(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031248
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】印刷消耗材の管理システム、印刷消耗材の残量特定装置、及び、印刷消耗材の液面検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240229BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240229BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240229BHJP
G01F 23/292 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F3/12 335
G06F3/12 310
G06F3/12 385
B41J2/175 301
B41J2/175 305
B41J29/38 204
G01F23/292 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134684
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2F014
【Fターム(参考)】
2C056EB52
2C056EC26
2C056EC64
2C056KC02
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK11
2C061HN15
2F014FA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タンク内の印刷消耗材の残量を正確に検出する印刷消耗材の管理システム、印刷消耗材の残量特定装置及び印刷消耗材の液面検知プログラムを提供する。
【解決手段】印刷処理システムは、インクを用いて記録用紙上に印刷を行うプリンタ200と、プリンタ200に設けられて当該プリンタ200へ供給するインクを内部に貯留する複数のタンクそれぞれにおける、各インクの液面を含む外観を撮影する撮像部370を有するモバイル端末300と、撮像部370が撮影した外観画像における各液面の位置を特定する液面位置特定部630及び液面位置特定部630が特定した各液面の位置に基づき、各タンクにおけるインクそれぞれの内部残量を決定する残量決定部640を含む情報管理サーバ100と、配送管理サーバとが、ネットワークに接続される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷消耗材を用いて被印刷媒体上に印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に設けられて当該印刷部へ供給する前記印刷消耗材を内部に貯留するタンクにおける、当該印刷消耗材の液面を含む外観を撮影する撮像部と、
前記撮像部が撮影した外観画像における液面位置を特定する液面位置特定部と、
前記液面位置特定部により特定された前記液面位置に基づき、前記タンク内における前記印刷消耗材の内部残量を決定する残量決定部と、
を有する、印刷消耗材の管理システム。
【請求項2】
前記撮像部による撮影時における撮影視野の位置決めガイド表示を行うガイド表示部をさらに有し、
前記撮像部は、
前記ガイド表示部により位置決めガイドされた前記撮影視野での前記撮影を行うよう構成されている、請求項1記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項3】
前記印刷部に対応付けられた識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記撮像部による撮影が正当権限に基づくものであることを保証するための正当権限保証情報を、前記識別情報取得部が取得した前記識別情報と対応付けて送信する保証情報送信部と、
前記撮像部が撮影した前記液面を含む外観画像を、前記保証情報送信部から送信された前記正当権限保証情報と対応付けて送信する外観画像送信部と、
をさらに有し、
前記残量決定部は、
前記外観画像に関連付けられている前記正当権限保証情報に基づく正当性が確認された場合に、前記識別情報取得部により取得された前記印刷部の前記識別情報と対応付けて、前記タンク内における前記内部残量を決定する
よう構成されている、請求項1記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項4】
前記識別情報取得部により取得された前記印刷部の前記識別情報に基づき、対応する前記タンクの外観画像における相対位置がそれぞれ既知である第1液面基準位置及び第2液面基準位置を取得する液面基準位置取得部をさらに有し、
前記液面位置特定部は、
前記撮像部が撮影した前記外観画像に含まれる前記液面位置を表すエッジを検出するエッジ検出部を含み、
前記残量決定部は、
前記エッジ検出部により検出された前記エッジが前記第1液面基準位置と前記第2液面基準位置との間のどの位置にあるかに応じて、前記タンク内における前記内部残量を決定する
よう構成されている、請求項3記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項5】
前記撮像部は、
前記識別情報を表す識別表記を含む前記外観を撮影し、
前記残量決定部は、
前記識別情報取得部で取得された識別情報と前記撮像部により撮影された前記外観に含まれる前記識別表記の表す識別情報とが一致した場合に、当該外観画像に基づき前記内部残量を決定するよう構成されている、請求項3又は請求項4記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項6】
前記残量決定部による前記内部残量の決定に応じて、前記印刷部を使用した印刷に係わる特典情報を生成する特典情報生成部をさらに有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項7】
印刷装置と、前記印刷装置とネットワーク経由で通信可能な通信I/Fを有する情報処理装置と、端末装置と、を含み、
前記印刷部は、前記タンクを備えた前記印刷装置であり、
前記撮像部は前記端末装置に設けられ、
前記残量決定部は前記情報処理装置に設けられる、
請求項1記載の印刷消耗材の管理システム。
【請求項8】
印刷消耗材を用いて被印刷媒体上に印刷を行う印刷装置とネットワーク経由で通信可能な通信I/Fと、
制御部と、
を有する印刷消耗材の残量特定装置であって、
前記制御部は、
前記印刷装置に設けられて当該印刷装置で用いる前記印刷消耗材を内部に貯留するタンクにおける、当該印刷消耗材の液面を含む外観画像を取得する画像取得処理と、
前記画像取得処理で取得された前記外観画像における前記液面の位置を特定する液面位置特定処理と、
前記液面位置特定処理で特定された前記液面の位置に基づき、前記タンク内における前記印刷消耗材の内部残量を決定する残量決定処理と、
