(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031245
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】カーブミラー
(51)【国際特許分類】
E01F 9/619 20160101AFI20240229BHJP
【FI】
E01F9/619
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134674
(22)【出願日】2022-08-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月9日から令和4年2月28日まで藤枝市立青島東小学校西側の交差点にて実証実験を行った。 令和4年2月16日に藤枝市立青島東小学校西側の交差点にて報道各社に対して公開説明を行った。 令和4年3月29日に藤枝市役所西館会議室にて静岡エフエム放送株式会社のラジオ収録において説明を行った。
(71)【出願人】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】今村 一男
(72)【発明者】
【氏名】辻 恵直
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064BA13
2D064EA01
2D064EB01
2D064FA01
(57)【要約】
【課題】曲り角に接近する移動体の存在に気づきやすいカーブミラーを提供する。
【解決手段】本発明のカーブミラー1は、交差点CRに配置されるカーブミラー1であって、交差点CRに接近する移動体を検出して検出結果を送信する画像解析部121と、画像解析部121から送信された移動体の接近を示す信号を受信する受信手段14と、受信手段14による信号の受信に対応して移動体の接近を表す表示を行う第1発光部材132および第2発光部材133とを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲り角に配置されるカーブミラーであって、
前記曲り角に接近する移動体を検出して検出結果を送信する検出手段と、
前記検出手段から送信された移動体の接近を示す信号を受信する受信手段と、
前記受信手段による前記信号の受信に対応して移動体の接近を表す表示を行う表示手段とを備えたことを特徴とするカーブミラー。
【請求項2】
前記曲り角に接近する移動体を映し出す鏡面部を備え、
前記表示手段は、前記鏡面部に表示を行うものであることを特徴とする請求項1記載のカーブミラー。
【請求項3】
前記鏡面部は、前記曲り角に面したおもて面とは反対の裏面側からの光を該おもて面に透過可能な透光部分を有するものであり、
前記表示手段は、前記透光部分の裏面側から該透光部分に向かって光を照射する発光部材を備えたものであることを特徴とする請求項2記載のカーブミラー。
【請求項4】
前記透光部分は、前記発光部材が光を照射していないときには鏡像を映し出すことが可能であり、
前記表示手段は、移動体の接近を前記発光部材による光の点滅により表すものであることを特徴とする請求項3記載のカーブミラー。
【請求項5】
前記鏡面部は、前記透光部分を複数備えたものであり、
前記発光部材は、前記透光部分ごとに該透光部分に対向して配置され、それぞれ異なるタイミングで対向している該透光部分に向かって光を照射するものであることを特徴とする請求項4記載のカーブミラー。
【請求項6】
前記検出手段は、一方向から前記曲り角に接近する移動体を検出可能であるとともに、該一方向とは異なる他方向から該曲り角に接近する移動体も検出可能であって、該一方向からのみ移動体が接近した場合と該一方向と該他方向の両方向から移動体が接近した場合で異なる信号を送信するものであり、
前記表示手段は、前記受信手段が前記一方向からのみ移動体が接近したことを示す信号を受信した場合と該受信手段が前記両方向から移動体が接近したことを示す信号を受信した場合とで異なる表示を行うものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載のカーブミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲り角に配置されるカーブミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点、T字路またはカーブ等の曲り角であって信号機がなく特に見通しの悪い曲り角にはカーブミラーが配置されていることがある。