出片の幅方向Wの一方側W1の面は、梁本体31の位置決め突起322の幅方向Wの他方側W2の面に沿って当接する。
【0031】
梁カバー35は、図5及び図6に示すように、梁3の長手方向に沿って長尺に形成される。梁カバー35は、アルミニウム材料の押出し形材で形成される。梁カバー35は、上方側が開放して形成されており、下面35aが平面状に形成される。梁カバー35の内部側には、屋根体4に設置した照明部等の配線を通すこともできる。
【0032】
梁カバー35の下面35aと屋根体4の下面4bとは、同一平面上又は略同一平面上に配置される。これにより、屋根体4を下方側から見た場合の見栄えが向上され、意匠性を向上できる。なお、「略同一平面上」とは、完全な同一平面上でなくてもよく、平面が連続するように視認されて、意匠性を高めることができれば、多少ずれて配置されていてもよいことを意味する。
【0033】
梁カバー35は、図7に示すように、上方側が開放した断面視U字状のカバー本体351と、カバー本体36の幅方向Wの一方側W1に形成される篏合固定部352と、カバー本体36の幅方向Wの他方側W2に形成されるネジ固定部353と、カバー本体351の底面から上方に突出する仕切り突出片354及び篏合突出片355と、を有する。
【0034】
カバー本体351は、底板部351aと、底板部351aの幅方向Wの一方側W1の端部から上方側に延出する一方側壁部351bと、底板部351aの幅方向Wの他方側W2の端部から上方側に延出する他方側壁部351cと、を有する。
【0035】
仕切り突出片354は、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の他方側W2寄りの部分から上方に突出する。篏合突出片355は、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の一方側W1寄りの部分から上方に突出する。篏合突出片355の上端部には、後述する篏合固定部352の篏合部352bが形成される。
【0036】
仕切り突出片354を設けることにより、梁カバー35の幅方向Wの他方側W2側の上方から梁カバー35に水が浸入しても、カバー本体351の底板部351aにおける仕切り突出片354と篏合突出片355との間のスペースSへの水の浸入を防止できる。カバー本体351の底板部351aの上面側における仕切り突出片354と篏合突出片355との間のスペースSは、例えば、本実施形態においては、照明部(図示せず)を配置するために設けられている。照明部等を配置するスペースSを設ける場合に、仕切り突出片354により、スペースS側への水の浸入を抑制できる。
【0037】
篏合固定部352は、カバー本体36の幅方向Wの一方側W1に形成され、梁本体31に篏合により固定される。篏合固定部352は、位置決め部352aと、篏合部352bと、を有する。
【0038】
位置決め部352aは、カバー本体351の一方側壁部351bの先端側において上下方向に延びる直線状の部分により構成される。位置決め部352aは、カバー本体36の位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って配置される。位置決め部352aは、梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への梁カバー35の移動を規制して位置決めする。
【0039】
篏合部352bは、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の一方側W1寄りの部分から上方に突出する篏合突出片355の上端部に形成される。篏合部352bは、梁本体31の梁側篏合部333に篏合される。篏合部352bと梁本体31の梁側篏合部333とが篏合される上下方向の位置は、梁本体31に梁カバー35が取り付けられた場合に、ネジ固定部353が下部突出板34の上面に配置される位置となるように設定される。
【0040】
ネジ固定部353は、カバー本体351の他方側壁部351cの先端よりも僅かに下方の位置から幅方向Wの一方側W1に突出する板状に形成される。ネジ固定部353は、下部突出板34の上面に配置された状態で、上方側から、ネジ353aにより、下部突出板34にネジ固定される。
【0041】
次に、梁3の下面に梁カバー35を取り付ける手順について説明する。まず、図8Aに示すように、作業者は、梁カバー35を幅方向Wの一方側W1が下になるように傾けた状態で、梁カバー35の幅方向Wの他方側W2の端部側(一端側)において、梁カバー35のネジ固定部353を梁3の下部突出板34の上方側に引っ掛ける(引っ掛け工程)。作業者は、梁カバー35のネジ固定部353を梁3の下部突出板34の上方側に引っ掛けた状態で次の作業を行うことができるため、梁3の下面に梁カバー35を取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0042】
続けて、作業者は、梁カバー35の幅方向Wの他方側W2の引っ掛けた部分を中心に回転して、梁カバー35の幅方向Wの一方側W1の端部側の部分を上方に移動させて、図8Bに示すように、位置決め部352aを、梁本体31の位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って配置する。これにより、梁3の幅方向Wの一方側W1側の端部側(他端側)において、梁カバー35の位置決め部352aにより梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への梁カバー35の移動を規制して位置決めする(位置決め工程)。
【0043】
そして、図8Bに示すように、作業者は、梁カバー35の幅方向Wの一方側W1の部分を上方に移動させることで、位置決め部352aをカバー本体36の位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って上方側に移動させながら、図8Cに示すように、梁カバー35の篏合部352bを梁本体31の梁側篏合部333に篏合させる(篏合工程)。この状態においては、梁カバー35の位置決め部352aは、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への移動が規制された状態で位置決めをしている。しかし、梁カバー35の位置決め部352aは、上下方向への移動は許容されている。
【0044】
次に、図8Cに示すように、作業者は、梁カバー35の位置決め部352aにおいて上下方向への移動が許容された状態で、梁カバー35の篏合部352bと梁本体31の梁側篏合部333の篏合部分を中心に回転させながら、図8Dに示すように、ネジ固定部353を、梁3の下部突出板34の上面に配置する。そして、作業者は、ネジ353aをネジ固定部353の上方側から下方側に移動させて、ネジ353aにより、ネジ固定部353を梁3の下部突出板34にネジ固定する(固定工程)。ネジ固定部353は、梁3の下部突出板34の上面において、上方側から移動されたネジ353aにより固定される。ネジ353aは、梁カバー35の上側に配置されているため、カーポート1の下方からは視認されない。よって、意匠性を向上できる。