を実行するよう構成されている、印刷消耗材の残量特定装置。
【請求項9】
印刷消耗材を用いて被印刷媒体上に印刷を行う印刷装置に対し通信可能な端末装置であって、表示部と、撮像部と、演算部と、を備えた前記端末装置の前記演算部に対し、
前記撮像部による撮像時における撮影視野の位置決めガイド表示を行うガイド表示ステップと、
前記印刷装置に設けられて当該印刷装置へ供給する前記印刷消耗材を内部に貯留するタンクにおける、当該印刷消耗材の液面を含む外観を、前記ガイド表示ステップで位置決めガイドされた前記撮影視野において撮影する、撮像ステップと、
を実行させるための、印刷消耗材の液面検知プログラム。
【請求項10】
前記演算部に対し、さらに、
前記撮像ステップで撮影された前記液面を含む外観画像を送信する、画像送信ステップを実行させる、請求項9記載の印刷消耗材の液面検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置での印刷に用いられる印刷消耗材を管理するための印刷消耗材の管理システム、印刷消耗材の残量特定装置、及び、印刷消耗材の液面検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、ユーザが、タンクののぞき窓における印刷消耗材の液面がどの目盛りの位置にあるかを目視で確認してその確認結果を入力することで、タンク内の印刷消耗材の量が識別される印刷処理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、タンク内の印刷消耗材の液面位置がちょうどタンクの目盛りの位置に合致していなければ、印刷消耗材の正確な残量検出が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、タンク内の印刷消耗材の残量を正確に検出できる、印刷消耗材の管理システム、印刷消耗材の残量特定装置、及び、印刷消耗材の液面検知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、印刷消耗材を用いて被印刷媒体上に印刷を行う印刷部と、前記印刷部に設けられて当該印刷部へ供給する前記印刷消耗材を内部に貯留するタンクにおける、当該印刷消耗材の液面を含む外観を撮影する撮像部と、前記撮像部が撮影した外観画像における液面位置を特定する液面位置特定部と、前記液面位置特定部により特定された前記液面位置に基づき、前記タンク内における前記印刷消耗材の内部残量を決定する残量決定部と、を有する。
【0007】
本願発明の印刷消耗材の管理システムにおいては、タンク液面の撮影結果に基づき残量検出が行われる。
撮像部によりタンクの外観が撮影される。撮影される外観には、印刷消耗材の液面が含まれる。液面位置特定部により、撮影された外観画像における液面位置が特定される。特定された液面位置に基づき、残量決定部により、タンク内における消耗材の内部残量が決定される。
本願発明によれば、タンク外観の撮影画像を用いて、タンク内の印刷消耗材の残量を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タンク内の印刷消耗材の残量を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による印刷処理システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
【
図2】印刷処理システムに備えられるプリンタの概略構成図である。
【
図3】タンク内のインクの残量が減少して次のボトルを発注する経時挙動を説明する説明図である。
【
図4】プリンタの筐体に設けられた開閉カバーを開き4つのタンクの外観を外部に露出させた状態を表す、外観図である。
【
図5】モバイル端末のカメラによる撮影時に表示部に表示される撮影画面の一例を表す説明図である。
【
図6】外観画像に含まれる液面の位置からタンク内残量を特定する手法を説明するための説明図である。
【
図8】実施形態による各種処理に係わるソフトウェアブロック構成図である。
【
図9】プリンタ、モバイル端末、情報管理サーバ、配送管理サーバの各プロセッサの協働により行われる制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図10】情報管理サーバのプロセッサにより実行されるS50の詳細手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る印刷処理システムを
図1に示す。本実施形態は、プリンタ200で使用している印刷消耗材(詳細は後述)が一定程度消耗した際に、手動操作により交換用の印刷消耗材が配送される配送サービスを提供可能な印刷処理システム1の実施形態である。印刷処理システム1は、プリンタ200における印刷数に応じた課金額を請求する印刷契約に基づく印刷サービスも提供可能としてもよい。印刷処理システム1が、印刷消耗材の管理システムの一例である。
【0012】
<印刷処理システムの概要>
図1において、この印刷処理システム1は、情報管理サーバ100と、少なくとも1つのプリンタ200と、モバイル端末300と、配送管理サーバ400と、を含んでいる。これら情報管理サーバ100、プリンタ200、モバイル端末300、及び配送管理サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。プリンタ200が印刷装置の一例であり、印刷部の一例でもある。情報管理サーバ100が情報処理装置の一例であり、残量特定装置の一例でもある。モバイル端末300が端末装置の一例である。
【0013】
<プリンタの構成>
上記印刷処理システム1に備えられる、プリンタ200を、
図2により説明する。
図2に示すように、プリンタ200は、キャリッジ2と、インクジェットヘッド3と、プラテン4と、搬送ローラ5,6と、を備える。搬送ローラ6のある側がプリンタ200の前側であり、搬送ローラ5のある側がプリンタ200の後側である。また、後側から前側へ向かう方向が搬送方向であり、左右方向が主走査方向である。
【0014】
キャリッジ2は、図示しないベルト等を介しキャリッジモータ56(
図1参照)に接続されており、キャリッジモータ56が駆動することでガイドレール11,12に沿って主走査方向に移動する。
【0015】
インクジェットヘッド3は、4本のチューブ31と接続されている。4本のチューブ31は、プリンタ200の右前端部において主走査方向に並んだ4つのタンク32とそれぞれ接続されている。4つのタンク32に貯留されたブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがチューブ31を介してインクジェットヘッド3に供給される。
【0016】