曲り角に配置されたカーブミラーによって、カーブミラーを見る者は、自身の進行方向とは異なる他方向から曲り角に向かって来る車両などを視認できる。このカーブミラーの視認性の低下を抑制する構成として水滴の付着を防止するためにヒーターを付けたものや、鏡面部の裏側から振動を印加する発振回路を設けたものなど種々のカーブミラーが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、視認性の低下を抑制する構成を備えたカーブミラーが曲り角に配置されていても、カーブミラーの存在自体に気づかなかったり、カーブミラーの存在に気づいたとしてもカーブミラーは鏡像が小さく映し出されるため曲り角に接近する車両などの移動体の存在に気づかないこともある。これらにより、カーブミラーが設置されている曲り角においても出会い頭の交通事故が発生してしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、曲り角に接近する移動体の存在に気づきやすいカーブミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のカーブミラーは、
曲り角に配置されるカーブミラーであって、
前記曲り角に接近する移動体を検出して検出結果を送信する検出手段と、
前記検出手段から送信された移動体の接近を示す信号を受信する受信手段と、
前記受信手段による前記信号の受信に対応して移動体の接近を表す表示を行う表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このカーブミラーによれば、前記曲り角に移動体が接近したことを表す表示を前記表示手段が行うので、該曲り角に接近する移動体が存在することを該曲り角に接近している者や該曲り角の近傍に居る者に容易に気づかせることができる。また、前記表示手段の表示により、前記曲り角に接近している者や該曲り角の近傍に居る者がこのカーブミラーの存在を認識しやすくなる。以下、前記曲り角に接近している者や該曲り角の近傍に居る者を視認者と称する。
【0008】
ここで、前記検出手段は、カメラによって撮影された映像を解析する画像解析装置であってもよい。また、前記検出手段は、超音波センサーであってもよく、ミリ波やレーザー光を使用したセンサーであってもよい。
【0009】
このカーブミラーにおいて、
前記曲り角に接近する移動体を映し出す鏡面部を備え、
前記表示手段は、前記鏡面部に表示を行うものであってもよい。
【0010】
このカーブミラーにおいて、
前記鏡面部は、前記曲り角に面したおもて面とは反対の裏面側からの光を該おもて面に透過可能な透光部分を有するものであり、
前記表示手段は、前記透光部分の裏面側から該透光部分に向かって光を照射する発光部材を備えたものであってもよい。
【0011】
前記発光部材が前記透光部分の裏面側から光を照射するので、前記鏡面部の一部が該発光部材で覆い隠されてしまうことがない。
【0012】
このカーブミラーにおいて、
前記透光部分は、前記発光部材が光を照射していないときには鏡像を映し出すことが可能であり、
前記表示手段は、移動体の接近を前記発光部材による光の点滅により表すものであってもよい。
【0013】
前記曲り角に接近する移動体が前記鏡面部に映し出される位置が前記透光部分と重なっている場合であっても前記発光部材による光が消えたときに移動体が該透光部分に映し出されるので、視認者は該曲り角に接近する移動体の位置を把握することができる。
【0014】
このカーブミラーにおいて、
前記鏡面部は、前記透光部分を複数備えたものであり、
前記発光部材は、前記透光部分ごとに該透光部分に対向して配置され、それぞれ異なるタイミングで対向している該透光部分に向かって光を照射するものであってもよい。
【0015】
こうすることで、前記発光部材が光を照射することによる移動体の接近を表す表示時間と各透光部分において鏡像を映し出す時間の両方を長くすることができるので、視認者は前記曲り角に接近する移動体の存在に気づきやすく、且つその移動体の位置を把握しやすくなる。
【0016】
このカーブミラーにおいて、
前記検出手段は、一方向から前記曲り角に接近する移動体を検出可能であるとともに、該一方向とは異なる他方向から該曲り角に接近する移動体も検出可能であって、該一方向からのみ移動体が接近した場合と該一方向と該他方向の両方向から移動体が接近した場合で異なる信号を送信するものであり、
前記表示手段は、前記受信手段が前記一方向からのみ移動体が接近したことを示す信号を受信した場合と該受信手段が前記両方向から移動体が接近したことを示す信号を受信した場合とで異なる表示を行うものであってもよい。なお、前記他方向は、前記一方向と交差する交差方向であってもよい。