【0045】
以上説明した本実施形態の梁構造30によれば、以下のような効果を奏する。本実施形態の梁構造30は、梁本体31と、梁本体31の下部において梁本体31の幅方向Wの外側に突出する下部突出板34と、を有する梁3と、梁3の下部に取り付けられる梁カバー35と、を備え、梁カバー35は、梁本体31に篏合により固定される篏合固定部352と、下部突出板34にネジ固定されるネジ固定部353と、を有し、篏合固定部352は、梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部突出板34側への梁カバー35の移動を規制して位置決めする位置決め部352aと、梁本体31に篏合される篏合部352bと、を有する。
【0046】
そのため、篏合固定部352の位置決め部352aにより梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で梁カバー35を位置決めして、梁カバー35を梁本体31に篏合して、ネジ固定部353を下部突出板34にネジ固定できる。これにより、梁カバー35を梁3の正しい位置に容易に固定できる。よって、意匠性を向上させつつ、梁3の下面に梁カバー35を容易に取り付けることができる。
【0047】
また、篏合固定部352の位置決め部352aにより、梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で梁カバー35を位置決めして、梁カバー35を梁本体31に篏合できる。そのため、従来のような梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで梁カバーを取り付ける構造と比べて、梁カバー35を梁3に取り付ける際の梁カバー35への押し込み長さを短くできる。
【0048】
従来、例えば、梁カバーのネジ固定部を梁の下部突出板の上面に引っ掛けて配置した後に、梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで、梁カバーを梁に取り付ける梁構造を採用しようとしても、従来の梁構造では、梁カバーのネジ固定部を梁の下部突出板の上面に引っ掛けて配置した後に、梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んだ場合に、上方側への押し込み長さが存在すると、上方側への押し込み長さの分だけ、ネジ固定部が上方側に浮いて離れてしまう。そのため、ネジ固定部が梁の下部突出板から上方側に浮いて離れてしまって、ネジ固定部を下部突出板34の上面に配置できずに固定できなかった。
【0049】
これに対して、本開示は、篏合固定部352の位置決め部352aにより梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で梁カバー35を位置決めして、梁カバー35を梁本体31に篏合できるため、従来のような梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで梁カバーを取り付ける構造と比べて、梁カバー35を梁3に取り付ける際の梁カバー35への押し込み長さを短くできる。その結果、ネジ固定部353を下部突出板34の上面から離れない位置に配置して固定できる。
【0050】
また、本実施形態において、梁本体31は、梁側ホロー部32と、梁側ホロー部32に固定される梁アタッチメント部33と、を有し、梁アタッチメント部33には、梁カバー35の篏合部352bに篏合される梁側篏合部333が設けられる。これにより、梁本体31に後付けで梁アタッチメント部33を固定して、梁アタッチメント部33を介して、梁3の下面に梁カバー35を容易に取り付けることができる。また、例えば、梁本体31をアルミニウム材料の押し出し成形で製造する場合に、梁カバー35を梁本体31に篏合させて固定させる形状を1部材の梁本体31に設けることが、製造上の理由などにより難しいことがある。そのような場合であっても、梁本体31を、梁側ホロー部32及び梁アタッチメント部33の2部材で構成することで、容易に製造できる。
【0051】
また、本実施形態のカーポート1(屋根構造体)は、前記梁構造30と、梁3の下方に梁3に吊られて配置される屋根体4と、を備える。これにより、梁3の下方に梁3に吊られて配置される屋根体4を備える構成において、梁3の下面において、屋根体4が配置されていない部分に、梁カバー35を取り付けることで、意匠性を向上できる。
【0052】
また、本実施形態において、屋根体4の下面4bと梁カバー35の下面35aとは、同一平面上又は略同一平面上に配置される。これにより、屋根体4を下方側から見た場合の見栄えが向上され、意匠性を向上できる。
【0053】
以上、本開示のカーポート(屋根構造体)の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0054】
前記実施形態においては、カーポートを、屋根体4を左右方向Xの両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両持ち構造のカーポートとしたが、これに限定されず、屋根体4を左右方向Xの一方の端部を支柱で支持する、いわゆる、片持ち構造のカーポートとしてもよい。
【0055】
前記実施形態においては、梁構造を、梁3に屋根体4を接続して構成したが、これに限定されない。例えば、屋根体を備えずに、梁構造を、支柱と梁とで構成してもよい。この場合、梁の下面の長手方向の全域に梁カバーを取り付けてもよいし、梁の下面の長手方向において、一部に屋根体ではない他の取付部材を取り付けて、他の取付部材を取り付けない部分に梁カバーを取り付けてもよい。
【0056】
前記実施形態において、梁本体31を、梁構成部32とアタッチメント部33の2部材で構成したが、これに限定されない。梁本体31を、梁構成部32とアタッチメント部33とを一体とした1部材で構成してもよい。
【0057】
前記実施形態において、断面視U字状のカバー本体351の一方側壁部351b及び他方側壁部351cの上下方向の深さを、照明部を配置できる深さに設定したが、これに限定されない。断面視U字状のカバー本体351の一方側壁部351b及び他方側壁部351cの上下方向の深さを、前記実施形態よりも短い深さに形成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 カーポート(屋根構造体)、3 梁、4 屋根体、30 梁構造、31 梁本体、32 梁側ホロー部(梁構成部)、33 梁アタッチメント部(アタッチメント部)、34 下部突出板、35 梁カバー、333 梁側篏合部(被篏合部)、352 篏合固定部、352a 位置決め部、352b 篏合部、353 ネジ固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D