本実施形態のプリンタ200は、例えば比較的低コストの機種であり、対応するボトル(図示省略)から各タンク32へインクが投入されて用いられる。すなわち、各タンク32にはキャップ32aが設けられており、このキャップ32aを外した状態で手動操作にてボトル内のインクを投入することにより、タンク32内にインクが充填される。ボトルの容量は、例えば一定値すなわち所定容量に定まっており、1回の投入操作によりインクが上記所定容量単位でタンク32内へと供給される。インクが印刷消耗材の一例である。
【0017】
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載されており、キャリッジ2がインクジェットヘッド3を主走査方向に移動させながらインクジェットヘッド3がインクを吐出することで、画像形成すなわち印刷が行われる。インクジェットヘッド3は、流路ユニット13と、アクチュエータ14と、を有する。
【0018】
流路ユニット13には、複数のノズル10をそれぞれ含む4列のノズル列9が主走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、一例として、右側から左側に向かって順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。1つのノズル列に含まれる複数のノズル10には、対応する1色のインクが、共通の1つの上記チューブ31及び共通の1つのインク流路を介して、供給される。すなわち、1つのタンク32からのインクは、チューブ31→流路ユニット13のインク流路→各ノズル10、の経路で供給される。
【0019】
プラテン4は、インクジェットヘッド3の下方に位置し、印刷時にノズル面13aと対向する。プラテン4は、主走査方向に記録用紙Pの全幅にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。記録用紙Pが被印刷媒体の一例である。搬送ローラ5,6は、それぞれ、搬送方向におけるプラテン4の上流側及び下流側に位置している。搬送ローラ5,6は、図示しないギヤ等を介し搬送モータ57(
図1参照)に接続され、搬送モータ57の駆動により回転して記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0020】
上記構成により、プリンタ200は、搬送ローラ5,6により記録用紙Pを所定距離ずつ搬送する毎に、キャリッジ2を主走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド3の複数のノズル10からインクを吐出させることによって、記録用紙Pに印刷を行う。
【0021】
<印刷処理システムの電気的構成>
図1に戻り、印刷処理システム1の電気的構成を説明する。
【0022】
<情報管理サーバ>
情報管理サーバ100は、例えばプリンタ200のメーカが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。
【0023】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、ユーザID記憶領域121、デバイス番号記憶領域122、後述する送付用トークンを記憶するトークン記憶領域123、プリンタID記憶領域124、インク残量記憶領域125、ポイント情報記憶領域126、及び、指標マーク記憶領域127を有している。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131を有している。
【0024】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続されたモバイル端末300、プリンタ200、配送管理サーバ400に対するデータ通信を含む、後述の
図9等に示す各種の処理を実行する。なお、不揮発性記憶装置130のプログラム記憶領域131等とこれを用いるプロセッサ110とが制御部の一例である。
【0025】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0026】
<配送管理サーバ>
配送管理サーバ400は、例えば各種物品の配送サービスを行う配送サービス会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。
【0027】
<モバイル端末>
モバイル端末300は、ユーザの所有するスマートフォン等のモバイル端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。モバイル端末300は、プロセッサ310と、記憶装置315と、ネットワークNTに接続するためのインタフェース390と、表示部301と、カメラ302と、操作部350と、を有している。記憶装置に備えられたプログラム記憶領域には、各種プログラムが記憶されており、それら各種プログラムには、後述の
図9に示す処理を実行する印刷消耗材の液面検知プログラムが含まれている。プロセッサ310が演算部の一例である。
なお、モバイル端末300に代えて、例えばタブレットコンピュータやパソコン等の他の情報端末を用いてもよい。以下適宜、それら情報端末を総称して、単に「モバイル端末」と称する。
【0028】
<プリンタ>
プリンタ200には、プリンタ200の動作を制御するための制御装置50が備えられている。
制御装置50は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、EEPROM54と、特定用途向け集積回路であるASIC(application specific integrated circuit)55と、インタフェース90と、等を備える。制御装置50は、これらの構成を備えることにより、キャリッジモータ56、搬送モータ57などの制御を行う。
【0029】
インタフェース90は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、上記ネットワークNTに接続されている。
【0030】
なお、
図1では、CPU51を1つだけ図示しているが、制御装置50がCPU51を複数備え、それら複数のCPU51が分担して処理を行ってもよい。また、
図1では、ASIC55を1つだけ図示しているが、制御装置50がASIC55を複数備え、それら複数のASIC55が分担して処理を行ってもよい。
【0031】
<本実施形態の背景>
上記プリンタ200において、例えば、タンク32内のインクの残量が所定値まで低下したときに前述のボトルを発注するようにすれば、印刷に使用できるインクが完全になくなる前に確実に次のボトルをユーザのもとに届けることができる。発注によって新たに届けられるボトルには、予め定められた固定容量のインクが貯留されており、そのボトルから当該固定容量単位でタンクへとインクが供給され用いられることとなる。固定容量の値はある種類の1つのボトルに対して一意的に定まる値であるが、プリンタ200において用いられるボトルは複数種類あってもよく、この場合は複数の固定容量の値が存在することになる。また、ボトルはプリンタ200の運用途中で別種類のボトルに切り替えられてもよい。
例えばタンク32内のインクの残量が一例として上記固定容量の20%になったことを契機に次の新たなボトルを発注するときの経時挙動の例を