【0017】
こうすることで、前記一方向からのみ移動体が接近しているか、前記両方向から移動体が接近しているかを視認者が容易に理解できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲り角に接近する移動体の存在に気づきやすいカーブミラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に相当するカーブミラーの設置状態を示す図である。
【
図2】
図1に示したカーブミラーのA-A断面図である。
【
図3】(a)は、
図1に示した透光部分を拡大して示す拡大図であり、(b)は、同図(a)のB-B断面図である。
【
図4】
図1に示したカーブミラーの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示したカーブミラーが設置された交差点を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当するカーブミラーの設置状態を示す図である。
【0021】
図1に示すように、カーブミラー1は、支柱11と、カメラ12と、カーブミラー本体13とを備えている。支柱11は、下端部分が道路Rdに埋設され、上方に向かって垂直に延在している。カメラ12は、支柱11の上端に固定されている。このカメラ12は、常時動画を撮影している。なお、カメラ12は、広角レンズを備えていてもよい。また、カメラ12は、パンやチルトなどの首振り機能を有するものであってもよく首振り機能がないものであってもよい。さらに、カメラ12は録画機能を有するものであってもよい。
【0022】
カーブミラー本体13は、鏡面部131と第1発光部材132とを有している。鏡面部131は、曲り角に接近する車両などの移動体を鏡像として映し出すものである。鏡面部131は、基板1310(
図3(b)参照)とその裏面に設けられ鏡として作用する反射膜1311(
図3(b)参照)とから構成されている。鏡面部131には、反射膜が設けられていない小さなドット状をした膜無し部分1312(
図3参照)が所定間隔をあけて配置された透光部分131aが2ヵ所設けられている。透光部分131aは、多数の膜無し部分1312が円形状に配列されることで全体としてそれぞれ円形をしている。なお、透光部分131aは、多角形や星形などの他の形状であってもよい。
【0023】
第1発光部材132は、鏡面部131を囲むように4つ配置されている。これらの第1発光部材132は、表示手段の一例に相当する。第1発光部材132は、鏡面部131外周略90度ごとに配置されたテープ状のLED照明で構成されている。なお、この実施形態の第1発光部材132は、鏡面部131よりも外側に鏡面部131の周縁から少し離間して配置されているが、鏡面部131に接して配置してもよく、鏡面部131のおもて面に貼り付けてもよい。ここで、カーブミラー1が交差点、T字路またはカーブ等などの曲り角に設置された際に、曲り角に面する側が鏡面部131のおもて面であり、その反対側が鏡面部131の裏面である。
【0024】
図2は、
図1に示したカーブミラーのA-A断面図である。
図2では、鏡面部131のうち、透光部分131a以外をクロスハッチングを付して示し、透光部分131aのハッチングは省略している。なお、鏡面部131のうち、透光部分131aに設けられた膜無し部分1312(
図3参照)以外は反射率の高い通常の鏡部分である。
図2には、第1発光部材132によって発光された光が白抜きの矢印で示されている。
【0025】
図2に示すように、カーブミラー本体13は、上述した鏡面部131および第1発光部材132の他に、基部130と第2発光部材133も有している。基部130は、鏡面部131の裏面側に配置されている。この基部130は、カーブミラー本体13のベースになる部材であり、鏡面部131、第1発光部材132および第2発光部材133を支持している。この基部130が支柱11(
図1参照)に固定されることで、カーブミラー本体13は支柱11に取り付けられている。なお、
図2に示すように、鏡面部131は、中心部分が最も突出した概して欠球形状をしている。
【0026】
第2発光部材133は、透光部分131aに対向する位置であって透光部分131aの裏面側に配置されている。