図3を用いて説明する。
【0032】
図3は横軸に時間経過、縦軸にタンク32内のインク残量(以下適宜、単に「タンク内残量」と称する)を取って表している。図示の例では、最初に空のタンク32に対しボトルから上記固定容量分のインクが投入され、タンク内残量が上記固定容量と同一である100%の状態からユーザの利用が開始される(時間t0)。ユーザ利用に伴う印刷枚数の増大によってタンク内残量が徐々に低下する。プリンタ200はインクジェットヘッド3のノズル列9から吐出したインク量をカウントすることでタンク内残量を把握するように構成されているがこのカウントには誤差がある。プリンタは把握するタンク内残量が固定容量の20%(以下適宜、単に「20%容量」等と称する)以下になったことを契機に第1回目のボトル発注を行う(時間tr1)。この時例えば、上述の誤差により現実のタンク内残量は16%まで低下しているとする。発注が行われた後、実際に新たなボトルが配達され到着するまでに多少のタイムラグがある結果、ユーザのもとにボトルが到着したときにはタンク内残量は一例として約10%容量まで低下したとする(時間t1)。
【0033】
そして到着したボトルから再度上記固定容量分(100%容量に相当)のインクが投入されることで、タンク内残量は約110%容量まで増加する(時間t1)。このとき、プリンタ200の把握しているタンク内残量は上述の誤差により110%容量より大きい。上記同様、印刷枚数の増大によってタンク内残量が再度低下し、プリンタ200の把握しているタンク内残量が20%容量以下になったことを契機に第2回目のボトル発注が行われる。このとき現実のタンク内残量は約12%容量となっていて(時間tr2)、ユーザのもとにボトルが到着したときにはタンク内残量は例えば約3%容量まで低下したとする(時間t2)。
【0034】
到着したボトルから再度上記固定容量分(100%容量に相当)のインクが投入され、タンク内残量は約103%容量まで増加する(時間t2)。このとき、プリンタ200の把握しているタンク内残量は上述の誤差により103%容量より大きく、その差も前回のインク投入時より大きくなっている。その後、上記同様、印刷枚数の増大によってタンク内残量が再度低下する。いずれ、ボトルの発注前にタンク内残量がゼロに到達してしまい、ユーザが印刷できない状態に陥ってしまう。タンク内残量を正確に測定することができればこのような問題は生じない。
【0035】
<残量の検出>
上記のように、タンク内残量が例えば20%等の所定値となったことを目安に発注を行おうとする場合、上記所定値を正確に把握するために、本実施形態では、ユーザがモバイル端末300のカメラ302により撮影した写真、具体的には、タンク32の液面の撮影結果に基づき残量検出が行われる。
【0036】
図4は、プリンタ200のうち、筐体200Aに設けられた開閉カバー200Bを開いて、筐体200A内に配置された前述の4つのタンク32の外観を外部に露出させた状態を示している。この例では、左側から右側へ、マゼンタタンク32M、シアンタンク32C、イエロータンク32Y、ブラックタンク32K、の順にそれぞれ配置されている。
【0037】
<モバイル端末での処理>
図5を用いてモバイル端末300におけるユーザ撮影時の概略挙動を説明する。
図5は、カメラ302による撮影時においてモバイル端末300の表示部301に表示される撮影画面301Aの一例を示している。図示のように、撮影画面301Aには、プロセッサ310の制御により、カメラ302の撮影視野内の実画像、この例では
図4に示した4つのタンク32及び開閉カバー200B付近の実画像と、位置決めのためのガイド表示Gと、が重畳して表示される。
【0038】
ガイド表示Gは、カメラ302の撮影視野内に上記4つのマゼンタタンク32M、シアンタンク32C、イエロータンク32Y、ブラックタンク32Kの外観がそれぞれが収まるように、ユーザの撮影挙動をガイドするためのマーク表示である。詳細には、各タンク32M,32C,32Y,32Kそれぞれのインクの液面PM,PC,PY,PKと、各タンク32M,32C,32Y,32Kの外観表面に予め表記された、満指標マークUg及び空指標マークLgとが、撮影視野内に収まるようにガイドされる。満指標マークUgは、タンク32内にインクがほぼ満量充填されている状態の液面位置を表し、空指標マークLgは、タンク32内のインクがほぼ消費され尽くした状態の液面位置を表している。なお、これら満指標マークUg及び空指標マークLgの表記位置は、プリンタ200の機種ごとに予め決められた既知の情報として、情報管理サーバ100の指標マーク記憶領域127に記憶されている。
満指標マークUgの位置が第1液面基準位置の一例であり、空指標マークLgの位置が第2液面基準位置の一例である。
【0039】
<情報管理サーバでの処理>
上記のようにして撮影された4つのタンク32の上記液面PM,PC,PY,PKを含む外観画像は、モバイル端末300から情報管理サーバ100へと送られる。情報管理サーバ100では、上記外観画像に基づき、マゼンタタンク32M、シアンタンク32C、イエロータンク32Y、ブラックタンク32Kそれぞれにおける液面位置が特定され、その特定結果に基づき、各タンク32M,32C,32Y,32K内におけるインクの内部残量が特定される。
【0040】
<残量の特定>
図6に示すように、この例では、例えばマゼンタタンク32Mの液面PMは、満指標マークUgから空指標マークLgまでの上下方向寸法と対比すると当該寸法を65:35に区分する位置である。情報管理サーバ100では、この位置が、公知の画像解析に基づくエッジ検出の手法によりエッジとして検出される。その結果、マゼンタタンク32Mの内部残量は、前述の満量を100%残量とした相対値として35%残量である、と特定される。
同様に、シアンタンク32Cの液面PCは、満指標マークUgから空指標マークLgまでの上下方向寸法を35:65に区分する位置である。この位置がエッジ検出される結果、シアンタンク32Cの内部残量は65%残量である、と特定される。
同様に、イエロータンク32Yの液面PYは、満指標マークUgから空指標マークLgまでの上下方向寸法を25:75に区分する位置である。この位置がエッジ検出される結果、イエロータンク32Yの内部残量は75%残量である、と特定される。
同様に、ブラックタンク32Kの液面PKは、満指標マークUgから空指標マークLgまでの上下方向寸法を50:50に区分する位置である。この位置がエッジ検出される結果、ブラックタンク32Kの内部残量は50%残量である、と特定される。
【0041】
なお、上記のようにモバイル端末300から情報管理サーバ100へと外観画像を送信する際は、モバイル端末300での上記撮影が正当な権限に基づくものであることを保証するための写真送付用トークンが事前に情報管理サーバ100からモバイル端末300へ送信される。この写真送付用トークンは、いわゆるワンタイムパスワードであり、あらかじめ定められた期間、例えば5分間のみ有効となるように設定されている。
図5に示した撮影画面301Aには、この写真送付用トークンの有効期間のうちの残り時間を表す残時間表示301aが併せて表示され、モバイル端末300内に備えられた適宜のタイマーによって時々刻々とカウントダウンされる。図示の例では、上記5分のうち、残り時間が4分52分であることが示されている。
【0042】
モバイル端末300からの外観画像は、上記写真送付用トークンとともに情報管理サーバ100へと送信される。この送信及びモバイル端末300での受信が上記有効期間内に行われた場合は、受信した外観画像は有効として扱われ、情報管理サーバ100において上記の液面位置の特定が行われる。上記受信が上記有効期間を過ぎて行われた場合は、受信した外観画像は無効として扱われ、情報管理サーバ100において上記の液面位置の特定は行われない。
【0043】
<撮影した画像送付に基づくポイントの付与>
本実施形態では、ユーザに対し、上記のような写真撮影と外観画像の送付を促進するために、外観画像の受信に応じて、情報管理サーバ100においてユーザへのポイントが生成される。ポイントが特定情報の一例である。ポイントが生成されると、当該ポイントが生成されたことを表す通知がモバイル端末300へと送信される。通知を受けたモバイル端末300では、表示部301において対応する表示が行われる。このときモバイル端末300の表示部301において行われる表示の一例を
図7(a)により説明する。
【0044】
図7(a)に示すように、この例では、表示部301に、情報管理サーバ100からの通知を受信したことを表す画面301Bが表示されている。画面301Bでは、通知の日付、ユーザIDが表示されている。画面301Bではまた、付与された上記ポイントの内容を含む、「タンク外観画像の受信が完了し、ポイント100ptが付与されました。ありがとうございました。」のメッセージが表示されている。
【0045】
なおこの例では、この画面301Bにおいて、前述のポイント付与に対応したポイント内容の確認要否をユーザが選択可能になっている。すなわち画面301Bには、「ポイント確認する」ボタン311a及び「今は確認しない」ボタン311bと、を備えている。
例えばユーザが「ポイント確認する」ボタン311aを操作することで、付与されたポイントの数値、過去のポイントとの合計の数値等を示す確認画面が、画面301B、又は画面301Bから移行する別画面、又は画面301Bに割り込み表示される別ウィンドウ、等において表示される。
例えばユーザが「今は確認しない」ボタン311bを操作すると上記確認画面の表示は行われず、所定の初期画面の表示へ戻る。
【0046】
<残量減少に基づくボトルの発注>
前述のようにして適宜のタイミングでモバイル端末300から送られる外観画像を用いた残量特定により、いずれかのタンク32内の残量が上記所定値以下となった場合には、情報管理サーバ100からの通知によりモバイル端末300にて警告表示が行われる。モバイル端末300の表示部301で表示される警告画面の一例を
図7(b)に示す。
【0047】
図7(b)において、この例では、表示部301に表示される警告画面301Cにて、残量が上記所定値以下となったインク色が表示されるインク表示部321aと、「インク残量が少なくなりました。ボトルを発注してください。」のメッセージが表示されるメッセージ表示部321bと、「発注する」ボタン321cと、が設けられている。この例では、インク表示部321aにおいて、イエロータンク32Y内のインクの具体的な型番「LC401YR」が表示されている。「発注する」ボタン321cが操作されることで、対応する発注指示信号がモバイル端末300から情報管理サーバ100へと送信され、さらに情報管理サーバ100から発注信号が配送管理サーバ400へ送信されて、ボトルの発注が行われる。
【0048】
<ソフトウェアブロック構成>
本実施形態において上記のようにして実行する処理に係わるソフトウェアブロック構成を、
図8に示す。
【0049】
<管理サーバのサービス処理部>
図8において、情報管理サーバ100は、サービス処理部530を備えている。一例として、サービス処理部530は、前述したプロセッサ110とプログラム記憶領域131に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。サービス処理部530は、モバイル端末300を介したユーザからの上記配送サービスや印刷サービスの申請を受け付け、最新のサービス情報を参照しつつ、各サービスの提供に必要な適宜の処理を実行する。
【0050】
<プリンタの印刷制御部>
プリンタ200は、印刷制御部540と残量カウント部550を備えている。一例として、印刷制御部540と残量カウント部550は、前述した制御装置50のうちプロセッサ210とプログラムの対応する部分とにより構成されている。印刷制御部540は、上記インクジェットヘッド3の印刷動作を制御する。また印刷制御部540は、その時点のサービス状態をモバイル端末300へ送信してユーザに提示する機能も有している。残量カウント部550は、インクジェットヘッド3のノズル列9から吐出したインク量をカウントすることでタンク内残量を把握する。
【0051】
<モバイル端末の各機能部>
モバイル端末300は、識別情報送信部360と、外観画像送信部340と、ガイド表示部330と、上記カメラ302により構成される撮像部370と、を備えている。一例として、これら識別情報送信部360、外観画像送信部340、ガイド表示部330、及び撮像部370は、前述したプロセッサ310と記憶装置315のプログラム記憶領域に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。
【0052】
<管理サーバの他の機能部>
情報管理サーバ100はさらに、画像取得部600と、識別情報取得部610と、液面基準位置取得部620と、液面位置特定部630と、残量決定部640と、判定部650と、特典情報生成部660と、トークン送信部670と、を備えている。一例として、これら画像取得部600と、識別情報取得部610と、液面基準位置取得部620と、液面位置特定部630と、残量決定部640と、判定部650と、特典情報生成部660と、トークン送信部670は、前述したプロセッサ110とプログラム記憶領域131に記憶されたプログラムの対応する部分とにより構成されている。
【0053】
<各機能部の信号の流れ>
モバイル端末300のガイド表示部330は、前述したように、撮像部370による撮影時における撮影視野の位置決めガイド表示を行う。撮像部370は、既に述べたように、タンク32におけるインクの液面を含む外観を撮影する。詳細には、ガイド表示部330により位置決めガイドされた撮影視野での前記撮影を行う。
【0054】
モバイル端末300の識別情報送信部360は、予め当該モバイル端末300に対して、言い換えればモバイル端末300を保有するユーザに対して対応付けられているプリンタ200の識別情報であるプリンタIDを送信する。