図2には、2ヵ所の透光部分131aのうちの一方が示されている。他方の透光部分131aの裏面側にも第2発光部材133が配置されているが、2つの第2発光部材133は、同一の構成をしているので、他方の透光部分131aの裏面側に配置された第2発光部材133の構成については説明を省略する。これらの第2発光部材133は、表示手段の一例に相当し、発光部材の一例にも相当する。第2発光部材133は、複数のLED素子1331と、それらのLED素子1331が取り付けられた基板1332と、基板1332に取り付けられた脚部1333とを有している。そして、第2発光部材133は、その脚部1333によって基部130に固定されている。第2発光部材133が発光すると、その光は、
図2における左方にある透光部分131aに向かって照射される。換言すれば、第2発光部材133は、透光部分131aの裏面側から透光部分131aに向かって光を照射する。照射された光は、反射膜1311(
図3(b)参照)が設けられていないドット状の膜無し部分1312(
図3参照)で透光部分131aを透過するので鏡面部131(透光部分131a)のおもて面側から視認できる。すなわち、第2発光部材133が発光すると、鏡面部131のおもて面側から見て透光部分131aが光って見える。
図2には、第2発光部材133によって発光された光が透光部分131aを透過する様子が平行な3本の矢印で示されている。
【0027】
図3(a)は、
図1に示した透光部分を拡大して示す拡大図であり、
図3(b)は、同図(a)のB-B断面図である。なお、
図3(b)では反射膜の膜厚を誇張して示している。
【0028】
図3(a)に示すように、透光部分131aは、千鳥配列でドット状の多数の膜無し部分1312が設けられている部分である。各膜無し部分1312は、小さな円形をしている。ただし、膜無し部分1312は多角形や星形などの他の形状であってもよい。上述したように、第2発光部材133からの光は、この多数の膜無し部分1312それぞれを透過しておもて面側に照射される。
図3(b)には、透過した光が水平方向に向く矢印で示されている。
図3(a)および
図3(b)に示すように、膜無し部分1312は、透明な樹脂の基板1310の裏面に反射膜1311が設けられていない部分であり、上述したように透光部分131a内において所定間隔をあけて配置されている。従って、膜無し部分1312どうしの間は反射膜1311が設けられている部分になる。この反射膜1311が設けられている部分では光が反射する。
図3(b)には、光が反射する様子が水平方向に対して傾斜した矢印で示されている。透光部分131a全体として、反射膜1311が設けられている部分の面積は、膜無し部分1312の面積より大きい。この実施形態の透光部分131aは、第2発光部材133が光を照射しているときにはその光が膜無し部分1312を透過することでおもて面側から鏡像はほぼ見えない状態になる。しかし、第2発光部材133が光を照射していないときには透光部分131aの反射膜1311が設けられている部分に鏡像が映し出されるので、透光部分131aを見る視認者は、鏡像を視認することができる。以下、第2発光部材133が光を照射していないことを消灯と称することがある。なお、このときに膜無し部分1312の鏡像が欠損することになるが個々の膜無し部分1312は小さい部分であるので、映し出される移動体の位置や形状を視認者は認識することができる。ここで、透光部分131aを、ドット状の膜無し部分1312を配列することに代えて、入射した光の一部を反射し光の一部が透過可能なハーフミラーによって構成してもよい。ただし、ドット状の膜無し部分1312の配列で透光部分131aを構成した方が、照射された光の輪郭がはっきり表れやすく、光の透過率と鏡像の視認性のバランスをとりやすく、また鏡面部131を安価に製造できるので好ましい。
【0029】
図4は、
図1に示したカーブミラーの構成を示すブロック図である。
【0030】
図4に示すように、カーブミラー1は、上述したカメラ12、4つの第1発光部材132および2つの第2発光部材133に加え、画像解析部121と、受信手段14と、表示制御部15とを備えている。これら画像解析部121、受信手段14および表示制御部15は、カーブミラー本体13(
図1参照)の裏面側に配置され、支柱11(
図1参照)に固定された不図示の制御ボックス内に配置されている。画像解析部121は、コンピュータによって構成されており、カメラ12が撮影した映像を解析してカーブミラー1に接近する車両などの移動体が存在するか否かを検出する。この画像解析部121は、検出手段の一例に相当する。カーブミラー1は交差点、T字路またはカーブ等の曲がり角に設置されるため、カーブミラー1に接近する移動体は、曲り角に接近する移動体に相当する。画像解析部121は、接近する移動体が存在するか否かを検出結果として送信する。この画像解析部121の解析内容や送信される検出結果については後に詳細に説明する。なお、画像解析部121は、常時検出結果を送信してもよく、カーブミラー1に接近する移動体が存在しているときのみ検出結果を送信してもよい。