情報管理サーバ100の識別情報取得部610は、上記識別情報送信部360から送信された、プリンタIDを取得する。トークン送信部670は、正当権限保証情報である上記写真送付用トークンを生成し、トークン記憶領域123に記憶するとともに、識別情報取得部610が取得したプリンタIDと対応付けてモバイル端末300へと送信する。トークン送信部670が保証情報送信部の一例である。
【0055】
モバイル端末300の外観画像送信部340は、撮像部370が撮影した液面を含む外観画像を、トークン送信部670から送信された写真送付用トークンと対応付けて送信する。情報管理サーバ100の画像取得部600は、外観画像送信部340から送信された、液面を含む外観画像と写真送付用トークンとを受信する。
【0056】
情報管理サーバ100の液面位置特定部630は、エッジ検出部635を含み、モバイル端末300の撮像部370が撮影した外観画像における液面位置PM,PC,PY,PKを表すエッジをエッジ検出部635で検出することにより、液面位置PM,PC,PY,PKを特定する。
情報管理サーバ100の液面基準位置取得部620は、識別情報取得部610により取得されたプリンタIDに基づき、対応するタンク32の外観画像における満指標マークUg及び空指標マークLgの位置を取得する。前述したように、これら満指標マークUg及び空指標マークLgの位置は、機種ごとにそれぞれ既知である。
【0057】
情報管理サーバ100の残量決定部640は、液面位置特定部630により特定された液面位置に基づき、前記タンク内におけるインクの内部残量を決定する。詳細には、残量決定部640は、外観画像に関連付けられている上記写真送付用トークンに基づく正当性が確認された場合に、識別情報取得部610により取得されたプリンタIDと対応付けて、タンク32内における内部残量を決定する。その際、前述したように、残量決定部640は、エッジ検出部635により検出されたエッジが満指標マークUg及び空指標マークLgの間のどの位置にあるかに応じて、タンク32C内における内部残量を決定する。残量決定部640で決定された内部残量はプリンタ200の残量カウント部550に送られ、残量カウント部550の把握している内部残量は残量決定部640で決定された内部残量に更新される。
【0058】
情報管理サーバ100の特典情報生成部660は、残量決定部640による内部残量の決定に応じて、プリンタ200を使用した印刷に係わる前述のポイントを生成する。
情報管理サーバ100の判定部650は、残量決定部640による各タンク32の内部残量の決定に応じて、或いはプリンタ200の残量カウント部550から取得する内部残量に応じて、ボトルの新規発注の可否を判定する。この例では、前述のように、判定部650は、残量決定部640により決定された内部残量が上記所定値に達したか否かにより、ボトルの新規発注の可否を判定する。判定部650によりボトルの新規発注が可能と判定された場合、対応する警告表示信号がモバイル端末300へと送信される。モバイル端末300の表示部301では、この警告表示信号に受信に基づき、前述の警告画面301Cの表示が行われる。尚、判定部650は情報管理サーバ100ではなくプリンタ200或いはモバイル端末300に設けられてもよい。
【0059】
<制御手順>
以下、上記手法を実現するために、プリンタ200、モバイル端末300、情報管理サーバ100、配送管理サーバ400の協働により行われる制御手順の一例を、
図9のシーケンスチャートにより説明する。
【0060】
図9において、まずS2で、ユーザがモバイル端末300にて適宜の操作を行うと、モバイル端末300では予めインストール済のタンク32の外観写真撮影用のアプリケーションプログラムが起動される。モバイル端末300において、S5で、識別情報送信部360により、上記写真送付用トークンの取得要求と、モバイル端末300に紐づけられているプリンタIDとが送信され、識別情報取得部610により、受信される。取得されたプリンタIDは、プリンタID記憶領域124に記憶される。
【0061】
情報管理サーバ100において、S10で、トークン送信部670により、写真送付用トークンが発行される。S15では、発行した写真送付用トークンが、上記S5で受信したプリンタIDと紐づけられて、トークン記憶領域123に記憶される。S20では、発行された写真送付用トークンが、トークン送信部670によりモバイル端末300へと送信され、モバイル端末300で受信される。
【0062】
モバイル端末300においては、S30で、ガイド表示部330により、撮影画面301A内に位置決めのためのガイド表示Gが表示されるとともに、残時間表示301aの表示が行われる。S30がガイド表示ステップの一例である。S35で、モバイル端末300におけるユーザの適宜の操作により、撮影画面301A内に残時間表示301aにおける残り時間のカウントダウンが行われつつ、ガイド表示Gに沿ったタンク32を含む外観の撮影が行われる。S35が撮像ステップの一例である。S40では、撮像部370から取得された外観画像が、外観画像送信部340により、上記取得済の写真送付用トークンとともに情報管理サーバ100へと送信され、情報管理サーバ100で受信される。S40が画像送信ステップの一例であり、S40で情報管理サーバ100が実行する処理が画像取得処理の一例である。
【0063】
情報管理サーバ100では、S50で、インク残量決定処理が行われる。S50の詳細手順を
図10に示す。
図10において、まずS51で、S5で識別情報取得部610により取得されたプリンタIDに基づき、液面基準位置取得部620により、プリンタ200の機種情報が特定される。S52では、S51の特定結果に基づき、液面基準位置取得部620により、特定されたプリンタ200の機種に対応する、4つのタンク32M,32C,32Y,32Kそれぞれの上記満指標マークUg及び空指標マークLgの位置が特定される。
【0064】
S53では、上記S52において上記マークUg,Lgの位置が正常に特定できたか否かが判定される。プリンタIDが不適切である等により正常に特定できない場合はNo判定されて、後述のS61へ処理が移される。正常に特定された場合はYes判定されてS54へ処理が移される。
S54では、画像取得部600がS40で取得した上記外観画像から、液面位置特定部630により、公知の画像解析で、タンクゲージ領域すなわち各タンク32M,32C,32Y,32Kの上記マークUgからマークLgまでの領域が抽出される。
【0065】
S55では、上記S54において上記マークUgからマークLgまでの領域の画像が正常に抽出できたか否かが判定される。ユーザによる撮影が前述のガイド表示Gに沿わず一部範囲の画像が欠損していた場合や、外観画像中に含まれるタンクの数が3つ以下であった等により正常に抽出できない場合はNo判定されて、後述のS61へ処理が移される。正常に特定された場合はYes判定されてS56へ処理が移される。
S56では、S54で抽出された画像から、エッジ検出部635により、公知の画像解析で、各タンク32M,32C,32Y,32Kの上記マークUgからマークLgまでの範囲に存在するインクの液面PM,PC,PY,PKを表すエッジの検出が行われる。S54,S66で情報管理サーバ100が実行する処理が液面位置特定処理の一例である。
【0066】
S57では、上記S56において上記マークUgからマークLgまでの範囲でエッジが正常に検出できたか否かが判定される。画像が不鮮明である等によりエッジが正常に検出できない場合はNo判定されて、後述のS61へ処理が移される。エッジが正常に検出された場合はYes判定されてS58へ処理が移される。
S58では、残量決定部640により、S57でのエッジ検出結果に対応する液面PM,PC,PY,PKの位置に基づき、前述の手法で各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量が特定される。この例では、前述したようにタンク内の満量相当を100%残量とした相対値として何%残量であるか、が特定される。S58で情報管理サーバ100が実行する処理が残量決定処理の一例である。
【0067】
S59では、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色すべてについてS58までの処理が終了したか否かが判定される。未処理の色が残っている場合はNo判定され、S56に処理が戻されて同様の手順が繰り返される。4色すべてのS58の処理が終了したらS59がYes判定され、S60へ処理が移される。
S60では、S58で特定された各色のインク残量が対応するプリンタIDに紐づけられる形でインク残量記憶領域125に記憶される。S60の後、このルーチンを終了し、
図9のS65へ移行する。
【0068】
S53,S55,S57のいずれかでNo判定されて移行されたS61では、タンク内残量の決定ができないエラーであると決定され、
図9のS65へ移行する。
【0069】
図9において、情報管理サーバ100では、S65で、上記S50において残量決定エラーとなっているか否かが判定される。各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量が決定できずエラーとなっていればYes判定され、S20に処理が戻されて同様の手順が繰り返される。各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量が決定できていればNo判定され、S68にてプリンタ200に各色のインク残量が送付され、S70へ処理が移される。
【0070】
S70では、特典情報生成部660により、プリンタ200を使用した印刷に係わるユーザ特典となる、前述のポイントが生成される。生成されたポイントは、例えばプリンタIDやユーザIDと紐づけられてポイント情報記憶領域126へ記憶される。
【0071】
S75で、特典情報生成部660により、S70でポイントが生成されたことを表す通知がモバイル端末300へと送信される。通知を受けたモバイル端末300では、表示部301において前述の
図7(a)に示した画面301Bの表示が行われる。
【0072】
情報管理サーバ100では、S78にてプリンタ200がカウントする各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量を必要に応じて取得する。そしてS80で、S50で決定された各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量或いはS78にて取得したプリンタ200がカウントする各タンク32M,32C,32Y,32K内のインク残量のうちいずれかが、前述の所定値以下となっているか否かが判定される。いずれのタンク32の残量も所定値を超えている場合はNo判定され、上記S78に処理が移されてプリンタ200からの各タンク32M,32C,32Y,32K内の更新されたインク残量を取得して改めてS80の処理が繰り返し実行される。いずれかのタンク32の残量が所定値以下である場合はYes判定され、S82に処理が移される。
【0073】
S82では、上記判定に対応し、タンク32の残量が少なくなっており発注する必要がある旨の通知が判定部650により送信され、モバイル端末300にて受信される。通知を受けたモバイル端末300では、表示部301において前述の
図7(b)に示した画面301Cの表示が行われる。
【0074】
S85では、モバイル端末300において、上記画面301Cの「発注する」ボタン321cが操作されることで発注指示が行われ、配送管理サーバ400において受信される。
配送管理サーバ400では、S90で、配送スタッフに対する指示等、所定の配送処理が行われ、このシーケンスチャートによる処理が終了する。
【0075】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、タンク32M,32C,32Y,32Kの液面PM,PC,PY,PKの撮影結果に基づき残量検出が行われる。
撮像部370によりタンク32M,32C,32Y,32Kの外観が撮影される。撮影される外観には、インクの液面PM,PC,PY,PKが含まれる。液面位置特定部630により、撮影された外観画像における液面PM,PC,PY,PKの位置が特定される。特定された液面PM,PC,PY,PKの位置に基づき、残量決定部640により、タンク32M,32C,32Y,32K内におけるインクの内部残量が決定される。
本実施形態によれば、タンク外観の撮影画像を用いて、タンク32M,32C,32Y,32K内のインクの残量を正確に検出することができる。
【0076】
また、本実施形態では特に、ガイド表示部330により撮影視野を位置決めするためのガイド表示Gが行われるので、ユーザは、後の液面PM,PC,PY,PKの特定に好適な撮影視野による撮影を容易に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では特に、撮像部370による撮影が正当権限に基づくものであることを保証するための写真送付用トークンを用いて、撮影結果の正当性のチェックが行われる。
写真送付用トークンが生成され、生成された写真送付用トークンは、トークン送信部670により、識別情報取得部610が取得したプリンタIDと対応付けられて送信される。撮像部370が撮影した外観画像は、外観画像送信部340により、トークン送信部670から送信された写真送付用トークンに対応付けられて送信される。残量決定部640では、送信された外観画像に関連付けられた写真送付用トークンをチェックし、写真送付用トークンの正当性が確認された場合に、プリンタ200のプリンタIDと対応付けて、タンク32M,32C,32Y,32K内における内部残量を決定する。
本実施形態によれば、写真送付用トークンにより撮影結果の正当性が確認された場合に限りタンク32M,32C,32Y,32K内のインクの残量が検出されるので、なりすましや偽りの画像等による、誤検出や不正の発生を防止することができる。
【0078】