【0031】
受信手段14は、画像解析部121から送信された検出結果を受信して表示制御部15に伝達する。表示制御部15は、受信手段14が受信した信号に対応して4つの第1発光部材132と2つの第2発光部材133の発光を制御する。表示制御部15は、いわゆるPLC(Programmable Logic Controller)である。表示制御部15の制御内容、第1発光部材132の発光態様および第2発光部材133の発光態様については後述する。
【0032】
図5は、
図1に示したカーブミラーが設置された交差点を上方から見た図である。実際にはカメラ12とカーブミラー本体13は上方から見て重複した位置に配置されているが、
図5では理解しやすいようにカメラ12とカーブミラー本体13とを離間して示している。なお、ここではカーブミラー1を交差点CR(十字路)に設置した例を示しているが、カーブミラー1は、T字路やカーブ等の他の曲がり角にも設置される。
【0033】
図5に示すように、カメラ12は、交差点CRの中心に向かって設置されている。すなわち、カメラ12における撮影方向(画角の中心方向)は交差点CRの中心に向かう方向である。この交差点CRは、曲り角の一例に相当する。また、カーブミラー本体13は、突出方向がカメラ12の撮影方向と同じく交差点CRの中心に向かう方向になるように設置されている。カメラ12は、画角が90度以上のものであり、交差点CRで互いに交差する第1道路Rd1と第2道路Rd2それぞれを撮影する。これにより、カメラ12は、第1道路Rd1を走行して交差点CRに接近する第1車両V1を撮影することが可能であるとともに、第2道路Rd2を走行して交差点CRに接近する第2車両V2も同時に撮影することが可能になっている。これら第1車両V1および第2車両V2それぞれは、移動体の一例に相当する。以下、第1道路Rd1が延在する方向と第2道路Rd2が延在する方向のうちの一方を一方向と称し、他方を他方向と称することがある。なお、T字路や
図5に示すような交差点においては視認者が進行する方向とは交差する交差方向が他方向になり、視認者が進行する道路自体が曲がっているカーブにおいては自身が進行する方向とは逆方向が他方向になる。
【0034】
画像解析部121(
図4参照)は、カメラ12が撮影した画像を解析し、一方向から交差点CRに接近する移動体を検出するとともに、一方向から接近する移動体とは区別して他方向から交差点CRに接近する移動体も検出する。そして、画像解析部121は、一方向からのみ移動体が交差点CRに接近したことを検出した場合と一方向と他方向の両方向から移動体が交差点CRに接近した場合で異なる信号を送信する。
【0035】
表示制御部15(
図4参照)は、受信手段14(
図4参照)が受信した信号が、一方向からのみ移動体が交差点CRに接近したことを示す信号である場合には、4つの第1発光部材132(
図4参照)を間欠的に発光させる。つまり、4つの第1発光部材132を点滅させることで、移動体が交差点CRに接近していることを表示する。また、表示制御部15は、受信手段14が受信した信号が、一方向と他方向の両方向から移動体が交差点CRに接近したことを示す信号である場合には、4つの第1発光部材132を間欠的に発光させ、且つ2つの第2発光部材133(
図4参照)を交互に発光させる。つまり、4つの第1発光部材132を同時に点滅させるのと同時に2つの第2発光部材133それぞれを異なるタイミングで点滅させて、両方向から移動体が交差点CRに接近していることを表示する。なお、各第2発光部材133の点滅継続時間は移動体の交差点CRへの接近を検出してから15秒であり、その発光時間と消灯時間はそれぞれ0.5秒である。つまり発光時間0.5秒、消灯時間0.5秒を1サイクルとして、点滅継続時間15秒の間にこれを15サイクル繰り返すものである。この点滅継続時間は、通行車両等の通行スピードに合わせて変更しても良く、5秒以上20秒以下が好ましく、8秒以上15秒以下がさらに好ましい。また、発光時間と消灯時間は、0.2秒以上であることが好ましく1.0秒以下であることも好ましい。発光時間と消灯時間を0.2秒以上にすることで、第2発光部材133の発光が示している移動体の接近に視認者が気づきやすくなり、さらに第2発光部材133の消灯時に透光部分131aに鏡像として映し出される移動体の位置を視認者が認識しやすくなる。一方、発光時間と消灯時間を1.0秒以下にすることで、消灯から発光に切り替わる前に交差点CRに接近する移動体が交差点CRに進入してしまうことを防止できる。