また、本実施形態では特に、タンク32M,32C,32Y,32Kの外観画像における、インクの満量状態に対応する満指標マークUg、空状態に対応する空指標マークLgが、プリンタ200の機種ごとに予め既知となっている。液面基準位置取得部620では、プリンタ200のプリンタIDに対応した、上記満指標マークUg及び空指標マークLgが取得される。
液面位置特定部630に備えられるエッジ検出部635では、撮像部370が撮影した外観画像に含まれる液面PM,PC,PY,PKを表すエッジが検出される。残量決定部640では、エッジが満指標マークUgと空指標マークLgとの間のどの位置にあるかに応じて、タンク32M,32C,32Y,32K内の内部残量が決定される。
本実施形態によれば、撮影結果に含まれるエッジを検出し、そのエッジがプリンタ200の機種ごとに定まる満指標マークUgから空指標マークLgまでのどの範囲に該当するかにより、正確にインクの残量を検出することができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、撮影された外観画像を用いて内部残量が決定されたら、特典情報生成部660により特典情報としてのポイントが生成される。
本実施形態によれば、ユーザは、例えばタンク32M,32C,32Y,32Kの外観を撮影することでポイントの恩恵を受けられることになるため、積極的に撮影しようというインセンティブをユーザに与えることができる。インクを提供するサービス業者は、正確なインクの残量検出結果を得られることで、無用なインクの補充を行わなくて済むというメリットがある。
【0080】
<変形例> なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例も技術的範囲に含まれる。
【0081】
(1)プリンタID等の表記を含めて撮影を行う場合
本変形例では、プリンタ200の、
図5に示すモバイル端末300のカメラ302による撮影視野内の部位、例えば筐体Aや開閉カバー200B等の適宜の部位に、プリンタID、又は、読み取りによりプリンタIDが得られるバーコード等の識別表記(図示省略)が表記されている。前述のS35では、当該識別表記を含む外観の撮影が行われる。
【0082】
情報管理サーバ100では、上記撮影された外観画像に含まれる識別表記に基づき、対応するプリンタIDが取得される。
図9のS50では、識別表記から取得されたプリンタIDと、S5で取得されたプリンタIDとが照合され、それらが一致した場合にのみ、インク残量の決定が行われる。
【0083】
本変形例においては、撮影した外観に識別表記が含まれ、対応するプリンタIDが識別情報取得部610で取得されたプリンタIDと一致するか否かの照合が行われる。
本変形例によれば、上記2つのプリンタIDが一致した場合に限り、タンク32M,32C,32Y,32K内の内部残量の決定が行われるので、別タンクの画像や偽りの画像等を用いた誤検出や不正の発生を防止することができる。
【0084】
(2)液面位置特定及び残量決定を情報管理サーバ外で行う場合
以上においては、液面位置特定部630による液面位置の特定、及び、残量決定部640によるタンク内残量の決定を、情報管理サーバ100において行ったが、これに限られない。
【0085】
例えば、モバイル端末300がそれら液面位置特定部630及び残量決定部640と同等の機能を備え、上述と同様の手法で液面位置の特定及びタンク内残量の決定を行ってもよい。その場合、モバイル端末300から情報管理サーバ100への外観画像の送信は、必ずしも必要ない。すなわち、外観が撮影されたこと若しくは外観画像に基づきタンク内残量が決定されたことが情報管理サーバ100へと通知され、それに応じて情報管理サーバ100においてポイントを生成すれば足りる。モバイル端末300において決定したタンク32内の残量が所定値以下になっている場合は、モバイル端末300は表示部301において自ら
図7(b)の画面301Cと同様の画面を表示する。
【0086】
あるいは、例えば、プリンタ200が上記液面位置特定部630及び残量決定部640と同等の機能を備え、上述と同様の手法で液面位置の特定及びタンク内残量の決定を行ってもよい。その場合、モバイル端末300からの外観画像はプリンタ200へと送信され、情報管理サーバ100への送信は必ずしも必要ない。すなわち、外観が撮影されたこと若しくは外観画像に基づきタンク内残量が決定されたことがモバイル端末300から情報管理サーバ100へと通知され、それに応じて情報管理サーバ100においてポイントを生成すれば足りる。プリンタ200において決定したタンク32内の残量が所定値以下になっている場合は、対応する信号がモバイル端末300へ送信され、モバイル端末300が表示部301において
図7(c)の画面301Cと同様の画面を表示する。
【0087】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0088】
(3)その他
以上においては、印刷消耗材の一例としてインクを例にとって説明したが、これに限られない。例えばインクジェット方式ではなくレーザ方式のプリンタ200が用いられる場合には、トナーが印刷消耗材の一例となる。
【0089】
また、以上において、
図8中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0090】
また、
図9、
図10に示すシーケンスチャート及びフローチャートは本発明をそれらに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0091】
上記実施形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0092】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0093】
発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上記した内容に限定されるものではない。すなわち、本発明によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0094】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 印刷処理システム(印刷消耗材の管理システムの一例)
2 キャリッジ
3 インクジェットヘッド
32 タンク
100 情報管理サーバ(情報処理装置、残量特定装置の一例)
110 プロセッサ
131 プログラム記憶領域
200 プリンタ(印刷装置、印刷部の一例)
300 モバイル端末(端末装置の一例)
301 表示部
310 プロセッサ(演算部の一例)
330 ガイド表示部
340 外観画像送信部
370 撮像部
610 識別情報取得部
620 液面基準位置取得部
630 液面位置特定部
640 残量決定部
660 特典情報生成部
670 トークン送信部(保証情報送信部の一例)
G ガイド表示
Lg 空指標マーク(第2液面基準位置の一例)
P 記録用紙(被印刷媒体の一例)
Ug 満指標マーク(第1液面基準位置の一例)