【0036】
この実施形態によれば、第1発光部材132または第2発光部材133が発光することで、カーブミラー1の視認者にカーブミラー1の存在を認識させることができる。また、第1発光部材132および第2発光部材133の発光によって移動体が交差点CRに接近したことを表示することで、鏡面部131に映し出された鏡像だけでは移動体が視認しにくい場合であっても、カーブミラー1の視認者に交差点CRに接近する移動体が存在することを気づかせることができる。さらに、第2発光部材133が発光することによって鏡面部131の一部分である透光部分131aに表示が行われるので、視認者が、鏡面部131から視線を移動することなく、交差点CRに接近する移動体が存在することに気づくことができる。加えて、第2発光部材133を鏡面部131のおもて面に配置すると鏡面部131の一部が隠されてしまうが、第2発光部材133を鏡面部131の裏面側に配置しているので第2発光部材133によって鏡面部131が隠されてしまうことがない。そして、透光部分131aを第2発光部材133が光を照射していないときには鏡像を視認することが可能に構成し、移動体が交差点CRに接近したことを第2発光部材133を点滅させることで表示している。これにより、交差点CRに接近する移動体が映し出される位置が透光部分131aの位置と重なっている場合でも第2発光部材133による光が消えたときに移動体が透光部分131aに映し出されるので、視認者は交差点CRに接近する移動体の位置を把握することができる。さらに、透光部分131aを2ヵ所設けて透光部分131aごとに対向した位置に第2発光部材133を配置し、その第2発光部材133をそれぞれ異なるタイミングで発光させているので、2つの第2発光部材133のうちのいずれかが発光している時間と個々の透光部分131aにおいて鏡像を映し出す時間の両方が長くなっている。これにより、移動体が交差点CRに接近したことを視認者がより気づきやすく、且つその移動体の位置をより把握しやすくなっている。なお、透光部分131aは3ヵ所以上設けてもよい。その場合には、第2発光部材133を1つづつ順番に発光させることで各透光部分131aにおける鏡像を映し出す時間をより長くすることができる。またさらに、表示制御部15は、一方向からのみ移動体が接近している場合には第1発光部材132のみを発光(点滅)させ、一方向と他方向の両方向から移動体が接近している場合には第1発光部材132と第2発光部材133の両方を発光(点滅)させている。すなわち、一方向からのみ交差点CRに移動体が接近している場合と両方向から交差点CRに移動体が接近している場合とで異なる表示を行っているので、一方向からのみ移動体が接近しているか両方向から移動体が接近しているかを視認者が容易に理解できる。
【0037】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、検出手段としてカメラ12が撮影した画像を解析する画像解析部121を用いたが、カメラ12と画像解析部121に代えて、超音波センサーを用いてもよく、ミリ波やレーザー光を使用したセンサーを用いてもよい。また、車両からの電波を受信することで車両が交差点CRに接近することを検出するようにしてもよい。さらに、本実施形態は、一方向からのみ移動体が接近している場合と、一方向と他方向の両方向から移動体が接近している場合とで、表示(発光)する位置を変える態様であったが、表示色を変える態様であってもよく、表示部の大きさを変える態様であってもよく、表示の点滅速度を変える態様であってもよく、表示の点滅と点灯とを切り替える態様であってもよい。加えて、表示手段として、移動体の接近に応じて文字や図柄を表示するものを用いてもよく、発光以外で表示するものを用いてもよい。また、透光部分131aを鏡面部131の下側2ヵ所に設ける例を用いたが、透光部分131aは、鏡面部131の上側に設けてもよく、鏡面部131の上側と鏡面部131の下側それぞれに設けてもよい。
【0038】
以上説明した実施形態や変形例によれば、曲り角に接近する移動体の存在に気づきやすいカーブミラー1を提供するができる。
【0039】
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 カーブミラー
14 受信手段
121 画像解析部121
132 第1発光部材
133 第2発光部材